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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134130
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20220907BHJP
   A47K 10/48 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A47K3/00 A
A47K10/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022046976
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000215785
【氏名又は名称】TPR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】川合 清行
(72)【発明者】
【氏名】山岡 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】北澤 秀敏
【テーマコード(参考)】
2D005
【Fターム(参考)】
2D005BB01
2D005BB02
2D005BC01
(57)【要約】
【課題】吸水層に乗ったユーザである人やペットを冷却できるだけでなく、メンテナンスが容易で持ち運ぶことができる送風機を提供する。
【解決手段】送風機1は、吸水層2と、送風機構3と、を備えている。吸水層2は、吸水性の材料からなり、人又はペットが乗ることができる上面2Aと該上面2Aとは反対側の下面2Bとを有する平板状に形成されている。送風機構3は、水平面Fに設置されて送風機1を使用可能な状態において、少なくとも一部が下面2Bよりも下側に位置している。送風機1は、送風機構3から送り込まれた風が吸水層2の上面2Aから吹き出すように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機であって、
吸水性の材料からなり、人又はペットが乗ることができる上面と該上面とは反対側の下面とを有する平板状に形成された吸水層と、
当該送風機を使用可能な状態において、少なくとも一部が前記下面よりも下側に位置する送風機構と、を備え、
前記送風機構から送り込まれた風が前記吸水層の前記上面から吹き出すように構成されている、
送風機。
【請求項2】
前記吸水層の前記上面に人又はペットが乗ったことを感知し、前記送風機構を作動させるセンサを更に備えた、
請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記送風機構と前記吸水層との間に、ヒータを更に備えた、
請求項1又は2に記載の送風機。
【請求項4】
前記吸水性の材料は、珪藻土である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項5】
前記吸水層には、前記下面から前記上面まで貫通した複数の貫通孔が形成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項6】
前記吸水層には、前記下面から前記上面まで貫通した複数の貫通孔が形成されおり、前記送風機を使用可能な状態において、各々の前記貫通孔は、鉛直方向に交差する斜め方向に延在し、前記上面側の開口から鉛直方向に沿って見たときに前記下面側の開口を視認できない、
請求項1から5のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項7】
前記送風機を使用可能な状態において、前記吸水層は、水平面に平行な第1方向に配列された複数のプレートで構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項8】
隣り合う前記プレートの間には、前記送風機構からの風を通す空隙が形成されており、前記送風機を使用可能な状態において、各々の前記空隙は、鉛直方向に交差する斜め方向に延在し、前記上面側の開口から鉛直方向に沿って見たときに前記下面側の開口を視認できない、
請求項7に記載の送風機。
【請求項9】
各々の前記プレートは、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜した複数のサブプレートの位置を前記第1方向に互いにずらしてから鉛直方向に積み重ねた形状に形成されている、
請求項7から8のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項10】
各々の前記サブプレートは、前記第1方向に沿う鉛直面で切断した断面形状が、略矩形、略L字形、略三角形、略台形、略平行四辺形又は略楕円形に形成されている、
請求項9に記載の送風機。
【請求項11】
各々の前記プレートは、前記第1方向に沿う鉛直面で切断した断面形状が、互いに平行な上底と下底とを有する略台形に形成され、
当該送風機を使用可能な状態において、複数の前記プレートは、前記上底と前記下底とが前記第1方向に沿って交互に並ぶように配列されている、
請求項7又は8に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
入浴時、浴室内でタオルを使い、体表面の水分をさっと拭ってから脱衣所に出るが、体表面にはまだ多量の水分が残っており、そこに入浴で体温が上がることによる発汗が加わるため、とりわけ夏場には脱衣所に出た後も体を乾かすためにタオルで何度も拭う必要がある。このため、温泉、ホテル、旅館等の入浴施設の脱衣所には、体表面の熱を取り乾燥させるための扇風機が設置されている。また、ペットショップ、トリミングサロン、動物病院等において、犬や猫等のペットをシャンプーするサービスを提供しているところがある。そのような施設には、洗い終わったペットにドライヤーを当てて濡れた毛を乾かすためのトリミング台が設置されている。
【0003】
特許文献1には、扇風機だけでなくバスマットの機能も兼ね備えた脱衣所床下送風機構が開示されている。通風可能なスノコ状床部材の上に乗り、運転スイッチを入れると、脱衣所の床下に埋設された床パンを介してスノコ状床部材から冷風又は温風が吹き上がる。また、特許文献2には、バスマットの機能に特化した乾燥マットが開示されている。可撓性プレートからなるマットに手足を乗せると、マットの頂面に設けられた複数の送風口から電気加熱された温風が吹き出すとともに、紫外線殺菌ランプから紫外線が照射され、濡れた手足を乾燥及び殺菌する。特許文献3には、踏板の上に人が立つと、踏板の通孔を通じて上方へ送風し、踏板から落下した水滴を水溜めに貯水する足部乾燥装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4-82642号公報
【特許文献2】実用新案登録第3157765号公報
【特許文献3】実開平2-26597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1に記載の脱衣所床下送風機構は、該機構を埋設するために専用の凹部を脱衣所の床下に用意しなくてはならない。建築物の設計段階から準備が必要であるため、一般家庭においては実施が困難である。床下に半永久的に脱衣所床下送風機構が固定されるため、設置場所を変更したくなっても移動させることができない。また、体から水滴や汗が落ちて汚れるため定期的に清掃が必要となるが、スノコ状床部材を取り外し、腰を低く落として床下に手を伸ばさないと濡れた床パンを清掃できないため、メンテナンス時の負担が大きい。
【0006】
特許文献2に記載の乾燥マットは、持ち運びできる態様ではあるものの、手足の乾燥及び殺菌を目的としており、乾燥マットは二枚の可撓性プレートに挟まれた狭い流路を通じて送風口に温風を供給するため、入浴後のユーザを冷却できる十分な風量を確保することはできない。特許文献3に記載の足部乾燥装置は、貯水タンクである水溜めから水が溢れないよう、溜まった水を頻繁に排水する手間がかかる。
【0007】
そこで、本発明は、吸水層に乗ったユーザである人やペットを冷却したり、乾燥したりすることができるだけでなく、ユーザの体から滴り落ちた汗や水を貯める貯水タンクや排水設備が不要であり、メンテナンスが容易で持ち運ぶことができる送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る送風機は、吸水層と、送風機構と、を備えている。吸水層は、吸水性の材料からなり、ユーザが乗ることができる上面と該上面とは反対側の下面とを有する平板状に形成されている。送風機構は、送風機を使用可能な状態において、少なくとも一部が吸水層の下面よりも下側に位置している。送風機は、送風機構から送り込まれた風が吸水層を通過して上面から吹き出すように構成されている。
【0009】
この態様によれば、吸水層の上面から吹き出す風により、吸水層に乗ったユーザを冷却したり、乾燥したりすることができる。ユーザが濡れた体で乗っても、滴り落ちる汗や水が吸水層に吸収されて送風機構が濡れにくい。このため送風機の内部が汚れにくく、外部に付着した汚れを拭き取るだけでよい。貯水タンクや床下に大掛かりな排水設備を埋設する必要がないため、メンテナンスが容易で持ち運ぶことができる。
【0010】
上記態様において、上面にユーザが乗ったことを感知し、送風機構を作動させるセンサを更に備えていてもよい。
【0011】
この態様によれば、上面にユーザが乗ると送風機構を自動で作動させることできるため、スイッチを用いて手動で送風機構を作動させる場合と比べて使いやすい。
【0012】
上記態様において、吸水層と送風機構との間にヒータを更に備えていてもよい。
【0013】
この態様によれば、冷却後のユーザの体を温風で乾かすことができる。
【0014】
上記態様において、吸水性の材料は、珪藻土を含んでいてもよい。
【0015】
この態様によれば、入手しやすく廉価な材料で吸水層を構成できる。
【0016】
上記態様において、吸水層には、下面から上面まで貫通した複数の貫通孔が形成されていてもよい。
【0017】
この態様によれば、貫通孔から風を吹き出すことができる。貫通孔の大きさや数、位置に応じて吸水層の圧力損失を任意に調整できる。
【0018】
上記態様において、当該送風機を使用可能な状態で、各々の貫通孔が、鉛直方向に交差する斜め方向に延在し、上面側の開口から鉛直方向に沿って見たときに下面側の開口を視認できなくてもよい。
【0019】
これらの態様によれば、ユーザの体から汗や水が滴り落ちても、貫通孔の斜面で吸水されるため、貫通孔の直下において送風機構が水に濡れにくい。吸水層よりも下側に送風機構を配置しても、送風機構が濡れたり汚れたりしにくくなる。
【0020】
上記態様において、送風機を使用可能な状態で、吸水層が、水平面に平行な第1方向に配列された複数のプレートで構成されていてもよい。
【0021】
この態様によれば、プレートの数や配列を変更するだけで吸水層の大きさや形状を自由に設計できる。
【0022】
上記態様において、隣り合うプレートの間には、送風機構からの風を通す空隙が形成されていてもよい。
【0023】
この態様によれば、プレートの配列により空隙の大きさや向きを自由に設計でき、吸水層の上面から吹き出す風の風量や向きを調整できる。貫通孔を加工する必要がないため、切りくず等のごみの発生量を減らすことができる。
【0024】
上記態様において、送風機を使用可能な状態で、各々の空隙が、鉛直方向に交差する斜め方向に延在し、上面側の開口から鉛直方向に沿って見たときに下面側の開口を視認できなくてもよい。
【0025】
この態様によれば、ユーザの体から汗や水が滴り落ちても、下面側の開口を視認できなくしているプレートの表面で吸水されるため、空隙の直下において送風機構が水に濡れにくい。吸水層よりも下側に送風機構を配置しても、送風機構が濡れたり汚れたりしにくくなる。
【0026】
上記態様において、各々のプレートは、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜した複数のサブプレートを第1方向に互いにずらしてから鉛直方向に積み重ねた形状に形成されていてもよい。
【0027】
この態様によれば、サブプレートの角度や距離を調整して階段状のプレートの形状を自由に設計できる。
【0028】
上記態様において、各々のサブプレートは、第1方向に沿う鉛直面で切断した断面形状が、略矩形、略L字形、略三角形、略台形、略平行四辺形又は略楕円形に形成されていてもよい。
【0029】
この態様によれば、単純な形状のサブプレートを組み合わせて複雑な形状のプレートを構成できる。
【0030】
上記態様において、各々のプレートは、第1方向に沿う鉛直面で切断した断面形状が、互いに平行な上底と下底とを有する略台形に形成されていてもよい。複数のプレートは、送風機を使用可能な状態で、上底と下底とが第1方向に沿って交互に並ぶように配列されていてもよい。
【0031】
この態様によれば、略台形のような単純な断面形状のプレートを用いて吸水層を構成できる。
【0032】
上記態様において、送風機構は、羽根車を回転させて風を発生させてもよい。羽根車の形状は特に限定されず、プロペラファン等の軸流ファンであってもよいし、ターボファン等の遠心ファンであってもよいし、斜流ファンであってもよい。公知の形状を適宜選択できる。
【0033】
この態様によれば、簡易な構造でユーザの体を冷却したり、乾燥したりする用途に充分な風量を備えた送風機構を構成できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、吸水層に乗ったユーザである人やペットを冷却したり、乾燥したりすることができるだけでなく、メンテナンスが容易で持ち運ぶことができる送風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明の一実施形態の送風機を模式的に示す断面図である。
図2図2は、図1に示された送風機の平面図である。
図3図3は、図2に示された領域OCDにおいてXZ平面に沿って切断した吸水層の一例を示す断面図である。
図4図4は、図3に示されたプレートの第1の変形例を示す断面図である。
図5図5は、図3に示されたプレートの第2の変形例を示す断面図である。
図6図6は、吸水層の他の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。以下、図面を参照して本発明について詳しく説明する。各図において物体が自由落下する運動の方向である鉛直方向をZ軸で示す。Z軸に直交するXY平面と平行な方向が水平方向であり、平行な面が水平面である。床面Fは水平面の一例である。X軸は例えば左右方向であり、Y軸は例えば前後方向であり、どちらも水平方向に含まれる。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態の送風機1を模式的に示す断面図である。送風機1は、バスマットの機能を備えた送風機であり、脱衣所等の床面Fに設置されて使用される。図1に示すように、送風機1は、吸水層2と、送風機構3と、センサ4と、筐体10と、を備えている。吸水層2は、平板状に形成されており、ユーザが乗ることができる上面2Aと、上面2Aとは反対側の下面2Bとを有している。吸水層2は、例えば珪藻土で構成されている。吸水層2の材料は、珪藻土に加え、パルプ(植物)繊維等を含んでいてもよい。珪藻土以外の吸水性の材料であってもよい。
【0038】
筐体10は、天面に複数の開口が形成されたボックス状に形成され、吸水層2を支持している。天面がないボックス状に形成し、吸水層2を支持する枠を配置してもよい。筐体10の側面には、空気を取り込む吸気口が形成されている。床面Fに設置されて送風機1を使用可能な状態において、送風機構3の少なくとも一部は、吸水層2の下面2Bよりも下側に位置している。換言すると、送風機構3の少なくとも一部は、吸水層2の下面2Bから見て上面2Aとは反対側に位置している。送風機1は、送風機構3から送り込まれた風が吸水層2を通過して上面2Aから吹き出すように構成されている。
【0039】
センサ4は、吸水層2の上面2Aにユーザが乗ったことを感知し、送風機構3を作動させる。センサ4の種類は特に限定されず、圧力センサであってもよいし、赤外線センサであってもよい。本実施形態の送風機1においてセンサ4は必須の構成ではない。センサ4に代えてスイッチで送風機構3のオン/オフを切り替えてもよい。
【0040】
送風機1は、送風機構3と吸水層2との間に図示しないヒータを備えていてもよい。ヒータは、例えば、スイッチによりオン/オフを切り替えることができ、作動状態では送風機構3からの風を加熱して、高温の風を吸水層2に送り込むように構成されている。
【0041】
送風機構3は、例えば、羽根車31を図示しないモータで回転させて風を発生させるように構成されている。モータは、吸水層2の下面2Bよりも下側であってもよいし、上側であってもよい。図示した例では、羽根車31がプロペラファン等の軸流ファンであり、回転軸AXが鉛直方向Zに平行な羽根車31が鉛直方向上向きに風を発生させる。
【0042】
羽根車31は、例えば、回転軸AXが吸水層2の上面2Aの中心Oとおおむね一致するように、吸水層2の直下に配置される。送風機1は、大型の羽根車で強い風を発生させることができる。図示した例では、羽根車31の回転軌跡の直径(回転軸AXから羽根の先端までの長さの二倍)が、吸水層2の上面2Aの対角AC(図2に示す)の長さの半分よりも大きく、対角線ACの0.7倍よりも小さい。
【0043】
図2は、図1に示された送風機1の平面図である。図示した例では、吸水層2の上面2A及び下面2Bが、四つのコーナABCDを有する略矩形に形成されている。上面2A及び下面2Bの形状は特に限定されず、円形等であってもよい。送風機1は、上面2Aから螺旋状に風を吹き出すように構成されていてもよい。鉛直方向Zの斜め上方へ風を吹き出すように構成されていてもよいし、真上に風を吹き出すように構成されていてもよい。
【0044】
図示した例では、中心Oと辺CDとの間の領域OCDにおいて、吸水層2の上面2Aに垂直な鉛直方向Zの上方へ進むに従って中心Oから辺CDへの外向きに進むような、鉛直方向Zの斜め上方への風を吹き出す。同様に、領域ODAでは、鉛直方向Zの上方へ進むに従って中心Oから辺DAへの外向きに進み、領域OABでは、鉛直方向Zの上方へ進むに従って中心Oから辺ABへの外向きに進み、領域OBCでは、鉛直方向Zの上方へ進むに従って中心Oから辺BCへの外向きに進むような、鉛直方向Zの斜め上方への風を吹き出す。
【0045】
図3は、図2に示された領域OCDにおいてXZ平面に沿って切断した吸水層2の一例を示す断面図である。吸水層2は、例えば、水平面に平行な方向に配列された複数のプレート21で構成されている。水平面に平行な方向であって、かつプレート21が配列されている方向を、以下「第1方向」あるいは「配列方向」とする。筐体10の図示しない天面は、鎧戸状に形成され、第1方向に並べられた複数のプレート21を支持している。天面は平坦であってもよい。そのような天面に載置しやすいように、各々のプレート21の下端面をXY平面に平行に形成してもよい。
【0046】
図示した例では、前後方向Yに延在する同一形状のプレート21が左右方向Xに並べられている。左右方向Xは、複数のプレート21が配列された第1方向の一例である。第1方向は、水平面に平行な方向であれば、図示した例に限定されない。前後方向Yであってもよいし、前後方向Yに交差する斜め方向であってもよい。
【0047】
図3乃至図6におけるプレート21の断面形状は、プレート21の配列方向として定義された第1方向に沿う鉛直面で切断した形状である。図3乃至図6では、第1方向が左右方向Xである例を挙げてプレート21の断面形状を説明しているため、X軸を含む鉛直面であるXZ平面で切断したプレート21の断面を参照しているが、第1方向が前後方向Yであれば、プレート21の断面形状とは、プレート21をYZ平面で切断した断面になる。
【0048】
隣り合うプレート21の間には、送風機構3からの風を通す空隙24が形成されている。床面Fに設置されて送風機1を使用可能な状態では、各々の空隙24は、鉛直方向Zに交差する斜め方向に延在していてもよい。例えば、図2に示された領域OCDの空隙24は、吸水層2の鉛直方向Zの上方へ進むに従って中心Oから辺CDへ向かう斜め方向に延在している。空隙24は、上面2A側の開口24Aから鉛直方向Zに沿って見たとき、下面2B側の開口24Bが視認できない角度に形成されている。
【0049】
各々のプレート21は、例えば、前後方向に延在する二枚の短冊状のサブプレート211,212を積み重ねた形状に形成されているが、三枚以上のサブプレートを積み重ねてプレート21を構成してもよい。各々のプレート21において、サブプレート211,212は、一体成形されていてもよいし、別々に成形されて接着されていてもよい。
【0050】
図示した例では、サブプレート211,212をXZ平面で切断した断面が略矩形の断面形状に形成されている。なお、すべてのサブプレートが同じ断面形状である必要はない。一部のサブプレート(例えば、サブプレート211,212)の断面が図3に示された略矩形であって、他のサブプレートの断面が図3に示された略矩形とは長辺及び短辺の少なくとも一方の長さが異なる他の略矩形であってもよい。他のサブプレートの断面が略矩形以外の形状であってもよい。
【0051】
図示した例では、各々のプレート21が、鉛直方向Zに対して所定の角度θで傾斜した複数のサブプレート211,212の中心P,Qの位置を第1方向(例えば、左右方向X)に互いにずらしてから鉛直方向Zに積み重ねた形状に形成されている。XZ平面は、第1方向に沿う鉛直面の一例である。
【0052】
図4は、図3に示されたプレート21の第1の変形例を示す断面図である。図4に示されたプレート22は、サブプレート221をXZ平面で切断した断面が略矩形ではなく略L字形の断面形状に形成されている点が図3に示された例と異なる。前述した吸水層2の上面2Aは、プレート22の上端を繋いだ仮想の平面として構成されている。
【0053】
図4に示された変形例では、図3に示された例よりもプレート22とユーザとの接触面積が大きくなるため、ユーザの体重を分散しやすく吸水層2の耐久性が向上する。また、L字形の角部で水を受けることができるため、ユーザの体から汗や水が大量に滴り落ちても、空隙24に侵入する前に吸水層2で吸収することができ、送風機構3が濡れるのを防ぐことができる。
【0054】
図5は、図3に示されたプレート21の第2の変形例を示す断面図である。図5に示されたプレート23は、XZ平面で切断した断面が略矩形を組み合わせた断面形状ではなく、略台形に形成されている点が図4に示された例と異なる。複数のプレート23は、台形の上底23Aと下底23Bとが第1方向の一例である左右方向Xに沿って交互に並ぶように配列されている。空隙24は、上面2A側の開口24Aから鉛直方向Zに沿って見たとき、下面2B側の開口24Bが視認できない角度に形成されている。
【0055】
図6は、吸水層2の他の一例を示す断面図である。図示した例では、吸水層2が複数のプレート21の集合体ではなく単一のプレートであり、空隙24に代えて下面2Bから上面2Aまで貫通した複数の貫通孔25が送風機構3からの風を通すように構成されている。床面Fに設置されて送風機1を使用可能な状態において、各々の貫通孔25は、鉛直方向Zに交差する斜め方向に延在している。
【0056】
図示した例では、各々の貫通孔25が、上面2A側の開口25Aから鉛直方向Zに沿って見たときに下面2B側の開口25Bを視認できない角度に形成されている。換言すると、上面2A側の開口25Aは、鉛直方向Zに沿って下面2Bに投影したとき、下面2B側の開口25Bと重畳しない位置に形成されている。
【0057】
以上のように構成された本実施形態の送風機1によれば、吸水層2の上面2Aから吹き出す風により、吸水層2に乗ったユーザを冷却したり、乾燥したりすることができる。ユーザが濡れた体のまま乗っても、滴り落ちた汗や水が吸水層2に吸収されるため、ユーザの体から滴り落ちた汗や水を貯める貯水タンクや排水のための大掛かりな設備を必要としない。持ち運ぶことができるサイズでコンパクトに送風機1を構成できる。
【0058】
仮に極めて小さな貯水槽を装着すれば、排水設備を省略して送風機を小型化することも可能であるが、そのような場合、貯水槽が溢れないよう、溜まった水を頻繁に排水する手間がかかる。これに対し、本実施形態によれば、吸水層2が、ユーザの体から滴り落ちた汗や水を吸収し、送風機構3から送り込まれる風により自然に乾燥するため、頻繁に排水する手間がなく連続して使用することができる。なお、筐体10から取り外して陰干しする等により吸水層2を乾燥させてもよい。
【0059】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0060】
例えば、サブプレートの断面形状は図3及び図4に示された例に限定されない。略三角形であってもよいし、略台形であってもよいし、略平行四辺形であってもよいし、略楕円形であってもよい。プレートの断面形状も図5に示された略台形に限定されない。略三角形であってもよいし、略平行四辺形であってもよいし、略楕円形であってもよい。例えば、複数のプレートを組み合わせて吸水層の天面を円形、楕円形、放射状の形状(例えば、星型多角形や輪花形)等の形状に構成してもよい。サブプレートやプレートの断面形状は、配列方向である第1方向に平行な鉛直面で切断した断面形状ではなく、プレートの長手方向に直交する鉛直面で切断した断面形状であってもよい。
【0061】
扇状のプレートを放射状に配列する場合、扇状のプレートの長手方向は、径方向である。その場合、プレートの長手方向に直交する周方向に平行な鉛直面でプレートを切断した断面形状は、前述した略平行四辺形、略台形、略三角形等であってもよい。プレートの配列方向である第1方向は、円形や放射状等の中心を回転の中心とする周方向であってもよい。円環状のプレートを同心円となるように配列する場合、円環状のプレートの長手方向は、周方向である。その場合、プレートの長手方向に直交する径方向の鉛直面でプレートを切断した断面形状は、前述した略平行四辺形、略台形、略三角形等であってもよい。
【0062】
例えば、送風機構3の構成は、図示した例に限定されない。複数の羽根車31を使用する送風機構3であってもよいし、羽根車31を使用しない送風機構3であってもよい。
例えば、羽根車31の形状は特に限定されず、公知の形状を適宜選択できる。ターボファン等の遠心ファンであってもよいし、斜流ファンであってもよい。遠心ファンの場合、風の吹出口のみを吸水層2の下面2Bよりも下側に配置し、空気の吸気口やモータ32を吸水層2よりも上側に配置してもよい。空気の吸気口は筐体10の側面のみならず、床面Fとの間に間隙を設けて筐体10の底面に配置してもよい。また、送風機1は人だけでなく、入浴後の犬や猫などペットの体の冷却や乾燥に用いてもよい。その場合は送風機1をトリミング台に設置してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…送風機、2…吸水層、2A…上面、2B…下面、3…送風機構、4…センサ、10…筐体、21,22,23…プレート、23A…台形の上底、23B…台形の下底、24…空隙、24A…上面側の開口、24B…下面側の開口、25…貫通孔、25A…上面側の開口、25B…下面側の開口、31…羽根車、211,212,221,222…サブプレート、A,B,C,D…コーナ、AX…回転軸、F…床面(水平面の一例)、O…上面の中心、P,Q…サブプレートの中心、X…前後方向(第1方向の他の一例)、Y…左右方向(第1方向の一例)、Z…鉛直方向、θ…サブプレートの角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6