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  • 特開-ちんすこう菓子の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134154
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】ちんすこう菓子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/34 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A23G3/34 102
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033087
(22)【出願日】2021-03-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】399069473
【氏名又は名称】沖縄ハム総合食品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長濱 徳勝
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲国
(72)【発明者】
【氏名】長濱 徳洋
(72)【発明者】
【氏名】富川 誠
(72)【発明者】
【氏名】有賀 俊二
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GG02
4B014GG06
4B014GL07
4B014GL10
4B014GP01
4B014GP12
4B014GP14
4B014GP15
4B014GP27
4B014GQ10
(57)【要約】
【課題】ホロホロ食感とともにしっとり食感も実現し、串などで刺して食することもできる、食べやすく、今までになかった食感と風味を有するちんすこう菓子の製造方法を実現することを課題とする。
【解決手段】小麦粉、砂糖、ラードを主原料とした焼き菓子である、ちんすこう菓子において、小麦粉に常温にしたラードをクリーム状になるまで混ぜ合わせ、さらにナッツ類粉末と砂糖を加えて混ぜ合わせ、生地を製作し、ブロック状に整形し、冷凍熟成処理し、熱風加熱で焼き上げることを特徴とするちんすこう菓子の製造方法である。

【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉、砂糖、ラードを主原料とした焼き菓子である、ちんすこう菓子において、小麦粉に、常温にしたラードをクリーム状となるまで混ぜ合わせ、さらにナッツ類粉末と砂糖を加えて混ぜ合わせ、生地を製作し、ブロック状に整形し、冷凍熟成処理し、熱風加熱で焼き上げることを特徴とするちんすこう菓子の製造方法。
【請求項2】
前記のナッツ類は、アーモンド、マカダミアナッツ、くるみ、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、ピスタチオナッツ、ココナッツから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のちんすこう菓子の製造方法。
【請求項3】
前記のナッツ類は、破砕され粒度が500μ未満に調整されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のちんすこう菓子の製造方法。
【請求項4】
前記のナッツ類は、焙焼されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法。
【請求項5】
前記の小麦粉は、焙煎処理されている焙煎小麦粉を混合することを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法。
【請求項6】
前記の砂糖に代えて含蜜糖を用いたことを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスケットのようなサクサクした食感と、控えめの甘さを特徴とする沖縄の伝統菓子であるちんすこう菓子の製造方法に関し、特にしっとりしていながら、ホロホロした食感を有し、串などで刺して食することもできるちんすこう菓子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ちんすこう菓子は、小麦粉、砂糖、ラードを主原料とした焼き菓子であり、ビスケットのようなサクサクした食感と、控えめの甘さが特徴の焼き菓子である。
【0003】
琉球王朝の献上菓子でもあった、伝統的なちんすこう菓子は、細長く、左右がギザギザ形となっている形状が特徴であったが、近年では、押型も多様化し、丸型や四角形、6角形、花形、シーサー形など様々な形状のものが販売されている。
【0004】
製法においても、伝統的なちんすこう菓子は、小麦粉、砂糖(上白糖または三温糖)、ラードを原料とするものであったが、近年では、砂糖の代わりに黒糖を用いたり、抹茶を加えたものやチョコレートをコーティングしたものなどもあり、チョコ味、チーズ味、紅芋味、パイナップル味や塩味など、多様な味のちんすこう菓子が販売されている。
【0005】
食感としては、整形後、余熱したオーブンで150℃~200℃で10分~30分焼き上げるものであり、柔らかめのサクサクした食感から硬めのカリカリした食感のちんすこうなど食感も多彩になっている。焼き上がり後、オーブンから外して冷ますとサクサク感が増し、オーブン内でそのまま冷ますとカリカリ感が増すとされている。
【0006】
味を変える工夫も行われており、
例えば、
・卵黄1個と上白糖10gを加えると → 香ばしいやさしい味
・すりおろしたレモン皮を10g加えると → さわやかな味
・ピーナツバターを10g加えると → コクのある味
など多様な味を実現している。
【0007】
ちんすこうなどの焼き菓子においては、様々な食感のものがあり、例えば、しっとりした食感、サクサクした食感、カリカリした食感、ザクザクした食感などが挙げられる。
【0008】
ホロホロとした食感を有する焼菓子に関する特許(特開2015-154767号公報)が開示されている。これは主にパーム系油脂を用い、全油脂中に特定の油脂を特定量配合して特定の条件を満たす可塑性油脂組成物を、焼菓子生地に特定量配合することで、ホロホロとした食感を有する焼菓子が得られるというものである。
【0009】
しっとりした食感を有する焼き菓子として、特開2009-148253号公報では、膨張剤及び酵母から選ばれる1種又は2種、穀類粉末、小麦グルテン、グリセリン、粉末状糖類、及び液状糖類を混合したものを捏ねてグルテンを形成させることで、食べる際に菓子くずがこぼれず、ソフト感としっとり感を有し、長期保存後もかかる食感を維持できる焼き菓子を製造することができるというものである。
【0010】
また、特開2006-81516号公報では、水分活性が0.6~0.75であり、かつ、水分含量が9.3~15.0質量%とすることにより、保存性が良好であるにもかかわらず、ソフトでしっとりした食感で、風味や保型性が良好な焼菓子類とするものである。
【0011】
サクサクした食感を有する焼き菓子として、特開2005-304441号公報では、焼き菓子の製造に当たりセルラーゼを使用することにより、脂質や糖質の配合量を増やすことなく、サクサクした食感を有し口溶けの良い焼き菓子を製造することができるものである。
【0012】
また、特開2001-321084号公報では、特定の組成を有するデキストリンの還元物を焼成前の任意の時期に、乳化などの予備工程を経ずに添加するだけで、サクサクとした食感が得られ、かつ焼成前の成形性及び焼成時の保形性に優れ、しかも製造後時間の経過によって生じる、食感や風味等、品質の低下が少ない焼き菓子を得られるものである。
【0013】
ザクザクした食感を有する焼き菓子として、特開2008-278833号公報では、パーム油系油脂を用いて、豚脂と同等の結晶化特性を有する油脂組成物とし、ザクザクした食感があって、且つ、ウェットな食感を有する焼き菓子とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2015-154767号公報
【特許文献2】特開2009-148253号公報
【特許文献3】特開2006-81516号公報
【特許文献4】特開2005-304441号公報
【特許文献5】特開2001-321084号公報
【特許文献6】特開2008-278833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ちんすこう菓子においても、様々な形状、味、食感のものが開発され、販売されている。
【0016】
焼き菓子においては、近年、口どけが重視され、ホロホロとした食感の焼き菓子が注目されている。
【0017】
ホロホロとした食感の焼菓子の代表例としては、ポルボローネが挙げられる。このポルボローネは、ホロホロとした食感を出すために、焼成した小麦を使用している。
【0018】
従って、ホロホロとした食感を出すためには、小麦粉を焼成する又は焼成された小麦粉を調達することが必要であり、コストや生産効率の面で問題があった。また、他の焼き菓子でも、クッキー、サブレのようなごく一般的な焼菓子においても、ホロホロとした食感のものが人気を集めている。
【0019】
ちんすこう菓子においては、焼き加減でサクサク感からカリカリ感まで調整されているが、ホロホロ食感までは実現されていない。
【0020】
特開2015-154767号公報では、パーム系油脂を用いて、ホロホロ食感を実現するものであり、特開2009-148253号公報では、膨張剤及び酵母を用いてしっとり食感を実現するものである。
【0021】
口どけが良く、人気を高めている、ホロホロ食感の焼き菓子ではあるが、ホロホロ食感は、食した時にアッという間に崩れる食感であり、食べ屑がこぼれてしまうこともある。
【0022】
気軽に手で摘まんで食すると手に食べ屑がついてしまう問題もあった。また、ホロホロと崩れるので、串などで刺して食べることもできない。
【0023】
また、従来のちんすこう菓子は、ホロホロ感までは実現しておらず、硬めのビスケットのようなサクサクした食感であり、爪楊枝などを刺すことはできない。硬い串を刺した場合には、刺さらずにちんすこう菓子が砕けてしまう。
【0024】
本発明は、ホロホロ食感とともにしっとり食感も実現し、串などで刺して食することもできる、食べやすく、今までになかった食感と風味を有するちんすこう菓子の製造方法を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、上記に示す課題を以下の手段によって解決することができる。
【0026】
本発明の請求項1では、小麦粉、砂糖、ラードを主原料とした焼き菓子である、ちんすこう菓子において、小麦粉に、常温にしたラードをクリーム状に混ぜ合わせ、さらにナッツ類粉末と砂糖を加えて混ぜ合わせ、生地を製作し、ブロック状に整形し、冷凍熟成処理し、熱風加熱で焼き上げることを特徴とするちんすこう菓子の製造方法とするものである。
【0027】
該小麦粉は、ちんすこうなどの焼き菓子に使用されている小麦粉を使用できる。薄力粉などが良い。
【0028】
該ラードは、ちんすこう菓子に使用されている、食用の豚の脂肪分であり、食用油脂のラードであればいずれでも良く、常温として柔らかくし、小麦粉と混ぜやすくするものであり、小麦粉と混ぜ、クリーム状になるまで混ぜ合わせるものである。
【0029】
該砂糖は、食用に使用されている砂糖類であればいずれでも良い。上白糖、グラニュー糖、三温糖、黒糖などでも良い。
【0030】
該ナッツ類は、かたい皮や殻に包まれた食用の果実・種子などの種実類の中で木の実に相当するものである。例えば、アーモンド、カシューナッツ等である。これらのナッツ類を破砕し、粉末状にして使用することが好ましい。
【0031】
クリーム状となったラードと小麦粉の混合物に、さらに砂糖とナッツ粉末を混ぜ合わせて生地とするものである。砂糖とナッツ粉末の粉感が若干残る程度に混ぜ合わせる事が好ましい。尚、生地は、グルテンを安定させるために、冷蔵庫等で一定期間寝かせることが好ましい。ナッツ類を加えることにより、香ばしさとコクを向上させることができる。
【0032】
該整形工程は、上記の生地を四角形などのブロック形状に整形するものである。棒状に押し出しカットして整形しても良く、押型で整形しても良く、ワイヤーカットで整形しても良い。
【0033】
該冷凍熟成処理は、ブロック状とした生地を冷凍状態で一定時間保持し、熟成させるもので良い。例えば、-20℃~-40℃で冷凍処理し、24時間~72時間程度、熟成するなどでも良い。
【0034】
該生地の冷凍処理は、-20℃以下の冷凍庫で冷凍させて保持し、余分な水分の除去と冷凍熟成で澱粉やタンパク質を水溶性の糖やアミノ酸に変え、うまみやコクを向上させる。好ましくは-35℃以下に冷凍することが好ましく、冷凍速度は速い方が好ましい。冷凍後、24時間以上、好ましくは、3日間程度保持し、熟成した後、そのままあるいは解凍して焼き上げるものである。
【0035】
該熱風焼き上げ処理は、冷凍熟成処理後の生地を熱風加熱により、1方向からの輻射熱ではなく、全体を均等に高温で一気に焼き上げるものである。温度は140℃~170℃程度が良く、時間は10分から30分程度が良い。
【0036】
一般の加熱オーブンなどの輻射熱で加熱するのではなく、加熱した熱風により、全体を均等に焼き上げるものであり、素早く高温に焼き上げることができる。コンベクションオーブンなど熱風を対流させてむらなく加熱できるものが良い。1方向からの加熱ではなく、全方向から均等に加熱され、短時間で焼き上げる為、生地中の水分が逃げにくくなり、うまみや水分を残したまま焼き上げることができる。また、生地がブロック形状であり、熱風加熱に適しており、水分を閉じ込めた状態で均等に加熱できるものである。
【0037】
生地は、十分に混ぜ合わせ、クリーム状としており、保湿性が高められた乳化状となっており、さらに冷凍熟成でうまみやコクを高めた状態で、高温に素早く全面加熱される熱風加熱により、うまみや水分を逃がさずに焼き上げるとともに、内部はホロホロで、表面はしっとり感のある従来のちんすこう(ビスケットのようなサクサク感)とは異なる、ホロホロしっとり食感の美味しいちんすこう菓子となり、串などで刺しても崩れることがなく、手軽に食することができるものである。
【0038】
本発明の請求項2では、前記のナッツ類は、アーモンド、マカダミアナッツ、くるみ、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、ピスタチオナッツ、ココナッツから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のちんすこう菓子の製造方法とするものである。ナッツ類粉末を加えると、香ばしさとホロホロ感が向上する。特にアーモンドが好ましい。
【0039】
本発明の請求項3では、前記のナッツ類は、破砕され粒度が500μ未満に調整されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のちんすこう菓子の製造方法とするものである。
【0040】
該破砕粒度は、500μ未満が好ましく、100μ~500μが良く、さらに好ましくは、300μ程度が良い。同時に混合する砂糖と同じ程度の粒度とすると、より混ぜ合わせ易くなる。
【0041】
本発明の請求項4では、前記のナッツ類は、焙焼されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法とするものである。
【0042】
該焙焼は、150℃~180℃で10分~30分程度が良く、好ましくは、160℃で20分程度の焙焼が好ましい。焙焼されたナッツ類を用いることにより、香ばしい香りとなる。
【0043】
本発明の請求項5では、前記の小麦粉は、焙煎処理されていることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法とするものである。
【0044】
焙煎小麦は、水を加えず焙焼することでグルテンを変性し、一般的な小麦粉とは全く異なる特性を発揮する。グルテン特有の立体網目構造が弾力性を失い、ガスの保持力が低下し、ホロホロ感が高まるものである。
【0045】
小麦臭がなく、グルテンが失活しており、水や牛乳にも溶ける。さまざまな活用が試みられている。例えば、焙煎小麦粉などでも良い。また、通常の小麦と焙煎小麦を混ぜて使用しても良い。
【0046】
本発明の請求項6では、前記の砂糖に代えて含蜜糖を用いたことを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法とするものである。
【0047】
該含蜜糖は、砂糖類の中の精製され甘いところだけ抜き出した分蜜糖(グラニュー糖、上白糖、三温糖、白ざらめ糖など)に対して、精製せず栄養成分が残っているのが含蜜糖である。例えば、黒砂糖、白下糖、赤糖、和三盆糖、ソルガム糖、メープルシュガーなどである。含蜜糖の使用量は、砂糖の一部を置き換えても良く、全量砂糖と置き換えても良い。しっとり感が増し、優しい甘味となる。
【発明の効果】
【0048】
本発明は、以下の効果がある。
(1)ホロホロ食感とともにしっとり食感を有する従来のちんすこうの食感とは異なる独特の風味と食感を有するちんすこう菓子の製造方法を実現できる。
(2)生地は、小麦粉に、常温にしたラードをクリーム状に混ぜ合わせており、保湿性が高められた乳化状となっており、水分を残した状態で内部まで加熱されて焼き上げるので、ホロホロ感としっとり感を有するちんすこう菓子となる。
(3)ブロック状に整形し、冷凍熟成処理後、熱風加熱で焼き上げることにより、水分を残して全体が素早く加熱されるため、内部はホロホロとなり、表面はしっとり感があり、串などで刺して食べることのできる独特の食感を有するちんすこう菓子となる。
(4)生地を冷凍熟成させるので、保水性が高まり、うまみとコクが向上し、熱風加熱により、内部はホロホロ感があり、表面はしっとり感のあるちんすこう菓子となる。
(5)ナッツ類の粉末を用いることにより、香ばしさとホロホロ感を高めることができる。
(6)焙煎小麦を用いることにより、小麦粉のグルテンが失活しており、グルテンの立体網目構造は弾力を失い、焼き上げ行程では、ホロホロ感を高める。
(7)含蜜糖を用いることにより、しっとり感が増し、優しい甘味を実現できる。
(8)ホロホロ感としっとり感を併せ持っているため、串などの細いピンなどで刺しても崩れることはなく、爪楊枝や食用ピンやフォークなどで刺して食することができ、食べ屑が指先に付着する問題もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明によるちんすこう菓子の製造方法を示すフロー図である。
図2】本発明によるちんすこう菓子の製造方法により製造したちんすこう菓子を2分割した断面の状態を示す図である。
図3】本発明によるちんすこう菓子の製造方法により製造したちんすこう菓子に爪楊枝を刺した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
次に本発明の一実施形態について、図面を用いて具体的に説明する。
【0051】
図1は、本発明によるちんすこう菓子の製造方法を示すフロー図である。
S-1)第1生地混合工程
ラードを常温に戻し、柔らかくし、薄力粉と焙煎小麦粉に混ぜ合わせ、クリーム状となるまで混ぜ合わせて、第1生地とした。
【0052】
S-2)第2生地混合工程
上記の第1生地に含蜜糖とアーモンド粉末を混ぜ、十分に混ぜ合わせて第2生地とした。
【0053】
S-3)整形工程
第2生地を市販の押し出し整形装置((株)松山丸三製ロングクッキー200型)で角形口金を用いて押し出し成形し、ブロック状(正方形状)にカットした。
【0054】
S-4)冷凍熟成工程
ブロック状となった生地をー35℃の冷凍庫で48時間、冷凍熟成した。
【0055】
S-5)熱風焼き上げ工程
冷凍熟成されたブロック状の生地をコンベクションオーブンにより150℃の熱風で20分焼き上げ、ちんすこう菓子を製造した。
【0056】
図2は、上記のちんすこう菓子の製造方法により製造したちんすこう菓子を2分割した断面の状態を示す図である。内部はホロホロとしており、多数の細かな空隙を有する。
【0057】
図3は、上記のちんすこう菓子の製造方法により製造したちんすこう菓子を食するために爪楊枝を刺した状態を示す図である。図のように、簡単に爪楊枝で串刺しできる。爪楊枝を刺しても崩れることはなく、容易に刺して食することができる。
【0058】
本発明のブロック状のちんすこう菓子は、ホロホロ感としっとり感を実現しており、口どけが良く、アーモンドと分蜜糖の風味を有する美味しいちんすこう菓子となった。また、内部はホロホロとしており、多数の細かな空隙があり、表面はしっとり感があるため、串等で刺して食することができる。串で刺しても崩れることはない。手指に食べ屑が付着することはなく、手軽に食べることができる、従来の食感およびイメージを一新する新たなちんすこう菓子となった。
【符号の説明】
【0059】
S-1 第1生地混合工程
S-2 第2生地混合工程
S-3 整形工程
S-4 冷凍熟成工程
S-5 熱風焼き上げ工程
1 ちんすこう菓子
2 ちんすこう菓子の2分割の断面
3 爪楊枝
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉、砂糖、ラードを主原料とした焼き菓子である、ちんすこう菓子において、小麦粉に、常温にしたラードをクリーム状となるまで混ぜ合わせ、さらにナッツ類粉末と砂糖を加えて混ぜ合わせ、生地を製作し、ブロック状に整形し、-20℃~-40℃で冷凍処理し、24時間~72時間熟成させる冷凍熟成処理し、140℃~170℃で10分~30分、全方向から均等に加熱する熱風加熱で焼き上げることを特徴とするちんすこう菓子の製造方法。
【請求項2】
前記のナッツ類は、アーモンド、マカダミアナッツ、くるみ、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、ピスタチオナッツ、ココナッツから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のちんすこう菓子の製造方法。
【請求項3】
前記のナッツ類は、破砕され粒度が500μ未満に調整されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のちんすこう菓子の製造方法。
【請求項4】
前記のナッツ類は、焙焼されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法。
【請求項5】
前記の小麦粉は、焙煎処理されている焙煎小麦粉を混合することを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法。
【請求項6】
前記の砂糖として含蜜糖を用いたことを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスケットのようなサクサクした食感と、控えめの甘さを特徴とする沖縄の伝統菓子であるちんすこう菓子の製造方法に関し、特にしっとりしていながら、ホロホロした食感を有し、串などで刺して食することもできるちんすこう菓子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ちんすこう菓子は、小麦粉、砂糖、ラードを主原料とした焼き菓子であり、ビスケットのようなサクサクした食感と、控えめの甘さが特徴の焼き菓子である。
【0003】
琉球王朝の献上菓子でもあった、伝統的なちんすこう菓子は、細長く、左右がギザギザ形となっている形状が特徴であったが、近年では、押型も多様化し、丸型や四角形、6角形、花形、シーサー形など様々な形状のものが販売されている。
【0004】
製法においても、伝統的なちんすこう菓子は、小麦粉、砂糖(上白糖または三温糖)、ラードを原料とするものであったが、近年では、砂糖の代わりに黒糖を用いたり、抹茶を加えたものやチョコレートをコーティングしたものなどもあり、チョコ味、チーズ味、紅芋味、パイナップル味や塩味など、多様な味のちんすこう菓子が販売されている。
【0005】
食感としては、整形後、余熱したオーブンで150℃~200℃で10分~30分焼き上げるものであり、柔らかめのサクサクした食感から硬めのカリカリした食感のちんすこうなど食感も多彩になっている。焼き上がり後、オーブンから外して冷ますとサクサク感が増し、オーブン内でそのまま冷ますとカリカリ感が増すとされている。
【0006】
味を変える工夫も行われており、
例えば、
・卵黄1個と上白糖10gを加えると → 香ばしいやさしい味
・すりおろしたレモン皮を10g加えると → さわやかな味
・ピーナツバターを10g加えると → コクのある味
など多様な味を実現している。
【0007】
ちんすこうなどの焼き菓子においては、様々な食感のものがあり、例えば、しっとりした食感、サクサクした食感、カリカリした食感、ザクザクした食感などが挙げられる。
【0008】
ホロホロとした食感を有する焼菓子に関する特許(特開2015-154767号公報)が開示されている。これは主にパーム系油脂を用い、全油脂中に特定の油脂を特定量配合して特定の条件を満たす可塑性油脂組成物を、焼菓子生地に特定量配合することで、ホロホロとした食感を有する焼菓子が得られるというものである。
【0009】
しっとりした食感を有する焼き菓子として、特開2009-148253号公報では、膨張剤及び酵母から選ばれる1種又は2種、穀類粉末、小麦グルテン、グリセリン、粉末状糖類、及び液状糖類を混合したものを捏ねてグルテンを形成させることで、食べる際に菓子くずがこぼれず、ソフト感としっとり感を有し、長期保存後もかかる食感を維持できる焼き菓子を製造することができるというものである。
【0010】
また、特開2006-81516号公報では、水分活性が0.6~0.75であり、かつ、水分含量が9.3~15.0質量%とすることにより、保存性が良好であるにもかかわらず、ソフトでしっとりした食感で、風味や保型性が良好な焼菓子類とするものである。
【0011】
サクサクした食感を有する焼き菓子として、特開2005-304441号公報では、焼き菓子の製造に当たりセルラーゼを使用することにより、脂質や糖質の配合量を増やすことなく、サクサクした食感を有し口溶けの良い焼き菓子を製造することができるものである。
【0012】
また、特開2001-321084号公報では、特定の組成を有するデキストリンの還元物を焼成前の任意の時期に、乳化などの予備工程を経ずに添加するだけで、サクサクとした食感が得られ、かつ焼成前の成形性及び焼成時の保形性に優れ、しかも製造後時間の経過によって生じる、食感や風味等、品質の低下が少ない焼き菓子を得られるものである。
【0013】
ザクザクした食感を有する焼き菓子として、特開2008-278833号公報では、パーム油系油脂を用いて、豚脂と同等の結晶化特性を有する油脂組成物とし、ザクザクした食感があって、且つ、ウェットな食感を有する焼き菓子とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2015-154767号公報
【特許文献2】特開2009-148253号公報
【特許文献3】特開2006-81516号公報
【特許文献4】特開2005-304441号公報
【特許文献5】特開2001-321084号公報
【特許文献6】特開2008-278833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ちんすこう菓子においても、様々な形状、味、食感のものが開発され、販売されている。
【0016】
焼き菓子においては、近年、口どけが重視され、ホロホロとした食感の焼き菓子が注目されている。
【0017】
ホロホロとした食感の焼菓子の代表例としては、ポルボローネが挙げられる。このポルボローネは、ホロホロとした食感を出すために、焼成した小麦を使用している。
【0018】
従って、ホロホロとした食感を出すためには、小麦粉を焼成する又は焼成された小麦粉を調達することが必要であり、コストや生産効率の面で問題があった。また、他の焼き菓子でも、クッキー、サブレのようなごく一般的な焼菓子においても、ホロホロとした食感のものが人気を集めている。
【0019】
ちんすこう菓子においては、焼き加減でサクサク感からカリカリ感まで調整されているが、ホロホロ食感までは実現されていない。
【0020】
特開2015-154767号公報では、パーム系油脂を用いて、ホロホロ食感を実現するものであり、特開2009-148253号公報では、膨張剤及び酵母を用いてしっとり食感を実現するものである。
【0021】
口どけが良く、人気を高めている、ホロホロ食感の焼き菓子ではあるが、ホロホロ食感は、食した時にアッという間に崩れる食感であり、食べ屑がこぼれてしまうこともある。
【0022】
気軽に手で摘まんで食すると手に食べ屑がついてしまう問題もあった。また、ホロホロと崩れるので、串などで刺して食べることもできない。
【0023】
また、従来のちんすこう菓子は、ホロホロ感までは実現しておらず、硬めのビスケットのようなサクサクした食感であり、爪楊枝などを刺すことはできない。硬い串を刺した場合には、刺さらずにちんすこう菓子が砕けてしまう。
【0024】
本発明は、ホロホロ食感とともにしっとり食感も実現し、串などで刺して食することもできる、食べやすく、今までになかった食感と風味を有するちんすこう菓子の製造方法を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、上記に示す課題を以下の手段によって解決することができる。
【0026】
本発明の請求項1では、小麦粉、砂糖、ラードを主原料とした焼き菓子である、ちんすこう菓子において、小麦粉に、常温にしたラードをクリーム状となるまで混ぜ合わせ、さらにナッツ類粉末と砂糖を加えて混ぜ合わせ、生地を製作し、ブロック状に整形し、-20℃~-40℃で冷凍処理し、24時間~72時間熟成させる冷凍熟成処理し、140℃~170℃で10分~30分、全方向から均等に加熱する熱風加熱で焼き上げることを特徴とするちんすこう菓子の製造方法とするものである。
【0027】
該小麦粉は、ちんすこうなどの焼き菓子に使用されている小麦粉を使用できる。薄力粉などが良い。
【0028】
該ラードは、ちんすこう菓子に使用されている、食用の豚の脂肪分であり、食用油脂のラードであればいずれでも良く、常温として柔らかくし、小麦粉と混ぜやすくするものであり、小麦粉と混ぜ、クリーム状になるまで混ぜ合わせるものである。
【0029】
該砂糖は、食用に使用されている砂糖類であればいずれでも良い。上白糖、グラニュー糖、三温糖、黒糖などでも良い。
【0030】
該ナッツ類は、かたい皮や殻に包まれた食用の果実・種子などの種実類の中で木の実に相当するものである。例えば、アーモンド、カシューナッツ等である。これらのナッツ類を破砕し、粉末状にして使用することが好ましい。
【0031】
クリーム状となったラードと小麦粉の混合物に、さらに砂糖とナッツ粉末を混ぜ合わせて生地とするものである。砂糖とナッツ粉末の粉感が若干残る程度に混ぜ合わせる事が好ましい。尚、生地は、グルテンを安定させるために、冷蔵庫等で一定期間寝かせることが好ましい。ナッツ類を加えることにより、香ばしさとコクを向上させることができる。
【0032】
該整形工程は、上記の生地を四角形などのブロック形状に整形するものである。棒状に押し出しカットして整形しても良く、押型で整形しても良く、ワイヤーカットで整形しても良い。
【0033】
該冷凍熟成処理は、ブロック状とした生地を冷凍状態で一定時間保持し、熟成させるもので良い。例えば、-20℃~-40℃で冷凍処理し、24時間~72時間程度、熟成するなどでも良い。
【0034】
該生地の冷凍処理は、-20℃以下の冷凍庫で冷凍させて保持し、余分な水分の除去と冷凍熟成で澱粉やタンパク質を水溶性の糖やアミノ酸に変え、うまみやコクを向上させる。好ましくは-35℃以下に冷凍することが好ましく、冷凍速度は速い方が好ましい。冷凍後、24時間以上、好ましくは、3日間程度保持し、熟成した後、そのままあるいは解凍して焼き上げるものである。
【0035】
該熱風焼き上げ処理は、冷凍熟成処理後の生地を熱風加熱により、1方向からの輻射熱ではなく、全体を均等に高温で一気に焼き上げるものである。温度は140℃~170℃程度が良く、時間は10分から30分程度が良い。
【0036】
一般の加熱オーブンなどの輻射熱で加熱するのではなく、加熱した熱風により、全体を均等に焼き上げるものであり、素早く高温に焼き上げることができる。コンベクションオーブンなど熱風を対流させてむらなく加熱できるものが良い。1方向からの加熱ではなく、全方向から均等に加熱され、短時間で焼き上げる為、生地中の水分が逃げにくくなり、うまみや水分を残したまま焼き上げることができる。また、生地がブロック形状であり、熱風加熱に適しており、水分を閉じ込めた状態で均等に加熱できるものである。
【0037】
生地は、十分に混ぜ合わせ、クリーム状としており、保湿性が高められた乳化状となっており、さらに冷凍熟成でうまみやコクを高めた状態で、高温に素早く全面加熱される熱風加熱により、うまみや水分を逃がさずに焼き上げるとともに、内部はホロホロで、表面はしっとり感のある従来のちんすこう(ビスケットのようなサクサク感)とは異なる、ホロホロしっとり食感の美味しいちんすこう菓子となり、串などで刺しても崩れることがなく、手軽に食することができるものである。
【0038】
本発明の請求項2では、前記のナッツ類は、アーモンド、マカダミアナッツ、くるみ、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、ピスタチオナッツ、ココナッツから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のちんすこう菓子の製造方法とするものである。ナッツ類粉末を加えると、香ばしさとホロホロ感が向上する。特にアーモンドが好ましい。
【0039】
本発明の請求項3では、前記のナッツ類は、破砕され粒度が500μ未満に調整されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のちんすこう菓子の製造方法とするものである。
【0040】
該破砕粒度は、500μ未満が好ましく、100μ~500μが良く、さらに好ましくは、300μ程度が良い。同時に混合する砂糖と同じ程度の粒度とすると、より混ぜ合わせ易くなる。
【0041】
本発明の請求項4では、前記のナッツ類は、焙焼されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法とするものである。
【0042】
該焙焼は、150℃~180℃で10分~30分程度が良く、好ましくは、160℃で20分程度の焙焼が好ましい。焙焼されたナッツ類を用いることにより、香ばしい香りとなる。
【0043】
本発明の請求項5では、前記の小麦粉は、焙煎処理されていることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法とするものである。
【0044】
焙煎小麦は、水を加えず焙焼することでグルテンを変性し、一般的な小麦粉とは全く異なる特性を発揮する。グルテン特有の立体網目構造が弾力性を失い、ガスの保持力が低下し、ホロホロ感が高まるものである。
【0045】
小麦臭がなく、グルテンが失活しており、水や牛乳にも溶ける。さまざまな活用が試みられている。例えば、焙煎小麦粉などでも良い。また、通常の小麦と焙煎小麦を混ぜて使用しても良い。
【0046】
本発明の請求項6では、前記の砂糖として含蜜糖を用いたことを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載のちんすこう菓子の製造方法とするものである。
【0047】
該含蜜糖は、砂糖類の中の精製され甘いところだけ抜き出した分蜜糖(グラニュー糖、上白糖、三温糖、白ざらめ糖など)に対して、精製せず栄養成分が残っているのが含蜜糖である。例えば、黒砂糖、白下糖、赤糖、和三盆糖、ソルガム糖、メープルシュガーなどである。含蜜糖の使用量は、砂糖の一部を置き換えても良く、全量砂糖と置き換えても良い。しっとり感が増し、優しい甘味となる。
【発明の効果】
【0048】
本発明は、以下の効果がある。
(1)ホロホロ食感とともにしっとり食感を有する従来のちんすこうの食感とは異なる独特の風味と食感を有するちんすこう菓子の製造方法を実現できる。
(2)生地は、小麦粉に、常温にしたラードをクリーム状に混ぜ合わせており、保湿性が高められた乳化状となっており、水分を残した状態で内部まで加熱されて焼き上げるので、ホロホロ感としっとり感を有するちんすこう菓子となる。
(3)ブロック状に整形し、冷凍熟成処理後、熱風加熱で焼き上げることにより、水分を残して全体が素早く加熱されるため、内部はホロホロとなり、表面はしっとり感があり、串などで刺して食べることのできる独特の食感を有するちんすこう菓子となる。
(4)生地を冷凍熟成させるので、保水性が高まり、うまみとコクが向上し、熱風加熱により、内部はホロホロ感があり、表面はしっとり感のあるちんすこう菓子となる。
(5)ナッツ類の粉末を用いることにより、香ばしさとホロホロ感を高めることができる。
(6)焙煎小麦を用いることにより、小麦粉のグルテンが失活しており、グルテンの立体網目構造は弾力を失い、焼き上げ行程では、ホロホロ感を高める。
(7)含蜜糖を用いることにより、しっとり感が増し、優しい甘味を実現できる。
(8)ホロホロ感としっとり感を併せ持っているため、串などの細いピンなどで刺しても崩れることはなく、爪楊枝や食用ピンやフォークなどで刺して食することができ、食べ屑が指先に付着する問題もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明によるちんすこう菓子の製造方法を示すフロー図である。
図2】本発明によるちんすこう菓子の製造方法により製造したちんすこう菓子を2分割した断面の状態を示す図である。
図3】本発明によるちんすこう菓子の製造方法により製造したちんすこう菓子に爪楊枝を刺した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
次に本発明の一実施形態について、図面を用いて具体的に説明する。
【0051】
図1は、本発明によるちんすこう菓子の製造方法を示すフロー図である。
S-1)第1生地混合工程
ラードを常温に戻し、柔らかくし、薄力粉と焙煎小麦粉に混ぜ合わせ、クリーム状となるまで混ぜ合わせて、第1生地とした。
【0052】
S-2)第2生地混合工程
上記の第1生地に含蜜糖とアーモンド粉末を混ぜ、十分に混ぜ合わせて第2生地とした。
【0053】
S-3)整形工程
第2生地を市販の押し出し整形装置((株)松山丸三製ロングクッキー200型)で角形口金を用いて押し出し成形し、ブロック状(正方形状)にカットした。
【0054】
S-4)冷凍熟成工程
ブロック状となった生地をー35℃の冷凍庫で48時間、冷凍熟成した。
【0055】
S-5)熱風焼き上げ工程
冷凍熟成されたブロック状の生地をコンベクションオーブンにより150℃の熱風で20分焼き上げ、ちんすこう菓子を製造した。
【0056】
図2は、上記のちんすこう菓子の製造方法により製造したちんすこう菓子を2分割した断面の状態を示す図である。内部はホロホロとしており、多数の細かな空隙を有する。
【0057】
図3は、上記のちんすこう菓子の製造方法により製造したちんすこう菓子を食するために爪楊枝を刺した状態を示す図である。図のように、簡単に爪楊枝で串刺しできる。爪楊枝を刺しても崩れることはなく、容易に刺して食することができる。
【0058】
本発明のブロック状のちんすこう菓子は、ホロホロ感としっとり感を実現しており、口どけが良く、アーモンドと分蜜糖の風味を有する美味しいちんすこう菓子となった。また、内部はホロホロとしており、多数の細かな空隙があり、表面はしっとり感があるため、串等で刺して食することができる。串で刺しても崩れることはない。手指に食べ屑が付着することはなく、手軽に食べることができる、従来の食感およびイメージを一新する新たなちんすこう菓子となった。
【符号の説明】
【0059】
S-1 第1生地混合工程
S-2 第2生地混合工程
S-3 整形工程
S-4 冷凍熟成工程
S-5 熱風焼き上げ工程
1 ちんすこう菓子
2 ちんすこう菓子の2分割の断面
3 爪楊枝