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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134156
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20220908BHJP
   A47J 36/06 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A47J27/00 103N
A47J36/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033090
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 智也
(72)【発明者】
【氏名】根岸 和善
(72)【発明者】
【氏名】藤田 善行
(72)【発明者】
【氏名】町井 健太
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA28
4B055BA53
4B055CA24
4B055CA73
4B055CB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】1つの板状の部材で内蓋を構成し、蒸気とおねばとの分離が可能となる炊飯器を提供する。
【解決手段】上面が開口した内釜と、内釜を加熱する加熱手段、及び、内釜を収容する内釜収納部とを有する炊飯器本体と、炊飯器本体にヒンジ接続され、炊飯器本体の上方を覆い蒸気排出口を有する外蓋と、外蓋の下面側に着脱自在に装着される内蓋と、を備え、内蓋は、平板部と、平板部から内釜収納部に向かって突出したおねば溜め部33と、平板部でおねば溜め部との接続部分と近接する位置に設けられた蒸気流入口とを有する炊飯器とした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した内釜と、
前記内釜を加熱する加熱手段、及び、前記内釜を収容する内釜収納部とを有する炊飯器本体と、
前記炊飯器本体にヒンジ接続され、前記炊飯器本体の上方を覆う蒸気排出口を有する外蓋と、
前記外蓋の下面側に着脱自在に装着される内蓋と、を備え、
前記内蓋は、平板部と、前記平板部から前記内釜収納部に向かって突出したおねば溜め部と、前記平板部で前記おねば溜め部との接続部分と近接する位置に設けられた蒸気流入口とを有することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
内釜は、底部と、前記底部から連続する筒状の外周部と、前記外周部の上端部分から外側に段状になった上部外周部とを有し、蒸気流入口は、内蓋の中央部分に位置していることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
蒸気流入口は、短方向の径が1.5mmから3mmの楕円形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯器。
【請求項4】
外蓋は、下面から上方に向かって窪み、蒸気流入口に連通する蒸気経路部を有し、蒸気流入口は前記蒸気経路部に対向していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の炊飯器。
【請求項5】
蒸気経路部は、前記外蓋の下面中央部分から、ヒンジ方向に向かって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の炊飯器。
【請求項6】
蒸気流入口の上方の一部は、隙間を介して蒸気経路部の壁部に対向していることを特徴とする請求項4又は5に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おねば等のふきこぼれを抑制する構成を有する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炊飯中に、内釜で発生した蒸気とおねばを分離し、蒸気を外部に放出させるとともに、おねばを内釜内に戻すことは、炊飯器では一般的になされている。例えば、特許文献1では、上板と下板とで内蓋を構成してその間に空間部を形成し、内釜内のおねば蒸気が下板の蒸気導入穴から空間部に導入され、この空間でおねばと蒸気が分離されて、蒸気は上板の蒸気排出穴、外蓋の蒸気排出部から外部に排出され、空間部のくぼみ部に溜まったおねばは、炊飯が終了して内釜内の圧力が下がり下板の開閉弁が開くことで、内釜内に戻される炊飯器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6448372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のものでは、下板の上面全体を上板で覆い、かつ、上板と下板とをヒンジで接続するなどが必要なため、部品点数が多くなり、かつ、構成が複雑になるという課題があった。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、1つの板状の部材で内蓋を構成し、蒸気とおねばとの分離が可能となる炊飯器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上面が開口した内釜と、内釜を加熱する加熱手段、及び、内釜を収容する内釜収納部とを有する炊飯器本体と、炊飯器本体にヒンジ接続され、炊飯器本体の上方を覆い蒸気排出口を有する外蓋と、外蓋の下面側に着脱自在に装着される内蓋と、を備え、内蓋は、平板部と、平板部から内釜収納部に向かって突出したおねば溜め部と、平板部でおねば溜め部との接続部分と近接する位置に設けられた蒸気流入口とを有する炊飯器とした。
【発明の効果】
【0007】
内蓋を1つの板状の部材で構成でき、かつ、蒸気とおねばとの分離を十分に行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る炊飯器の蓋体を閉じた状態での外観斜視図である。
図2】実施の形態1に係る炊飯器の蓋体を開いた状態での外観斜視図である。
図3】実施の形態1に係る炊飯器の内蓋を取り外した状態で外観斜視図である。
図4】実施の形態1に係る炊飯器の縦断面概略図である。
図5】実施の形態1に係る炊飯器の内蓋を下面側から見た外観斜視図である。
図6】実施の形態1に係る炊飯器の内蓋の下面図である。
図7】実施の形態1に係る炊飯器の内蓋の下面の一部拡大図である。
図8】実施の形態1に係る炊飯器の内蓋の横断面図である。
図9】実施の形態1に係る炊飯器の蒸気経路周辺の縦断面概略図である。
図10】実施の形態1に係る炊飯器の蒸気経路でのおねばと蒸気の流れを示す図である。
図11】実施の形態1に係る炊飯器の蒸気流入口を通過するおねば泡の変化を示である。
図12】実施の形態2に係る炊飯器の蒸気経路周辺の縦断面概略図である。
図13】実施の形態2に係る炊飯器の蒸気流入口を通過するおねば泡の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、炊飯器の蓋体を閉じた状態での外観斜視図、図2は、蓋体を開いた状態での外観斜視図、図3は、図2で内蓋を取り外した状態での外観斜視図、図4は、炊飯器の縦断面概略図、図5は、内蓋を下面側から見た外観斜視図、図6は、内蓋の下面図、図7は、内蓋の下面の一部拡大図、図8は、内蓋の縦断面図、図9は、蒸気経路周辺の縦断面概略図である。なお、説明の便宜上、図1にて、点線矢印での方向を前・後(背)、実線矢印での方向を右・左、又は、横、太線矢印での方向を上・下とする。
【0011】
図1図4に示すように、炊飯器100は、本体1と蓋体2とで主に構成される。本体1の内部には、米などの調理物である被加熱物を保持する有底筒状の内釜3が取り出し自在に収容される収納空間である内釜収納部11があり、その内釜収納部11の底面下には、内釜3を誘導加熱する加熱手段である加熱コイル12、内釜収納部11の側面には胴ヒータ13が配置されている。
【0012】
蓋体2は、外形を形成する外蓋20と、外蓋20の内釜3側となる面、つまり下面に着脱自在に取り付けられ、蓋体2で本体1の上面を閉じた際に、内釜3の上部開口を閉塞する内蓋30とを備えている。そして、本体1の後上方にあるヒンジ部14に、外蓋20が回転自在に接続されている。
【0013】
内釜3は、中央部分がやや上側に凸状となった底部3aと、底部3aと連続する筒状の外周部3bと、外周部3bの上端部分から外側に段状になった上部外周部3cとからなり、上面が開口する形状となっている。なお、外周部3bを水平に切った円の内側直径をRaとしたとき、上部外周部3cを水平に切った円の内側直径Rbは、1.1Raとなっている。すなわち、上部外周部3cの上側からみた開口は、外周部3bの上側からみた開口よりも大きくなっている。
【0014】
加熱コイル12は、それぞれ円環状に形成され、内釜収納部11の底面の中央には、内釜3の温度を検出する底サーミスタ15が設置されている。
【0015】
本体1の前面には、蓋体2を開ける際に押下される蓋開ボタン16が設けられている。この蓋開ボタン16を押下すると、外蓋20と本体1との係止が解除されて、外蓋20を開けることができる。また、本体1の内部の後側には、商用電源を高周波電力に変換して加熱コイル12、胴ヒータ13に供給するための回路が実装された電源基板17が設けられている。この電源基板17は、インバーター回路を構成するスイッチング素子などの部品で構成されている。
【0016】
外蓋20上面の前側には、炊飯ボタンなどの各種操作ボタンを備えた操作パネル21が設けられている。外蓋20の内部には、各種操作ボタンに対応した各種入力スイッチが実装された操作基板22が設けられている。操作基板22は、各種入力スイッチからの入力に基づいて電源基板17に制御信号を出力する。なお、操作基板22を構成する回路は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、CPU、マイコンなどの演算装置とその動作を規定するソフトウェアで構成することもできる。また、外蓋20の下面には、内釜3内の温度を検知する蓋センサー23が設けられている。
【0017】
外蓋20の内側側面の前面側には、凹部24が設けられている。また、外蓋20の内側側面の後面側には、2つの支持部25が間隔を開けて設けられている。
さらに、外蓋20の内側下面は、中央から後方向、すなわち、ヒンジ部14と接続する接続部26に向かって、上方に大きく窪んだ空間である蒸気経路部27が形成されており、外蓋20の上面後方側に設けられた蒸気排出口28と連通している。
【0018】
次に、内蓋20について図5図8を用いて詳細に説明する。
内蓋30はアルミニウム、ステンレス等の円盤状の板金で主に構成されており、第1の凸部31と、第1の凸部31と反対の位置に設けられた第2の凸部32とを有している。そして、この第1の凸部31を外蓋20の支持部25に差し込み、第2の凸部32を外蓋20の凹部24に止めることで、内蓋30を外蓋20に固定することができる。
【0019】
また、内蓋30は、中央から第1の凸部31までの間に、板金を下方に突出したおねば溜め部33が金属プレスによる絞り加工で形成され、内蓋30を外蓋20に固定した時、おねば溜め部33が外蓋20の蒸気経路部27に対向するようになっている。なお、内蓋30の板金のうち、おねば溜め部33以外の平板部分を平板部34と称する。
【0020】
内蓋20のおねば溜め部33には、内釜3内の蒸気圧に応じて上下に移動して連結口35を開閉する開閉弁36が設けられている。なお、開閉弁36は、例えば耐熱性を有するシリコンゴムや、耐加水分解性の高い材料であるシンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)などで構成されている。
【0021】
さらに、内蓋30の平板部34のうち、おねば溜め部33の接続部分(根元)と近接する部分で第2の凸部32側、すなわち、内蓋30の中央部分、少なくとも、内蓋30の円部分の直径をRとしたとき、円部分の中心からR/5の範囲内に、2つの蒸気流入口37が設けられている。なお、蒸気流入口37は、おねば溜め部33よりも上方に位置することなる。この蒸気流入口37は、短径が1.5mm、長径が4mmの楕円形状をしており、内蓋30を外蓋20に固定した時、外蓋20の蒸気経路空間27に対向するようになる。
【0022】
このような炊飯器1において、内釜3内に米と水とを収容して、炊飯ボタンを押すと、加熱コイル12、胴ヒータ13によって内釜3を加熱してご飯を炊き上げる炊飯工程を開始し、内釜3内に蒸気が発生するとともに、米に保持された成分も熱によって米の外部に析出し、この成分が蒸気を包み込んだような、おねば泡が内釜3内に発生し続ける現象になる。また、この時、おねば泡は、内釜3内の上部空間を満たすような状態になる。なお、内釜3は、外周部3bの上側部分が外側に段状になった上部外周部3cとからなる形状となるので、外周部分3b付近のおねば泡は、上部外周部3cに至った時点で少し外周に流れるため、おねば泡の分布状況は、中央部分が少し盛り上がったようになる。そして、おねば泡は、内蓋20の下面まで達して蒸気流入口37を通って、内蓋30の上面と蓋体2の間にある蒸気経路部27に入り、この蒸気経路部27を後方向に流れるとともに、液状のおねばと蒸気とに分離、おねばは下方のおねば溜め部33に溜められ、蒸気は蒸気排出口28から外部に排出されることになる。
【0023】
その後、炊飯工程が終了すると、内釜3内の圧力が下がり、開閉弁36は自重とおねばの重さにより下がり、連結口35が開いてそこからおねば溜め部33に溜め込まれたおねばが内釜3内に戻されることになるため、美味しいご飯を炊き上げることができる。また、おねばを内釜3内に効率的に戻すことができる。
【0024】
次に、内蓋30の蒸気流入口37から蒸気経路部27を流れ、おねばはおねば溜め部33に溜まり、蒸気は蒸気排出口28から外部に放出されるまでに現象を図10、11に基づいて説明する。なお、図10は蒸気経路でのおねばと蒸気の流れを示す図、図11は蒸気流入口37を通過するおねば泡の変化を示す図である。
【0025】
内釜3内で発生するおねば泡は、状況に応じて変わるが、直径4~5mm以上のものがほとんどであり、大きい場合には数cmというものもある。これに対し、蒸気流入口37は、短径が1.5mmと非常に小さい。よって、図11に示すように、内釜3内のおねば泡は内部の圧力で内釜3内の上部空間を満たしていき(a)、内蓋30に達した後に、蒸気流入口37から内蓋30に侵入(b)、そのまま上方に押し上げられていくに従って、おねば泡の液膜が引き伸ばされて薄化し、やがて、おねば泡が破れ、内部の蒸気と液状のおねばとが分離され、図10に示すように、おねばは自重にておねば溜め部33に流れ、蒸気は後ろ方向に流れて蒸気排出口28から外部に放出されることになる。
【0026】
このように、この実施の形態では、1枚の板状からなる内蓋30によって、おねばと蒸気とを分離でき、複雑な構成を必要としない。
【0027】
なお、蒸気流入口37は、あまり小さいと米粒が詰まり目つまりが発生してしまい、大きいと、おねば泡を破るという機能を発揮しなくなるため、短径が1.5mm~3mm程度で設計することが好ましい。蒸気流入口37は、楕円形でなく、星形状や三角形状にしても当然に良い。
【0028】
実施の形態2.
図12は、実施の形態2における炊飯器1の、内蓋20と蓋体2の蒸気経路空間27との部分との縦断面概略図、図13は、蒸気流入口37を通過するおねば泡の変化を示す図である。
実施の形態1では、内蓋30の蒸気流入口37を外蓋20に固定した時、外蓋20の蒸気経路部27に対向するようにしたが、図12では、蒸気経路部27を形成する前側の壁部27aが、蒸気流入口37の前側部分の上方を小さい隙間を残して対向、後側部分が蒸気経路空間26に対向するようにしたものである。
【0029】
このような形態では、図13に示すように、蒸気流入口37の短径より小さいおねば泡は、図11のような現象が発生せず、蒸気流入口37を通ることがある(a)。しかし、蒸気流入口37の上方に壁部27aがあることで、おねば泡は、蒸気流入口37を通る間に壁部27aの下面に衝突し、おねば泡が破れ、内部の蒸気と液状のおねばとを分離させることになる(b)。
【0030】
このようにすることで、おねば泡を破ることがより容易になり、蒸気とおねばとの分離効率を上げることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 本体、2 蓋体、3 内釜、3a 底部、3b 外周部、3c 上部外周部、11 内釜収納部、12 加熱コイル、13 胴ヒータ、14 ヒンジ部、15 底サーミスタ、16 蓋開ボタン、17 電源基板、20 外蓋、21 操作パネル、22 操作基板、23 蓋センサー、24 凹部、25 支持部、26 接続部、27 蒸気経路部、27a 壁部、28 蒸気排出口、30 内蓋、31 第1の凸部、32 第2の凸部、33 おねば溜め部、34 平板部、35 連結口、36 開閉弁、37 蒸気流入口、100 炊飯器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13