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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134178
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/32 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
B65D19/32 F
B65D19/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033144
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】松原 宏明
(72)【発明者】
【氏名】廣野 晴保
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA04
3E063BA05
3E063CA04
3E063EE01
3E063GG10
(57)【要約】
【課題】フォーク差込み部の入口付近の強度を高めることのできるパレットを提供する。
【解決手段】柱部2、3の上端部間を連結する上デッキ部4は、天板部11と、天板部11から下方に突出し、柱部2、3間を連結する複数の柱部間リブ12と、柱部間リブ12に対して略直交して連結される複数の交差リブ13とを備える。フォーク差込み部6の入口の柱部間リブ12は柱部間一般リブ31よりも突出長の短い柱部間低リブ32とされ、交差リブ13のうち柱部間低リブ32から柱部間一般リブ31にかけての部位である傾斜リブ35と、柱部間低リブ32とにより傾斜部36が構成される。上デッキ部4は、傾斜部36に隣接して傾斜リブ35と連続するように柱部間一般リブ31に連結され、かつ、交差一般リブ37と、端柱部2又は中間柱部3とに連結される十字リブ38を備える。天板部11のうち十字リブ38及び傾斜部36が設けられた範囲は厚肉部41とされる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱部と、
前記複数の柱部間を連結するデッキ部とを備えるパレットにおいて、
前記柱部は、前記パレットのコーナー部を含む範囲に設けられる第1柱部と、前記パレットの所定の側辺部に沿った方向において並ぶ一対の前記第1柱部の間において、前記所定の側辺部の一部を含む範囲に前記一対の第1柱部から離間して設けられる第2柱部とを備え、
前記第1柱部と、前記第2柱部との間に、フォークを備える運搬手段のフォークを差込み可能とするフォーク差込み部が形成され、
前記デッキ部は、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部、及び、前記複数の柱部の下端部間を連結する下デッキ部のうち少なくとも前記上デッキ部を備え、
前記各デッキ部は、物品が載置される載置面、又は、前記パレットの設置場所に接地する接地面を構成する板部と、前記板部から前記パレットの高さ方向中央部側に突出し、前記柱部間を連結する複数の柱部間リブと、前記板部から前記パレットの高さ方向中央部側に突出し、前記柱部間リブに対して交差する方向に前記柱部間リブと連結されつつ延在する複数の交差リブとを備え、
前記フォーク差込み部の入口に設けられる前記柱部間リブは、その他の前記柱部間リブである柱部間一般リブよりも突出長の短い柱部間低リブとして構成され、
前記交差リブのうち、前記柱部間低リブから前記柱部間一般リブにかけて設けられる部位は、前記フォーク差込み部の入口から奥側に向けて突出長が次第に長くなる傾斜リブとして構成され、
前記柱部間低リブと、前記傾斜リブとにより傾斜部が構成され、
前記デッキ部は、前記傾斜部に隣接して、前記傾斜リブに連結された前記柱部間一般リブに対し所定の前記傾斜リブと連続するようにして連結される交差連続リブと、前記交差連続リブに交差して連結されるとともに、前記交差リブのうち前記傾斜リブ以外の部位である交差一般リブと前記柱部とに連結される連続リブと、により構成される十字リブを備え、
前記板部のうち、前記十字リブ、及び、前記傾斜部が設けられた範囲は、前記十字リブが設けられた範囲よりも前記フォーク差込み部の奥側に位置する範囲に比べて厚みの大きい厚肉部とされていることを特徴とするパレット。
【請求項2】
複数の柱部と、
前記複数の柱部間を連結するデッキ部とを備えるパレットにおいて、
前記柱部は、前記パレットのコーナー部を含む範囲に設けられる第1柱部と、前記パレットの所定の側辺部に沿った方向において並ぶ一対の前記第1柱部の間において、前記所定の側辺部の一部を含む範囲に前記一対の第1柱部から離間して設けられる第2柱部とを備え、
前記第1柱部と、前記第2柱部との間に、フォークを備える運搬手段のフォークを差込み可能とするフォーク差込み部が形成され、
前記デッキ部は、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部、及び、前記複数の柱部の下端部間を連結する下デッキ部のうち少なくとも前記上デッキ部を備え、
前記各デッキ部は、前記柱部間を連結する複数の柱部間リブと、前記柱部間リブに対して交差する方向に前記柱部間リブと連結されつつ延在する複数の交差リブと、前記柱部間リブ、及び、前記交差リブの下縁部、又は、上縁部と連結される板部とを備えるとともに、前記フォーク差込み部の各入口において前記フォーク差込み部の上下幅を広げる傾斜部を備え、
前記板部は、前記傾斜部よりも前記フォーク差込み部の奥側に位置する範囲において物品が載置される載置面、又は、前記パレットの設置場所に接地する接地面を構成する一般板部と、前記傾斜部において前記フォーク差込み部の上下幅を画定し、前記フォーク差込み部の入口から奥側に向けて前記パレットの高さ方向中央部側に傾斜して延在する傾斜板部とを備え、
前記柱部間リブは、前記一般板部から前記パレットの高さ方向中央部側に突出する柱部間一般リブと、前記傾斜板部から前記パレットの高さ方向中央部に対して離間する側に突出し、前記傾斜板部からの突出長が前記柱部間一般リブの前記一般板部からの突出長よりも短い柱部間低リブとを備え、
前記交差リブは、前記一般板部から前記パレットの高さ方向中央部側に突出する交差一般リブと、前記傾斜板部から前記パレットの高さ方向中央部に対して離間する側に突出し、前記フォーク差込み部の入口から奥側に向けて突出長が次第に長くなる傾斜リブとを備え、
前記傾斜板部、前記柱部間低リブ、及び、前記傾斜リブにより前記傾斜部が構成され、
前記デッキ部は、前記傾斜部に隣接して、前記傾斜板部、及び、前記傾斜リブに連結された前記柱部間一般リブに対し所定の前記傾斜リブと連続するようにして連結される交差連続リブと、前記交差連続リブに交差して連結されるとともに、前記交差一般リブと前記柱部とに連結される連続リブと、により構成される十字リブを備え、
前記一般板部のうち前記十字リブが設けられた範囲、及び、前記傾斜板部は、前記一般板部のうち前記十字リブが設けられた範囲よりも前記フォーク差込み部の奥側に位置する範囲に比べて厚みの大きい厚肉部とされていることを特徴とするパレット。
【請求項3】
前記柱部間低リブは、前記フォーク差込み部の入口端部に沿って設けられる柱部間第1低リブと、前記柱部間第1低リブと、前記柱部間一般リブとの間において前記柱部間第1低リブ、及び、前記柱部間一般リブから離間して設けられる柱部間第2低リブとを備え、
前記柱部間第2低リブは、前記柱部間第1低リブと、前記柱部間一般リブとの間に延在する前記傾斜リブに対して交差して連結されるとともに、前記柱部間一般リブよりも突出長が短く、かつ、前記柱部間第1低リブよりも突出長が長く構成され、
前記柱部は、
前記フォーク差込み部の内側面を構成し、前記デッキ部と連結される内向壁部と、
前記十字リブの前記連続リブ、及び、前記柱部間第2低リブとそれぞれ連続するようにして前記内向壁部に連結される柱部内リブと備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパレット。
【請求項4】
前記柱部内リブは、前記第1柱部、及び、前記第2柱部の両方に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のパレット。
【請求項5】
前記柱部は、当該柱部の外周面を構成する周壁部と、前記載置面を構成する上壁部と、前記接地面を構成する下壁部とを備え、
前記周壁部は、前記パレットの外周面を構成する外向壁部と、前記内向壁部とを備え、
前記柱部は、前記傾斜部に隣接して前記傾斜リブと連結された前記柱部間一般リブと連続するようにして前記内向壁部に連結される柱部内補強リブと、前記柱部内補強リブと前記外向壁部との間を連結する柱部内連結リブとを備え、
前記第1柱部、及び、前記第2柱部のうち少なくとも前記第1柱部に関し、前記上壁部、及び、前記下壁部のうち、前記内向壁部を挟んで前記傾斜部と隣接し、かつ、前記内向壁部と、前記外向壁部と、前記柱部内補強リブと、前記柱部内連結リブとにより区画された領域は、前記柱部内補強リブよりも前記フォーク差込み部の奥側に位置する領域に比べて厚みの大きい柱部内厚肉部とされていることを特徴とする請求項3又は4に記載のパレット。
【請求項6】
前記柱部内リブは、前記柱部の高さ方向全域に延在する全高リブとされていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のパレット。
【請求項7】
前記十字リブのうち前記パレットの高さ方向中央部側の面は、前記柱部間一般リブ、及び、前記交差一般リブのうち前記パレットの高さ方向中央部側の面と面一とされ、
前記十字リブのうち、前記連続リブは前記交差連続リブよりも厚みが大きく構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用されるパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品の運搬等に使用されるパレットは、複数の柱部と、当該複数の柱部の上端部間、及び、下端部間を連結する上デッキ部、及び、下デッキ部とを備え、柱部間においてフォークリフト等のフォークを差込み可能なフォーク差込み部を有している。また、上デッキ部が、天板と、天板から下方に突出して柱部間を連結する補強リブとを備えるとともに、フォーク差込み部の入口付近の補強を図るべく、上デッキ部の天板のうち柱部と連接する部分を厚肉にするといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-45132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フォーク差込み部に対してフォークを挿通させる際の作業性の向上等を図るべく、フォーク差込み部の入口の前記補強リブの上下幅を短くすることが考えられる。しかしながら、この場合、フォーク差込み部の入口付近の強度低下が懸念される。ここで、上記特許文献1の技術を採用することでフォーク差込み部の入口付近がある程度補強されるものの、前記補強リブの上下幅を短くする構成を採用すると、依然としてフォーク差込み部の入口付近の強度を確保できないことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、フォーク差込み部の入口付近の強度を効果的に高めることのできるパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.複数の柱部と、
前記複数の柱部間を連結するデッキ部とを備えるパレットにおいて、
前記柱部は、前記パレットのコーナー部を含む範囲に設けられる第1柱部と、前記パレットの所定の側辺部に沿った方向において並ぶ一対の前記第1柱部の間において、前記所定の側辺部の一部を含む範囲に前記一対の第1柱部から離間して設けられる第2柱部とを備え、
前記第1柱部と、前記第2柱部との間に、フォークを備える運搬手段のフォークを差込み可能とするフォーク差込み部が形成され、
前記デッキ部は、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部、及び、前記複数の柱部の下端部間を連結する下デッキ部のうち少なくとも前記上デッキ部を備え、
前記各デッキ部は、物品が載置される載置面、又は、前記パレットの設置場所に接地する接地面を構成する板部と、前記板部から前記パレットの高さ方向中央部側に突出し、前記柱部間を連結する複数の柱部間リブと、前記板部から前記パレットの高さ方向中央部側に突出し、前記柱部間リブに対して交差する方向に前記柱部間リブと連結されつつ延在する複数の交差リブとを備え、
前記フォーク差込み部の入口に設けられる前記柱部間リブは、その他の前記柱部間リブである柱部間一般リブよりも突出長の短い柱部間低リブとして構成され、
前記交差リブのうち、前記柱部間低リブから前記柱部間一般リブにかけて設けられる部位は、前記フォーク差込み部の入口から奥側に向けて突出長が次第に長くなる傾斜リブとして構成され、
前記柱部間低リブと、前記傾斜リブとにより傾斜部が構成され、
前記デッキ部は、前記傾斜部に隣接して、前記傾斜リブに連結された前記柱部間一般リブに対し所定の前記傾斜リブと連続するようにして連結される交差連続リブと、前記交差連続リブに交差して連結されるとともに、前記交差リブのうち前記傾斜リブ以外の部位である交差一般リブと前記柱部とに連結される連続リブと、により構成される十字リブを備え、
前記板部のうち、前記十字リブ、及び、前記傾斜部が設けられた範囲は、前記十字リブが設けられた範囲よりも前記フォーク差込み部の奥側に位置する範囲に比べて厚みの大きい厚肉部とされていることを特徴とするパレット。
【0008】
手段1によれば、フォーク差込み部の入口の上縁部(及び下縁部)において傾斜部が設けられることにより、運搬手段としてのフォークリフトやハンドリフトのフォークをフォーク差込み部に挿通したり、抜き出したりする際のフォークとの干渉等を極力抑制することができ、作業性の向上等を図ることができる。
【0009】
また、板部のうち傾斜部が設けられている範囲が厚肉部とされている。これにより、傾斜部、及び、厚肉部が協働して変形を防止する領域が、フォーク差込み部の入口において、第1柱部と、第2柱部とにかけて連続して設けられることとなる。このため、フォーク差込み部の入口付近の変形、特に、傾斜部(第1柱部と、第2柱部との間の部位)における部分的な変形を効果的に抑止することができる。さらに、所定の傾斜リブと連続するようにして柱部間一般リブに連結されるとともに、柱部にも連結される十字リブが設けられている範囲についても板部が厚肉部とされている。これにより、傾斜部、及び、厚肉部が協働して変形を防止する領域に隣接して、十字リブ、及び、厚肉部が協働して変形を防止する領域が設けられることとなり、フォーク差込み部の入口付近の変形、特に、傾斜部の全体的な変形、及び、デッキ部と、柱部との間の相対的な変形を効果的に抑止することができる。従って、フォーク差込み部の入口付近の強度、及び、剛性を効果的に高めることができ、フォーク差込み部の入口の上縁部(及び下縁部)の損傷等を抑止することができる。さらに、柱部間の部位(デッキ部)が変形することでパレットが変形するといった事態を抑止することができ、パレットの形状を安定化させ、ひいては、物品を運搬・保管する性能の向上等を図ることができる。加えて、板部のうち厚肉部とされる範囲は限定的であり、例えば、板部全体が厚肉部とされる場合に比べ、パレットの軽量化等を図ることができる。
【0010】
尚、下デッキ部を備えるパレットにおいて、下デッキ部のフォーク差込み部の入口に傾斜部が設けられることで、ハンドリフトのフォークをフォーク差込み部に挿通させる際に、ハンドリフトのキャスターが下デッキ部に乗り上げ易くなる。従って、ハンドリフトを使用してパレットを運搬等する際の作業性の向上等を図ることができる。さらに、上デッキ部においても傾斜部が設けられることで、パレットを上下反対向きとしてもフォーク差込み部の入口の下縁部に傾斜部が設けられるため、ハンドリフトを使用する場合のパレットの利便性の向上等を図ることができる。尚、交差連続リブのうち傾斜リブと連結された柱部間一般リブに連結される端部とは反対側の端部に関しても、柱部間一般リブと連結されることが望ましく、また、柱部間一般リブではなくても、柱部と、交差一般リブとの間を連結するリブに連結されていることが望ましい。
【0011】
手段2.複数の柱部と、
前記複数の柱部間を連結するデッキ部とを備えるパレットにおいて、
前記柱部は、前記パレットのコーナー部を含む範囲に設けられる第1柱部と、前記パレットの所定の側辺部に沿った方向において並ぶ一対の前記第1柱部の間において、前記所定の側辺部の一部を含む範囲に前記一対の第1柱部から離間して設けられる第2柱部とを備え、
前記第1柱部と、前記第2柱部との間に、フォークを備える運搬手段のフォークを差込み可能とするフォーク差込み部が形成され、
前記デッキ部は、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部、及び、前記複数の柱部の下端部間を連結する下デッキ部のうち少なくとも前記上デッキ部を備え、
前記各デッキ部は、前記柱部間を連結する複数の柱部間リブと、前記柱部間リブに対して交差する方向に前記柱部間リブと連結されつつ延在する複数の交差リブと、前記柱部間リブ、及び、前記交差リブの下縁部、又は、上縁部と連結される板部とを備えるとともに、前記フォーク差込み部の各入口において前記フォーク差込み部の上下幅を広げる傾斜部を備え、
前記板部は、前記傾斜部よりも前記フォーク差込み部の奥側に位置する範囲において物品が載置される載置面、又は、前記パレットの設置場所に接地する接地面を構成する一般板部と、前記傾斜部において前記フォーク差込み部の上下幅を画定し、前記フォーク差込み部の入口から奥側に向けて前記パレットの高さ方向中央部側に傾斜して延在する傾斜板部とを備え、
前記柱部間リブは、前記一般板部から前記パレットの高さ方向中央部側に突出する柱部間一般リブと、前記傾斜板部から前記パレットの高さ方向中央部に対して離間する側に突出し、前記傾斜板部からの突出長が前記柱部間一般リブの前記一般板部からの突出長よりも短い柱部間低リブとを備え、
前記交差リブは、前記一般板部から前記パレットの高さ方向中央部側に突出する交差一般リブと、前記傾斜板部から前記パレットの高さ方向中央部に対して離間する側に突出し、前記フォーク差込み部の入口から奥側に向けて突出長が次第に長くなる傾斜リブとを備え、
前記傾斜板部、前記柱部間低リブ、及び、前記傾斜リブにより前記傾斜部が構成され、
前記デッキ部は、前記傾斜部に隣接して、前記傾斜板部、及び、前記傾斜リブに連結された前記柱部間一般リブに対し所定の前記傾斜リブと連続するようにして連結される交差連続リブと、前記交差連続リブに交差して連結されるとともに、前記交差一般リブと前記柱部とに連結される連続リブと、により構成される十字リブを備え、
前記一般板部のうち前記十字リブが設けられた範囲、及び、前記傾斜板部は、前記一般板部のうち前記十字リブが設けられた範囲よりも前記フォーク差込み部の奥側に位置する範囲に比べて厚みの大きい厚肉部とされていることを特徴とするパレット。
【0012】
手段2によれば、基本的に上記手段1と同様の作用効果が奏される。また、傾斜板部により、傾斜部のうち特にフォーク差込み部の入口の内側を構成する部位の強度をより一層高めることができる。
【0013】
手段3.前記柱部間低リブは、前記フォーク差込み部の入口端部に沿って設けられる柱部間第1低リブと、前記柱部間第1低リブと、前記柱部間一般リブとの間において前記柱部間第1低リブ、及び、前記柱部間一般リブから離間して設けられる柱部間第2低リブとを備え、
前記柱部間第2低リブは、前記柱部間第1低リブと、前記柱部間一般リブとの間に延在する前記傾斜リブに対して交差して連結されるとともに、前記柱部間一般リブよりも突出長が短く、かつ、前記柱部間第1低リブよりも突出長が長く構成され、
前記柱部は、
前記フォーク差込み部の内側面を構成し、前記デッキ部と連結される内向壁部と、
前記十字リブの前記連続リブ、及び、前記柱部間第2低リブとそれぞれ連続するようにして前記内向壁部に連結される柱部内リブと備えていることを特徴とする手段1又は2に記載のパレット。
【0014】
手段3によれば、柱部間低リブが、フォーク差込み部の入口端部に沿って設けられる柱部間第1低リブだけでなく、傾斜リブに対して交差して連結される柱部間第2低リブを備えることにより、傾斜部の強度及び剛性をより一層高めることができる。さらに、柱部内リブにより、内向壁部等の強度及び剛性を高めることができ、デッキ部(フォーク差込み部の入口付近)と、柱部との間の相対的な変形をより一層抑制することができる。
【0015】
手段4.前記柱部内リブは、前記第1柱部、及び、前記第2柱部の両方に設けられていることを特徴とする手段3に記載のパレット。
【0016】
手段4によれば、デッキ部(フォーク差込み部の入口付近)と、柱部との間の相対的な変形を抑制するといった作用効果がより確実に奏される。
【0017】
手段5.前記柱部は、当該柱部の外周面を構成する周壁部と、前記載置面を構成する上壁部と、前記接地面を構成する下壁部とを備え、
前記周壁部は、前記パレットの外周面を構成する外向壁部と、前記内向壁部とを備え、
前記柱部は、前記傾斜部に隣接して前記傾斜リブと連結された前記柱部間一般リブと連続するようにして前記内向壁部に連結される柱部内補強リブと、前記柱部内補強リブと前記外向壁部との間を連結する柱部内連結リブとを備え、
前記第1柱部、及び、前記第2柱部のうち少なくとも前記第1柱部に関し、前記上壁部、及び、前記下壁部のうち、前記内向壁部を挟んで前記傾斜部と隣接し、かつ、前記内向壁部と、前記外向壁部と、前記柱部内補強リブと、前記柱部内連結リブとにより区画された領域は、前記柱部内補強リブよりも前記フォーク差込み部の奥側に位置する領域に比べて厚みの大きい柱部内厚肉部とされていることを特徴とする手段3又は4に記載のパレット。
【0018】
手段5によれば、上壁部(及び、下壁部)のうち内向壁部を挟んで傾斜部と隣接する部位が柱部内厚肉部とされている。これにより、傾斜部、及び、厚肉部が協働して変形を防止する領域に隣接して、内向壁部、外向壁部、柱部内補強リブ、柱部内連結リブ、及び、柱部内厚肉部(さらには、内向壁部を介して柱部間第2低リブと連続する柱部内リブ)が協働して変形を防止する領域が設けられることとなり、デッキ部(フォーク差込み部の入口付近)と、柱部との間の相対的な変形を抑止するといった作用効果がより顕著に奏される。
【0019】
手段6.前記柱部内リブは、前記柱部の高さ方向全域に延在する全高リブとされていることを特徴とする手段3乃至5のいずれかに記載のパレット。
【0020】
手段6によれば、柱部内リブの強度及び剛性を高めることができ、結果として、デッキ部(フォーク差込み部の入口付近)と、柱部との間の相対的な変形をより一層抑止することができる。
【0021】
手段7.前記十字リブのうち前記パレットの高さ方向中央部側の面は、前記柱部間一般リブ、及び、前記交差一般リブのうち前記パレットの高さ方向中央部側の面と面一とされ、
前記十字リブのうち、前記連続リブは前記交差連続リブよりも厚みが大きく構成されていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のパレット。
【0022】
手段7によれば、フォークをフォーク差込み部に挿通させる際の阻害要因とされることなく、十字リブの上下幅を最大限長くすることにより、十字リブを設けることでフォーク差込み部の入口付近の変形を抑止するといった作用効果がより一層奏される。また、連続リブを比較的厚肉とすることで、柱部との連結をより強固にしつつ、フォーク差込み部の入口付近が上下方向に撓むようにして変形することをより効果的に抑制することができる。さらに、例えば、交差連続リブについても厚肉とする場合に比べ、パレットの重量の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】パレットの斜視図である。
図2】パレットの一部断面を含む部分拡大斜視図である。
図3】パレット(上構成部)の水平断面図である。
図4図4のJ部を示す部分拡大断面図である。
図5】上構成部(上デッキ部)を下面側から見た一部断面を含む部分拡大斜視図である。
図6】別の実施形態におけるパレットの一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図3に示すように、パレット1は、平面視略矩形状をなしている。また、パレット1は、パレット1の相対する一対の側辺部にそれぞれ沿って設けられる第1柱部としての一対の端柱部2と、パレット1の中央部を通るようにして、一対の端柱部2から離間し、かつ、一対の端柱部2と平行して設けられる端柱部2と同じ長さの(幅は端柱部2よりも短い)第2柱部としての中間柱部3と、各端柱部2と中間柱部3との上端部間を連結する上デッキ部4と、各端柱部2と中間柱部3との下端部間を連結する下デッキ部5とを備えている。各端柱部2と中間柱部3との間には、運搬手段としてのフォークリフトやハンドリフト等のフォークを差込み可能なフォーク差込み部6が形成されている。本実施形態では、パレット1の外周面を構成する4つの側面のうち2つの側面からフォークを差込み可能な2方差しタイプのパレットとなっている。
【0025】
図1図2に示すように、本実施形態では、端柱部2、中間柱部3、及び、上デッキ部4の上面によって物品を載置可能な「載置面7」が構成されている。さらに、端柱部2、中間柱部3、及び、下デッキ部5の下面によって、パレット1が設置される場所(床面等の設置面)に接地する「接地面8」が構成されている。載置面7と、接地面8とは、互いに平行して延在している。
【0026】
また、パレット1は、端柱部2、及び、中間柱部3の上側半分と、上デッキ部4とを具備する上構成部9と、端柱部2、及び、中間柱部3の下側半分と、下デッキ部5とを具備する下構成部10とを備えている。上構成部9、及び、下構成部10は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。そして、上構成部9の端柱部2、及び、中間柱部3の下縁部と、下構成部10の端柱部2、及び、中間柱部3の上縁部とが溶着(例えば、熱溶着、振動溶着)されることにより、上構成部9と下構成部10とが一体化され、パレット1が構成される。
【0027】
また、本実施形態の上構成部9、及び、下構成部10は、互いに同一形状で、同一の大きさに構成されている。このため、パレット1を設置面に設置した場合に、上側が上構成部9とされ、下側が下構成部10とされる。さらに、上構成部9、及び、下構成部10はそれぞれ、平面視、及び、下面視において中央部、及び、所定の側辺部の中央部を通る仮想直線を中心として線対称形状とされている。
【0028】
図2図5等に示すように、上デッキ部4は、載置面7を構成する天板部11と、天板部11から下方に突出し、柱部2、3間を連結する複数の柱部間リブ12と、天板部11から下方に突出し、柱部間リブ12に対して略直交する方向に柱部間リブ12と連結されつつ延在する複数の交差リブ13とを備えている。また、図2に示すように、下デッキ部5は、接地面8を構成する地板部14と、地板部14から上方に突出し、柱部2、3間を連結する複数の柱部間リブ12と、地板部14から上方に突出し、柱部間リブ12に対して略直交する方向に柱部間リブ12と連結されつつ延在する複数の交差リブ13とを備えている。尚、上デッキ部4、及び、下デッキ部5は互いに上下対称形状であって同様の構成を具備しており、便宜上、天板部11、及び、地板部14については異なる符号を付して説明をする一方で、柱部間リブ12、及び、交差リブ13等のその他の構成については、同じ符号を付して説明する。
【0029】
図3等に示すように、柱部間リブ12は、パレット1のフォーク差込み部6が形成された側辺部と略平行して延在している。加えて、図2図3等に示すように、天板部11、及び、地板部14には、柱部間リブ12と、交差リブ13とで区画された各領域の中央部に柱部間リブ12、及び、交差リブ13から離間して円形の水抜き孔15が設けられている。
【0030】
図1図3等に示すように、端柱部2、及び、中間柱部3は、それぞれの外周面を構成する周壁部21と、載置面7を構成する上壁部22と、接地面8を構成する下壁部23とを備えている。周壁部21は、パレット1の外周面を構成する外向壁部24と、フォーク差込み部6の内側面を構成し、上デッキ部4、及び、下デッキ部5と連結される内向壁部25とを備えている。内向壁部25と外向壁部24との境界部は、フォーク差込み部6の入口付近におけるフォーク差込み部6の横幅がフォーク差込み部6の奥側から入口(端部)側に向けて次第に広がるようにするべく、R形状をなしている。
【0031】
さて、図2図5に示すように、上デッキ部4(及び、下デッキ部5)の柱部間リブ12のうち各フォーク差込み部6の各入口に設けられる柱部間リブ12は、その他の柱部間リブ12である柱部間一般リブ31よりも天板部11(又は、地板部14)からの突出長の短い柱部間低リブ32として構成されている。本実施形態では、柱部間低リブ32は、フォーク差込み部6の入口端部に沿って設けられる柱部間第1低リブ33と、柱部間第1低リブ33と柱部間一般リブ31との間において柱部間第1低リブ33、及び、柱部間一般リブ31から離間して設けられる柱部間第2低リブ34とを備えている。
【0032】
また、上デッキ部4(及び、下デッキ部5)の交差リブ13のうち、柱部間第1低リブ33から柱部間一般リブ31にかけて設けられる部位は、フォーク差込み部6の入口から奥側に向けて突出長が次第に長くなる傾斜リブ35として構成されている。加えて、柱部間第2低リブ34は、傾斜リブ35に対して交差して連結されるとともに、柱部間一般リブ31よりも天板部11(又は、地板部14)からの突出長が短く、かつ、柱部間第1低リブ33よりも天板部11(又は、地板部14)からの突出長が長く構成されている。上デッキ部4の柱部間第1低リブ33、及び、柱部間第2低リブ34の下辺部(下デッキ部5の柱部間第1低リブ33、及び、柱部間第2低リブ34では上辺部)は、当該柱部間第1低リブ33、及び、柱部間第2低リブ34に連結された傾斜リブ35の下辺部(下デッキ部5では上辺部)と面一となるように傾斜している。本実施形態では、柱部間第1低リブ33と、柱部間第2低リブ34と、傾斜リブ35とにより傾斜部36が構成されている。
【0033】
また、図3等に示すように、本実施形態では、傾斜部36の形成範囲(傾斜リブ35が連結される柱部間一般リブ31と柱部間第1低リブ33との間の範囲)に関しては、フォーク差込み部6の入口の横幅方向において、交差リブ13(傾斜部36に対応して設けられる部位なので傾斜リブ35)の形成ピッチが約1/2とされている。さらに、図4図5等に示すように、上デッキ部4(及び、下デッキ部5)は、傾斜部36に隣接して、傾斜リブ35に連結された柱部間一般リブ31に対し所定の傾斜リブ35(本実施形態では、柱部2、3に一番近い傾斜リブ35)と連続するようにして連結される交差連続リブ39と、交差連続リブ39に交差して連結されるとともに、交差リブ13のうち傾斜リブ35以外の部位である交差一般リブ37と、端柱部2又は中間柱部3とに連結される連続リブ40とにより構成される十字リブ38を備えている。尚、交差連続リブ39のうち傾斜リブ35と連結された柱部間一般リブ31に連結される端部とは反対側の端部に関しても、柱部間一般リブ31と連結されている。
【0034】
図5に示すように、上デッキ部4において、十字リブ38の下面は、柱部間一般リブ31、及び、交差一般リブ37の下面と面一とされ、下デッキ部5において、十字リブ38の上面は、柱部間一般リブ31、及び、交差一般リブ37の上面と面一とされている。さらに、図2に示すように、十字リブ38のうち、連続リブ40は交差連続リブ39よりも厚みが大きく構成されている。尚、図4に示すように、交差連続リブ39、柱部間第2低リブ34、及び、柱部内リブ51は同じ厚みであり、これらよりも、傾斜リブ35が厚肉とされ、さらに傾斜リブ35よりも連続リブ40が厚肉とされ、当該連続リブ40よりも柱部間一般リブ31の方が厚肉とされ、当該柱部間一般リブ31よりも柱部間第1低リブ33の方が厚肉とされている。
【0035】
また、図4に示すように、上デッキ部4(及び、下デッキ部5)の天板部11(下デッキ部5の場合は地板部14)のうち、十字リブ38、及び、傾斜部36が設けられた範囲は、十字リブ38が設けられた範囲よりもフォーク差込み部6の奥側に位置する範囲の肉厚に比べて厚みの大きい厚肉部41(図4の小さな散点模様を付した部分)とされている。さらに、本実施形態では、各上デッキ部4(及び、下デッキ部5)のフォーク差込み部6の各入口において、天板部11(地板部14)のうちフォーク差込み部6の入口の横幅方向(傾斜部36の延在方向)に沿って十字リブ38が設けられた範囲で挟まれた範囲についても厚肉部41とされている。
【0036】
図4図5に示すように、端柱部2、及び、中間柱部3のそれぞれは、十字リブ38の連続リブ40、及び、柱部間第2低リブ34とそれぞれ連続するようにして内向壁部25に連結される柱部内リブ51を備えている。柱部内リブ51は、柱部2、3の高さ方向全域に延在する(上構成部9と下構成部10との溶着部位を含んで柱部2、3の高さ方向に連続して延び、上壁部22、及び、下壁部23と連結される)全高リブとされている。
【0037】
また、図4等に示すように、端柱部2、及び、中間柱部3のそれぞれは、傾斜部36に隣接して傾斜リブ35と連結された柱部間一般リブ31と連続するようにして内向壁部25に連結される柱部内補強リブ52と、柱部内補強リブ52と外向壁部24との間を連結する柱部内連結リブ53とを備えている。尚、本実施形態では、パレット1の水平断面において、端柱部2の柱部内補強リブ52は、内向壁部25と連結された端部とは反対側の端部が外向壁部24と連結され、中間柱部3の柱部内補強リブ52は、内向壁部25と連結された端部とは反対側の端部についても内向壁部25と連結され、当該内向壁部25を介して柱部間一般リブ31と連続している。
【0038】
さらに、端柱部2、及び、中間柱部3の上壁部22(及び、下壁部23)のうち、内向壁部25を挟んで傾斜部36と隣接し、かつ、内向壁部25、外向壁部24、及び、柱部内補強リブ52で区画された領域は、上壁部22(及び、下壁部23)のその他の領域、すなわち、柱部内補強リブ52よりもフォーク差込み部6の奥側に位置する領域に比べて厚みの大きい柱部内厚肉部54(図4の斜めに交差した網掛け模様を付した部分)とされている。加えて、本実施形態では、端柱部2に関しては、柱部内厚肉部54において柱部内連結リブ53で区切られた各領域のうち、パレット1のコーナー部に位置する領域(図4の斜めに交差した網掛け模様、及び、大きな散点模様の双方を付した部分)が、その他の領域よりも厚肉に構成され、かつ、天板部11(地板部14)の厚肉部41と同じ肉厚とされている。
【0039】
以上詳述したように、本実施形態によれば、フォーク差込み部6の入口の上縁部、及び下縁部において傾斜部36が設けられることにより、フォークリフトやハンドリフトのフォークをフォーク差込み部6に挿通したり、抜き出したりする際のフォークとの干渉等を極力抑制することができ、作業性の向上等を図ることができる。また、下デッキ部5のフォーク差込み部6の入口に傾斜部36が設けられることで、ハンドリフトのフォークをフォーク差込み部6に挿通させる際に、ハンドリフトのキャスターが下デッキ部5に乗り上げ易くなる。従って、ハンドリフトを使用してパレット1を運搬等する際の作業性の向上等を図ることができる。さらに、上デッキ部4においても傾斜部36が設けられることで、パレット1を上下反対向きとしてもフォーク差込み部6の入口の下縁部に傾斜部36が設けられるため、ハンドリフトを使用する場合のパレット1の利便性の向上等を図ることができる。
【0040】
また、天板部11(地板部14)のうち傾斜部36が設けられている範囲が厚肉部41とされている。これにより、傾斜部36、及び、厚肉部41が協働して変形を防止する領域が、フォーク差込み部6の入口において、端柱部2と、中間柱部3とにかけて連続して設けられることとなる。このため、フォーク差込み部6の入口付近の変形、特に、傾斜部36(端柱部2と、中間柱部3との間の部位)における部分的な変形を効果的に抑止することができる。さらに、所定の傾斜リブ35(本例では、端柱部2、又は、中間柱部3に一番近い傾斜リブ35)と連続するようにして柱部間一般リブ31に連結されるとともに、端柱部2、又は、中間柱部3にも連結される十字リブ38が設けられている範囲についても天板部11(地板部14)が厚肉部41とされている。これにより、傾斜部36、及び、厚肉部41が協働して変形を防止する領域に隣接して、十字リブ38、及び、厚肉部41が協働して変形を防止する領域が設けられることとなり、フォーク差込み部6の入口付近の変形、特に、傾斜部36の全体的な変形、及び、デッキ部4、5と、端柱部2、又は、中間柱部3との間の相対的な変形を効果的に抑止することができる。従って、フォーク差込み部6の入口付近の強度、及び、剛性を効果的に高めることができ、フォーク差込み部6の入口の上縁部及び下縁部の損傷等を抑止することができる。さらに、端柱部2と中間柱部3との間の部位(デッキ部4、5)が変形することでパレット1が変形するといった事態を抑止することができ、パレット1の形状を安定化させ、ひいては、物品を運搬・保管する性能の向上等を図ることができる。加えて、天板部11(地板部14)のうち厚肉部41とされる範囲は限定的であり、例えば、天板部11(地板部14)全体が厚肉部41とされる場合に比べ、パレット1の軽量化等を図ることができる。尚、十字リブ38は、交差連続リブ39のうち傾斜リブ35と連結された柱部間一般リブ31に連結された端部とは反対側の端部についても柱部間一般リブ31と連結され、連続リブ40のうち端柱部2、又は、中間柱部3と連結された端部とは反対側の端部についても交差一般リブ37と連結されている。このため、十字リブ38の形成範囲の強度、及び、剛性をより一層高めることができる。
【0041】
また、傾斜部36を構成する柱部間リブ12(柱部間低リブ32)が、フォーク差込み部6の入口端部に沿って設けられる柱部間第1低リブ33だけでなく、傾斜リブ35に対して交差して連結される柱部間第2低リブ34を備えることにより、傾斜部36の強度及び剛性をより一層高めることができる。さらに、柱部内リブ51により、内向壁部25等の強度及び剛性を高めることができ、デッキ部4、5(フォーク差込み部6の入口付近)と、端柱部2、及び、中間柱部3との間の相対的な変形をより一層抑制することができる。加えて、柱部内リブ51は、端柱部2、及び、中間柱部3の両方に設けられていることから、デッキ部4、5(フォーク差込み部6の入口付近)と、端柱部2、及び、中間柱部3との間の相対的な変形を抑制するといった作用効果がより確実に奏される。また、柱部内リブ51は、端柱部2、及び、中間柱部3の高さ方向全域に延在する全高リブとされている。このため、柱部内リブ51の強度及び剛性を高めることができ、結果として、デッキ部4、5(フォーク差込み部6の入口付近)と、端柱部2、及び、中間柱部3との間の相対的な変形をより一層抑止することができる。
【0042】
また、柱部2、3の上壁部22(及び、下壁部23)のうち内向壁部25を挟んで傾斜部36と隣接する部位が柱部内厚肉部54とされている。これにより、傾斜部36、及び、厚肉部41が協働して変形を防止する領域に隣接して、内向壁部25、外向壁部24、柱部内補強リブ52、柱部内連結リブ53、及び、柱部内厚肉部54(さらには、内向壁部25を介して柱部間第2低リブ34と連続する柱部内リブ51)が協働して変形を防止する領域が設けられることとなり、デッキ部4、5(フォーク差込み部6の入口付近)と、柱部2、3との間の相対的な変形を抑止するといった作用効果がより顕著に奏される。
【0043】
加えて、十字リブ38のうちパレット1の高さ方向中央部側の面は、柱部間一般リブ31、及び、交差一般リブ37のうちパレット1の高さ方向中央部側の面と面一とされている。このため、フォークをフォーク差込み部に挿通させる際の阻害要因とされることなく、十字リブ38の上下幅を最大限長くすることにより、十字リブ38を設けることでフォーク差込み部6の入口付近の変形を抑止するといった作用効果がより一層奏される。
【0044】
さらに、十字リブ38のうち、連続リブ40は交差連続リブ39よりも厚肉に構成されている。このように、連続リブ40を比較的厚肉とすることで、端柱部2、又は、中間柱部3との連結をより強固にしつつ、フォーク差込み部6の入口付近が上下方向に撓むようにして変形することをより効果的に抑制することができる。さらに、例えば、交差連続リブ39についても厚肉とする場合に比べ、パレット1の重量の増加を抑制することができる。
【0045】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0046】
(a)上記実施形態では、上構成部9と、下構成部10とが、同一形状で、同一の大きさに構成されているが、上構成部9と、下構成部10とで、形状等が異なるよう構成してもよい。例えば、下デッキ部5において、ハンドリフトのフォークの下面側に取付けられたキャスターを接地可能とするキャスター用開口部等の開口部が設けられるようなパレット(片面使用タイプのパレット)に具体化してもよい。さらに、例えば、下デッキ部5が省略され、全体が一体的に形成されるパレットに具体化することも可能である。尚、下デッキ部5が省略されたり、下デッキ部5に開口部が形成されたりするパレットにおいては、天板部11(及び地板部14)の水抜き孔15を省略することとしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、一対の端柱部2と、中間柱部3とを備える2方差しタイプのパレットとなっているが、パレットの四隅に設けられる第1柱部としての4本の隅柱部と、パレットの側辺部に沿って並ぶ一対の隅柱部の中間部位に設けられる第2柱部としての中間柱部と、パレットの中央部に設けられる中央柱部とを備え、パレットの外周面を構成する4つの側面からフォークを差込み可能な4方差しタイプのパレットに具体化することも可能である。加えて、上記実施形態では、パレット1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【0048】
(b)上記実施形態では、上デッキ部4(及び、下デッキ部5)の天板部11(下デッキ部5の場合は地板部14)のうち、一対の十字リブ38、及び、傾斜部36が設けられた範囲だけでなく、一対の十字リブ38が設けられた範囲で挟まれた範囲についても厚肉部41とされているが、上デッキ部4(及び、下デッキ部5)の天板部11(下デッキ部5の場合は地板部14)のうち、十字リブ38、及び、傾斜部36が設けられた範囲のみを厚肉部41としてもよい。その場合、パレット1の軽量化が図られる。
【0049】
また、交差連続リブ39のうち傾斜リブ35と連結された柱部間一般リブ31に連結される端部とは反対側の端部が柱部間リブ12ではないリブに連結されることとしてもよい。さらに、傾斜部36を構成する柱部間低リブ32として、柱部間第1低リブ33、及び、柱部間第2低リブ34が設けられているが、柱部間第2低リブ34を省略してもよいし、柱部間第2低リブ34と柱部間一般リブ31との間に、柱部間第2低リブ34よりも突出長が長く、柱部間一般リブ31よりも突出長が短い別の柱部間低リブ32を追加することとしてもよい。
【0050】
(c)上記実施形態では、柱部2、3の上壁部22、及び、下壁部23のうち、内向壁部25、外向壁部24、及び、柱部内補強リブ52で区画された領域が柱部内厚肉部54とされ、特に、端柱部2に関しては、柱部内厚肉部54において、柱部内連結リブ53で区切られた各領域のうち、パレット1のコーナー部に位置する領域がその他の領域よりも厚肉に構成され、かつ、天板部11(地板部14)の厚肉部41と同じ肉厚とされているが、特に、このような構成に限定されるものではなく、適宜変更可能である。但し、内向壁部25、外向壁部24、柱部内補強リブ52、及び、柱部内連結リブ53で区切られた各領域のうち、内向壁部25を介して傾斜部36と隣接する領域に関しては、柱部内厚肉部54とすることで、デッキ部4、5(フォーク差込み部6の入口付近)と、柱部2、3との間の相対的な変形を効果的に抑止する作用効果が高いことから、柱部内厚肉部54とすることが望ましい。さらに、パレット1は、接地面8の両側部(端柱部2の下面)のみが支持された状態で運搬・保管される場合があり、このとき、デッキ部4、5と、端柱部2との連結部付近に比較的大きな応力が作用してしまうことが懸念されることから、少なくとも端柱部2には、傾斜部36と隣接する部分を補強するための構成(柱部内厚肉部54等)を設けることが望ましい。
【0051】
加えて、上記実施形態では、柱部内リブ51は全高リブとされているが、端柱部2、又は、中間柱部3の高さ方向全域には連続していないリブとしてもよい。また、上記実施形態では、柱部内リブ51は、端柱部2、及び、中間柱部3の両方に設けられているが、少なくとも一方に設けられることとしてもよいし、柱部内リブ51を省略することとしてもよい。尚、パレット1の水平断面において、柱部内リブ51のうち内向壁部25と連結された端部とは反対側の端部を別のリブと連結することとしてもよい。
【0052】
(d)また、パレットを図6に示すように構成してもよい。すなわち、図6のパレット61についても、図示しない一対の端柱部と、中間柱部63と、上デッキ部64と、下デッキ部65とを備え、各端柱部と、中間柱部63との間にフォーク差込み部66が形成されている。各デッキ部64、65は、端柱部と中間柱部63との間を連結する複数の柱部間リブ67と、柱部間リブ67に対して交差する方向に柱部間リブ67と連結されつつ延在する複数の交差リブ68と、柱部間リブ67、及び、交差リブ68の下縁部、又は、上縁部と連結される板部69とを備えるとともに、フォーク差込み部66の各入口においてフォーク差込み部66の上下幅を広げる傾斜部70を備えている。尚、本態様例においても、上デッキ部64、及び、下デッキ部65は互いに上下対称形状であって同様の構成を具備しており、便宜上、上デッキ部64、及び、下デッキ部65の構成については、同じ符号を付して説明する。
【0053】
本態様例の上デッキ部64の板部69は、傾斜部70よりもフォーク差込み部66の奥側(パレット61の中央部側)に位置する範囲において物品が載置される載置面71を構成する一般板部72と、傾斜部70においてフォーク差込み部66の上下幅を画定し、フォーク差込み部66の入口から奥側に向けてパレット61の高さ方向中央部側(下方)に傾斜して延在する傾斜板部73とを備えている。また、下デッキ部65の板部69は、傾斜部70よりもフォーク差込み部66の奥側(パレット61の中央部側)に位置する範囲においてパレット61の設置場所に接地する接地面74を構成する一般板部72と、傾斜部70においてフォーク差込み部66の上下幅を画定し、フォーク差込み部66の入口から奥側に向けてパレット61の高さ方向中央部側(上方)に傾斜して延在する傾斜板部73とを備えている。
【0054】
さらに、柱部間リブ67は、一般板部72からパレット61の高さ方向中央部側(上デッキ部64であれば下方、下デッキ部65であれば上方)に突出する柱部間一般リブ75と、傾斜板部73からパレット61の高さ方向中央部に対して離間する側(上デッキ部64であれば上方、下デッキ部65であれば下方)に突出し、傾斜板部73からの突出長が柱部間一般リブ75の一般板部72からの突出長よりも短い柱部間低リブ76とを備えている。加えて、交差リブ68は、一般板部72からパレット61の高さ方向中央部側(上デッキ部64であれば下方、下デッキ部65であれば上方)に突出する交差一般リブ77と、傾斜板部73からパレット61の高さ方向中央部に対して離間する側(上デッキ部64であれば上方、下デッキ部65であれば下方)に突出し、フォーク差込み部66の入口から奥側に向けて突出長が次第に長くなる傾斜リブ78とを備えている。
【0055】
傾斜板部73、及び、傾斜リブ78は、柱部間一般リブ75のうちフォーク差込み部66の入口側の面と連結され、特に、傾斜板部73のうちパレット61の高さ方向中央部側の面(上デッキ部64であれば下面、下デッキ部65であれば上面)と、柱部間一般リブ75のうちパレット61の高さ方向中央部側の縁部(上デッキ部64であれば下縁部、下デッキ部65であれば上縁部)とが連続している(傾斜板部73の柱部間一般リブ75と連結された端部が、柱部間一般リブ75のうちパレット61の高さ方向中央部側の縁部と同じ高さとなっている)。当該構成により、フォークの先端部や、ハンドリフトのキャスターが傾斜部70に案内された後、柱部間一般リブ75に突き当たって移動が妨げられるといった事態が回避される。
【0056】
また、傾斜板部73には、柱部間低リブ76と、傾斜リブ78とで区画された各領域(一部が柱部間一般リブ75、端柱部、及び、中間柱部63で区画された領域も含む)において水抜き孔79が設けられている。さらに、上デッキ部64において、傾斜板部73、及び、傾斜リブ78の上縁部は、一般板部72の上面と面一とされ、当該一般板部72の上面とともに、載置面71を構成している。加えて、下デッキ部65において、傾斜板部73、及び、傾斜リブ78の下縁部は、一般板部72の下面と面一とされ、当該一般板部72の下面とともに、接地面74を構成している。尚、本態様例では、傾斜板部73、柱部間低リブ76、及び、傾斜リブ78により傾斜部70が構成される。
【0057】
また、デッキ部64、65は、各傾斜部70に隣接して、傾斜板部73、及び、傾斜リブ78に連結された柱部間一般リブ75に対し所定の(対応する端柱部又は中間柱部63に一番近く、交差一般リブ77が連続して形成されていない)傾斜リブ78と連続するようにして連結される交差連続リブ82と、交差連続リブ82に交差して連結されるとともに、交差一般リブ77と端柱部又は中間柱部63とに連結される連続リブ83とにより構成される十字リブ81を備えている。一般板部72のうち十字リブ81が設けられた範囲、及び、傾斜板部73は、一般板部72のうち十字リブ81が設けられた範囲よりもフォーク差込み部66の奥側に位置する範囲に比べて厚みの大きい厚肉部84とされている。尚、本態様例においても、各傾斜部70の両端部に対応して十字リブ81が一対で設けられ、一般板部72のうち当該一対の十字リブ81で挟まれる範囲についても厚肉部84とされているが、少なくとも一般板部72のうち十字リブ81が設けられた範囲、及び、傾斜板部73が厚肉部84とされていればよい。
【0058】
以上のような構成を採用する場合においても、上記主たる実施形態と同様にして、フォーク差込み部66の入口付近の強度を効率的に高めるといった作用効果が奏される。また、傾斜板部73により、傾斜部70のうち特にフォーク差込み部66の入口の内側を構成する部位の強度をより一層高めることができる。尚、本態様例においても、柱部間低リブ76は、フォーク差込み部66の入口端部に沿って設けられる柱部間第1低リブ76aと、柱部間第1低リブ76aと、柱部間一般リブ75との間において柱部間第1低リブ76a、及び、柱部間一般リブ75から離間して設けられ、柱部間一般リブ75よりも突出長が短く、かつ、柱部間第1低リブ76aよりも突出長が長い柱部間第2低リブ76bとを備えている。また、十字リブ81のうちパレット61の高さ方向中央部側の面は、柱部間一般リブ75、及び、交差一般リブ77のうちパレット61の高さ方向中央部側の面と面一とされ、連続リブ83は交差連続リブ82よりも厚みが大きく構成されている。さらに、図示は省略するが、端柱部、及び、中間柱部63は、十字リブ81の連続リブ83、及び、柱部間第2低リブ76bとそれぞれ連続するようにして周壁部85(内向壁部86)に連結される柱部内リブを備えている。その他の端柱部、及び、中間柱部63の内側の構成に関しても、上記主たる実施形態と同様の構成を具備している。
【符号の説明】
【0059】
1…パレット、2…端柱部、3…中間柱部、4…上デッキ部、5…下デッキ部、6…フォーク差込み部、7…載置面、8…接地面、9…上構成部、10…下構成部、11…天板部、12…柱部間リブ、13…交差リブ、14…地板部、21…周壁部、24…外向壁部、25…内向壁部、31…柱部間一般リブ、32…柱部間低リブ、33…柱部間第1低リブ、34…柱部間第2低リブ、35…傾斜リブ、36…傾斜部、38…十字リブ、39…交差連続リブ、40…連続リブ、41…厚肉部、51…柱部内リブ、52…柱部内補強リブ、53…柱部内連結リブ、54…柱部内厚肉部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6