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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134188
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】シート給送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/14 20060101AFI20220908BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20220908BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B65H1/14 322B
B65H11/00 A
G03G15/00 407
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033163
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】西村 祥一郎
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩一
【テーマコード(参考)】
2H072
3F063
3F343
【Fターム(参考)】
2H072BA03
2H072BA06
2H072BA17
2H072BA20
2H072CA01
2H072HB10
2H072JA02
3F063BA02
3F063BA04
3F063BA09
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC27
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA17
3F343HA31
3F343HD09
3F343HD17
3F343KB03
3F343KB08
3F343KB17
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC12
3F343LC20
(57)【要約】
【課題】圧板が上で昇降部材が下という位置関係が逆転した場合でも容易に元に戻すことができ、圧板又は昇降部材の破損を抑制できるシート給送装置を提供する。
【解決手段】シート給送装置1において、当接部材40は、昇降部材60が圧板本体32よりも下方にある場合において、昇降部材60が圧板31を非給送位置から給送位置に向けて移動させるために上昇するときに、第1位置で昇降部材60と当接して圧板本体32と共に押し上げられ、昇降部材60が圧板31を給送位置から非給送位置に向けて移動させるために下降するときに、第1位置で昇降部材60と当接して圧板本体32と共に下降する。当接部材40は、昇降部材60が圧板31よりも上方から圧板31よりも下方に向けて移動する場合、昇降部材60との当接に応じて昇降部材60から退避する第2位置に移動し、昇降部材60が圧板31よりも下方に移動すると第1位置に移動する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを給送する給送ローラと、
シートを支持する給送トレイであって、最上位のシートを前記給送ローラに当接させる給送位置と、前記給送位置よりも下方の非給送位置と、に上下動可能な圧板を有する前記給送トレイと、
前記圧板に下から当接し、前記圧板を上下動させるように移動可能な昇降部材と、を備え、
前記圧板は、シートを支持する圧板本体と、
第1位置と第2位置とに移動可能に前記圧板本体に支持された当接部材であって、前記昇降部材が前記圧板本体よりも下方にある場合において、前記昇降部材が前記圧板を前記非給送位置から前記給送位置に向けて移動させるために上昇するときに、前記第1位置で前記昇降部材と当接して前記圧板本体と共に押し上げられ、前記昇降部材が前記圧板を前記給送位置から前記非給送位置に向けて移動させるために下降するときに、前記第1位置で前記昇降部材と当接して前記圧板本体と共に下降する前記当接部材と、を有し、
前記当接部材は、前記昇降部材が前記圧板よりも上方から前記圧板よりも下方に向けて移動する場合、前記昇降部材との当接に応じて前記昇降部材から退避する前記第2位置に移動し、前記昇降部材が前記圧板よりも下方に移動すると前記第1位置に移動するように構成されていることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記圧板は、前記圧板本体と前記当接部材との間に配置され、前記当接部材を前記第1位置に向けて付勢する第1付勢手段を有している請求項1記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記当接部材は、前記昇降部材が前記圧板を前記非給送位置から前記給送位置に向けて移動させるために上昇するときに、前記昇降部材に下から当接される第1当接部と、
前記第1当接部から前記給送トレイの幅方向における前記圧板本体側に向かって突出した第2当接部であって、前記第1当接部が前記昇降部材に下から当接されたときに上端が前記圧板本体に下から当接する前記第2当接部と、を有している請求項1又は2記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記当接部材は、前記給送トレイの幅方向に延びる第1軸心周りに揺動可能に前記圧板本体に支持された被支持部と、
前記被支持部から前記第1軸心の径外方向に延びる延出部と、を有し、
前記第1当接部は、前記延出部の先端側に位置し、
前記第2当接部は、前記延出部の前記先端側で前記第1当接部に隣接している請求項3記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記当接部材は、前記給送トレイの幅方向に延びる第1軸心周りに揺動可能に前記圧板本体に支持されている請求項1乃至3のいずれか1項記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記昇降部材は、前記給送トレイの幅方向に延びる第2軸心を中心とする扇型ギヤと、前記第2軸心の径外方向に延びるアーム部と、前記アーム部の先端側に形成され、前記当接部材に当接可能な作用部と、を有し、前記第2軸心周りに揺動可能な昇降アームを有している請求項1乃至5のいずれか1項記載のシート給送装置。
【請求項7】
筐体を備え、
前記給送トレイは、前記筐体の側面に沿うように起立する収容位置と、前記側面に交差する方向に延びてシートを支持可能となる展開位置と、に移動可能に前記筐体に支持され、
前記当接部材は、前記給送トレイが前記収容位置に移動する場合において、上昇した前記昇降部材に摺接しながら前記昇降部材を自己よりも下方に誘い込む誘い込み部を有している請求項1乃至6のいずれか1項記載のシート給送装置。
【請求項8】
筐体と、
一端が前記筐体に連結されたリンクアームと、を備え、
前記圧板本体は、前記給送トレイの幅方向に延びる第3軸心を中心とする回動軸であって、前記リンクアームの他端に支持された前記回動軸を有し、
前記給送トレイは、前記回動軸を案内するリンクレールを有し、前記回動軸が前記リンクレールの第1レール端部に案内されることで前記筐体の側面に沿うように起立する収容位置と、前記回動軸が前記リンクレールにおける前記第1レール端部とは反対側の第2レール端部に案内されることで前記側面に交差する方向に延びてシートを支持可能となる展開位置と、に移動可能に前記筐体に支持され、
前記リンクレールは、前記第1レール端部から前記第2レール端部に向けて移動しようとする前記回動軸に抵抗を付与する絞り形状部分を有している請求項1乃至7のいずれか1項記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記給送トレイは、前記圧板を前記非給送位置から前記給送位置に近づくように付勢する第2付勢手段を有している請求項1乃至8のいずれか1項記載のシート給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のシート給送装置の一例が開示されている。このシート給送装置は、ピックアップローラ、MPトレイ及びリンク部材を備えている。
【0003】
ピックアップローラは、シートを給送する。MPトレイは、シートを支持する。MPトレイは、最上位のシートをピックアップローラに当接させる給送位置と、給送位置よりも下方の非給送位置と、に上下動可能な圧板を有している。
【0004】
圧板には、被支持部が一体に形成されている。リンク部材は、圧板の被支持部に下から当接し、圧板を上下動させるように移動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-104973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来のシート給送装置は、例えば、給送時に詰まったシートを除去する場合や、停電等により給送時に動作が急に停止された場合等において圧板が上下動すると、圧板が上でリンク部材が下という位置関係が逆転してしまうおそれがある。
【0007】
そして、圧板とリンク部材との位置関係を元に戻すために、リンク部材を圧板よりも上方から圧板よりも下方に向けて移動させようとすると、リンク部材と圧板の被支持部とが干渉してしまって元に戻すことができず、場合によっては、圧板又はリンク部材が破損するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、圧板が上で昇降部材が下という位置関係が逆転した場合でも容易に元に戻すことができ、圧板又は昇降部材の破損を抑制できるシート給送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシート給送装置は、シートを給送する給送ローラと、
シートを支持する給送トレイであって、最上位のシートを前記給送ローラに当接させる給送位置と、前記給送位置よりも下方の非給送位置と、に上下動可能な圧板を有する前記給送トレイと、
前記圧板に下から当接し、前記圧板を上下動させるように移動可能な昇降部材と、を備え、
前記圧板は、シートを支持する圧板本体と、
第1位置と第2位置とに移動可能に前記圧板本体に支持された当接部材であって、前記昇降部材が前記圧板本体よりも下方にある場合において、前記昇降部材が前記圧板を前記非給送位置から前記給送位置に向けて移動させるために上昇するときに、前記第1位置で前記昇降部材と当接して前記圧板本体と共に押し上げられ、前記昇降部材が前記圧板を前記給送位置から前記非給送位置に向けて移動させるために下降するときに、前記第1位置で前記昇降部材と当接して前記圧板本体と共に下降する前記当接部材と、を有し、
前記当接部材は、前記昇降部材が前記圧板よりも上方から前記圧板よりも下方に向けて移動する場合、前記昇降部材との当接に応じて前記昇降部材から退避する前記第2位置に移動し、前記昇降部材が前記圧板よりも下方に移動すると前記第1位置に移動するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のシート給送装置は、例えば、給送時に詰まったシートを除去する場合や、停電等により給送時に動作が急に停止された場合等において圧板が上下動すると、圧板が上で昇降部材が下という位置関係が逆転してしまうおそれがある。
【0011】
この点、このシート給送装置において、圧板は、圧板本体と当接部材とを有している。つまり、圧板は、2つに分けられている。そして、圧板と昇降部材との位置関係を元に戻すために昇降部材を圧板よりも上方から圧板よりも下方に向けて移動させる場合、当接部材が昇降部材との当接に応じて第2位置に移動して昇降部材から退避する。その結果、昇降部材は、当接部材に妨げられることなく、圧板よりも下方に到達でき、その後に当接部材が第1位置に移動することで異常を解消できる。
【0012】
したがって、本発明のシート給送装置は、圧板が上で昇降部材が下という位置関係が逆転した場合でも容易に元に戻すことができ、圧板又は昇降部材の破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例1の画像形成装置の部分断面図であって、給送トレイが展開位置にあり、圧板が非給送位置にある状態を主に示す図である。
図2図2は、給送トレイ及び昇降アームの斜視図であって、給送トレイが展開位置にあり、圧板が非給送位置にある状態を主に示す図である。
図3図3は、給送トレイ及び昇降アームの部分上面図であって、給送トレイが展開位置にある状態を主に示す図である。
図4図4は、図1と同様の部分断面図であって、給送トレイが収容位置にある状態を主に示す図である。
図5図5は、給送トレイが収容位置にあり、圧板本体の回動軸がリンクレールの第1レール端部に案内された状態を示す部分断面図であって、リンクレールの絞り形状部分の作用を説明する図である。
図6図6は、図1と同様の部分断面図であって、給送トレイが展開位置にあり、圧板が給送位置にある状態を主に示す図である。
図7図7は、圧板本体、当接部材及び昇降アームを示す側面図であって、圧板が非給送位置にある状態を主に示す図である。
図8図8は、図7と同様の側面図であって、圧板が給送位置にある状態を主に示す図である。
図9図9は、圧板本体、当接部材及び昇降アームを示す部分斜視図であって、圧板が給送位置にある状態を主に示す図である。
図10図10は、圧板本体、捩じりコイルバネ及び当接部材の分解斜視図であって、圧板本体に組み付けられる前の当接部材の姿勢を示す図である。
図11図11の(a)及び(b)は、圧板本体に当接部材を組み付ける手順を説明する部分側面図である。
図12図12は、図7と同様の側面図であって、圧板が上で昇降アームが下という位置関係が逆転した状態を示す図である。
図13図13は、図7と同様の側面図であって、圧板が上で昇降アームが下という位置関係が逆転した状態から昇降アームが下降し、当接部材が昇降アームとの当接に応じて第2位置に揺動した状態を示す側面図である。
図14図14は、図7と同様の側面図であって、給送トレイが展開位置から収容位置に移動する場合における当接部材の誘い込み部の作用を説明する図である。
図15図15は、実施例2の画像形成装置に係り、図1と同様の部分断面図であって、捩じりコイルバネが圧板を非給送位置から給送位置に近づくように付勢する状態を主に示す図である。
図16図16は、実施例2の画像形成装置に係り、図7と同様の側面図であって、捩じりコイルバネが圧板を非給送位置から給送位置に近づくように付勢する状態を主に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施例1、2について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の画像形成装置1は、本発明のシート給送装置の具体的態様の一例である。図1では、筐体9の前面9S側を装置の前方と規定し、筐体9の上面側を装置の上方と規定して、前後方向及び上下方向を表示する。そして、図2以降の各図に示す前後方向及び上下方向は、全て図1に対応させて表示する。
【0016】
また、図2等に示す給送トレイ3の幅方向DW1は、前後方向及び上下方向に直交する方向である。さらに図2等に示す幅方向DW1の一方は、図1における紙面手前側である。
【0017】
図1に示すように、画像形成装置1は、筐体9、給紙カセット2C、画像形成部2及び図示しない搬送部を備えている。筐体9は略箱状体であり、その上面に排出トレイ9Tを有している。給紙カセット2Cは、筐体9内の下部分に位置し、複数枚のシートを積層状態で収容している。
【0018】
画像形成部2は、筐体9内の上部分に位置している。画像形成部2は、電子写真方式、サーマル方式、インクジェット方式その他の一般的な画像形成方式により、シートに画像を形成する。
【0019】
図示しない搬送部は、給紙カセット2Cからシートを一枚ずつ画像形成部2に供給する。そのシートは、画像形成部2によって画像が形成される。その後、図示しない搬送部は、画像が形成されたシートを搬送して排出トレイ9Tに排出する。
【0020】
また、画像形成装置1は、給送トレイ3を備えている。給送トレイ3は、サイズや厚み等が異なる複数種類のシートSHを画像形成部2に給送するためのマルチパーパストレイである。
【0021】
給送トレイ3は、筐体9の前面9S側に位置している。給送トレイ3は、図1図3に示すように、前面9Sから前方に延びる展開位置と、図4に示すように、筐体9の前面9Sに沿うように起立する収容位置と、に回動可能に筐体9に支持されている。筐体9の前面9Sは、本発明の「筐体の側面」の一例である。
【0022】
図1図3に示すように、給送トレイ3が展開位置にある状態では、給送トレイ3の上を向く面がシートSHを支持可能な支持面3Aとなる。支持面3Aに支持されたシートSHの給送方向DF1は、給送トレイ3の幅方向DW1に直交し、後向きに下り傾斜する方向である。
【0023】
なお、給送トレイ3を構成する複数の部材の形状等について説明する際には、上下方向及び前後方向について、展開位置にある給送トレイ3の姿勢を基準とする。
【0024】
図1に示すように、筐体9は、給送トレイ収容部90を有している。給送トレイ収容部90は、前面9Sの上部分から後向きに凹んでいる。給送トレイ収容部90における幅方向DW1の他方、すなわち図1の紙面奥側に位置する内壁は、略長穴形状のアームガイド90Gを有している。図示は省略するが、給送トレイ収容部90における幅方向DW1の一方、すなわち図1の紙面手前側に位置する内壁も、アームガイド90Gを有している。
【0025】
図2及び図3に示すように、画像形成装置1は、リンクアーム91A、91Bを備えている。リンクアーム91Aの一端91A1は、幅方向DW1の一方に突出する軸部を有している。リンクアーム91Bの一端91B1は、幅方向DW1の他方に突出する軸部を有している。
【0026】
図1に示すように、リンクアーム91Bの一端91B1は、軸部が給送トレイ収容部90のアームガイド90Gに挿入されることにより、筐体9に連結されている。図示は省略するが、リンクアーム91Aの一端91A1も同様に、筐体9に連結されている。
【0027】
<給送ローラ、分離ローラ、分離パッド>
筐体9は、給送トレイ収容部90よりも下方に位置するローラ支持部材29と、ローラ支持部材29よりも下方に位置する給送ガイド部材28と、を有している。画像形成装置1は、給送ローラ21、分離ローラ22及び分離パッド22Aを備えている。
【0028】
ローラ支持部材29は、給送ローラ21及び分離ローラ22を回転可能に支持している。また、ローラ支持部材29は、給送ローラ21及び分離ローラ22のそれぞれの回転軸心の位置が変動しないように、給送ローラ21及び分離ローラ22を支持している。給送ローラ21及び分離ローラ22のそれぞれの下部分は、ローラ支持部材29よりも下方に露出している。
【0029】
給送ローラ21は、支持面3Aよりも上方にあって、支持面3Aにおける給送方向DF1の下流端3Dよりも給送方向DF1の上流に位置している。分離ローラ22は、支持面3Aの下流端3Dよりも給送方向DF1の下流に位置している。
【0030】
図2に示すように、給送ガイド部材28は、規制面28A及び給送面28Bを有している。規制面28Aは、幅方向DW1に延びる前向きの面である。規制面28Aは、その上端がその下端よりも後方に位置するように傾斜している。規制面28Aは、支持面3Aの下流端3Dに給送方向DF1の下流から対向している。給送面28Bは、規制面28Aの上端に接続する上向きの面である。給送面28Bは、給送方向DF1の下流に向かって延びている。
【0031】
規制面28Aは、支持面3Aに支持されたシートSHの給送方向DF1の下流端を当て止める。給送ローラ21は、支持面3Aに支持された最上位のシートSHを給送方向DF1に給送する。給送面28Bは、給送ローラ21によって給送されるシートSHを案内する。
【0032】
給送ガイド部材28は、分離ローラ22の真下の位置で、分離パッド22Aを給送面28Bから露出するように支持している。分離パッド22Aは、分離ローラ22に向けて押圧されている。
【0033】
このような給送ローラ21、分離ローラ22及び分離パッド22Aは、支持面3Aに支持されたシートSHを画像形成部2に一枚ずつ給送する。そのシートSHは、画像形成部2によって画像が形成される。その後、図示しない搬送部は、画像が形成されたシートSHを搬送して排出トレイ9Tに排出する。
【0034】
<給送トレイの詳細構成>
給送トレイ3は、図1図4に示す給送トレイ本体30及び圧板31と、図1及び図4に示すサブトレイ30Eとを有している。
【0035】
図1に示すように、筐体9は、給送トレイ本体30を開閉軸心X30周りに揺動可能に支持している。開閉軸心X30は、給送トレイ収容部90の下端側に位置し、幅方向DW1に延びている。
【0036】
図2及び図3に示すように、給送トレイ本体30は、平板部35、リンクレール36A、36B及びサブトレイ収容部37を有している。
【0037】
平板部35は、給送トレイ3が図1等に示す展開位置にある状態で、開閉軸心X30側から前向きに緩やかに上り傾斜するように延び、かつ幅方向DW1に延びている。
【0038】
平板部35は、給送トレイ3が図4に示す収容位置にある状態で、その前方を向く外装面が前面9Sと面一となって、筐体9の意匠面の一部を構成する。平板部35における外装面とは反対側の面を内面35Tとする。
【0039】
図1図3に示すように、リンクレール36A、36Bは、平板部35の内面35Tにおける幅方向DW1の両端部に位置して上向きに突出し、かつ給送方向DF1に延びている。
【0040】
図2に示すように、リンクレール36Aは、第1レール端部36A1から給送方向DF1に延びる溝を有している。リンクレール36Bは、第1レール端部36B1から給送方向DF1に延びる溝を有している。
【0041】
図3に示すように、リンクレール36Aの溝は、第1レール端部36A1とは反対側の第2レール端部36A2まで延びている。リンクレール36Bの溝は、第1レール端部36B1とは反対側の第2レール端部36B2まで延びている。
【0042】
図2に示すように、サブトレイ収容部37は、平板部35の内面35T側におけるリンクレール36A、36Bに対して幅方向DW1の内側に位置している。
【0043】
図4に示すように、サブトレイ収容部37は、給送トレイ3が収容位置にある状態で、サブトレイ30Eを収容している。
【0044】
図1に示すように、サブトレイ30Eは、給送トレイ3が展開位置にある状態で、前向きにスライドすることにより、支持面3Aにおける給送方向DF1の上流側の一部を構成する。
【0045】
図2及び図3に示すように、圧板31は、圧板本体32及び当接部材40を有している。つまり、圧板31は、2つに分けられている。
【0046】
<圧板本体>
圧板本体32は、給送トレイ本体30の内面35T側に位置している。圧板本体32は、給送方向DF1及び幅方向DW1に延びる略平板部材である。圧板本体32は回動軸32A、32Bを有している。
【0047】
回動軸32A、32Bは、圧板本体32における給送方向DF1の上流に位置し、かつ幅方向DW1において互いに離れた2つの角部から幅方向DW1の外側に向かって突出している。回動軸32A、32Bは、幅方向DW1に延びる第3軸心X32を中心としている。
【0048】
回動軸32Aは、リンクレール36Aの溝を通過し、さらに、リンクアーム91Aの他端91A2の軸穴を通過することにより、リンクアーム91Aの他端91A2に支持されている。
【0049】
回動軸32Bは、リンクレール36Bの溝を通過し、さらに、リンクアーム91Bの他端91B2の軸穴を通過することにより、リンクアーム91Bの他端91B2に支持されている。
【0050】
回動軸32A、32Bは、リンクレール36A、36Bの溝に案内されて、リンクレール36A、36Bの第1レール端部36A1、36B1と第2レール端部36A2、36B2との間でスライド可能である。
【0051】
図5に示すように、リンクレール36Bは、絞り形状部分36Cを有している。絞り形状部分36Cは、第1レール端部36B1側に位置している。絞り形状部分36Cは、リンクレール36Bの溝における対向する2辺から互いに接近するように膨らんでいる。
【0052】
絞り形状部分36Cは、第1レール端部36B1に案内された回動軸32Bの近傍で、リンクレール36Bの溝の内幅を局所的に狭くする。これにより、リンクレール36Bの絞り形状部分36Cは、第1レール端部36B1から第2レール端部36B2に向けて移動しようとする回動軸32Bに抵抗を付与する。
【0053】
図示は省略するが、リンクレール36Aも、リンクレール36Bと同様に、絞り形状部分36Cを有している。リンクレール36Aの絞り形状部分36Cは、第1レール端部36A1から第2レール端部36A2に向けて移動しようとする回動軸32Aに抵抗を付与する。
【0054】
このような構成により、給送トレイ3は、図4に示す収容位置にある状態で、図5に示すように、回動軸32Bがリンクレール36Bの第1レール端部36B1に案内され、また、図示は省略するが、回動軸32Aがリンクレール36Aの第1レール端部36A1に案内されることで、筐体9の前面9Sに沿うように起立する。
【0055】
また、給送トレイ3は、図1等に示す展開位置にある状態で、図3に示すように、回動軸32A、32Bがリンクレール36A、36Bの第2レール端部36A2、36B2に案内されることで、図1に示すように、筐体9の前面9Sから前方に延びてシートSHを支持可能となる。
【0056】
この状態で、圧板本体32の上面は、支持面3Aにおける下流端3Dを含む一部を構成して、シートSHを支持する。
【0057】
そして、圧板31は、圧板本体32が第3軸心X32周りに回動することにより、図6に示すように、最上位のシートSHを給送ローラ21に当接させる給送位置と、図1に示すように、給送位置よりも下方の非給送位置と、に上下動可能である。
【0058】
図7図12及び図13に示す圧板本体32の位置は、非給送位置である。図8及び図9に示す圧板本体32の位置は、給送位置である。
【0059】
図2及び図3に示すように、圧板本体32は、2組の被当接部33及び支持部34を有している。
【0060】
一方の組の被当接部33及び支持部34は、圧板本体32における給送方向DF1の下流、かつ幅方向DW1の一方に位置する角部において、圧板本体32と一体をなしている。
【0061】
他方の組の被当接部33及び支持部34は、圧板本体32における給送方向DF1の下流、かつ幅方向DW1の他方に位置する角部において、圧板本体32と一体をなしている。
【0062】
一方の組の被当接部33及び支持部34と、他方の組の被当接部33及び支持部34とは、勝手違いの同一構成である。このため、一方の組の被当接部33及び支持部34の構成について詳しく説明し、他方の組の被当接部33及び支持部34については説明を省略する。
【0063】
図10に示すように、被当接部33は、圧板本体32の上記した角部の先端において上向きに凹んだ部分である。被当接部33は、幅方向DW1の一方に開き、かつ給送方向DF1の下流に開いている。
【0064】
支持部34は、被当接部33よりも給送方向DF1の上流で、圧板本体32における幅方向DW1の一方の端縁から上向きに突出している。支持部34は、支持軸34A、円筒部34B、スリット34C及び抜け止め片34D、34Eを有している。
【0065】
支持軸34Aは、支持部34における上下方向の中間部から幅方向DW1の一方に突出する円柱である。支持軸34Aは、幅方向DW1に延びる第1軸心X40を中心としている。
【0066】
円筒部34Bは、第1軸心X40を中心として支持軸34を囲み、支持部34から幅方向DW1の一方に短く突出する円筒である。
【0067】
スリット34Cは、円筒部34Bにおける被当接部33に近い一部が切り欠かれてなる。抜け止め片34D、34Eは、円筒部34Bの先端縁の離れた2か所から第1軸心X40の径外方向に突出する小片である。
【0068】
<当接部材及び捩じりコイルバネ>
図2及び図3に示すように、圧板31は、2つの当接部材40を有している。幅方向DW1の一方に位置する当接部材40と、幅方向DW1の他方に位置する当接部材40とは、勝手違いの同一構成である。このため、幅方向DW1の一方に位置する当接部材40の構成について詳しく説明し、幅方向DW1の他方に位置する当接部材40については説明を省略する。
【0069】
また、圧板31は、図10に示すように、幅方向DW1の一方に位置する捩じりコイルバネ40Sと、図示は省略するが、幅方向DW1の他方に位置する捩じりコイルバネ40Sとを有している。捩じりコイルバネ40Sは、本発明の「第1付勢手段」の一例である。
【0070】
幅方向DW1の一方に位置する捩じりコイルバネ40Sと、幅方向DW1の他方に位置する捩じりコイルバネ40Sとは、勝手違いの同一構成である。このため、幅方向DW1の他方に位置する捩じりコイルバネ40Sの説明は省略する。
【0071】
捩じりコイルバネ40Sは、圧板本体32の支持部34と当接部材40との間に配置されている。より詳しくは、捩じりコイルバネ40Sは、コイル部分が支持軸34Aに外挿された状態で円筒部34Bに囲まれるように支持部34に装着される。
【0072】
この状態で、スリット34Cは、捩じりコイルバネ40Sの一端部40S1を係止する。捩じりコイルバネ40Sの他端部40S2は、幅方向DW1の一方に突出する。
【0073】
当接部材40は、第1軸心X40周りに揺動可能に圧板本体32に支持されている。より詳しくは、当接部材40は、被支持部45、延出部43、第1当接部41、第2当接部42及び誘い込み部46を有している。
【0074】
図11(a)及び(b)に示すように、被支持部45は、圧板本体32の支持軸34が挿入されることにより、第1軸心X40周りに揺動可能に圧板本体32に支持されるとともに、捩じりコイルバネ40Sの他端部40S2を係止する。
【0075】
図10に示すように、延出部43は、被支持部45から第1軸心X40の径外方向に延びている。第1当接部41は、延出部43の先端側に位置している。第1当接部41の先端は、幅方向DW1から見て、半円状である。第2当接部42は、延出部43の先端側で第1当接部41に隣接し、幅方向DW1の他方、すなわち圧板本体32側に向かって突出する円柱である。
【0076】
誘い込み部46は、被支持部45に接続する外フランジの一部であって、第1軸心X40の径外方向に突出している。誘い込み46は、誘い込み面46Aを有している。誘い込み面46Aは、誘い込み46の頂点から延出部43に向かって緩やかに湾曲している。
【0077】
図11(a)及び(b)に示すように、当接部材40は、小片44D、44Eを有している。小片44D、44Eは、被支持部45に接続する外フランジにおける離れた2か所に接続し、幅方向DW1の他方に延びた後に第1軸心X40の径内方向に屈曲している。
【0078】
当接部材40は、以下のようにして、支持部34に組み付けられる。
【0079】
図10に示すように、延出部43を上に向けた姿勢である当接部材40を支持軸34に浅く挿入し、図11(a)に示すように、支持軸34が捩じりコイルバネ40Sの他端部40S2を係止する状態とする。この状態では、小片44D、44Eは、抜け止め片34D、34Eよりも幅方向DW1の一方に位置している。
【0080】
次に、図11(b)に示すように、当接部材40を捩じりコイルバネ40Sの付勢力に抗して図11の紙面反時計方向に揺動させ、小片44D、44Eを幅方向DW1から見て抜け止め片34D、34Eと重ならない位置に移動させる。
【0081】
次に、当接部材40を支持軸34に深く挿入し、小片44D、44Eを抜け止め片34D、34Eよりも幅方向DW1の他方に移動させた後、捩じりコイルバネ40Sの付勢力によって、当接部材40を図11の紙面時計方向に揺動させる。
【0082】
その結果、図7に示すように、第2当接部42の上端が被当接部33に当接し、第1軸心X40の周方向において当接部材40が位置決めされる。この状態で、小片44D、44Eは、幅方向DW1から見て抜け止め片34D、34Eと重なる位置にあって、被支持部45が支持軸34から抜けることを規制する。
【0083】
こうして、当接部材40は、図7に示すように、第2当接部42の上端が被当接部33に当接する第1位置と、図13に示すように、第2当接部42の上端が被当接部3から下方、かつ前方に離間する第2位置と、に移動可能に圧板本体32に支持されている。捩じりコイルバネ40Sは、当接部材40を図7に示す第1位置に向けて付勢している。
【0084】
図2図3図8図9図12及び図14に示す当接部材40の位置も、第1位置である。
【0085】
<昇降機構>
図2及び図3に示すように、画像形成装置1は、圧板31を非給送位置と給送位置とに上下動させるための昇降機構6を備えている。
【0086】
昇降機構6は、幅方向DW1に延びる伝達軸69を有している。図示は省略するが、伝達軸69の幅方向DW1の一方の端部は、図示しない駆動源及び伝達機構に接続されている。伝達軸69は、図示しない駆動源及び伝達機構からの駆動力が伝達されたときに、図7の紙面反時計方向に回動する。
【0087】
図2及び図3に示すように、昇降機構6は、2組の伝達ギヤ68及び昇降アーム60を有している。昇降アーム60は、本発明の「昇降部材」の一例である。
【0088】
一方の組の伝達ギヤ68及び昇降アーム60は、幅方向DW1の一方に位置する当接部材40よりも後方に位置している。他方の組の伝達ギヤ68及び昇降アーム60は、幅方向DW1の他方に位置する当接部材40よりも後方に位置している。
【0089】
一方の組の伝達ギヤ68及び昇降アーム60と、他方の組の伝達ギヤ68及び昇降アーム60とは、勝手違いの同一構成である。このため、一方の組の伝達ギヤ68及び昇降アーム60の構成について詳しく説明し、他方の組の伝達ギヤ68及び昇降アーム60については説明を省略する。
【0090】
伝達ギヤ68は扇型ギヤであり、伝達軸69と一体で回動可能である。伝達ギヤ68は、引っ張りコイルバネ68Sによって、図7の紙面時計方向に回動するように付勢されている。伝達ギヤ68は、図示しない駆動源及び伝達機構からの駆動力が伝達軸69に伝達されたときに、伝達軸69と一体で図7の紙面反時計方向に回動する。
【0091】
図2及び図3に示すように、昇降アーム60は、伝達軸69よりも前方で幅方向DW1に延びる第2軸心X60周りに揺動可能である。昇降アーム60は、扇型ギヤ62、アーム部63及び作用部64を有している。
【0092】
扇型ギヤ62は、第2軸心X60を中心として円弧状に並ぶ複数のギヤ歯である。扇型ギヤ62は、伝達ギヤ68と噛み合っている。
【0093】
アーム部63は、第2軸心X60の径外方向であって、前向きに延びている。作用部64は、アーム部63の先端側に形成されている。作用部64は、当接部材40の第1当接部41の下方に位置しており、第1当接部41に当接可能である。
【0094】
伝達ギヤ68が図7の紙面反時計方向に回動することにより、アーム部63は、前向きに下り傾斜する位置まで揺動する。この際、作用部64は、圧板31の当接部材40に下から当接しながら下降することで、圧板31の圧板本体32を下降させ、さらに、当接部材40から下方に離間する。
【0095】
その一方、伝達ギヤ68が図8の紙面時計方向に回動することにより、アーム部63は、前向きに上り傾斜する位置まで揺動する。この際、作用部64は、圧板31の当接部材40に下から当接することで、圧板31の圧板本体32を上昇させる。
【0096】
こうして、昇降アーム60は、圧板31を上下動させるように移動可能となっている。
【0097】
画像形成装置1は、正常な状態で、図2図3及び図7図9に示すように、圧板31が上で昇降アーム60が下という位置関係にある。ここで、圧板31と昇降アーム60との上下関係は、圧板31における給送方向DF1の下流端側と、昇降アーム60の作用部64との関係である。
【0098】
しかしながら、画像形成装置1は、図12に示すように、例えば、給送時に詰まったシートSHを除去する場合や、停電等により給送時に動作が急に停止された場合等において圧板31が上下動すると、非給送位置にある圧板31の圧板本体32が昇降アーム60の作用部63よりも下方に入り込んでしまって、圧板31が上で昇降アーム60が下という位置関係が逆転してしまうおそれがある。
【0099】
なお、図12に二点鎖線で示す昇降アーム60の位置は、詰まったシートSHを除去するために筐体9の前面9Sを構成するフロントカバーを開放したときに、伝達軸69が図示しない伝達機構に規制されなくなり、引っ張りコイルバネ68Sの付勢力によって、昇降アーム60が最も上昇した位置である。
【0100】
<圧板が上で昇降アームが下という位置関係にある場合の当接部材の作用>
圧板31が上で昇降アーム60が下という位置関係にある場合において、当接部材40は、図8及び図9に示すように、昇降アーム60が圧板31を非給送位置から給送位置に向けて移動させるために上昇するときに、第2当接部42の上端が被当接部33に当接する第1位置にあって、第1当接部41が昇降アーム60の作用部64と当接する。これにより、当接部材40は、圧板本体32と共に押し上げられる。その結果、圧板31は、給送位置に移動する。
【0101】
また、圧板31が上で昇降アーム60が下という位置関係にある場合において、当接部材40は、昇降アーム60が圧板31を図8及び図9に示す給送位置から図7等に示す非給送位置に向けて移動させるために下降するときに、第2当接部42の上端が被当接部33に当接する第1位置にあって、第1当接部41が昇降アーム60の作用部64と当接して圧板本体32と共に下降する。圧板31が非給送位置に移動して停止すると第1当接部41も停止し、下降する作用部64から離れる。
【0102】
<圧板が上で昇降アームが下という位置関係が逆転した場合の当接部材の作用>
図12に示すように、当接部材40は、非給送位置にある圧板31の圧板本体32が昇降アーム60の作用部63よりも下方に入り込んでしまって、圧板31が上で昇降アーム60が下という位置関係が逆転した場合において、以下のように作用する。
【0103】
すなわち、昇降アーム60が圧板31よりも上方から圧板31よりも下方に向けて移動する場合、図13に示すように、昇降アーム60の作用部64が第1当接部41に上から当接しながら下降することで、第1当接部41に下向きの押圧力が作用する。
【0104】
これにより、当接部材40は、捩じりコイルバネ40Sの付勢力に抗して、図13の紙面反時計方向に揺動する。つまり、当接部材40は、昇降アーム60との当接に応じて昇降アーム60から退避する第2位置に移動する。これにより、昇降アーム60は、当接部材40の第1当接部41に妨げられることなく下降できる。
【0105】
そして、昇降アーム60の作用部64が第1当接部41から下方に離間して、昇降アーム60が圧板31よりも下方に移動すると、図7に示すように、当接部材40は、捩じりコイルバネ40Sの付勢力によって図7の紙面時計方向に揺動し、第1位置に移動する。
【0106】
<誘い込み部の作用>
図12に示すように、圧板31が上で昇降アーム60が下という位置関係が逆転した場合において、図14に示すように、給送トレイ3が展開位置から収容位置に移動する場合、誘い込み部46は、以下のように作用する。
【0107】
すなわち、誘い込み部46の頂点は、上昇した昇降アーム60の作用部64よりも上方を移動する。そして、誘い込み面46Aが昇降アーム60の作用部64に摺接しながら昇降アーム60を誘い込み部46よりも下方に誘い込む。
【0108】
この際、作用部64から誘い込み面46Aに作用する押圧力は、圧板本体32の回動軸32A、32Bをリンクレール36A、36Bの第1レール端部36A1、36B1に向けてスライドさせるように作用する。その結果、給送トレイ3が収容位置にスムーズに移動できる。
【0109】
<作用効果>
実施例1の画像形成装置1は、図12に示すように、例えば、給送時に詰まったシートSHを除去する場合や、停電等により給送時に動作が急に停止された場合等において圧板31が上下動すると、圧板31が上で昇降アーム60が下という位置関係が逆転してしまうおそれがある。
【0110】
この点、この画像形成装置1において、圧板31は、圧板本体32と当接部材40とを有している。つまり、圧板31は、2つに分けられている。そして、図13に示すように、圧板31と昇降アーム60との位置関係を元に戻すために昇降アーム60を圧板31よりも上方から圧板31よりも下方に向けて移動させる場合、当接部材40が昇降アーム60との当接に応じて第2位置に移動して昇降アーム60から退避する。その結果、昇降アーム60は、当接部材40に妨げられることなく、圧板31よりも下方に到達でき、その後に当接部材40が第1位置に移動することで異常を解消できる。
【0111】
したがって、実施例1の画像形成装置1は、圧板31が上で昇降アーム60が下という位置関係が逆転した場合でも容易に元に戻すことができ、圧板31又は昇降アーム60の破損を抑制できる。
【0112】
また、この画像形成装置1において、図10及び図11に示すように、圧板31は、圧板本体32と当接部材40との間に配置され、当接部材40を第1位置に向けて付勢する捩じりコイルバネ40Sを有している。この構成により、当接部材40は、捩じりコイルバネ40Sに付勢され、かつ第2当接部42の上端が圧板本体32の被当接部33に規制されることにより、第1位置に確実性高く保持される。そして、当接部材40は、昇降アーム60との当接に応じて第2位置に移動した後、第1位置に確実性高く復帰できる。
【0113】
さらに、この画像形成装置1において、図9に示すように、当接部材40は、第1当接部41と、第1当接部41から幅方向DW1における圧板本体32側に向かって突出した第2当接部42と、を有している。つまり、第1当接部41及び第2当接部42は、幅方向DW1において互いに隣接している。これにより、当接部材40は、圧板を非給送位置から給送位置に向けて移動させるために上昇する昇降アーム60から圧板本体32に伝達される力の伝達ロスを抑制できる。
【0114】
また、この画像形成装置1において、当接部材40は、被支持部45及び延出部43を有している。そして、第1当接部41は延出部43の先端側に位置し、第2当接部42は延出部43の先端側で第1当接部41に隣接している。これにより、この画像形成装置1は、第1当接部41及び第2当接部42を簡素化でき、当接部材40が幅方向DW1において嵩張ることを抑制できる。その結果、この画像形成装置1は、幅方向DW1における大型化を抑制できる。
【0115】
さらに、この画像形成装置1において、図7及び図13に示すように、当接部材40は、幅方向DW1に延びる第1軸心X40周りに揺動可能に圧板本体32に支持されている。これにより、この画像形成装置1は、当接部材40が幅方向DW1において嵩張ることを抑制でき、その結果、幅方向DW1における大型化を抑制できる。
【0116】
また、この画像形成装置1において、昇降アーム60は、扇型ギヤ62、アーム部63及び作用部64を有し、第2軸心X60周りに揺動可能である。この構成により、昇降アーム60が圧板31よりも上方から圧板31よりも下方に向けて移動するときに、当接部材40は、昇降アーム60の作用部64との当接に応じて第2位置にスムーズに移動して昇降アーム60から確実に退避できる。その結果、昇降アーム60の破損を抑制できる。
【0117】
さらに、この画像形成装置1において、図14に示すように、当接部材40は、誘い込み部46を有している。そして、給送トレイ3が展開位置から収容位置に移動する場合において、誘い込み部46の頂点は、上昇した昇降アーム60の作用部64よりも上方を移動する。そして、誘い込み面46Aが昇降アーム60の作用部64に摺接しながら昇降アーム60を誘い込み部46よりも下方に誘い込む。
【0118】
その結果、この画像形成装置1は、給送トレイ3が展開位置から収容位置に移動する場合において圧板31が上で昇降アーム60が下という位置関係が逆転してしまうことを抑制できる。
【0119】
また、この画像形成装置1において、図5に示すように、リンクレール36A、36Bは、絞り形状部分36Cを有している。これにより、給送トレイ3が収容位置から展開位置に移動するときに、絞り形状部分36Cが回動軸32A、32Bに付与する抵抗によって圧板31の落下を抑制できる。その結果、この画像形成装置1は、圧板31が昇降アーム60の下にもぐり込むことを抑制できるとともに、圧板31の落下による衝撃音を抑制できる。
【0120】
(実施例2)
図15及び図16に示すように、実施例2の画像形成装置において、給送トレイ3は、捩じりコイルバネ30Sを有している。捩じりコイルバネ30Sは、本発明の「第2付勢手段」の一例である。
【0121】
捩じりコイルバネ30Sの一端部30S1は、給送トレイ本体30の内面35Tにおける給送方向DF1の下流端に係止されている。捩じりコイルバネ30Sの他端部30S2は、給送方向DF1の下流に向かうにつれて内面35Tから離れるように突出し、圧板本体32に下から当接している。
【0122】
図示は省略するが、捩じりコイルバネ30Sの他端部30S2は、圧板本体32における幅方向DW1の中央に下から当接している。
【0123】
捩じりコイルバネ30Sは、圧板本体32を上向きに押すことにより、圧板31を非給送位置から給送位置に近づくように付勢している。
【0124】
実施例2のその他の構成は実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0125】
<作用効果>
実施例2の画像形成装置において、捩じりコイルバネ30Sは、給送トレイ3に支持されるシートSHの枚数の多少に応じて、すなわち、シートSHの重量の増減に応じて、圧板31が非給送位置から給送位置に近づく距離を変化させる。そして、例えば、給送時に詰まったシートSHを除去する場合や、停電等により給送時に動作が急に停止された場合等において圧板31が上下動するとき、一般的に、給送トレイ3に支持されるシートSHの枚数がゼロか極めて少ない。このため、捩じりコイルバネ30Sに付勢された圧板31が非給送位置から給送位置に近づく距離が大きくなる。その結果、この画像形成装置は、圧板31が上下動するときに、圧板31が上で昇降アーム60が下という位置関係が逆転してしまうことを抑制できる。
【0126】
また、この画像形成装置において、給送トレイ3が収容位置から展開位置に移動するときに、落下しようとする圧板31の圧板本体32に対して、捩じりコイルバネ30Sの他端部30S2が付勢力を作用させながら摺接して抵抗を付与する。その結果、この画像形成装置は、圧板31の落下による衝撃音を抑制できる。
【0127】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0128】
実施例1、2では、当接部材40は、幅方向DW1に延びる第1軸心X40周りに揺動するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、当接部材は、給送方向に延びる揺動軸心周りに揺動して、第1位置と、第1位置よりも下方で給送トレイにおける幅方向の中央に接近した第2位置と、に移動してもよい。また、当接部材は、給送トレイの幅方向に直動して、第1位置と、第1位置と同じ高さで給送トレイにおける幅方向の中央に接近した第2位置と、に移動してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は例えば、画像形成装置、画像読取装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0130】
1…シート給送装置(画像形成装置)、SH…シート
21…給送ローラ、3…給送トレイ、31…圧板
60…昇降部材(昇降アーム)、32…圧板本体、40…当接部材
40S…第1付勢手段(捩じりコイルバネ)、41…第1当接部
DW1…給送トレイの幅方向、42…第2当接部、X40…第1軸心
45…被支持部、43…延出部、X60…第2軸心
62…扇型ギヤ、63…アーム部、64…作用部
9…筐体、9S…筐体の側面(前面)
46…誘い込み部、91A、91B…リンクアーム
91A1、91B1…リンクアームの一端
91A2、91B2…リンクアームの他端
X32…第3軸心、32A、32B…回動軸
36A、36B…リンクレール
36A1、36B1…第1レール端部、36A2、36B2…第2レール端部
36C…絞り形状部分、30S…第2付勢手段(捩じりコイルバネ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16