(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134198
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 15/02 20060101AFI20220908BHJP
B65H 29/70 20060101ALI20220908BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B65H15/02 E
B65H29/70
B41J11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033175
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】加島 英剛
(72)【発明者】
【氏名】山岸 亮太
【テーマコード(参考)】
2C058
3F053
3F102
【Fターム(参考)】
2C058AB02
2C058AB16
2C058AC07
2C058AC17
2C058AE02
2C058AE09
2C058AF04
2C058AF15
2C058AF55
2C058AF65
3F053HA03
3F053HA08
3F053HB01
3F053LA07
3F053LB03
3F102AA11
3F102AB02
3F102BA11
3F102BB17
3F102EA03
(57)【要約】
【課題】処理装置において、小型化を図りつつ、ジャムの発生を抑制する。
【解決手段】処理装置の一例である印刷装置1は、媒体Mに印刷(処理の一例)を行う第1印刷部10(第1処理部の一例)と、この第1印刷部10によって印刷が行われた媒体Mに印刷(処理の一例)を行う第2印刷部20(第2処理部の一例)と、搬送経路30に沿って媒体Mを搬送する搬送部(例えば、第1吸着搬送部40、第2吸着搬送部50、及び搬送ローラ対81~87)とを備える。搬送経路30は、第1印刷部10によって印刷が行われる媒体Mを搬送するための第1直進部31と、この第1直進部31とは異なる角度をなし、第2印刷部20によって印刷が行われる媒体Mを搬送するための第2直進部32と、第1直進部31と第2直進部32との間に設けられ、第1直進部31と第2直進部32とで媒体Mの表裏を反転させるように湾曲する湾曲部33とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に処理を行う第1処理部と、
前記第1処理部によって処理が行われた前記媒体に処理を行う第2処理部と、
搬送経路に沿って前記媒体を搬送する搬送部とを備え、
前記搬送経路は、前記第1処理部によって処理が行われる前記媒体を搬送するための第1直進部と、当該第1直進部とは異なる角度をなし、前記第2処理部によって処理が行われる前記媒体を搬送するための第2直進部と、前記第1直進部と前記第2直進部との間に設けられ、前記第1直進部と前記第2直進部とで前記媒体の表裏を反転させるように湾曲する湾曲部とを有する
ことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記第1直進部及び前記第2直進部は、前記湾曲部から離れるほど互いに近づく
ことを特徴とする請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
前記第1直進部及び前記第2直進部は、水平に対する傾きが互いに同一である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の処理装置。
【請求項4】
前記第1処理部は、前記媒体に印刷を行う印刷部であり、
前記湾曲部に配置され、前記媒体のカールを矯正するカール矯正部を更に備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば印刷部を備える印刷装置である、処理部を備える処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1の記録ヘッドが設けられる位置と第2の記録ヘッドが設けられる位置との間で記録媒体を反転させるUターン搬送を行う記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の記録装置のように、両面印刷を行うための2つの印刷部を備える印刷装置において、2つの印刷部を上下に配置し、U字形状の搬送経路で繋ぐことで、印刷装置の小型化を図ることができる。
【0005】
このような印刷装置において、幅方向をさらに小型化する方法について、
図4に示す参考技術における印刷装置101を例に説明する。
【0006】
図4に示す印刷装置101は、媒体Mの表面に印刷を行う第1印刷部110と、媒体Mの裏面に印刷を行う第2印刷部120と、搬送経路130と、第1印刷部110に対向するように配置された第1吸着搬送部140と、第2印刷部120に対向するように配置された第2吸着搬送部150とを備える。
【0007】
搬送経路130は、第1印刷部110及び第1吸着搬送部140が配置され、水平に延びる第1直進部131と、第2印刷部120及び第2吸着搬送部150が配置され、第1直進部131の上方において水平に延びる第2直進部132と、第1直進部131と第2直進部132との間に設けられ、媒体Mの表裏を反転させるU字形状の湾曲部133とを有する。
【0008】
図4に示す印刷装置101において、湾曲部133の曲率半径(曲率中心C1)を、2点鎖線で示す湾曲部134の曲率半径(曲率中心C2)よりも大きくし、湾曲部133の中心角θ4を180度の中心角θ5よりも小さくすることによって、湾曲部133を第1直進部131,132と垂直に近い形で接続し、印刷装置101の左右方向の幅を抑えることができる。
【0009】
しかしながら、特に媒体Mが厚紙である場合においては、媒体Mが垂直形状の経路を曲がりにくくなるため、上述の湾曲部133を用いることはジャム発生の要因となる。また、表面印刷終了から裏面印刷開始までの搬送経路130(搬送時間)が短い場合、特に水性インクによるインクジェットプリント等で印刷直後に媒体変形が生じると、それが裏面印刷部での媒体のヘッド接触やジャムの発生に繋がる。なお、装置の小型化に伴う上述のジャムの発生は、印刷装置に限らず、検査を行う検査装置などの、印刷以外の処理を行う処理装置においても同様に生じる。
【0010】
本発明の目的は、小型化を図りつつ、ジャムの発生を抑制することができる処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの態様では、処理装置は、媒体に処理を行う第1処理部と、前記第1処理部によって処理が行われた前記媒体に処理を行う第2処理部と、搬送経路に沿って前記媒体を搬送する搬送部とを備え、前記搬送経路は、前記第1処理部によって処理が行われる前記媒体を搬送するための第1直進部と、当該第1直進部とは異なる角度をなし、前記第2処理部によって処理が行われる前記媒体を搬送するための第2直進部と、前記第1直進部と前記第2直進部との間に設けられ、前記第1直進部と前記第2直進部とで前記媒体の表裏を反転させるように湾曲する湾曲部とを有する。
【発明の効果】
【0012】
前記態様によれば、小型化を図りつつ、ジャムの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施の形態における印刷装置の内部構造を示す正面図である。
【
図2】一実施の形態における印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施の形態における印刷装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図4】参考技術における搬送経路を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る処理装置について、印刷装置を一例として図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、一実施の形態における印刷装置1の内部構造を示す正面図である。
【0016】
図2は、印刷装置1の制御構成を示すブロック図である。
【0017】
【0018】
なお、
図1及び
図3に示す前後、上下、及び左右の各方向は、説明の便宜上の方向にすぎないが、例えば、前後方向及び左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。
【0019】
図1に示すように、印刷装置1は、第1印刷部10と、第2印刷部20と、搬送経路30と、第1吸着搬送部40と、第2吸着搬送部50と、供給部60と、排出部70と、搬送ローラ対81~87とを備える。また、
図2に示すように、印刷装置1は、制御部91と、記憶部92と、インターフェース部93と、搬送駆動部94とを更に備える。
【0020】
第1印刷部10は、各色分のラインヘッド型インクジェットヘッドを有し、搬送経路30の第1直進部31を搬送される媒体Mの表面(第1面の一例)に印刷を行う。なお、媒体Mは、例えば用紙(枚葉紙)であるが、フィルム等のシートなどであってもよい。
【0021】
なお、第1印刷部10の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。後述するように、湾曲部33において搬送ローラ対82~85によって媒体Mのカールを矯正することができるため、カール矯正の観点では、媒体Mにカールが生じやすい水性インクが用いられる場合に特に有効である。
【0022】
第2印刷部20は、各色分のラインヘッド型インクジェットヘッドを有し、第1印刷部10によって媒体Mの表面に印刷が行われて搬送経路30の第2直進部32を搬送される媒体Mの裏面(第1面の反対側の第2面の一例)に印刷を行う。
【0023】
なお、第1印刷部10は、媒体Mに処理を行う第1処理部の一例であり、第2印刷部20は、第1処理部(第1印刷部10)によって処理が行われた媒体Mに処理を行う第2処理部の一例である。これらの処理部としては、検査等の印刷以外の処理を行うものであってもよい。また、例えば、第1処理部が印刷部(第1印刷部10)で第2処理部が印刷結果の検査を行う検査部であってもよい。なお、第1処理部及び第2処理部の両方ともに印刷部が配置されず、検査部のみが配置される場合、処理装置は、印刷装置1ではなく検査装置と呼ぶことができる。
【0024】
搬送経路30は、第1直進部31と、第2直進部32と、湾曲部33とを有する。
【0025】
第1直進部31は、第1印刷部10によって印刷が行われる媒体Mを搬送するためのもの経路である。第1直進部31は、媒体Mの搬送方向(
図1における右側)に向かって下方に傾斜しており、第1直進部31と
図1に点線で示す水平Hとのなす角度θ1は、0度よりも大きく90度未満である。
【0026】
第2直進部32は、第2印刷部20によって印刷が行われる媒体Mを搬送するためのもの経路である。第2直進部32は、媒体Mの搬送方向(
図1における左側)に向かって下方に傾斜しており、第2直進部32と水平Hとのなす角度θ2は、0度よりも大きく90度未満である。
【0027】
湾曲部33は、第1直進部31と第2直進部32との間に設けられ、第1直進部31と第2直進部32とで媒体Mの表裏を反転させるように湾曲する。このように湾曲部33が湾曲することによって、第1直進部31と第2直進部32とは上下に並ぶことになり、
図1に示す例では、第1直進部31が第2直進部32の下方に位置する。なお、第2直進部32(第2印刷部20及び第2吸着搬送部50)が、第1直進部31(第1印刷部10及び第1吸着搬送部40)の下方に位置していてもよい。
【0028】
湾曲部33は、曲率中心Cで中心角が180度を超える角度θ3の円弧をなす。そして、第1直進部31及び第2直進部32は、湾曲部33の接線方向に設けられている。これにより、第1直進部31及び第2直進部32は、湾曲部33から離れるほど互いに近づく。
【0029】
ここで、第1直進部31と第2直進部32とは、ともに搬送方向に向かって下方に傾斜しているが、湾曲部33において媒体Mの表裏が反転するため、水平Hに対する傾きの向きが異なる。したがって、第1直進部31と第2直進部32とは、平行にはならず、異なる角度をなす。
【0030】
第1直進部31と水平Hとのなす角度θ1、及び、第2直進部32と水平Hとのなす角度θ2は、上述のように傾きの向きが異なるが、傾き(角度θ1,θ2)が互いに同一であるとよい。
【0031】
なお、湾曲部33は、曲率中心Cの円弧をなすが、全体に亘って曲率中心Cが一定でなくともよい。また、湾曲部33の中心角θ3は、180度を超えるが、180度未満であってもよい。その場合には、第1直進部31と第2直進部32とは、湾曲部33から離れるほど互いに遠ざかる傾きで、湾曲部33の接線方向に設けられるとよい。また、第1直進部31と第2直進部32とのうち一方が水平に設けられていてもよい。
【0032】
また、媒体Mの厚さ、媒体Mの搬送方向における長さ、印刷装置1の第1印刷部10で用いられるインクの種類(例えば、水性インクであるか否か)、搬送ローラ対81~87の数などによって、第1直進部31と湾曲部33との接続部分や湾曲部33と第2直進部32との接続部分におけるジャムの発生のしやすさが異なる。そのため、印刷装置1において、仕様上、ジャムが発生しやすい条件(例えば、厚紙で且つ搬送方向に長い媒体M)で媒体Mの搬送を繰り返す実験を行い、ジャムの発生確率が基準以下となるように、湾曲部33の曲率半径Rや、第1直進部31及び第2直進部32の傾きθ1,θ2などが決定されるとよい。
【0033】
第1吸着搬送部40は、第1印刷部10に対向するように第1印刷部10の下方に配置されている。第1吸着搬送部40は、例えば、複数のプーリに掛け渡された無端帯状のベルトと、このベルトに設けられた複数の貫通孔を介してエアを吸引することによって媒体Mをベルトに吸着させる吸引ファンとを有するとよい。第1印刷部10及び第1吸着搬送部40は、第1直進部31に配置されているため、第1直進部31と同様に水平Hに対して角度θ1傾いて配置されている。
【0034】
第2吸着搬送部50は、第2印刷部20に対向するように第2印刷部20の下方に配置されている。第2吸着搬送部50は、第1吸着搬送部40と同様に、例えば、複数のプーリに掛け渡された無端帯状のベルトと、このベルトに設けられた複数の貫通孔を介してエアを吸引することによって媒体Mをベルトに吸着させる吸引ファンとを有するとよい。第2印刷部20及び第2吸着搬送部50は、第2直進部32に配置されているため、第2直進部32と同様に水平Hに対して角度θ2傾いて配置されている。
【0035】
供給部60は、印刷装置1の内部に媒体Mを供給する。供給部60は、媒体Mが積載される積載台、この積載台に積載された媒体Mを繰り出す繰り出しローラ或いは繰り出しベルトである繰り出し部、この繰り出し部を駆動する繰り出し駆動部(例えば、モータなどのアクチュエータ)などを有するとよい。なお、供給部60は、エアによって浮上させた媒体Mを印刷装置1の内部に供給するものなどであってもよい。また、
図1では、供給部60が水平に媒体Mを供給して、第1直進部31の搬送方向上流側で搬送経路30が湾曲しているように表されているが、供給部60が第1直進部31と平行に媒体Mを供給してもよい。
【0036】
排出部70は、第1印刷部10及び第2印刷部20によって印刷が行われた媒体Mを排出する。排出部70は、印刷済みの媒体Mが積載される積載台、この積載台に向けて媒体Mを排出する排出ローラ或いは排出ベルトである排出部材、この排出部材を駆動する排出駆動部(例えば、モータなどのアクチュエータ)などを有するとよい。また、
図1では、第1直進部32の搬送方向下流側で搬送経路30が水平に湾曲し、排出部70へ水平に媒体Mが排出されるように表されているが、排出部70へ第2直進部32と平行に媒体Mが排出されてもよい。
【0037】
搬送ローラ対81~87並びに上述の第1吸着搬送部40及び第2吸着搬送部50は、搬送経路30に沿って媒体Mを搬送する搬送部の一例である。
【0038】
搬送ローラ対81は、第1直進部31において、第1印刷部10の搬送方向における上流側に配置され、媒体Mが突き当てられることによって媒体Mの斜行を補正するレジストローラ対である。
【0039】
搬送ローラ対82~86は、湾曲部33に配置されている。これらの5対の搬送ローラ対82~86のうちの4対の搬送ローラ対82~85は、湾曲部33のうち第1直進部31側(搬送方向上流側)に配置され、残りの1対の搬送ローラ対86は、湾曲部33のうち第2直進部32側(搬送方向下流側)に配置されている。このように湾曲部33のうち第1直進部31側(搬送方向上流側)において、第2直進部32側(搬送方向下流側)よりも搬送ローラ対82~86の搬送方向における間隔が狭くなることによって、搬送ローラ対82~85は、媒体Mのカールを矯正するカール矯正部の一例として機能する。このカール矯正部としては、ソフトローラとハードローラとの対であるデカールローラ、他の搬送ローラ対よりも径が大きい或いはカールを矯正しやすい材質のローラ対などが用いられてもよい。
【0040】
搬送ローラ対87は、第2直進部32において、第2印刷部20の搬送方向における上流側に配置され、媒体Mが突き当てられることによって媒体Mの斜行を補正するレジストローラ対である。
【0041】
なお、
図3に示すように、搬送ローラ対81~87のそれぞれは、回転軸方向(前後方向)に複数対配置されている。
【0042】
図2に示す制御部91は、印刷装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、印刷装置1の各部を制御する。例えば、制御部91は、後述する搬送駆動部94の駆動制御によって、第1吸着搬送部40、第2吸着搬送部50、及び搬送ローラ対81~87による媒体Mの搬送速度を調整する。
【0043】
記憶部92は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する。
【0044】
インターフェース部93は、外部機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部93は、ユーザ端末から印刷ジョブ(印刷データ)を受信する。
【0045】
搬送駆動部94は、第1吸着搬送部40、第2吸着搬送部50、及び搬送ローラ対81~87のうちの1つ又は複数を駆動する例えば1つ以上のモータなどのアクチュエータである。
【0046】
その他、印刷装置1は、ユーザの各種操作を受け付けるタッチパネル等の操作パネル、ユーザに各種情報を表示するディスプレイ、原稿の画像を読み取るスキャナなどを備えるとよい。
【0047】
以下、印刷装置1の動作について上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら説明する。
【0048】
まず、
図2に示す制御部91は、例えば、インターフェース部93がユーザ端末から印刷ジョブを受信することに基づいて、供給部60に媒体Mを供給させる。供給部60から供給された媒体Mは、第1直進部31において搬送ローラ対81及び第1吸着搬送部40によって搬送されながら、第1印刷部10によって例えば表面に印刷が行われる。また、媒体Mは、湾曲部33において搬送ローラ対82~86によって搬送されて表裏が反転する。また、媒体Mは、第2直進部32において搬送ローラ対87及び第2吸着搬送部50によって搬送されながら、第2印刷部20によって例えば裏面に印刷が行われる。
【0049】
第2印刷部20によって印刷が行われた媒体Mは、排出部70によって排出される。
【0050】
ここで、第1印刷部10の印刷に用いられるインクが水性インクである場合には、水性インク以外のインクが用いられる場合と比較して、媒体Mにカールが生じやすく、第1直進部31と湾曲部33との接続部分や、湾曲部33と第2直進部32との接続部分においてジャムが発生したり、或いは第2印刷部20に接触したりしやすい。また、媒体Mが厚紙である場合や搬送方向に長い場合や第1印刷部10における印字率が高い場合には、媒体Mが薄紙である場合や搬送方向に短い場合や第1印刷部10のける印字率が低い場合よりも、第1直進部31と湾曲部33との接続部分や、湾曲部33と第2直進部32との接続部分においてジャムが発生しやすい。
【0051】
そのため、制御部91は、水性インクが用いられる場合や媒体Mが厚紙である場合や媒体Mが搬送方向に長い場合や印字率が高い場合には、水性インク以外のインクが用いられる場合や媒体Mが薄紙である場合や媒体Mが搬送方向に短い場合や印字率が低い場合よりも、媒体Mの搬送速度を遅くするように搬送駆動部94を制御するとよい。なお、媒体Mの材質によってもジャムの発生しやすさは異なるため、ジャムが発生しやすい媒体Mほど搬送速度を遅くするように搬送駆動部94を制御するとよい。
【0052】
このように、制御部91は、第1印刷部10で用いられるインクの種類と、媒体Mの厚さ、長さ、材質などの種類と、媒体Mの第1印刷部10における印字率とのうちの少なくとも1つに基づいて媒体Mの搬送速度を調整するとよい。
【0053】
以上説明した本実施の形態では、印刷装置1(処理装置の一例)は、媒体Mに印刷(処理の一例)を行う第1印刷部10(第1処理部の一例)と、この第1印刷部10によって印刷が行われた媒体Mに印刷(処理の一例)を行う第2印刷部20(第2処理部の一例)と、搬送経路30に沿って媒体Mを搬送する搬送部の一例である、第1吸着搬送部40、第2吸着搬送部50、及び搬送ローラ対81~87とを備える。搬送経路30は、第1印刷部10によって印刷が行われる媒体Mを搬送するための第1直進部31と、この第1直進部31とは異なる角度をなし、第2印刷部20によって印刷が行われる媒体Mを搬送するための第2直進部32と、第1直進部31と第2直進部32との間に設けられ、第1直進部31と第2直進部32とで媒体Mの表裏を反転させるように湾曲する湾曲部33とを有する。
【0054】
このように、第1直進部31と第2直進部32とが異なる角度をなすことによって、第1直進部31及び第2直進部32と湾曲部33との接続位置の自由度が増す。そのため、湾曲部33の中心角θ3が180度を超える場合や180度未満の場合であっても、例えば、接線方向に第1直進部31及び第2直進部32を接続することで接続部分が垂直に近くなるのを回避してジャムの発生を抑制することができる。また、例えば、
図1に示すように、湾曲部33の中心角θ3を180度よりも大きくすることで第1直進部31と第2直進部32とが湾曲部33から離れるほど互いに近づくようにして印刷装置1の高さを抑えることができる。また、図示はしないが、例えば、湾曲部33の曲率半径Rを大きくして中心角θ3を180度未満とし、印刷装置1の幅を抑えた場合でも、湾曲部33の接線方向に、湾曲部33から離れるほど互いに遠ざかる第1直進部31及び第2直進部32を接続することで接続部分が垂直に近くなるのを回避してジャムの発生を抑制することができる。よって、本実施の形態によれば、小型化を図りつつ、ジャムの発生を抑制することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、第1直進部31及び第2直進部32は、湾曲部33から離れるほど互いに近づく。そのため、例えば、湾曲部33の中心角θ3を180度よりも大きくし、湾曲部33の接線方向に第1直進部31及び第2直進部32を接続することで、接続部分が垂直に近くなるのを回避してジャムの発生を抑制しても、印刷装置1の高さを抑えることができる。また、曲率半径Rを大きくしたり湾曲部33の中心角θ3を180度よりも大きくしたりすることによって、第1印刷部10と第2印刷部20との間の搬送距離(搬送時間)を延ばすことができるため、特に第1処理部が第1印刷部10である場合に、印刷によって生じた媒体Mのカールを搬送過程で矯正したり、インクの乾燥時間を確保したりすることができる。したがって、カールが生じた媒体Mに湾曲部33と第2直進部32との接続部分などでジャムが発生したり、カールが生じた媒体Mが第2処理部(第2印刷部20)に接触することによってジャムが発生したりするのを抑制することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、第1直進部31及び第2直進部32は、水平に対する傾きθ1,θ2が互いに同一である。そのため、
図1に示すように第1直進部31及び第2直進部32が湾曲部33から離れるほど互いに近づく態様、及び、図示はしないが、第1直進部31及び第2直進部32が湾曲部33から離れるほど互いに遠ざかる態様のどちらでも、第1印刷部10と第2印刷部20とのインク吐出角度の違いなどに起因する印刷性能の差異の発生を防止することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、第1処理部は、媒体Mに印刷を行う印刷部(第1印刷部10)であり、印刷装置1は、湾曲部33に配置され、媒体Mのカールを矯正するカール矯正部の一例である搬送ローラ対82~85を更に備える。これにより、第1印刷部10の印刷(特にインクが水性である場合)によって生じるカールを矯正することで、カールが生じた媒体Mに湾曲部33と第2直進部32との接続部分でジャムが発生したり、カールが生じた媒体Mが第2印刷部20に接触することによってジャムが発生したりするのを抑制することができる。
【0058】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0059】
[付記1]
媒体に処理を行う第1処理部と、
前記第1処理部によって処理が行われた前記媒体に処理を行う第2処理部と、
搬送経路に沿って前記媒体を搬送する搬送部とを備え、
前記搬送経路は、前記第1処理部によって処理が行われる前記媒体を搬送するための第1直進部と、当該第1直進部とは異なる角度をなし、前記第2処理部によって処理が行われる前記媒体を搬送するための第2直進部と、前記第1直進部と前記第2直進部との間に設けられ、前記第1直進部と前記第2直進部とで前記媒体の表裏を反転させるように湾曲する湾曲部とを有する
ことを特徴とする処理装置。
【0060】
[付記2]
前記第1直進部及び前記第2直進部は、前記湾曲部から離れるほど互いに近づく
ことを特徴とする付記1記載の処理装置。
【0061】
[付記3]
前記第1直進部及び前記第2直進部は、水平に対する傾きが互いに同一である
ことを特徴とする付記1又は2記載の処理装置。
【0062】
[付記4]
前記第1処理部は、前記媒体に印刷を行う印刷部であり、
前記湾曲部に配置され、前記媒体のカールを矯正するカール矯正部を更に備える
ことを特徴とする付記1から3のいずれか記載の処理装置。
【符号の説明】
【0063】
1 印刷装置(処理装置)
10 第1印刷部(第1処理部)
20 第2印刷部(第2処理部)
30 搬送経路
31 第1直進部
32 第2直進部
33 湾曲部
40 第1吸着搬送部
50 第2吸着搬送部
60 供給部
70 排出部
81~87 搬送ローラ対
91 制御部
92 記憶部
93 インターフェース部
94 搬送駆動部
C 曲率中心
H 水平
M 媒体
R 曲率半径