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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134235
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】羽根開閉装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/04 20210101AFI20220908BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20220908BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20220908BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
G03B11/04 B
G03B17/02
G03B19/07
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033235
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】澤登 孝司
【テーマコード(参考)】
2H054
2H083
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H054BB05
2H054BB07
2H083BB01
2H083CC01
2H083CC22
2H100AA61
2H100CC07
5C122DA09
5C122EA54
5C122FF10
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】限られたスペースに組み込むことができる薄型の羽根開閉装置を提供する。
【解決手段】羽根開閉装置1は、レンズユニットを収容する収容空間S1,S2が形成されたベース部材10と、ベース部材10の一部を覆うカバー板40と、ベース部材10とカバー板40との間に配置される羽根部材50とを備える。カバー板40には、レンズユニットの光軸P1,P2上に開口41,42が形成される。羽根部材50は、カバー板40の開口41を塞ぐことが可能な第1の遮光部53と、カバー板40の開口41に連通可能な透光開口部55と、カバー板40の開口42を塞ぐことが可能な第2の遮光部54とを含む。羽根開閉装置1は、羽根部材50の透光開口部55がカバー板40の開口41に連通する開状態から、羽根部材50の第1の遮光部53及び第2の遮光部54がそれぞれカバー板40の開口41,42を塞ぐ閉状態に羽根部材50を閉方向に移動可能な駆動アクチュエータ70を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレンズユニットを収容する第1の収容空間と第2のレンズユニットを収容する第2の収容空間とが形成されたベース部と、
前記ベース部の少なくとも一部を覆うカバー部であって、前記第1のレンズユニットの光軸上に第1の開口が形成され、前記第2のレンズユニットの光軸上に第2の開口が形成されたカバー部と、
前記ベース部と前記カバー部との間に配置される羽根部であって、
前記カバー部の前記第1の開口を塞ぐことが可能な第1の遮光部と、
前記カバー部の前記第1の開口に連通可能な透光開口部と、
前記カバー部の前記第2の開口を塞ぐことが可能な第2の遮光部と
を含む羽根部と、
前記羽根部の前記透光開口部が前記カバー部の前記第1の開口に連通する開状態から、前記羽根部の前記第1の遮光部及び前記第2の遮光部がそれぞれ前記カバー部の前記第1の開口及び前記第2の開口を塞ぐ閉状態に前記羽根部を閉方向に移動可能な駆動部と
を備える、
羽根開閉装置。
【請求項2】
前記開状態では前記羽根部は前記カバー部の前記第2の開口を塞いでいない、請求項1に記載の羽根開閉装置。
【請求項3】
前記羽根部は、単一の羽根部材により構成され、
前記駆動部は、前記羽根部材を前記閉方向に移動可能な単一の駆動アクチュエータにより構成される、
請求項1又は2に記載の羽根開閉装置。
【請求項4】
前記羽根部は、
前記第1の遮光部及び前記透光開口部を含む第1の羽根部材と、
前記第2の遮光部を含む第2の羽根部材と
を含み、
前記駆動部は、
前記第1の羽根部材を前記閉方向に移動可能な第1の駆動アクチュエータと、
前記第2の羽根部材を前記閉方向に移動可能な第2の駆動アクチュエータと
を含む、
請求項3に記載の羽根開閉装置。
【請求項5】
前記カバー部は、前記第1の羽根部材及び前記第2の羽根部材を覆う単一のカバー板により構成される、請求項4に記載の羽根開閉装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の羽根開閉装置を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根開閉装置及び電子機器に係り、特に羽根部材により開口を開閉可能な羽根開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやスマートスピーカ、ドローンをはじめとして様々な電子機器にカメラが組み込まれている。このようなカメラにおいては、レンズ開口が常に開放されているものが多く、常に撮影可能な状態であるものが多い。このような場合に、悪意を持った第三者によりカメラが操作されると、カメラによってユーザの意図しない画像や映像が取得され、これが犯罪に用いられてしまうおそれがある。
【0003】
特に、最近では、カメラを内蔵した電子機器がインターネットなどのネットワークに接続されることが多くなっているが、ネットワークに接続された電子機器は、悪意のあるプログラムによってユーザの知らない間に遠隔操作される可能性がある。電子機器が遠隔操作されると、ユーザの知らない間に撮影が行われ、カメラにより画像や映像が取得されて外部に送信されるおそれがある。このように、ユーザのプライバシー保護の観点からも、ユーザが意図していないときにカメラによる撮影を遮断できるような機構が要望されている。
【0004】
このようなカメラによる撮影を遮断する機構として、従来からカメラにおいて用いられているシャッタ機構(例えば、特許文献1参照)のようにレンズと被写体の間で羽根を開閉させる機構が考えられるが、電子機器の小型化が進むにつれて、カメラモジュールを組み込むことができるスペースも小さくなってきており、従来のシャッタ機構ではこのような限られたスペースに組み込むことが難しい。特に、近年では、複数のカメラを備えた電子機器も多くなっており、このような電子機器では利用可能なスペースがさらに小さくなってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-288327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、限られたスペースに組み込むことができる薄型の羽根開閉装置及びかかる羽根開閉装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、限られたスペースに組み込むことができる薄型の羽根開閉装置が提供される。この羽根開閉装置は、第1のレンズユニットを収容する第1の収容空間と第2のレンズユニットを収容する第2の収容空間とが形成されたベース部と、上記ベース部の少なくとも一部を覆うカバー部と、上記ベース部と上記カバー部との間に配置される羽根部とを備える。上記カバー部には、上記第1のレンズユニットの光軸上に第1の開口が形成され、上記第2のレンズユニットの光軸上に第2の開口が形成される。上記羽根部は、上記カバー部の上記第1の開口を塞ぐことが可能な第1の遮光部と、上記カバー部の上記第1の開口に連通可能な透光開口部と、上記カバー部の上記第2の開口を塞ぐことが可能な第2の遮光部とを含む。上記羽根開閉装置は、上記羽根部の上記透光開口部が上記カバー部の上記第1の開口に連通する開状態から、上記羽根部の上記第1の遮光部及び上記第2の遮光部がそれぞれ上記カバー部の上記第1の開口及び上記第2の開口を塞ぐ閉状態に上記羽根部を閉方向に移動可能な駆動部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態における羽根開閉装置を組み込んだ電子機器としてのノートパソコンを示す模式図である。
図2図2は、本発明の一実施形態における羽根開閉装置をモジュール基板とともに示す斜視図である。
図3図3は、図2の羽根開閉装置の分解斜視図である。
図4図4は、図2の羽根開閉装置のカバー板を取り外した状態の平面図である。
図5図5は、図2の羽根開閉装置におけるアクチュエータユニットの分解斜視図である。
図6図6は、図2の羽根開閉装置においてベース部材に取り付けられた駆動アクチュエータ及びストッパアクチュエータを示す平面図である。
図7A図7Aは、図5に示すアクチュエータユニットの駆動アクチュエータの動作の一例を模式的に示す平面図である。
図7B図7Bは、図5に示すアクチュエータユニットの駆動アクチュエータの動作の一例を模式的に示す平面図である。
図8図8A及び図8Bは、図7A及び図7Bに示す駆動アクチュエータによって移動された羽根部材の位置を模式的に示す平面図である。
図9A図9Aは、図5に示すアクチュエータユニットのストッパアクチュエータの動作の一例を模式的に示す平面図である。
図9B図9Bは、図5に示すアクチュエータユニットのストッパアクチュエータの動作の一例を模式的に示す平面図である。
図10A図10Aは、図5に示すアクチュエータユニットの動作の一例を模式的に示す平面図であり、駆動アクチュエータの駆動レバーは開状態にあり、ストッパアクチュエータのストッパレバーはロック位置にある状態を示している。
図10B図10Bは、図5に示すアクチュエータユニットの動作の一例を模式的に示す平面図であり、駆動アクチュエータの駆動レバーは開状態にあり、ストッパアクチュエータのストッパレバーはアンロック位置にある状態を示している。
図10C図10Cは、図5に示すアクチュエータユニットの動作の一例を模式的に示す平面図であり、駆動アクチュエータの駆動レバーは閉状態にあり、ストッパアクチュエータのストッパレバーはアンロック位置にある状態を示している。
図10D図10Dは、図5に示すアクチュエータユニットの動作の一例を模式的に示す平面図であり、駆動アクチュエータの駆動レバーは閉状態にあり、ストッパアクチュエータのストッパレバーはロック位置にある状態を示している。
図11図11は、本発明の他の実施形態における羽根開閉装置をモジュール基板とともに示す斜視図である。
図12図12A及び図12Bは、図11に示す羽根開閉装置における駆動アクチュエータによって移動された羽根部材の位置を模式的に示す平面図である。
図13図13は、本発明のさらに他の実施形態における羽根開閉装置をモジュール基板とともに示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電子機器及び羽根開閉装置の実施形態について図1から図13を参照して詳細に説明する。図1から図13において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図13においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態における羽根開閉装置1を組み込んだ電子機器としてのノートパソコン900を示す模式図である。図1に示すように、ノートパソコン900のディスプレイ部910にはカメラ用の2つの窓921,922が設けられている。これらの窓921,922に対応する箇所のノートパソコン900内にはカメラユニット(図示せず)が配置されている。羽根開閉装置1は、これらのカメラユニットに取り付けられる形でノートパソコン900内に組み込まれている。これによりカメラ機能を有するノートパソコン900が実現される。なお、この例では、羽根開閉装置1を組み込んだ電子機器としてノートパソコン900を挙げるが、本発明に係る羽根開閉装置は、ノートパソコンだけではなく、スマートスピーカやホームセキュリティカメラなどカメラ機能を備えた電子機器全般に適用できるものである。
【0011】
次に、羽根開閉装置1の詳細について説明する。図2は、本発明の一実施形態における羽根開閉装置1を示す斜視図、図3は分解斜視図、図4はカバー板を取り外した状態の平面図である。本実施形態における羽根開閉装置1は、上述したノートパソコン900に組み込まれたカメラモジュールに実装されるものであり、具体的には、レンズユニット(図示せず)が設けられたモジュール基板2に実装されるものである。本実施形態では、便宜的に、図2における+Z方向を「上」又は「上方」といい、-Z方向を「下」又は「下方」ということとする。
【0012】
図2から図4に示すように、羽根開閉装置1は、モジュール基板2に取り付けられるベース部材10(ベース部)と、ベース部材10上に設置されるアクチュエータユニット20と、ベース部材10上に載置される仕切板30と、ベース部材10の上部を覆うカバー板40(カバー部)と、カバー板40と仕切板30との間に配置される羽根部材50(羽根部)と、羽根部材50に連結されるカム板60とを備えている。ベース部材10には、2つの略直方体状の収容空間S1,S2が形成されており、これらの収容空間S1,S2の内部に、モジュール基板2に実装されたレンズユニット(図示せず)がそれぞれ収容される。
【0013】
仕切板30及びカバー板40には、一方のレンズユニットの光軸P1上にそれぞれ開口31,41が形成されており、他方のレンズユニットの光軸P2上にそれぞれ開口32,42が形成されている。図示の例では、光軸P1上に図1に示すノートパソコン900の窓921が位置し、光軸P2上に窓922が位置しており、仕切板30の開口31,32をそれぞれ通ってレンズユニットに光が入射するようになっている。したがって、仕切板30の開口31,32は、それぞれのレンズユニットに入射する光の量を決める開口(口径)として機能する。このため、仕切板30は口径板と言われることもある。なお、仕切板30は省略されてもよく、仕切板30が省略された場合は、カバー板40の開口41,42が上記の口径として機能する。
【0014】
カバー板40には複数のピン孔43が形成されており、ベース部材10に形成されたピン11がこれらのピン孔43に挿入されることによってカバー板40がベース部材10に取り付けられる。また、カバー板40には、フック部44が形成されており、ベース部材10に形成された係合爪13がこのフック部44に係合することで、カバー板40がベース部材10に固定される。なお、カバー板40の固定手段は図示のものに限られるわけではなく、例えばネジなどを用いてカバー板40をベース部材10に固定してもよい。
【0015】
仕切板30は、ベース部材10の+Z方向側(上方)に配置されるものであり、この仕切板30には、ベース部材10のピン11が挿通されるピン孔33が形成されている。カム板60は、この仕切板30の-Z方向側(下方)に配置されている。カム板60の-Z方向側(下方)には、アクチュエータユニット20に取り付けられる仕切板90が配置されている。
【0016】
羽根部材50は、仕切板30の+Z方向側(上方)に配置されている。ベース部材10は、Y方向の両縁部から+Z方向に延びるガイド部15を有しており、羽根部材50はこれらのガイド部15の間に配置されている。また、羽根部材50には、X方向に延びる複数のガイド孔52が形成されている。ベース部材10は+Z方向に突出する複数のガイドポスト16を有しており、羽根部材50のそれぞれのガイド孔52の内部にベース部材10のガイドポスト16が位置している。これにより、羽根部材50は、仕切板30とカバー板40との間に形成される羽根室の内部で、ベース部材10のガイド部15及びガイドポスト16にガイドされつつ、X方向に移動できるように構成される。
【0017】
図4に示すように、羽根部材50は、カバー板40の開口41及び仕切板30の開口31を塞ぐことが可能な第1の遮光部53と、カバー板40の開口42及び仕切板30の開口32を塞ぐことが可能な第2の遮光部54と、カバー板40の開口41及び仕切板30の開口31に連通可能な透光開口部55とを含んでいる。図4に示す状態では、羽根部材50の透光開口部55が仕切板30の開口31上に位置しており、透光開口部55が仕切板30の開口31(及びカバー板40の開口41)に連通している。また、第1の遮光部53及び第2の遮光部54はそれぞれ仕切板30の開口31,32から退避している。
【0018】
図5は、アクチュエータユニット20の分解斜視図である。図5に示すように、アクチュエータユニット20は、羽根部材50を移動させる駆動アクチュエータ70(駆動部)と、駆動アクチュエータ70の作動を規制するためのストッパアクチュエータ80と、駆動アクチュエータ70及びストッパアクチュエータ80が取り付けられる取付ベース22とを有している。
【0019】
駆動アクチュエータ70は、磁性体からなるヨーク71と、ヨーク71及び取付ベース22の周囲に巻回されるコイル73と、ベース部材10から+Z方向に延びる軸17(図3参照)に回転可能に取り付けられるロータマグネット74と、ロータマグネット74に連結された駆動レバー75とを含んでいる。本実施形態におけるヨーク71は、Z方向に薄い扁平状であり、2つのアーム部71A,71Bを含むU字形状を有している。コイル73は一方のアーム部71Bの周囲に巻回される。ロータマグネット74は、ヨーク71のアーム部71A,71Bの間に配置されており、周方向に沿って異なる磁極を有する磁石から構成されている。駆動レバー75は、ロータマグネット74の半径方向外側で+Z方向に延びる連結部76を有している。
【0020】
ストッパアクチュエータ80は、磁性体からなるヨーク81と、ヨーク81及び取付ベース22の周囲に巻回されるコイル83と、ベース部材10から+Z方向に延びる軸18(図3参照)に回転可能に取り付けられるロータマグネット84と、ロータマグネット84に連結されたストッパレバー85とを含んでいる。本実施形態におけるヨーク81は、Z方向に薄い扁平状であり、2つのアーム部81A,81Bを含むU字形状を有している。コイル83は一方のアーム部81Bの周囲に巻回される。ロータマグネット84は、ヨーク81のアーム部81A,81Bの間に配置されており、周方向に沿って異なる磁極を有する磁石から構成されている。ストッパレバー85は、ロータマグネット84の半径方向外側で+Z方向に延びる規制部86を有している。
【0021】
図5に示すように、取付ベース22には、駆動アクチュエータ70のロータマグネット74及び駆動レバー75を収容する第1の収容空間23と、ストッパアクチュエータ80のロータマグネット84及びストッパレバー85を収容する第2の収容空間24とが形成されている。また、取付ベース22には、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の連結部76が挿通される円弧状の窓25が形成されている。
【0022】
また、取付ベース22は+Z方向に延びる支軸26を有しており、カム板60にはこの支軸26が挿入される軸孔61が形成されている。取付ベース22の支軸26がカム板60の軸孔61に挿入されることによって、カム板60が支軸26を中心として回転できるようになっている。
【0023】
図3及び図5に示すように、取付ベース22は、+Y方向に突出する端子27,28を有している。羽根開閉装置1は、端子27に対応して配置される端子板110と、端子28に対応して配置される端子板120とを含んでいる。これらの端子板110,120は金属板から形成され、XZ平面に平行に延びている。
【0024】
取付ベース22の端子27には、駆動アクチュエータ70のコイル73の端部が巻き付けられている。また、端子27には、例えば図2に示すように半田100によって端子板110とともにコイル73の端部が固定される。端子板110は、モジュール基板2側(-Z方向側)の端部に接続部110Aを有している。この接続部110Aは、半田(図示せず)によってモジュール基板2の接点と電気的に接続されている。このように、駆動アクチュエータ70のコイル73は、端子板110を介してモジュール基板2内の配線(図示せず)に電気的に接続されている。
【0025】
取付ベース22の端子28には、ストッパアクチュエータ80のコイル83の端部が巻き付けられている。また、端子28には、例えば図2に示すように半田101によって端子板120とともにコイル83の端部が固定される。端子板120は、モジュール基板2側(-Z方向側)の端部に接続部120Aを有している。この接続部120Aは、半田(図示せず)によってモジュール基板2の接点と電気的に接続されている。このように、ストッパアクチュエータ80のコイル83は、端子板120を介してモジュール基板2内の配線(図示せず)に電気的に接続されている。
【0026】
本実施形態では、取付ベース22に駆動アクチュエータ70のコイル73とストッパアクチュエータ80のコイル83の双方が巻回され保持されている。このように、1つの取付ベース22に駆動アクチュエータ70のコイル73とストッパアクチュエータ80のコイル83の双方を保持することにより、部品点数を減らすとともに羽根開閉装置1全体の構成をコンパクトにすることができる。
【0027】
図6は、ベース部材10に取り付けられた駆動アクチュエータ70及びストッパアクチュエータ80を示す平面図である。図6に示すように、駆動アクチュエータ70とストッパアクチュエータ80とは、X方向において互いに向かい合うように配置されている。駆動アクチュエータ70のヨーク71の2つのアーム部71A,71Bは基部71Cから分岐して延びている。一方のアーム部71Aは、基部71Cから全体として+X方向に延びており、他方のアーム部71Bは、基部71Cから全体としてX方向に対して+Y方向側に傾いて延びている。アーム部71Bには、コイル73が巻回される。同様に、ストッパアクチュエータ80のヨーク81の2つのアーム部81A,81Bは基部81Cから分岐して延びている。一方のアーム部81Aは、基部81Cから全体として-X方向に延びており、他方のアーム部81Bは、基部81Cから全体としてX方向に対して+Y方向側に傾いて延びている。アーム部81Bには、コイル83が巻回される。駆動アクチュエータ70のヨーク71のアーム部71Aとストッパアクチュエータ80のヨーク81のアーム部81AとはX方向において隣接している。
【0028】
上記のような構成により、羽根開閉装置1内のY方向におけるスペースが限られている場合であっても、駆動アクチュエータ70とストッパアクチュエータ80とを限られたスペースに効率良く配置することが可能となる。また、XZ平面に平行に延びる端子板110,120を用いることにより、このような駆動アクチュエータ70及びストッパアクチュエータ80の効率的な配置により生じたY方向のスペースにこれらの端子板110,120を配置することができるので、羽根開閉装置1のY方向の幅を小さくすることができる。
【0029】
図7A及び図7Bは、駆動アクチュエータ70の動作の一例を模式的に示す平面図である。本実施形態における駆動アクチュエータ70においては、モジュール基板2の配線を通してコイル73に電流を通電すると、ヨーク71のアーム部71A,71Bが互いに反対の磁極に着磁(磁化)し、アーム部71A,71Bの磁力による吸引によってロータマグネット74が回転するようになっている。
【0030】
例えば、駆動アクチュエータ70のコイル73に電流を一方向に通電して、図7Aに示すようにヨーク71のアーム部71A,71Bが着磁して磁性を帯びると、ロータマグネット74の磁極がそれぞれヨーク71のアーム部71A,71Bの反対の磁極に吸引され、ロータマグネット74が時計回りに回転する。これにより、駆動レバー75は、ベース部材10の軸17を中心として時計回りに回転する。
【0031】
また、図7Aのときとは逆の方向に電流を駆動アクチュエータ70のコイル73に通電した場合には、ヨーク71のアーム部71A,71Bは図7Bに示すように着磁し、ロータマグネット74の磁極がそれぞれヨーク71のアーム部71A,71Bの反対の磁極に吸引され、ロータマグネット74が反時計回りに回転する。これにより、駆動レバー75は、ベース部材10の軸17を中心として反時計回りに回転する。
【0032】
図3に戻って、カム板60には、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の連結部76に係合するレバー係合孔63が形成されている。このレバー係合孔63の最小幅は、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の連結部76の外径よりわずかに大きい程度である。駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の連結部76は、このカム板60のレバー係合孔63に挿入されている。これにより、駆動レバー75の連結部76はカム板60のレバー係合孔63と係合し、上述のように駆動レバー75がベース部材10の軸17を中心として回転すると、カム板60がアクチュエータユニット20の取付ベース22の支軸26を中心として回転するようになっている。
【0033】
羽根部材50は、-Z方向に向かって延びる係合ピン51を有しており、カム板60には、この係合ピン51に係合するピン係合孔62が形成されている。このピン係合孔62の最小幅は、羽根部材50の係合ピン51の外径よりわずかに大きい程度である。羽根部材50から-Z方向に延びる係合ピン51は、仕切板30に形成された開口部34を通ってカム板60のピン係合孔62に挿入されている。これにより、羽根部材50の係合ピン51はカム板60のピン係合孔62と係合し、カム板60がアクチュエータユニット20の取付ベース22の支軸26を中心として回転すると、カム板60のピン係合孔62と係合している羽根部材50の係合ピン51が移動するようになっている。このとき、羽根部材50は、上述したようにベース部材10のガイド部15及びガイドポスト16にガイドされているため、羽根部材50はX方向に移動する。
【0034】
図8Aは、図2に示す状態における羽根部材50の位置を模式的に示す平面図である。この状態では、羽根部材50の透光開口部55のX方向の位置が仕切板30の開口31のX方向の位置と揃っており、羽根部材50の第1の遮光部53は仕切板30の開口31の-X方向側に位置している。このため、仕切板30の開口31(及びカバー板40の開口41)が開放されている。また、羽根部材50の第2の遮光部54は仕切板30の開口32の-X方向側に位置しており、仕切板30の開口32(及びカバー板40の開口42)が開放されている。すなわち、この状態では、外部からの光がカバー板40の開口41と仕切板30の開口31を通って収容空間S1内のレンズユニットのレンズに直接入射し、また、カバー板40の開口42と仕切板30の開口32を通って収容空間S2内のレンズユニットのレンズに直接入射する。このため、この状態ではそれぞれのレンズユニットによる撮影が可能である。以下、図8Aに示す駆動アクチュエータ70の駆動レバー75及び羽根部材50の状態をそれぞれ「開状態」ということとする。
【0035】
図8Aに示す状態から駆動アクチュエータ70のコイル73に通電することにより、ロータマグネット74を反時計回りに回転させると、駆動レバー75の連結部76がカム板60のレバー係合孔63に係合して、図8Bに示すようにカム板60が支軸26を中心として時計回りに回転する。このとき、羽根部材50の係合ピン51がカム板60のピン係合孔62と係合しているため、図8Bに示すように、カム板60の回転に伴って羽根部材50が+X方向(閉方向)に移動する。羽根部材50が+X方向に移動すると、透光開口部55は仕切板30の開口31の+X方向側に移動し、第1の遮光部53が仕切板30の開口31を塞ぎ、第2の遮光部54が仕切板30の開口32を塞ぐ。すなわち、このときの羽根部材50の第1の遮光部53及び第2の遮光部54は、それぞれのレンズユニットの光軸P1及びP2上に位置しており、カバー板40の開口41,42を通った光は羽根部材50に遮られる。以下、図8Bに示す駆動アクチュエータ70の駆動レバー75及び羽根部材50の状態をそれぞれ「閉状態」ということとする。
【0036】
例えば、レンズユニットが撮影する光(可視光や赤外光など)を透過しない材料で羽根部材50を構成することとすれば、羽根部材50が図8Bに示す閉状態にあるときには、カバー板40の開口41を通った光は、羽根部材50に遮られてレンズユニットには届かない。したがって、このときにレンズユニットが動作しても、画像や映像を取得することができないため、ユーザが意図しない画像や映像が取得されることを防止することができる。
【0037】
図8Bに示す状態から駆動アクチュエータ70のコイル73に通電することにより、ロータマグネット74を時計回りに回転させると、駆動レバー75の連結部76とカム板60のレバー係合孔63との係合により、カム板60が支軸26を中心として反時計回りに回転する。このとき、羽根部材50の係合ピン51とカム板60のピン係合孔62との係合により、羽根部材50が-X方向(開方向)に移動して、図8Aに示す開状態に至る。
【0038】
このように、アクチュエータユニット20の駆動アクチュエータ70は、モジュール基板2からの電力の供給によって、駆動レバー75を回転させて、駆動レバー75の連結部76と羽根部材50の係合ピン51を介して羽根部材50を閉状態と開状態との間で移動させることができるようになっている。
【0039】
このように、本実施形態では、ノートパソコン900のディスプレイ部910の内部などの限られたスペース内では羽根部材50を移動することで複数のレンズユニットに対する開口41,42(31,32)の開閉を行うことができるため、羽根開閉装置1を小型化することができる。また、羽根部材50の一方向(X方向)への移動により複数のレンズユニットに対する開口41,42(31,32)を同時に開閉することができるので、動作上の一体感が得られるとともに一体化したデザインを実現することができる。
【0040】
本実施形態では、駆動アクチュエータ70のコイル73に電流が供給されていない状態でロータマグネット74の磁力によりロータマグネット74がヨーク71に吸引されるようヨーク71の形状を調整している。具体的には、図7Aに示す状態で、駆動アクチュエータ70のコイル73への電流の供給を停止しても、ロータマグネット74がヨーク71に与える磁力によってロータマグネット74の位置が保持されるようになっており、駆動レバー75が開状態を保持できるようになっている。同様に、図7Bに示す状態で、駆動アクチュエータ70のコイル73への電流の供給を停止しても、ロータマグネット74がヨーク71に与える磁力によってロータマグネット74の位置が保持されるようになっており、駆動レバー75が閉状態を保持できるようになっている。
【0041】
このようにヨーク71の形状を調整することで、駆動アクチュエータ70のコイル73に電流を供給していない状態で、羽根部材50が開状態又は閉状態から意図せず移動してしまったり、開状態と閉状態との間で止まってしまったりすることを防止することができる。なお、駆動レバー75を開状態及び閉状態の一方のみで保持するようにヨーク71の形状を調整してもよい。特に、駆動レバー75が閉状態を保持できるようにすれば、駆動アクチュエータ70のコイル73に電流が供給されていなくても、開口41,31が羽根部材50の羽根部材50により塞がれた状態となるため、ユーザが意図しない画像や映像が取得されることを防止することができる点で好ましい。
【0042】
本実施形態における羽根開閉装置1は、羽根部材50を開状態及び閉状態に保持(ロック)できるロック機構を備えており、ロック機構によって羽根部材50が開状態又は閉状態にロックされているときは、上述したような羽根部材50のX方向への移動ができないようになっている。このロック機構は、アクチュエータユニット20のストッパアクチュエータ80により実現される。
【0043】
本実施形態におけるストッパアクチュエータ80においては、モジュール基板2の配線を通してコイル83に電流を通電すると、ヨーク81のアーム部81A,81Bが互いに反対の磁極に着磁(磁化)し、アーム部81A,81Bの磁力による吸引によってロータマグネット84が回転するようになっている。
【0044】
例えば、ストッパアクチュエータ80のコイル83に電流を一方向に通電して、図9Aに示すようにヨーク81のアーム部81A,81Bが着磁して磁性を帯びると、ロータマグネット84の磁極がそれぞれヨーク81のアーム部81A,81Bの反対の磁極に吸引され、ロータマグネット84が反時計回りに回転する。これにより、ストッパレバー85は、ベース部材10の軸18を中心として反時計回りに回転する。このときのストッパレバー85の規制部86は、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75が移動する移動経路から退避した位置にある。以下、図9Aに示すストッパアクチュエータ80のストッパレバー85の位置を「アンロック位置」ということとする。
【0045】
ストッパレバー85がアンロック位置にあるときには、ストッパレバー85の規制部86が駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動経路上に位置していないため、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75は、ストッパレバー85に干渉されることなく回転が可能であり、この駆動レバー75の連結部76に連結された羽根部材50はX方向に移動可能な状態となっている。したがって、ストッパレバー85がアンロック位置にあるときは、駆動アクチュエータ70によって羽根部材50を開状態から閉状態に、あるいは閉状態から開状態に移動させることができる。
【0046】
また、図9Aのときとは逆の方向に電流をストッパアクチュエータ80のコイル83に通電した場合には、ヨーク81のアーム部81A,81Bは図9Bに示すように着磁し、ロータマグネット84の磁極がそれぞれヨーク81のアーム部81A,81Bの反対の磁極に吸引され、ロータマグネット84が時計回りに回転する。これにより、ストッパレバー85は、ベース部材10の軸18を中心として時計回りに回転する。このときのストッパレバー85の規制部86は、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75が移動する移動経路上に位置するようになっている。以下、図9Bに示すストッパアクチュエータ80のストッパレバー85の位置を「ロック位置」ということとする。ストッパレバー85がロック位置にあるときには、ストッパレバー85の規制部86が駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動経路上に位置しているため、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動がストッパレバー85の規制部86によって規制される。
【0047】
このように、アクチュエータユニット20のストッパアクチュエータ80は、モジュール基板2からの電力の供給によって、ストッパレバー85を回転させて、ストッパレバー85の規制部86を駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動経路から退避した位置と移動経路上の位置との間で移動させることができるようになっている。
【0048】
本実施形態では、ストッパアクチュエータ80のコイル83に電流が供給されていない状態でロータマグネット84の磁力によりロータマグネット84がヨーク81に吸引されるようヨーク81の形状を調整している。具体的には、図9Aに示す状態で、ストッパアクチュエータ80のコイル83への電流の供給を停止しても、ロータマグネット84がヨーク81に与える磁力によってロータマグネット84の位置が保持されるようになっており、ストッパレバー85がアンロック位置を保持できるようになっている。同様に、図9Bに示す状態で、ストッパアクチュエータ80のコイル83への電流の供給を停止しても、ロータマグネット84がヨーク81に与える磁力によってロータマグネット84の位置が保持されるようになっており、ストッパレバー85がロック位置を保持できるようになっている。
【0049】
このようにヨーク81の形状を調整することで、ストッパアクチュエータ80のコイル83に電流を供給していない状態で、ストッパレバー85がアンロック位置又はロック位置から意図せず移動してしまったり、アンロック位置とロック位置との間で止まってしまったりすることを防止することができる。なお、ストッパレバー85をアンロック位置及びロック位置の一方のみで保持するようにヨーク81の形状を調整してもよい。
【0050】
図10Aは、羽根部材50が開状態にあるときの駆動アクチュエータ70とストッパアクチュエータ80の位置関係を示している。羽根部材50が開状態にあるときは、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75が開状態にあり、ストッパアクチュエータ80のストッパレバー85がロック位置にある。上述したように、ストッパアクチュエータ80のストッパレバー85がロック位置にあるときは、ストッパレバー85の規制部86が駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動経路上に位置している。この状態では、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75を閉状態に向けて(反時計回りに)回転させようとしても、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動がストッパアクチュエータ80のストッパレバー85の規制部86に規制されるため、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の閉状態への回転が規制される。したがって、羽根部材50も開状態に保持(ロック)される。
【0051】
図10Aに示す状態から羽根部材50を閉状態に移動させる場合には、ストッパアクチュエータ80のコイル83に電流を通電することにより、図10Bに示すようにストッパレバー85を反時計回りに回転させてアンロック位置に移動させる。これにより、ストッパレバー85の規制部86が駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動経路から退避した位置に移動し、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75がストッパレバー85に干渉されることなく回転が可能となる。
【0052】
次に、駆動アクチュエータ70のコイル73に電流を通電することにより、図10Cに示すように駆動レバー75を反時計回りに回転させて閉状態に移動させる。このとき、駆動レバー75の連結部76と羽根部材50の係合ピン51を介して、羽根部材50が閉状態に移動する(図8Bの状態)。
【0053】
羽根部材50が閉状態に移動した後、再びストッパアクチュエータ80のコイル83に電流を通電して、図10Dに示すようにストッパレバー85を時計回りに回転させてロック位置に移動させる。これにより、ストッパアクチュエータ80のストッパレバー85の規制部86が、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動経路上に移動し、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動を規制するようになる。この状態では、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75を開状態に向けて(時計回りに)回転させようとしても、ストッパアクチュエータ80のストッパレバー85の規制部86によってこの駆動レバー75の回転が規制される。したがって、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の連結部76に連結された羽根部材50は、閉状態に保持(ロック)されることとなる。
【0054】
また、図10Dに示す状態から羽根部材50を開状態に移動させる場合には、ストッパアクチュエータ80のコイル83に電流を通電することにより、ストッパレバー85を反時計回りに回転させてアンロック位置に移動させる(図10Cに示す状態)。これにより、ストッパレバー85の規制部86が駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動経路から退避した位置に移動し、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75がストッパレバー85に干渉されることなく回転が可能となる。
【0055】
次に、駆動アクチュエータ70のコイル73に電流を通電することにより、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75を時計回りに回転させて開状態に移動させる(図10Bに示す状態)。このとき、駆動レバー75の連結部76と羽根部材50の係合ピン51を介して、羽根部材50が開状態に移動する(図8Aの状態)。
【0056】
羽根部材50が開状態に移動した後、再びストッパアクチュエータ80のコイル83に電流を通電して、ストッパレバー85を時計回りに回転させてロック位置に移動させる(図10Aに示す状態)。これにより、ストッパアクチュエータ80のストッパレバー85の規制部86が、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動経路上に移動し、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の移動を規制するようになる。この状態では、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75を閉状態に向けて(反時計回りに)回転させようとしても、ストッパアクチュエータ80のストッパレバー85の規制部86によってこの駆動レバー75の回転が規制される。したがって、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の連結部76に連結された羽根部材50は、開状態に保持(ロック)されることとなる。
【0057】
このように、本実施形態では、羽根部材50が開状態又は閉状態に位置しているときに、ストッパアクチュエータ80のストッパレバー85をロック位置に移動させるようにしている。これにより、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75の連結部76の移動がストッパアクチュエータ80のストッパレバー85の規制部86により規制されるので、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75を開状態又は閉状態に保持することができ、羽根部材50を開状態及び閉状態に保持(ロック)することができる。したがって、羽根部材50が開状態及び閉状態に位置しているときに外部から振動や衝撃などが作用した場合においても、羽根部材50が開状態又は閉状態から意図せずに移動してしまうことを防止することができ、羽根開閉装置1の誤動作を抑制することができる。また、羽根部材50を意図的に移動させる場合には、ストッパアクチュエータ80のストッパレバー85をロック位置からアンロック位置に移動させることで、駆動アクチュエータ70の駆動レバー75のロックが解除されるので、駆動アクチュエータ70により羽根部材50を開状態と閉状態との間で移動させることができる。
【0058】
羽根部材50の第1の遮光部53及び第2の遮光部54は、開口41,42,31,32を通ってレンズユニットに入射する光のすべてを遮る必要はなく、レンズユニットに入射する光の一部を遮るように構成されていてもよい。例えば、レンズユニットが撮影する光(可視光や赤外光など)に対する透過率の低い材料で羽根部材50を構成したり、羽根部材50に着色や凹凸、穿孔により模様(網目状や格子状の模様、同心円の模様など)を施したりすることにより、レンズユニットに入射する光の一部を遮るようにしてもよい。この場合には、レンズユニットにより取得される画像や映像の一部が不鮮明又は不可視になるため、ユーザが意図しない画像や映像が取得されることを防止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上述したように駆動アクチュエータ70のヨーク71の形状を調整することにより、駆動アクチュエータ70が羽根部材50の位置を保持することができるようになっているが、羽根開閉装置1は上述したロック機構をさらに備えているため、羽根部材50が不用意に移動してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0060】
さらに、開口41,42,31,32を通ってレンズユニットに入射する光に対して所定の光学効果(モザイクフィルタ、散乱、乱反射など)を加えるように羽根部材50を構成してもよい。この場合においても、レンズユニットにより取得される画像や映像の一部が不鮮明又は不可視になるため、ユーザが意図しない画像や映像が取得されることを防止することができる。
【0061】
羽根部材50が閉状態にあるときには、羽根部材50の羽根部材50の外表面がカバー板40の開口41から外部に露出することとなるため、羽根部材50の外表面を視認性の高い色(例えば赤色)で着色したり、あるいは、視認性の高い幾何学形状(星形、四角形、多角形、ストライプ模様など)やロゴマーク、イラストなどの意匠が施したりすることが好ましい。このように羽根部材50の外表面に視認性の高い着色や意匠を施すことにより、羽根部材50が閉状態にあることの確認が容易になり、意図しない画像や映像の取得からユーザが保護されていることを容易に認識することができる。
【0062】
また、図示した実施形態では、カバー板40の開口41及び仕切板30の開口31の形状が円形であるが、これらの開口41,31の形状は円形に限られるものではなく、矩形状、楕円状など任意の形状を選択することができる。
【0063】
また、上述した実施形態では、扁平U字状のヨーク71とロータマグネット74とを組み合わせた駆動アクチュエータ70を用いた例を説明したが、使用する駆動アクチュエータはこれに限られるものではなく、羽根部材50を閉状態と開状態との間で移動できるものであれば、どのような構造のものであってもよい。同様に、上述した実施形態では、扁平U字状のヨーク81とロータマグネット84とを組み合わせたストッパアクチュエータ80を用いた例を説明したが、使用するストッパアクチュエータはこれに限られるものではなく、駆動アクチュエータ70の作動を規制できるものであれば、どのような構造のものであってもよい。
【0064】
また、上述の実施形態では、羽根部材50が開状態及び閉状態のいずれの位置にあるときも、ストッパアクチュエータ80を作動させてストッパレバー85をロック位置に移動させているが、羽根部材50が開状態及び閉状態のいずれか一方に位置しているときにのみ、ストッパレバー85をロック位置に移動させてもよい。この場合において、レンズユニットによってユーザが意図しない画像や映像が取得されることを防止するという観点では、羽根部材50が閉状態にあるときに、ストッパレバー85をロック位置に移動することが好ましい。
【0065】
例えば、ノートパソコン900などの電子機器の電源がオフの状態又はノートパソコン900のディスプレイ部910が閉じられている状態では、駆動アクチュエータ70のみで羽根部材50の位置を保持するようにし、電子機器の電源がオンの状態又はノートパソコン900のディスプレイ部910が開いている状態では、上述したロック機構を用いて羽根部材50の位置をロックして羽根部材50が不用意に動かないようにしてもよい。このように、羽根開閉装置1を搭載する電子機器の状態やユーザの用途に応じて、本発明に係るロック機構を動作させるか否かを切り替えるようにしてもよい。
【0066】
上述した実施形態における羽根開閉装置1は、ベース部材10、アクチュエータユニット20、仕切板30、カバー板40、羽根部材50、カム板60、及び駆動アクチュエータ70をそれぞれ1つ備えているが、これらの部材を複数備えていてもよい。例えば、図11に示す実施形態の羽根開閉装置201のベース部は、上述したベース部材10と概略同様の構成を有する2つのベース部材210A,210Bから構成され、それぞれのベース部材210A,210Bの上部はカバー部としてのカバー板240A,240Bで覆われている。詳細は省略するが、それぞれのベース部材210A,210Bとカバー板240A,240Bとの間には、上述したアクチュエータユニット20、仕切板30、カム板60、及び駆動アクチュエータ70が収容されている。
【0067】
図12Aに示すように、羽根開閉装置201の羽根部は、ベース部材210Aの内部でX方向に移動可能な羽根部材250Aと、ベース部材210Bの内部でX方向に移動可能な羽根部材250Bとから構成され、それぞれのベース部材210A,210Bには、駆動部として上述した駆動アクチュエータ70が収容されている。
【0068】
羽根部材250Bは、カバー板240Bの開口42(第1の開口)を塞ぐことが可能な第1の遮光部254と、カバー板240Bの開口42に連通可能な透光開口部255とを含んでいる。また、羽根部材250Aは、カバー板240Aの開口41(第2の開口)を塞ぐことが可能な第2の遮光部253を含んでいる。図12Aに示す状態では、羽根部材250Bの透光開口部255のX方向の位置がカバー板240Bの開口42のX方向の位置と揃っており、羽根部材250Bの第1の遮光部254はカバー板240Bの開口42の-X方向側に位置している。このため、カバー板240Bの開口42が開放されている。また、羽根部材250Aの第2の遮光部253はカバー板240Aの開口41の-X方向側に位置しており、カバー板240Aの開口41が開放されている。すなわち、この状態では、外部からの光がカバー板240Aの開口41を通って収容空間S1内のレンズユニットのレンズに直接入射し、また、カバー板240Bの開口42を通って収容空間S2内のレンズユニットのレンズに直接入射する。このため、この状態ではそれぞれのレンズユニットによる撮影が可能である。
【0069】
図12Aに示す状態からそれぞれのベース部材210A,210Bの駆動アクチュエータ70のコイルに通電することにより、ロータマグネット74を回転させると、駆動レバー75の連結部76がカム板60のレバー係合孔63に係合して、図12Bに示すようにカム板60が支軸26を中心として回転する。このとき、羽根部材250A,250Bのそれぞれの係合ピン51がカム板60のピン係合孔62と係合しているため、図12Bに示すように、カム板60の回転に伴って羽根部材250A,250Bがいずれも+X方向(閉方向)に移動する。羽根部材250Bが+X方向に移動すると、透光開口部255はカバー板240Bの開口42の+X方向側に移動し、第1の遮光部254がカバー板240Bの開口42を塞ぐ。また、羽根部材250Aが+X方向に移動すると、第2の遮光部253がカバー板240Aの開口41を塞ぐ。すなわち、このときの羽根部材250Bの第1の遮光部254及び羽根部材250Aの第2の遮光部253は、それぞれのレンズユニットの光軸P1及びP2上に位置しており、カバー板240A,240Bの開口41,42を通った光は羽根部材250A,250Bに遮られる。
【0070】
このように、それぞれの羽根部材250A,250Bを同一方向(X方向)に移動させることにより複数のレンズユニットに対する開口41,42を同時に開閉することができる。したがって、動作上の一体感が得られるとともに一体化したデザインを実現することができる。
【0071】
また、図11に示すカバー板240A,240Bを一体化して、図13に示すように単一のカバー板340として構成してもよい。このようにすることで、部品点数を減らすことができる。
【0072】
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、限られたスペースに組み込むことができる薄型の羽根開閉装置が提供される。この羽根開閉装置は、第1のレンズユニットを収容する第1の収容空間と第2のレンズユニットを収容する第2の収容空間とが形成されたベース部と、上記ベース部の少なくとも一部を覆うカバー部と、上記ベース部と上記カバー部との間に配置される羽根部とを備える。上記カバー部には、上記第1のレンズユニットの光軸上に第1の開口が形成され、上記第2のレンズユニットの光軸上に第2の開口が形成される。上記羽根部は、上記カバー部の上記第1の開口を塞ぐことが可能な第1の遮光部と、上記カバー部の上記第1の開口に連通可能な透光開口部と、上記カバー部の上記第2の開口を塞ぐことが可能な第2の遮光部とを含む。上記羽根開閉装置は、上記羽根部の上記透光開口部が上記カバー部の上記第1の開口に連通する開状態から、上記羽根部の上記第1の遮光部及び上記第2の遮光部がそれぞれ上記カバー部の上記第1の開口及び上記第2の開口を塞ぐ閉状態に上記羽根部を閉方向に移動可能な駆動部を備える。上記開状態では上記羽根部は上記カバー部の上記第2の開口を塞いでいないことが好ましい。
【0073】
このように羽根開閉装置を構成することで、限られたスペース内で羽根部を移動することで複数のレンズユニットに対する開口の開閉を行うことができるため、羽根開閉装置の小型化を実現することができる。また、羽根部の一方向への移動により複数のレンズユニットに対する開口を同時に開閉することができるので、動作上の一体感が得られるとともに一体化したデザインを実現することができる。
【0074】
上記羽根部は、単一の羽根部材により構成されていてもよい。この場合には、上記駆動部は、上記羽根部材を上記閉方向に移動可能な単一の駆動アクチュエータにより構成され得る。
【0075】
あるいは、上記羽根部は、上記第1の遮光部及び上記透光開口部を含む第1の羽根部材と、上記第2の遮光部を含む第2の羽根部材とを含んでいてもよい。この場合には、上記駆動部は、上記第1の羽根部材を上記閉方向に移動可能な第1の駆動アクチュエータと、上記第2の羽根部材を上記閉方向に移動可能な第2の駆動アクチュエータとを含み得る。
【0076】
上記カバー部は、上記第1の羽根部材及び上記第2の羽根部材を覆う単一のカバー板により構成されていてもよい。
【0077】
本発明の第2の態様によれば、上述した羽根開閉装置を備える電子機器が提供される。
【0078】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
1,201 羽根開閉装置
2 モジュール基板
10,210A,210B ベース部材(ベース部)
20 アクチュエータユニット
30 仕切板
31,32,41,42 開口
40,240A,240B,340 カバー板(カバー部)
50,250A,250B 羽根部材(羽根部)
53,254 第1の遮光部
54,253 第2の遮光部
55,255 透光開口部
60 カム板
70 駆動アクチュエータ(駆動部)
73 コイル
74 ロータマグネット
75 駆動レバー
76 連結部
80 ストッパアクチュエータ
900 ノートパソコン
910 ディスプレイ部
921 窓
922 窓
P1 光軸
P2 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13