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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134240
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
E03D9/08 H
E03D9/08 A
E03D9/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033244
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】弥栄 信宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆政
(72)【発明者】
【氏名】作本 展威
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038DA02
2D038DA07
2D038JB01
2D038JB03
2D038JB04
2D038JC01
(57)【要約】
【課題】給水管路を整理させることができるとともに、給水管路に結露が発生するのを抑制できる衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】ケーシングと、前記ケーシングに設けられ人体の局部に向けて水を吐出するノズルと、給水源から前記ノズルへ水を供給する給水管路と、前記給水管路に設けられ前記ノズルへ供給される水を加熱する熱交換器ユニットと、を備え、前記熱交換器ユニットは、前記給水管路を把持する把持部を有することを特徴とする衛生洗浄装置。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングに設けられ人体の局部に向けて水を吐出するノズルと、
給水源から前記ノズルへ水を供給する給水管路と、
前記給水管路に設けられ前記ノズルへ供給される水を加熱する熱交換器ユニットと、
を備え、
前記熱交換器ユニットは、前記給水管路を把持する把持部を有することを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記給水管路は、
前記熱交換器ユニットに水を供給する第1管路部と、
前記熱交換器ユニットで加熱された水が供給される第2管路部と、
を有し、
前記把持部は、前記第1管路部を把持することを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記熱交換器ユニットは、
水を加熱する加熱部が設けられた本体部と、
前記本体部に取り付けられる取付部材と、
を有し、
前記取付部材は、複数の前記把持部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腰掛け式の大便器に取り付けられ、使用者のおしりなどの局部を洗浄する衛生洗浄装置が知られている。このような衛生洗浄装置は、ケーシングと、ケーシングに設けられ人体の局部に向けて水を吐出するノズルと、給水源からノズルへ水を供給する給水管路と、給水管路に設けられノズルへ供給される水を加熱する熱交換器ユニットと、を備えている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2-54877号公報
【特許文献2】特開2014-228253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーシングの内部には、種々の電気機器と、衛生洗浄のための水まわり機器と、が一緒に配設されている。電気機器は、被水すると安定した作動が損なわれてしまうので、これら機器の配置の自由度は低い。特に、その性能に加えてデザイン性を重視することによりコンパクト化が図られた衛生洗浄装置では、これら機器の配置の自由度がより低くなる。そうすると、ケーシングの内部には、電気機器と水まわり機器とが錯綜することになる。このような場合に、例えば機内温度よりも低い温度の水が供給され、給水管路に結露が発生してしまうと、電気機器が被水してしまうおそれがある。
【0005】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、給水管路を整理させることができるとともに、給水管路に結露が発生するのを抑制できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、ケーシングと、前記ケーシングに設けられ人体の局部に向けて水を吐出するノズルと、給水源から前記ノズルへ水を供給する給水管路と、前記給水管路に設けられ前記ノズルへ供給される水を加熱する熱交換器ユニットと、を備え、前記熱交換器ユニットは、前記給水管路を把持する把持部を有することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0007】
この衛生洗浄装置によれば、給水管路が熱交換器ユニットに近接するため、給水管路の結露を抑制することができるとともに、給水管路を整理することができる。すなわち、ケーシング内に種々の部品を組み立てるときに、収納位置がばらつきやすく邪魔になりやすい給水管路を熱交換器ユニットに設けられた把持部で規制することができる。従って、組立作業が容易になるだけでなく、被水すると故障しやすい電子部品などに給水管路を近づかないようにすることができる。これにより、仮に給水管路から水が垂れ落ちても電子部品などに被水するのを抑制できる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記給水管路は、前記熱交換器ユニットに水を供給する第1管路部と、前記熱交換器ユニットで加熱された水が供給される第2管路部と、を有し、前記把持部は、前記第1管路部を把持することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0009】
この衛生洗浄装置によれば、把持部は、熱交換器ユニット60で加熱される前の水が流れる第1管路部を把持することで、第1管路部に結露が発生するのを抑制できる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記熱交換器ユニットは、水を加熱する加熱部が設けられた本体部と、前記本体部に取り付けられる取付部材と、を有し、前記取付部材は、複数の前記把持部を有することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0011】
この衛生洗浄装置によれば、給水管路は、取付部材を介して把持部に把持されるので、給水管路内の水が必要以上に加熱されるのを抑制しつつ、給水管路に結露が発生するのを抑制できる。また、取付部材に複数の把持部を設けているので、給水管路を安定して把持できる。さらに、取付部材を本体部に取り付けるだけで、複数の把持部を一度に取り付けることができるので組立作業の作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、給水管路を整理させることができるとともに、給水管路に結露が発生するのを抑制できる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を示す斜視図である。
図2】衛生洗浄装置の要部構成を例示するブロック図である。
図3】衛生洗浄装置のケーシングの内部構成を模式的に示す模式図である。
図4】タンクを単体で示す斜視図である。
図5図4中のタンクを上方からみた平面図である。
図6図5中のタンクを矢示A-A方向からみた断面図である。
図7図5中のタンクを矢示B-B方向からみた断面図である。
図8】第2貯留部の高さとストレーナの高さとの関係を示す断面図である。
図9】熱交換器ユニットを単体で示す斜視図である。
図10図9中の本体部から取付部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図11】取付部材を表面側からみた斜視図である。
図12】取付部材を裏面側からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を示す斜視図である。
図1に示すように、トイレ装置300は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)200と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。便器200は、トイレ室の床面に設置される「床置き式」でもよいし、トイレ室の壁面やライニングに設置される「壁掛け式」であってもよい。便器200は、ボウル部201において使用者の尿や便などの排泄物を受ける。
【0015】
衛生洗浄装置100は、ケーシング10と、ノズル20と、給水管路30と、熱交換器ユニット60と、を備えている。また、衛生洗浄装置100は、ケーシング10に回動可能に支持される便蓋11および便座12を有している。本願明細書においては、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「右側方」、「左側方」は、それぞれ、開いた状態の便蓋11を背にして便座12に着座した使用者からみた方向とする。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0016】
ケーシング10の内部には、便座12に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング10には、使用者が便座12に座ったことを検知する着座検知センサ144が設けられている。着座検知センサ144が便座12に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部146(図2参照)を操作すると、ノズル駆動部22が作動することにより、身体洗浄機能部の洗浄ノズル(以下説明の便宜上、単に「ノズル」と称する)20を便器200のボウル部201内に進出させることができる。なお、図1に表した衛生洗浄装置100では、ノズル20がボウル部201内に進出した状態を表している。
【0017】
ノズル20は、ケーシング10に設けられ人体の局部に向けて水を吐出する。ノズル20の先端部には、ビデ洗浄吐水口20aやおしり洗浄吐水口20bなどが設けられている。ノズル20は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口20aから水を噴射して、便座12に座った女性の女性局部を洗浄することができる。また、ノズル20は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口20bから水を噴射して、便座12に座った使用者の「おしり」を洗浄することができる。
【0018】
図2は、衛生洗浄装置の要部構成を例示するブロック図である。
図3は、衛生洗浄装置のケーシングの内部構成を模式的に示す模式図である。
図3で示される各機器の配置は、説明の便宜のために模式的に表したものである。
【0019】
衛生洗浄装置100は、ケーシング10内に配置された給水管路30を有する。給水管路30は、水道や貯水タンクなどの給水源150と、ノズル20と、の間を接続する。給水管路30は、例えば金属材料や樹脂材料からなり、給水源150からノズル20へ水を供給する。
【0020】
給水管路30には、以下に説明する電磁弁110、調圧弁112、逆止弁114、タンク40(逆流防止機構)、ポンプ118、熱交換器ユニット60、流量センサ122(流量検知手段)、電解槽ユニット124、バキュームブレーカ126、圧力変調部128、流量調整部130、流路切替部132(流路切替手段)などの各部が設けられている。
【0021】
給水管路30の上流側には、電磁弁110が設けられている。電磁弁110は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング10の内部に設けられた制御部140からの指令に基づいて水の供給を制御する。換言すれば、電磁弁110は、給水管路30を開閉する。電磁弁110を開状態にすることにより、給水源150から供給された水が、給水管路30に流れる。
【0022】
電磁弁110の下流には、調圧弁112が設けられている。調圧弁112は、給水圧が高い場合に、給水管路30内の圧力を所定の圧力範囲に調整する。調圧弁112の下流には、逆止弁114が設けられている。逆止弁114は、給水管路30内の圧力が低下した場合などに、逆止弁114よりも上流側への水の逆流を抑制する。なお、調圧弁112の代わりに、所定の流量範囲に調整する定流量弁を用いてもよい。また、逆止弁114は、省略可能であり、必要に応じて設けられていればよい。
【0023】
逆止弁114の下流には、タンク40(逆流防止機構)が設けられている。タンク40は、給水管路30の経路上に設けられ、逆止弁114を介して流入した水を内部に貯留する。また、タンク40は、内部にエアギャップを形成することにより、給水管路30において、タンク40よりも下流側から上流側に向かう水の流れを物理的に遮断する。換言すれば、タンク40は、給水管路30のタンク40よりも下流側の部分と上流側の部分とを縁切りする。これにより、タンク40は、ノズル20内の洗浄水やボウル部201内に溜まった汚水などが、給水源150(上水)側に逆流してしまうことを確実に抑制する。タンク40の構成については、後で説明する。
【0024】
タンク40の下流には、ポンプ118が設けられている。ポンプ118は、タンク40に貯留された水を流出させる。ポンプ118は、タンク40に貯留された水を汲み出す。これにより、ポンプ118は、タンク40に貯留された水を、タンク40よりも下流の給水管路30に供給する。ポンプ118は、制御部140に接続されている。ポンプ118の駆動および駆動の停止は、制御部140によって制御される。ポンプ118は、タンク40に貯留された水を流出させることが可能な任意のポンプでよい。タンク40およびポンプ118は、省略可能であり、必要に応じて設けられていればよい。
【0025】
ポンプ118の下流には、熱交換器ユニット60が設けられている。熱交換器ユニット60は、本体部62の内部に加熱部64(セラミックスヒータ)を有し、ポンプ118を介してタンク40から供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温する。すなわち、熱交換器ユニット60は、温水を生成する。
【0026】
熱交換器ユニット60は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器となっている。瞬間加熱式の熱交換器は、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器と比較すると、短い時間で水を規定の温度まで昇温させることができる。なお、熱交換器ユニット60は、瞬間加熱式の熱交換器には限定されず、貯湯加熱式の熱交換器であってもよい。また、加熱部64は、セラミックスヒータに限ることなく、例えばマイクロ波加熱を利用するものなど、他の加熱方式でもよい。
【0027】
熱交換器ユニット60は、制御部140と接続されている。制御部140は、例えば使用者による操作部146の操作に応じて熱交換器ユニット60を制御することにより、操作部146で設定された温度に水を昇温する。熱交換器ユニット60の構成については、後で説明する。
【0028】
熱交換器ユニット60の下流には、流量センサ122が設けられている。流量センサ122は、熱交換器ユニット60から吐出された水の流量を検知する。すなわち、流量センサ122は、給水管路30内を流れる水の流量を検知する。流量センサ122は、制御部140に接続されている。流量センサ122は、流量の検知結果を制御部140に送信する。
【0029】
流量センサ122の下流には、電解槽ユニット124が設けられている。電解槽ユニット124は、内部を流れる水道水を電気分解することにより、水道水から次亜塩素酸を含む液(機能水)を生成する。電解槽ユニット124は、制御部140に接続されている。電解槽ユニット124は、制御部140による制御に基づいて、機能水の生成を行う。
【0030】
電解槽ユニット124において生成される機能水は、例えば銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット124において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット124において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。
【0031】
電解槽ユニット124の下流には、バキュームブレーカ(VB)126が設けられている。バキュームブレーカ126は、例えば水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構と、を有する。弁機構は、例えば流路に水が流れている時に吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ126は、給水管路30に水の流れが無いときに、給水管路30内に空気を取り込む。弁機構には、例えばフロート弁が用いられる。
【0032】
バキュームブレーカ126は、上記のように給水管路30内に空気を取り込むことにより、例えばバキュームブレーカ126よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ126は、例えばノズル20の水抜きを促進する。このように、バキュームブレーカ126は、ノズル20内の水を抜いてノズル20内に空気を取り込むことにより、例えばノズル20内の洗浄水やボウル部201内に溜まった汚水などが、給水源150(上水)側に逆流してしまうことを抑制する。
【0033】
バキュームブレーカ126の下流には、圧力変調部128が設けられている。圧力変調部128は、給水管路30内の水の流れに脈動または加速を与え、ノズル20のビデ洗浄吐水口20aやおしり洗浄吐水口20bから吐出される水に脈動を与える。すなわち、圧力変調部128は、給水管路30内を流れる水の流動状態を変動させる。圧力変調部128は、制御部140に接続されている。圧力変調部128は、制御部140による制御に基づいて、水の流動状態を変動させる。圧力変調部128は、給水管路30内の水の圧力を変動させる。圧力変調部128は、省略可能であり、必要に応じて設けられていればよい。
【0034】
圧力変調部128の下流には、流量調整部130が設けられている。流量調整部130は、水勢(流量)の調整を行う。流量調整部130は、省略可能であり、必要に応じて設けられていればよい。流量調整部130の下流には、流路切替部132が設けられている。流路切替部132は、ノズル20やノズル洗浄部24に供給される水の流路の切り替えや給水の開閉を行う。流量調整部130および流路切替部132は、1つのユニットとして設けられてもよい。流量調整部130および流路切替部132は、制御部140に接続されている。流量調整部130および流路切替部132の作動は、制御部140によって制御される。
【0035】
流路切替部132の下流には、ノズル20およびノズル洗浄部24が設けられている。ノズル20は、ノズル駆動部22からの駆動力を受けて、ケーシング10内から便器200のボウル部201内に進出したり、ボウル部201内からケーシング10内に後退したりする。ノズル洗浄部24は、例えば図示しない噴出口から機能水あるいは水を噴射することにより、ノズル20の外周表面(胴体)を洗浄する。
【0036】
流路切替部132とノズル20とは、おしり洗浄流路31、やわらか洗浄流路32、およびビデ洗浄流路33により接続されている。おしり洗浄流路31およびやわらか洗浄流路32は、給水源150から供給された水や電解槽ユニット124において生成された機能水をおしり洗浄吐水口20bへ導く。ビデ洗浄流路33は、給水源150から供給された水や電解槽ユニット124において生成された機能水をビデ洗浄吐水口20aへ導く。
【0037】
また、流路切替部132とノズル洗浄部24とは、ノズル洗浄流路34により接続されている。ノズル洗浄流路34は、給水源150から供給された水や電解槽ユニット124において生成された機能水をノズル洗浄部24へ導く。なお、ノズル20は、ボウル部201を洗浄、除菌するために、ボウル部201に向けて水や機能水を吐出する吐水部を設けていてもよい。また、このような吐水部をノズル20とは別個に設けていてもよい。
【0038】
制御部140は、流路切替部132を制御することにより、おしり洗浄流路31、やわらか洗浄流路32、ビデ洗浄流路33、およびノズル洗浄流路34の各流路の開閉を切り替える。このように、流路切替部132は、おしり洗浄吐水口20b、ビデ洗浄吐水口20a、およびノズル洗浄部24の噴出口などの複数の吐水口のそれぞれについて、給水管路30に連通させた状態と、給水管路30に連通させない状態と、を切り替える。
【0039】
制御部140は、電源回路142から電力を供給され、着座検知センサ144、流量センサ122、および操作部146などからの信号に基づいて、電磁弁110、熱交換器ユニット60、電解槽ユニット124、圧力変調部128、流量調整部130、流路切替部132、ノズル駆動部22などの作動を制御する。これにより、制御部140は、ノズル20の作動を制御する。制御部140は、例えばマイコンなどの集積回路を含む電気回路である。
【0040】
また、ケーシング10には、便座12に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。
【0041】
次に、給水管路30内を流れる水が逆流するのを抑制するタンク40の構成について説明する。
図4は、タンクを単体で示す斜視図である。
図5は、図4中のタンクを上方からみた平面図である。
図6は、図5中のタンクを矢示A-A方向からみた断面図である。
図7は、図5中のタンクを矢示B-B方向からみた断面図である。
図8は、第2貯留部の高さとストレーナの高さとの関係を示す断面図である。
【0042】
タンク40は、給水源150からノズル20に向けて流れる水が逆流するのを抑制する逆流防止機構となっている。タンク40は、上ケース41と、下ケース45と、を有している。上ケース41と下ケース45とは、着脱可能となっている。上ケース41の上端側には、タンク40内に水を流入させるための流入口42と、タンク40内から水を流出させるための流出口43と、が設けられている。流入口42には、タンク40よりも上流側の給水管路30が接続される。流出口43には、タンク40よりも下流側の給水管路30が接続される。
【0043】
下ケース45は、流入口42から流入した水が貯留される第1貯留部46aと、第1貯留部46aに連通する第2貯留部46bと、を有している。第2貯留部46bは、第1貯留部46aよりも下方に位置している。第2貯留部46bの底部は、第1貯留部46aの底部よりも下方に位置している。すなわち、第1貯留部46aと第2貯留部46bとは、上下方向で段付状に形成されている。これにより、流入口42からタンク40内に流入した水は、第1貯留部46aから第2貯留部46bに流れる。
【0044】
排出流路47は、第1貯留部46aに連通している。この排出流路47は、タンク40内に貯留される水の満水位置を規定するオーバーフロー流路となっている。この満水位置は、流入口42よりも下方に設けられている。これにより、タンク40内に貯留された水は、満水位置を超えると排出流路47から外部に排出される。従って、タンク40内に貯留された水は、流入口42を介して給水管路30ヘ逆流するのが抑制される。
【0045】
連通路48は、第2貯留部46bから流出口43まで延びている。第2貯留部46bに貯留された水は、ポンプ118の作動により連通路48から吸い上げられる。ストレーナ50は、第2貯留部46bの底部に設けられている。ストレーナ50は、連通路48の周囲を取り囲むように設けられている。換言すると、連通路48の下端は、ストレーナ50の内面側に挿入されている。
【0046】
ストレーナ50は、水内のゴミや異物を除去(ろ過)するものである。これにより、第2貯留部46bに貯留された水は、ストレーナ50によりゴミや異物が除去されて連通路48に流通する。このように、ストレーナ50をタンク40の第2貯留部46bの底部に設けることで、ストレーナ50を給水管路30に別個に設ける場合に比べて、シール構造や脱着構造を設ける必要がないので、衛生洗浄装置100の小型化を図ることができる。
【0047】
図8に示すように、ストレーナ50の高さL1は、第2貯留部46bの高さL2よりも小さくなっている(L1<L2)。これにより、タンク40内に水が貯留されている場合には、ストレーナ50は常に水没している。また、第1貯留部46a内の水を抜いても第2貯留部46b内に水が貯留された状態を維持させることができる。その結果、ストレーナ50に付着した水が乾いて、ストレーナ50にスケールが付着するのを抑制できる。また、第2貯留部46bに水を常に貯留させることで、エア噛みが発生するのを抑制できる。従って、ポンプ118や熱交換器ユニット60を安定して作動させることができる。
【0048】
次に、給水源150から供給された水を加熱する熱交換器ユニット60について説明する。
図9は、熱交換器ユニットを単体で示す斜視図である。
図10は、図9中の本体部から取付部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図11は、取付部材を表面側からみた斜視図である。
図12は、取付部材を裏面側からみた斜視図である。
【0049】
熱交換器ユニット60は、給水管路30に設けられノズル20へ供給される水を加熱する。熱交換器ユニット60は、水を加熱する加熱部64が設けられた本体部62と、本体部62に取り付けられる取付部材70と、を有している。また、熱交換器ユニット60は、加熱部64への通電を制御するトライアック部66を有している。トライアック部66は、図示しないトライアック(スイッチング素子)を有している。トライアック部66は、制御部140に接続され、制御部140により作動が制御される。
【0050】
本体部62は、内部に水を流入させるための流入口62aと、内部から水を流出させるための流出口62bと、を有している。給水管路30は、熱交換器ユニット60の本体部62に水を供給する第1管路部30aと、熱交換器ユニット60の本体部62で加熱された水が供給される第2管路部30bと、を有している。流入口62aには、第1管路部30aが接続されている。流出口62bには、第2管路部30bが接続されている。第1管路部30aと第2管路部30bとは、例えば可撓性を有する樹脂チューブとなっている。
【0051】
また、図10に示すように、本体部62の外周面には、取付部材70が係合する係合部62cが設けられている。係合部62cは、上下方向および左右方向に離間して複数個(例えば、3個)設けられている。係合部62cは、取付部材70を本体部62に取り付けることができれば1個でもよいし、2個以上でもよい。
【0052】
取付部材70は、本体部62の外周面の一部を覆うように、本体部62に取り付けられる。取付部材70は、例えば樹脂材料や金属材料により形成され、本体部62の長手方向に延びる板状体となっている。図11図12に示すように、取付部材70には、本体部62の係合部62cに対応する位置に、被係合部71がそれぞれ設けられている。取付部材70は、本体部62に着脱可能に取り付けられる。
【0053】
熱交換器ユニット60は、給水管路30の第1管路部30aを把持する把持部73を有している。この把持部73は、取付部材70の表面70a側に形成されている。把持部73は、例えば取付部材70に複数個(例えば、3個)形成されている。図11に示すように、本実施形態では、把持部73は、第1把持部73a、第2把持部73b、第3把持部73cの3個の把持部73が取付部材70の下端側に並んで形成されている。なお、把持部73は、1個でもよいし、2個または3個以上設けられていてもよい。
【0054】
第1把持部73aは、第1管路部30aの上流側を把持している。第1把持部73aは、例えば側面方向が開口したU字状に形成されている。第2把持部73bは、取付部材70のうち第1管路部30aの延びる方向の中央部に形成されている。第2把持部73cは、第1管路部30aを上下方向で挟むようにして、第1管路部30aに沿って延びている。第3把持部73cは、第1管路部30aの下流側を把持している。すなわち、第3把持部73cは、本体部62の流入口62aに近い位置に設けられている。第3把持部73cは、例えば下方が開口したU字状に形成されている。なお、第1~第3把持部73a~73cは、給水管路30(第1管路部30a)を把持できればその形状は任意である。
【0055】
これにより、第1管路部30aは、第1~第3把持部73a~73cにより取付部材70に安定して把持される。また、例えばケーシング10内に各機器を組み付ける場合には、把持部73により給水管路30が整理されるので、給水管路30が他の部材に接触したりして邪魔になるのを抑制できる。従って、衛生洗浄装置100の組み付け作業やメンテナンス作業の作業性を向上できる。
【0056】
ここで、本体部62(加熱部64)やトライアック部66は、作動により熱を発する。第1管路部30aは、本体部62の加熱部64により加熱される前の水が流通しているので結露が発生しやすい。そこで、図9に示すように、把持部73は、第1管路部30aを把持することにより、第1管路部30aを本体部62やトライアック部66に近接させている。
【0057】
これにより、第1管路部30a内の水は、本体部62やトライアック部66からの放熱により早期に温められる。その結果、第1管路部30aの周囲と第1管路部30a内の温度差を小さくすることができるので、第1管路部30aに結露が発生するのを抑制できる。また、第1管路部30a内の水を温めることにより、本体部62での加熱量を小さくすることができる。従って、熱交換器ユニット60の省電力化を図ることができる。
【0058】
また、把持部73は、取付部材70に形成されている。これにより、第1管路部30aと本体部62との間の距離を適度に保つことができる。従って、第1管路部30a内の水の温度が必要以上に上がるのを抑制できる。
【0059】
取付部材70の上端側には、本体部62に接続されるケーブルのコネクタを覆う被覆部75が設けられている。被覆部75は、コネクタの外部を覆うことによりコネクタを保護している。取付部材70の裏面70bには、ケーブル挿通孔77が形成されている。このケーブル挿通孔77には、図示しないケーブルが挿通する。ケーブル挿通孔77は、把持部73よりも上方に位置している。これにより、仮に第1管路部30aから水が垂れ落ちてもケーブルにその水が付着しないようになっている。
【0060】
かくして、本実施形態による衛生洗浄装置100によれば、ケーシング10と、ケーシング10に設けられ人体の局部に向けて水を吐出するノズル20と、給水源150からノズル20へ水を供給する給水管路30と、給水管路30に設けられノズル20へ供給される水を加熱する熱交換器ユニット60と、を備えている。そして、熱交換器ユニット60は、給水管路30を把持する把持部73を有する。
【0061】
これにより、給水管路30が熱交換器ユニット60に近接するため、給水管路30の結露を抑制することができるとともに、給水管路30を整理することができる。すなわち、ケーシング10内に種々の部品を組み立てるときに、収納位置がばらつきやすく邪魔になりやすい給水管路30を熱交換器ユニット60に設けられた把持部73で規制することができる。従って、組立作業が容易になるだけでなく、被水すると故障しやすい電子部品などに給水管路30を近づかないようにすることができる。これにより、仮に給水管路30から水が垂れ落ちても電子部品などに被水するのを抑制できる。
【0062】
また、給水管路30は、熱交換器ユニット60に水を供給する第1管路部30aと、熱交換器ユニット60で加熱された水が供給される第2管路部30bと、を有し、把持部73は、第1管路部30aを把持する。
【0063】
熱交換器ユニット60よりも上流側の第1管路部30aは、熱交換器ユニット60によって加熱される前の水が流れるので、結露しやすい給水管路30となっている。そこで、把持部73は、第1管路部30aを把持することで、第1管路部30aに結露が発生するのを抑制できる。
【0064】
また、熱交換器ユニット60は、水を加熱する加熱部64が設けられた本体部62と、本体部62に取り付けられる取付部材70と、を有し、取付部材70は、複数の把持部73(例えば、第1~第3把持部73a~73c)を有する。
【0065】
これにより、給水管路30は、取付部材70を介して把持部73に把持されるので、給水管路30内の水が必要以上に加熱されるのを抑制しつつ、給水管路30に結露が発生するのを抑制できる。また、取付部材70に複数の把持部73を設けているので、給水管路30を安定して把持できる。さらに、取付部材70を本体部62に取り付けるだけで、複数の把持部73を一度に取り付けることができるので組立作業の作業性を向上できる。
【0066】
なお、上述した実施形態では、第1管路部30aを把持部73に把持させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば第2管路部30bを把持部73に把持させてもよい。また、第1管路部30aと第2管路部30bとの両方を把持部73に把持させてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、取付部材70に把持部73を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば本体部に把持部を直接設けていてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、把持部73を取付部材70を介して本体部62に設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の態様はこれに限らず、例えば把持部を熱交換器ユニット60のトライアック部66に設けてもよい。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0070】
10 ケーシング
11 便蓋
12 便座
20 ノズル
20a ビデ洗浄吐水口
20b おしり洗浄吐水口
22 ノズル駆動部
24 ノズル洗浄部
30 給水管路
30a 第1管路部
30b 第2管路部
31 おしり洗浄流路
32 やわらか洗浄流路
33 ビデ洗浄流路
34 ノズル洗浄流路
40 タンク
41 上ケース
42 流入口
43 流出口
45 下ケース
46a 第1貯留部
46b 第2貯留部
47 排出流路
48 連通路
50 ストレーナ
60 熱交換器ユニット
62 本体部
62a 流入口
62b 流出口
62c 係合部
64 加熱部
66 トライアック部
70 取付部材
70a 表面
70b 裏面
71 被係合部
73 把持部
73a 第1把持部
73b 第2把持部
73c 第3把持部
75 被覆部
77 ケーブル挿通孔
100 衛生洗浄装置
110 電磁弁
112 調圧弁
114 逆止弁
118 ポンプ
122 流量センサ
124 電解槽ユニット
126 バキュームブレーカ
128 圧力変調部
130 流量調整部
132 流路切替部
140 制御部
142 電源回路
144 着座検知センサ
146 操作部
150 給水源
200 便器
201 ボウル部
300 トイレ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12