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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134256
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】複眼撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220908BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220908BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20220908BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20220908BHJP
   G02B 7/14 20210101ALI20220908BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G03B15/00 B
G03B11/00
G03B19/07
G02B7/14 A
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033275
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000101330
【氏名又は名称】アストロデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】海老塚 昇
(72)【発明者】
【氏名】横田 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】武田 重人
【テーマコード(参考)】
2H044
2H054
2H083
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AJ07
2H054BB05
2H083AA02
2H083AA04
2H083AA05
2H083AA06
2H083AA26
2H083AA32
2H083AA60
5C122DA12
5C122DA13
5C122FB02
5C122FB03
5C122FB08
5C122FB16
5C122FB17
5C122GE08
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】露光時間を十分に確保して,同時刻での複数の波長での撮像画像を得ることのできる複眼撮像装置を提供すること。
【解決手段】複眼撮像装置100は,物体側から像側に向かって順に,物体11と,コリメータレンズ102と,相異なる波長帯域で透過させる複数のフィルタが光軸に垂直な方向に配列されたフィルタアレイ103と,複数のレンズ系が光軸に垂直な方向に配列された瞳分割レンズアレイ104と,分割された結像面の位置に配置された撮像素子105と,を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって順に,
物体と,
コリメータレンズと,
相異なる波長帯域で透過させる複数のフィルタが光軸に垂直な方向に配列されたフィルタアレイと,
複数のレンズ系が光軸に垂直な方向に配列された瞳分割レンズアレイと,
分割された結像面の位置に配置された撮像素子と,を備える複眼撮像装置。
【請求項2】
物体側から像側に向かって順に,
中間像面を規定する視野絞りと,
対物レンズ等の前置光学系の瞳を再構築する瞳リレーレンズと,
相異なる波長帯域で透過させる複数のフィルタが光軸に垂直な方向に配列されたフィルタアレイと,
複数のレンズ系が光軸に垂直な方向に配列された瞳分割レンズアレイと,
分割された結像面の位置に配置された撮像素子と,を備える複眼撮像装置。
【請求項3】
前記視野絞りは,大きさ及び形状が固定である矩形の開口を有する請求項2に記載の複眼撮像装置。
【請求項4】
前記瞳分割レンズアレイは,瞳分割後の光路毎に収容する複数の鏡筒を備えた請求項1または2に記載の複眼撮像装置。
【請求項5】
前記フィルタアレイは,前記瞳分割レンズアレイの鏡筒単位でフィルタの交換可能である請求項1または2に記載の複眼撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,複眼撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農業,生物医学研究,食物選別,園芸,精密色検出といった分野で光を波長ごとに分光しイメージングするリモートセンシングにおいて,マルチスペクトルカメラが用いられている。
【0003】
例えば,リモートセンシングによって農地を上空から撮影し,生産物の違いを見分けるといった場合は,生産物それぞれのスペクトルパターンの特徴を割り出さなければならないため,非常に多くの波長データを取得するハイパースペクトルイメージングが検討されている。
【0004】
他方,複数の波長でイメージングする発明として,特許文献1には,複数の光学バンドパスフィルタを円周上に並べた回転フィルタを用いて時分割でマルチバンド撮影する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-172649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,特許文献1の装置では,時分割で異なる波長の撮像を行っていたので,同時刻での複数の波長での撮像画像を得ることができず,それぞれの波長の撮像に露光時間も十分に確保できないという問題があった。
【0007】
本発明は,このような事情に鑑みなされたものであって,露光時間を十分に確保して,同時刻での複数の波長での撮像画像を得ることのできる複眼撮像装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の実施形態に係る複眼撮像装置は,物体側から像側に向かって順に,物体と対物レンズとして機能するコリメータレンズと,相異なる波長帯域で透過させる複数のフィルタが光軸に垂直な方向に配列されたフィルタアレイと,複数のレンズ系が光軸と垂直な方向に配列された瞳分割レンズアレイと,分割された結像面の位置に配置された撮像素子と,を備えるようにした。
【0009】
物体がコリメータレンズの前焦点面に置かれ他場合に,物体のサイズをL,瞳分割レンズアレイのレンズ間隔をd,コリメータの焦点距離をfc,レンズアレイの焦点距離をfpとすると以下の式
L>d fc/fp
である場合に,撮像素子上の像が部分的に重なってしまうので,物体のサイズLを以下の式
L≦d fc/fp
に制限することによって,波長別に分割した像同士の重なりを抑制できる。なお,物体はコリメータレンズの前焦点面に置かれるのが望ましいが,その限りではない。
【0010】
コリメータレンズと瞳分割レンズアレイを近接させるほどコリメータレンズの口径を小さくすることができる。コリメータの瞳(開口絞り:入射側の第一面の縁や射出側の差刺繍面の縁など)と瞳分割レンズアレイ個々のレンズの瞳(開口絞り)と一致させるとコリメータのレンズ径が最小になる。実際には,コリメータレンズとレンズアレイの瞳を一致させることができないために,コリメータレンズの口径が十分な大きさでないと周辺の(コリメータレンズの光軸から離れた)光束はコリメータレンズによる口径食のために光軸から離れた瞳分割レンズほど減光が生じる。
【0011】
一方,コリメータレンズの前焦点に物体を置き,コリメータレンズの後焦点を瞳分割レンズアレイ個々のレンズの瞳(開口絞り)と一致させると物体側テレセットリック光学系の配置となり,物体側の位置が前後にズレても(ピントが合わなくても),像の倍率が変化しない。
【0012】
本発明の第二の実施形態に係る複眼撮像装置は,物体側から像側に向かって順に,対物レンズ系と,中間像面を規定する視野絞りと,対物レンズの瞳を再構築する瞳リレー(コリメータ)レンズと,相異なる波長帯域で透過させる複数のフィルタが光軸に垂直な方向に配列されたフィルタアレイと,複数のレンズ系が光軸に垂直な方向に配列された瞳分割レンズアレイと,分割された結像面の位置に配置された撮像素子と,を備えるようにした。
【0013】
本発明の第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置によれば,露光時間を十分に確保して,同時刻での複数の波長での撮像画像を得ることができる。
【0014】
本発明の第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置は,前記視野絞りは,大きさ及び形状が固定である矩形の開口を有するようにしてもよい。
【0015】
本発明の第二の実施形態に係る複眼撮像装置によれば,中間像が瞳リレーレンズの前焦点面に置かれた場合に,中間像のサイズをL,瞳分割レンズアレイのレンズ間隔をd,瞳リレーレンズの焦点距離をfc,瞳分割レンズの焦点距離をfpとすると,以下の式
L>d fc/fp
である場合に,撮像素子上の像が部分的に重なってしまうので,中間像のサイズLを以下の式
L≦d fc/fp
に制限することによって,波長別に分割した像同士が干渉することを抑制できる。なお,中間像は瞳リレーレンズの前焦点面に置かれるのが望ましいが,その限りではない。
【0016】
本発明の第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置は,前記フィルタアレイ及び前記瞳分割レンズアレイは,瞳分割後の光路毎に収容する複数の鏡筒を備え,前記鏡筒単位で交換可能としてもよい。
【0017】
本発明の第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置によれば,瞳分割レンズアレイの個々のレンズは要求される波長に応じた焦点の調整を簡易に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,露光時間を十分に確保して,同時刻での複数の波長での撮像画像を得ることのできる複眼撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一の実施形態に係る複眼撮像装置の光学系の側面図である。
図2】第二の実施形態に係る複眼撮像装置に対物レンズとしてカメラレンズを取り付けた場合の光学系の側面図である。
図3図2のカメラレンズの射出瞳を抜き出し,瞳リレーレンズによる瞳の結像を示す光学系の側面図である。
図4】第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置の瞳分割レンズアレイの正面図及び側面図である。
図5】第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置の瞳分割レンズアレイの等角投影図である。
図6】第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置の瞳分割レンズアレイ及びカメラユニットの等角投影図である。
図7】第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置の瞳分割レンズアレイ及びカメラユニットの断面図(等角投影図法)である。
図8】第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置のフィルタアレイの等角投影図である。
図9】第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置のフィルタアレイの断面図(等角投影図法)である。
図10】第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置の瞳リレーレンズの等角投影図である。
図11】第一および第二の実施形態に係る複眼撮像装置の瞳リレーレンズの断面図(等角投影図法)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本発明を適用した具体的な実施形態について,図面を参照しながら詳細に説明する。但し,本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また,説明を明確にするため,以下の記載及び図面は,適宜,簡略化されている。また,各図面において,同一の要素には同一の符号が付されており,必要に応じて重複説明は省略されている。
以下,図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
(第一の実施形態)
図1は,第一の実施形態における複眼撮像装置の光学系の側面図である。図1において,複眼撮像装置100は,物体側から像側に向かって順に,物体11と,コリメータレンズ系102と,フィルタアレイ103と,瞳分割レンズアレイ104と,撮像素子105とを備える。物体11は,物体面12に配置された撮像対象の物体である。
【0022】
複眼撮像装置100の主な機能は物体11を絞りリレーレンズ(コリメータレンズ系102)と瞳分割レンズアレイ104によって検出器上に分割数の像を再結像させることである。
【0023】
フィルタアレイ103は,相異なる波長領域で透過する複数のフィルタを光軸に垂直な面に配列したフィルタアレイである。フィルタアレイ103の詳細は,図8及び図9とともに後述する。
【0024】
瞳分割レンズアレイ104は,フィルタアレイ103の各フィルタに対応する波長の光をそれぞれ再び結像させるレンズ系である。瞳分割レンズアレイ104は,例えば,色消しレンズが好適である。瞳分割レンズアレイ104を色消しレンズとすることにより,波長が異なることによる焦点距離の違いに対応が容易になる。瞳分割レンズアレイ104の詳細は,図4及び図5とともに後述する。
【0025】
コリメータレンズ102と瞳分割レンズアレイ104を近接させるほどコリメータレンズ102の口径を小さくすることができる。コリメータの瞳(開口絞り:入射側の第一面の縁や射出側の差刺繍面の縁など)と瞳分割レンズアレイ個々のレンズの瞳(開口絞り)と一致させるとコリメータのレンズ径が最小になる。実際には,コリメータレンズとレンズアレイには,それぞれの瞳を一致させることができないために,コリメータレンズの口径が十分な大きさでないと周辺の(コリメータレンズの光軸から離れた)光束はコリメータレンズによる口径食のために光軸から離れた瞳分割レンズほど減光が生じる。なお,物体11は,コリメータレンズ102の前焦点面に置かれることが望ましいがその限りではない。
【0026】
一方,コリメータレンズ102の後焦点を瞳分割レンズアレイ104個々のレンズの瞳(開口絞り)と一致させると物体側テレセットリック光学系の配置となり,物体11の位置が前後にズレても(ピントが合わなくても),検出器(撮像素子105)上に形成される分割像の倍率が変化しない。
【0027】
(第二の実施形態)
図2は,第二の実施形態における複眼撮像装置に対物レンズとしてガラスレンズを取り付けた場合の光学系の側面図である。図2において,複眼撮像装置100は,物体側から像側に向かって順に,対物レンズ系200と,視野絞り101と,瞳リレー(コリメータ)レンズ系102と,フィルタアレイ103と,瞳分割レンズアレイ104と,撮像素子105とを備える。また,図3は,図2の対物レンズ系200の射出瞳201を抜き出し,瞳リレーレンズに系102よる瞳の結像を示す光学系の側面図である。
【0028】
複眼撮像装置100の主な機能は,瞳リレーレンズ系102の前段に配置される前置光学系の像面を瞳リレーレンズ系102と瞳分割レンズアレイ104によって検出器上に分割数の像を再結像させることである。
【0029】
対物レンズ系200は,対象物からの光を中間像に結像し,瞳リレーレンズ系102に入射させるレンズ系である。対物レンズ系200は,必要に応じて,1枚以上の光学レンズと絞りを備えることが好適である。また,複眼撮像装置100は,対物レンズ系200を取り外して交換可能とするマウント機構を備えるようにしてもよい。
【0030】
視野絞り101は,中間像を結像する位置に配置される絞りである。視野絞り101は,後述する瞳リレーレンズ系102により,分割された瞳の像(すなわち波長別の像)同士が重ならないように像の大きさを調整する絞りである。
視野絞り101を瞳リレーレンズ系102より物体側に備えることにより,必要な部分の光をカットすることなく像を絞ることができる。
【0031】
瞳リレーレンズ系102は,前段に備える光学系(例えば対物レンズ系200)の射出瞳からの入射光による中間像の位置より像側に配置される。そして,瞳リレーレンズ系102は,対物レンズ系200の射出瞳201を瞳分割レンズアレイ104の開口絞り近傍に瞳再結像させる。例えば瞳リレーレンズ系102は,正のパワーを有するレンズ系を備えるようにしてもよい。また,瞳リレーレンズ系102は,コリメータレンズであることが望ましいが,この限りではない。
【0032】
フィルタアレイ103は,相異なる波長領域で透過する複数のフィルタを光軸に垂直な面に配列したフィルタアレイである。フィルタアレイ103の詳細は,図8及び図9とともに後述する。
【0033】
瞳分割レンズアレイ104は,フィルタアレイ103の各フィルタに対応する波長の光をそれぞれ再び結像させるレンズ系である。瞳分割レンズアレイ104は,例えば,色消しレンズが好適である。瞳分割レンズアレイ104を色消しレンズとすることにより,波長が異なることによる焦点距離の違いに対応が容易になる。瞳分割レンズアレイ104の詳細は,図4及び図5とともに後述する。
【0034】
フィルタアレイ103の各フィルタと瞳分割レンズアレイ104のレンズの組み合わせ関係を説明。フィルタの通過帯域の中心波長でレンズにより結像する位置が撮像素子105の検出面となるようにフィルタとレンズを組み合わせる。
【0035】
撮像素子105は,受光した光を電気信号に変換する素子であり,例えば,CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像素子105は,瞳分割後の各結像位置に配置されている。撮像素子105の配置については,図6及び図7と共に後述する。
【0036】
図2に記載された複眼撮像装置は,瞳リレーレンズ系102が前段に配置され前置光学系200の射出瞳201を瞳分割レンズアレイ104の開口絞り(瞳)に結像するように配置して用いられる。このような配置によって瞳分割レンズアレイ104における入射光束の損失(ケラレ)を最小に抑えられる。
【0037】
なお,瞳リレーレンズ系102の焦点距離をfc,射出瞳から瞳リレーレンズ系102までの距離をa,瞳リレーレンズ系102から瞳再結像までの距離をbと定義したときに,aとbの関係は,以下の式
1/fc=1/a+1/b
により決定される。
【0038】
複眼撮像装置100において,前置光学系200の像面202と瞳リレーレンズ系102の前焦点12を一致させることによって,入射光束をコリメートする(前焦点面の1点から放出する光束,あるいは1点を通過する光束を平行光束にする)ことができ,前置光学系200の差出瞳201の位置が変化した場合であっても,段落0037の式に従って,瞳リレーレンズ系102と瞳分割レンズアレイ104の間隔を調整することによって,入射光束の損失(ケラレ)を最小に抑えられ,検出器(撮像素子105)上における像の倍率が変化しない。
【0039】
瞳リレーレンズ系102の前段に備える前置光学系は,カメラレンズ,顕微鏡,望遠鏡,内視鏡,計測装置(偏光撮像装置:コノメータ,シュリーレン装置など)や観察装置(虫眼鏡:ルーペ,潜望鏡,ビデオマイクロスコープなど)の結像光学系のいずれの対物レンズ系や対物ミラーまたは再結像光学系であってもよい。
【0040】
図4は,一実施の形態に係る複眼撮像装置の瞳分割レンズアレイの正面図及び側面図である。また,図5は,一実施の形態に係る複眼撮像装置の瞳分割レンズアレイの等角投影である。
【0041】
図4及び図5において,瞳分割レンズアレイ104は,光学レンズ系141-1~141-nを備える。光学レンズ系141-1~141-nは,光軸に垂直な面に配列された光学レンズ系である。光学レンズ系141-1~141-nは,図4及び図5に示すように,二次元配列で配置されてもよい。
【0042】
光学レンズ系141-1は,第1レンズ142-1,第2レンズ143-1及び第3レンズ144-1を備える。同様に光学レンズ系141~nは,第1レンズ142~n,第2レンズ143~n及び第3レンズ144~nを備える。
【0043】
第1レンズ142-1~142-nは,両凹レンズである。
【0044】
第2レンズ143-1~143-nは,両凸レンズである。
【0045】
第3レンズ144-1~144-nは,物体側に凹面を向け,像側が平面の平凹レンズである。
【0046】
図4及び図5に示すように,光学レンズ系141-1は,波長領域別に分割された光線の光軸に沿って物体側から第1レンズ142-1,第2レンズ143-1及び第3レンズ144-1が配置されている。同様に光学レンズ系141-nは,波長領域別に分割された光線の光軸に沿って物体側から第1レンズ142-n,第2レンズ143-n及び第3レンズ144-nが配置されている。
【0047】
図6は,一実施の形態に係る複眼撮像装置の瞳分割レンズアレイ及びカメラユニットの等角投影図である。また,図7は,一実施の形態に係る複眼撮像装置の瞳分割レンズアレイ及びカメラユニットの断面の等角投影図である。図6及び図7において,瞳分割レンズアレイ・検出器ユニット500は,筐体501と,光学レンズ系141-1~141-nと,撮像素子105とを備える。
【0048】
筐体501は,物体側に開口511-1~511-nを有する中空の筐体である。筐体501の開口511-1~511-nには光学レンズ系141-1~141-nが装着されている。
【0049】
開口511-1~511-nは,光軸方向に対して垂直な面に複数設けられている。そして,開口511-1~511-nは光学レンズ系141-1~141-nが装着可能な大きさを有している。
【0050】
例えば,光学レンズ系141-1の第1レンズ142-1,第2レンズ143-1及び第3レンズ144-1が同じ外径を有する場合,開口511-1は,この外径と略同じ径を有する。また,開口511-1の形状も光学レンズ系141-1の第1レンズ142-1,第2レンズ143-1及び第3レンズ144-1の形状に対応している。開口511-2~511-nも同様に光学レンズ系141-2~141~nの外径及び形状に対応している。
【0051】
また,筐体501の中空内部に撮像素子105が装着されている。撮像素子105は,受光面が光軸に垂直な向きとなるに配置されている。
【0052】
筐体501の中空内部は,光学レンズ系141-1~141-nの各光路を隔てる隔壁を備えていない。複眼撮像装置100は,視野絞り101により光路を調節した後,瞳リレーレンズ系102及び瞳分割レンズアレイ104にて波長別の光路が分割されているので,波長別の光路が互いに重なり合うことがない。
【0053】
したがって,筐体501の中空内部に光学レンズ系141-1~141-nの各光路を隔てる隔壁を備えずとも,波長別の光が撮像素子105の受光面(分割像面)で干渉することがない。
【0054】
図8は,一実施の形態に係る複眼撮像装置のフィルタアレイの等角投影図である。また,図9は,一実施の形態に係る複眼撮像装置のフィルタアレイの断面の等角投影図である。図8及び図9において,フィルタアレイ103は,フィルタホルダ131と,フィルタ132-1~132-nと,フィルタホルダ蓋133とを備える。
【0055】
フィルタホルダ131は,フィルタ132-1~132-nを固定するホルダである。フィルタホルダ131は,フィルタ132-1~132-nの外形に対応する開口を有する。フィルタ132-1~132-nの外形が矩形である場合,フィルタホルダ131の開口も矩形である。この開口の数はフィルタ132-1~132-nの数に対応する。また,フィルタホルダ131は瞳分割レンズアレイ104より物体側に配置される。例えば,フィルタホルダ131は筐体501の開口511-1~511-nを覆うように,筐体501に装着される。
【0056】
フィルタ132-1~132-nは,相異なる波長領域で透過するフィルタである。
【0057】
フィルタホルダ蓋133は,フィルタホルダ131と共にフィルタ132-1~132-nを挟んで保持する蓋である。フィルタホルダ蓋133は,分割瞳に対応する複数の開口を有する。この開口は例えば円形の開口である。フィルタ132-1~132-nの外形を矩形,フィルタホルダ蓋133の開口を円形とすることにより,フィルタ132-1~132-nの四隅をフィルタホルダ蓋133が押さえることができ,フィルタ132-1~132-nを保持することができる。
【0058】
図10は,一実施の形態に係る複眼撮像装置の瞳リレー(コリメータ)レンズの等角投影図である。また,図11は,一実施の形態に係る複眼撮像装置の瞳リレーレンズの断面の等角投影図である。図10及び図11において,瞳リレーレンズ300は,第1レンズ111と,第2レンズ112と,鏡胴113とを備える。図10では,第1レンズ111及び第2レンズ112で瞳リレーレンズ系102が形成される。
【0059】
第1レンズ111は,物体側に凸面を向け,像側に凹面を向ける負のメニスカスレンズである。また第2レンズ112は,両凸レンズである。第1レンズ111及び第2レンズ112の材質は,ガラス,プラスチックのいずれであっても良い。温度変化による屈折率の変化が少ない点でガラスが好適である。あるいは製造コストを考慮して第1レンズ111及び第2レンズ112の材質は,プラスチックとしてもよい。
【0060】
鏡胴113は,開口を有する中空の円筒形状を有する筒である。この開口は,視野絞り101に対応する。第1レンズ111及び第2レンズ112は,鏡胴113の内部に装着される。第1レンズ111と第2レンズ112は正のパワーを有するアクロマート(色消し)レンズであることが望ましい。また,第1レンズ111及び第2レンズ112は,図11に示すように,接合レンズとしてもよい。
【0061】
また,第1レンズ111及び第2レンズ112は,鏡胴113内での光軸方向の位置を調整可能としてもよい。また,鏡胴113は,物体側の開口に対物レンズを装着可能とするレンズマウントを備えるようにしてもよい。対物レンズと瞳リレーレンズ系102の間の対物レンズの像面に,矩形の開口を有する視野絞り101を置くことにより,撮像素子105で波長別に分割した像同士が干渉することを抑制できる。この開口の形状及び大きさは特別な理由がない限り固定である。すなわち,カメラの絞りのように大きさが調整されるものとは異なる。
【0062】
なお,本発明は上記実施の形態に限られたものではなく,趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば,上記実施の形態では,筐体501の中空内部に隔壁を備えない例について説明しているが,視野絞り101以降で発生する迷光(主にゴースト,フレア)を除去するために,筐体501の中空内部に光学レンズ系141-1~141-nの各光路を隔てる隔壁を備えるようにしてもよい。例えば,暗い環境で強い光が入射し,迷光が発生する環境において有効である。
【0063】
また,NDフィルタを波長別のフィルタ132-1~132-nと直列に組み合わせてもよい。例えば,入射光の波長別の光量の違いを解消し,入射光の波長別の光量を同一とするように,NDフィルタの透過率を調整してもよい。また,イメージセンサの波長別の感度に対応してNDフィルタの透過率を調整してもよい。例えば,赤外光,可視光,紫外光において光量や撮像素子の感度が数~数100万倍程度異なる場合,NDフィルタで所望の波長に合わせて光量を調整できるので,イメージセンサの上限まで光量が飽和するのを防ぐことができる。
【0064】
また,上記実施の形態では,フィルタ132-1~132-nをフィルタホルダ131及びフィルタホルダ蓋133で挟んで保持する例について説明しているが,分割瞳毎に後段のレンズ系と共に鏡筒で保持する形状としても良い。すなわち,フィルタ132-1,第1レンズ142-1,第2レンズ143-1及び第3レンズ144-1が一つの鏡筒に収められる形状としても良い。そして分割瞳毎に鏡筒単位で交換可能としても良い。このような構成とすることにより,要求される波長に応じた調整を簡易に行うことができる。
【0065】
また,フィルタ132-1~132-nは偏光フィルタを含むようにしてもよい。偏光フィルタの角度は,任意の角度でよい。フィルタ132-1~132-nが偏光フィルタを含むことにより,特定の方向異存がある試料を検出することができる,また,鉱物、工業製品製造時の偏光フィルタの設置角度の検出等に使うことができる。
【0066】
また,フィルタ132-1~132-nに水平,垂直,45°の3枚の直線偏光フィルタあるいは-45°を加えた4枚の直線偏光フィルタを含むと,偏光角や偏光度が未知の試料の偏光角と偏光度を求めることもできる。
【0067】
これらの偏光フィルタは任意のバンドパスフィルタやNDフィルタ等と組み合わせて使用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
11 物体
12 物体面(瞳リレーレンズまたはコリメータレンズの前焦点)
100 複眼撮像装置
101 視野絞り
102 瞳リレーレンズ系(コリメータレンズ系)
103 フィルタアレイ
104 瞳分割レンズアレイ
105 撮像素子
111 第1レンズ
112 第2レンズ
131 フィルタホルダ
132-1~132-n フィルタ
133 フィルタホルダ蓋
141-1~141-n光学レンズ系
142-1~142-n 第1レンズ
143-1~143-n 第2レンズ
144-1~144-n 第3レンズ
200 対物レンズ系
201 前置光学系の射出瞳
202 前置光学系の像面
300 瞳リレーレンズ
301 鏡筒
500 瞳分割レンズアレイ・検出器ユニット
501 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11