(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134265
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/30 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
B65D1/30
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033295
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】521091273
【氏名又は名称】株式会社正田企画
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】正田 行雄
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA20
3E033BA16
3E033DA05
3E033DD02
(57)【要約】
【課題】カプセル自動販売機に使用される、平板状の商品などを収容する容器において、転がり性も確保しつつ、容器の材料費を減らして容器のコストを低減する容器を提供する。
【解決手段】容器1は、カプセル自動販売機に使用されるものである。容器1は、第1の容器半体10と、第2の容器半体11と、第1の容器半体10と第2の容器半体11を接続するヒンジ12とを備え、第1の容器半体10と第2の容器半体11の開口縁30、40を互いに合わせて閉じることにより内部空間Sが形成されるものである。容器1の開口縁30、40は楕円形状を有し、容器1は、閉じた時に扁平の球体形状となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル自動販売機に使用される容器であって、
第1の容器半体と、
第2の容器半体と、
前記第1の容器半体と前記第2の容器半体を接続するヒンジとを備え、
前記第1の容器半体と第2の容器半体の開口縁を互いに合わせて閉じることにより内部空間が形成され、
前記開口縁が楕円形状を有し、閉じた時に扁平の球体形状となる容器。
【請求項2】
前記開口縁は、短軸上の外径が長軸上の外径の80%以上99%以下となる楕円形状を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器は、閉じた時に、前記開口縁の長軸方向から見た側面視で楕円形状の外形を有する、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記開口縁の短軸を含み長軸と直角に交わる面で切断した断面において、容器の外縁部が、短軸上の外径が長軸上の外径の75%以上90%以下となる楕円形状を有する、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記容器は、閉じた時に、前記開口縁の短軸方向から見た側面視で楕円形状の外形を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記開口縁の長軸を含み短軸と直角に交わる面で切断した断面において、容器の外縁部が、短軸上の外径が長軸上の外径の90%以上となる楕円形状を有する、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記第1の容器半体と前記第2の容器半体を互いに係止する係止機構を備え、
前記係止機構は、少なくとも前記開口縁の長軸上の両側の頂点付近に設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記係止機構は、さらに前記開口縁の短軸上の頂点付近に設けられている、請求項7に記載の容器。
【請求項9】
前記ヒンジは、前記開口縁の短軸上の頂点付近に設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記第1の容器半体又は前記第2の容器半体の少なくともいずれかの内面には、リブが設けられ、
前記リブは、前記内面の中央部から前記開口縁の長軸上の頂点に向かう方向に延設されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の容器。
【請求項11】
前記リブは、前記内面の中央部から前記開口縁の短軸上の頂点に向かう方向に延設されている、請求項10に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル自動販売機によって販売するキャラクター玩具等を収容するカプセル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル自動販売機で使用されるカプセル容器は、ヒンジにより接続された第1の容器半体と第2の容器半体の開口縁を互いに合わせて閉じることにより内部空間が形成されるように構成されており、従来より球体である(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-30508号公報
【特許文献2】特開2017-206266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような容器において、例えば平板状の商品を収容することがある。特に近年は、平板状の商品の需要が増えている。平板状の商品を球体の容器に収容すると、容器の内部空間が余り、容器内に無駄なスペースが生じる。この場合、容器自体が無駄に大きくなっており、その結果容器の材料費が高く、容器の製造コストが高くなっている。一方、カプセル自動販売機で使用するためには、容器の転がり性も確保する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、カプセル自動販売機に使用される、平板状の商品などを収容する容器において、転がり性も確保しつつ、容器の材料費を減らして容器のコストを低減する容器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る容器は、カプセル自動販売機に使用される容器であって、第1の容器半体と、第2の容器半体と、第1の容器半体と第2の容器半体を接続するヒンジとを備え、第1の容器半体と第2の容器半体の開口縁を互いに合わせて閉じることにより内部空間が形成され、開口縁が楕円形状を有し、閉じた時に扁平の球体形状となる。
【0007】
本態様によれば、容器の開口縁が楕円形状を有し、容器が閉じた時に扁平の球体形状を有するので、内部空間の一方向の面積を確保しつつ容積を減らすことができる。また、容器の転がり性も確保することができる。よって、カプセル自動販売機に使用される、平板状の商品などを収容する容器において、転がり性も確保しつつ、容器の材料費を減らして容器のコストを低減することができる。また、平板状の商品に対し容器の大きさを相対的に小さくすることができるため、その分カプセル自動販売機に多くの容器を収容することができる。
【0008】
上記態様において、開口縁は、短軸上の外径が長軸上の外径の80%以上99%以下となる楕円形状を有するようにしてもよい。
【0009】
上記態様において、容器は、閉じた時に、開口縁の長軸方向から見た側面視で楕円形状の外形を有するようにしてもよい。
【0010】
上記態様において、開口縁の短軸を含み長軸と直角に交わる面で切断した断面において、容器の外縁部が、短軸上の外径が長軸上の外径の70%以上90%以下となる楕円形状を有するようにしてもよい。
【0011】
上記態様において、容器は、閉じた時に、開口縁の短軸方向から見た側面視で楕円形状の外形を有するようにしてもよい。
【0012】
上記態様において、開口縁の長軸を含み短軸と直角に交わる面で切断した断面において、容器の外縁部が、短軸上の外径が長軸上の外径の90%以上となる楕円形状を有するようにしてもよい。
【0013】
上記態様において、第1の容器半体と前記第2の容器半体を互いに係止する係止機構を備え、係止機構は、少なくとも開口縁の長軸上の両側の頂点付近に設けられているようにしてもよい。
【0014】
上記態様において、係止機構は、さらに前記開口縁の短軸上の頂点付近に設けられているようにしてもよい。
【0015】
上記態様において、ヒンジは、開口縁の短軸上の頂点付近に設けられているようにしてもよい。
【0016】
上記態様において、第1の容器半体又は第2の容器半体の少なくともいずれかの内面には、リブが設けられ、リブは、内面の中央部から開口縁の長軸上の頂点に向かう方向に延設されているようにしてもよい。
【0017】
上記態様において、リブは、内面の中央部から開口縁の短軸上の頂点に向かう方向に延設されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、カプセル自動販売機に使用される、平板状の商品などを収容する容器において、転がり性も確保しつつ、容器の材料費を減らして容器のコストを低減する容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】閉じた状態の容器の一例を示す斜視図である。
【
図4】閉じた状態の容器の高さ方向側の上側から見た平面図である。
【
図5】閉じた状態の容器の幅方向側から見た側面図である。
【
図7】閉じた状態の容器の奥行き方向の前面側から見た側面図である。
【
図9】半体の開口部の形状の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態の一例について説明する。なお、図面の上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る、閉じた状態の容器1の一例を示す斜視図である。
図2は、開けた状態の容器1を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように容器1は、閉じた時に扁平の球体形状となるように構成されている。容器1は、例えばPP(ポリプロピレン)などの合成樹脂製である。容器1は、例えば、第1の容器半体10と、第2の容器半体11と、第1の容器半体10と第2の容器半体11を接続するヒンジ12と、第1の容器半体10と第2の容器半体11を互いに係止する係止機構13を備えている。
【0023】
図2及び
図3に示すように第1の容器半体10は、薄い肉厚を有する半球状に形成されている。第1の容器半体10は、楕円形状の開口縁30を有している。すなわち、開口縁30は、短軸A1、長軸B1、4つの頂点30a、30b、30c、30dを有し、隣り合う頂点30a~30d同士を外側に凸の湾曲曲線で滑らかに接続した形状を有している。開口縁30は、
図3に示すように短軸A1上の外径r1が長軸B1上の外径r2の80%以上99%以下、好ましくは85%以上95%以下となる楕円形状を有している。なお、本明細書において、「短軸上の外径」及び「長軸上の外径」は、容器1の外側面に沿った楕円曲線上にある各軸上の頂点間の距離であり、例えば頂点部分に凹凸がある場合には、仮想的に滑らかな楕円曲線を引いた場合の頂点間の距離とする。
【0024】
図2及び
図3に示すように第2の容器半体11は、第1の容器半体10と同様に、薄い肉厚を有する半球状に形成されている。第2の容器半体11は、第1の容器半体10の開口縁30と同形の楕円形状の開口縁40を有している。すなわち、開口縁40は、
図3に示す短軸A1上の外径r1が長軸B1上の外径r2の80%以上99%以下、好ましくは85%以上95%以下となる楕円形状を有している。
【0025】
図2及び
図3に示すようにヒンジ12は、第1の容器半体10の開口縁30の短軸A1上の一方の頂点30a付近と、第2の容器半体11の開口縁40の短軸A1上の一方の頂点40a付近を接続している。これにより、容器1が開閉自在となり、第1の容器半体10と第2の容器半体11の開口縁30、40を互いに合わせて閉じることにより内部空間S(
図1に示す)が形成される。なお、容器1を閉じるときには、開口縁30、40の端面を互いに突き合わせてもよいし、開口縁30、40の一方を内側に他方を外側になるように重ね合わせてもよい。
【0026】
なお、本明細書において、容器1の開口縁30、40の短軸方向を「奥行き方向」(
図1に示すX方向)ともいい、長軸方向を「幅方向」(
図1に示すY方向)ともいい、奥行き方向と幅方向に垂直な方向を「高さ方向」(
図1に示すZ方向)ともいう。
【0027】
図4に示すように容器1は、閉じた状態で、高さ方向Zの第2の容器半体11側から見た上面視で楕円形状の外形を有している。
【0028】
また、
図5に示すように容器1は、閉じた状態で、幅方向Yから見た側面視で高さ方向Zに長い楕円形状の外形を有している。
【0029】
図6に示すように開口縁30、40の短軸A1を含み長軸B1と直角に交わる面(開口縁30、40の中心Cを通り幅方向Yに垂直な面)で切断した第1の断面(
図4のM-M断面)において、容器1の外縁部50が楕円形状を有している。容器1の外縁部50は、奥行き方向Xの短軸A2上の外径r3が、高さ方向Zの長軸B2上の外径r4の70%以上90%以下、より好ましくは75%以上85%以下となる楕円形状を有している。
【0030】
さらに
図7に示すように容器1は、閉じた状態で、奥行き方向Xの正面側から見た側面視で高さ方向Zに長い楕円形状の外形を有している。
【0031】
図1に示すように開口縁30、40の長軸A1を含み短軸B1と直角に交わる面(開口縁30、40の中心Cを通り奥行き方向Xに垂直な面)で切断した第2の断面(
図8のN-N断面)において、容器1の外縁部60が楕円形状を有している。容器1の外縁部60は、幅方向Yの短軸A3上の外径r5が、高さ方向Zの長軸B3上の外径の90%以上となる楕円形状を有している。さらに、幅方向Yの短軸A3上の外径r5が高さ方向Zの長軸B3上の外径r6の好ましくは90%以上99%以下、より好ましくは95%以上である。なお、容器1の外縁部60は、円形状を有するものであってもよい。
【0032】
開口縁30、40における短軸A1上の外径r1と長軸B1上の外径r2の比R1(r1/r2)、容器1の外縁部50における短軸A2上の外径r3と長軸B2上の外径r4の比R2(r3/r4)、及び容器1の外縁部60における短軸A3上の外径r5と長軸B3上の外径r6の比R3(r5/r6)は、例えばR2>R3>R1の関係にある。
【0033】
図1及び
図2に示すように係止機構13は、例えば容器1の開口縁30、40周りの3か所に設けられている。例えば係止機構13の第1の係止機構70は、開口縁30、40の短軸A1上のヒンジ12に対向する頂点30b付近に設けられ、係止機構13の第2の係止機構71は、開口縁30、40の長軸B1上の両側の頂点30c、30d付近に設けられている。
【0034】
図1乃至
図3に示すように例えば第1の係止機構70は、第1の容器半体10の開口縁30の短軸A1上の頂点30b付近に設けられた係止部80と、第2の容器半体11の開口縁40の短軸A1上の頂点40b付近に設けられた被係止部81を有している。
【0035】
係止部80は、例えば開口縁30に対し外側(中心Cと離れる方向)に突出する爪状の突起部90を有している。第1の容器半体10の頂点30b付近の外周面には、平坦部91が形成されており、突起部90は、その平坦部91に設けられている。
【0036】
被係止部81は、開口縁40から、高さ方向Zの第1の容器半体10側に延出する舌状部100と、舌状部100の基端に形成され、奥行き方向Xに貫通する孔101を有している。舌状部100は、例えば略方形或いは半円状の板形状を有し、その基端付近に孔101が形成されている。
【0037】
係止部80の突起部90が被係止部81の舌状部100の孔101に入り引っかかることで係止部80が被係止部81に係止される。
【0038】
第2の係止機構71は、第1の容器半体10の開口縁30の長軸B1上の頂点30c、30d付近にそれぞれ設けられた係止部120と、第2の容器半体11の開口縁40の長軸B1上の頂点40c、40d付近に設けられた被係止部121を有している。
【0039】
係止部120は、開口縁30の外面から、高さ方向Xの第2の容器半体11側に延設する直線部130と、当該直線部130の先端から外側(中心Cから離れる方向)に向かって突出する爪状の突起部131を有している。
【0040】
被係止部121は、開口縁40の外面に形成されたブリッジ部140と、ブリッジ部140の内側に形成され、高さ方向Zに貫通する孔141を有している。ブリッジ部140は、開口縁40に沿って延設し、両端が開口縁40に接続され、中央部が開口縁40から外側に離れている。孔141は、ブリッジ部140の中央部に設けられている。
【0041】
係止部120の突起部131が被係止部121の孔141に入りブリッジ部140に引っかかることで係止部120が被係止部121に係止される。
【0042】
図2及び
図3に示すように容器1は、第1の容器半体10と第2の容器半体11の内面150、160にリブ151、161を有している。
【0043】
第1の容器半体10のリブ151は、内面150の中央部152側から開口縁30に向けて放射状に複数本設けられている。
【0044】
第2の容器半体11のリブ161は、内面160の中央部162側から開口縁40に向けて放射状に複数本設けられている。
【0045】
リブ151は、長軸B1よりもヒンジ12側と第1の係止機構70の係止部80側にそれぞれ複数本ずつ、例えば同数設けられている。
【0046】
リブ161は、長軸B1よりもヒンジ12側と第1の係止機構70の被係止部81側にそれぞれ複数本ずつ設けられている。また、リブ161は、中央部162から第2の係止機構71の被係止部121のある長軸B1上の頂点40c、40dに向かって延設されるリブ161aと、中央部162から第1の係止機構70の被係止部81のある短軸A1上の頂点40bに向かって延設されるリブ161bを有している。なお、リブ151には、例えばリブ161a、161bに相当するものはない。また、リブ151、161は、中央部から開口縁まで形成されていてもよいし、中央部から開口縁までの途中に形成されていてもよい。
【0047】
以上のように構成された容器1を使用する際には、平板状の商品である例えば玩具が第1の容器半体10又は第2の容器半体11に入れられ、第1の容器半体10と第2の容器半体11の開口縁30、40が互いに合わせられ、第1の容器半体10と第2の容器半体11が係止機構13により互いに係止されて容器1が閉じられる。こうして玩具は、容器1の内部空間Sに収容される。
【0048】
また、容器1は、カプセル自動販売機の貯留部に収容される。容器1は、貯留部の傾斜面を転がり出口付近で待機し、例えばコインの投入とレバーの操作により出口から排出される。
【0049】
本実施の形態によれば、容器1の開口縁30、40が楕円形状を有し、容器1が、閉じた時に扁平の球体形状となるものであるので、内部空間Sの一方向の面積を確保しつつ容積を減らすことができる。また、容器1の転がり性も確保することができる。よって、カプセル自動販売機に使用される、平板状の商品を収容する容器1において、容器1の転がり性も確保しつつ、容器1の材料費(重量)を減らして容器1のコストを低減することができる。また、平板状の商品に対し容器1の大きさを相対的に小さくすることができるため、その分カプセル自動販売機に多くの容器1を収容することができる。
【0050】
開口縁30、40は、短軸A1上の外径r1が長軸B1上の外径r2の80%以上99%以下、より好ましくは85%以上95%以下となる楕円形状を有している。この場合、容器1が幅方向Yに長く、奥行き方向Xに短い楕円形状となるため、内部空間Sの一方向の面積を確保しつつ容積を十分に減らし、さらに容器1の転がり性を十分に確保することができる。
【0051】
容器1は、閉じた状態で、長軸方向(幅方向Y)から見た側面視(
図5)で楕円形状の外形を有するので、内部空間Sの一方向の面積を確保しつつ容積を十分に減らし、さらに容器1の転がり性を十分に確保することができる。
【0052】
開口縁30、40の短軸A1を含み長軸B1と直角に交わる面で切断した第1の断面(
図6)において、容器1の外縁部50が、第1の断面における短軸A2上の外径r3が長軸B2上の外径r4の70%以上90%以下、より好ましくは75%以上85%以下となる楕円形状を有している。かかる場合、容器1が高さ方向Zに長く、奥行き方向Xに短い楕円形状となるため、内部空間Sの一方向の面積を確保しつつ容積を十分に減らし、さらに容器1の転がり性を十分に確保することができる。
【0053】
容器1は、閉じた状態で、短軸方向(奥行き方向X)から見た側面視(
図7)で楕円形状の外形を有するので、内部空間Sの一方向の面積を確保し容積を十分に減らし、さらに容器1の転がり性を十分に確保することができる。
【0054】
開口縁30、40の長軸B1を含み短軸A1と直角に交わる面で切断した第2の断面(
図8)において、容器1の外縁部60が、第2の断面における短軸A3上の外径r5が長軸B3上の外径r6の90%以上となる楕円形状を有している。かかる場合、容器1が、高さ方向Zにわずかに長い楕円形状となるため、内部空間Sの一方向の面積を確保し容積を減らしつつ、容器1の転がり性を十分に確保することができる。
【0055】
容器1は、第1の容器半体10と第2の容器半体11を互いに係止する係止機構13を備え、係止機構13の第2の係止機構71は、開口縁30、40の長軸B1上の両側の頂点30c、30d、40c、40d付近に設けられている。容器1が扁平の球体形状である場合、外力がかかると、開口縁30、40の長軸B1上の頂点付近の容器1の変形量が大きくなる。そこで、開口縁30、40の頂点30c、30d、40c、40d付近に第2の係止機構71を設けることにより、容器1が意図せず開くようなことを抑制することができる。
【0056】
第1の係止機構70は、開口縁30、40の短軸B1上の頂点30b、40b付近に設けられている。かかる場合、容器1の扁平部分(つぶれた部分)に第1の係止機構70が設けられるので、第1の係止機構70による第1の容器半体10と第2の容器半体11との係止操作とその係止の解除操作を行い易くなる。
【0057】
ヒンジ12は、開口縁30、40の短軸B1上の頂点30a、40a付近に設けられている。かかる場合、例えばヒンジ12が、円よりも緩やかな曲線に設けられるので、ヒンジ12の強度が向上し、ヒンジ12が破損して第1の容器半体10と第2の容器半体11が分離するようなことが抑制される。
【0058】
第1の容器半体10又は第2の容器半体11の内面150、160には、リブ151、161が設けられ、そのうち、リブ161は、内面160の中央部162から開口縁40の長軸B1上の頂点40c、40dに向かう方向に延設されるリブ161aを有している。かかる場合、容器1が幅方向Yに変形することを抑制することができる。これにより、例えば第2の係止機構71において容器1が意図せず開くことを抑制することができる。
【0059】
リブ161aは、内面160の中央部162から開口縁40の短軸B1上の頂点40bに向かう方向に延設されている。これにより、容器1が奥行き方向Xに変形し破損することを抑制ことができる。
【0060】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0061】
例えば容器1の外形は、
図1等に示すものに限られず、開口縁が楕円形状を有し、閉じた時に扁平の球体形状となるものであれば、他の形状であってもよい。なお、本明細書における「楕円形状」には、数学上の楕円のみならず、略楕円(楕円状)のものも含まれる。例えば「楕円形状」の隣り合う頂点同士を結ぶ楕円曲線の曲がり具合(曲率)は、適宜変更することができる。また、開口縁30、40の「楕円形状」には、
図9に示すように一部に直線があるものも含まれる。
【0062】
例えば容器1のヒンジ12の位置は、開口縁30、40上の他の位置であってもよい。係止機構13の構成、数や配置も上記実施の形態に限られない。また、容器1に収容される内容物は、特に限定されるものではなく、平板状の商品以外のものであってもよい。
【実施例0063】
本発明の容器1の排出性(転がり性)についての実験を行った。開口縁30、40の短軸A1上の外径r1が54.33mm、長軸B1上の外径r2が59.91mm、短軸A2上の外径r3が54.33mm、長軸B2上の外径r4が67.75mmである容器1と、開口縁30、40の短軸A1上の外径r1が49.95mm、長軸B1上の外径r2が63.50mm、短軸A2上の外径r3が49.95mm、長軸B2上の外径r4が68.02mmである容器1を用意した。そして、各容器1を、既存の一般的なカプセル自動販売機(機種名「ガシャポンステーション」)に40個貯留し、その後レバーの操作により出口から適切に排出されなかった容器の数をカウントした。この作業を175回繰り返し、各容器1について延べ7000個について転がり性を確認した。この結果、前者の容器1のうち適切に排出されなかったものが、0.04%であり、後者の容器1のうち適切に排出されなかったものが、0.34%であった。どちらの容器1も転がり性は高いと考えられるが、前者の方が転がり性に優れていた。
【0064】
なお、前者の容器1は、開口縁30、40の短軸A1上の外径r1が長軸B1上の外径r2の約90%の長さとなり、後者の容器1は、開口縁30、40の短軸A1上の外径r1が長軸B1上の外径r2の約78%の長さとなる。また、前者の容器1は、第1の断面(
図6)における短軸A2上の外径r3が長軸B2上の外径r4の約80%の長さとなり、後者の容器1は、短軸A2上の外径r3が長軸B2上の外径r4の約73%の長さとなる。両者とも、第2の断面(
図8)における第2の断面における短軸A3上の外径r5が長軸B3上の外径r6の90%以上の長さとなる。
本発明は、カプセル自動販売機に使用される、平板状の商品などを収容する容器において、転がり性も確保しつつ、容器の材料費を減らして容器のコストを低減する容器を提供する際に有用である。