IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-圧力測定装置 図1
  • 特開-圧力測定装置 図2
  • 特開-圧力測定装置 図3
  • 特開-圧力測定装置 図4
  • 特開-圧力測定装置 図5
  • 特開-圧力測定装置 図6
  • 特開-圧力測定装置 図7
  • 特開-圧力測定装置 図8
  • 特開-圧力測定装置 図9
  • 特開-圧力測定装置 図10
  • 特開-圧力測定装置 図11
  • 特開-圧力測定装置 図12
  • 特開-圧力測定装置 図13
  • 特開-圧力測定装置 図14
  • 特開-圧力測定装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134312
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】圧力測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
G01L19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033367
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】津嶋 鮎美
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB05
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF49
2F055GG01
2F055GG11
2F055HH08
(57)【要約】
【課題】ボディを小型化することが可能な圧力測定装置を提供する。
【解決手段】受圧ダイアフラム12,13との間に充填された圧力伝達媒体25の圧力を受圧して圧力を検出する圧力センサチップ23と、圧力センサチップ23を収容するセンサケース32とが内部空間26に設置されたボディ2を有する圧力測定装置1である。センサケース32は、絶縁材料によって形成され、圧力伝達媒体25の圧力を圧力センサチップ23に導入するための開口部を有している。ボディ2は、圧力伝達室12,14から内部空間26に通じる第1、第2の導圧路15,16を有する。内部空間26には、導圧路15,16の開口端に装着された第1、第2のワッシャ17,18、第1、第2の細管21,22と、圧力センサチップ23の検出出力から電気信号を生成する電気回路が搭載された基板36とが設けられる。センサケース32は、基板36上に載置されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象であるプロセス流体の圧力を受圧する受圧ダイアフラムを備え、
前記受圧ダイアフラムとの間に充填された圧力伝達媒体の圧力を受圧して圧力を検出する圧力センサチップと、
前記圧力センサチップを収容するセンサケースとが内部空間に設置されたボディを有する圧力測定装置であって、
前記センサケースは、絶縁材料によって形成されているとともに、前記圧力伝達媒体の圧力を前記圧力センサチップに導入するための開口部を有し、
前記ボディは、前記受圧ダイアフラムを壁の一部として形成されて前記圧力伝達媒体の一部を収容する圧力伝達室から前記ボディの前記内部空間に通じる導圧路を有し、
前記ボディの前記内部空間には、
前記導圧路における前記ボディの前記内部空間に通じる開口端に装着された、貫通孔を有するステンレス製のワッシャと、
前記ワッシャの前記貫通孔にその一端が挿入されて接合されるとともに、その他端が前記センサケースの前記開口部を貫通して前記圧力センサチップに連通する、内部に前記圧力伝達媒体が充填された細管と、
前記圧力センサチップの検出出力から電気信号を生成する電気回路が搭載された回路基板とが設けられ、
前記センサケースは、前記回路基板上に載置されていることを特徴とする圧力測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力測定装置において、
前記回路基板は、端部に前記細管を通す切欠きを有し、
前記センサケースは、前記回路基板上の前記切欠きの周辺部に載置されていることを特徴とする圧力測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力測定装置において、
前記回路基板は、前記導圧路の前記開口端が指向する方向が厚み方向となる状態で前記ボディに固定され、
前記回路基板における、前記導圧路の前記開口端と対向する位置に貫通穴が形成されていることを特徴とする圧力測定装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の圧力測定装置において、
前記回路基板における前記切欠きの穴部分を囲む3つの辺を形成する部分に、前記電気回路に接続された半田付け用ランドがそれぞれ設けられ、
前記センサケースの前記回路基板に載置される載置面である底面に、前記半田付け用ランドと接続して導通する電極パッドが設けられていることを特徴とする圧力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディの内部空間にセンサチップと基板とを備えた圧力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧力測定装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示された圧力測定装置は、被測定流体の圧力を受ける受圧部が一端側に設けられたボディと、受圧部に導圧用のパイプを介して接続され、被測定流体の圧力を検出する圧力センサと、圧力センサからの電気信号の処理に関する回路が設けられた回路基板とを備えている。圧力センサと回路基板は、ボディの内部に収容されている。圧力センサは受圧部と隣り合う位置に配置され、回路基板は、受圧部との間に圧力センサが位置するようにボディの他端部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4955394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す圧力測定装置においては、圧力センサを搭載するスペースと、回路基板を搭載するスペースとがそれぞれボディ内に必要であるから、ボディが大型化するという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、ボディを小型化することが可能な圧力測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明に係る圧力測定装置は、測定対象であるプロセス流体の圧力を受圧する受圧ダイアフラムを備え、前記受圧ダイアフラムとの間に充填された圧力伝達媒体の圧力を受圧して圧力を検出する圧力センサチップと、前記圧力センサチップを収容するセンサケースとが内部空間に設置されたボディを有する圧力測定装置であって、前記センサケースは、絶縁材料によって形成されているとともに、前記圧力伝達媒体の圧力を前記圧力センサチップに導入するための開口部を有し、前記ボディは、前記受圧ダイアフラムを壁の一部として形成されて前記圧力伝達媒体の一部を収容する圧力伝達室から前記ボディの前記内部空間に通じる導圧路を有し、前記ボディの前記内部空間には、前記導圧路における前記ボディの前記内部空間に通じる開口端に装着された、貫通孔を有するステンレス製のワッシャと、前記ワッシャの前記貫通孔にその一端が挿入されて接合されるとともに、その他端が前記センサケースの前記開口部を貫通して前記圧力センサチップに連通する、内部に前記圧力伝達媒体が充填された細管と、前記圧力センサチップの検出出力から電気信号を生成する電気回路が搭載された回路基板とが設けられ、前記センサケースは、前記回路基板上に載置されているものである。
【0007】
本発明は、前記圧力測定装置において、前記回路基板は、端部に前記細管を通す切欠きを有し、前記センサケースは、前記回路基板上の前記切欠きの周辺部に載置されていてもよい。
【0008】
本発明は、前記圧力測定装置において、前記回路基板は、前記導圧路の前記開口端が指向する方向が厚み方向となる状態で前記ボディに固定され、前記回路基板における、前記導圧路の前記開口端と対向する位置に貫通穴が形成されていてもよい。
【0009】
本発明は、前記回路基板における前記切欠きの穴部分を囲む3つの辺を形成する部分に、前記電気回路に接続された半田付け用ランドがそれぞれ設けられ、前記センサケースの前記回路基板に載置される載置面である底面に、前記半田付け用ランドと接続して導通する電極パッドが設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、回路基板上にセンサケースを実装することができるから、回路基板とセンサケースの占有スペースを最少にすることができ、回路基板とセンサケースとをボディ内にコンパクトに配置することができる。したがって、ボディを小型化することが可能な圧力測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係る圧力測定装置の断面図である。
図2図2は、図2は、圧力測定装置の斜視断面図である。
図3図3は、圧力測定装置のボディと樹脂ケースとを破断して示す分解斜視図である。
図4図4は、圧力センサ組立体の斜視断面図である。
図5図5は、センサケースおよび圧力センサチップと細管との接合部を拡大して示す断面図である。
図6図6は、ワッシャと細管との接合部を拡大して示す断面図である。
図7図7は、圧力センサ組立体と基板の平面図である。
図8図8は、圧力センサ組立体と基板の斜視図である。
図9図9は、ワッシャをボディに溶接する手順を説明するための斜視断面図である。
図10図10は、第2の実施の形態による基板の平面図である。
図11図11は、基板の要部を拡大して示す平面図である。
図12図12は、圧力センサ組立体と基板の斜視図である。
図13図13は、圧力センサ組立体と基板の斜視図である。
図14図14は、第3の実施の形態による基板を示す図である。
図15図15は、圧力センサ組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る圧力測定装置の一実施の形態を図1図9を参照して詳細に説明する。
図1に示す圧力測定装置1は、図1において中央部に描かれているボディ2に後述する複数の機能部品を組み付けて構成されている。ボディ2は、図1において下側に描かれている受圧部3と、上側に描かれている検出部4とを有している。この実施の形態によるボディ2は、ステンレス鋼によって形成されている。
【0013】
受圧部3は、図1において左右方向を厚み方向とする板状に形成されており、厚み方向の一方の端部に第1の配管5が接続されるとともに、厚み方向の他方の端部に第2の配管6が接続される。第1の配管5の内部は、測定対象である第1のプロセス流体7で満たされている。第2の配管6の内部は、測定対象である第2のプロセス流体8で満たされている。
受圧部3における第1の配管5と接続される一端部には、第1のプロセス流体7の圧力を受圧する第1の受圧ダイアフラム11が設けられているとともに、この第1の受圧ダイアフラム11が壁の一部となる第1の圧力伝達室12が形成されている。
受圧部3における第2の配管6と接続される他端部には、第2のプロセス流体8の圧力を受圧する第2の受圧ダイアフラム13が設けられているとともに、この第2の受圧ダイアフラム13が壁の一部となる第2の圧力伝達室14が形成されている。
【0014】
第1の圧力伝達室12と第2の圧力伝達室14は、図2に示すように、ボディ2内に形成された第1の導圧路15および第2の導圧路16と、後述する検出部4の第1および第2のワッシャ17,18と、第1および第2の細管21,22とを介して圧力センサチップ23の圧力室24(図5参照)に連通されている。第1および第2の圧力伝達室12,14から圧力室24に至る圧力伝達系は、圧力伝達媒体25(図1図5参照)で満たされている。圧力センサチップ23は、第1および第2の受圧ダイアフラム11,13との間に充填された圧力伝達媒体25の圧力を受圧して圧力を検出する。
【0015】
ボディ2の検出部4は、円筒状に形成され、受圧部3とは反対の方向に向けて開口している。検出部4内にボディ2の内部空間26が形成されている。検出部4の開口部分は、カバー27(図1参照)が取付けられ、カバー27によって閉塞される。
検出部4の内側底部には、図3に示すように第1および第2の導圧路15,16がそれぞれ開口している。第1および第2の導圧路15,16は、ボディ2の内部に、第1および第2の圧力伝達室12,14からボディ2の内部空間26に通じるように形成されている。
【0016】
第1の導圧路15の内部空間26に通じる開口端には、図2に示すように第1のワッシャ17が装着されている。第2の導圧路16の内部空間26に通じる開口端には第2のワッシャ18が装着されている。第1および第2のワッシャ17,18は、それぞれステンレス鋼によって円板状に形成されており、ボディ2に溶接されている。
【0017】
第1および第2のワッシャ17,18の中心部には、図6に示すように、第1および第2の導圧路15,16の内部に臨む凸部17a,18aが設けられているとともに、貫通孔28,29が形成されている。図4に示すように、第1のワッシャ17の貫通孔28には、後述する第1の細管21の一端が挿入されて接合されている。第2のワッシャ18の貫通孔29には、後述する第2の細管22の一端が挿入されて接合されている。
【0018】
第1の細管21と第2の細管22は、それぞれステンレス鋼によって形成され、所定の形状に曲げられている。第1および第2の細管21,22の第1および第2のワッシャ17,18への接合は、凸部17a,18aに開口する貫通孔28,29の開口縁に細管21,22の先端外周部を溶接することによって行われている。この溶接は、図6に示すように、溶接部30によって第1および第2のワッシャ17,18と第1および第2の細管21,22との間が液密にシールされるように行っている。
第1のワッシャ17に溶接された第1の細管21と、第2のワッシャ18に溶接された第2の細管22は、図4中に符号31で示す圧力センサ組立体の一部を構成するものである。
【0019】
圧力センサ組立体31は、図4に示すように、第1および第2の細管21,22の一端に接合された第1および第2のワッシャ17,18と、第1および第2の細管21,22の他端に接合されたセンサケース32および圧力センサチップ23とによって構成されている。第1および第2の細管21,22は、第1および第2のワッシャ17,18からボディ2の受圧部3とは反対方向に延びており、第1および第2のワッシャ17,18とセンサケース32との間でこれら両細管21,22の間隔が狭くなるように曲げられている。第1および第2の細管21,22の間隔は、第1および第2のワッシャ17,18に溶接される一端側で広くなり、センサケース32に接合される他端側で狭くなる。
【0020】
センサケース32は、セラミックス材料によって形成されたケース本体33と、セラミックス材料または金属材料によって形成された蓋体34とによって構成されている。圧力センサチップ23は、複数のシリコン製の板状部材を厚み方向に重ねて立方体状に形成され、センサケース32の中に収容されている。
センサケース32のケース本体33は、図4において上側であってボディ2の受圧部3とは反対の方向に向けて開口する有底角筒状に形成されている。蓋体34は、板状に形成され、ケース本体33の開口部を閉塞する状態でケース本体33にろう付けあるいはシーム溶接などによって固着されている。この蓋体34をケース本体33に接合する作業は、ケース本体33内が真空あるいはN2で満たされた状態で気密に封止されるように行う。
【0021】
センサケース32の底面、すなわちケース本体33の底壁33aにおけるケース外側の面には、図4に示すように、圧力センサチップ23の複数の端子(図示せず)に電気的に接続される複数の電極パッド35が形成されている。この実施の形態による電極パッド35は、底壁33aにおける、第1の細管21と第2の細管22とが並ぶ方向とは直交する方向の両端部に配設されている。
これらの電極パッド35は、基板36(図3参照)に形成された半田付け用ランド37に重ねて半田付けされる。この半田付けが行われることにより、センサケース32が基板36上に載置された状態で半田付け用ランド37に電気的に接続される(実装される)。この実施の形態においては、基板36が本発明でいう「回路基板」に相当する。
【0022】
基板36は、図3に示すように、円板状に形成されている。基板36には、第1および第2のワッシャ17,18を通すことが可能な円形の二つの貫通穴38,38と、これらの貫通穴38どうしを接続するスリット39とが形成されている。貫通穴38は、図2に示すように、基板36における、第1および第2の導圧路15,16の開口端と対向する位置に形成されている。
【0023】
センサケース32を基板36に重ねる作業は、貫通穴38,38に第1および第2のワッシャ17,18を通すとともに、第1および第2の細管21,22をスリット39に通して行う。また、基板36には、図7および図8に示すように、圧力センサチップ23の検出出力から電気信号を生成する電気回路40と、外部接続用のコネクタ端子41とが搭載されている。なお、図示してはいないが、基板36には、半田付け用ランド37と電気回路40とを電気的に接続する配線パターンと、電気回路40とコネクタ端子41とを電気的に接続する配線パターンとが形成されている。電気回路40とコネクタ端子41を実装する位置は、図示した位置に限定されることはなく、適宜変更することができる。
【0024】
この実施の形態による基板36は、樹脂ケース51(図3参照)に支持され、樹脂ケース51を介してボディ2に支持されている。樹脂ケース51は、ボディ2の内部空間26に収容可能な有底円筒状に形成されている。樹脂ケース51には、基板36が載置される載置面52と、載置面52に基板36を載せて係止するための爪片53と、第1および第2のワッシャ17,18を通すための二つの貫通穴54,54とが形成されている。
【0025】
貫通穴54の周囲には、樹脂ケース51の底壁51aから図3において下方、すなわちボディ2の受圧部3を指向する方向に突出する二つの円形突起55,55と、樹脂ケース51の底壁51aから受圧部3とは反対の方向に突出する二つの筒体56,56とが設けられている。円形突起55は、ボディ2に第1および第2の導圧路15,16を囲むように形成された円形凹部57に嵌合する。筒体56には、第1および第2の細管21,22を通すための凹部58が形成されている。
【0026】
この樹脂ケース51に基板36が装着された状態で第1および第2のワッシャ17,18がボディ2に溶接されることにより、基板36の厚み方向が図1において上下方向となる状態で基板36がボディ2に固定される。図1の上下方向は、第1および第2の導圧路15,16の開口端が指向する方向である。
【0027】
図5に示すように、ケース本体33の底壁33aには、圧力センサチップ23の両側部を支承する取付座61が形成されているとともに、圧力伝達媒体25の圧力を圧力センサチップ23に導入するための第1および第2の開口部62,63(図4参照)が形成されている。
圧力センサチップ23は、図4に示すように、第1の細管21の他端が挿入される第1の孔64と、第2の細管22の他端が挿入される第2の孔65とが形成されており、ケース本体33の取付座61にたとえばろう付けによって固着されている。圧力センサチップ23は、第1の孔64に伝達された圧力伝達媒体25の圧力と、第2の孔65に伝達された圧力伝達媒体25の圧力との差圧を検出するように構成されている。
【0028】
ケース本体33の第1および第2の開口部62,63は、底壁33aを貫通する貫通孔となるように形成されている。第1および第2の開口部62,63の孔径は、第1および第2の細管21,22の他端を通すことができる孔径である。第1の細管21の他端は、第1の開口部62を貫通して圧力センサチップ23の第1の孔64に挿入され、圧力センサチップ23に連通している。第2の細管22の他端は、第2の開口部63を貫通して圧力センサチップ23の第2の孔65に挿入され、圧力センサチップ23に連通している。
【0029】
第1および第2の細管21,22は、図5に示すように、圧力センサチップ23に接着剤66によって接着されている。この接着剤66としては、エポキシ系の接着剤を用いることができる。センサケース32の内部は、エポキシ系の接着剤が吸湿することがない状態になっている。この状態は、真空状態あるいはN2ガスなどの不活性ガスで満たされた状態である。センサケース32内をこのような不活性な状態に保つために、第1および第2の細管21,22におけるセンサケース32の第1および第2の開口部62,63を貫通する部分は、半田付けによって封止されている。半田付けは、半田67が第1および第2の開口部62,63の周囲の全域にわたって濡れ拡がるように行われている。
【0030】
ケース本体33の第1および第2の開口部62,63は、この半田付けを行うことができるように、メタライズ処理が施されている。また、第1および第2の細管21,22には、第1および第2の開口部62,63に半田付けされる部分に半田付け用のめっきが施されている。この半田付け用のめっきは、Niを下地とするAuめっきである。
【0031】
次に、上述したように構成された圧力測定装置1を組立てる手順を説明する。圧力測定装置1を組み立てるにあたっては、先ず、第1および第2の細管21,22の第1および第2の開口部62,63に半田付けされる部分に半田付け用のめっきを施す。なお、ケース本体33の第1および第2の開口部62,63と、蓋体34が接合される部分には、予めメタライズ処理を施しておく。
【0032】
そして、第1および第2の細管21,22に第1および第2のワッシャ17,18を溶接する。その後、ケース本体33の第1および第2の開口部62,63に第1および第2の細管21,22を通し、第1および第2の細管21,22を圧力センサチップ23に接着する。そして、圧力センサチップ23をケース本体33に接合し、圧力センサチップ23とケース本体33の導通部分とを例えばボンディングワイヤ(図示せず)によって接続する。
【0033】
このように圧力センサチップ23がセンサケース32に取付けられた後、第1および第2の細管21,22をケース本体33の第1および第2の開口部62,63に半田付けし、細管貫通部を封止する。そして、ケース本体33と第1および第2の細管21,22を図示していない接合装置に装填し、ケース本体33内を不活性の状態としてケース本体33に蓋体34をろう付けあるいはシーム溶接によって取付ける。蓋体34がケース本体33に接合されることにより、圧力センサ組立体31が完成する。
【0034】
次に、圧力センサ組立体31を基板36に取付ける。この取付作業は、第1および第2のワッシャ17,18を基板36の貫通穴38に通すとともに第1および第2の細管21,22をスリット39に通し、センサケース32を基板36に半田付けして行う。その後、基板36を樹脂ケース51に係止させて樹脂ケース51をボディ2の内部空間26に挿入する。基板36を樹脂ケース51に組付けるときは、基板36の貫通穴38を通して第1および第2のワッシャ17,18を視認しながら、第1および第2のワッシャ17,18が樹脂ケース51の貫通穴54に入るように基板36の位置を調整する。そして、樹脂ケース51の円形突起55をボディ2の円形凹部57に嵌合させ、第1および第2のワッシャ17,18の凸部17a,18aを第1および第2の導圧路15,16に挿入する。
【0035】
次に、第1および第2のワッシャ17,18をボディ2に溶接する。この溶接は、図9に示すように、ボディ2を下側電極71に載置するとともに、第1および第2のワッシャ17,18に上側電極72を押し付けて抵抗溶接により行う。上側電極72は、棒状に形成され、樹脂ケース51の貫通穴54と、基板36の貫通穴38とに通して第1および第2のワッシャ17,18に重ねられる。上側電極72の先端部には、第1および第2の細管21,22を通すためにスリット73が形成されている。
第1および第2のワッシャ17,18がボディ2に溶接された後、第1および第2の圧力伝達室12,14から圧力センサチップ23内に至る圧力伝達経路に圧力伝達媒体25を充填する。この充填は、第1および第2の圧力伝達室12,14からボディ2の外に延びる充填孔(図示せず)を用いて行う。
【0036】
このように構成された圧力測定装置1のセンサケース32は、基板36上に載置されている。このため、基板36上にセンサケース32を実装することができるから、基板36とセンサケース32の占有スペースを最少にすることができ、基板36とセンサケース32とをボディ2内にコンパクトに配置することができる。したがって、この実施の形態によれば、ボディを小型化することが可能な圧力測定装置を提供することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
基板と圧力センサ組立体は図10図13に示すように構成することができる。図10図13において、図1図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図10に示す基板81は、円板状に形成され、二つの貫通穴38と、外周部の一箇所に位置する切欠き82とを有している。二つの貫通穴38,38は、第1の実施の形態を採るときと同じ位置、すなわち第1および第2の導圧路15,16の開口端と対向する位置に形成されている。また、基板81には、電気回路40とコネクタ端子41とが実装されている。電気回路40とコネクタ端子41を実装する位置は、図10に示す位置に限定されることはなく、適宜変更することができる。
【0038】
切欠き82は、第1および第2の細管21,22を通すためのもので、円板状を呈する基板81の径方向の端部に形成され、基板81の外周縁81aから中心に向けて延びている。この実施の形態による切欠き82は、二つの貫通穴38の中心どうしを結ぶ仮想線Lと直交する方向に延びている。このため、切欠き82は、一方の貫通穴38と他方の貫通穴38との間の中央に向けて延びている。また、切欠き82は、基板81の外周縁81aから仮想線Lに向けて延びる第1および第2の辺82a,82bと、これら2辺の一端どうしを接続するように仮想線Lと平行に延びる第3の辺82cとを有し、これらの第1~第3の辺82a~82cによって開口部分が囲まれるように形成されている。
【0039】
図11に示すように、基板81における、切欠き82の第1の辺82aを形成する部分には、複数の半田付け用ランド83が形成されている。基板81における切欠き82の第2の辺82bを形成する部分には、複数の半田付け用ランド84が形成されている。基板81における切欠き82の第3の辺82cを形成する部分には、複数の半田付け用ランド85が形成されている。これらの半田付け用ランド83~85は、基板81に実装された電気回路40に図示していない配線パターンによって接続されている。これらの半田付け用ランド83~85には、センサケース32が実装される。すなわち、センサケース32は、切欠き82に第1および第2の細管21,22を通した状態で基板81上の切欠き82の周辺部に載置、固定されることになる。
【0040】
半田付け用ランド83~85が切欠き82の一つの辺の近傍に集中して配置されると、圧力測定装置を製造する工程の途中でセンサケース32に外力が加えられたときや、周囲の温度の変化により半田部に熱応力が生じたときに応力集中が起こる。また、センサケース32側の電極パッド35の一つ一つの接合面の面積が小さくなるために、工程難易度が高くなり、電極パッド35の半田強度も小さくなってしまう。このような不具合が生じることがないように、この実施の形態では切欠き82の3辺となる部分に半田付け用ランド83~85を分散して配置している。
【0041】
第1の辺82aの近傍に設けられる複数の半田付け用ランド83と、第2の辺82bの近傍に設けられる複数の半田付け用ランド84とは、図11において左右対称に配置されることが望ましい。このため、半田付け用ランド83,84が非対称になるような場合は、配線されていないダミーの半田付け用ランドを基板81に設けるとともに、配線されていないダミーの電極パッドをセンサケース32に設けて左右対称の構造を実現させる。この実施の形態においては、センサ信号を通すための半田付け用ランド85を第3の辺82cに沿って並ぶように設けている。この構成を採ることにより、基板81にセンサケース32を実装するうえで効率が高くなる。
【0042】
この実施の形態による第1および第2の細管21,22は、図12または図13に示すように曲げて形成される。
図12に示す第1および第2の細管21,22は、それぞれ2箇所の曲げ部21a,21b,22bを有し、基板81の主面81bと直交する方向から見てハの字状に形成されている。
図13に示す第1および第2の細管21,22は、それぞれ3箇所の曲げ部21a~21c,22a~22cを有し、基板81の主面81bと直交する方向から見てコ字状となるようにそれぞれL字状に形成されている。
【0043】
この実施の形態で示すように、基板81の端部に切欠き82を形成し、この切欠き82周辺部にセンサケース32を載置、固定することにより、基板81に第1および第2の細管21,22を通すためのスリット39が不要になるから、基板81の中央部を部品実装スペース86(図10参照)として使用することができる。このため、基板81を大型化することなく多くの電子部品を基板81に実装することが可能になる。
【0044】
(第3の実施の形態)
基板と圧力センサ組立体は図14(A),(B)および図15に示すように構成することができる。図14および図15において、図1図13によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。図14(A)は基板をセンサケースが実装される表側から見た側面図、図14(B)は、基板をセンサケースが実装されていない裏側から見た側面図である。図14(A),(B)は、センサケースに第1および第2の細管を取付けていない状態で描いてある。
【0045】
図14(A),(B)に示す基板91は、長方形の板状に形成されており、長手方向の一端に切欠き82を有している。図14(A),(B)中に基板91に設けられている4つの穴92は、図示していない取付用ボルトを通すための穴である。取付用ボルトは、基板91を図示していないボディ2側の支持ブラケットに固定する。基板91は、その主面91aがボディ2の長手方向{受圧部3と検出部4とが並ぶ方向であって図14(A),(B)においては上下方向}と平行に延びるとともに、切欠き82が受圧部3に接近するような姿勢で支持ブラケットを介してボディ2に固定される。
【0046】
基板91の切欠き82を形成する部分には、第2の実施の形態と同様に半田付け用ランド83~85が設けられており、センサケース32がこれらの半田付け用ランド83~85に実装されて載置、固定されている。
この実施の形態による第1および第2の細管21,22は、図15に示すように、センサケース32に接続される一端部93,94に対して、第1および第2のワッシャ17,18に接続される他端部95,96が垂直となるように曲げられている。
【0047】
この実施の形態で示すように基板91をボディ2の受圧部3と検出部4とが並ぶ方向と平行に延びるように配置することにより、検出部4を専有面積が小さくなるようにコンパクトに形成することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…圧力測定装置、2…ボディ、7…第1のプロセス流体、8…第2のプロセス流体、11…第1の受圧ダイアフラム、12…第1の圧力伝達室、13…第2の受圧ダイアフラム、14…第2の圧力伝達室、15…第1の導圧路、16…第2の導圧路、17…第1のワッシャ、18…第2のワッシャ、21…第1の細管、22…第2の細管、23…圧力センサチップ、25…圧力伝達媒体、26…内部空間、28,29…貫通孔、32…センサケース、35…電極パッド、36,81,91…基板(回路基板)、40…電気回路、62…第1の開口部、63…第2の開口部、82…切欠き、38…貫通穴、82a…第1の辺、82b…第2の辺、82c…第3の辺、37,83~85…半田付け用ランド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15