IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧 ▶ 学校法人東北学院の特許一覧

<>
  • 特開-給電装置及び給電システム 図1
  • 特開-給電装置及び給電システム 図2
  • 特開-給電装置及び給電システム 図3
  • 特開-給電装置及び給電システム 図4
  • 特開-給電装置及び給電システム 図5
  • 特開-給電装置及び給電システム 図6
  • 特開-給電装置及び給電システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134313
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】給電装置及び給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20220908BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
H02J50/10
H01F38/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033368
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(71)【出願人】
【識別番号】709002004
【氏名又は名称】学校法人東北学院
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100116920
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 光
(72)【発明者】
【氏名】降矢 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】西村 賢二
(72)【発明者】
【氏名】新妻 素直
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文博
(72)【発明者】
【氏名】澤 友宏
(57)【要約】
【課題】給電対象の軽量化が図られる給電装置及び給電システムを提供する。
【解決手段】
飛行体3へワイヤレス給電を行う給電装置2であって、飛行体3を給電位置に位置させて飛行体3への給電を行うための給電部4と、給電部4に設けられ通電により磁界を発生させる送電コイル5と、給電部4に設けられ送電コイル5から発生される磁界を受けて送電コイル5と磁気結合し飛行体3が給電位置に位置している場合に飛行体3に設けられる受電コイル33と磁気結合する第三コイル6と、給電部4に設けられ第三コイル6と受電コイル33の磁気結合に用いられる第二磁性体72と備えて構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電対象へワイヤレス給電を行う給電装置において、
前記給電対象を給電位置に位置させて前記給電対象への給電を行うための給電部と、
前記給電部に設けられ、通電により磁界を発生させる送電コイルと、
前記給電部に設けられ、前記送電コイルから発生される磁界を受けて前記送電コイルと磁気結合し、前記給電対象が前記給電位置に位置している場合に前記給電対象に設けられる受電コイルと磁気結合する第三コイルと、
前記給電部に設けられ、前記第三コイルと前記受電コイルの磁気結合に用いられる磁性体と、
備える給電装置。
【請求項2】
前記受電コイルは、前記第三コイルより小さく形成され、前記給電対象が前記給電位置に位置した場合に前記第三コイルの内周側に配置される、
請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記送電コイル及び前記第三コイルは同軸状に設けられ、前記給電対象が前記給電位置に位置した場合に前記受電コイル、前記送電コイル及び前記第三コイルが同軸状に配置される、
請求項1又は2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記給電対象は、飛行体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の給電装置。
【請求項5】
給電対象へワイヤレス給電を行う給電システムにおいて、
前記給電対象に設けられる受電コイルと、
前記給電対象を給電位置に位置させて前記給電対象への給電を行うための給電部と、
前記給電部に設けられ、通電により磁界を発生させる送電コイルと、
前記給電部に設けられ、前記送電コイルから発生される磁界を受けて前記送電コイルと磁気結合し、前記給電対象が前記給電位置に位置している場合に前記受電コイルと磁気結合する第三コイルと、
前記給電部に設けられ、前記第三コイルと前記受電コイルの磁気結合に用いられる磁性体と、
備える給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置及び給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給電装置及び給電システムとして、例えば、特開2017-135880号公報に記載されるように、マルチコプターを給電対象とし、このマルチコプターに対し給電を行うシステムが知られている。このシステムは、送電コイルを備えたステーションにマルチコプターを着陸させ、ステーション側の送電コイルとマルチコプター側の受電コイルを磁気結合させて、マルチコプターに対し給電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-135880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような給電を行うにあたり、給電対象には受電コイルを搭載する必要があり、その他の部品を搭載するとなると、給電対象の重量が増加する。例えば、給電対象が移動体の場合に移動体の重量は軽い方がよいし、給電対象が持ち運べるデバイスである場合などでも軽量化を図ることが望ましい。
【0005】
そこで、給電対象の軽量化が図れる給電装置及び給電システムの開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る給電装置は、給電対象へワイヤレス給電を行う給電装置において、給電対象を給電位置に位置させて給電対象への給電を行うための給電部と、給電部に設けられ、通電により磁界を発生させる送電コイルと、給電部に設けられ送電コイルから発生される磁界を受けて送電コイルと磁気結合し給電対象が給電位置に位置している場合に給電対象に設けられる受電コイルと磁気結合する第三コイルと、給電部に設けられ第三コイルと受電コイルの磁気結合に用いられる磁性体と備えて構成されている。この給電装置によれば、給電部に第三コイルを設けることにより、この第三コイルを介して送電コイルと受電コイルを磁気結合させることができる。また、第三コイルと受電コイルの磁気結合させる磁性体を備えることにより、第三コイルと受電コイルの磁気結合を高めて給電効率の低下を抑制することができる。このため、給電効率の低下を抑制しつつ、受電コイルの背面側の磁性体の設置を省略することができる。従って、給電対象に磁気結合のための磁性体の設置が不要となり、給電対象の軽量化を図ることができる。
【0007】
また、本開示の一態様に係る給電装置において、受電コイルは、第三コイルより小さく形成され、給電対象が給電位置に位置した場合に第三コイルの内周側に配置されていてもよい。この場合、給電対象が給電位置に位置した場合に受電コイルが第三コイルの内周側に配置されることにより、第三コイルと受電コイルの磁気結合を強めることができ、給電効率を高めることができる。また、第三コイルより受電コイルを小さく構成することができ、受電コイルを搭載する給電対象の軽量化を図ることができる。
【0008】
また、本開示の一態様に係る給電装置において、送電コイル及び第三コイルは同軸状に設けられ、給電対象が給電位置に位置した場合に受電コイル、送電コイル及び第三コイルが同軸状に配置されていてもよい。この場合、給電対象が給電位置に位置した場合に受電コイル、送電コイル及び第三コイルが同軸状に配置されるため、第三コイルを介して受電コイルと送電コイルを強く磁気結合させることができ、給電効率を高めることができる。
【0009】
また、本開示の一態様に係る給電装置において、給電対象は、飛行体であってもよい。この場合、給電対象である飛行体の軽量化を図ることができる。
【0010】
本開示の一態様に係る給電システムは、給電対象へワイヤレス給電を行う給電システムにおいて、給電対象に設けられる受電コイルと、給電対象を給電位置に位置させて給電対象への給電を行うための給電部と、給電部に設けられ、通電により磁界を発生させる送電コイルと、給電部に設けられ送電コイルから発生される磁界を受けて送電コイルと磁気結合し給電対象が給電位置に位置している場合に受電コイルと磁気結合する第三コイルと、給電部に設けられ第三コイルと受電コイルの磁気結合に用いられる磁性体とを備えて構成されている。この給電システムによれば、給電部に第三コイルを設けることにより、この第三コイルを介して送電コイルと受電コイルを磁気結合させることができる。また、第三コイルと受電コイルの磁気結合させる磁性体を備えることにより、第三コイルと受電コイルの磁気結合を高めて給電効率の低下を抑制することができる。このため、給電効率の低下を抑制しつつ、受電コイルの背面側の磁性体の設置を省略することができる。従って、給電対象に磁気結合のための磁性体の設置が不要となり、給電対象の軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の発明によれば、給電対象の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係る給電装置及び給電システムの構成概要図である。
図2図1のII-IIにおける給電装置の水平断面の概要図である。
図3図1のIII-IIIにおける給電装置の水平断面の概要図である。
図4図1の給電装置及び給電システムにおけるコイルの等価回路を示す図である。
図5】実施形態に係る給電装置及び給電システムの変形例を示す図である。
図6】実施形態に係る給電装置及び給電システムの変形例を示す図である。
図7】実施形態に係る給電装置及び給電システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本開示の実施形態に係る給電システム及び給電装置の構成概要図である。給電システム1は、給電装置2及び飛行体3により構成されている。給電装置2は、飛行体3へワイヤレス給電を行う装置である。この給電システム1及び給電装置2において、給電方式としては、例えば電磁誘導式、磁界共振式などを用いることができる。飛行体3は、給電対象であり、遠隔操作などにより飛行する無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle、以下、UAVという)である。例えば、飛行体3は、複数のロータを備えたマルチコプター、いわゆるドローンである。給電装置2は、給電部4、送電コイル5、第三コイル6、第一磁性体71及び第二磁性体72を備えている。
【0015】
図1に示すように、給電部4は、飛行体3を給電位置に位置させて飛行体3へ給電を行うためのものであり、例えば、内部に送電コイル5などを収容可能な箱体を有している。給電部4は、飛行体3を着陸可能な大きさで形成され、その上面41に飛行体3を着陸可能に構成される。例えば、上面41には下方へ窪む凹部41aが形成されている。凹部41aは、飛行体3の脚部32を収容可能な大きさに形成されている。つまり、飛行体3の本体31から下方へ延びる複数の脚部32を全て収容できるように、凹部41aが形成されている。図1では、凹部41aの形成位置が飛行体3の給電位置となっている。
【0016】
給電部4内には、送電コイル5が設けられている。送電コイル5は、通電(電力供給)により磁界を発生させるコイルである。ここで、コイルとは、巻線を意味し、磁束を集中させるための磁性部材を含まない。送電コイル5は、給電部4の内部であって凹部41aの下方の位置に設置されている。送電コイル5は、例えば線材を環状に巻いて構成され、鉛直方向に延びる軸線Cを中心に配置されている。軸線Cは、飛行体3の給電位置の中央を通過する線である。送電コイル5は、通電により磁界を発生させる。すなわち、送電コイル5は、図示しない送電回路に接続され、送電回路から交流電力を供給されることにより、軸線Cに沿った向きに磁界を発生させる。
【0017】
給電部4内には、第三コイル6が設けられている。第三コイル6は、軸線Cを中心とし送電コイル5と同軸状に配置され、送電コイル5から発生される磁界を受けて送電コイル5と磁気結合する。第三コイル6は、給電部4の内部であって凹部41aの周囲を覆うように設置されている。すなわち、第三コイル6は、例えば線材を環状に巻いて構成され、中央に凹部41aを貫通させるように設けられている。この第三コイル6は、送電コイル5と受電コイル33を磁気結合させるための中継コイルとして機能する。
【0018】
給電部4内には、第一磁性体71が設けられている。第一磁性体71は、送電コイル5と第三コイル6の磁気結合に用いられる磁性体であって、送電コイル5の背面側に配置されている。すなわち、第一磁性体71は、送電コイル5の下方で上面41と平行に配置され、送電コイル5と磁気結合する第三コイル6に対し背面側に配置されている。この第一磁性体71により、送電コイル5により発生される磁界が第三コイル6側に向けて形成される。このため、送電コイル5と第三コイル6の磁気結合が高められる。第一磁性体71は、板状の磁性材であり、例えば円板状のフェライトにより構成される。
【0019】
給電部4内には、第二磁性体72が設けられている。第二磁性体72は、送電コイル5と受電コイル33の間に配置される磁性体であり、第三コイル6と受電コイル33の磁気結合に用いられる。この第二磁性体72は、板状の磁性材であり、例えば円板状のフェライトにより構成される。第二磁性体72は、上面41と平行に設けられ、飛行体3が給電位置に位置している場合の受電コイル33の下方の位置であって、送電コイル5の上方の位置に設けられている。受電コイル33の下方に第二磁性体72が設けられることにより、受電コイル33のインダクタンスを大きくし、受電コイル33のQ値を高くすることができる。
【0020】
飛行体3は、受電コイル33、充電回路34及びバッテリ35を備えている。受電コイル33は、給電時に第三コイル6と磁気結合するコイルであって、飛行体3の下部に設けられている。例えば、受電コイル33は、飛行体3の本体31から下方へ延びる脚部32に取り付けられている。受電コイル33は、例えば線材を環状に巻いて構成され、飛行体3の着陸時に鉛直方向を中心となるように設けられている。つまり、受電コイル33は、飛行体3が給電位置に位置している場合、凹部41a内へ配置され、第三コイル6の内側に配置される。このとき、受電コイル33は、軸線Cを中心として、第三コイル6及び送電コイル5と同軸状に配置される。また、受電コイル33と第三コイル6は、軸線Cに沿った位置が同一とされる。すなわち、受電コイル33と第三コイル6の高さ位置は同一とされ、受電コイル33と第三コイル6は同心状に配置される。これにより、第三コイル6と受電コイル33の磁気結合を高めることができる。ここで、同軸状とは、給電効率が所定以上に低下しない程度のほぼ同軸状も含む。また、同心状とは、給電効率が所定以上に低下しない程度のほぼ同心状も含む。受電コイル33は、第三コイル6と磁気結合し、誘導起電力を生ずる。受電コイル33は充電回路34と接続され、受電コイル33に生じた電力は充電回路34を介してバッテリ35に充電される。充電回路34及びバッテリ35は、例えば飛行体3の本体31に収容されている。また、飛行体3の本体31には、図示しない複数のロータが取り付けられている。このロータの回転により、飛行体3は飛行する。
【0021】
図2図1のII-IIにおける給電装置2の水平断面の概要図であり、図3図1のIII-IIIにおける給電装置2の水平断面の概要図である。この図2及び図3は、送電コイル5、第三コイル6、第一磁性体71及び第二磁性体72の大きさを説明するための図であり、説明の便宜上、給電部4のハウジング及び飛行体3の脚部32の断面の図示を省略している。
【0022】
図2及び図3に示すように、送電コイル5、第三コイル6、第一磁性体71及び第二磁性体72は、軸線Cを中心として同軸状に配置されている。また、飛行体3が給電位置に位置している場合、送電コイル5、第三コイル6、第一磁性体71、第二磁性体72及び受電コイル33は、軸線Cを中心として同軸状に配置される。
【0023】
図2において、第三コイル6の内周側に受電コイル33が位置しており、受電コイル33の下方に第二磁性体72が位置している。つまり、飛行体3が給電位置に位置している場合、受電コイル33は、第三コイル6の内周側に位置している。このため、第三コイル6の内径D62は、受電コイル33の外径D33以上の大きさとされる。飛行体3の位置が適正な給電位置からズレた場合でも、第三コイル6と受電コイル33がほぼ同軸状となるように、第三コイル6の内径D62と受電コイル33の外径D33が設定される。また、第三コイル6の外径D61は第二磁性体72の外径D72以上の大きさとされ、第二磁性体72の外径D72は受電コイル33の外径D33以上の大きさとされる。第三コイル6の外径D61を第二磁性体72の外径D72以上の大きさとすることにより、第三コイル6と送電コイル5の磁気結合が可能となる。
【0024】
図3において、第二磁性体72の下方に送電コイル5が位置しており、送電コイル5の下方に第一磁性体71が位置している。図3における破線は、送電コイル5の内縁を示している。送電コイル5の外径D51は、第二磁性体72の外径D72より大きい。このため、送電コイル5と第三コイル6の磁気結合が可能となる。また、第一磁性体71の外径D71は、送電コイル5の外径D51より大きい。これにより、送電コイル5と第三コイル6の磁気結合を高めることができる。
【0025】
図4は、送電コイル5、第三コイル6及び受電コイル33の結合状態を示す等価回路である。送電コイル5は、送電回路81に接続され、交流電力を入力される。また、送電コイル5は、コンデンサが直列に接続されている。コンデンサのキャパシタンスC1と送電コイル5のインダクタL1により共振周波数が決定される。r1は、送電コイル5の巻線抵抗である。第三コイル6は、送電コイル5と磁気結合し、誘導起電力を生じさせる。第三コイル6は、コンデンサが直列に接続されている。コンデンサのキャパシタンスC2と第三コイル6のインダクタンスL2により共振周波数が決定される。r2は、第三コイル6の巻線抵抗である。送電コイル5と第三コイル6の結合係数K12は、主に送電コイル5、第三コイル6、第一磁性体71及び第二磁性体72の位置や大きさなどにより決定される。
【0026】
受電コイル33は、第三コイル6と磁気結合し、誘導起電力を生じさせる。受電コイル33は充電回路34に接続され、充電回路34を通じて誘導起電力がバッテリ35に充電される。受電コイル33には、コンデンサが直列に接続されている。コンデンサのキャパシタンスC3と受電コイル33のインダクタンスL3により共振周波数が決定される。r3は、受電コイル33の巻線抵抗である。送電コイル5、第三コイル6及び受電コイル33の共振周波数は、同一又はほぼ同一となるように設定される。受電コイル33と第三コイル6の結合係数K23は、主に受電コイル33、第三コイル6及び第二磁性体72の位置関係や大きさなどにより決定される。また、受電コイル33と送電コイル5の結合係数K12は、主に受電コイル33、送電コイル5、第一磁性体71及び第二磁性体72の位置関係や大きさなどにより決定される。
【0027】
結合係数K12、結合係数K23及び結合係数K13の関係としては、結合係数K23が結合係数K13より大きく、結合係数K23が結合係数K12より大きく設定される。このような関係とすることにより、受電コイル33を小型化しても給電効率を高くすることができる。図1に示すように、第三コイル6の内側に受電コイル33を配置することにより、結合係数K23を大きくすることができる。また、飛行体3の着陸位置が適正な給電位置からズレた場合でも、結合係数K23の低下を抑制することができ、給電効率の低下を抑制することができる。
【0028】
なお、図4では、送電コイル5、第三コイル6及び受電コイル33に対し直列にコンデンサを接続してマッチング回路(共振回路)を構成しているが、送電コイル5、第三コイル6及び受電コイル33の一部又は全部に対し並列にコンデンサを接続してマッチング回路を構成してもよい。
【0029】
次に、本実施形態に係る給電装置2及び給電システム1の動作について説明する。
【0030】
図1に示すように、飛行体3に対し給電を行うべく、飛行する飛行体3を給電部4上へ着陸させる。飛行体3は、例えば遠隔操作により飛行制御され、給電部4の給電位置へ着陸する。すなわち、飛行体3は、給電位置である凹部41aに着陸する。このとき、飛行体3の脚部32に取り付けられる受電コイル33が凹部41a内に配置される。このため、給電部4内に設けられる第三コイル6の内側に受電コイル33が配置されることとなる。つまり、第三コイル6と受電コイル33は、軸線Cを中心として同軸状に配置され、同じ高さで同心状に配置される。このため、第三コイル6と受電コイル33の磁気結合は高いものとなる。
【0031】
そして、給電装置2を作動させて飛行体3に対する給電が行われる。送電コイル5に対し送電回路81から交流電圧が印加され、送電コイル5が通電される。これにより、送電コイル5は、軸線Cに沿って磁界を発生させる。このとき、送電コイル5の下方には第一磁性体71が配置されているため、送電コイル5により発生した磁界は、送電コイル5の上方へ形成される。送電コイル5と受電コイル33の間には第二磁性体72が配置されているが、送電コイル5は第二磁性体72より大きく形成されているため、送電コイル5から発生される磁界は、第三コイル6に向けて形成される。
【0032】
第三コイル6は、送電コイル5から発生される磁界を受けて、送電コイル5と磁気結合し、誘導起電力を生ずる。このとき、第三コイル6を貫く方向に磁界が形成され、この磁界を受けて、受電コイル33は第三コイル6と磁気結合する。ここで、受電コイル33の下方に第二磁性体72が配置されているため、受電コイル33と第三コイル6の磁気結合が高められる。これにより、受電コイル33の背面側(飛行体3側)に磁性体を配置しなくても、第三コイル6と受電コイル33を強く磁気結合させることができる。つまり、飛行体3に磁性体を設けることなく、受電コイル33と第三コイル6を強く磁気結合することができる。そして、受電コイル33に誘導起電力が生じ、充電回路34を介してバッテリ35が充電される。
【0033】
このように、第三コイル6を設けることにより、受電コイル33の背面側に磁性体を設けることなく、送電コイル5から発生された磁界によって受電コイル33に誘導起電力を生じさせて、飛行体3の給電を行うことができる。このため、飛行体3に磁気結合のための磁性体の設置が不要となり、飛行体3の軽量化を図ることができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る給電装置2及び給電システム1によれば、給電部4に第三コイル6を設けることにより、この第三コイル6を介して送電コイル5と受電コイル33を磁気結合させることができる。また、第三コイル6と受電コイル33の磁気結合させる第二磁性体72を備えることにより、第三コイル6と受電コイル33の磁気結合を高めて給電効率の低下を抑制することができる。このため、給電効率の低下を抑制しつつ、受電コイル33の背面側の磁性体の設置を省略することができる。従って、飛行体3に磁気結合のための磁性体の設置が不要となり、飛行体3の軽量化を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る給電装置2及び給電システム1によれば、第三コイル6は給電部4に設けられるため、第三コイル6の設置により飛行体3の重量が増加することを避けることができる。さらに、給電部4の給電位置に上方への凸部を形成する必要がないため、飛行体3の下部の空間を有効利用することができ、給電位置への飛行体3の移動操作が容易となる。つまり、飛行体3の脚部32と脚部32の間の空間を有効利用することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る給電装置2及び給電システム1において、飛行体3が給電位置に位置した場合に受電コイル33が第三コイル6の内周側に配置される。このため、第三コイル6と受電コイル33の磁気結合を強めることができ、給電効率を高めることができる。また、受電コイル33を小さく構成することができ、受電コイル33を搭載する飛行体3の軽量化を図ることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る給電装置2及び給電システム1において、飛行体3が給電位置に位置した場合に受電コイル33、送電コイル5及び第三コイル6が同軸状に配置される。このため、第三コイル6を介して受電コイル33と送電コイル5を強く磁気結合させることができ、給電効率を高めることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る給電装置2及び給電システム1において、給電対象が飛行体3であるため、飛行する飛行体3の軽量化が図れ、飛行体3の運動性能を高めることができる。また、飛行体3を軽量化することで、飛行体3の飛行時間を長くすることが可能となる。
【0039】
以上のように本開示の実施形態に係る給電装置2及び給電システム1について説明したが、本開示の給電装置及び給電システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示の発明は、特許請求の範囲の記載の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形態様をとることができる。
【0040】
例えば、上述した実施形態においては、図2及び図3に示すように、送電コイル5、第三コイル6、受電コイル33、第一磁性体71及び第二磁性体72の外縁の形状が円形であったが、それらの形状は円形以外であってもよい。例えば、送電コイル5、第三コイル6、受電コイル33、第一磁性体71及び第二磁性体72の一部又は全部における外縁の形状が円形以外の形状であってもよい。具体的には、図5に示すように、受電コイル33の外縁の形状が円形であり、送電コイル5、第三コイル6、第一磁性体71及び第二磁性体72の外縁の形状が矩形ないしほぼ矩形であってもよい。このような給電装置2及び給電システム1であっても、上述した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0041】
また、上述した実施形態においては、送電コイル5、第三コイル6及び受電コイル33の磁気結合のための磁性体として第一磁性体71及び第二磁性体72を備えていたが、この第一磁性体71及び第二磁性体72を一体にした磁性体を用いてもよい。例えば、図6に示すように、第一磁性部73aと第二磁性部73bを連結した磁性体73を用いてもよい。つまり、第一磁性部73aを送電コイル5の背面側に設け、第二磁性部73bを送電コイル5と受電コイル33の間に設け、この第一磁性部73aと第二磁性部73bを中央で連結した磁性体73を用いてもよい。この場合であっても、上述した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0042】
また、上述した実施形態においては、給電部4の凹部41aが垂直に窪んだ形状であったが、凹部41aの側壁を傾斜面41bとしてもよい。例えば、図7に示すように、底部にいくほど凹部41aの水平断面が小さくなるように側壁を傾斜させて傾斜面41bとしてもよい。この場合、凹部41aの開口が底面より大きくなるため、飛行する飛行体3が着陸する時に給電位置から外れていても、傾斜面41bにより飛行体3を給電位置へ案内することができ、飛行体3の操作が容易となる。
【0043】
また、上述した実施形態において、給電部4を屋外に設置する場合、凹部41aに水抜き用の配管を設けてもよい。例えば、凹部41aの底から給電部4の外部へ通ずる配管を設けてもよい。この配管を通じて凹部41aの底に溜まる雨水を排出することができる。
【0044】
また、上述した実施形態においては、給電部4の上面41に凹部41aを形成していたが、上面41に凹部41aを形成せず上面41をフラットな形状としてもよい。この場合、上面41に凹凸がないため、上面41に雨水が溜まることを抑制することができる。また、上面41に塵や埃などが溜まることを抑制することができる。このため、給電部4のメンテナンスが容易となる。上面41をフラットにすることで、飛行体3が適正な給電位置から横方向に外れて位置し給電効率が下がる可能性があるが、飛行体3を上面41に着陸させた後、前後左右の位置を微調整して飛行体3を適切に給電位置に位置させることにより、効率良い給電を行うことができる。
【0045】
また、上述した実施形態においては、給電対象が飛行体3である場合について説明したが、給電対象は飛行体3以外の移動体であってもよい。例えば、陸上を移動する車両や水中を移動する水中ロボットなどであってもよい。また、給電対象は、スマートフォンなどのように人が携帯する物であってもよい。この場合、携帯する給電対象を軽量化できるため、給電対象が取り扱いしやすい物となる。
【符号の説明】
【0046】
1 給電システム
2 給電装置
3 飛行体
4 給電部
5 送電コイル
6 第三コイル
31 本体
32 脚部
33 受電コイル
34 充電回路
35 バッテリ
41 上面
41a 凹部
41b 傾斜面
71 第一磁性体
72 第二磁性体
81 送電回路
C 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7