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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134327
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】穿孔作業装置及び穿孔作業方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20220908BHJP
   F16L 41/06 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
F16L55/00 C
F16L41/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033390
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】永森 保行
(72)【発明者】
【氏名】津崎 将人
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019AA04
3H019BA05
3H019BB01
(57)【要約】
【課題】穿孔作業を円滑に実行できる穿孔作業装置及び穿孔作業方法を提供する。
【解決手段】既設管1を切断して互いに離間した一対の切断管部を形成するための穿孔作業装置100であって、既設管1を切断するカッター31を有する穿孔機3と、穿孔機3を支持すると共にカッター31を収容するハウジング4と、既設管1を密封状態で包囲し、ハウジング4を支持する分割筐体6と、既設管1の軸芯Xに沿う分割筐体6の両端部に配置され、分割筐体6の移動を阻止する移動防止具7と、一対の切断管部の軸芯Xを同一方向に維持する軸芯維持機構8と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管を切断して互いに離間した一対の切断管部を形成するための穿孔作業装置であって、
前記既設管を切断するカッターを有する穿孔機と、
前記穿孔機を支持すると共に前記カッターを収容するハウジングと、
前記既設管を密封状態で包囲し、前記ハウジングを支持する分割筐体と、
前記既設管の軸芯に沿う前記分割筐体の両端部に配置され、前記分割筐体の移動を阻止する移動防止具と、
一対の前記切断管部の軸芯を同一方向に維持する軸芯維持機構と、を備えた穿孔作業装置。
【請求項2】
前記軸芯維持機構は、前記分割筐体を下側から支持し、上下に移動可能な可動支持部材を有している請求項1に記載の穿孔作業装置。
【請求項3】
前記可動支持部材は、前記分割筐体の割フランジを押圧している請求項2に記載の穿孔作業装置。
【請求項4】
前記可動支持部材は、前記分割筐体の本体下面に当接している請求項2又は3に記載の穿孔作業装置。
【請求項5】
前記可動支持部材は、ポンプにより供給される流体により上下移動可能に構成されている請求項2から4のいずれか一項に記載の穿孔作業装置。
【請求項6】
前記軸芯維持機構は、前記穿孔機及び前記ハウジングを吊って荷重を受ける吊り機構を有している請求項1から5のいずれか一項に記載の穿孔作業装置。
【請求項7】
既設管を密封状態で包囲するように分割筐体を設置する分割筐体設置工程と、
上下に移動可能な可動支持部材を前記分割筐体の下側から当接させる支持工程と、
前記分割筐体の移動を阻止する移動防止具を、前記分割筐体の両端部に固定する移動防止工程と、
前記可動支持部材に支持された前記分割筐体に作業用仕切弁を連結する作業弁設置工程と、
穿孔機のカッターを収容したハウジングを前記作業用仕切弁に連結するハウジング設置工程と、
前記可動支持部材により前記既設管の軸芯を同一方向に維持しながら、前記カッターにより前記既設管を切断して互いに離間した一対の切断管部を形成する穿孔工程と、を含む穿孔作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔機により既設管を切断して互いに離間した一対の切断管部を形成するための穿孔作業装置及び穿孔作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穿孔機により既設管を切断して互いに離間した一対の切断管部を形成(所謂フルカット)するために、既設管を包囲する2分割構造の筐体と、筐体の上に装着される作業用仕切弁と、作業用仕切弁の上に装着される穿孔機とを備えた穿孔作業装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の穿孔作業装置は、穿孔機により既設管を切断して一対の切断管部を形成するとき、筐体周辺の重量を支持して切断管部の折れ曲がりを防止するために、筐体下部にコンクリート基礎を予め養生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-74123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の穿孔作業装置は、コンクリート基礎の養生期間が必要となり、施工期間が長くなるといった問題があった。また、コンクリート基礎を支持する地盤が軟弱地盤である場合、重量物である作業用仕切弁や穿孔機に起因して地盤沈下が発生し、既設管が傾いて穿孔不能となったり、穿孔機のカッターが回収不能となったりする問題があった。
【0006】
そこで、穿孔作業を円滑に実行できる穿孔作業装置及び穿孔作業方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る穿孔作業装置の特徴構成は、既設管を切断して互いに離間した一対の切断管部を形成するための穿孔作業装置であって、前記既設管を切断するカッターを有する穿孔機と、前記穿孔機を支持すると共に前記カッターを収容するハウジングと、前記既設管を密封状態で包囲し、前記ハウジングを支持する分割筐体と、前記既設管の軸芯に沿う前記分割筐体の両端部に配置され、前記分割筐体の移動を阻止する移動防止具と、一対の前記切断管部の軸芯を同一方向に維持する軸芯維持機構と、を備えた点にある。
【0008】
本構成では、移動防止具により既設管の軸芯に沿う分割筐体の移動を阻止しているため、分割筐体の内部で既設管を切断した後、穿孔機を撤去して分割筐体に蓋をするだけで、一対の切断管部を形成することができる。このため、施工期間を短縮することができる。
【0009】
しかも、本構成では、一対の切断管部の軸芯を維持する軸芯維持機構を設けているため、軟弱地盤による地盤沈下が起こったとしても、軸芯維持機構により一対の切断管部の軸芯が同一方向に維持されるので、穿孔不能となったり、穿孔機のカッターを回収不能となったりする不都合が無い。このように、穿孔作業を円滑に実行できる穿孔作業装置を提供できる。
【0010】
他の特徴構成として、前記軸芯維持機構は、前記分割筐体を下側から支持し、上下に移動可能な可動支持部材を有している点にある。
【0011】
本構成のように、軸芯維持機構が可動支持部材を有していれば、構造が簡素なものとなり、施工期間を大幅に短縮できる。
【0012】
他の特徴構成として、前記可動支持部材は、前記分割筐体の割フランジを押圧している点にある。
【0013】
本構成のように、分割筐体の外側に位置する割フランジを可動支持部材で押圧すれば、可動支持部材の設置が容易なものとなり、施工性が向上する。
【0014】
他の特徴構成として、前記可動支持部材は、前記分割筐体の本体下面に当接している点にある。
【0015】
本構成のように、分割筐体の本体下面に可動支持部材を当接させれば、安定的に分割筐体を支持することができる。
【0016】
他の特徴構成として、前記可動支持部材は、ポンプにより供給される流体により上下移動可能に構成されている点にある。
【0017】
本構成のように、ポンプにより供給される流体で可動支持部材を上下移動させれば、地盤沈下が発生しても迅速に対応できる。
【0018】
他の特徴構成として、前記軸芯維持機構は、前記穿孔機及び前記ハウジングを吊って荷重を受ける吊り機構を有している点にある。
【0019】
本構成のように、吊り機構により穿孔機及びハウジングの荷重を受ければ、重量物に起因する一対の切断管部の軸芯ずれを防止することができる。
【0020】
本発明に係る穿孔作業方法の特徴構成は、既設管を密封状態で包囲するように分割筐体を設置する分割筐体設置工程と、上下に移動可能な可動支持部材を前記分割筐体の下側から当接させる支持工程と、前記分割筐体の移動を阻止する移動防止具を、前記分割筐体の両端部に固定する移動防止工程と、前記可動支持部材に支持された前記分割筐体に作業用仕切弁を連結する作業弁設置工程と、穿孔機のカッターを収容したハウジングを前記作業用仕切弁に連結するハウジング設置工程と、前記可動支持部材により前記既設管の軸芯を同一方向に維持しながら、前記カッターにより前記既設管を切断して互いに離間した一対の切断管部を形成する穿孔工程と、を含む点にある。
【0021】
本方法では、移動防止具により既設管の軸芯に沿う分割筐体の移動を阻止しているため、分割筐体の内部で既設管を切断した後、穿孔機を撤去して分割筐体に蓋をするだけで、一対の切断管部を形成することができる。このため、施工期間を短縮することができる。
【0022】
しかも、可動支持部材により既設管の軸芯を水平に維持しながら既設管を切断するため、重量物(作業用仕切弁、穿孔機及びハウジング)による地盤沈下が起こったとしても、可動支持部材により一対の切断管部の軸芯が同一方向に維持され、穿孔不能となったり、穿孔機のカッターを回収不能となったりする不都合が無い。よって穿孔作業を円滑に実行できる穿孔作業方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る穿孔作業装置を示す側面図である。
図2】本実施形態に係る穿孔作業装置を示す正面図である。
図3】分割筐体設置工程~作業弁設置工程を示す図である。
図4】ハウジング設置工程を示す図である。
図5】穿孔工程を示す図である。
図6】仕切弁設置工程を示す図である。
図7】蓋設置工程を示す図である。
図8】別実施形態に係る穿孔作業装置を示す側面図である。
図9】別実施形態に係る穿孔作業装置を示す正面図である。
図10】その他の実施形態に係る穿孔作業装置を示す正面図である。
図11】その他の実施形態に係る移動防止具を示す図である。
図12】その他の実施形態に係る移動防止具を示す図である。
図13】その他の実施形態に係る移動防止具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る穿孔作業装置及び穿孔作業方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、穿孔作業装置の一例として、既設の水道管を切断して形成された互いに離間した一対の切断管部の間に仕切弁を装着するための作業装置として説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0025】
図1図7には、不断流状態(流体としての水の流通を維持した状態)で、地中に埋設された水道管1(既設管の一例)の途中部位を穿孔して軸芯X方向で切り離した後、互いに離間した一対の切断管部11,11の間に仕切弁2を設置するための穿孔作業装置100の一例が示されている。本実施形態における穿孔作業方法は、この穿孔作業装置100を用いて実施される。
【0026】
図1に示すように、穿孔作業装置100は、穿孔機3と、ハウジング4と、作業用仕切弁5と、分割筐体6と、移動防止具7と、軸芯維持機構8とを備えている。
【0027】
穿孔機3は、水道管1を切断する円筒形状のホールソー31(カッターの一例)と、ホールソー31の軸中心に位置し、ホールソー31から先端が突出したセンタードリル32と、ホールソー31に連結された回転軸33とを備えている。この穿孔機3は、ハウジング4と連結されることによりハウジング4に支持されており、穿孔前のホールソー31がハウジング4の内部に収容されている。
【0028】
ホールソー31の直径は水道管1の直径よりも大きく形成されており、ホールソー31により切断された水道管1は、軸芯Xに沿って切り離され、互いに離間した一対の切断管部11が形成される(図5も参照)。センタードリル32には、複数の脱落防止コマ(不図示)が設けられており、この脱落防止コマが切断された短管状の水道管1である切片12を保持する(図5も参照)。
【0029】
ハウジング4は、円筒状に形成されており、下部フランジ41が作業用仕切弁5の上部フランジ51に複数のボルト42a,ナット42bで連結されている。作業用仕切弁5は、ボックス状の弁箱52と板状の弁体53とを備え、弁箱52の下部フランジ54が分割筐体6の上部フランジ61に複数のボルト55a,ナット55bで連結されている。弁体53は弁箱52の内部を進退移動可能に構成されており、弁体53を前進移動(閉弁)させることにより、水道管1とハウジング4の内部とが非連通となり、弁体53を後退移動(開弁)させることにより、水道管1とハウジング4の内部とが連通する。
【0030】
分割筐体6は、通水状態にある水道管1の一部(切断予定箇所)を密封状態で取り囲む割T字管であり、水道管1の軸芯Xに沿う両端部60,60の内周面に夫々環状シール材Sが設けられている。また、分割筐体6は、両端部60,60に螺合された複数の位置固定ボルトBaにより水道管1に対して回り止め状態で位置固定されている。分割筐体6の両端部60,60には、位置固定ボルトBaよりも外側に、移動防止具7,7が係合する被係合部60aが水道管1の径方向外側に突出形成している。本実施形態における分割筐体6は、穿孔機3、ハウジング4及び作業用仕切弁5を支持している。
【0031】
本実施形態における分割筐体6は、軸芯X方向(水平方向)に割面を有する上部筐体62及び下部筐体63が互いに連結された上下二分割構造となっている。上部筐体62の割フランジ62aと下部筐体63の割フランジ63aとは、ボルト64a,ナット64bで密封状態に連結されている。下部筐体63の底部63bがすり鉢状に形成されており、この底部63bの中央付近には、穿孔機3による切断時に発生する切屑を排出するための排出部63b1が設けられている。排出部63b1は、上下方向に開口しており、この開口がプラグにより閉塞されている。なお、分割筐体6を3分割以上で構成しても良いし、上部筐体62及び下部筐体63を溶接等で連結しても良い。また、両端部60,60を環状シール材S及び位置固定ボルトBaを用いて密封状態で位置固定する代わりに、シール機能を有する割輪を装着して位置固定しても良い。
【0032】
一対の移動防止具7,7は、水道管1の軸芯Xに沿う分割筐体6の両端部60,60に夫々配置されており、分割筐体6の移動を阻止する離脱防止金具である。つまり、分割筐体6は、移動防止具7により、水道管1の軸芯Xに沿った移動が阻止される。本実施形態における移動防止具7は、軸芯X方向(水平方向)に割面を有する上半割部材7A及び下半割部材7Bが互いに連結された上下二分割構造となっている。上半割部材7Aのフランジ部7Aaと下半割部材7Bのフランジ部7Baとは、ボルト73a,ナット73bで連結されている。
【0033】
移動防止具7は、半割環状の基部71と、基部71から軸芯X方向に沿って延出した延出部72とを有している。基部71の内周面には、水道管1に喰い込む爪部材73を収容する収容溝71aが形成されている。また、基部71には、爪部材73を水道管1に向けて押圧する複数の押ボルトBbが螺合される複数の貫通孔71bが形成されている。
【0034】
延出部72は、フック状に形成されており、先端部には、分割筐体6の被係合部60aに係合する係合部72aを有している。一対の移動防止具7,7の係合部72aと分割筐体6の被係合部60aとを当接させ、押ボルトBbを貫通孔71bに螺合することにより、爪部材73が水道管1の外表面に喰い込んで、分割筐体6の軸芯X方向の移動が阻止される。
【0035】
図1図2に示すように、軸芯維持機構8は、一対の切断管部11,11の軸芯Xを同一方向に維持する複数のジャッキ8A(可動支持部材の一例)と、掘削地盤に載置される鉄板等の板部材8Bとを有している。このジャッキ8Aは、分割筐体6を下側から支持し、上下に移動可能に構成されている。ジャッキ8Aは、板部材8Bに載置される支持部80と、支持部80に固定された回り止めナット81と、支持部80に対して上下方向に相対移動可能な円筒状の移動部83と、移動部83の下端に当接する移動ナット82とを有している。
【0036】
支持部80は、板部材8Bと平行な面で接触する円盤状の基台80aと、基台80aから上方に延出した棒状部80bとを有しており、棒状部80bには、移動ナット82が螺合される雄ねじが形成されている。回り止めナット81は、棒状部80bの雄ねじが形成された部位の下側に固定されており、工具で把持されることにより支持部80の回転を阻止する。移動部83の先端部83aには、下部筐体63の割フランジ63aに位置するボルト64aの頭部が係合する凹状孔が形成されており、移動部83の基端部83bには、移動ナット82が当接している。移動ナット82を工具により回転操作して上方に移動させることで移動部83が上昇し、移動部83の先端部83aに形成された凹状孔にボルト64aの頭部を挿入した状態で、先端部83aの端面が割フランジ63aに当接することにより、割フランジ62a,63aが押圧される。本実施形態では、複数のジャッキ8Aが割フランジ62a,63aを押圧することにより、分割筐体6の密封状態が良好なものとなる。なお、移動部83の先端部83aに凹状孔を設けずに、ボルト64aの頭部に先端部83aを当接させても良い。
【0037】
本実施形態では、一対の切断管部11,11の軸芯Xを維持する軸芯維持機構8を設けているため、軟弱地盤による地盤沈下が起こったとしても、軸芯維持機構8により一対の切断管部11,11の軸芯Xが同一方向に維持されるので、穿孔不能となったり、ホールソー31が回収不能となったりする不都合が無い。また、軸芯維持機構8がジャッキ8Aを有していれば、構造が簡素なものとなり、施工期間を大幅に短縮できる。しかも、分割筐体6の外側に位置する割フランジ62a,63aをジャッキ8Aで押圧しているので、ジャッキ8Aの設置が容易なものとなり、施工性が向上する。
【0038】
続いて、図3図7を用いて、本実施形態における穿孔作業装置100を用いた穿孔作業方法を説明する。
【0039】
穿孔作業方法は、水道管1を密封状態で包囲するように分割筐体6を設置する分割筐体設置工程と、上下に移動可能なジャッキ8Aを分割筐体6の下側から当接させる支持工程と、分割筐体6の移動を阻止する移動防止具7を、分割筐体6の両端部60に固定する移動防止工程と、ジャッキ8Aに支持された分割筐体6に作業用仕切弁5を連結する作業弁設置工程と、穿孔機3のホールソー31を収容したハウジング4を作業用仕切弁5に連結するハウジング設置工程と、ジャッキ8Aにより水道管1の軸芯Xを同一方向(水平方向)に維持しながら、ホールソー31により水道管1を切断して互いに離間した一対の切断管部11,11を形成する穿孔工程と、を含んでいる。
【0040】
また、穿孔作業方法は、切片12を保持したセンタードリル32及びホールソー31を上方に移動させてハウジング4に収容し、作業用仕切弁5を閉弁する切片回収工程と、穿孔機3を撤去してハウジング4Aに仕切弁2を収容し、作業用仕切弁5を開弁して仕切弁2を一対の切断管部11,11の間に密封状態に装着する仕切弁設置工程と、ハウジング4A及び作業用仕切弁5を撤去して、分割筐体6に蓋9を密封状態に装着する蓋設置工程と、を含んでいる。
【0041】
(1)分割筐体設置工程
図3に示すように、まず、水道管1の切断予定箇所を掘削し、掘削地盤に鉄板等の板部材8Bを載置する。そして、通水状態にある水道管1の一部(切断予定箇所)に、上部筐体62の割フランジ62aと下部筐体63の割フランジ63aとをボルト64a,ナット64bで密封状態に連結する。そして、分割筐体6の両端部60,60に複数の位置固定ボルトBaを螺合して、分割筐体6を水道管1に対して回り止め状態で位置固定する。図示しないが、分割筐体6を水道管1に装着した状態で、分割筐体6の上部フランジ61にフランジ蓋を取り付け、分割筐体6の内部に水を充満させて水圧試験を行う。
【0042】
(2)支持工程
次いで、板部材8Bの上に複数のジャッキ8Aを載置して、回り止めナット81を工具で把持しながら、移動ナット82を工具で回転させ、移動部83の先端部83aに形成された凹状孔にボルト64aの頭部を挿入した状態で、先端部83aの端面を下部筐体63の割フランジ63aに当接させる。次いで、移動ナット82を工具で更に回転させて締め増すことにより、複数のジャッキ8Aが割フランジ62a,63aを均等に押圧し、分割筐体6の密封状態が良好なものとなる。
【0043】
(3)移動防止工程
次いで、一対の移動防止具7,7の係合部72aと分割筐体6の被係合部60aとを当接させ、上半割部材7Aのフランジ部7Aaと下半割部材7Bのフランジ部7Baとを、ボルト73a,ナット73bで連結させる。そして、押ボルトBbを貫通孔71bに螺合することにより、爪部材73が水道管1の外表面に喰い込んで、分割筐体6の軸芯X方向の移動が阻止される。
【0044】
(4)作業弁設置工程
次いで、板状の弁体53が収容された弁箱52の下部フランジ54を分割筐体6の上部フランジ61に複数のボルト55a,ナット55bで連結することにより、分割筐体6に作業用仕切弁5を装着する。このとき、必要に応じて複数のジャッキ8Aを操作して、水道管1の軸芯Xを同一方向(水平方向)に維持する。
【0045】
(5)ハウジング設置工程
次いで、図4に示すように、穿孔前のホールソー31を収容した状態で穿孔機3を支持するハウジング4の下部フランジ41を、作業用仕切弁5の上部フランジ51に複数のボルト42a,ナット42bで連結して、ハウジング4を作業用仕切弁5に装着する。このとき、必要に応じて複数のジャッキ8Aを操作して、水道管1の軸芯Xを同一方向(水平方向)に維持する。以上の工程により、分割筐体6は、穿孔機3、ハウジング4及び作業用仕切弁5を支持しており、ジャッキ8Aにより、水道管1の軸芯Xが同一方向(水平方向)に維持されている。
【0046】
(6)穿孔工程
次いで、穿孔機3の回転軸33を回転操作し、ホールソー31により水道管1を切断する。その結果、水道管1は、軸芯Xに沿って切り離され、互いに離間した一対の切断管部11が形成される(図5も参照)。このとき、必要に応じて複数のジャッキ8Aを操作して、一対の切断管部11の軸芯Xを同一方向(水平方向)に維持する。このジャッキ8Aにより、水道管1の軸芯Xが同一方向(水平方向)に維持されているため、軟弱地盤による地盤沈下が起こったとしても、穿孔不能となる不都合が無い。
【0047】
(7)切片回収工程
次いで、図5に示すように、センタードリル32に設けられた脱落防止コマが、切断された水道管1の切片12を保持した状態で、穿孔機3の回転軸33を回転操作し、センタードリル32及びホールソー31を上方に移動させる。その結果、穿孔後のホールソー31及び切片12を保持したセンタードリル32が、ハウジング4の内部に収容される。このとき、ジャッキ8Aにより、水道管1の軸芯Xが同一方向(水平方向)に維持されているため、ホールソー31等が回収不能となることがない。次いで、作業用仕切弁5を閉弁する。
【0048】
(8)仕切弁設置工程
次いで、穿孔機3及びハウジング4を撤去する。そして、図示しないが、作業用仕切弁5の上に切粉回収器を設置して、作業用仕切弁5を開弁し、切粉回収器を操作して、分割筐体6の底部63bに堆積した切粉を除去する。次いで、図6に示すように、作業用仕切弁5を閉弁し、仕切弁2を保持する保持具21を支持した状態のハウジング4Aを、作業用仕切弁5に連結する。次いで、作業用仕切弁5を開弁し、保持具21を操作して、仕切弁2を一対の切断管部11,11の間に密封状態に装着する。本実施形態における仕切弁2は、周囲がシールされた円盤状の基部22と周囲がシールされた四角柱状の弁収容部23とが一体形成されている。この弁収容部23には、操作部24を回転操作することにより回動して、水道管1の流路を連通状態と遮断状態とに切り替え可能な円板状の弁部(不図示)が収容されている。
【0049】
(9)蓋設置工程
次いで、保持具21を支持した状態のハウジング4Aと作業用仕切弁5とを撤去することにより、水道管1には分割筐体6及び仕切弁2が装着された状態となっている。そして、分割筐体6の上部フランジ61に蓋9を締結固定して、最終形態となる。なお、ハウジング4Aと作業用仕切弁5とを撤去した後の任意のタイミングで、ジャッキ8Aを撤去するが、ジャッキ8Aを残置しても良い。
【0050】
本実施形態では、一対の移動防止具7,7により水道管1の軸芯Xに沿う分割筐体6の移動を阻止しているため、分割筐体6の内部で水道管1を切断した後、穿孔機3を撤去して分割筐体6に蓋9をするだけで、一対の切断管部11,11を形成することができる。このため、施工期間を短縮することができる。
【0051】
[別実施形態]
図8図9に示すように、軸芯維持機構8は、下部筐体63の底部63b(本体下面)に当接している複数のジャッキ8C(可動支持部材の一例)であっても良い。本実施形態におけるジャッキ8Cは、ポンプPにより供給される流体(水や油圧、空気等)により上下移動可能に構成されている。また、本実施形態における下部筐体63の底部63bには、ジャッキ8Cが当接する部位に端面が水平な当接部63cが突出形成している。
【0052】
このジャッキ8Cは、分割筐体6を下側から支持し、上下に移動可能に構成されている。ジャッキ8Cは、板部材8Bに載置される筒状の支持部84と、流体圧により支持部80に対して上下方向に相対移動可能な円筒状の移動部85と、を有している。移動部85の先端部85aが当接部63cに当接し、基端部85bが流体圧を受けて、割フランジ62a,63aが密着する。
【0053】
本実施形態における一対の移動防止具7,7は、水道管1の軸芯Xに沿う分割筐体6の両端部60,60に夫々一体的に配置されている。つまり、移動防止具7は、上述した係合部72aを省略して、半割環状の基部71が、分割筐体6の両端部60,60に一体形成されている。
【0054】
本実施形態においても、一対の切断管部11,11の軸芯Xを維持する軸芯維持機構8を設けているため、軟弱地盤による地盤沈下が起こったとしても、軸芯維持機構8により一対の切断管部11,11の軸芯Xが同一方向に維持されるので、穿孔不能となったり、ホールソー31が回収不能となったりする不都合が無い。また、本実施形態では、複数のジャッキ8Cが下部筐体63の底部63bに当接しているので、安定的に分割筐体6を支持することができる。さらに、本実施形態では、ポンプPにより供給される流体でジャッキ8Cの移動部85を上下移動させているので、地盤沈下が発生しても迅速に対応できる。
【0055】
[その他の実施形態]
(a)図10に示すように、軸芯維持機構8は、穿孔機3,ハウジング4及び分割筐体6を吊って荷重を受ける吊り機構8Dを有している。この吊り機構8Dは、複数の吊りケーブル8Daと、複数の吊りケーブル8Daを束ねて吊り荷重を計測することが可能な荷重計8Dbと、吊りケーブル8Daを吊り上げる重機(不図示)とを含んでいる。吊り機構8Dにより穿孔機3及びハウジング4の荷重を受ければ、重量物に起因する一対の切断管部11,11の軸芯Xずれを防止することができる。
(b)図11に示すように、分割筐体6の両端部60,60の内周面に夫々設けられた環状シール材Sは、一対の環状シール部材Sa,Saと、一対の環状シール部材Sa,Saを連結する接着部材Sbとで構成されても良い。この場合、分割筐体6の端部60に貫通孔60bを形成し、この貫通孔60bに接着部材Sbを流し込んで固化させた後、栓部材60cにより密封される。これにより、分割筐体6の密封性能が向上する。
(c)図12に示すように、分割筐体6の両端部60,60に螺合された夫々の位置固定ボルトBaを、複数設けても良い。これにより、水道管1と分割筐体6の芯出しが可能となり、分割筐体6の回転が確実に防止される。
(d)図13に示すように、一対の移動防止具7,7の係合部72aの内面72a1と分割筐体6の被係合部60aの端面62a1とを接触(メタルタッチ)させても良い。これにより、分割筐体6の回転及び軸芯X方向の移動が確実に防止される。
(e)上記実施形態では、流体管として、流体としての上水が通流する水道管1を例示したが、液体や気体が通流できる管であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、穿孔機により既設管を切断して互いに離間した一対の切断管部を形成するための穿孔作業装置及び穿孔作業方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 :水道管(既設管)
3 :穿孔機
4 :ハウジング
5 :作業用仕切弁
6 :分割筐体
7 :移動防止具
8 :軸芯維持機構
8A :ジャッキ(可動支持部材)
8C :ジャッキ(可動支持部材)
8D :吊り機構
11 :切断管部
31 :ホールソー(カッター)
60 :両端部
62a :割フランジ
63a :割フランジ
100 :穿孔作業装置
X :軸芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13