(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134343
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
B65D5/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033410
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平田 賢一
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060CE04
3E060CE08
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA14
(57)【要約】
【課題】紙容器の開口部の形成のための開封予定線に沿って、開封が容易かつ正確に可能である、紙容器の提供を課題とする。
【解決手段】紙を基材として内容物を内部に収納可能に形成されており、所定の位置に開口部を形成するための、開封予定線に沿って、紙基材の表裏からハーフカットが設けてあり、紙容器に製函した時の、容器外側になる面を紙基材の表面、容器内側になる面を紙基材の裏面として、紙基材の表面には不連続な形状のハーフカットを設けてあり、紙基材の裏面には連続した形状のハーフカットを設けてあることを特徴とする紙容器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を基材として内容物を内部に収納可能に形成されており、
所定の位置に開口部を形成するための、開封予定線に沿って、紙基材の表裏からハーフカットが設けてあり、
紙容器に製函した時の、容器外側になる面を紙基材の表面、容器内側になる面を紙基材の裏面として、
紙基材の表面には不連続な形状のハーフカットを設けてあり、紙基材の裏面には連続した形状のハーフカットを設けてあることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
紙基材の表面の不連続な形状のハーフカットと、紙基材の裏面の連続した形状のハーフカットとが、開封予定線に沿って、表裏でずれて異なる位置に設けてあることを特徴とする、請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
ハーフカットは、開封予定線の一部区間に設けることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の紙容器。
【請求項4】
開封予定線の開封の開始点から一定の距離表裏貫通した連続または不連続のカット線が設けられており、そこから紙基材の表面の不連続な形状のハーフカットと紙基材の裏面の連続したハーフカットが設けられていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の紙容器。
【請求項5】
紙を基材として内容物を内部に収納可能に形成されており、
所定の位置に開口部を形成するための開封予定線に沿って、紙基材の表裏からハーフカットが設けてあり、
紙容器に製函した時の、容器の外側になる面を紙基材の表面、容器の内側になる面を紙基材の裏面として、
紙基材の表面には連続した形状のハーフカットを設けてあり、紙基材の裏面には不連続な形状のハーフカットを設けてあることを特徴とする紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器の開封の機構に係るものである。特にハーフカットを設けて、あらかじめ意図した形状の開封を促し、容易かつ正確な開封を可能にすることのできる、表裏ハーフカットジッパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装容器には様々な形態のものが使われているが、そのうち、紙容器はさまざまな分野で、様々な品種の容器として広く使われている。例えば菓子や食品や日用品など、現代の生活者にとって不可欠なものとなっており、スーパーマーケットをはじめ、小売店やコンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。
【0003】
紙容器は、素材が紙であることから、剛性など一定の機械的強度を持ち、ガラス瓶、金属缶、プラスチックボトルに比べて軽量かつ安価であり、また平坦に折りたたむことが可能であり、したがって積み重ねが可能で嵩張ることがなく、輸送や取り扱いにおいても利便性が高い。
【0004】
また表面に印刷層を設けることも容易であって、たとえばバーコードを表面に印刷する場合には、流通や在庫、販売の管理に用いるほか、マーケティング情報の源泉としても役立てられている。
【0005】
また、例えば紙容器の表面に印刷、コーティング、ホットスタンプなどの表面加飾加工が可能であり、商品に関してロゴマークや内容物に関する情報、特に高精細の印刷も可能であって商品としての差別化を図ることも可能である。
【0006】
さらに、素材が紙であることは、使用後にはリサイクルが可能である。また、仮に廃棄される場合においても容易に減容化、焼却が可能であって、環境適合型の包装容器である。
【0007】
紙容器の中には、開封して内容物を一度に取り出し、そのままリサイクルまたは廃棄するものもあり、あるいは、開封したのちに、繰り返しの開閉を行って、その都度内容物の取り出し、または出し入れを行うことができるものもある。この場合には開口部はその位置、形状を用途に合わせてあらかじめ決めて置くことによって、利便性を高めることが可能である。
【0008】
この場合には、例えば開口部を形成するための開封予定線を設けておき、ミシン目などで所定の形状の開封を可能にしてかつ、開封後には開封口を閉じて、開封した部分を仮止めしておく機構が設けられている例がある。
【0009】
特許文献1には、このような紙箱の表裏にハーフカットを設けて、菓子などの容器の開口封じ部とする例が示されているが、ハーフカットと直行する方向には、紙が予期しない剥離を起こす恐れがあって、実用においては問題であった。あるいは、ハーフカットの隙間であるつなぎと呼ばれる部分が、表裏で一致する箇所がある場合には、開封時の開封船が意図しない方向にそれてしまう恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、紙容器の開口部の形成のための開封予定線に沿って、開封が容易かつ正確に可能である、表裏ハーフカットジッパーの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
紙を基材として内容物を内部に収納可能に形成されており、
所定の位置に開口部を形成するための、開封予定線に沿って、紙基材の表裏からハーフカットが設けてあり、
紙容器に製函した時の、容器外側になる面を紙基材の表面、容器内側になる面を紙基材の裏面として、
紙基材の表面には不連続な形状のハーフカットを設けてあり、紙基材の裏面には連続した形状のハーフカットを設けてあることを特徴とする紙容器である。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、
紙基材の表面の不連続な形状のハーフカットと、紙基材の裏面の連続した形状のハーフカットとが、開封予定線に沿って、表裏でずれて異なる位置に設けてあることを特徴とする、請求項1に記載の紙容器である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、
ハーフカットは、開封予定線の一部区間に設けることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の紙容器である。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、
開封予定線の開封の開始点から一定の距離表裏貫通した連続または不連続のカット線が設けられており、そこから紙基材の表面の不連続な形状のハーフカットと紙基材の裏面の連続したハーフカットが設けられていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の紙容器である。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、
紙を基材として内容物を内部に収納可能に形成されており、
所定の位置に開口部を形成するための開封予定線に沿って、紙基材の表裏からハーフカットが設けてあり、
紙容器に製函した時の、容器の外側になる面を紙基材の表面、容器の内側になる面を紙基材の裏面として、
紙基材の表面には連続した形状のハーフカットを設けてあり、紙基材の裏面には不連続な形状のハーフカットを設けてあることを特徴とする紙容器である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、紙容器の開口部の形成のための開封予定線に沿って、開封が容易かつ正確に可能である、紙容器の提供が可能である。
【0018】
紙容器に製函した時の、容器外側になる面を紙基材の表面、容器内側になる面を紙基材の裏面として、紙基材の表面には不連続な形状のハーフカットを設けてあり、紙基材の裏面には連続した形状のハーフカットを設けてあることによって、紙容器の外側から開封予定線に直角方向の力が加えられた場合でも、紙基材の層間はく離が発生したり、予期しない開封を防止することが可能である。また、表裏からのハーフカット構成であるので、開
封予定線に沿って、意図せず、紙が折れてしまうことがない。
【0019】
また、開封作業においても、ハーフカットの隙間であるつなぎと呼ばれる部分が、表裏で一致する箇所がある場合には、開封時の開封船が意図しない方向にそれてしまう恐れがあったが、本発明による紙容器においては、紙基材の裏面は連続した形状のハーフカットであるため、つなぎと呼ばれる部分がないため、開封予定線からそれた開封がなされることを防止することが可能である。
【0020】
また、特に請求項2に記載の発明によれば、紙容器は、紙基材の表面の不連続な形状のハーフカットと、紙基材の裏面の連続した形状のハーフカットとが、開封予定線に沿って、表裏でずれて異なる位置に設けてあることによって、ハーフカット同士が重なって必要以上に脆弱な部分となって、取り扱いや保管、また開封作業以前において誤った開封がなされることを防止することができる。
【0021】
また、表裏のハーフカットにずれがあることによって、開封予定線に沿って表裏ハーフカットジッパーを開封したときに、このずれの部分は紙基材の層間ではく離して、例えば表面からの不連続なハーフカットが、ジッパー型のような形状で尖った突角を有する場合でも、この突角の部分が開口部の端面から飛び出すことを防止して、安全な開封機構とすることができる。
【0022】
加えて、この紙基材の層間で剥離した領域は、一旦紙容器を開封した後に再封する際には、重なり部分となって、再封の効果を高めることに効果的である。
【0023】
また、特に請求項3に記載の発明によれば、開封予定線の一部区間に設けることにより、開封予定線の形状によって、より適した易開封機構と組み合わせて、開封予定線全体を構成することが可能である。
【0024】
また、特に請求項4に記載の発明によれば、 開封予定線の開封の開始点から一定の距離に設けられた表裏貫通した連続または不連続のカット線の終点から連続して、残りの開封予定線に沿って設けてあることによって、より開封が容易で、かつ正確な開封が可能な、紙容器の実現が可能である。
【0025】
加えて、例えばこの開封の開始点から表裏貫通したカット線で形成されるタブ形状の領域を、再封の際にスリットに差し込むなどして仮止めする場合には、より挿入しやすい効果が得られる。
【0026】
また、特に請求項5に記載の発明によれば、紙容器の開口部の形成のための開封予定線に沿って、開封が容易かつ正確に可能である、紙容器の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明に係る紙容器と開封予定線の一実施態様を説明するための、斜視模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る紙容器を開封した様子を説明するための、斜視模式図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る紙容器の一実施態様を説明するための、
図1に示す紙容器の一例の平面展開模式図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る紙容器の一実施態様をより詳細に説明するための、部分拡大した平面模式図、及びそれに対応した部分断面模式図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る紙容器の一実施態様をより詳細に説明するための、開封した状態を部分拡大した平面模式図、及びそれに対応した部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を
図1~
図5を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0029】
図1は、本発明に係る紙容器と開封予定線の一実施態様を説明するための、斜視模式図である。
【0030】
本発明による表裏ハーフカットジッパーは、紙容器(10)の開封のための易開封機構であって、紙容器(10)に用いられて、予定された開口部の形成を、容易かつ安定して行うことに効果的である。
【0031】
紙容器(10)に用いる紙は、特段の限定を設けるものではない。例えば、要求される一定の剛性や機械的強度を有しており、本発明による表裏からのハーフカットが可能であり、また後述する表裏のハーフカット同士の位置のずれによる中間の領域がある場合には、紙基材の層間で剥離することが可能であることなどを考慮すれば、板紙などを任意に選択して使用することができる。
【0032】
紙基材には、紙容器(10)が製函された状態で、外側から見える面に印刷などの表面加飾を施すことができる。たとえば印刷による内容物の情報表示のほか、ロゴマークの印刷による宣伝効果や商品の差別化、絵柄印刷、艶出しニスなどによる意匠性の向上などである。また、開封予定線(12)についても、印刷手法などを用いてその位置を可視化しておくことは、紙容器(10)の開封作業にとっては好都合である。
【0033】
図1に示す例は、直方体の紙容器(10)の例である。この紙容器(10)の開口部は、前面(30)の開封の開始点(11)から始まって、天面(20)に達しており、その開口部の形状は、開封予定線(12)と、折り線(13)とで囲まれている領域である。本発明による表裏ハーフカットジッパーは、この開封予定線(12)に沿って形成されるものである。
【0034】
開封は、開封の開始点(11)を図中矢印(15)の方向に持ち上げて移動させることによって、紙基材を開封予定線(12)に沿って切り裂いて開封し、前面(30)から天面(20)に至る開口部を形成することを意図しており、開封した部分は切り取らずに、折り線(13)で折り曲げて、形成された開口部の蓋材として、紙容器(10)の開閉を可能にするものである。
【0035】
この例に限らず、紙容器(10)のいずれかの箇所に形成された開口部の紙基材を、完全に分離、除去することも可能である。これらは、内容物、及びその用途によって適宜選択して設計することができる。開口部はいずれか一つの面に形成するのでもよく、複数の面にわたるのでもよく、意匠的な点から、また内容物の用途によって、任意に計画することができる。
【0036】
紙容器(10)は、紙を基材として内容物を内部に収納可能に形成されており、紙容器(10)の所定の位置に開口部を形成するための、開封予定線(12)が計画されており、この開封予定線(12)に沿って正確な開封が行われることを目的として、本発明による表裏ハーフカットジッパーは効果的である。
【0037】
すなわち、本発明は、紙容器(10)の開封のための易開封機構であって、開封予定線(12)に沿って、紙基材の表面には不連続な形状のハーフカットを設けてあり、紙基材
の裏面には連続した形状のハーフカットを設けてあることを特徴とする、表裏ハーフカットジッパーである。
【0038】
したがって、本発明による表裏ハーフカットジッパーによって、紙容器(10)の開封は手指を用いて、あらかじめ計画された位置と形状で、容易かつ正確に行うことが可能となる。
【0039】
図2は、本発明に係る紙容器を開封した様子を説明するための、斜視模式図である。
【0040】
紙容器(10)の開封は、開封の開始点(11)を起点として行われ、開封予定線(12)に沿って行われる。表裏ハーフカットジッパーは、開封予定線(12)に沿って設けられており、前面(30)から天面(20)にわたって開封される例である。
【0041】
開封作業は、開封の開始点(11)の部分を手指でつまんで、矢印(15)の方向に引き挙げることによって、表裏ハーフカットジッパーは切り裂かれて、開口部(40)が形成される。この時、切り裂きは、左右2筋の表裏ハーフカットジッパーが同時に切り裂かれるため、開封作業は、短時間で行うことができる。またこの例で示す開口部(40)は、前面(30)から天面(20)に達して大きく開口しており、例えば内容物の手指によるつまみ出しなどには利便性が高い。
【0042】
図2に示す例では、開口部(40)を形成したのち、開封の開始点(11)近傍に形成されたタブ(16)の部分は、前面(30)の内側にあらかじめ設けられた、前面(31)のスリット(14)に挿入されて、紙容器(10)は再封が可能である。紙容器(10)の再封が可能であることによって、内容物の繰り返しの取り出しや出し入れが可能となる。
【0043】
図3は、本発明に係る紙容器の一実施態様を説明するための、
図1に示す紙容器の一例の平面展開模式図である。
【0044】
図1に示す例の紙容器(10)のブランクス(9)が示すように、本発明による表裏ハーフカットジッパー(3)は、前面(30)及び天面(20)にわたって設けてあり、
図1に示す開封予定線(12)に沿って設けてある。
【0045】
本発明による、表裏ハーフカットジッパー(3)は、紙基材の表裏からのハーフカットで構成され、紙基材の表面の不連続な形状のハーフカット(1)と、紙基材の裏面の連続した形状のハーフカット(2)とからなる。しかし、紙基材の表面の連続した形状のハーフカットと、紙基材の裏面の不連続な形状のハーフカットから構成されていても良い。
【0046】
これらは開封予定線(12)に沿って設けてあり、紙容器(10)の開封のために、表裏ハーフカットジッパー(3)の切り裂きが行なわれて開封され、計画された開口部(40)を形成することができる。
【0047】
すなわち、
図3に示す例においては開封の開始点(11)から始まって、前面(30)から天面(20)に向かって左右対称に連続している、2筋の表裏ハーフカットジッパー(3)を同時に切り裂いて行われる例である。
【0048】
また、本発明による表裏ハーフカットジッパー(3)は、表面が、紙基材の表面の不連続な形状のハーフカット(1)となっており、表面のハーフカットが連続した直線形状である場合に比べて、直線に直交する方向に力が加わる際の、紙のめくれを防止することに効果的である。
【0049】
また
図3で示すように、本発明において、表裏ハーフカットジッパー(3)は、紙基材の表面の不連続な形状のハーフカット(1)と、紙基材の裏面の連続した形状のハーフカット(2)とを、
図1に示す開封予定線(12)に沿って、表裏で同位置ではなく、ずれて異なる位置に設けることが可能であって、
図3から見て取れる。
【0050】
この場合には、表裏のハーフカットがそれぞれに開封に効果的に寄与して、本発明が意図するところの、より容易で、より正確な切り裂きと開封作業が可能な、表裏ハーフカットジッパー(3)とすることが可能である。
【0051】
さらに、この表裏のハーフカットの位置のずれがある場合には、表裏ハーフカットジッパー(3)を切り裂いて、紙容器(10)を開封したときに、このずれの部分は紙基材の層間で剥離して、例えば紙基材の表面からの不連続なハーフカット(1)によって、切り裂きの端面のエッジが突角を有する場合でも、この突角の部分が切り裂きの端面から飛び出すことを防止して、安全な開封機構とすることができる。この開封機構の特徴については、さらに詳細な説明を、
図4以降の説明において後述する。
【0052】
表裏ハーフカットジッパー(3)は、開封予定線(12)のすべての部分で設けてある必要はない。表裏ハーフカットジッパー(3)は、開封予定線の一部区間に設けることができるのであって、例えば、開封予定線(12)の一部が、表裏ハーフカットジッパー(3)によって構成されており、残りの部分は他の易開封機構によって構成されているのでもよい。例えば、一部が表裏貫通したミシン目や、カット線で構成されるのでも構わない。
【0053】
図3に示す例は、開封予定線(12)は、開封の開始点(11)から一定の距離に設けられた、表裏貫通したカット線(5)を有しており、その終点から表裏ハーフカットジッパー(3)が、残りの開封予定線(12)に沿って設けてある例である。
【0054】
すなわち
図3に示す例のように、開封の開始点(11)を開封のきっかけとして、表裏貫通したカット線(5)で開封が始まって、本発明による表裏ハーフカットジッパー(3)はそこから分岐して2条設けたものである。こうして表裏ハーフカットジッパー(3)によって、手指による容易でより正確な切り裂きと開封作業を実現することが可能である。
【0055】
さらに、
図3に示す例のように天面(20)と前面(30)との境界の折り曲げ部分にあたる部分には表裏貫通したカット線(5)を設けることができる。よって、開封の開始点(11)から表裏貫通したカット線(5)、そこから分岐して2条にハーフカットジッパーが設けられており、2条に設けられたハーフカットジッパーが集束して、表裏貫通したカット線(5)に切り替わり、そこからさらに分岐して2条のハーフカットジッパーになる。これにより、天面(20)と前面(30)との境界の折り曲げ部分には表裏貫通したカット線(5)が設けられているので、製函時に折り曲げ部分から意図せず開封してしまうということも防止できる。
【0056】
また、
図3に示す例のように開封の終点(17)付近で、2条のハーフカットが集束し、表裏貫通したカット線(5)になって、終了する。これにより、開封予定線が開封の終点を超えて開封されていってしまうことを防止することができる。さらに、開封の終点付近の表裏貫通のカット線が曲がっていることにより、開封予定線が開封の終点を超えて開封されていってしまうことを防止するという効果がさらに高まる。
【0057】
また、
図3に示す例においては、開封の開始点(11)と表裏貫通したカット線(5)
とで囲まれた領域に、タブ(16)形状を形成し、この部分は紙容器(10)を再封する場合において、あらかじめ設けたスリット(14)に挿入が容易であり、仮止めして再封することが可能である。
【0058】
図4は、本発明に係る紙容器の一実施態様をより詳細に説明するための、部分拡大した平面模式図、及びそれに対応した部分断面模式図である。
【0059】
図4に示す例は、表裏ハーフカットジッパー(3)を紙基材(8)の表側、すなわち紙容器(10)の外側となる面から見た平面模式図(一部透視)及びそれに対応する部分の断面を表した模式図であって、いずれも部分拡大したものである。
【0060】
紙基材(8)の表面の、不連続な形状のハーフカット(1)は、紙の表面から加工された、不連続なハーフカットであって、ここに示す例はジッパー型とも呼ばれる形態の例である。
【0061】
この場合は、容易で正確かつ安定した開封に効果的であり、切り裂いた開封線は計画された開封予定線(12)から、それにくい。ただし開封した部分には、のこぎり型の突角が残る。
【0062】
紙基材(8)の裏面の連続した形状のハーフカット(2)は、紙基材(8)の裏面から加工された連続的な直線であって、
図3においては紙基材(8)の裏面からの加工であって、紙基材(8)の表側からは不可視であるが、透視した図として、連続した直線ではあるが破線で表したものである。
【0063】
また、
図3に示す例において、表面の不連続な形状のハーフカット(1)と紙基材(8)の裏面の連続した形状のハーフカット(2)とは、表裏でずれて異なる位置に設けた例であって、ずれ量(a)で示されている。
【0064】
このずれ量(a)を設けてある場合には、表裏からのハーフカットの位置が重なる部分による脆弱部がなくなり、表裏ハーフカットジッパー(3)は、誤った開封などを防止することができる。
【0065】
図5は、本発明に係る紙容器の一実施態様をより詳細に説明するための、開封した状態を部分拡大した平面模式図、及びそれに対応した部分断面模式図である。
【0066】
図1および
図2に示す例のように、紙容器(10)の開封は、開封の開始点(11)を図中矢印(15)の方向に持ち上げて移動させることによって、前面(30)から天面(20)に至る開口部(40)を形成することができる。
【0067】
この開封によって、表裏ハーフカットジッパー(3)を境にして、紙容器(10)を構成する紙基材(8)は引き裂かれ、分離する。
図1および
図2で示す例においては、表裏ハーフカットジッパー(3)の引き裂きは天面(20)で止まり、開口部(40)を覆っていた紙基材(8)は残留する。
【0068】
引き裂きは、ハーフカットの部分が比較的脆弱となるために、紙基材(8)の表側からは表面の不連続な形状のハーフカット(1)によって行われ、紙基材(8)の裏側からは、紙基材(8)の裏面の連続した形状のハーフカット(2)によって行われる。
【0069】
図4及び
図5に示す例において、表面の不連続な形状のハーフカット(1)と紙基材(8)の裏面の連続した形状のハーフカット(2)とは、表裏でずれて異なる位置に設けられた例であって、表裏のずれに挟まれた部分は、紙基材(8)の層間剥離部分(7)として、ずれ量(a)の幅で表面に露出する。
【0070】
また
図5に示す例において、紙基材(8)の表面の、不連続な形状のハーフカット(1)は、紙の表面から加工された、不連続なハーフカットであって、ここに示す例はジッパー型とも呼ばれる形態の例である。
【0071】
前述のように、この場合は、容易で正確かつ安定した開封に効果的であり、切り裂いた開封線は計画された開封予定線(12)から、それにくい。ただし開封した部分には、のこぎり型の突角(6)が残る。
【0072】
突角(6)は、その部分が開封された部分のエッジとなる場合には、尖った部分が手指にふれて痛く感じるなどの現象を引き起こす恐れがあるが、
図5に示す例においては、
突角の高さ(b)<ずれ量(a)であってこの場合には、突角(6)はエッジとはならず、紙基材(8)の層間剥離部分(7)で囲われているために、尖った部分が手に直接触れることを回避することが可能である。
【0073】
このように、本発明によれば、紙容器の開口部の形成のための開封予定線に沿って、開封が容易かつ正確に可能である、表裏ハーフカットジッパーを提供することができる。
【符号の説明】
【0074】
1・・・紙基材の表面の不連続な形状のハーフカット
2・・・紙基材の裏面の連続した形状のハーフカット
3・・・表裏ハーフカットジッパー
5・・・表裏貫通したカット線
6・・・突角
7・・・紙基材の層間剥離部分
8・・・紙基材
9・・・ブランクス
10・・・紙容器
11・・・開封の開始点
12・・・開封予定線
13・・・折り線
14・・・スリット
15・・・矢印
16・・・タブ
17・・・開封の終点
20・・・天面
30・・・前面
31・・・前面
40・・・開口部
a・・・ずれ量
b・・・突角の高さ