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特開2022-134372基板処理方法、及び基板処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134372
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】基板処理方法、及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220908BHJP
   G05D 7/06 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 648K
H01L21/304 651B
G05D7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033453
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】火口 友美
【テーマコード(参考)】
5F157
5H307
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC04
5F157AC26
5F157BB22
5F157CB15
5F157CD29
5F157CD32
5F157CD46
5F157CE83
5F157CF22
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF50
5F157DC21
5H307AA02
5H307BB01
5H307BB05
5H307DD02
5H307EE02
5H307HH12
5H307JJ05
(57)【要約】
【課題】装置間誤差に起因する警報が発生し難くなる基板処理方法、及び基板処理システムを提供する。
【解決手段】流体供給ノズルから基板に流体を吐出させるステップと、流体供給ノズルから吐出される流体の流量の計測値が、上限許容範囲(UA)又は下限許容範囲(LA)を超えるか否かの判定を行うステップと、流体の流量の計測値が上限許容範囲(UA)又は下限許容範囲(LA)を超えると判定された場合に、警報を発生させるステップとを包含する。上限許容範囲(UA)は、第1上限値(UL1)と第2上限値(UL2)とのうちの大きい方の値を上限値とする範囲である。下限許容範囲(LA)は、第1下限値(LL1)と第2下限値(LL2)とのうちの小さい方の値を下限値とする範囲である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムによって基板を処理する方法であって、
流体供給ノズルから前記基板に流体を吐出させるステップと、
前記流体供給ノズルから吐出される前記流体の流量の計測値が、上限許容範囲又は下限許容範囲を超えるか否かの判定を行うステップと、
前記計測値が前記上限許容範囲又は前記下限許容範囲を超えると判定された場合に、警報を発生させるステップと
を包含し、
前記上限許容範囲は、第1上限値と第2上限値とのうちの大きい方の値を上限値とする範囲であり、
前記第1上限値は、前記流体の流量に対する目標値に第1所定割合を乗じた値を前記目標値に加算した値を示し、
前記第2上限値は、第1オフセット値を前記目標値に加算した値を示し、
前記下限許容範囲は、第1下限値と第2下限値とのうちの小さい方の値を下限値とする範囲であり、
前記第1下限値は、前記目標値に第2所定割合を乗じた値を前記目標値から減算した値を示し、
前記第2下限値は、第2オフセット値を前記目標値から減算した値を示す、基板処理方法。
【請求項2】
前記判定を行うステップは、
前記目標値が第1閾値以上であるか否かを判定するステップと、
前記目標値が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記計測値が前記第1上限値よりも大きいか否かにより、前記計測値が前記上限許容範囲を超えるか否かを判定するステップと
を包含する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記判定を行うステップは、
前記目標値が第1閾値以上であるか否かを判定するステップと、
前記目標値が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かにより、前記計測値が前記上限許容範囲を超えるか否かを判定するステップと
を包含する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記判定を行うステップは、
前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定するステップと、
前記目標値が前記第2閾値以上であると判定された場合に、前記計測値が前記第1下限値よりも小さいか否かにより、前記計測値が前記下限許容範囲を超えるか否かを判定するステップと
を包含する、請求項2又は請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記判定を行うステップは、
前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定するステップと、
前記目標値が前記第2閾値以上であると判定された場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かにより、前記計測値が前記下限許容範囲を超えるか否かを判定するステップと
を包含する、請求項2又は請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記判定を行うステップは、前記目標値が前記第1閾値以上でないと判定された場合に、前記計測値が前記第2上限値よりも大きいか否かにより、前記計測値が前記上限許容範囲を超えるか否かを判定するステップを包含する、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記判定を行うステップは、前記目標値が前記第1閾値以上でないと判定された場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かにより、前記計測値が前記上限許容範囲を超えるか否かを判定するステップを包含する、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記判定を行うステップは、
前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定するステップと、
前記目標値が前記第2閾値以上でないと判定された場合に、前記計測値が前記第2下限値よりも小さいか否かにより、前記計測値が前記下限許容範囲を超えるか否かを判定するステップと
を包含する、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記判定を行うステップは、
前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定するステップと、
前記目標値が前記第2閾値以上でないと判定された場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かにより、前記計測値が前記下限許容範囲を超えるか否かを判定するステップと
を包含する、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記判定を行うステップは、
前記計測値が前記目標値よりも大きいか、又は小さいかを判定するステップと、
前記計測値が前記目標値よりも大きいと判定された場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かにより、前記計測値が前記上限許容範囲を超えるか否かを判定するステップと、
前記計測値が前記目標値よりも小さいと判定された場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かにより、前記計測値が前記下限許容範囲を超えるか否かを判定するステップと
を包含する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記目標値を設定するステップを更に含み、
前記基板処理システムは、前記基板を収容する複数のチャンバーを備え、
前記流体供給ノズルは、前記流体として気体を吐出する複数の気体供給ノズルを含み、
前記複数の気体供給ノズルは、前記複数のチャンバー内に配置され、
前記目標値は、前記複数の気体供給ノズルの各々から吐出される前記気体の流量に対する複数の第1目標値を含み、
前記目標値を設定するステップは、前記複数の第1目標値を設定するステップを含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記目標値を設定するステップは、前記気体の流量に対する初期の目標値を、複数の第1補正値に基づいて前記気体供給ノズルごとに補正して、前記複数の第1目標値を設定するステップを含み、
前記複数の第1補正値は、前記複数の気体供給ノズルのうちの特定の一つから吐出される前記気体の流量に基づいて設定される、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記目標値を設定するステップを更に含み、
前記流体供給ノズルは、前記流体として処理液を吐出する処理液供給ノズルを含み、
前記目標値は、前記処理液供給ノズルから吐出される前記処理液の流量に対する第2目標値を含み、
前記目標値を設定するステップは、前記処理液の流量に対する初期の目標値を、第2補正値に基づいて補正して、前記第2目標値を設定するステップを含み、
前記第2補正値は、複数の前記基板処理システムのうちの特定の一つに搭載されている前記処理液供給ノズルから吐出される前記処理液の流量に基づいて設定される、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項14】
基板を処理する基板処理システムであって、
前記基板に流体を吐出する流体供給ノズルと、
前記流体供給ノズルから吐出される前記流体の流量を計測する流量計測部と、
予め設定された目標値に基づいて前記流体供給ノズルに供給する前記流体の流量を制御する流量制御部と、
警報を発生する警報発生部と、
前記流量計測部によって計測された前記流量の計測値が上限許容範囲又は下限許容範囲を超える場合、前記警報発生部に前記警報を発生させる警報制御部と
を備え、
前記上限許容範囲は、第1上限値と第2上限値とのうちの大きい方の値を上限値とする範囲であり、
前記第1上限値は、前記目標値に第1所定割合を乗じた値を前記目標値に加算した値を示し、
前記第2上限値は、第1オフセット値を前記目標値に加算した値を示し、
前記下限許容範囲は、第1下限値と第2下限値とのうちの小さい方の値を下限値とする範囲であり、
前記第1下限値は、前記目標値に第2所定割合を乗じた値を前記目標値から減算した値を示し、
前記第2下限値は、第2オフセット値を前記目標値から減算した値を示す、基板処理システム。
【請求項15】
前記警報制御部は、
前記目標値が第1閾値以上であるか否かを判定し、
前記目標値が前記第1閾値以上であると判定した場合に、前記計測値が前記第1上限値よりも大きいか否かを判定し、
前記計測値が前記第1上限値よりも大きいと判定した場合に、前記計測値が前記上限許容範囲を超えると判定する、請求項14に記載の基板処理システム。
【請求項16】
前記警報制御部は、
前記目標値が第1閾値以上であるか否かを判定し、
前記目標値が前記第1閾値以上であると判定した場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かを判定し、
前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいと判定した場合に、前記計測値が前記上限許容範囲を超えると判定する、請求項14に記載の基板処理システム。
【請求項17】
前記警報制御部は、
前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定し、
前記目標値が前記第2閾値以上であると判定した場合に、前記計測値が前記第1下限値よりも小さいか否かを判定し、
前記計測値が前記第1下限値よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記下限許容範囲を超えると判定する、請求項15又は請求項16に記載の基板処理システム。
【請求項18】
前記警報制御部は、
前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定し、
前記目標値が前記第2閾値以上であると判定した場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かを判定し、
前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記下限許容範囲を超えると判定する、請求項15又は請求項16に記載の基板処理システム。
【請求項19】
前記警報制御部は、
前記目標値が前記第1閾値以上でないと判定した場合に、前記計測値が前記第2上限値よりも大きいか否かを判定し、
前記計測値が前記第2上限値よりも大きいと判定した場合に、前記計測値が前記上限許容範囲を超えると判定する、請求項15から請求項18のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項20】
前記警報制御部は、
前記目標値が前記第1閾値以上でないと判定した場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かを判定し、
前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいと判定した場合に、前記計測値が前記上限許容範囲を超えると判定する、請求項15から請求項18のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項21】
前記警報制御部は、
前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定し、
前記目標値が前記第2閾値以上でないと判定した場合に、前記計測値が前記第2下限値よりも小さいか否かを判定し、
前記計測値が前記第2下限値よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記下限許容範囲を超えると判定する、請求項15から請求項20のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項22】
前記警報制御部は、
前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定し、
前記目標値が前記第2閾値以上でないと判定した場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かを判定し、
前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記下限許容範囲を超えると判定する、請求項15から請求項20のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項23】
前記警報制御部は、
前記計測値が前記目標値よりも大きいか、又は小さいかを判定し、
前記計測値が前記目標値よりも大きいと判定し場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かを判定し、
前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいと判定した場合に、前記計測値が前記上限許容範囲を超えると判定し、
前記計測値が前記目標値よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かを判定し、
前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記下限許容範囲を超えると判定する、請求項14に記載の基板処理システム。
【請求項24】
前記目標値を設定する目標値設定部と、
前記基板を収容する複数のチャンバーと
を更に備え、
前記流体供給ノズルは、前記流体として気体を吐出する複数の気体供給ノズルを含み、
前記複数の気体供給ズルは、前記複数のチャンバー内に配置され、
前記目標値は、前記複数の気体供給ノズルの各々から吐出される前記気体の流量に対する複数の第1目標値を含み、
前記目標値設定部は、前記複数の第1目標値を設定する、請求項14から請求項23のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項25】
前記目標値設定部は、前記気体の流量に対する初期の目標値を、複数の第1補正値に基づいて前記気体供給ノズルごとに補正して、前記複数の第1目標値を設定し、
前記複数の第1補正値は、前記複数の気体供給ノズルのうちの特定の一つから吐出される前記気体の流量に基づいて設定される、請求項24に記載の基板処理システム。
【請求項26】
前記目標値を設定する目標値設定部を更に備え、
前記流体供給ノズルは、前記流体として処理液を吐出する処理液供給ノズルを含み、
前記目標値は、前記処理液供給ノズルから吐出される前記処理液の流量に対する第2目標値を含み、
前記目標値設定部は、前記処理液の流量に対する初期の目標値を、第2補正値に基づいて補正して、前記第2目標値を設定し、
前記第2補正値は、複数の前記基板処理システムのうちの特定の一つに搭載されている前記処理液供給ノズルから吐出される前記処理液の流量に基づいて設定される、請求項14から請求項25のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法、及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板処理システムの一種である洗浄装置が開示されている。特許文献1の洗浄装置は、薬液供給ラインと、流量計と、バルブと、モニタリングツールと、制御部と、吐出部とを備える。
【0003】
吐出部は、基盤へ薬液を吐出する。薬液供給ラインは、吐出部に薬液を供給する。バルブ及び流量計は、薬液供給ラインに設けられる。流量計は、薬液流量を測定する。制御部は、バルブを開く信号をバルブに与える。モニタリングツールは、流量計の測定結果に基づいて、薬液流量が基準値上限を上回るか、基準値下限を下回るかを判定する。モニタリングツールは、薬液流量が基準値上限を上回るか、又は基準値下限を下回った場合に、警報を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-177386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の洗浄装置(基板処理システム)では、基準値上限及び基準値下限が一定値であるため、薬液流量の目標値が大きい値を示す場合、装置間誤差に起因する警報が発生し易い。つまり、警報が頻繁に発生する可能性がある。装置間誤差は、例えば、洗浄装置に搭載する機器の誤差を含む。警報が頻繁に発生する場合、洗浄処理(基板処理)が頻繁に停止するため、生産性が低下する。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置間誤差に起因する警報が発生し難くなる基板処理方法、及び基板処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、基板処理方法は、基板処理システムによって基板を処理する方法である。当該基板処理方法は、流体供給ノズルから前記基板に流体を吐出させるステップと、前記流体供給ノズルから吐出される前記流体の流量の計測値が、上限許容範囲又は下限許容範囲を超えるか否かの判定を行うステップと、前記計測値が前記上限許容範囲又は前記下限許容範囲を超えると判定された場合に、警報を発生させるステップとを包含する。前記上限許容範囲は、第1上限値と第2上限値とのうちの大きい方の値を上限値とする範囲である。前記第1上限値は、前記流体の流量に対する目標値に第1所定割合を乗じた値を前記目標値に加算した値を示す。前記第2上限値は、第1オフセット値を前記目標値に加算した値を示す。前記下限許容範囲は、第1下限値と第2下限値とのうちの小さい方の値を下限値とする範囲である。前記第1下限値は、前記目標値に第2所定割合を乗じた値を前記目標値から減算した値を示す。前記第2下限値は、第2オフセット値を前記目標値から減算した値を示す。
【0008】
ある実施形態において、前記判定を行うステップは、前記目標値が第1閾値以上であるか否かを判定するステップと、前記目標値が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記計測値が前記第1上限値よりも大きいか否かにより、前記計測値が前記上限許容範囲を超えるか否かを判定するステップとを包含する。
【0009】
ある実施形態において、前記判定を行うステップは、前記目標値が第1閾値以上であるか否かを判定するステップと、前記目標値が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かにより、前記計測値が前記上限許容範囲を超えるか否かを判定するステップとを包含する。
【0010】
ある実施形態において、前記判定を行うステップは、前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定するステップと、前記目標値が前記第2閾値以上であると判定された場合に、前記計測値が前記第1下限値よりも小さいか否かにより、前記計測値が前記下限許容範囲を超えるか否かを判定するステップとを包含する。
【0011】
ある実施形態において、前記判定を行うステップは、前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定するステップと、前記目標値が前記第2閾値以上であると判定された場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かにより、前記計測値が前記下限許容範囲を超えるか否かを判定するステップとを包含する。
【0012】
ある実施形態において、前記判定を行うステップは、前記目標値が前記第1閾値以上でないと判定された場合に、前記計測値が前記第2上限値よりも大きいか否かにより、前記計測値が前記上限許容範囲を超えるか否かを判定するステップを包含する。
【0013】
ある実施形態において、前記判定を行うステップは、前記目標値が前記第1閾値以上でないと判定された場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かにより、前記計測値が前記上限許容範囲を超えるか否かを判定するステップを包含する。
【0014】
ある実施形態において、前記判定を行うステップは、前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定するステップと、前記目標値が前記第2閾値以上でないと判定された場合に、前記計測値が前記第2下限値よりも小さいか否かにより、前記計測値が前記下限許容範囲を超えるか否かを判定するステップとを包含する。
【0015】
ある実施形態において、前記判定を行うステップは、前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定するステップと、前記目標値が前記第2閾値以上でないと判定された場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かにより、前記計測値が前記下限許容範囲を超えるか否かを判定するステップとを包含する。
【0016】
ある実施形態において、前記判定を行うステップは、前記計測値が前記目標値よりも大きいか、又は小さいかを判定するステップと、前記計測値が前記目標値よりも大きいと判定された場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かにより、前記計測値が前記上限許容範囲を超えるか否かを判定するステップと、前記計測値が前記目標値よりも小さいと判定された場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かにより、前記計測値が前記下限許容範囲を超えるか否かを判定するステップとを包含する。
【0017】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記目標値を設定するステップを更に含む。前記基板処理システムは、前記基板を収容する複数のチャンバーを備える。前記流体供給ノズルは、前記流体として気体を吐出する複数の気体供給ノズルを含む。前記複数の気体供給ノズルは、前記複数のチャンバー内に配置される。前記目標値は、前記複数の気体供給ノズルの各々から吐出される前記気体の流量に対する複数の第1目標値を含む。前記目標値を設定するステップは、前記複数の第1目標値を設定するステップを含む。
【0018】
ある実施形態において、前記目標値を設定するステップは、前記気体の流量に対する初期の目標値を、複数の第1補正値に基づいて前記気体供給ノズルごとに補正して、前記複数の第1目標値を設定するステップを含む。前記複数の第1補正値は、前記複数の気体供給ノズルのうちの特定の一つから吐出される前記気体の流量に基づいて設定される。
【0019】
ある実施形態において、上記の基板処理方法は、前記目標値を設定するステップを更に含む。前記流体供給ノズルは、前記流体として処理液を吐出する処理液供給ノズルを含む。前記目標値は、前記処理液供給ノズルから吐出される前記処理液の流量に対する第2目標値を含む。前記目標値を設定するステップは、前記処理液の流量に対する初期の目標値を、第2補正値に基づいて補正して、前記第2目標値を設定するステップを含む。前記第2補正値は、複数の前記基板処理システムのうちの特定の一つに搭載されている前記処理液供給ノズルから吐出される前記処理液の流量に基づいて設定される。
【0020】
本発明の一局面によれば、基板処理システムは、基板を処理する。当該基板処理システムは、流体供給ノズルと、流量計測部と、流量制御部と、警報発生部と、警報制御部とを備える。前記流体供給ノズルは、前記基板に流体を吐出する。前記流量計測部は、前記流体供給ノズルから吐出される前記流体の流量を計測する。前記流量制御部は、予め設定された目標値に基づいて前記流体供給ノズルに供給する前記流体の流量を制御する。前記警報発生部は、警報を発生する。前記警報制御部は、前記流量計測部によって計測された前記流量の計測値が上限許容範囲又は下限許容範囲を超える場合、前記警報発生部に前記警報を発生させる。前記上限許容範囲は、第1上限値と第2上限値とのうちの大きい方の値を上限値とする範囲である。前記第1上限値は、前記目標値に第1所定割合を乗じた値を前記目標値に加算した値を示す。前記第2上限値は、第1オフセット値を前記目標値に加算した値を示す。前記下限許容範囲は、第1下限値と第2下限値とのうちの小さい方の値を下限値とする範囲である。前記第1下限値は、前記目標値に第2所定割合を乗じた値を前記目標値から減算した値を示す。前記第2下限値は、第2オフセット値を前記目標値から減算した値を示す。
【0021】
ある実施形態において、前記警報制御部は、前記目標値が第1閾値以上であるか否かを判定する。前記警報制御部は、前記目標値が前記第1閾値以上であると判定した場合に、前記計測値が前記第1上限値よりも大きいか否かを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記第1上限値よりも大きいと判定した場合に、前記計測値が前記上限許容範囲を超えると判定する。
【0022】
ある実施形態において、前記警報制御部は、前記目標値が第1閾値以上であるか否かを判定する。前記警報制御部は、前記目標値が前記第1閾値以上であると判定した場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいと判定した場合に、前記計測値が前記上限許容範囲を超えると判定する。
【0023】
ある実施形態において、前記警報制御部は、前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定する。前記警報制御部は、前記目標値が前記第2閾値以上であると判定した場合に、前記計測値が前記第1下限値よりも小さいか否かを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記第1下限値よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記下限許容範囲を超えると判定する。
【0024】
ある実施形態において、前記警報制御部は、前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定する。前記警報制御部は、前記目標値が前記第2閾値以上であると判定した場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記下限許容範囲を超えると判定する。
【0025】
ある実施形態において、前記警報制御部は、前記目標値が前記第1閾値以上でないと判定した場合に、前記計測値が前記第2上限値よりも大きいか否かを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記第2上限値よりも大きいと判定した場合に、前記計測値が前記上限許容範囲を超えると判定する。
【0026】
ある実施形態において、前記警報制御部は、前記目標値が前記第1閾値以上でないと判定した場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいと判定した場合に、前記計測値が前記上限許容範囲を超えると判定する。
【0027】
ある実施形態において、前記警報制御部は、前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定する。前記警報制御部は、前記目標値が前記第2閾値以上でないと判定した場合に、前記計測値が前記第2下限値よりも小さいか否かを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記第2下限値よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記下限許容範囲を超えると判定する。
【0028】
ある実施形態において、前記警報制御部は、前記目標値が第2閾値以上であるか否かを判定する。前記警報制御部は、前記目標値が前記第2閾値以上でないと判定した場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記下限許容範囲を超えると判定する。
【0029】
ある実施形態において、前記警報制御部は、前記計測値が前記目標値よりも大きいか、又は小さいかを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記目標値よりも大きいと判定し場合に、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいか否かを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記第1上限値及び前記第2上限値の両者よりも大きいと判定した場合に、前記計測値が前記上限許容範囲を超えると判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記目標値よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいか否かを判定する。前記警報制御部は、前記計測値が前記第1下限値及び前記第2下限値の両者よりも小さいと判定した場合に、前記計測値が前記下限許容範囲を超えると判定する。
【0030】
ある実施形態において、上記の基板処理システムは、目標値設定部と、複数のチャンバーとを更に備える。前記目標値設定部は、前記目標値を設定する。前記複数のチャンバーは、前記基板を収容する。前記流体供給ノズルは、前記流体として気体を吐出する複数の気体供給ノズルを含む。前記複数の気体供給ズルは、前記複数のチャンバー内に配置される。前記目標値は、前記複数の気体供給ノズルの各々から吐出される前記気体の流量に対する複数の第1目標値を含む。前記目標値設定部は、前記複数の第1目標値を設定する。
【0031】
ある実施形態において、前記目標値設定部は、前記気体の流量に対する初期の目標値を、複数の第1補正値に基づいて前記気体供給ノズルごとに補正して、前記複数の第1目標値を設定する。前記複数の第1補正値は、前記複数の気体供給ノズルのうちの特定の一つから吐出される前記気体の流量に基づいて設定される。
【0032】
ある実施形態において、上記の基板処理システムは、前記目標値を設定する目標値設定部を更に備える。前記流体供給ノズルは、前記流体として処理液を吐出する処理液供給ノズルを含む。前記目標値は、前記処理液供給ノズルから吐出される前記処理液の流量に対する第2目標値を含む。前記目標値設定部は、前記処理液の流量に対する初期の目標値を、第2補正値に基づいて補正して、前記第2目標値を設定する。前記第2補正値は、複数の前記基板処理システムのうちの特定の一つに搭載されている前記処理液供給ノズルから吐出される前記処理液の流量に基づいて設定される。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る基板処理方法、及び基板処理システムによれば、装置間誤差に起因する警報が発生し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態に係る基板処理システムの構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る基板処理システムが備える処理ユニットの模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る基板処理システムの構成の一部を示すブロック図である。
図4】上限許容範囲UA及び下限許容範囲LAを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図7】警報処理の第1例の一部を示すフローチャートである。
図8】警報処理の第1例の他の一部を示すフローチャートである。
図9】警報処理の第2例の一部を示すフローチャートである。
図10】警報処理の第2例の他の一部を示すフローチャートである。
図11】警報処理の第3例の一部を示すフローチャートである。
図12】警報処理の第3例の他の一部を示すフローチャートである。
図13】(a)は、記憶部が記憶しているレシピデータの一部を示す図である。(b)は、記憶部が記憶している補正テーブルを示す図である。
図14】(a)は、第1補正値を取得するためのシステムを示す図である。(b)は、情報処理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図15】第2補正値を取得するためのシステムを示す図である。
図16】情報処理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図17】(a)は、本発明の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。(b)は、目標値を設定する処理を示すフローチャートである。
図18】(a)は、気体吐出流量の目標値を設定する処理を示すフローチャートである。(b)は、処理液吐出流量の目標値を設定する処理を示すフローチャートである。
図19】本発明の実施形態に係る基板処理システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面(図1図19)を参照して本発明に係る基板処理方法、及び基板処理システムの実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0036】
本発明に係る基板処理方法、及び基板処理システムが処理の対象とする「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハを処理の対象とする基板処理方法、及び基板処理システムを例に本実施形態を説明するが、本発明に係る基板処理方法、及び基板処理システムは、上記した半導体ウエハ以外の各種基板に対しても同様に適用可能である。また、基板の形状についても、円盤状に限定されず、本発明に係る基板処理方法、及び基板処理システムは、各種形状の基板に対して適用可能である。
【0037】
まず、図1を参照して本実施形態の基板処理システム100を説明する。図1は、本実施形態の基板処理システム100の構成を示す模式図である。詳しくは、図1は、基板処理システム100の模式的な平面図である。基板処理システム100は、基板Wを処理する。より具体的には、基板処理システム100は、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。例えば、基板処理システム100は、基板Wに対して、エッチング、洗浄、表面処理、特性付与、処理膜形成、及び膜の少なくとも一部の除去のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0038】
図1に示すように、基板処理システム100は、複数の処理ユニット1(本実施形態では第1処理ユニット#1~第8処理ユニット#8)と、流体キャビネット110と、複数の流体ボックス100Aと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。
【0039】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット1との間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する載置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で載置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。
【0040】
複数の処理ユニット1は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される複数のタワーTW(本実施形態では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット1(本実施形態では2つの処理ユニット1)を含む。処理ユニット1の各々は、処理液を基板Wに供給して、基板Wを処理する。
【0041】
流体キャビネット110は、流体を収容する。流体キャビネット110から、各流体ボックス100Aに流体が供給される。流体ボックス100Aはそれぞれ、複数のタワーTWのうちの1つに対応している。流体ボックス100Aから、対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット1に流体が供給される。
【0042】
本実施形態において、流体は、気体と、処理液とを含む。気体は、例えば、窒素(N2)のような不活性ガスである。処理液は、例えば、薬液(例えばエッチング液)である。薬液は、例えば、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、希フッ酸(DHF)、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、界面活性剤、又は、腐食防止剤である。なお、気体及び処理液の種類は、基板Wの処理に利用できる限りにおいて、特に限定されない。例えば、処理液は、脱イオン水(Deionized water;DIW)であってもよい。
【0043】
続いて、制御装置101について説明する。制御装置101は、基板処理システム100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、及びセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102と、記憶部103とを含む。
【0044】
制御部102は、プロセッサーを有する。制御部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有する。あるいは、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0045】
記憶部103は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータRDを含む。レシピデータRDは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する。
【0046】
記憶部103は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部103は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部103はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部103に記憶されているコンピュータプログラム及びデータに基づいて、基板処理システム100の各部の動作を制御する。
【0047】
続いて図1及び図2を参照して、本実施形態の基板処理システム100について更に説明する。図2は、本実施形態の基板処理システム100が備える処理ユニット1の模式図である。詳しくは、図2は、処理ユニット1の模式的な断面図である。
【0048】
図2に示すように、処理ユニット1は、チャンバー2と、スピンチャック3と、スピンモータ部4と、遮断板5と、気体供給ノズル6と、処理液供給ノズル7と、回転ユニット51と、昇降ユニット52と、ガード部8とを備える。また、基板処理システム100は、気体供給配管61と、マスフローコントローラ62と、開閉バルブ63と、処理液供給配管71と、流量制御バルブ72と、流量センサー73と、開閉バルブ74とを更に備える。制御装置101(制御部102)は、スピンチャック3、スピンモータ部4、回転ユニット51、昇降ユニット52、ガード部8、マスフローコントローラ62、開閉バルブ63、流量制御バルブ72、及び開閉バルブ74を制御する。
【0049】
チャンバー2は略箱形状を有する。チャンバー2は、基板Wと、スピンチャック3と、スピンモータ部4と、遮断板5と、気体供給ノズル6と、処理液供給ノズル7と、回転ユニット51と、昇降ユニット52と、ガード部8と、気体供給配管61の一部と、処理液供給配管71の一部とを収容する。なお、気体供給配管61の他の一部、処理液供給配管71の他の一部、マスフローコントローラ62、開閉バルブ63、流量制御バルブ72、流量センサー73、及び開閉バルブ74は、図1を参照して説明した流体ボックス100Aのうちの対応する1つに収容される。
【0050】
スピンチャック3は、基板Wを水平に保持する。具体的には、スピンチャック3は、複数のチャック部材31と、スピンベース32とを有する。複数のチャック部材31は、基板Wの周縁に沿ってスピンベース32に設けられる。複数のチャック部材31は基板Wを水平な姿勢で保持する。スピンベース32は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材31を支持する。
【0051】
スピンモータ部4は、回転軸線AXを中心として基板Wとスピンチャック3とを一体に回転させる。回転軸線AXは、上下方向に延びる。本実施形態では、回転軸線AXは、略鉛直方向に延びる。詳しくは、スピンモータ部4は、回転軸線AXを中心としてスピンベース32を回転させる。したがって、スピンベース32は、回転軸線AXを中心として回転する。その結果、スピンチャック3に保持された基板Wが、回転軸線AXを中心として回転する。
【0052】
スピンモータ部4は、モータ本体41と、シャフト42とを有する。シャフト42はスピンベース32に結合される。モータ本体41は、シャフト42を回転させる。その結果、スピンベース32が回転する。モータ本体41は、例えば電動モータである。
【0053】
遮断板5は、円盤部5aと、円筒部5bとを有する。円盤部5aは円盤状であり、基板Wとほぼ同じ径、又はそれ以上の径を有する。円筒部5bは、円盤部5aの中央(遮断板5を平面視したときの中央)に設けられ、円盤部5aから上方へ突出する。円筒部5bは円筒状であり、上下方向に延びる貫通穴を有する。円盤部5aは、その中央に、上下方向に延びる貫通穴を有する。円盤部5aの貫通穴は、円筒部5bの貫通穴に連通する。
【0054】
遮断板5は、スピンチャック3の上方でほぼ水平に配置されている。遮断板5は、下位置から上位置までの任意の位置(高さ)に移動することができる。遮断板5が近接位置にあるとき、遮断板5と基板Wの上面との間の空間は、遮断板5によって周囲(遮断板5と基板Wとの間の空間の外部)の雰囲気から離隔される。近接位置は、基板Wの表面に十分に接近した位置である。
【0055】
回転ユニット51は、遮断板5を回転軸線AXまわりに回転させる。回転ユニット51は、例えば、電動モータを含む。電動モータは、回転軸線AXまわりの回転方向の駆動力を遮断板5に付与する。昇降ユニット52は、遮断板5を昇降させる。具体的には、昇降ユニット52は、遮断板5を下位置から上位置までの任意の位置(高さ)に移動させる。昇降ユニット52は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を付与する電動モータとを含む。
【0056】
気体供給ノズル6は、遮断板5を上下方向に貫通する。詳しくは、円筒部5bの貫通穴及び円盤部5aの貫通穴に挿通される。気体供給ノズル6の吐出口は、遮断板5の下面から露出する。気体供給ノズル6は、基板Wに向けて気体を吐出する。詳しくは、遮断板5が近接位置にあるとき、気体供給ノズル6から基板Wに向けて気体が吐出される。気体供給ノズル6は、流体供給ノズルの一例である。
【0057】
同様に、処理液供給ノズル7は、遮断板5を上下方向に貫通する。詳しくは、円筒部5bの貫通穴及び円盤部5aの貫通穴に挿通される。処理液供給ノズル7の吐出口は、遮断板5の下面から露出する。処理液供給ノズル7は、基板Wに向けて処理液を吐出する。詳しくは、遮断板5が近接位置にあるとき、処理液供給ノズル7から基板Wに向けて処理液が吐出される。処理液供給ノズル7は、流体供給ノズルの一例である。
【0058】
気体供給配管61は、気体供給ノズル6に連通する。気体供給配管61は、気体供給ノズル6まで気体を流通させることにより、気体供給ノズル6に気体を供給する。気体供給配管61には、マスフローコントローラ62及び開閉バルブ63が設けられる。
【0059】
マスフローコントローラ62は、気体供給ノズル6に供給する気体の流量を制御する。具体的には、マスフローコントローラ62は、気体供給配管61を流通する気体の流量を制御する。マスフローコントローラ62が気体供給配管61を流通する気体の流量を制御することにより、気体供給ノズル6から吐出される気体の流量が制御される。以下、気体供給配管61を流通する気体の流量を、「気体流量」と記載する場合がある。同様に、気体供給ノズル6から吐出される気体の流量を、「気体吐出流量」と記載する場合がある。
【0060】
マスフローコントローラ62は、流量制御バルブ621と、流量センサー622とを有する。流量制御バルブ621は、気体流量を制御する。つまり、流量制御バルブ621は、気体供給ノズル6に供給する気体の流量を制御する。流量制御バルブ621が気体流量を制御することにより、気体吐出流量が制御される。流量センサー622は、気体吐出流量を計測する。具体的には、流量センサー622は、気体流量を計測することにより、気体吐出流量を計測する。流量制御バルブ621は、流量制御部の一例である。流量センサー622は、流量計測部の一例である。
【0061】
制御部102は、気体吐出流量の目標値(気体流量の目標値)をマスフローコントローラ62に設定する。マスフローコントローラ62は、気体吐出流量の目標値に基づいて流量制御バルブ621を駆動することにより、気体吐出流量を制御する。詳しくは、マスフローコントローラ62は、流量センサー622の計測結果(気体流量の計測値)が気体吐出流量の目標値と一致するように、流量制御バルブ621を駆動する。
【0062】
開閉バルブ63は、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。開閉バルブ63が開状態である場合、気体が気体供給配管61を介して気体供給ノズル6まで流通する。開閉バルブ63が閉状態である場合、気体供給配管61を介した気体の流通が停止する。
【0063】
処理液供給配管71は、処理液供給ノズル7に連通する。処理液供給配管71は、処理液供給ノズル7まで処理液を流通させることにより、処理液供給ノズル7に処理液を供給する。処理液供給配管71には、流量制御バルブ72、流量センサー73、及び開閉バルブ74が設けられる。
【0064】
流量制御バルブ72は、処理液供給ノズル7に供給する処理液の流量を制御する。具体的には、流量制御バルブ72は、処理液供給配管71を流通する処理液の流量を制御する。流量制御バルブ72が処理液供給配管71を流通する処理液の流量を制御することにより、処理液供給ノズル7から吐出される処理液の流量が制御される。流量制御バルブ72は、流量制御部の一例である。以下、処理液供給配管71を流通する処理液の流量を、「処理液流量」と記載する場合がある。同様に、処理液供給ノズル7から吐出される処理液の流量を、「処理液吐出流量」と記載する場合がある。
【0065】
流量センサー73は、処理液吐出流量を計測する。具体的には、流量センサー73は、処理液流量を計測することにより、処理液吐出流量を計測する。流量センサー73は、流量計測部の一例である。制御部102は、処理液吐出流量の目標値(処理液流量の目標値)に基づいて流量制御バルブ72を駆動することにより、処理液吐出流量を制御する。詳しくは、制御部102は、流量センサー73の計測結果(処理液流量を計測値)が処理液吐出流量の目標値と一致するように、流量制御バルブ72を駆動する。
【0066】
開閉バルブ74は、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。開閉バルブ74が開状態である場合、処理液が処理液供給配管71を介して処理液供給ノズル7まで流通する。開閉バルブ74が閉状態である場合、処理液供給配管71を介した処理液の流通が停止する。
【0067】
ガード部8は略筒形状を有する。ガード部8は、スピンチャック3の周りに配置されて、基板Wから排出された使用後の処理液を受け止める。
【0068】
続いて図1図3を参照して本実施形態の基板処理システム100を更に説明する。図3は、本実施形態の基板処理システム100の構成の一部を示すブロック図である。図3に示すように、基板処理システム100は、警報発生部9と、入力部104とを更に備える。
【0069】
警報発生部9は、制御装置101(制御部102)によって制御されて、警報を発生する。警報発生部9は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、及びランプのうちの少なくとも一つを含む。制御部102は、警報制御部の一例である。
【0070】
制御部102は、流量センサー622の計測結果(気体流量の計測値)に基づいて、警報発生部9に警報を発生させる。詳しくは、制御部102は、気体流量の計測値が第1上限許容範囲又は第1下限許容範囲を超える場合、警報発生部9に警報を発生させる。第1上限許容範囲及び第1下限許容範囲を示す情報は、記憶部103に記憶されている。
【0071】
同様に、制御部102は、流量センサー73の計測結果(処理液流量の計測値)に基づいて、警報発生部9に警報を発生させる。詳しくは、制御部102は、処理液流量の計測値が第2上限許容範囲又は第2下限許容範囲を超える場合、警報発生部9に警報を発生させる。第2上限許容範囲及び第2下限許容範囲を示す情報は、記憶部103に記憶されている。
【0072】
入力部104は、作業者からの入力を受け付けて、入力結果を示す情報を制御部102に出力する。例えば、入力部104は、基板処理システム100による基板処理の開始を指示する情報の入力を受け付ける。入力部104は、例えば、タッチパネル及びポインティングデバイスを含む。
【0073】
以下、気体と処理液とを区別して説明する必要のないときは、気体及び処理液を「流体」と記載することがある。同様に、気体流量と処理液流量とを区別して説明する必要のないときは、気体流量及び処理液流量を「流体流量」と記載することがある。気体吐出流量と処理液吐出流量とを区別して説明する必要のないときは、気体吐出流量及び処理液吐出流量を「流体吐出流量」と記載することがある。また、第1上限許容範囲と第2上限許容範囲とを区別して説明する必要のないときは、第1上限許容範囲及び第2上限許容範囲を「上限許容範囲」と記載することがある。同様に、第1下限許容範囲と第2下限許容範囲とを区別して説明する必要のないときは、第1下限許容範囲及び第2下限許容範囲を「下限許容範囲」と記載することがある。
【0074】
続いて図4を参照して上限許容範囲UA及び下限許容範囲LAを説明する。図4は、上限許容範囲UA及び下限許容範囲LAを示す図である。図4において、横軸は、基板処理システム100に設定される設定値を示す。換言すると、横軸は、記憶部103に記憶される設定値を示す。縦軸は、流体流量の計測値を示す。
【0075】
図4に示すように、上限許容範囲UAは、第1上限値UL1と第2上限値UL2とのうちの大きい方の値を上限値とする範囲を示す。第1上限値UL1は、流体吐出流量の目標値FTに第1所定割合を乗じた値を目標値FTに加算した値を示す。第2上限値UL2は、流体吐出流量の目標値FTに第1オフセット値を加算した値を示す。第1所定割合は、例えば、50%を示す。第1オフセット値は、任意の値を示す一定値である。
【0076】
詳しくは、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UTよりも大きい値を示す領域では、上限許容範囲UAは第1上限値UL1を上限値とする。一方、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UTよりも小さい値を示す領域では、上限許容範囲UAは第2上限値UL2を上限値とする。流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UTと同じ値を示す場合、第1上限値UL1と第2上限値UL2とは同じ値となるため、上限許容範囲UAは、第1上限値UL1と第2上限値UL2とのうちの一方を上限値とする。記憶部103は、設定値として、流体吐出流量の目標値FTと、第1上限値UL1と、第2上限値UL2と、第1閾値UTとを記憶する。
【0077】
下限許容範囲LAは、第1下限値LL1と第2下限値LL2とのうちの小さい方の値を下限値とする範囲を示す。第1下限値LL1は、流体吐出流量の目標値FTに第2所定割合を乗じた値を目標値FTから減算した値を示す。第2下限値LL2は、流体吐出流量の目標値FTから第2オフセット値を減算した値を示す。第2所定割合は、第1所定割合と同じ値を示す。例えば、第2所定割合は、50%を示す。第2オフセット値は、任意の値を示す一定値である。第2オフセット値は、第1オフセット値と同じ値を示してもよいし、異なる値を示してもよい。
【0078】
詳しくは、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LTよりも大きい値を示す領域では、下限許容範囲LAは第1下限値LL1を下限値とする。一方、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LTよりも小さい値を示す領域では、下限許容範囲LAは第2下限値LL2を下限値とする。流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LTと同じ値を示す場合、第1下限値LL1と第2下限値LL2とは同じ値となるため、下限許容範囲LAは、第1下限値LL1と第2下限値LL2とのうちの一方を下限値とする。記憶部103は、設定値として、第1下限値LL1と、第2下限値LL2と、第2閾値LTとを更に記憶する。
【0079】
図3を参照して説明したように、制御部102は、流体流量の計測値が上限許容範囲UA又は下限許容範囲LAを超える場合、警報発生部9に警報を発生させる。換言すると、制御部102は、流体流量の計測値が第1警報領域UK内又は第2警報領域LK内の値である場合、警報発生部9に警報を発生させる。第1警報領域UKは、上限許容範囲UAの外側の領域を示す。第2警報領域LKは下限許容範囲LAの外側の領域を示す。
【0080】
続いて図1図6を参照して基板処理システム100が実行する基板処理方法を説明する。図5は、本実施形態の基板処理方法を示すフローチャートである。詳しくは、図5は、制御部102が実行する処理を示す。本実施形態の基板処理方法は、ステップS21~ステップS28の各処理を含む。
【0081】
図5に示す処理は、作業者が入力部104を操作することにより開始する。まず、制御部102は、基板Wが処理ユニット1のチャンバー2内に搬入されるように、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRとを制御する(ステップS21)。制御部102は、チャンバー2内に搬入された基板Wをスピンチャック3に保持させる。
【0082】
制御部102は、基板Wがスピンチャック3に保持されると、スピンモータ部4にスピンチャック3を回転させる。これにより、基板Wの回転が開始される(ステップS22)。
【0083】
制御部102は、基板Wの回転開始後、昇降ユニット52を制御して、遮断板5を近接位置まで下降させる(ステップS23)。そして、開閉バルブ63を開くことにより、気体供給ノズル6から気体を吐出させる(ステップS24)。このとき、マスフローコントローラ62は、流量センサー622の計測結果に基づいて、気体吐出流量が目標値と一致するように流量制御バルブ621を駆動する。
【0084】
気体供給ノズル6から吐出された気体は、基板Wの上面と遮断板5の下面との間の空間に供給される。この結果、基板Wの上面の周囲の雰囲気が、気体供給ノズル6から供給される気体に置換される。なお、気体供給ノズル6による気体の吐出は、遮断板5を近接位置から上昇させる前まで継続される。
【0085】
基板Wの上面の周囲の雰囲気が、気体供給ノズル6から供給される気体に置換された後、制御部102は、開閉バルブ74を開くことにより、処理液供給ノズル7から処理液を吐出させる(ステップS25)。このとき、制御部102は、流量センサー73の計測結果に基づいて、処理液吐出流量が目標値と一致するように流量制御バルブ72を駆動する。
【0086】
基板Wに処理液が供給されることにより、基板Wが処理液によって処理される。制御部102は、処理液を所定期間供給した後、開閉バルブ74を閉じて、処理液の供給を停止させる。また、制御部102は、処理液を所定期間供給した後、開閉バルブ63を閉じて、気体の供給を停止させる。
【0087】
制御部102は、処理液及び気体の供給を停止させた後、遮断板5を上昇させる(ステップS26)。制御部102は、遮断板5を上昇させた後、スピンモータ部4を制御して基板Wを乾燥させる(ステップS27)。
【0088】
具体的には、制御部102は、基板Wの回転速度を増大させる。この結果、基板W上の処理液に大きな遠心力が付与され、基板Wに付着している処理液が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから処理液を除去し、基板Wを乾燥させる。制御部102は、例えば基板Wの高速回転を開始してから所定時間が経過した後に、スピンモータ部4による基板Wの回転を停止させる。
【0089】
制御部102は、基板Wを乾燥させた後、スピンチャック3による基板Wの保持を解除して、インデクサーロボットIRに、基板Wをチャンバー2から搬出させる(ステップS28)。その後、制御部102は、複数のロードポートLPのうちの1つまで基板Wが搬送されるように、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRとを制御する。その結果、図5に示す処理が終了する。
【0090】
図6は、本実施形態の基板処理方法を示すフローチャートである。詳しくは、図6は、制御部102が実行する警報処理を示すフローチャートである。警報処理は、気体供給ノズル6から気体を吐出させている間に実行する第1警報処理と、処理液供給ノズル7から処理液を吐出させている間に実行する第2警報処理とを含む。つまり、警報処理は、流体の供給中に実行される。
【0091】
図6に示すように、本実施形態の基板処理方法は、ステップS200、ステップS300、及びステップS400の各処理を更に含む。詳しくは、制御部102は、流体の供給中に、流体吐出流量の計測値が、上限許容範囲UA又は下限許容範囲LAを超えるか否かを判定する(ステップS200)。制御部102は、流体吐出流量の計測値が上限許容範囲UA又は下限許容範囲LAを超えると判定した場合(ステップS200のYes)、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図6に示す警報処理を終了する。なお、制御部102は、警報発生部9に警報を発生させることに応じて、図5を参照して説明した基板処理を停止する。
【0092】
制御部102は、流体吐出流量の計測値が上限許容範囲UA又は下限許容範囲LAを超えないと判定した場合(ステップS200のNo)、流体の供給が終了したか否かを判定する(ステップS400)。制御部102により、流体の供給が終了していないと判定された場合(ステップS400のNo)、処理は、ステップS200に戻る。制御部102により、流体の供給が終了したと判定された場合(ステップS400のYes)、図6に示す警報処理は終了する。
【0093】
続いて図1図8を参照して、警報処理の第1例を説明する。図7は、警報処理の第1例の一部を示すフローチャートである。図8は、警報処理の第1例の他の一部を示すフローチャートである。詳しくは、図7及び図8は、流体吐出流量の計測値が上限許容範囲UA又は下限許容範囲LAを超えるか否かを判定する処理(図6のステップS200)の第1例を示す。なお、以下の説明において、流体吐出流量の計測値が上限許容範囲UA又は下限許容範囲LAを超えるか否かを判定する処理を、「判定処理」と記載する場合がある。図7及び図8に示すように、警報処理の第1例は、ステップS201~ステップS210を含む。
【0094】
図7に示すように、まず、制御部102は、流体流量の計測値が目標値FT(流体吐出流量の目標値)より大きいか否かを判定する(ステップS201)。制御部102は、流体流量の計測値が目標値FTより大きいと判定した場合(ステップS201のYes)、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UT(図4参照)以上であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0095】
制御部102は、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UT以上でないと判定した場合(ステップS202のNo)、すなわち、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UTより小さい判定した場合、流体流量の計測値が第1上限値UL1(図4参照)より大きいか否かを判定する(ステップS203)。
【0096】
制御部102は、流体流量の計測値が第1上限値UL1より大きいと判定した場合(ステップS203のYes)、流体流量の計測値が第2上限値UL2(図4参照)より大きいか否かを判定する(ステップS204)。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第1上限値UL1より大きくないと判定された場合(ステップS203のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0097】
なお、ステップS400において、制御部102により、流体の供給が終了していないと判定された場合(ステップS400のNo)、処理は、ステップS201に戻る。制御部102により、流体の供給が終了したと判定された場合(ステップS400のYes)、図7及び図8に示す警報処理は終了する。
【0098】
制御部102は、流体流量の計測値が第2上限値UL2より大きいと判定した場合(ステップS204のYes)、流体流量の計測値が上限許容範囲UAを超えると判定し、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図7及び図8に示す警報処理を終了する。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第2上限値UL2より大きくないと判定された場合(ステップS204のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0099】
制御部102は、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UT以上であると判定した場合(ステップS202のYes)、流体流量の計測値が第1上限値UL1より大きいか否かを判定する(ステップS205)。
【0100】
制御部102は、流体流量の計測値が第1上限値UL1より大きいと判定した場合(ステップS205のYes)、流体流量の計測値が上限許容範囲UAを超えると判定し、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図7及び図8に示す警報処理を終了する。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第1上限値UL1より大きくないと判定された場合(ステップS205のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0101】
制御部102は、流体流量の計測値が目標値FTより大きくないと判定した場合(ステップS201のNo)、図8に示すように、流体流量の計測値が目標値FTより小さいか否かを判定する(ステップS206)。制御部102により、流体流量の計測値が目標値FTより小さくないと判定された場合(ステップS206のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0102】
制御部102は、流体流量の計測値が目標値FTより小さいと判定した場合(ステップS206のYes)、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LT(図4参照)以上であるか否かを判定する(ステップS207)。
【0103】
制御部102は、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LT以上でないと判定した場合(ステップS207のNo)、すなわち、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LTより小さい判定した場合、流体流量の計測値が第1下限値LL1(図4参照)より小さいか否かを判定する(ステップS208)。
【0104】
制御部102は、流体流量の計測値が第1下限値LL1より小さいと判定した場合(ステップS208のYes)、流体流量の計測値が第2下限値LL2(図4参照)より小さいか否かを判定する(ステップS209)。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第1下限値LL1より小さくないと判定された場合(ステップS208のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0105】
制御部102は、流体流量の計測値が第2下限値LL2より小さいと判定した場合(ステップS209のYes)、流体流量の計測値が下限許容範囲LAを超えると判定し、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図7及び図8に示す警報処理を終了する。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第2下限値LL2より小さくないと判定された場合(ステップS209のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0106】
制御部102は、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LT以上であると判定した場合(ステップS207のYes)、流体流量の計測値が第1下限値LL1より小さいか否かを判定する(ステップS210)。
【0107】
制御部102は、流体流量の計測値が第1下限値LL1より小さいと判定した場合(ステップS210のYes)、流体流量の計測値が下限許容範囲LAを超えると判定し、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図7及び図8に示す警報処理を終了する。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第1下限値LL1より小さくないと判定された場合(ステップS210のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0108】
なお、判定処理の第1例において、制御部102は、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UT以上であると判定した場合(ステップS202のYes)、流体流量の計測値と第1上限値UL1との比較のみを行ったが、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UT以上でない場合と同様に、制御部102は、流体流量の計測値と第1上限値UL1との比較に加えて、流体流量の計測値と第2上限値UL2との比較を行ってもよい。
【0109】
同様に、判定処理の第1例において、制御部102は、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LT以上であると判定した場合(ステップS207のYes)、流体流量の計測値と第1下限値LL1との比較のみを行ったが、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LT以上でない場合と同様に、制御部102は、流体流量の計測値と第1下限値LL1との比較に加えて、流体流量の計測値と第2下限値LL2との比較を行ってもよい。
【0110】
続いて図1図6、及び図9図10を参照して、警報処理の第2例を説明する。図9は、警報処理の第2例の一部を示すフローチャートである。図10は、警報処理の第2例の他の一部を示すフローチャートである。詳しくは、図9及び図10は、判定処理(図6のステップS200)の第2例を示す。図9及び図10に示すように、警報処理の第2例は、ステップS221~ステップS228を含む。
【0111】
図9に示すように、まず、制御部102は、流体流量の計測値が目標値FT(流体吐出流量の目標値)より大きいか否かを判定する(ステップS221)。制御部102は、流体流量の計測値が目標値FTより大きいと判定した場合(ステップS221のYes)、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UT(図4参照)以上であるか否かを判定する(ステップS222)。
【0112】
制御部102は、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UT以上でないと判定した場合(ステップS222のNo)、すなわち、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UTより小さい判定した場合、流体流量の計測値が第2上限値UL2(図4参照)より大きいか否かを判定する(ステップS223)。
【0113】
制御部102は、流体流量の計測値が第2上限値UL2より大きいと判定した場合(ステップS223のYes)、流体流量の計測値が上限許容範囲UAを超えると判定し、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図9及び図10に示す警報処理を終了する。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第2上限値UL2より大きくないと判定された場合(ステップS223のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0114】
なお、ステップS400において、制御部102により、流体の供給が終了していないと判定された場合(ステップS400のNo)、処理は、ステップS221に戻る。制御部102により、流体の供給が終了したと判定された場合(ステップS400のYes)、図9及び図10に示す警報処理は終了する。
【0115】
制御部102は、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UT以上であると判定した場合(ステップS222のYes)、流体流量の計測値が第1上限値UL1(図4参照)より大きいか否かを判定する(ステップS224)。
【0116】
制御部102は、流体流量の計測値が第1上限値UL1より大きいと判定した場合(ステップS224のYes)、流体流量の計測値が上限許容範囲UAを超えると判定し、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図9及び図10に示す警報処理を終了する。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第1上限値UL1より大きくないと判定された場合(ステップS224のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0117】
制御部102は、流体流量の計測値が目標値FTより大きくないと判定した場合(ステップS221のNo)、図10に示すように、流体流量の計測値が目標値FTより小さいか否かを判定する(ステップS225)。制御部102により、流体流量の計測値が目標値FTより小さくないと判定された場合(ステップS225のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0118】
制御部102は、流体流量の計測値が目標値FTより小さいと判定した場合(ステップS225のYes)、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LT(図4参照)以上であるか否かを判定する(ステップS226)。
【0119】
制御部102は、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LT以上でないと判定した場合(ステップS226のNo)、すなわち、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LTより小さい判定した場合、流体流量の計測値が第2下限値LL2(図4参照)より小さいか否かを判定する(ステップS227)。
【0120】
制御部102は、流体流量の計測値が第2下限値LL2より小さいと判定した場合(ステップS227のYes)、流体流量の計測値が下限許容範囲LAを超えると判定し、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図9及び図10に示す警報処理を終了する。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第2下限値LL2より小さくないと判定された場合(ステップS227のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0121】
制御部102は、流体吐出流量の目標値FTが第2閾値LT以上であると判定した場合(ステップS226のYes)、流体流量の計測値が第1下限値LL1(図4参照)より小さいか否かを判定する(ステップS228)。
【0122】
制御部102は、流体流量の計測値が第1下限値LL1より小さいと判定した場合(ステップS228のYes)、流体流量の計測値が下限許容範囲LAを超えると判定し、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図9及び図10に示す警報処理を終了する。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第1下限値LL1より小さくないと判定された場合(ステップS228のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0123】
続いて図1図6、及び図11図12を参照して、警報処理の第3例を説明する。図11は、警報処理の第3例の一部を示すフローチャートである。図12は、警報処理の第3例の他の一部を示すフローチャートである。詳しくは、図11及び図12は、判定処理(図6のステップS200)の第3例を示す。図11及び図12に示すように、警報処理の第3例は、ステップS231~ステップS236を含む。なお、判定処理の第3例では、判定処理の第1例及び第2例と異なり、第1閾値UT及び第2閾値LTを用いない。したがって、記憶部103は、第1閾値UT及び第2閾値LTを記憶しなくてもよい。
【0124】
図11に示すように、まず、制御部102は、流体流量の計測値が目標値FT(流体吐出流量の目標値)より大きいか否かを判定する(ステップS231)。制御部102は、流体流量の計測値が目標値FTより大きいと判定した場合(ステップS231のYes)、流体流量の計測値が第1上限値UL1(図4参照)より大きいか否かを判定する(ステップS232)。
【0125】
制御部102は、流体流量の計測値が第1上限値UL1より大きいと判定した場合(ステップS232のYes)、流体流量の計測値が第2上限値UL2(図4参照)より大きいか否かを判定する(ステップS233)。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第1上限値UL1より大きくないと判定された場合(ステップS232のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0126】
なお、ステップS400において、制御部102により、流体の供給が終了していないと判定された場合(ステップS400のNo)、処理は、ステップS231に戻る。制御部102により、流体の供給が終了したと判定された場合(ステップS400のYes)、図11及び図12に示す警報処理は終了する。
【0127】
制御部102は、流体流量の計測値が第2上限値UL2より大きいと判定した場合(ステップS233のYes)、流体流量の計測値が上限許容範囲UAを超えると判定し、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図11及び図12に示す警報処理を終了する。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第2上限値UL2より大きくないと判定された場合(ステップS233のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0128】
制御部102は、流体流量の計測値が目標値FTより大きくないと判定した場合(ステップS231のNo)、図12に示すように、流体流量の計測値が目標値FTより小さいか否かを判定する(ステップS234)。制御部102により、流体流量の計測値が目標値FTより小さくないと判定された場合(ステップS234のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0129】
制御部102は、流体流量の計測値が目標値FTより小さいと判定した場合(ステップS234のYes)、流体流量の計測値が第1下限値LL1(図4参照)より小さいか否かを判定する(ステップS235)。
【0130】
制御部102は、流体流量の計測値が第1下限値LL1より小さいと判定した場合(ステップS235のYes)、流体流量の計測値が第2下限値LL2(図4参照)より小さいか否かを判定する(ステップS236)。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第1下限値LL1より小さくないと判定された場合(ステップS235のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0131】
制御部102は、流体流量の計測値が第2下限値LL2より小さいと判定した場合(ステップS236のYes)、流体流量の計測値が下限許容範囲LAを超えると判定し、警報発生部9に警報を発生させて(ステップS300)、図11及び図12に示す警報処理を終了する。一方、制御部102により、流体流量の計測値が第2下限値LL2より小さくないと判定された場合(ステップS236のNo)、処理は、図6を参照して説明したステップS400に進む。
【0132】
続いて図1図3、及び図13(a)~図16を参照して、本実施形態の基板処理システム100を更に説明する。詳しくは、続いて図1図3、及び図13(a)~図16を参照して、気体吐出流量の目標値を設定する処理と、処理液吐出流量の目標値を設定する処理とを説明する。なお、以下の説明において、気体吐出流量の目標値を「第1目標値」と記載する場合がある。同様に、処理液吐出流量の目標値を「第2目標値」と記載する場合がある。
【0133】
図13(a)は、記憶部103が記憶しているレシピデータRDの一部を示す図である。図13(b)は、記憶部103が記憶している補正テーブルTAを示す図である。
【0134】
図13(a)に示すように、レシピデータRDは、第1フィールドF1~第3フィールドF3を有する。第1フィールドF1には、気体吐出流量の目標値が設定される。本実施形態において、第1フィールドF1には、補正テーブルTAが設定される。第2フィールドF2には、処理液吐出流量の初期の目標値EMが設定される。第3フィールドF3には、処理液吐出流量の初期の目標値EMに対する補正値EHが設定される。
【0135】
図13(b)に示すように、補正テーブルTAは、第1フィールドF11~第3フィールドF13を有する。第1フィールドF11には、複数の処理ユニット1(本実施形態では第1処理ユニット#1~第8処理ユニット#8)の各々に割り当てられた識別符号(#1~#8)が設定される。第2フィールドF12には、処理ユニット1ごとに、気体吐出流量の初期の目標値GMが設定される。第3フィールドF13には、処理ユニット1ごとに、気体吐出流量の初期の目標値GMに対する補正値GH(GH1~GH8)が設定される。以下、気体吐出流量の初期の目標値GMに対する補正値を、「第1補正値」と記載する場合がある。
【0136】
なお、複数の処理ユニット1間において、気体吐出流量の初期の目標値GMは同じ値を示す。第1補正値GH(GH1~GH8)には、処理ユニット1ごとに算出された値が設定される。具体的には、複数の第1補正値GH(GH1~GH8)は、複数の処理ユニット1のうちの特定の一つに装備されている気体供給ノズル6から吐出される気体の流量に基づいて設定される。換言すると、複数の第1補正値GH(GH1~GH8)は、複数のチャンバー2のうちの特定の一つに収容されている気体供給ノズル6から吐出される気体の流量に基づいて設定される。
【0137】
まず、気体吐出流量の目標値を設定する処理を説明する。本実施形態において、制御部102は、処理ユニット1ごとに気体吐出流量の目標値を設定する。換言すると、制御部102は、複数の処理ユニット1に装備されている気体供給ノズル6ごとに気体吐出流量の目標値(第1目標値)を設定する。すなわち、制御部102は複数の第1目標値を設定する。制御部102は、目標値設定部の一例である。
【0138】
詳しくは、制御部102は、気体吐出流量の目標値を設定する際に、レシピデータRDの第1フィールドF1を参照し、補正テーブルTAを読み出す。そして、補正テーブルTAを参照し、気体吐出流量の初期の目標値GMを、複数の第1補正値GH(GH1~GH8)に基づいて処理ユニット1(気体供給ノズル6)ごとに補正して、複数の第1目標値を設定する。例えば、制御部102は、目標値GMに対して第1補正値GH1を加算又は減算して、第1処理ユニット#1に対する第1目標値を設定する。
【0139】
続いて、処理液吐出流量の目標値を設定する処理を説明する。なお、以下の説明において、処理液吐出流量の初期の目標値EMに対する補正値を、「第2補正値」と記載する場合がある。
【0140】
本実施形態において、制御部102は、処理液吐出流量の目標値を設定する際に、レシピデータRDの第2フィールドF2及び第3フィールドF3を参照し、処理液吐出流量の初期の目標値EMを第2補正値EHに基づいて補正して、第2目標値を設定する。第2補正値EHは、複数の基板処理システム100のうちの特定の一つに搭載されている処理液供給ノズル7から吐出される処理液の流量に基づいて設定される。
【0141】
続いて図14(a)及び図14(b)を参照して第1補正値GHを取得する方法を説明する。図14(a)は、第1補正値GHを取得するためのシステムを示す図である。図14(a)に示すように、本実施形態では、第1補正値GHを取得するために情報処理装置200を用いる。情報処理装置200は、演算処理が可能な機器である限り、特に限定されない。例えば、情報処理装置200は、パーソナルコンピュータやスマートフォンのようなコンピュータデバイスであってもよい。
【0142】
情報処理装置200は、基板処理システム100から、処理ユニット1(気体供給ノズル6)ごとに、気体流量の計測結果を取得する。例えば、基板処理システム100と情報処理装置200とを通信可能に接続して、基板処理システム100から情報処理装置200へ、気体流量の計測結果を示すデータを送信してもよい。通信媒体は、通信ケーブルであってもよいし、無線であってもよい。あるいは、データを保持する媒体を用いてもよい。例えば、データを保持する媒体として、コンパクトディスク又はDVDのような光ディスク、あるいはUSBメモリのような記憶装置を用いてもよい。
【0143】
図14(b)は、情報処理装置200が実行する処理を示すフローチャートである。図14(b)に示す処理は、作業者が情報処理装置200を操作することによって開始する。
【0144】
図14(b)に示すように、情報処理装置200は、まず、気体流量の計測結果に基づいて、処理ユニット1ごとに気体流量の平均値を算出する(ステップS401)。
【0145】
情報処理装置200は、処理ユニット1ごとに気体流量の平均値を算出した後、複数の処理ユニット1のうちから、気体流量の平均値が初期の目標値GMと同じ値を示す処理ユニット1、又は気体流量の平均値が初期の目標値GMに最も近い値を示す処理ユニット1を、基準処理ユニット1Rとして決定する(ステップS402)。
【0146】
情報処理装置200は、基準処理ユニット1Rを決定した後、第1補正値GHとして、基準処理ユニット1Rの気体流量の平均値と、他の処理ユニット1の気体流量の平均値との差分値を求めて(ステップS403)、図14(b)に示す処理を終了する。なお、基準処理ユニット1Rの第1補正値GHの値は「0」となる。例えば、図13(b)に示す例では、第4処理ユニット#4が基準処理ユニット1Rである。
【0147】
続いて図15及び図16を参照して第2補正値EHを取得する方法を説明する。図15は、第2補正値EHを取得するためのシステムを示す図である。図15に示すように、本実施形態では、第2補正値EHを取得するために情報処理装置200を用いる。
【0148】
情報処理装置200は、複数の基板処理システム100から、処理液流量の計測結果を取得する。なお、情報処理装置200が一つの基板処理システム100から取得する処理液流量の計測結果は、複数の処理ユニット1のうちの特定の一つに装備されている処理液供給ノズル7から吐出された処理液の流量の計測値であってもよいし、複数の処理ユニット1に装備されている各処理液供給ノズル7から吐出された処理液の流量の計測値であってもよい。
【0149】
図16は、情報処理装置200が実行する処理を示すフローチャートである。図16に示す処理は、作業者が情報処理装置200を操作することによって開始する。
【0150】
図16に示すように、情報処理装置200は、まず、処理液流量の計測結果に基づいて、基板処理システム100ごとに処理液流量の平均値を算出する(ステップS411)。
【0151】
情報処理装置200は、基板処理システム100ごとに処理液流量の平均値を算出した後、複数の基板処理システム100のうちから、処理液流量の平均値が初期の目標値EMと同じ値を示す基板処理システム100、又は処理液流量の平均値が初期の目標値EMに最も近い値を示す基板処理システム100を、基準処理システム100Rとして決定する(ステップS412)。
【0152】
情報処理装置200は、基準処理システム100Rを決定した後、第2補正値EHとして、基準処理システム100Rの処理液流量の平均値と、他の基板処理システム100の処理液流量の平均値との差分値を求めて(ステップS413)、図16に示す処理を終了する。なお、基準処理システム100Rの第2補正値EHの値は「0」となる。
【0153】
続いて図1図3図13(a)、図13(b)、及び図17(a)~図18(b)を参照して、基板処理システム100が実行する基板処理方法を説明する。図17(a)は、本実施形態の基板処理方法を示すフローチャートである。詳しくは、図17(a)は、制御部102が実行する処理を示す。本実施形態の基板処理方法は、目標値を設定するステップ(ステップS1)と、基板Wを処理するステップ(ステップS2)とを含む。
【0154】
図17(a)に示すように、制御部102は、基板Wの処理を開始する前に、気体吐出流量の目標値(第1目標値)と、処理液吐出流量の目標値(第2目標値)とを設定する(ステップS1)。制御部102は、気体吐出流量の目標値(第1目標値)と、処理液吐出流量の目標値(第2目標値)とを設定した後、図5及び図6を参照して説明したように基板Wを処理する(ステップS2)。
【0155】
図17(b)は、目標値を設定する処理を示すフローチャートである。図17(b)に示すように、制御部102は、気体吐出流量の目標値(第1目標値)を設定した後(ステップS11)、処理液吐出流量の目標値(第2目標値)を設定する(ステップS12)。制御部102は、図13(a)及び図13(b)を参照して説明したように、気体吐出流量の目標値を設定する際に、複数の第1目標値を設定する。なお、制御部102は、処理液吐出流量の目標値を設定した後に、気体吐出流量の目標値を設定してもよい。
【0156】
図18(a)は、気体吐出流量の目標値(第1目標値)を設定する処理を示すフローチャートである。図18(a)に示すように、制御部102は、気体吐出流量の初期の目標値GMを、複数の第1補正値GH(GH1~GH8)に基づいて処理ユニット1(気体供給ノズル6)ごとに補正する(ステップS111)。そして、補正後の目標値(第1目標値)を処理ユニット1ごとに設定して(ステップS112)、図18(a)に示す処理を終了する。
【0157】
図18(b)は、処理液吐出流量の目標値(第2目標値)を設定する処理を示すフローチャートである。図18(b)に示すように、制御部102は、処理液吐出流量の初期の目標値EMを、第2補正値EHに基づいて補正する(ステップS121)。そして、補正後の目標値(第2目標値)を設定して(ステップS122)、図18(b)に示す処理を終了する。
【0158】
なお、本実施形態において、気体吐出流量及び処理液吐出流量の目標値を補正する処理を説明したが、目標値を補正する対象は、気体吐出流量及び処理液吐出流量に限定されない。目標値を補正する対象は、流体の流量であればよい。例えば、処理液吐出流量と同様に、循環流量の目標値を補正してもよい。
【0159】
図19は、本実施形態の基板処理システム100の構成を示す図である。詳しくは、図19は、流体ボックス100Aの内部を示す。図19に示すように、基板処理システム100は、循環配管111と、処理液貯留部112と、循環ポンプ113と、流量センサー114と、流量制御バルブ115とを更に備える。循環配管111、処理液貯留部112、循環ポンプ113、流量センサー114、及び流量制御バルブ115は、流体ボックス100Aに収容される。
【0160】
処理液貯留部112は、処理液を貯留する。循環配管111は、処理液貯留部112を介して処理液を循環させる。循環ポンプ113、流量センサー114、及び流量制御バルブ115は、循環配管111に設けられる。
【0161】
循環ポンプ113は、処理液を流体の圧力により駆動する。具体的には、循環ポンプ113は、循環配管111を流通するように処理液を流体の圧力により駆動する。流量センサー114は、循環配管111を流通する処理液の流量を計測する。流量制御バルブ115は、循環配管111を流通する処理液の流量を制御する。
【0162】
制御部102は、処理液吐出流量と同様に、循環流量の目標値を補正する。具体的には、レシピデータRDに、循環流量の初期の目標値と、循環流量の初期の目標値に対する補正値とが設定される。制御部102は、循環流量の初期の目標値に対する補正値に基づいて、循環流量の初期の目標値を補正する。そして、補正後の目標値を設定する。循環流量の初期の目標値に対する補正値は、処理液吐出流量の初期の目標値EMに対する補正値EH(第2補正値)と同様に算出されてもよい。
【0163】
以上、図1図19を参照して説明して本発明の実施形態を説明した。本実施形態によれば、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UTよりも大きい値を示す場合、上限許容範囲UAは第1上限値UL1を上限値とする。第1上限値UL1は、流体吐出流量の目標値FTに第1所定割合を乗じた値を目標値FTに加算した値を示す。したがって、目標値FTが大きいほど、上限許容範囲UAの上限値(第1上限値UL1)は大きくなる。よって、目標値FTが大きい値を示す場合、第2上限値UL2(流体吐出流量の目標値FTに第1オフセット値を加算した値)を上限値とする場合に比べて、上限許容範囲UAがより広くなるため、装置間誤差に起因する警報が発生し難くなる。
【0164】
また、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UTよりも小さい値を示す場合、上限許容範囲UAは第2上限値UL2を上限値とする。したがって、流体吐出流量の目標値FTが第1閾値UTよりも小さい値を示す場合、上限許容範囲UAの上限値は第1上限値UL1よりも大きくなる。よって、目標値FTがより小さい値を示す場合、第1上限値UL1を上限値とする場合に比べて、上限許容範囲UAがより広くなるため、装置間誤差に起因する警報が発生し難くなる。
【0165】
下限許容範囲LAも、上限許容範囲UAと同様に、第2閾値LTを境に第1下限値LL1と第2下限値LL2との間で下限値が変化するため、装置間誤差に起因する警報が発生し難くなる。
【0166】
また、本実施形態によれば、処理ユニット1ごとに気体吐出流量の目標値を補正することができる。したがって、処理ユニット1間の誤差に起因する警報が発生し難くなる。なお、処理ユニット1間の誤差には、例えば、マスフローコントローラ62間のバラつきが含まれる。
【0167】
また、本実施形態によれば、基板処理システム100ごとに処理液吐出流量の目標値や循環流量の目標値を補正することができる。したがって、基板処理システム100間の誤差に起因する警報が発生し難くなる。
【0168】
なお、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0169】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0170】
例えば、図1図19を参照して説明した実施形態では、基板Wを保持する構成として、基板Wを挟持する挟持式のチャックについて説明したが、基板Wを保持する構成として、バキューム式のチャックが採用されてもよい。
【0171】
また、図1図19を参照して説明した実施形態では、初期の目標値に対する補正値を算出するために情報処理装置200が用いられたが、情報処理装置200に替えて、基板処理システム100の制御部102を用いてもよい。
【0172】
また、図1図19を参照して説明した実施形態において、基板処理システム100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置であったが、基板処理システム100は複数の基板Wを同時に処理するバッチ式の装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明は、処理液を用いて基板を処理する分野に有用である。
【符号の説明】
【0174】
1 :処理ユニット
1R :基準処理ユニット
2 :チャンバー
6 :気体供給ノズル
7 :処理液供給ノズル
9 :警報発生部
61 :気体供給配管
62 :マスフローコントローラ
71 :処理液供給配管
72 :流量制御バルブ
73 :流量センサー
100 :基板処理システム
100R :基準処理システム
101 :制御装置
102 :制御部
103 :記憶部
621 :流量制御バルブ
622 :流量センサー
EH :補正値(第2補正値)
EM :目標値
FT :目標値
GH :補正値(第1補正値)
GM :目標値
LA :下限許容範囲
LL1 :第1下限値
LL2 :第2下限値
LT :第2閾値
RD :レシピデータ
TA :補正テーブル
UA :上限許容範囲
UL1 :第1上限値
UL2 :第2上限値
UT :第1閾値
W :基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19