(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134380
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】二相組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20220908BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20220908BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20220908BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20220908BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/31
A61K8/06
A61K8/02
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021033468
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】織田 政紀
(72)【発明者】
【氏名】三品 菜津乃
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 翔
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB332
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC692
4C083CC23
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】混合すると単相組成物に変換可能であり、単相組成物は、良好なメイクアップ除去能等の良好な美容効果、塗布中の滑らかな触感、及び組成物を含むパッケージの壁への残留防止をもたらすことができ、解乳化速度を制御しながら、初期状態、即ち、二相組成物に戻ることができる、二相組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)少なくとも1種のエステル油及び(b)少なくとも1種の炭化水素油を含む油性相と、(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(d)水を含む水性相とを含む二相組成物であって、(b)炭化水素油の量が、組成物の総質量に対して5質量%より多い、二相組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のエステル油、及び
(b)少なくとも1種の炭化水素油
を含む油性相と、
(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステル、及び
(d)水
を含む水性相と
を含む二相組成物であって、
前記(b)炭化水素油の量が、前記組成物の総質量に対して5質量%より多い、二相組成物。
【請求項2】
単相組成物に変換可能である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記単相組成物が二相組成物に変換可能である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(a)エステル油が、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又はポリ酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとのエステル、好ましくは飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸と飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコールとのエステル、より好ましくはミリスチン酸イソプロピル等のミリスチン酸アルキル及びパルミチン酸イソプロピル等のパルミチン酸アルキル、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物中の前記(a)エステル油の量が、前記組成物の総質量に対して、2質量%~25質量%、好ましくは5質量%~20質量%、より好ましくは8質量%~15質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(b)炭化水素油が、揮発性炭化水素油から、好ましくは揮発性分枝状C8~C16炭化水素油から選択される、より好ましくはイソヘキサデカン、イソデカン、イソドデカン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物中の前記(b)炭化水素油の量が、前記組成物の総質量に対して5質量%より多く50質量%まで、好ましくは5質量%より多く45質量%まで、より好ましくは5質量%より多く40質量%までである、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルが、ポリグリセリル脂肪酸ジエステルから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~6個のポリグリセリル単位、好ましくは4~6個のポリグリセリル単位、より好ましくは5個又は6個のポリグリセリル単位を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルが、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中の前記(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルの量が、前記組成物の前記水性相の総質量に対して、0.005質量%~1質量%、好ましくは0.01質量%~0.5質量%、より好ましくは0.05質量%~0.1質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物中の前記(d)水の量が、前記組成物の総質量に対して、35質量%~95質量%、好ましくは40質量%~90質量%、より好ましくは45質量%~85質量%である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記油性相の量:前記水性相の量の質量比が、60:40~10:90、好ましくは50:50~10:90、より好ましくは40:60~10:90である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
化粧用組成物、好ましくはクレンジング化粧用組成物、より好ましくは皮膚及び睫毛用のクレンジング化粧用組成物である、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質のための美容方法であって、
請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物を混合して単相組成物を形成する工程と、
前記単相組成物をケラチン物質へ塗布する工程と、
を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの目視的に区別できる相を有し、二相組成物に再び変換できる単相組成物に変換できる、二相組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの目視的に区別できる相、特に、静止状態で互いの中で乳化されない水性相と油性相とを有する組成物は、一般に「二相」(two-phase又はbi-phase)組成物と呼ばれる。静止状態で2つの相が分離していて、エマルション中に存在する連続相と各不連続相との間に複数の界面を形成する代わりに、2つの相の間に単一の界面を形成するという事実により、該組成物はエマルションと異なる。
【0003】
そのような二相組成物はすでに、例えばEP-A-370856及びEP-A-603080に、特に目の周りからのメイクアップ除去に関して記載されている。
【0004】
使用時、二相組成物は、皮膚等のケラチン物質に次いで塗布される「一時的」エマルション等の単相組成物を形成するために振盪等の混合を要する。この単相組成物は、良好なメイクアップ除去能等の標的とする美容効果を提供することを必要とする。単相組成物は、塗布中に滑らかな触感をもたらすことができることが好ましい。一方、使用後、即ち静止状態で、単相組成物は、「相分離」として知られる二相組成物への変換によって初期状態に復帰しなければならない。
【0005】
該二相組成物の使用者は、二相組成物を混合することによって形成される単相が長時間維持する場合、より保湿される感覚を持つ傾向がある。したがって、「相分離」の速度、即ち解乳化速度を制御することが重要である。
【0006】
別の重要な要素は、二相組成物を混合した後の二相組成物を含むパッケージの清浄度である。従来の二相組成物は、場合により、混合後の組成物を含むパッケージの壁に幾らかの残留物を残すことがある。残留物は、使用者に「汚れている」又は「清浄でない」印象を与え、これは好ましくない。
【0007】
したがって、混合されていないときに2つの目視的に区別できる相を有し、混合すると単相組成物に変換できる二相組成物であって、単相組成物が、良好なメイクアップ除去能等の良好な美容効果、塗布中の滑らかな触感、及び組成物を含むパッケージの壁への残留防止をもたらすことができ、解乳化速度を制御しながら、初期状態、即ち、二相組成物に戻ることができる、二相組成物が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP-A-370856
【特許文献2】EP-A-603080
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Walter Noll's Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、混合すると単相組成物に変換可能であり、単相組成物は、良好なメイクアップ除去能等の良好な美容効果、塗布中の滑らかな触感、及び組成物を含むパッケージの壁への残留防止をもたらすことができ、解乳化速度を制御しながら、初期状態、即ち、二相組成物に戻ることができる、二相組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、
(a)少なくとも1種のエステル油、及び
(b)少なくとも1種の炭化水素油
を含む油性相と、
(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステル、及び
(d)水
を含む水性相と
を含む二相組成物によって達成することができ、
(b)炭化水素油の量は、組成物の総質量に対して5質量%より多い。
【0012】
本発明による組成物は、単相組成物に変換可能である。単相組成物は、二相組成物に変換可能である。
【0013】
(a)エステル油は、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又はポリ酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとのエステル、好ましくは飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸と飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコールとのエステル、より好ましくはミリスチン酸イソプロピル等のミリスチン酸アルキル及びパルミチン酸イソプロピル等のパルミチン酸アルキル、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0014】
本発明による組成物中の(a)エステル油の量は、組成物の総質量に対して、2質量%~25質量%、好ましくは5質量%~20質量%、より好ましくは8質量%~15質量%であり得る。
【0015】
(b)炭化水素油は、揮発性炭化水素油から、好ましくは揮発性分枝状C8~C16炭化水素油から選択してもよく、より好ましくはイソヘキサデカン、イソデカン、イソドデカン、及びこれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0016】
本発明による組成物中の(b)炭化水素油の量は、組成物の総質量に対して、5質量%より多く50質量%まで、好ましくは5質量%より多く45質量%まで、より好ましくは5質量%より多く40質量%までであり得る。
【0017】
(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルは、ポリグリセリル脂肪酸ジエステルから選択することができる。
【0018】
(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~6個のポリグリセリル単位、好ましくは4~6個のポリグリセリル単位、より好ましくは5個又は6個のポリグリセリル単位を含んでもよい。
【0019】
(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルは、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0020】
本発明による組成物中の(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.005質量%~1質量%、好ましくは0.01質量%~0.5質量%、より好ましくは0.05質量%~0.1質量%であってよい。
【0021】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、35質量%~95質量%、好ましくは40質量%~90質量%、より好ましくは45質量%~85質量%であってもよい。
【0022】
油性相の量:水性相の量の質量比は、60:40~10:90、好ましくは50:50~10:90、より好ましくは40:60~10:90であってもよい。
【0023】
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくはクレンジング化粧用組成物、より好ましくは皮膚及び睫毛用のクレンジング化粧用組成物であってもよい。
【0024】
本発明はまた、ケラチン物質のための美容方法であって、
本発明による組成物を混合して単相組成物を形成する工程と、
単相組成物をケラチン物質へ塗布する工程と、
を含む、美容方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施例1による組成物を含むパッケージをよく振盪してから30分後のパッケージの壁の外観を示す図である。
【
図2】比較例3による組成物を含むパッケージをよく振盪してから30分後のパッケージの壁の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
鋭意検討の結果、本発明者らは、混合すると単相組成物に変換可能であり、単相組成物は、良好なメイクアップ除去能等の良好な美容効果、塗布中の滑らかな触感、及び組成物を含むパッケージの壁への残留防止をもたらすことができ、解乳化速度を制御しながら、初期状態、即ち、二相組成物に戻ることができる、二相組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0027】
したがって、本発明の態様の1つは、
(a)少なくとも1種のエステル油、及び
(b)少なくとも1種の炭化水素油
を含む油性相と、
(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステル、及び
(d)水
を含む水性相と
を含む二相組成物であって、
(b)炭化水素油の量が、組成物の総質量に対して5質量%より多い、二相組成物に関する。
【0028】
本発明による組成物は、混合されていないとき、2つの目視的に区別できる相を有する。しかしながら、本発明による組成物は、混合すると、単相組成物に変換できる。エマルション等の単相組成物は、良好なメイクアップ除去能等の良好な美容効果、塗布中の滑らかな触感、及び組成物を含むパッケージの壁への残留防止をもたらすことができる。単相組成物は、解乳化速度を制御しながら、経時的に二相組成物に戻ることができる。
【0029】
本発明による組成物は、混合されていないとき、油性相と水性相を別々に維持できるように安定性である。したがって、本発明による組成物の二相は、本発明による組成物の貯蔵中等に維持され得る。
【0030】
特に、本発明による組成物は、組成物の外観及び/又は匂いが、様々な温度及び貯蔵条件下で長時間変化しないままであり得るように安定性である。例えば、本発明による組成物は、振盪してもしなくても、低温で安定性である。これに応じて、本発明による組成物は、振動等を生じ得る自動車による運送中でも、特に低温で適切に貯蔵することができる。
【0031】
使用する際、本発明による組成物は混合される。本発明による組成物中の二相は、油性相及び水性相である。したがって、本発明による組成物を混合するとき、二相のうちの片方は、他方の相の中に分散されて、目視的に均一である又は単相を形成するO/W又はW/Oエマルション等のO/W又はW/O組成物を形成することができる。
【0032】
本発明による組成物の混合は、容易に実行することができる。例えば、本発明による組成物の混合は、手で振ることによって実施することができる。本発明による組成物を混合した後、組成物は、単相を形成し、再び混合せずに特定の期間維持することができる。
【0033】
本発明によれば、二相組成物によって形成された単相組成物は、良好なメイクアップ除去能等の良好な美容効果をもたらすことができる。したがって、本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくはクレンジング化粧用組成物、より好ましくは皮膚及び睫毛用のクレンジング化粧用組成物として使用することができる。
【0034】
更に、本発明による二相組成物によって形成された単相組成物は、滑らかな感触等の良好な質感をもたらすことができる。加えて、摩擦も低減することができる。摩擦は、皮膚の表皮の外層の比較的大きな損失を引き起こし得、皮膚の表面のきめを粗くし得る。したがって、本発明による組成物は、滑らかな皮膚の仕上がりをもたらすことができる。
【0035】
本発明による二相組成物によって形成された単相組成物は、刺激性を少なくし得る。したがって、本発明による組成物は、例えば、皮膚、特に目の周りの皮膚等の敏感な皮膚に穏やかなものであり得る。
【0036】
更に、本発明による組成物は、単相組成物に変換された後、組成物を含むパッケージの壁への残留又は汚れを抑制することができる。したがって、使用中に、本発明による組成物を含むパッケージの清浄度を維持することが可能である。
【0037】
加えて、混合前の本発明による二相組成物が透明である場合、二相組成物を混合することによって形成される単相組成物も透明であり得る。
【0038】
本発明による二相組成物によって形成される単相組成物は、相分離を起こして再び2つの目視的に区別できる相を再形成させることによって、特定の期間の後、再び、二相組成物に戻ることができる。
【0039】
本発明によれば、単相組成物の解乳化速度を制御することができる。例えば、より長持ちする単相組成物を作製することが可能である。したがって、本発明による組成物は、より保湿された感覚をもたらすことができる。加えて、本発明による二相組成物によって形成された単相組成物の可使時間を延長することができ、したがって、本発明による二相組成物の有用性を強化することができる。
【0040】
加えて、本発明によれば、2つの再形成された相の間の界面は、界面に沈殿物が存在しないように清浄であり得る。
【0041】
本発明による組成物は、特にメイクアップ落とし、好ましくはケラチン繊維のためのメイクアップ落とし、より好ましくは睫毛用の、即ちマスカラ用のメイクアップ落としとして有用である。
【0042】
以下、本発明による組成物を詳細に説明する。
【0043】
[組成物]
(エステル油)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種のエステル油を含む。2種以上のエステル油が使用される場合、これらは同じであっても、異なってもよい。
【0044】
(a)エステル油は、本発明による組成物の油性相の形成に寄与する。
【0045】
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品で一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0046】
(a)エステル油は、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又はポリ酸と飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとのエステルから選択することができる。エステルの合計炭素原子数は、10以上、好ましくは13、より好ましくは16であってもよい。
【0047】
(a)エステル油は、飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸と飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコールとのエステルから選択することが好ましい。
【0048】
一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸のうち、少なくとも1種は分枝状であることが、より好ましい。
【0049】
一酸と一価アルコールとのモノエステルの中では、炭酸ジカプリリル、パルミチン酸アルキル(パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル等)、ミリスチン酸アルキル(ミリスチン酸イソプロピル及びミリスチン酸エチル等)、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0050】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用することができる。
【0051】
特に以下:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0052】
(a)エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、いくつかのアルコール官能基を含有し、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有せず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することを想起されたい。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
【0053】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0054】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状で飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択することができる。これらの化合物は、不飽和である場合、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0055】
この変形によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物からも選択することができる。
【0056】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えばとりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0057】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0058】
挙げることができる例は、ジオレイン酸メチルグルコースである、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品である。
【0059】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸2-エチルヘキシル/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0060】
本発明による組成物中の(a)エステル油の量は、油性相の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上であってもよい。
【0061】
本発明による組成物中の油性相中の(a)エステル油の量は、油性相の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下であってもよく、但し、(a)エステル油の量はゼロではない。
【0062】
本発明による組成物中の油性相中の(a)エステル油の量は、油性相の総質量に対して、20質量%~90質量%、好ましくは40質量%~80質量%、より好ましくは60質量%~70質量%であり得る。
【0063】
本発明による組成物中の(a)エステル油の量は、組成物の総質量に対して、2質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上であってもよい。
【0064】
本発明による組成物中の(a)エステル油の量は、組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってもよく、但し、(a)エステル油の量はゼロではない。
【0065】
本発明による組成物中の(a)エステル油の量は、組成物の総質量に対して、2質量%~25質量%、好ましくは5質量%~20質量%、より好ましくは8質量%~15質量%であり得る。
【0066】
(炭化水素油)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の炭化水素油を含む。2種以上の炭化水素油が使用される場合、これらは同じであっても、異なってもよい。
【0067】
(b)炭化水素油は、本発明による組成物の油性相の形成に寄与する。
【0068】
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品で一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0069】
(b)炭化水素油は、以下から選択ことができる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンがある、並びに
- 16個より多くの炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0070】
(b)炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、及びナフタレン等;水素化ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0071】
(b)炭化水素油は、揮発性炭化水素油から、好ましくは揮発性分枝状C8~C16炭化水素油から選択してもよく、より好ましくはイソヘキサデカン、イソデカン、イソドデカン、及びこれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0072】
本発明による組成物中の油性相中の(b)炭化水素油の量は、油性相の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であってもよい。
【0073】
本発明による組成物中の油性相中の(b)炭化水素油の量は、油性相の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下であってもよく、但し、(b)炭化水素油の量はゼロではない。
【0074】
本発明による組成物中の油性相中の(b)炭化水素油の量は、油性相の総質量に対して、20質量%~90質量%、好ましくは30質量%~85質量%、より好ましくは40質量%~80質量%であり得る。
【0075】
本発明による組成物中の(b)炭化水素油の量は、組成物の総質量に対して5質量%より多い。
【0076】
本発明による組成物中の(b)炭化水素油の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってもよく、但し、(b)炭化水素油の量はゼロではない。
【0077】
本発明による組成物中の(b)炭化水素油の量は、組成物の総質量に対して、5質量%より多く50質量%まで、好ましくは5質量%より多く45質量%まで、より好ましくは5質量%より多く40質量%までであり得る。
【0078】
(エステル油と炭化水素油との比)
本発明による二相組成物によって形成される単相組成物の解乳化速度を制御するために、(a)エステル油の量と(b)炭化水素油の量との質量比を調整してもよい。
【0079】
(a)エステル油の量:(b)炭化水素油の量の質量比は、10:90~90:10、好ましくは20:80~80:20、より好ましくは30:70~70:30であってもよい。
【0080】
一方、((a)エステル油の量)/((a)エステル油の量と(b)炭化水素油の量との合計)は、0.2以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、更により好ましくは0.5以上、特に好ましくは0.6以上であってもよい。
【0081】
(a)エステル油の量が多くなるほど、本発明による二相組成物によって形成される単相組成物の解乳化速度は遅くなる。
【0082】
(追加の油)
本発明による組成物は、(a)エステル油又は(b)炭化水素油とは異なる少なくとも1種の追加の油を含んでもよい。2種以上の追加の油が使用される場合、これらは同じであっても、異なってもよい。
【0083】
追加の油は、本発明による組成物の油性相の形成に寄与し得る。
【0084】
追加の油は、極性油又は非極性油から選択することができる。
【0085】
追加の油は、植物起源又は動物起源の油、人工トリグリセリド、シリコーン油、脂肪アルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0086】
植物油の例として、例えば、メドウフォーム油、亜麻仁油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、菜種油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0087】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0088】
人工トリグリセリドの例としては、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル(INCI名:カプリル/カプリントリグリセリド)及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0089】
シリコーン油の例としては、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコーン)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等)、環状オルガノポリシロキサン(シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0090】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、特に液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0091】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてよい。本発明に従って使用され得る有機変性シリコーンは、上に定義した、且つそれらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む、シリコーン油である。
【0092】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll's Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Pressにおいて、更に詳細に定義されている。オルガノポリシロキサンは、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0093】
揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選択され、更により詳細には、以下から選択される:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標) 7207で販売されている、又はRhodia社により名称Silbione(登録商標) 70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標) 7158で販売されている、Rhodia社によりSilbione(登録商標) 70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。次式D'及びD":
【0094】
【0095】
の、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えば、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109もまた挙げることができる。
【0096】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物もまた挙げることができる、並びに
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃において5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この部類に属するシリコーンは、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに公表されている論文にも記載されている。該シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定されている。
【0097】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた使用されてよい。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細にはポリジアルキルシロキサンから選ばれ、その中では、主としてトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0098】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、以下の市販製品を非限定的に挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000油、
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度60000mm2/sのDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0099】
名称ジメチコノール(CTFA)で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油もまた挙げることができる。
【0100】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0101】
フェニルシリコーン油は、以下の式のフェニルシリコーンから選択することができる:
【0102】
【0103】
(式中、
R1~R10は、互いに独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状C1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、具体的にはメチル、エチル、プロピル又はブチルの各基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立して、両端を含んで0から900の間、好ましくは両端を含んで0から500の間、より好ましくは両端を含んで0から100の間の整数であり、
但し、n+m+qの合計は0ではない)。
【0104】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標) 70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油であるDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250、及びSF 1265。
【0105】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上の式中、R1~R10はメチルであり、p、q、及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0106】
有機変性液体シリコーンは、特にポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してよい。そのため、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製の油であるSilwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
【0107】
脂肪アルコールにおける用語「脂肪」は、比較的大きい数の炭素原子を包含することを意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。
【0108】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有し得る。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択され得る。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されていても、されていなくてもよい。
【0109】
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ウンデシレニルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0110】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0111】
「飽和脂肪アルコール」という用語は、ここでは、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールの中でも、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪アルコールが、好ましくは使用され得る。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪アルコールが、より好ましくは使用され得る。分枝状C16~C20脂肪アルコールが、更により好ましく使用され得る。
【0112】
飽和脂肪アルコールの例としては、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ウンデシレニルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、オクチルドデカノール及びヘキシルデカノールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0113】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物において使用される脂肪アルコールは、好ましくは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール及びそれらの混合物から選択される。
【0114】
追加の油がエーテル油から選択されないことが好ましい場合がある。
【0115】
本発明による組成物中の油性相中の追加の油の量は、油性相の総質量に対して、3質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であってもよい。
【0116】
本発明による組成物中の油性相中の追加の油の量は、油性相の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下であってもよく、但し、追加の油の量はゼロではない。
【0117】
本発明による組成物中の油性相中の追加の油の量は、油性相の総質量に対して、3質量%~40質量%、好ましくは5質量%~35質量%、より好ましくは10質量%~30質量%であり得る。
【0118】
本発明による組成物中の追加の油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり得る。
【0119】
本発明による組成物中の追加の油の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であってもよく、但し、追加の油の量はゼロではない。
【0120】
本発明による組成物中の追加の油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは5質量%~25質量%、より好ましくは10質量%~20質量%であり得る。
【0121】
(ポリグリセリル脂肪酸エステル)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステルを含む。2種以上の(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルが使用される場合、それらは、同一であっても異なっていてもよい。
【0122】
(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルは、本発明による組成物の水性相中に存在にし得る。
【0123】
(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~28個の炭素原子、好ましくは4~20個の炭素原子、より好ましくは6~12個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の脂肪酸、好ましくは飽和の脂肪酸の、モノ、ジ及びトリエステル、例えば、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、カプリン酸、カプリル酸及びミリスチン酸から選択することができる。
【0124】
(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~6個のグリセロール、より好ましくは4~6個のグリセロール、更により好ましくは5個又は6個のグリセロールに由来するポリグリセロール部分を有することが好ましい。換言すれば、(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~6個のポリグリセリル単位、より好ましくは4~6個のポリグリセリル単位、更により好ましくは5個又は6個のポリグリセリル単位を含むことが好ましい。
【0125】
本発明による組成物においては、(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルは、水性相中に存在する。したがって、(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルは比較的親水性である。
【0126】
そのため、(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルは、8.0以上、好ましくは9.0以上、より好ましくは10.0以上のHLB(親水性親油性バランス)値を有していてもよい。2種以上のポリグリセリル脂肪酸エステルが使用される場合、HLB値は、全てのポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の質量平均により決定される。
【0127】
用語HLB(「親水性-親油性バランス」)は、当業者には周知であり、分子中の親水性部分と親油性部分との比を反映する。HLB値は、式HLB=20*(1-S/A)[式中、Sは、エステルのけん化価であり、Aは脂肪酸の中和価である]を用いて算出することができる。
【0128】
(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルは、ポリグリセリル脂肪酸モノエステルから選択することができる。
【0129】
ポリグリセリル脂肪酸モノエステルは、8.0~17.0、好ましくは9.0~16.0、より好ましくは10.0~15.0のHLB値を有していてもよい。2種以上のポリグリセリル脂肪酸モノエステルが使用される場合、HLB値は、全てのポリグリセリル脂肪酸モノエステルのHLB値の質量平均により決定される。
【0130】
ポリグリセリル脂肪酸モノエステルは、オレイン酸PG4(HLB:8.8)、ラウリン酸PG4(HLB:10.3)、イソステアリン酸PG4(HLB:8.2)、ラウリン酸PG5(HLB:10.5)、イソステアリン酸PG6(HLB:10.8)、カプリル酸PG4(HLB:14)、カプリン酸PG4(HLB:約15)、ミリスチン酸PG5(HLB:15.4)、ステアリン酸PG5(HLB:15)、オレイン酸PG5(HLB:12.2)、カプリル酸PG6(HLB:14.6)、カプリン酸PG6(HLB:13.1)、ラウリン酸PG6(HLB:14.1)及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0131】
(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルは、ポリグリセリル脂肪酸ジエステルから選択することが好ましい。
【0132】
ポリグリセリル脂肪酸ジエステルは、8.0~13.0、好ましくは9.0~12.0、より好ましくは10.0~11.0のHLB値を有していてもよい。2種以上のポリグリセリル脂肪酸ジエステルが使用される場合、HLB値は、全てのポリグリセリル脂肪酸ジエステルのHLB値の質量平均により決定される。
【0133】
ポリグリセリル脂肪酸ジエステルは、ジステアリン酸PG-6(HLB:8)、ジオレイン酸PG-6(HLB:9.8)、ジカプリン酸PG-6(HLB:10.2)、及びこれらの混合物からなる群から選択するができる。
【0134】
ジカプリン酸PG6として、例えば太陽化学株式会社により市販されているSunsoft Q-102H-Cを使用することができる。ジオレイン酸PG6として、太陽化学株式会社により市販されているSunsoft Q-172H-Cを使用することができる。ジステアリン酸PG6として、日本エマルジョン株式会社により市販されているEmalex DSG-6を使用することができる。
【0135】
本発明による組成物中の水性相中の(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、水性相の総質量に対して、0.005質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であってもよい。
【0136】
本発明による組成物中の水性相中の(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、水性相の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であってもよく、但し、(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルの量は0ではない。
【0137】
本発明による組成物中の水性相中の(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、水性相の総質量に対して、0.005質量%~1質量%、好ましくは0.01質量%~0.5質量%、より好ましくは0.05質量%~0.1質量%であってよい。
【0138】
本発明による組成物中の(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってもよい。
【0139】
本発明による組成物中の(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であってもよく、但し、(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルの量は0ではない。
【0140】
本発明による組成物中の(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の水性相の総質量に対して、0.001質量%~1質量%、好ましくは0.005質量%~0.5質量%、より好ましくは0.01質量%~0.1質量%であってよい。
【0141】
(水)
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0142】
(d)水は、本発明による組成物の水性相を形成することができる。
【0143】
本発明による組成物中の水性相中の(d)水の量は、水性相の総質量に対して、40質量%以上、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上であってもよい。
【0144】
本発明による組成物中の水性相中の(d)水の量は、水性相の総質量に対して、99質量%以下、好ましくは98質量%以下、より好ましくは97質量%以下であってもよく、但し、(d)水の量は0ではない。
【0145】
本発明による組成物中の水性相中の(d)水の量は、水性相の総質量に対して、40質量%~99質量%、好ましくは45質量%~98質量%、より好ましくは50質量%~97質量%であり得る。
【0146】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、35質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上であってもよい。
【0147】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であってもよく、但し、(d)水の量は0ではない。
【0148】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、35質量%~95質量%、好ましくは40質量%~90質量%、より好ましくは45質量%~85質量%であってもよい。
【0149】
(芳香族ケトン化合物)
本発明による組成物は、少なくとも1種の芳香族ケトン化合物を含んでもよい。2種以上の芳香族ケトン化合物が使用される場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0150】
芳香族ケトン化合物は、本発明による組成物の水性相中に存在にし得る。
【0151】
芳香族ケトン化合物は、以下の化学式(I)によって表される:
【0152】
【0153】
(式中、
R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、C1~C6アルキル基、又はC1~C6アルコキシ基を表し、但し、R5、R6及びR7のうちの少なくとも1つはヒドロキシル基を表し、
Rは、C1~C6アルキル基又はアリール基を表す)。
【0154】
C1~C6アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、及びプロピル基を挙げることができる。メチル基が好ましい。
【0155】
C1~C6アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、及びプロポキシ基を挙げることができる。メトキシ基が好ましい。
【0156】
アリール基としては、例えばフェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、及び置換ナフチル基を挙げることができる。置換基としては、ヒドロキシル基及びC1~C6アルキル基(メチル基等)を挙げることができる。フェニル基が好ましい。
【0157】
上記の化学式(I)中のRは、メチル基、エチル基、又はフェニル基、好ましくはメチル基又はフェニル基、より好ましくはメチル基を表すことが好ましい。
【0158】
芳香族ケトン化合物としては、例えば、
2-ヒドロキシアセトフェノン、
3-ヒドロキシアセトフェノン、
4-ヒドロキシアセトフェノン、
2,5-ジヒドロキシアセトフェノン、
2,6-ジヒドロキシアセトフェノン、
4-ヒドロキシ-3-メトキシアセトフェノン、
3,4,5-トリヒドロキシアセトフェノン、
2',2'-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシベンゾフェノン、
2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、及び
3,4,2',4',6'-ペンタヒドロキシベンゾフェノン
を挙げることができる。
【0159】
芳香族ケトン化合物は、ヒドロキシアセトフェノン、より好ましくはモノヒドロキシアセトフェノン、更により好ましくは4-ヒドロキシアセトフェノンであることが好ましい。
【0160】
本発明による組成物中の水性相中の芳香族ケトン化合物の量は、水性相の総質量に対して、0.005質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であってもよい。
【0161】
本発明による組成物中の水性相中の芳香族ケトン化合物の量は、水性相の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であってもよく、但し、芳香族ケトン化合物の量は0ではない。
【0162】
本発明による組成物中の水性相中の芳香族ケトン化合物の量は、水性相の総質量に対して、0.005質量%~1質量%、好ましくは0.01質量%~0.5質量%、より好ましくは0.05質量%~0.1質量%であり得る。
【0163】
本発明による組成物中の芳香族ケトン化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってよい。
【0164】
本発明による組成物中の芳香族ケトン化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であってもよく、但し、芳香族ケトン化合物の量は0ではない。
【0165】
本発明による組成物中の芳香族ケトン化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~1質量%、好ましくは0.005質量%~0.5質量%、より好ましくは0.01質量%~0.1質量%であってもよい。
【0166】
(クエン酸エステル)
本発明による組成物は、少なくとも1種のクエン酸エステルを含んでよい。2種以上のクエン酸エステルが使用される場合、それらは同一であってもよく、又は異なっていてもよい。
【0167】
クエン酸エステルは、本発明による組成物の水性相中に存在にし得る。
【0168】
クエン酸エステルは、以下の化学式(I)によって表すことができる:
【0169】
【0170】
(式中、
R1、R2及びR3は、独立して、水素原子、飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分枝状C1~C30炭化水素基、又は飽和若しくは不飽和の環状C3~C30炭化水素基を表し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素原子ではなく、
R4は、水素原子又はR'4-CO-基を表し、R'4は、飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分枝状C1~C8炭化水素基、又は飽和若しくは不飽和の環状C3~C8炭化水素基を表す)。
【0171】
R1、R2及びR3は全て、飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分枝状C1~C30炭化水素基、又は飽和若しくは不飽和の環状C3~C30炭化水素基、より好ましくは飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分枝状C1~C30炭化水素基、更により好ましくは直鎖状若しくは分枝状C1~C30アルキル基であることが好ましい。
【0172】
R4は、水素原子又はR'4-CO-基(式中、R'4は、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C8炭化水素基を表す)、より好ましくは水素原子又はR'4-CO-基(式中、R'4は、直鎖状又は分枝状C1~C8アルキル基を表す)、更により好ましくは水素原子又はR'4-CO-基(式中、R'4はメチル基を表す)であることが好ましい。
【0173】
クエン酸エステルは、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリオクチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ(2-エチルヘキシル)、及びこれらの混合物からなる群、より好ましくはクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、及びこれらの混合物からなる群、更により好ましくはクエン酸エチルから選択されることが好ましい場合がある。
【0174】
本発明による組成物中の水性相中のクエン酸エステルの量は、水性相の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0175】
本発明による組成物中の水性相中のクエン酸エステルの量は、水性相の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよく、但し、クエン酸エステルの量は0ではない。
【0176】
本発明による組成物中の水性相中のクエン酸エステルの量は、水性相の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であり得る。
【0177】
本発明による組成物中のクエン酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0178】
本発明による組成物中のクエン酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよく、但し、クエン酸エステルの量は0ではない。
【0179】
本発明による組成物中のクエン酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であり得る。
【0180】
(美容有効成分)
本発明による組成物は、少なくとも1種の美容有効成分を含んでもよい。単一のタイプの美容有効成分を用いてもよいが、2種以上の異なるタイプの美容有効成分を組み合わせて用いてもよい。
【0181】
美容有効成分は、好ましくは、不水溶性であっても不油溶性であってもよい。
【0182】
本発明による組成物中の美容有効成分の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0183】
本発明による組成物中の美容有効成分の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であってもよく、但し、美容有効成分の量は0ではない。
【0184】
本発明による組成物中の美容有効成分の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~30質量%、好ましくは0.5質量%~25質量%、より好ましくは1質量%~20質量%の範囲であり得る。
【0185】
(追加の界面活性剤)
本発明による組成物は、(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルと異なる少なくとも1種の追加の界面活性剤を含んでもよい。2種以上の追加の界面活性剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0186】
しかし、追加の界面活性剤の量は、少量であることが好ましいことがある。
【0187】
追加の界面活性剤の量は、本発明による組成物の総質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下であり得る。本発明による組成物は、追加の界面活性剤を含まないことが特に好ましい。
【0188】
(他の成分)
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の任意選択の又は追加の成分も含んでもよい。
【0189】
任意選択の又は追加の成分の量は、限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して、0.01質量%から30質量%、好ましくは0.1質量%から20質量%、より好ましくは1質量%から10質量%であってよい。
【0190】
任意選択の又は追加の成分は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性ポリマー;有機又は無機UV遮蔽剤;ペプチド及びその誘導体;タンパク質加水分解物;膨潤剤;浸透剤;増粘剤;懸濁剤;金属イオン封鎖剤;乳白剤;染料;ビタミン又はプロビタミン;香料;保存剤、共保存剤、安定剤;並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0191】
本発明による組成物は、1種又は複数の化粧品として許容される有機溶媒を含んでもよく、これは、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖、及び糖アルコール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテルであってもよい。
【0192】
このとき、有機溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の濃度で存在してもよい。
【0193】
本発明による組成物のpHは、制御することができる。pHは、例えば、3から11、好ましくは3.5から9、より好ましくは4から7であってもよい。pHは、少なくとも1種の酸性化剤及び/又は少なくとも1種の塩基性化剤を使用して、所望の値に調整することができる。
【0194】
酸性化剤は、例えば、無機又は有機酸、例として塩酸、オルトリン酸、カルボン酸、例として酒石酸、クエン酸、乳酸、又はスルホン酸であってもよい。
【0195】
塩基性化剤は、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、モノ-、ジ-、及びトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、更にはそれらの誘導体、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム並びに下式の化合物であってもよい:
【0196】
【0197】
(式中、
Rは、任意選択によりヒドロキシル又はC1~C4アルキル基で置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、R1、R2、R3、及びR4は、独立して、水素原子、アルキル基、又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示され得る)。アルギニン、尿素、及びモノエタノールアミンが好ましい場合がある。
【0198】
酸性化剤又は塩基性化剤は、組成物の総質量に対して、5質量%未満、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下の範囲の量で存在してもよい。
【0199】
(形態)
本発明による組成物は、2つの目視的に区別できる相を有することができる。二相のうちの片方は油性相であり、他方は水性相である。
【0200】
本発明による組成物中の油性相の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であってもよい。
【0201】
本発明による組成物中の油性相の量は、組成物の総質量に対して、80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下であってもよく、但し、油性相の量はゼロではない。
【0202】
本発明による組成物中の油性相の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~80質量%、好ましくは20質量%~70質量%、より好ましくは30質量%~60質量%であってもよい。
【0203】
油性相は、上で説明したような、(a)少なくとも1種のエステル油、及び(b)少なくとも1種の炭化水素油を少なくとも含む。
【0204】
本発明による組成物中の水性相の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であってもよい。
【0205】
本発明による組成物中の水性相の量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下であってもよく、但し、水性相の量はゼロではない。
【0206】
本発明による組成物中の水性相の量は、組成物の総質量に対して、20質量%~90質量%、好ましくは30質量%~80質量%、より好ましくは40質量%~70質量%であってもよい。
【0207】
水性相は、上で説明したような、(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステル、及び(d)水を少なくとも含む。
【0208】
加えて、水性相は、少なくとも1種の追加の親水性成分を含むことができる。一実施形態において、水性相は、酸及び塩基等の少なくとも1種のpH調整剤、並びに/又はそのアルカリ金属塩等のその少なくとも1種の塩を含んでもよい。
【0209】
本発明による組成物は、混合すると、単相組成物に変換できる。混合後の本発明による組成物は、O/W型又はW/O型、好ましくはO/W又はW/O液体組成物の形態、より好ましくはO/W又はW/Oエマルションの形態であってもよい。
【0210】
本発明による組成物において、油性相の比重が水性相の比重より小さい場合、油性相は、水性相上に存在する。典型的には、油の比重が水の比重より小さい傾向にあるため、静止状態で、油性相は水性相上に存在する。
【0211】
油性相の量:水性相の量の質量比は、60:40~10:90、好ましくは50:50~10:90、より好ましくは40:60~10:90であってもよい。
【0212】
(調製)
本発明による組成物は、油性相のために、(a)エステル油と(b)炭化水素油とを混合することによって又は(a)エステル油及び(b)炭化水素油を含む成分を混合することによって油性相を形成し、水性相のために、(c)ポリグリセリル脂肪酸エステルと(d)水とを混合することによって又は(c)ポリグリセリル脂肪酸エステル及び(d)水を含む成分を混合することによって水性相を形成し、油性相と水性相とを合わせることによって調製することができる。
【0213】
例えば、本発明による組成物は、
(i)
(a)少なくとも1種のエステル油、及び
(b)少なくとも1種の炭化水素油を、
少なくとも1種の任意選択の成分と混合して油性相を形成する工程と、
(ii)
(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステル、及び
(d)水を、
少なくとも1種の任意選択の成分と混合して水性相を形成する工程と、
(iii)油性相と水性相とを合わせる工程と、
を含む方法によって調製することができる。
【0214】
混合する工程は、任意の従来の手段によって実施することができる。
【0215】
油性相と水性相とを合わせる工程は、油性相及び水性相をパッケージ又は容器等の器にゆっくり注ぐように、穏やかに実施されることが好ましい。
【0216】
器の材料は限定されない。例えば、パッケージ又は容器等の器の材料は、ガラス及び金属等の無機質、樹脂及びプラスチック等の有機質、並びにこれらの組み合わせであってもよい。樹脂は、ポリオレフィン及びポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート又はPET)等の熱可塑性樹脂から選択することができる。材料は、透明又は半透明であることが好ましい。
【0217】
[使用及び方法]
本発明による組成物を使用するとき、例えば、手で振ること(ハンドシェーキング)によって混合する。本発明による組成物を混合した後、組成物は、単相組成物を形成することができる。単相組成物をケラチン物質に塗布して、標的の美容効果をもたらすことができる。
【0218】
ケラチン物質は、皮膚、爪、口唇等の粘膜、又は眉毛及び睫毛等のケラチン繊維であってもよい。
【0219】
本発明による組成物は、好ましくは、化粧用組成物、より好ましくはクレンジング化粧用組成物、更により好ましくは皮膚及び睫毛用のクレンジング化粧用組成物として使用することができる。
【0220】
本発明による組成物は、メイクアップ除去等の美容効果をもたらすことができる。
【0221】
本発明による組成物はまた、滑らかな感触等の良好な質感ももたらすこともでき、したがって、滑らかな皮膚の仕上がりをもたらすことができる。
【0222】
本発明による組成物は、刺激性を少なくできるために快適であり得、皮膚、特に目の周りの皮膚等の敏感な皮膚にやさしいものとすることができる。
【0223】
皮膚は、本明細書では、顔面の皮膚、首の皮膚及び頭皮を包含する。本発明による組成物は、口唇等の粘膜に対して使用することもできる。
【0224】
本発明による組成物は、そのままで(局所用製品として)使用することができる、又は綿等のセルロース繊維から好ましくは作製された不織布等の多孔質基材中へしみこませることによって使用することができる。
【0225】
特に、本発明による組成物は、皮膚、口唇、眉毛及び睫毛等のケラチン物質上への塗布を意図してもよい。したがって、本発明による組成物は、皮膚、口唇、眉毛及び睫毛、好ましくは皮膚及び睫毛等のケラチン物質のための美容方法に使用することができる。
【0226】
本発明による組成物は、ケラチン物質をメイクアップするためでなく、ケア又はクレンジングするために使用することができる。本発明による組成物は、ファンデーション等のメイクアップ製品にではなく、ローション等のスキンケア製品又はメイクアップ落とし等のクレンジング製品に使用されることが好ましい。好ましくは、本発明による組成物は、酸化鉄を含まない、又は酸化鉄を、本発明による組成物の総質量に対して、0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更により好ましくは0.1質量%以下の量で含む。
【0227】
本発明によるケラチン物質のための美容方法は、少なくとも、
本発明による組成物を混合して単相組成物を形成する工程と、
単相組成物をケラチン物質へ塗布する工程と、
を含み得る。
【0228】
単相組成物は、2つの目視的に区別できる相を有さない。代わりに、単相組成物は、典型的にはエマルション相である単相を有する。エマルション相は、透明でなくてもよいが、半透明又は不透明であり得る。
【0229】
本発明は、
(b)少なくとも1種の炭化水素油の、
二相組成物を混合することによって調製される単相組成物のメイクアップ除去能を強化するための、
(a)少なくとも1種のエステル油を含む油性相と、(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(d)水を含む水性相とを含む二相組成物中における使用であって、
(b)炭化水素油の量が、組成物の総質量に対して5質量%より多い、使用に関し得る。
【0230】
本発明は、
(a)少なくとも1種のエステル油の、
二相組成物を混合することによって調製される単相組成物の塗布中の滑らかさを強化するための、
(b)少なくとも1種の炭化水素油を含む油性相と、(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(d)水を含む水性相とを含む二相組成物中における使用であって、
(b)炭化水素油の量が、組成物の総質量に対して5質量%より多い、使用に関し得る。
【0231】
本発明は、
(a)少なくとも1種のエステル油の、
二相組成物を混合することによって調製される単相組成物の解乳化速度を低減するための、
(b)少なくとも1種の炭化水素油を含む油性相と、(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(d)水を含む水性相とを含む二相組成物中における使用であって、
(b)炭化水素油の量が、組成物の総質量に対して5質量%より多い、使用に関し得る。
【0232】
本発明は、
(c)少なくとも1種のポリグリセリル脂肪酸エステルの、
二相組成物を混合することによって調製される単相組成物を含むパッケージの清浄度を強化するための、
(a)少なくとも1種のエステル油及び(b)少なくとも1種の炭化水素油を含む油性相と、(d)水を含む水性相とを含む二相組成物中における使用であって、
(b)炭化水素油の量が、組成物の総質量に対して5質量%より多い、使用に関し得る。
【0233】
本出願による組成物中の成分(a)~(d)についての上記説明は、本発明による使用における上記成分(a)~(d)に適用させることができる。
【実施例0234】
本発明を、実施例によって、より詳細な方法で説明する。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。以下の実施例は、本発明の分野における非限定的な例示として提示する。
【0235】
(実施例1~6及び比較例1~4)
表1に示す実施例1~6及び比較例1~4による以下の組成物を、以下の通り表1に示す成分を混合することによって調製した。
(1)油性相調製物(表1のOP調製物)の成分を、約25℃で混合して、油性相成分の均一な混合物を形成し、
(2)水性相調製物(表1のAP調製物)の成分を、約60℃で混合して、水性相調製物成分の均一な混合物を形成し、
(3)水性相調製物成分、次いで油性相調製物成分の順序で上記をパッケージに注ぎ入れ、各組成物のためにこれらを混合する。
【0236】
油性相調製物:水性相調製物の混合実質量比は、実施例1~5及び比較例1~3では13.5:86.5であり、実施例6及び比較例4では50:50であった。
【0237】
「ヒドロキシアセトフェノン」は、4-ヒドロキシアセトフェノンを意味することに留意されたい。
【0238】
表1に示す成分の量についての数値はすべて、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0239】
【0240】
【0241】
[評価]
実施例1~6及び比較例1~4による組成物を次のように評価した。
【0242】
(メイクアップ除去能)
5名のパネリストのそれぞれが、マスカラ製品(MAYBELLINE Volum'Express Hypercurl Waterproof N 01 Black)を、睫毛に、ブラシを用いて合計40回のストロークで(1回ごとにブラシを、マスカラ製品を含む瓶の中に浸した)塗布することによって自分の睫毛をメイクアップした。
【0243】
実施例1~6及び比較例1~4による各組成物4mLを振盪してエマルションを形成した。目の周りをコットンシートで円運動して30秒間マッサージすることによって、コットンシートを使用することにより、エマルションを目の周りの皮膚上に塗布した。
【0244】
パネリストは、メイクアップ除去能を1(非常に不良)~5(優良)の評点で評価し、評価の平均を以下の基準に従って分類した。
【0245】
優良(5.0~4.0):マスカラの残留物が全く観察されなかった。
良好(3.9~3.0):マスカラの残留物がほとんど観察されなかった。
不良(2.9~2.0):マスカラの残留物が若干観察された。
非常に不良(1.9~1.0):マスカラの残留物が観察された。
【0246】
結果を表2に示す。
【0247】
(透明度)
調製された直後の(振盪する前の)実施例1~6及び比較例1~4による各組成物の透明度を、以下の基準に従って調べた。
【0248】
優良:透明
良好:若干半透明
不良:半透明
非常に不良:不透明
【0249】
結果を表2に示す。
【0250】
(振盪後の透明度)
4℃で振盪してから1週間後の実施例1~6及び比較例1~4による各組成物の透明度を、以下の基準に従って調べた。
【0251】
優良:透明
良好:若干半透明
不良:半透明
非常に不良:不透明
【0252】
結果を表2に示す。
【0253】
(界面上の沈殿物)
4℃で振盪してから1週間後の実施例1~6及び比較例1~4による各組成物の油性相と水性相との間の界面上の沈殿物の存在を調べた。
【0254】
結果を表2に示す。
【0255】
(解乳化の速度)
実施例1~6及び比較例1~4による各組成物を、透明なガラス瓶に充填した。透明な瓶をよく振ってエマルションを形成させた。透明な瓶を静置(静止状態で)し、エマルションが完全に消えて2つの目視的に区別できる相が形成されるまでの時間を測定した。
【0256】
結果を表2に示す。
【0257】
解乳化の速度が速すぎる場合、使用中に油/水の分配比が変化し、組成物の美容上の性能も劣化する。解乳化にかかる時間が20分を超える組成物が望ましい。
【0258】
(滑らかさ)
実施例1~6及び比較例1~4による各組成物4mLを振盪してエマルションを形成した。目の周りをコットンシートで円運動して30秒間マッサージすることによって、コットンシートを使用することにより、エマルションを目の周りの皮膚上に塗布した。
【0259】
パネリストは、上記の塗布中の皮膚上の滑らかさを1(非常に滑らかでない=摩擦を感じる)~5(非常に滑らか)の評点で評価し、評点のスコアを平均し、以下の基準に従って分類した。
【0260】
優良(5.0~4.0):塗布中、非常に滑らか
良好(3.9~3.0):塗布中、滑らか
不良(2.9~2.0):塗布中、滑らかでない
非常に不良(1.9~1.0):塗布中、非常に滑らかでない
【0261】
結果を表2に示す。
【0262】
(安定性)
実施例1~6及び比較例1~4による各組成物を、透明なガラス瓶に充填した。透明な瓶を、4℃、25℃及び45℃の温度条件下で2ヶ月間保持した。4℃で、瓶を静止状態で維持するか、又は毎日振った。
【0263】
2ヶ月後に、透明度、色、及び匂いに関して各組成物を調べ、以下の基準に従って評価した。
【0264】
優良:生産時とほとんど同一の状態。
良好:透明度、色及び匂いの点で小さな変化が観察された。
不良:透明度、色及び匂いの点で変化が明らかに観察された。沈殿又は濁った外見のいずれかもまた明らかに観察された。
非常に不良:透明度、色及び匂いの点で変化が顕著に観察された。沈殿又は濁った外見のいずれかもまた顕著に観察された。
【0265】
結果を表2に示す。
【0266】
(パッケージの清浄度)
実施例1~6及び比較例1~4による各組成物を、パッケージとする透明なガラス瓶に充填した。各パッケージをよく振った。振盪してから30分後のパッケージの壁の外観を、以下の基準に従って調べた。以下の基準における用語「残留物」とは、パッケージの壁上に残留した液滴又は膜を意味する。
【0267】
優良:パッケージの壁上に残留物が全く観察されなかった。
良好:パッケージの壁上に少量の残留物が観察された。
不良:パッケージの壁上に幾らかの残留物が観察された。
非常に不良:パッケージの壁上に多くの残留物が観察された。
【0268】
結果を表2に示す。
【0269】
図1は、実施例1による組成物を含むパッケージをよく振盪してから30分後のパッケージの壁の外観を示すものであり、ここでは、パッケージの壁上に残留物は一切見つからなかった。
【0270】
図2は、比較例3による組成物(ポリグリセリル脂肪酸エステルが、実施例1による組成物から除去されたもの)を含むパッケージをよく振盪してから30分後のパッケージの壁の外観を示すものであり、ここでは、パッケージの壁上に多くの残留物が観察された。
【0271】
(概略)
実施例1~6は、混合して単相組成物を形成したときに、良好なメイクアップ除去能、塗布中の滑らかな触感、及び組成物を含むパッケージの壁への残留防止に寄与し、該単相組成物は、解乳化速度を制御しながら、初期状態、即ち、二相組成物に戻ることができる、油性相及び水性相を含む二相組成物の油性相中のエステル油及び炭化水素油と水性相中のポリグリセリル脂肪酸エステルとの組み合わせの使用を示す。
【0272】
実施例1~6はまた、本発明による組成物が、該組成物を混合してもしなくても、良好な安定性、特に様々な温度下で良好な安定性、並びに透明度を有することと、本発明による組成物に由来する単相組成物が、2つの再形成された相の間に清浄な界面を有する二相組成物に迅速に戻ることができたことも示す。
【0273】
比較例1は、実施例1~5と比較して、炭化水素油を一切使用しないことにより、メイクアップ除去能が低下したことを示す。
【0274】
比較例2は、実施例1~5と比較して、エステル油を一切使用しないことにより、塗布中の滑らかさが低下し、解乳化速度を非常に速くしたことを示す。
【0275】
比較例3及び4は、それぞれ、実施例1及び6と比較して、ポリグリセリル脂肪酸エステルを使用しないことにより、パッケージの清浄度を低下させたことを示す。