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特開2022-13440角度検出装置、角度検出装置システム、パークロックシステム、ペダルシステム、および磁場発生モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013440
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】角度検出装置、角度検出装置システム、パークロックシステム、ペダルシステム、および磁場発生モジュール
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
G01D5/245 110J
G01D5/245 110L
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116002
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500393893
【氏名又は名称】新科實業有限公司
【氏名又は名称原語表記】SAE Magnetics(H.K.)Ltd.
【住所又は居所原語表記】SAE Technology Centre, 6 Science Park East Avenue, Hong Kong Science Park, Shatin, N.T., Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川原 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】守屋 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】大山 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】福岡 誠二
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA46
2F077JJ01
2F077JJ08
2F077JJ23
2F077UU12
2F077VV02
(57)【要約】
【課題】高い検出精度を発現することのできる角度検出装置を提供する。
【解決手段】角度検出装置は、磁気検知素子と、その磁気検知素子に対して回転軸を中心として回転可能に設けられ、磁場を形成する磁場発生部材と、回転軸に沿った回転軸方向において磁場発生部材と磁気検知素子との間であって磁場の影響が及ぶ磁場影響領域に配置され、磁場発生部材と一体に回転可能に設けられたヨークとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気検知素子と、
前記磁気検知素子に対して回転軸を中心として回転可能に設けられ、磁場を形成する磁場発生部材と、
前記回転軸に沿った回転軸方向において前記磁場発生部材と前記磁気検知素子との間であって前記磁場の影響が及ぶ磁場影響領域に配置され、前記磁場発生部材と一体に回転可能に設けられたヨークと
を備えた角度検出装置。
【請求項2】
前記ヨークは、前記回転軸方向において前記磁場発生部材と重なり合う位置にある
請求項1記載の角度検出装置。
【請求項3】
前記ヨークは、前記磁場発生部材と接するように設けられている
請求項1または請求項2記載の角度検出装置。
【請求項4】
前記回転軸方向における前記磁場発生部材の高さ寸法は、前記回転軸方向における前記ヨークの高さ寸法よりも大きい
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項5】
前記磁場発生部材は、前記回転軸方向に着磁されている
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項6】
前記磁場発生部材は、略立方体形状または略直方体形状を有する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項7】
前記磁場発生部材として、前記回転軸の周囲において互いに離間して配置された複数の磁場発生部材を有する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項8】
前記複数の磁場発生部材の各々の材料、形状および大きさは、互いに実質的に同じである
請求項7記載の角度検出装置。
【請求項9】
前記複数の磁場発生部材と前記回転軸との各々の距離は、互いに実質的に等しい
請求項7または請求項8記載の角度検出装置。
【請求項10】
前記複数の磁場発生部材は、前記回転軸を挟んで対向するように配置された第1の磁場発生部材および第2の磁場発生部材を有する
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項11】
前記ヨークの前記回転軸に沿った断面は、前記磁場発生部材から遠ざかるほど拡大する幅を有する逆台形形状を含む
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項12】
前記ヨークは、前記回転軸と直交する面において、前記回転軸を中心として回転する方向に沿って円弧状に湾曲した平面形状を有する
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項13】
前記ヨークとして、前記回転軸の周囲において互いに離間して配置された複数のヨークを有する
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項14】
前記複数のヨークの各々の材料、形状および大きさは、互いに実質的に同じである
請求項13記載の角度検出装置。
【請求項15】
前記複数のヨークと前記回転軸との各々の距離は、互いに実質的に等しい
請求項13または請求項14記載の角度検出装置。
【請求項16】
前記複数のヨークとして、前記回転軸を挟んで対向するように配置された第1のヨークおよび第2のヨークを有する
請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項17】
前記磁気検知素子は、前記回転軸方向に沿った感度軸を有する
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項18】
前記磁気検知素子として、複数の磁気検知素子を有する
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項19】
前記複数の磁気検知素子は、前記回転軸方向と直交する面内において互いに異なる位置に設けられている
請求項18記載の角度検出装置。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の角度検出装置と、
前記磁場発生部材を支持する支持体をさらに備え、
前記支持体は、取付穴を有しており、
前記ヨークは、前記磁場発生部材または前記支持体に設けられている
角度検出システム。
【請求項21】
請求項20に記載の前記角度検出システムを有する
パークロックシステム。
【請求項22】
請求項20に記載の前記角度検出システムを有する
ペダルシステム。
【請求項23】
回転軸を中心として回転可能に設けられた磁場発生部材と、
前記回転軸に沿った回転軸方向において、前記磁場発生部材が設けられた領域と異なる領域に配置され、前記磁場発生部材と一体に回転可能に設けられたヨークと
を備える
磁場発生モジュール。
【請求項24】
前記回転軸方向における前記磁場発生部材の第1の高さ寸法は、前記回転軸方向における前記ヨークの第2の高さ寸法よりも大きい
請求項23に記載の磁場発生モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気検知素子を備えた角度検出装置、角度検出装置システム、パークロックシステム、ペダルシステム、および磁場発生モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、例えば内燃機関のスロットルバルブ開度を検知するスロットル開度センサ等に好適な角度検出装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-208252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような角度検出装置に対しては、角度検出精度の向上が求められている。
【0005】
したがって、高い検出精度を発現することのできる角度検出装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様としての角度検出装置は、磁気検知素子と、磁気検知素子に対して回転軸を中心として回転可能に設けられ、磁場を形成する磁場発生部材と、回転軸に沿った回転軸方向において磁場発生部材と磁気検知素子との間であって磁場の影響が及ぶ磁場影響領域に配置され、磁場発生部材と一体に回転可能に設けられたヨークとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施態様としての角度検出装置によれば、高い検出精度を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る角度検出システムの全体構成例を表す概略斜視図である。
図2図1に示した角度検出装置のうちの磁場発生モジュールの平面模式図である。
図3図1に示した角度検出装置のうちの磁場発生モジュールの正面図である。
図4】実験例1-1の角度検出装置における回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図5A】実験例1-1の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図5B】実験例1-1の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図5C】実験例1-1の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図6】実験例1-2の角度検出システムにおける回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図7A】実験例1-2の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図7B】実験例1-2の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図7C】実験例1-2の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図8】実験例1-3の角度検出システムにおける回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図9A】実験例1-3の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図9B】実験例1-3の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図9C】実験例1-3の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図10】実験例2-1の角度検出システムにおける回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図11A】実験例2-1の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図11B】実験例2-1の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図11C】実験例2-1の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図12】実験例2-2の角度検出システムにおける回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図13A】実験例2-2の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図13B】実験例2-2の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図13C】実験例2-2の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図14】実験例2-3の角度検出装置における回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図15A】実験例2-3の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図15B】実験例2-3の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図15C】実験例2-3の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図16】第1の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す斜視図である。
図17】第2の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す斜視図である。
図18】第3の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す斜視図である。
図19】第4の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す斜視図である。
図20A】本発明の角度検出装置を適用した第1の適用例としてのパークロックシステムの第1の模式図である。
図20B】本発明の角度検出装置を適用した第1の適用例としてのパークロックシステムの第2の模式図である。
図21A】本発明の角度検出装置を適用した第2の適用例としてのペダルシステムの第1の模式図である。
図21B】本発明の角度検出装置を適用した第2の適用例としてのペダルシステムの第2の模式図である。
図22】第5の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す正面図である。
図23】第6の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す正面図である。
図24】第1の参考例としての角度検出システムの外観を表す斜視図である。
図25】第2の参考例としての角度検出システムの外観を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1. 一実施の形態
2. 実験例
3. 変形例
4. 適用例
5. その他の変形例
【0010】
<1.一実施の形態>
[角度検出システム100の構成]
最初に、図1から図3を参照して、本発明における一実施の形態としての角度検出システム100の構成について説明する。
【0011】
図1は、角度検出システム100の全体構成例を表す斜視図である。図2は、角度検出システム100のうちの磁場発生モジュール2(後述)の、回転軸J1(後述)と直交する面内における相互の位置関係を説明するための平面模式図である。なお、本出願でいう直交とは、完全な直交である90°で交わること、という概念に加え、ほぼ直交(例えば90°±5°程度で交わること)という概念も含むものである。したがって、図1に示した平面模式図は、回転軸J1に対して90°から多少ずれた角度の平面を表すものであってもよい。図2では、センサ部1(後述)から磁場発生モジュール2を眺めた様子を表している。ただし、図2では、センサ部1に含まれる磁気検知素子11~13(後述)の輪郭、および磁場発生モジュール2を支持する支持体4(後述)の輪郭についてもそれぞれ破線で記載している。図3は、磁場発生モジュール2を正面、すなわち回転軸J1と直交する方向から眺めた正面図である。ただし、図3には、支持体4についても併せて記載している。角度検出システム100は、例えば回転動作を行う回転部材の回転角を検出する装置であり、例えば自動車等に搭載される内燃機関のスロットルバルブ開度を検知するスロットル開度センサとして適用可能である。
【0012】
図1に示したように、角度検出システム100は、例えば角度検出装置10と支持体3と支持体4とを備えている。角度検出装置10は、例えば、センサ部1と、磁場発生モジュール2とを備えている。センサ部1は、例えば支持体3により支持されており、磁場発生モジュール2は、例えば支持体4により支持されている。磁場発生モジュール2は、例えば磁場発生部20とヨーク部30とを備えている。磁場発生部20は、センサ部1において検出される検出対象磁場を形成する磁場発生部材を有しており、センサ部1に対して回転軸J1を中心として例えば回転方向R1へ回転可能に設けられている。センサ部1は、例えば磁場発生部材の形成する検出対象磁場の強度や検出対象磁場の向きなどを検知する複数の磁気検知素子を有している。ヨーク部30は、回転軸方向において磁場発生部20とセンサ部1との間であって検出対象磁場の影響が及ぶ磁場影響領域に配置され、磁場発生部20と一体に回転可能に設けられている。
【0013】
(センサ部1)
センサ部1は、図2に示したように、複数の磁気検知素子として例えば3つの磁気検知素子11~13を有している。磁気検知素子11~13は、回転軸J1の周囲であって、回転軸方向と直交する面内において互いに異なる位置に設けられている。磁気検知素子11~13の各々から等距離にある中心位置CPは、例えば回転軸J1の位置と一致していることが望ましい。すなわち、磁気検知素子11~13は、回転軸J1から互いに等しい距離にあるとよい。磁気検知素子11~13は、例えばホール素子などの、磁場の強度や向きを検出可能な素子である。磁気検知素子11~13は、いずれも回転軸J1に沿った感度軸を有している。磁気検知素子11~13が例えばホール素子である場合、磁気検知素子11~13は、それぞれ、回転軸J1に沿った磁場強度を検知できる。各々の磁気検知素子11~13において検知された回転軸方向の磁場強度に基づき、以下の数1に記載の演算式で演算することにより角度情報が得られる。
【0014】
【数1】
【0015】
数1において、φは磁場発生モジュール2の回転角度であり、V1~V3は、磁気検知素子11~13において検知される回転軸J1に沿った磁場強度に対応する出力電圧である。なお、複数のホール素子を用いた非接触型の角度検出装置としては、例えば米国特許第9933279号明細書に記載されているものが挙げられる。
【0016】
(磁場発生部20)
磁場発生部20は、例えば磁場発生部材としての磁石21および磁石22を有している。磁石21および磁石22は、いずれも、略立方体形状または略直方体形状などの、基本的に平面のみを有する形状を有しているとよい。磁石21および磁石22は、回転軸J1の周囲において互いに離間して配置されており、例えば磁石21と回転軸J1との距離が磁石22と回転軸J1との距離と等しくなっているとよい。ここでいう磁石21と回転軸J1との距離、および磁石22と回転軸J1との距離とは、例えば図2に示したように、例えば回転軸J1と直交する面における、磁石21の幾何学的な中心位置P21と回転軸J1との距離D21、および磁石22の幾何学的な中心位置P22と回転軸J1との距離D22である。また、磁石21および磁石22における各々の材料、形状および大きさは、互いに実質的に同じであるとよい。磁石21および磁石22は、例えば回転軸J1を挟んで対向するように、回転軸J1に対して回転対称の位置に設けられているとよい。また、図3に示したように、磁石21および磁石22は、いずれも回転軸方向に着磁されている。磁石21および磁石22の各々の構成材料としては、例えばNdFeBなどのネオジム系磁石材料のほか、SmCoなどの希土類磁石材料が挙げられる。
【0017】
(ヨーク部30)
ヨーク部30は、例えば回転軸J1の周囲において互いに離間して配置されたヨーク31およびヨーク32を有している。ヨーク31およびヨーク32は、例えば、回転軸J1と直交する断面において、回転軸J1を中心として回転する方向、すなわち回転方向R1に沿って円弧状に湾曲した平面形状をそれぞれ有する。回転軸J1からみた円弧状のヨーク31,32の中心角は、例えば106°以上110°以下が好ましく、107°以上109°以下がより好ましい。ただし、回転角度範囲に応じて円弧状のヨーク31,32の中心角を設定すればよい。ヨーク31およびヨーク32は、例えば回転軸J1を挟んで対向するように、回転軸J1に対して回転対称の位置に設けられているとよい。ヨーク31およびヨーク32は、それぞれ、回転軸方向において磁石21および磁石22と重なり合う位置にある。また、図3に示したように、ヨーク31およびヨーク32は、それぞれ、磁石21および磁石22と接するように設けられている。また、例えばヨーク31と回転軸J1との距離がヨーク32と回転軸J1との距離と等しくなっているとよい。ここでいうヨーク31と回転軸J1との距離、およびヨーク32と回転軸J1との距離とは、例えば図2に示したように、例えば回転軸J1と直交する面における、ヨーク31の幾何学的な中心位置P31と回転軸J1との距離D31、およびヨーク32の幾何学的な中心位置P32と回転軸J1との距離D32である。なお、本実施の形態の磁場発生モジュール2では、ヨーク31の中心位置P31が磁石21の中心位置P21と一致していると共にヨーク32の中心位置P32が磁石22の中心位置P22と一致しており、すなわち距離D21,D22,D31,D32が全て一致している場合を例示している。さらに、ヨーク31およびヨーク32における各々の材料、形状および大きさは、互いに実質的に同じであるとよい。ここで、回転軸方向における磁石21の高さ寸法H21は、回転軸方向におけるヨーク31の高さ寸法H31よりも大きい。同様に、回転軸方向における磁石22の高さ寸法H22は、回転軸方向におけるヨーク32の高さ寸法H32よりも大きい。ヨーク31およびヨーク32の各々の構成材料としては、例えばNiFeなどの軟磁性材料が挙げられる。
【0018】
(支持体4)
支持体4は、磁石21および磁石22を支持するための部材であり、例えば円板状の形状を有している。支持体4は、例えばその中央に取付穴4Kを有しており、ねじなどによって回転体に取り付け可能に構成されている。角度検出システム100が、上述したスロットル開度センサとして適用される場合、支持体4は回転体であるスロットルバルブの回転シャフトに連結され、支持体3は内燃機関のフレーム等に固定されることとなる。ヨーク31およびヨーク32は、磁石21および磁石22に固定されている。ただし、ヨーク31およびヨーク32は、支持体4に直接固定されるようになっていてもよい。いずれにせよ、磁場発生部20およびヨーク部30は支持体4と一体となって回転方向R1に回転可能に設けられている。
【0019】
[角度検出システム100の動作]
角度検出システム100では、支持体4が取り付けられた回転体(例えばスロットルバルブの回転シャフト)が回転すると、支持体4、磁場発生部20およびヨーク部30は一体となって回転方向R1に回転する。これに伴い、センサ部1を通過する検出対象磁場(磁束)の向きが周期的に変化することとなる。その結果、センサ部1における磁気検知素子11~13では、磁場発生モジュール2の回転角度に応じて正弦曲線を描くように変化する強度の磁場(磁束)がそれぞれ検知される。したがって、磁気検知素子11~13においてそれぞれ検知される磁場(磁束)の値から磁場発生モジュール2が固定された回転体の回転角度を求めることができる。ただし、磁気検知素子11~13は、磁場発生モジュール2の回転中心である回転軸J1に対し、回転方向R1に沿って相対的に異なる位置に設けられているので、磁気検知素子11~13がそれぞれ描く正弦曲線の位相は互いにずれている。
【0020】
[角度検出システム100の作用効果]
このように、上記実施の形態の角度検出システム100は、磁気検知素子11~13を含むセンサ部1と、センサ部1に対して回転軸J1を中心として回転可能に設けられ、検出対象磁場を形成する磁石21,22と、回転軸方向において磁石21,22と磁気検知素子11~13との間であって磁場影響領域に配置され、磁石21,22と一体に回転可能に設けられたヨーク31,32とを備えるようにした。このため、例えば図24に示した第1の参考例としての角度検出システム101のように、ヨークを設けない場合と比較して、角度検出精度が向上する。なお、図24の第1の参考例としての角度検出システム101は、ヨーク31,32を有しないことを除き、他は本実施の形態の角度検出システム100と同じ構成を備えている。
【0021】
また、例えば図25に示した第2の参考例としての角度検出システム102のように、磁場発生部20が磁石21および磁石22の代わりに略円柱型の磁石23を有するようにした場合には、角度検出システム102の円柱型の磁石23の体積は、分散配置された磁石21および磁石22の合計の体積と比べて大きくなる傾向がある。その点、本実施の形態の角度検出システム100によれば、磁場発生部20とセンサ部1との間にヨーク部30を設けるようにしたので、センサ部1における角度検出精度を角度検出システム102における角度検出精度と同等に維持しつつ、磁石21および磁石22の合計の体積を磁石23の体積よりも小さくすることができる。そのため、軽量化、小型化に有利となる。
【0022】
また、第2の参考例としての角度検出システム102では、センサ部1において磁場発生モジュール2の回転角度を検出するためには、円柱型の磁石23の着磁方向を回転軸方向と直交する面に沿った方向とする必要がある。しかしながら、外観からは円柱型の磁石23の着磁方向がどの方向か判別しづらいので、センサ部1と磁石23との初期の相対位置を正確に合わせる際などに支障を来すことがある。これに対し、本実施の形態の角度検出システム100によれば、磁石21および磁石22の各々の配置位置や各々の形状から、それらの着磁方向が判別しやすく、組み立て時などにおいて取り扱い性に優れる。
【0023】
また、上記実施の形態の角度検出システム100のように、ヨーク31,32がそれぞれ回転軸方向において磁石21,22と重なり合う位置に配置されている場合、ヨーク31,32がそれぞれ回転軸方向において磁石21,22と重なり合わない位置にある場合と比較して、ヨーク31,32の集磁効果が向上し、センサ部1の近傍領域における検出対象磁場の強度分布、すなわち磁束密度の分布のばらつきが低減される。その結果、角度検出精度がより向上する。
【0024】
また、上記実施の形態の角度検出システム100のように、ヨーク31,32がそれぞれ回転軸方向において磁石21,22と接するように配置されている場合、ヨーク31,32がそれぞれ磁石21,22と離間して配置されている場合と比較して、ヨーク31,32の集磁効果が向上し、センサ部1の近傍領域における検出対象磁場の強度分布、すなわち磁束密度の分布のばらつきが低減される。その結果、角度検出精度がより向上する。
【0025】
また、上記実施の形態の角度検出システム100のように、回転軸方向における磁石21,22の高さ寸法H21,H22が、それぞれ、回転軸方向におけるヨーク31,32の高さ寸法H31,H32よりも大きくなるようにした場合、磁石21,22の体積とヨーク31,32の体積とのバランスを良好に保つことができる。このため、より高い強度の検出対象磁場を効果的にセンサ部1へ供給しつつ、全体として特に回転軸方向の寸法を縮小化するのに有利となる。
【0026】
また、上記実施の形態の角度検出システム100のように、磁石21および磁石22が回転軸方向に着磁されている場合、回転軸方向に沿った感度軸を有する磁気検知素子11~13に対して回転軸方向に沿った検出対象磁場を効果的に付与することができる。
【0027】
また、上記実施の形態の角度検出システム100によれば、磁石21および磁石22は、いずれも略立方体形状または略直方体形状を有するようにしたので、例えば円弧状をなす磁石と比較して、磁石21および磁石22を作製する際の加工性に優れ、例えば量産性の面で有利である。
【0028】
また、上記実施の形態の角度検出システム100のように、磁場発生部20が回転軸J1の周囲において互いに離間して配置された一組の磁石21および磁石22を有するようにした場合、磁場発生部20が1つの磁石のみを有する場合と比較して、角度検出精度を損なわずに磁石21および磁石22の合計の体積を低減することができ、軽量化を図ることができる。
【0029】
また、上記実施の形態の角度検出システム100において、磁石21の材料、形状および大きさと磁石22の材料、形状および大きさとをそれぞれ互いに実質的に同じにすれば、それらが互いに異なる場合と比較して、角度検出精度をより向上させることができる。さらに、距離D21と距離D22とが一致するようにすれば、距離D21と距離D22とが異なる場合と比べて、角度検出精度をより向上させることができる。センサ部1に付与される検出対象磁場の、磁場発生モジュール2の回転角度に起因するばらつきが低減されるからである。
【0030】
また、上記実施の形態の角度検出システム100のように、ヨーク31,32が回転軸J1と直交する面において、回転方向R1に沿って円弧状に湾曲した平面形状を有するようにした場合、ヨーク31,32が例えば直線状に延在する平面形状を有する場合と比較して、角度検出精度をより向上させることができる。センサ部1に付与される検出対象磁場の、磁場発生モジュール2の回転角度に起因するばらつきが低減されるからである。
【0031】
また、ヨーク部30が、回転軸J1の周囲において互いに離間して配置されたヨーク31およびヨーク32を有するようにした場合、例えばヨーク31とヨーク32とが繋がって1つの円環状をなす場合と比較して、軽量化を図ることができる。
【0032】
また、ヨーク31およびヨーク32が、回転軸J1に対して回転対称の位置に設けられるようにすれば、それらが回転対称の位置にない場合と比較して、角度検出精度をより向上させることができる。さらに、距離D31と距離D32とが一致するようにすれば、距離D31と距離D32とが異なる場合と比べて、角度検出精度をより向上させることができる。これらはいずれも、センサ部1に付与される検出対象磁場の、磁場発生モジュール2の回転角度に起因するばらつきが低減されるからである。
【0033】
<2.実験例>
次に、図1に示した上記実施の形態の角度検出システム100と、図24および図25にそれぞれ示した参考例としての角度検出システム101,102との性能比較を行った。
【0034】
(実験例1-1)
上記実施の形態で説明した角度検出システム100において、5mTの強度を有するノイズ磁場を回転軸方向に印加しつつ磁場発生モジュール2の回転動作を行った際のセンサ部1において検出される磁束密度の変化を、シミュレーションにより求めた。ここでは、回転軸J1と直交する面において、磁気検知素子11~13の各々が本来あるべき位置11A~11Cから紙面右方向へ1mmずれた場合の、すなわち、磁気検知素子11~13の各々から等距離にある中心位置CPが、本来あるべき位置である回転軸J1と重なる位置から磁気検知素子11の方向へ1mmずれた場合のセンサ部1の特性をシミュレーションにより求めた。また、磁石21および磁石22はネオジム磁石( ネオジム、鉄、 ホウ素を主成分とする希土類磁石とし、磁石21および磁石22の各々の寸法は6.0mm×2.5mm×5.0mmとし、距離D21および距離D22は4.75mmとした。また、円弧状のヨーク31,32の各々の材質はSPCC(普通鋼)とし、ヨーク31,32の中心角はそれぞれ108°とし、ヨーク31,32の高さ寸法H31,H32はそれぞれ0.85mmとした。さらに、回転軸方向におけるヨーク31,32と磁気検知素子11~13との距離は1mmとした。
【0035】
図4は、実験例1-1としての角度検出システム100における、回転軸J1と直交すると共に磁気検知素子11~13を含むセンシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図4は、回転角度が0°の状態を表している。図4に示したように実験例1-1では、磁束密度を表す等値線が、少なくとも磁気検知素子11~13と対応する領域において、一対の磁石21,22の各々の対向面に沿って紙面縦方向に延びている。したがって、磁気検知素子11~13に対し、比較的均質な強度(磁束密度)の磁場を付与することができることがわかる。よって、磁気検知素子11~13による角度検出精度の向上に有利であることがわかる。
【0036】
図5Aは、実験例1-1としての角度検出システム100において磁気検知素子11~13に印加される検出対象磁場の磁束密度[mT]と、磁場発生モジュール2の回転角度[deg]との関係を表す特性図である。図5Aにおいて、曲線B11は、磁気検知素子11に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表し、曲線B12は、磁気検知素子12に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表し、曲線B13は、磁気検知素子13に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表している。
【0037】
図5Bは、図5Aに示した曲線B11~B13における相互の差分が磁場発生モジュール2の回転角度[deg]によってどのように変化するかを表した特性図である。図5Bにおいて、曲線Δ1は、図5Aにおける曲線B11と曲線B12との差分であり、曲線Δ2は、図5Aにおける曲線B12と曲線B13との差分であり、曲線Δ3は、図5Aにおける曲線B13と曲線B11との差分である。
【0038】
図5Cは、図5Bに示した曲線Δ1~Δ3から求められる磁場発生モジュール2の回転角度の誤差を表している。本実験例では、誤差の最大値(絶対値)が0.2°以下に収まっている。
【0039】
(実験例1-2)
次に、図24に示した第1の参考例としての角度検出システム101についても、上記実験例1-1と同様の条件下で同様の評価を実施した。図6は、実験例1-2としての角度検出システム101における、回転軸J1と直交すると共に磁気検知素子11~13を含むセンシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図6は、回転角度が0°の状態を表している。図6に示したように実験例1-2では、図4に示した実験例1-1と比較すると、磁束密度を表す等値線が、回転軸J1から遠ざかるほど一対の磁石21,22の各々の対向面に沿った紙面縦方向に対して大きく湾曲している。したがって、磁気検知素子11~13に対し、比較的ばらつきの大きな強度(磁束密度)の磁場を付与することとなる。よって、磁気検知素子11~13による角度検出精度の低下を招くことがわかる。
【0040】
図7Aは、実験例1-2としての角度検出システム101において磁気検知素子11~13に印加される検出対象磁場の磁束密度[mT]と、磁場発生モジュール2の回転角度[deg]との関係を表す特性図である。
【0041】
図7Bは、図7Aに示した曲線B11~B13における相互の差分が磁場発生モジュール2の回転角度[deg]によってどのように変化するかを表した特性図である。
【0042】
図7Cは、図7Bに示した曲線Δ1~Δ3から求められる磁場発生モジュール2の回転角度の誤差を表している。本実験例では、誤差の最大値(絶対値)が4.9°となった。
【0043】
(実験例1-3)
次に、図25に示した第2の参考例としての角度検出システム102についても、上記実験例1-1と同様の条件下で同様の評価を実施した。図8は、実験例1-3としての角度検出システム102における、回転軸J1と直交すると共に磁気検知素子11~13を含むセンシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図8は、回転角度が0°の状態を表している。図8に示したように実験例1-3では、図4に示した実験例1-1と比較すると、磁束密度を表す等値線が、回転軸J1から遠ざかるほど一対の磁石21,22の各々の対向面に沿った紙面縦方向に対してやや湾曲している。よって、実験例1-1と比較すると、実験例1-3では磁気検知素子11~13による角度検出精度がやや低下することがわかる。
【0044】
図9Aは、実験例1-3としての角度検出システム102において磁気検知素子11~13に印加される検出対象磁場の磁束密度[mT]と、磁場発生モジュール2の回転角度[deg]との関係を表す特性図である。
【0045】
図9Bは、図9Aに示した曲線B11~B13における相互の差分が磁場発生モジュール2の回転角度[deg]によってどのように変化するかを表した特性図である。
【0046】
図9Cは、図9Bに示した曲線Δ1~Δ3から求められる磁場発生モジュール2の回転角度の誤差を表している。本実験例では、誤差の最大値(絶対値)が0.6°となった。
【0047】
(実験例2-1)
次に、上記実施の形態で説明した図1の角度検出システム100において、5mTの強度を有するノイズ磁場を回転軸J1と直交する方向に印加しつつ磁場発生モジュール2の回転動作を行った際のセンサ部1において検出される磁束密度の変化を、シミュレーションにより求めた。ノイズ磁場の方向が異なることを除き、他は実験例1-1と同様の条件にて実験例1-1と同様の評価を実施した。図10は、実験例2-1としての角度検出システム101における、回転軸J1と直交すると共に磁気検知素子11~13を含むセンシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図10は、回転角度が0°の状態を表している。図10に示したように実験例2-1では、図4に示した実験例1-1と同様、磁束密度を表す等値線が、少なくとも磁気検知素子11~13と対応する領域において、一対の磁石21,22の各々の対向面に沿って紙面縦方向に延びている。したがって、磁気検知素子11~13に対し、比較的均質な強度(磁束密度)の磁場を付与することができることがわかる。よって、磁気検知素子11~13による角度検出精度の向上に有利であることがわかる。
【0048】
図11Aは、実験例2-1としての角度検出システム100において磁気検知素子11~13に印加される検出対象磁場の磁束密度[mT]と、磁場発生モジュール2の回転角度[deg]との関係を表す特性図である。
【0049】
図11Bは、図11Aに示した曲線B11~B13における相互の差分が磁場発生モジュール2の回転角度[deg]によってどのように変化するかを表した特性図である。
【0050】
図11Cは、図11Bに示した曲線Δ1~Δ3から求められる磁場発生モジュール2の回転角度の誤差を表している。本実験例では、誤差の最大値(絶対値)が0.45°となった。
【0051】
(実験例2-2)
次に、図24に示した第1の参考例としての角度検出システム101についても、上記実験例2-1と同様の条件下で同様の評価を実施した。図12は、実験例2-2としての角度検出システム101における、回転軸J1と直交すると共に磁気検知素子11~13を含むセンシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図12は、回転角度が0°の状態を表している。図12に示したように実験例2-2では、図10に示した実験例1-1と比較すると、磁束密度を表す等値線が、回転軸J1から遠ざかるほど一対の磁石21,22の各々の対向面に沿った紙面縦方向に対して大きく湾曲している。したがって、磁気検知素子11~13に対し、比較的ばらつきの大きな強度(磁束密度)の磁場を付与することとなる。よって、磁気検知素子11~13による角度検出精度の低下を招くことがわかる。
【0052】
図13Aは、実験例2-2としての角度検出システム101において磁気検知素子11~13に印加される検出対象磁場の磁束密度[mT]と、磁場発生モジュール2の回転角度[deg]との関係を表す特性図である。
【0053】
図13Bは、図13Aに示した曲線B11~B13における相互の差分が磁場発生モジュール2の回転角度[deg]によってどのように変化するかを表した特性図である。
【0054】
図13Cは、図13Bに示した曲線Δ1~Δ3から求められる磁場発生モジュール2の回転角度の誤差を表している。本実験例では、誤差の最大値(絶対値)が5.1°となった。
【0055】
(実験例2-3)
次に、図25に示した第2の参考例としての角度検出システム102についても、上記実験例2-1と同様の条件下で同様の評価を実施した。図14は、実験例2-3としての角度検出システム102における、回転軸J1と直交すると共に磁気検知素子11~13を含むセンシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図14は、回転角度が0°の状態を表している。図14に示したように実験例2-3では、図10に示した実験例2-1と比較すると、磁束密度を表す等値線が、回転軸J1から遠ざかるほど一対の磁石21,22の各々の対向面に沿った紙面縦方向に対してやや湾曲している。よって、実験例2-1と比較すると、実験例2-3では磁気検知素子11~13による角度検出精度がやや低下することがわかる。
【0056】
図15Aは、実験例2-3としての角度検出システム102において磁気検知素子11~13に印加される検出対象磁場の磁束密度[mT]と、磁場発生モジュール2の回転角度[deg]との関係を表す特性図である。
【0057】
図15Bは、図15Aに示した曲線B11~B13における相互の差分が磁場発生モジュール2の回転角度[deg]によってどのように変化するかを表した特性図である。
【0058】
図15Cは、図15Bに示した曲線Δ1~Δ3から求められる磁場発生モジュール2の回転角度の誤差を表している。本実験例では、誤差の最大値(絶対値)が0.85°となった。
【0059】
このように、本実施の形態の角度検出システム100によれば、高い角度検出精度を確保しつつ、軽量化および小型化を実現できることが確認できた。
【0060】
<3.変形例>
(第1の変形例)
図16は、本発明の第1の変形例としての磁場発生モジュール2Aの外観を表す斜視図である。上記実施の形態で説明した磁場発生モジュール2のヨーク31およびヨーク32は、いずれも円弧状の平面形状を有するようにした。これに対し、第1の変形例としての磁場発生モジュール2Aは、略三角形状の平面形状を有するヨーク31Aおよびヨーク32Aを有するようにした。ヨーク31Aおよびヨーク32Aは、特に、対向する端面同士が略平行となるように配置されている。この第1の変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が期待できる。さらに、この第1の変形例によれば、円弧状の平面形状を有するヨーク31およびヨーク32に比べて、ヨーク31Aおよびヨーク32Aの作製が容易であるうえ、それらヨーク31Aおよびヨーク32Aを磁石21および磁石22に取り付ける際、相対位置の決定および固定が容易である。
【0061】
(第2の変形例)
図17は、本発明の第2の変形例としての磁場発生モジュール2Bの外観を表す斜視図である。第2の変形例としての磁場発生モジュール2Bは、略半円状の平面形状を有するヨーク31Bおよびヨーク32Bを有するようにした。ヨーク31Aおよびヨーク32Aは、特に、対向する端面同士が略平行となるように配置されている。この第2の変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が期待できる。
【0062】
(第3の変形例)
図18は、本発明の第3の変形例としての磁場発生モジュール2Cの外観を表す斜視図である。第3の変形例としての磁場発生モジュール2Cは、略円環状の平面形状を有する一のヨーク30Cを有するようにした。ヨーク30Cは、磁石21および磁石22に対し共通に設けられ、磁石21および磁石22の各々に直接的または間接的に設けられている。すなわち、ヨーク30Cは、磁石21および磁石22の各々と接していてもよいし、磁石21および磁石22の各々との間に他の1以上の部材を介して取り付けられていてもよい。この第3の変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が期待できる。さらに、この第3の変形例によれば、円弧状の平面形状を有するヨーク31およびヨーク32に比べてヨーク30Cの作製が容易であるうえ、部品点数を減らすことができる。
【0063】
(第4の変形例)
図19は、本発明の第4の変形例としての磁場発生モジュール2Dの外観を表す斜視図である。第4の変形例としての磁場発生モジュール2Dは、磁石21および磁石22の代わりに磁石21Dおよび磁石22Dを設けるようにしたことを除き、他は上記実施の形態の磁場発生モジュール2と同じ構成を有する。磁石21Dおよび磁石22Dは、それぞれ、上端部に段差部T21および段差部T22を含むようにしている。段差部T21および段差部T22には、それぞれ、ヨーク31およびヨーク32が取り付けられるようになっている。このように、第4の変形例としての磁場発生モジュール2Dによれば、段差部T21および段差部T22を設けるようにしたので、ヨーク31およびヨーク32を磁石21Dおよび磁石22Dに取り付ける際、ヨーク31およびヨーク32と磁石21Dおよび磁石22Dとの相対位置の決定および固定が容易である。また、低背化を図ることができる。さらに、この第4の変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が期待できる。
【0064】
<4.適用例>
(第1の適用例)
図20Aおよび図20Bは、上記実施の形態で説明した角度検出システム100を有するパークロックシステム200を表す模式図である。パークロックシステム200は、例えば自動車等の車両に搭載され、運転者が車両を駐車場などに駐車する際にシフトレバーをパーキングモードにすることで車両の移動を抑止する機構である。図20Aはロックされていないロック解除状態を表し、図20Bは、ロック状態を表す。パークロックシステム200は、例えば筐体201の内部に設けられたモータ202と、シャフト203と、レバー204と、ロッド205と、係合部206と、ギヤ歯207を有するパーキングギヤ208とを備える。シャフト203は例えば紙面に垂直の方向に延在しており、モータ202により回転可能に設けられている。シャフト203の端部には上記実施の形態の角度検出システム100が設けられており、シャフト203の回転角度を検出するようになっている。紙面に平行に延びるレバー204の基端はシャフト203に固定され、モータ202の駆動により紙面に沿って旋回するようになっている。レバー204の先端にはロッド205の基端が取り付けられており、レバー204の旋回により、紙面左右方向にロッド205が移動するようになっている。ロッド205の先端に設けられた係合部206は、ギヤ歯207と係合および離脱可能になっている。このパークロックシステム200では、図20Aに示したロック解除状態から図20Bに示したロック状態に移行することにより、パーキングギヤ208の回転が制限される。具体的には、モータ202の回転によりシャフト203およびレバー204が紙面において右回転すると、ロッド205が紙面右方向へスライドし、係合部206がギヤ歯207と係合し、パーキングギヤ208がロックされる。反対に、図20Bに示したロック状態から図20Aに示したロック解除状態に移行することにより、パーキングギヤ208の回転の制限が解除される。具体的には、モータ202の回転によりシャフト203およびレバー204が紙面において左回転すると、ロッド205が紙面左方向へスライドし、係合部206がギヤ歯207から離間し、パーキングギヤ208のロックが解除される。ここで、上記実施の形態の角度検出システム100によりシャフト203の回転角度を検出することで、パーキングギヤ208がロック状態にあるか、ロック解除状態にあるかを高い精度で判別することができるようになっている。
【0065】
(第2の適用例)
図21Aおよび図21Bは、上記実施の形態で説明した角度検出システム100を有するペダルシステム300を表す模式図である。図21Aはペダル303のパッド303B(後述)が操作されていない初期状態を表し、図21Bは、パッド303Bが操作されている踏み込み状態を表す。
【0066】
ペダルシステム300は、例えば、筐体301と、筐体301に固定されたシャフト302と、シャフト302が挿通される軸受け部303Aを含み、軸受け部303Aにおいてシャフト302を中心として回動可能に設けられたペダル303と、例えば引張ばねなどの付勢部材304とを備えている。
【0067】
ペダル303は、例えば運転者の足により操作されるパッド303Bと、パッド303Bと軸受け部303Aとをつなぐアーム303Cと、軸受け部303Aを挟んでアーム303Cと反対側に設けられたレバー303Dとを含んでいる。レバー303Dは付勢部材304と接続されており、筐体301の壁部301Wに近づくように付勢部材304により付勢されるようになっている。
【0068】
軸受け部303Aの近傍に設けられた角度検出システム100は、シャフト302を回転中心としたアーム303Cの回転角度を正確に検知し、回転角度に応じた電圧信号(比例信号)を制御装置305に送信するようになっている。制御装置305はこの電圧信号を解析し、電圧信号に応じたスロットルバルブ開度となるように、スロットルバルブの開閉動作の制御を行うようになっている。
【0069】
このペダルシステム300では、図21Aに示した初期状態においてパッド303Bが運転者により踏み込まれることにより、ペダル303がシャフト302を中心として紙面において左回転し、図21Bに示した踏み込み状態へ移行する。その際、スロットルバルブの開度が上昇する。反対に、運転者がパッド303Bの踏み込み量を下げる、あるいは踏み込みをやめることにより、図21Bに示した踏み込み状態から図21Aに示した初期状態に向かうこととなる。その際、スロットルバルブの開度は低下する。
【0070】
このように、ペダルシステム300では、上記実施の形態の角度検出システム100によりアーム303Cの回転角度を正確に検知できるので、スロットルバルブ開度を高い精度で調節することができる。
【0071】
<5.その他の変形例>
以上、実施の形態およびいくつかの変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、磁気検知素子として垂直ホール素子を例示して説明したが、本発明の磁気検出素子は、磁場を検知する機能を有する素子であればよく、例えば異方性磁気抵抗効果素子(AMR素子)やスピンバルブ型の巨大磁気抵抗効果(GMR)素子、トンネル磁気抵抗効果(TMR)素子等の磁気抵抗効果素子(MR素子)等をも含む概念である。GMR素子やTMR素子などのMR素子を用いる場合、回転軸J1と直交する面内における磁場の向きや強度の変化を検知することとなる。本発明では、回転軸方向における磁場強度分布(磁束密度分布)のばらつきを低減できるだけでなく、回転軸と直交する面内における磁場強度分布(磁束密度分布)のばらつきをも低減できるので、MR素子等の、回転軸J1と直交する面内における磁場の向きや強度の変化を検知する磁気検知素子の適用も可能であると考えられる。また、各構成要素の寸法や各構成要素のレイアウトなどは例示であってこれに限定されるものではない。
【0072】
また、上記実施の形態等では、角度検出装置10のセンサ部1が3つの磁気検知素子11~13を有する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の角度検出装置は、例えば磁気検知素子を1つのみ有するようにしてもよいし、2つの磁気検知素子を有するようにしてもよいし、4以上の磁気検知素子を有するようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態等では、角度検出装置10の磁場発生部20が2つの磁石を有する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の角度検出装置は、例えば磁場発生部材を1つのみ有するようにしてもよいし、3以上の磁場発生部材を有するようにしてもよい。
【0074】
また、本発明の角度検出装置では、例えば図22に示した第5の変形例としての磁場発生モジュール2Eのように、回転軸J1に沿った断面がそれぞれ磁石21および磁石22から遠ざかるほど拡大する幅を有する逆台形形状を含むヨーク31Eおよびヨーク32Eを有するようにしてもよい。その場合、磁石21および磁石22からの磁束がヨーク31およびヨーク32において拡大されてより広い範囲に及ぶこととなる。なお、例えば図23に示した第6の変形例としての磁場発生モジュール2Fのように、円柱状をなす単一の磁石23を設けた場合にも同様であり、磁石23から遠ざかるほど拡大する幅を有する逆台形形状を含むヨーク30Fを有するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
100…角度検出システム、10…角度検出装置、1…センサ部、2…磁場発生モジュール、3,4…支持体、11~13…磁気検知素子、20…磁場発生部、21,22…磁石、30…ヨーク部、31,32…ヨーク。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2021-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気検知素子と、
前記磁気検知素子に対して回転軸を中心として回転可能に設けられ、磁場を形成する磁場発生部材と、
前記回転軸に沿った回転軸方向において前記磁場発生部材と前記磁気検知素子との間であって前記磁場の影響が及ぶ磁場影響領域に配置され、前記磁場発生部材と一体に回転可能に設けられたヨークと
を備えた角度検出装置。
【請求項2】
前記ヨークは、前記回転軸方向において前記磁場発生部材と重なり合う位置にある
請求項1記載の角度検出装置。
【請求項3】
前記ヨークは、前記磁場発生部材と接するように設けられている
請求項1または請求項2記載の角度検出装置。
【請求項4】
前記回転軸方向における前記磁場発生部材の高さ寸法は、前記回転軸方向における前記ヨークの高さ寸法よりも大きい
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項5】
前記磁場発生部材は、前記回転軸方向に着磁されている
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項6】
前記磁場発生部材は、略立方体形状または略直方体形状を有する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項7】
前記磁場発生部材は、前記回転軸の周囲において互いに離間して配置された複数の前記磁場発生部材である
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項8】
前記複数の磁場発生部材の各々の材料、形状および大きさは、互いに実質的に同じである
請求項7記載の角度検出装置。
【請求項9】
前記複数の磁場発生部材と前記回転軸との各々の距離は、互いに実質的に等しい
請求項7または請求項8記載の角度検出装置。
【請求項10】
前記複数の磁場発生部材は、前記回転軸を挟んで対向するように配置された第1の磁場発生部材および第2の磁場発生部材を有する
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項11】
前記ヨークの前記回転軸に沿った断面は、前記磁場発生部材から遠ざかるほど拡大する幅を有する逆台形形状を含む
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項12】
前記ヨークは、前記回転軸と直交する面において、前記回転軸を中心として回転する方向に沿って円弧状に湾曲した平面形状を有する
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項13】
前記ヨークは、前記回転軸の周囲において互いに離間して配置された複数の前記ヨークである
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項14】
前記複数のヨークの各々の材料、形状および大きさは、互いに実質的に同じである
請求項13記載の角度検出装置。
【請求項15】
前記複数のヨークと前記回転軸との各々の距離は、互いに実質的に等しい
請求項13または請求項14記載の角度検出装置。
【請求項16】
前記複数のヨークは、前記回転軸を挟んで対向するように配置された第1のヨークおよび第2のヨークを含む
請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項17】
前記磁気検知素子は、前記回転軸方向に沿った感度軸を有する
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項18】
前記磁気検知素子は、複数の前記磁気検知素子である
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の角度検出装置。
【請求項19】
前記複数の磁気検知素子は、前記回転軸方向と直交する面内において互いに異なる位置に設けられている
請求項18記載の角度検出装置。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の角度検出装置と、
前記磁場発生部材を支持する支持体をさらに備え、
前記支持体は、取付穴を有しており、
前記ヨークは、前記磁場発生部材または前記支持体に設けられている
角度検出システム。
【請求項21】
請求項20に記載の前記角度検出システムを有する
パークロックシステム。
【請求項22】
請求項20に記載の前記角度検出システムを有する
ペダルシステム。
【請求項23】
回転軸を中心として回転可能に設けられた磁場発生部材と、
前記回転軸に沿った回転軸方向において、前記磁場発生部材が設けられた領域と異なる領域に配置され、前記磁場発生部材と一体に回転可能に設けられたヨークと
を備える
磁場発生モジュール。
【請求項24】
前記回転軸方向における前記磁場発生部材の第1の高さ寸法は、前記回転軸方向における前記ヨークの第2の高さ寸法よりも大きい
請求項23に記載の磁場発生モジュール。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、磁気検知素子を備えた角度検出装置、角度検出システム、パークロックシステム、ペダルシステム、および磁場発生モジュールに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る角度検出システムの全体構成例を表す概略斜視図である。
図2図1に示した角度検出装置のうちの磁場発生モジュールの平面模式図である。
図3図1に示した角度検出装置のうちの磁場発生モジュールの正面図である。
図4】実験例1-1の角度検出システムにおける回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図5A】実験例1-1の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図5B】実験例1-1の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図5C】実験例1-1の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図6】実験例1-2の角度検出システムにおける回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図7A】実験例1-2の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図7B】実験例1-2の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図7C】実験例1-2の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図8】実験例1-3の角度検出システムにおける回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図9A】実験例1-3の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図9B】実験例1-3の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図9C】実験例1-3の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図10】実験例2-1の角度検出システムにおける回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図11A】実験例2-1の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図11B】実験例2-1の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図11C】実験例2-1の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図12】実験例2-2の角度検出システムにおける回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図13A】実験例2-2の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図13B】実験例2-2の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図13C】実験例2-2の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図14】実験例2-3の角度検出装置における回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。
図15A】実験例2-3の角度検出システムにおいて磁気検知素子に印加される検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表す特性図である。
図15B】実験例2-3の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子にそれぞれ印加される検出対象磁場の磁束密度の差分を表す特性図である。
図15C】実験例2-3の角度検出システムにおいて複数の磁気検知素子によりそれぞれ検知される回転角度の誤差を表す特性図である。
図16】第1の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す斜視図である。
図17】第2の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す斜視図である。
図18】第3の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す斜視図である。
図19】第4の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す斜視図である。
図20A】本発明の一実施の形態に係る角度検出装置を適用した第1の適用例としてのパークロックシステムの第1の模式図である。
図20B】本発明の一実施の形態に係る角度検出装置を適用した第1の適用例としてのパークロックシステムの第2の模式図である。
図21A】本発明の一実施の形態に係る角度検出装置を適用した第2の適用例としてのペダルシステムの第1の模式図である。
図21B】本発明の一実施の形態に係る角度検出装置を適用した第2の適用例としてのペダルシステムの第2の模式図である。
図22】第5の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す正面図である。
図23】第6の変形例としての磁場発生モジュールの外観を表す正面図である。
図24】第1の参考例としての角度検出システムの外観を表す斜視図である。
図25】第2の参考例としての角度検出システムの外観を表す斜視図である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
図1は、角度検出システム100の全体構成例を表す斜視図である。図2は、角度検出システム100のうちの磁場発生モジュール2(後述)の構成要素の、回転軸J1(後述)と直交する面内における相互の位置関係を説明するための平面模式図である。なお、本出願でいう直交とは、完全な直交である90°で交わること、という概念に加え、ほぼ直交(例えば90°±5°程度で交わること)という概念も含むものである。したがって、図1に示した平面模式図は、回転軸J1に対して90°から多少ずれた角度の平面を表すものであってもよい。図2では、センサ部1(後述)から磁場発生モジュール2を眺めた様子を表している。ただし、図2では、センサ部1に含まれる磁気検知素子11~13(後述)の輪郭、および磁場発生モジュール2を支持する支持体4(後述)の輪郭についてもそれぞれ破線で記載している。図3は、磁場発生モジュール2を正面、すなわち回転軸J1と直交する方向から眺めた正面図である。ただし、図3には、支持体4についても併せて記載している。角度検出システム100は、例えば回転動作を行う回転部材の回転角を検出する装置であり、例えば自動車等に搭載される内燃機関のスロットルバルブ開度を検知するスロットル開度センサとして適用可能である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
(センサ部1)
センサ部1は、図2に示したように、複数の磁気検知素子として例えば3つの磁気検知素子11~13を有している。磁気検知素子11~13は、回転軸J1の周囲であって、回転軸方向と直交する面内において互いに異なる位置に設けられている。磁気検知素子11~13の各々から等距離にある中心位置CPは、例えば回転軸J1の位置と一致していることが望ましい。すなわち、磁気検知素子11~13は、回転軸J1から互いに等しい距離にあるとよい。磁気検知素子11~13は、例えばホール素子などの、磁場の強度や向きを検知可能な素子である。磁気検知素子11~13は、いずれも回転軸J1に沿った感度軸を有している。磁気検知素子11~13が例えばホール素子である場合、磁気検知素子11~13は、それぞれ、回転軸J1に沿った磁場強度を検知できる。各々の磁気検知素子11~13において検知された回転軸方向の磁場強度に基づき、以下の数1に記載の演算式で演算することにより角度情報が得られる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
[角度検出システム100の動作]
角度検出システム100では、支持体4が取り付けられた回転体(例えばスロットルバルブの回転シャフト)が回転すると、支持体4、磁場発生部20およびヨーク部30は一体となって回転方向R1に回転する。これに伴い、センサ部1を通過する検出対象磁場(磁束)の向きが周期的に変化することとなる。その結果、センサ部1における磁気検知素子11~13では、磁場発生モジュール2の回転角度に応じて正弦曲線を描くように変化する強度の磁場(磁束)がそれぞれ検知される。したがって、磁気検知素子11~13においてそれぞれ検知される磁場(磁束)の強度の値から磁場発生モジュール2が固定された回転体の回転角度を求めることができる。ただし、磁気検知素子11~13は、磁場発生モジュール2の回転中心である回転軸J1に対し、回転方向R1に沿って相対的に異なる位置に設けられているので、磁気検知素子11~13がそれぞれ検知する磁場強度が描く正弦曲線の位相は互いにずれている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
[角度検出システム100の作用効果]
このように、上記実施の形態の角度検出システム100は、磁気検知素子11~13を含むセンサ部1と、センサ部1に対して回転軸J1を中心として回転可能に設けられ、検出対象磁場を形成する磁石21,22と、回転軸方向において磁石21,22と磁気検知素子11~13との間であって検出対象磁場の影響が及ぶ磁場影響領域に配置され、磁石21,22と一体に回転可能に設けられたヨーク31,32とを備えるようにした。このため、例えば図24に示した第1の参考例としての角度検出システム101のように、ヨークを設けない場合と比較して、角度検出精度が向上する。なお、図24の第1の参考例としての角度検出システム101は、ヨーク31,32を有しないことを除き、他は本実施の形態の角度検出システム100と同じ構成を備えている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
(実験例1-1)
上記実施の形態で説明した角度検出システム100において、5mTの強度を有するノイズ磁場を回転軸方向に印加しつつ磁場発生モジュール2の回転動作を行った際のセンサ部1において検出される磁束密度の変化を、シミュレーションにより求めた。ここでは、回転軸J1と直交する面において、磁気検知素子11~13の各々が本来あるべき位置11A~13Aから紙面右方向へ1mmずれた場合の、すなわち、磁気検知素子11~13の各々から等距離にある中心位置CPが、本来あるべき位置である回転軸J1と重なる位置から磁気検知素子11の方向へ1mmずれた場合のセンサ部1の特性をシミュレーションにより求めた。また、磁石21および磁石22はネオジム磁石( ネオジム、鉄、 ホウ素を主成分とする希土類磁石とし、磁石21および磁石22の各々の寸法は6.0mm×2.5mm×5.0mmとし、距離D21および距離D22は4.75mmとした。また、円弧状のヨーク31,32の各々の材質はSPCC(普通鋼)とし、ヨーク31,32の中心角はそれぞれ108°とし、ヨーク31,32の高さ寸法H31,H32はそれぞれ0.85mmとした。さらに、回転軸方向におけるヨーク31,32と磁気検知素子11~13との距離は1mmとした。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
図4は、実験例1-1としての角度検出システム100における、センシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。センシング面とは、回転軸J1と直交すると共に磁気検知素子11~13を含む面である。なお、図4は、回転角度が0°の状態を表している。図4に示したように実験例1-1では、磁束密度を表す等値線が、少なくとも磁気検知素子11~13と対応する領域において、一対の磁石21,22の各々の対向面に沿って紙面縦方向に延びている。したがって、磁気検知素子11~13に対し、比較的均質な強度(磁束密度)の磁場を付与することができることがわかる。よって、磁気検知素子11~13による角度検出精度の向上に有利であることがわかる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
図5Aは、実験例1-1としての角度検出システム100において磁気検知素子11~13に印加される検出対象磁場の磁束密度[mT]と、磁場発生モジュール2の回転角度[deg]との関係を表す特性図である。図5Aにおいて、曲線B11は、磁気検知素子11が検知する検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表し、曲線B12は、磁気検知素子12が検知する検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表し、曲線B13は、磁気検知素子13が検知する検出対象磁場の磁束密度の回転角度依存性を表している。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
(実験例1-2)
次に、図24に示した第1の参考例としての角度検出システム101についても、上記実験例1-1と同様の条件下で同様の評価を実施した。図6は、実験例1-2としての角度検出システム101における、上記センシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図6は、回転角度が0°の状態を表している。図6に示したように実験例1-2では、図4に示した実験例1-1と比較すると、磁束密度を表す等値線が、回転軸J1から遠ざかるほど一対の磁石21,22の各々の対向面に沿った紙面縦方向に対して大きく湾曲している。したがって、磁気検知素子11~13に対し、比較的ばらつきの大きな強度(磁束密度)の磁場を付与することとなる。よって、磁気検知素子11~13による角度検出精度の低下を招くことがわかる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
(実験例1-3)
次に、図25に示した第2の参考例としての角度検出システム102についても、上記実験例1-1と同様の条件下で同様の評価を実施した。図8は、実験例1-3としての角度検出システム102における、上記センシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図8は、回転角度が0°の状態を表している。図8に示したように実験例1-3では、図4に示した実験例1-1と比較すると、磁束密度を表す等値線が、回転軸J1から遠ざかるほど一対の磁石21,22の各々の対向面に沿った紙面縦方向に対してやや湾曲している。よって、実験例1-1と比較すると、実験例1-3では磁気検知素子11~13による角度検出精度がやや低下することがわかる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
(実験例2-1)
次に、上記実施の形態で説明した図1の角度検出システム100において、5mTの強度を有するノイズ磁場を回転軸J1と直交する方向に印加しつつ磁場発生モジュール2の回転動作を行った際のセンサ部1において検出される磁束密度の変化を、シミュレーションにより求めた。ノイズ磁場の方向が異なることを除き、他は実験例1-1と同様の条件にて実験例1-1と同様の評価を実施した。図10は、実験例2-1としての角度検出システム100における、上記センシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図10は、回転角度が0°の状態を表している。図10に示したように実験例2-1では、図4に示した実験例1-1と同様、磁束密度を表す等値線が、少なくとも磁気検知素子11~13と対応する領域において、一対の磁石21,22の各々の対向面に沿って紙面縦方向に延びている。したがって、磁気検知素子11~13に対し、比較的均質な強度(磁束密度)の磁場を付与することができることがわかる。よって、磁気検知素子11~13による角度検出精度の向上に有利であることがわかる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
(実験例2-2)
次に、図24に示した第1の参考例としての角度検出システム101についても、上記実験例2-1と同様の条件下で同様の評価を実施した。図12は、実験例2-2としての角度検出システム101における、上記センシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図12は、回転角度が0°の状態を表している。図12に示したように実験例2-2では、図10に示した実験例-1と比較すると、磁束密度を表す等値線が、回転軸J1から遠ざかるほど一対の磁石21,22の各々の対向面に沿った紙面縦方向に対して大きく湾曲している。したがって、磁気検知素子11~13に対し、比較的ばらつきの大きな強度(磁束密度)の磁場を付与することとなる。よって、磁気検知素子11~13による角度検出精度の低下を招くことがわかる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
(実験例2-3)
次に、図25に示した第2の参考例としての角度検出システム102についても、上記実験例2-1と同様の条件下で同様の評価を実施した。図14は、実験例2-3としての角度検出システム102における、上記センシング面での回転軸方向の磁束密度分布を模式的に表すコンター図である。なお、図14は、回転角度が0°の状態を表している。図14に示したように実験例2-3では、図10に示した実験例2-1と比較すると、磁束密度を表す等値線が、回転軸J1から遠ざかるほど一対の磁石21,22の各々の対向面に沿った紙面縦方向に対してやや湾曲している。よって、実験例2-1と比較すると、実験例2-3では磁気検知素子11~13による角度検出精度がやや低下することがわかる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
<3.変形例>
(第1の変形例)
図16は、本発明の上記実施の形態の第1の変形例としての磁場発生モジュール2Aの外観を表す斜視図である。上記実施の形態で説明した磁場発生モジュール2のヨーク31およびヨーク32は、いずれも円弧状の平面形状を有するようにした。これに対し、第1の変形例としての磁場発生モジュール2Aは、略三角形状の平面形状を有するヨーク31Aおよびヨーク32Aを有するようにした。ヨーク31Aおよびヨーク32Aは、特に、対向する端面同士が略平行となるように配置されている。この第1の変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が期待できる。さらに、この第1の変形例によれば、円弧状の平面形状を有するヨーク31およびヨーク32に比べて、ヨーク31Aおよびヨーク32Aの作製が容易であるうえ、それらヨーク31Aおよびヨーク32Aを磁石21および磁石22に取り付ける際、相対位置の決定および固定が容易である。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
(第2の変形例)
図17は、本発明の上記実施の形態の第2の変形例としての磁場発生モジュール2Bの外観を表す斜視図である。第2の変形例としての磁場発生モジュール2Bは、略半円状の平面形状を有するヨーク31Bおよびヨーク32Bを有するようにした。ヨーク31およびヨーク32は、特に、対向する端面同士が略平行となるように配置されている。この第2の変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が期待できる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
(第3の変形例)
図18は、本発明の上記実施の形態の第3の変形例としての磁場発生モジュール2Cの外観を表す斜視図である。第3の変形例としての磁場発生モジュール2Cは、略円環状の平面形状を有する一のヨーク30Cを有するようにした。ヨーク30Cは、磁石21および磁石22に対し共通に設けられ、磁石21および磁石22の各々に直接的または間接的に設けられている。すなわち、ヨーク30Cは、磁石21および磁石22の各々と接していてもよいし、磁石21および磁石22の各々との間に他の1以上の部材を介して取り付けられていてもよい。この第3の変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が期待できる。さらに、この第3の変形例によれば、円弧状の平面形状を有するヨーク31およびヨーク32に比べてヨーク30Cの作製が容易であるうえ、部品点数を減らすことができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
(第4の変形例)
図19は、本発明の上記実施の形態の第4の変形例としての磁場発生モジュール2Dの外観を表す斜視図である。第4の変形例としての磁場発生モジュール2Dは、磁石21および磁石22の代わりに磁石21Dおよび磁石22Dを設けるようにしたことを除き、他は上記実施の形態の磁場発生モジュール2と同じ構成を有する。磁石21Dおよび磁石22Dは、それぞれ、上端部に段差部T21および段差部T22を含むようにしている。段差部T21および段差部T22には、それぞれ、ヨーク31およびヨーク32が取り付けられるようになっている。このように、第4の変形例としての磁場発生モジュール2Dによれば、段差部T21および段差部T22を設けるようにしたので、ヨーク31およびヨーク32を磁石21Dおよび磁石22Dに取り付ける際、ヨーク31およびヨーク32と磁石21Dおよび磁石22Dとの相対位置の決定および固定が容易である。また、低背化を図ることができる。さらに、この第4の変形例においても、上記実施の形態と同様の作用効果が期待できる。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
<4.適用例>
(第1の適用例)
図20Aおよび図20Bは、上記実施の形態で説明した角度検出システム100を有するパークロックシステム200を表す模式図である。パークロックシステム200は、例えば自動車等の車両に搭載され、運転者が車両を駐車場などに駐車する際にシフトレバーをパーキングモードにすることで車両の移動を抑止する機構である。図20Aはロックされていないロック解除状態を表し、図20Bは、ロック状態を表す。パークロックシステム200は、例えば筐体201の内部に設けられたモータ202と、シャフト203と、レバー204と、ロッド205と、係合部206と、ギヤ歯207を有するパーキングギヤ208とを備える。シャフト203は例えば紙面に垂直の方向に延在しており、モータ202により回転可能に設けられている。シャフト203の端部には上記実施の形態の角度検出システム100が設けられており、シャフト203の回転角度を検出するようになっている。紙面に平行に延びるレバー204の基端はシャフト203に固定され、レバー204は、モータ202の駆動により紙面に沿って旋回するようになっている。レバー204の先端にはロッド205の基端が取り付けられており、レバー204の旋回により、紙面左右方向にロッド205が移動するようになっている。ロッド205の先端に設けられた係合部206は、ギヤ歯207と係合および離脱可能になっている。このパークロックシステム200では、図20Aに示したロック解除状態から図20Bに示したロック状態に移行することにより、パーキングギヤ208の回転が制限される。具体的には、モータ202の回転によりシャフト203およびレバー204が紙面において右回転すると、ロッド205が紙面右方向へスライドし、係合部206がギヤ歯207と係合し、パーキングギヤ208がロックされる。反対に、図20Bに示したロック状態から図20Aに示したロック解除状態に移行することにより、パーキングギヤ208の回転の制限が解除される。具体的には、モータ202の回転によりシャフト203およびレバー204が紙面において左回転すると、ロッド205が紙面左方向へスライドし、係合部206がギヤ歯207から離間し、パーキングギヤ208のロックが解除される。ここで、上記実施の形態の角度検出システム100によりシャフト203の回転角度を検出することで、パーキングギヤ208がロック状態にあるか、ロック解除状態にあるかを高い精度で判別することができるようになっている。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
軸受け部303Aの近傍に設けられた角度検出システム100は、シャフト302を回転中心としたアーム303Cの回転角度を正確に検出し、回転角度に応じた電圧信号(比例信号)を制御装置305に送信するようになっている。制御装置305はこの電圧信号を解析し、電圧信号に応じたスロットルバルブ開度となるように、スロットルバルブの開閉動作の制御を行うようになっている。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
また、上記実施の形態等では、角度検出装置10の磁場発生部20が磁場発生部材として2つの磁石を有する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の角度検出装置は、例えば磁場発生部材を1つのみ有するようにしてもよいし、3以上の磁場発生部材を有するようにしてもよい。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
また、本発明の角度検出装置では、例えば図22に示した第5の変形例としての磁場発生モジュール2Eのように、回転軸J1に沿った断面がそれぞれ磁石21および磁石22から遠ざかるほど拡大する幅を有する逆台形形状を含むヨーク31Eおよびヨーク32Eを有するようにしてもよい。その場合、磁石21および磁石22からの磁束がヨーク31およびヨーク32において拡大されてより広い範囲に及ぶこととなる。なお、例えば図23に示した第6の変形例としての磁場発生モジュール2Fのように、円柱状をなす単一の磁石23を設けた場合にも同様であり、磁石23から遠ざかるほど拡大する幅を有する逆台形形状を含むヨーク30Fを有するようにしてもよい。