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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134418
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】鼻呼吸測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/087 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A61B5/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033533
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520089716
【氏名又は名称】株式会社サイエンスエナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】笹原 一将
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宜史
(72)【発明者】
【氏名】槇 宏太郎
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038SS04
4C038SU04
4C038SU06
4C038SX02
4C038VB40
(57)【要約】
【課題】日常的に、長時間違和感なく使用できる鼻呼吸測定装置を提供する。
【解決手段】鼻呼吸測定装置1は、患者100の鼻呼吸に関する情報を測定する測定部2と、測定部2に電力を供給する電源部3と、測定部2及び電源部3を支持し、患者100の鼻110に装着される装着部5と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の鼻呼吸に関する情報を測定する測定部と、
前記測定部に電力を供給する電源部と、
前記測定部及び前記電源部を支持し、前記患者の鼻に装着される装着部と、を備える、鼻呼吸測定装置。
【請求項2】
前記装着部が前記患者の鼻に装着された状態において当該鼻の外に露出する装置部分が、前記患者の鼻と上唇との間に収まる大きさである、請求項1に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項3】
前記装着部に支持され、外部装置と無線通信する通信部を備える、請求項1または2に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項4】
前記装着部には、前記患者の鼻の一部が挟み込まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項5】
前記装着部は、前記患者の鼻中隔を挟み込む一対の突起部を備える、請求項4に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項6】
前記患者の左側の鼻孔に流体連通する第1測定流路と、
前記第1測定流路と独立し、前記患者の右側の鼻孔に流体連通する第2測定流路と、が形成され、
前記測定部は、
前記第1測定流路に配置された第1測定部と、
前記第2測定流路に配置された第2測定部と、を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項7】
前記第1測定流路及び前記第2測定流路の開口は、装置の左右の側面に背向して形成されている、請求項6に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項8】
前記測定部は、圧力センサを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の鼻呼吸測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻呼吸測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載の睡眠状態判定システムが知られている。この睡眠状態判定システムは、患者の左右の鼻孔に差し込まれる呼吸測定器と、呼吸測定器で測定されたデータを解析して睡眠状態を判定するデータ処理装置と、を備えている(特許文献1の図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-260127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記睡眠状態判定システムにおいては、呼吸測定器とデータ処理装置とがケーブルで接続されている。しかしながら、患者の鼻に装着された呼吸測定器から延びるケーブルが、患者の頬などに当たると、患者に不快感を与える虞がある。また、上記睡眠状態判定システムは、睡眠時ではなく、例えば、日中の患者の自然な鼻呼吸を長時間に亘ってモニタリングするには、デバイスが大掛かりであり、適していない。Nasal cycleに代表される、鼻の生理学的周期性を持つ現象に関連する調査のためには、日常的に、長時間違和感なく使用できるデバイスが必要である。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、日常的に、長時間違和感なく使用できる鼻呼吸測定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置は、患者の鼻呼吸に関する情報を測定する測定部と、前記測定部に電力を供給する電源部と、前記測定部及び前記電源部を支持し、前記患者の鼻に装着される装着部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記装着部が前記患者の鼻に装着された状態において当該鼻の外に露出する装置部分が、前記患者の鼻と上唇との間に収まる大きさである。
【0008】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記装着部に支持され、外部装置と無線通信する通信部を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記装着部には、前記患者の鼻の一部が挟み込まれる。
【0010】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記装着部は、前記患者の鼻中隔を挟み込む一対の突起部を備える。
【0011】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記患者の左側の鼻孔に流体連通する第1測定流路と、前記第1測定流路と独立し、前記患者の右側の鼻孔に流体連通する第2測定流路と、が形成され、前記測定部は、前記第1測定流路に配置された第1測定部と、前記第2測定流路に配置された第2測定部と、を備える。
【0012】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記第1測定流路及び前記第2測定流路の開口は、装置の左右側面に背向して形成されている。
【0013】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記測定部は、圧力センサを備える。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の一態様によれば、日常的に、長時間違和感なく使用できる鼻呼吸測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る鼻呼吸測定装置が患者の鼻に装着されている様子を示す正面図である。
図2】一実施形態に係る鼻呼吸測定装置の背面側斜視図である。
図3】一実施形態に係る鼻呼吸測定装置の断面構成図である。
図4】一実施形態に係る装着部の平面図である。
図5】一実施形態に係る装着部の底面図である。
図6】一実施形態に係る鼻呼吸測定装置の測定結果の一例を示すグラフである。
図7】一実施形態に係る鼻呼吸測定装置の測定結果の一例であって(a)圧力センサと(b)温度センサの測定結果の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、一実施形態に係る鼻呼吸測定装置1が患者100の鼻110に装着されている様子を示す正面図である。
図1に示すように、鼻呼吸測定装置1は、測定部2と、電源部3と、通信部4と、装着部5と、を備えている。
【0018】
なお、図1中、符号100は患者、符号110は患者の鼻、符号120は患者の口を示している。鼻110は、左右の鼻孔111、左右の鼻孔111を隔てる鼻中隔112、鼻110の先端である鼻尖113、及び鼻110の左右に膨らむ鼻翼114を備えている。口120は、上唇121、下唇122を備えている。
【0019】
測定部2は、患者100の鼻呼吸に関する情報を測定する。本実施形態の測定部2は、圧力センサである。圧力センサは、患者100の鼻呼吸に伴うデバイス周囲の気流の流れによる圧力変化を測定する。この圧力センサは、絶対圧センサが好ましい。なお、測定部2は、温度センサであってもよい。温度センサは、患者100の鼻呼吸に伴うデバイス周囲の気流の流れによるデバイスの温度変化を測定する。また、測定部2は、その他のセンサ、例えば、湿度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、脈波センサ、あるいは流量センサであっても構わない。また、測定部2は、複数種のセンサを併用していても構わない。
【0020】
電源部3は、測定部2や通信部4に電力を供給する。本実施形態の電源部3は、空気電池である。空気電池は、正極活物質として空気中の酸素、負極活物質として金属を用いる電池であり、正極側の活物質が酸素なので、電池容器内に正極活物質を充填する必要が無く、小型且つ長時間の使用に適している。なお、電源部3は、電池容器内に正極活物質を充填した通常の一次電池や、充電可能な二次電池であっても構わない。
【0021】
通信部4は、図示しない外部装置と無線通信する無線通信モジュールである。外部装置は、例えば、測定部2の測定結果を受信し、患者100の鼻呼吸の状態(流量など)を演算するデータ処理装置である。鼻呼吸測定装置1は、通信部4の代わりに、または、通信部4と共に、測定部2の測定結果を記憶する記憶部を備えてもよい。記憶部は、例えば、不揮発性メモリであり、デバイスを患者100から取り外したときに、当該メモリに記憶された測定結果を取り出すようにしても構わない。
【0022】
測定部2、電源部3、及び通信部4は、基板6に実装されている。装着部5は、基板6を介して測定部2、電源部3、及び通信部4を支持し、患者100の鼻110に装着される。装着部5は、患者100の鼻110の一部を挟み込む。本実施形態の装着部5は、患者100の左右の鼻孔111に差し込まれ、鼻孔111内で鼻中隔112を挟み込む。なお、装着部5は、患者100の鼻尖113を挟み込んでもよいし、患者100の鼻翼114を挟み込む構成であっても構わない。
【0023】
図1に示すように、鼻呼吸測定装置1は、装着部5が患者100の鼻110に装着された状態において当該鼻110の外に露出する装置部分が、患者100の鼻110と上唇121との間に収まる大きさとなっている。すなわち、当該露出部分は、患者100の人中の長さ(例えば20mm)以下の大きさとなっている。好ましくは、当該露出部分が、10mm程度で、装置の全高(上下方向の寸法)が20mm程度であるとよい。これにより、患者100の鼻110に装着された鼻呼吸測定装置1が、患者100の口120を塞いだり、食事や発声の邪魔になることを抑制できる。
【0024】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の構成及び位置関係について説明する。なお、X軸方向は、左右方向である。Y軸方向は、前後方向である。Z軸方向は、上下方向である。また、X軸方向の+側は、人体の左側とし、-側は右側とする。Y軸方向の+側は、人体の背面側とし、-側は正面側とする。Z軸方向の+側は、人体の上側とし、-側は下側とする。
【0025】
図2は、一実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の背面側斜視図である。図3は、一実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の断面構成図である。図4は、一実施形態に係る装着部5の平面図である。図5は、一実施形態に係る装着部5の底面図である。
図2に示すように、装着部5は、一対の突起部10と、一対の突起部10の間を接続する接続部11と、を備えている。装着部5は、略U字状に形成されている。
【0026】
装着部5は、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂など、ある程度の剛性を有する材料から形成されている。なお、装着部5の全部もしくは一部(例えば鼻中隔112を挟む部分など)は、フッ素樹脂(PTFE)やPEEK樹脂、シリコーンゴムなどの生体適合性を有し、かつ弾性を有する材料から形成されていても構わない。
【0027】
接続部11は、X軸方向に延びている。図3に示すように、接続部11の上面11a及び下面11cは、X-Y平面に平行に形成されている。接続部11の左右の側面11bは、下側(-Z側)に向かうに従って、接続部11のX軸方向の寸法が小さくなるように傾斜している。
【0028】
一対の突起部10は、X軸方向に間隔をあけて配置され、接続部11から上側(+Z側)に向かって延びている。一対の突起部10は、上側に向かうに従って、X軸方向の寸法(図3参照)及びY軸方向の寸法(図2及び図4参照)が小さくなる先細り形状を有している。
【0029】
図3に示す、一対の突起部10がX軸方向で互いに対向する対向面10aは、患者100の鼻中隔112に接触する。一方、接続部11の上面11aは、患者100の鼻孔111外の鼻中隔112の先端面に接触する。つまり、装着部5の患者100の鼻110への装着時において、一対の突起部10は、鼻孔111内に配置され、接続部11は、鼻孔111外に配置される。
【0030】
突起部10の対向面10aは、第1平面10a1と、第2平面10a2とを含む。第1平面10a1は、Y-Z平面に平行な平面であり、突起部10の対向面10aにおける先端部に形成されている。第1平面10a1は、鼻中隔112と接触する。なお、突起部10の対向面10aにおける先端部は、鼻中隔112を形成する皮膚や粘膜と接触するため、丸みを帯びた曲面になっていても構わない。
【0031】
第2平面10a2は、第1平面10a1に対し角度θ1で、X軸方向外側に向かって傾斜している。第2平面10a2は、第1平面10a1の下端から、接続部11の上面11aまで延びている。第2平面10a2は、鼻中隔112と接触してもよいし、鼻中隔112から離れ、第1平面10a1における鼻中隔112に対する接触圧を高める構成であってもよい。
【0032】
突起部10の鼻中隔112と接触しない非接触部分の少なくとも一部は、流線型に形成されている。つまり、突起部10の第1平面10a1ないし第2平面10a2以外は、全て流線型であってもよい。図3に示すように、一対の突起部10のX軸方向で互いに背向する側面10bは、第1曲面10b1と、第2曲面10b2と、を含む。
【0033】
第1曲面10b1は、突起部10の側面10bにおける先端部から略中腹部にかけて形成されている。第1曲面10b1は、下側(-Z側)に向かうに従って、Y-Z平面に対する角度θ2が漸次大きくなる形状を有する。これにより、患者100の鼻孔111内の気流が、鼻中隔112の側面から突起部10の側面10bに滑らかに流れ、突起部10の先端部において気流の剥離や淀み、渦などが発生し難くなる。
【0034】
第2曲面10b2は、第1曲面10b1の下端に連なり、突起部10の側面10bにおける略中腹部から突起部10の根本部(接続部11と交わる部分)にかけて形成されている。第1曲面10b1は、下側(-Z側)に向かうに従って、Y-Z平面に対する角度θ3が漸次小さくなる形状を有する。これにより、一対の突起部10の左右の広がりを抑制し、一対の突起部10が挿入される鼻孔111が狭くならないようにしている。
【0035】
装着部5には、患者100の鼻孔111に流体連通する測定流路12が形成されている。なお、「鼻孔に流体連通する」とは、測定流路12が、鼻孔111内に限らず、本実施形態のように、鼻孔111外に配置される場合であっても、鼻呼吸による流体の流れの影響を受ける位置に連通していることをいう。
【0036】
測定流路12は、測定部2が配置される測定室13と、測定室13から装着部5の側面まで延びる接続流路14と、を備えている。測定室13は、装着部5の下面11cに形成されている。接続流路14は、Z軸方向に延び測定室13に接続される第1流路14aと、X軸方向に延び第1流路14aと直角に交わって装着部5の側面(接続部11の側面11b)に接続される第2流路14bと、を備えている。なお、第2流路14bは、必ずしも第1流路14aに対し、直角に交わらなくてもよい。
【0037】
図5に示すように、測定室13は、底面視で円形に形成されている。なお、測定室13の形状は、底面視で円形に限らず、矩形や多角形などであっても構わない。接続流路14(第1流路14a)は、測定室13に対し偏心した位置で接続されている。接続流路14の第1流路14aの軸と、測定部2のセンシング部分の軸とが一致する位置関係にすることで、測定部2の感度を高めることができる。それに対して、両者の軸を一致させないことで、測定部2の耐久性や安定性を高めることもできる。これは、デバイスの設計者が任意に設定するとよい。
【0038】
測定流路12の開口15は、接続部11の側面11bに形成されている。測定流路12の開口15は、患者100の鼻呼吸による流体の流れに略直交する向きに形成されている。これにより、患者100の鼻呼吸による流体が、測定流路12の開口15を介して第2流路14bに流入し難くなり、測定部2(圧力センサ)が静圧を測定することが可能となる。静圧は、周知のように流量に変換し易い。なお、患者100の鼻呼吸による流体が、測定流路12に流入する場合、測定部2が全圧を測定する構成であっても構わない。
【0039】
測定流路12の開口15は、接続部11の側面11bにおいて、装着部5の背面側(+Y側)に配置されている。図5に示すように、鼻孔111は、個人差にもよるが背面側に広がっている場合が多いため、測定流路12の開口15を背面側(+Y側)に配置することで、鼻孔111の略中心を流れる流体の静圧や全圧を測定し易くなり、鼻呼吸の測定精度を高めることができる。
【0040】
装着部5には、上記測定流路12として、患者100の左側の鼻孔111に流体連通する第1測定流路12Aと、第1測定流路12Aと独立し、患者100の右側の鼻孔111に流体連通する第2測定流路12Bと、が形成されている。測定部2は、図3に示すように、第1測定流路12Aに配置された第1測定部2Aと、第2測定流路12Bに配置された第2測定部2Bと、を備えている。第1測定流路12A及び第2測定流路12Bの開口15は、装着部5の左右の側面11bに背向して形成されている。
【0041】
装着部5の下面11cは、接着剤20を介して基板6と接合されている。基板6は、測定室13の底面を封止している。この測定室13の周囲には、シール材21が配置されている。シール材21は、Z軸方向に延びる円筒状に形成され、装着部5と基板6とを接合したときに圧縮されて測定室13の気密性を確保している。
【0042】
上記構成の鼻呼吸測定装置1によれば、患者100が鼻呼吸すると、流体が装着部5の側面11bに沿って流れる。装着部5の側面11bには、測定流路12の開口15が形成されており、測定部2は、鼻呼吸の主流から離れた位置で、鼻呼吸に伴うデバイス周囲の圧力変化(例えば静圧の変化)を測定することができる。また、装着部5には、患者100の左右の鼻孔111に流体連通する、互いに独立した第1測定流路12A及び第2測定流路12Bが形成されており、第1測定部2A及び第2測定部2Bにおいて左右の鼻呼吸情報をそれぞれ独立して取得することができる。
【0043】
図6は、一実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の測定結果の一例を示すグラフである。
図6において、「Pressure(R)」は、第2測定部2Bの計測結果(圧力)を示している。また、「Pressure(L)」は、第1測定部2Aの計測結果(圧力)を示している。「Flow rate」は、参照値として、市販の流量計(Sensirion製、SFM3300)の計測結果(流量)を示している。図6に示すように、「Pressure(R)」及び「Pressure(L)」は、鼻呼吸のリズム及び「Flow rate」の流量に同期して変化していることが確認できる。したがって、「Pressure(R)」及び「Pressure(L)」から患者100の左右の鼻呼吸に関する情報を取得できていることが分かる。
【0044】
図7は、一実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の測定結果の一例であって(a)圧力センサと(b)温度センサの測定結果の一例を示すグラフである。
図7に示すように、圧力センサと温度センサを併用することにより、鼻呼吸における圧力変化および温度変化を同時に計測することができる。測定値の波形から、鼻呼吸に追従して圧力も温度も変化していることが確認できる。なお、温度が上昇するのは、空気を吐くときに、デバイスが温められるためである。また、温度が下降するのは、外気を吸い込むときに、デバイスが冷やされるためである。このため、温度の波形から患者100が空気を吐いているのか吸っているのかを判定することができる。ちなみに、温度の平均値が徐々に上昇しているのは、患者100の体温によってデバイスが徐々に温められるためである。
【0045】
上述した本実施形態の鼻呼吸測定装置1は、図1に示すように、患者100の鼻呼吸に関する情報を測定する測定部2と、測定部2に電力を供給する電源部3と、測定部2及び電源部3を支持し、患者100の鼻110に装着される装着部5と、を備えている。この構成によれば、測定部2、電源部3、及び装着部5がひとまとまりとなって、患者100の鼻110に装着され、鼻呼吸測定装置1にケーブルなどを接続することなく、デバイス単体で鼻呼吸に関する情報を測定できる。このような小型の鼻呼吸測定装置1は、装着された患者100に与える不快感が少なく、日常的に、長時間違和感なく使用できる。
【0046】
また、本実施形態の鼻呼吸測定装置1は、装着部5が患者100の鼻110に装着された状態において当該鼻110の外に露出する装置部分が、患者100の鼻110と上唇121との間に収まる大きさである。この構成によれば、患者100の鼻110に装着された鼻呼吸測定装置1が、患者100の口120を塞いだり、食事や発声の邪魔になることを抑制できる。
【0047】
また、本実施形態の鼻呼吸測定装置1は、装着部5に支持され、外部装置と無線通信する通信部4を備える。この構成によれば、通信部4によって測定部2の測定結果を逐次無線で外部装置に伝達することで、例えば鼻呼吸測定装置1自体に測定結果を蓄積する記憶部を設ける必要がなく、装置を小型化することができる。
【0048】
また、本実施形態において、装着部5は、患者100の鼻110の一部を挟み込む。この構成によれば、患者100の鼻110に簡単に鼻呼吸測定装置1を装着できる。
【0049】
また、本実施形態において、装着部5は、患者100の鼻中隔112を挟み込む一対の突起部10を備える。この構成によれば、患者100の鼻110への装着が一対の突起部10によって可能になるため、装着部5の装置構成がコンパクトであり、また、鼻尖113や鼻翼114に装着する場合に比べて、装着安定性を高めることができる。
【0050】
また、本実施形態において、患者100の左側の鼻孔111に流体連通する第1測定流路12Aと、第1測定流路12Aと独立し、患者100の右側の鼻孔111に流体連通する第2測定流路12Bと、が形成され、測定部2は、第1測定流路12Aに配置された第1測定部2Aと、第2測定流路12Bに配置された第2測定部2Bと、を備える。この構成によれば、患者100の左右の鼻呼吸に関する情報をそれぞれ独立して取得することが可能になる。したがって、Nasal cycleなどを長期間に亘って、患者100へのストレスを最小限にしてモニタリングすることができる。
【0051】
また、本実施形態において、第1測定流路12A及び第2測定流路12Bの開口15は、装置の左右の側面11bに背向して形成されている。この構成によれば、患者100の左右のいずれか一方の鼻呼吸が、他方の外乱になり難くなり、患者100の左右の鼻呼吸に関する情報を精度よく測定できる。
【0052】
また、本実施形態において、測定部2は、圧力センサを備える。この構成によれば、患者100の鼻呼吸に伴うデバイス周囲の気流の流れによる圧力変化から、患者100の鼻呼吸に関する情報を取得することができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0054】
1…鼻呼吸測定装置、2…測定部、2A…第1測定部、2B…第2測定部、3…電源部、4…通信部、5…装着部、6…基板、10…突起部、10a…対向面、10a1…第1平面、10a2…第2平面、10b…側面、10b1…第1曲面、10b2…第2曲面、11…接続部、11a…上面、11b…側面、11c…下面、12…測定流路、12A…第1測定流路、12B…第2測定流路、13…測定室、14…接続流路、14a…第1流路、14b…第2流路、15…開口、20…接着剤、21…シール材、100…患者、110…鼻、111…鼻孔、112…鼻中隔、113…鼻尖、114…鼻翼、120…口、121…上唇、122…下唇、θ1…角度、θ2…角度、θ3…角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7