(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134419
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】鼻呼吸測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/087 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A61B5/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033534
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520089716
【氏名又は名称】株式会社サイエンスエナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】笹原 一将
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宜史
(72)【発明者】
【氏名】槇 宏太郎
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038SS04
4C038SU01
4C038SU04
4C038SU06
4C038SX02
4C038VB40
(57)【要約】
【課題】日常生活に支障なく患者に装着できる鼻呼吸測定装置の提供。
【解決手段】鼻呼吸測定装置1は、患者の鼻呼吸に関する情報を測定する測定部2と、測定部2を支持し、患者の鼻に装着される装着部5と、を備え、装着部5には、患者100の鼻孔に流体連通して測定部2を配置する測定流路12が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の鼻呼吸に関する情報を測定する測定部と、
前記測定部を支持し、前記患者の鼻に装着される装着部と、を備え、
前記装着部には、前記患者の鼻孔に流体連通して前記測定部を配置する測定流路が形成されている、鼻呼吸測定装置。
【請求項2】
前記装着部には、前記患者の鼻の鼻中隔、鼻尖、鼻翼の少なくとも一つが挟み込まれる、請求項1に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項3】
前記装着部は、前記患者の鼻の鼻中隔を挟み込む一対の突起部を備える、請求項1または2に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項4】
前記突起部の前記鼻中隔と接触しない非接触部分の少なくとも一部は、流線型に形成されている、請求項3に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項5】
前記測定流路の開口は、前記装着部の側面に形成されている、請求項3または4に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項6】
前記装着部は、前記一対の突起部の間を接続する接続部を備え、
前記測定流路の開口は、前記接続部の側面に形成されている、請求項5に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項7】
前記測定流路の開口は、前記突起部の側面に形成されている、請求項5に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項8】
前記装着部には、前記患者の鼻孔に対向する検査体積を形成する貫通流路形成部が設けられ、
前記測定流路の開口は、前記貫通流路形成部の内壁面において、前記検査体積の中心軸に直交する向きに形成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項9】
前記貫通流路形成部の内壁面において、前記貫通流路形成部の鼻孔に対向する側の一端部、及び、前記一端部と反対側の他端部の少なくとも一方には、外部に向かって拡径するテーパー部が形成されている、請求項8に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項10】
前記貫通流路形成部の少なくとも前記鼻孔に対向する側の一端部は、前記患者の鼻孔に挿入可能な筒状に形成されている、請求項8または9に記載の鼻呼吸測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻呼吸測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載の流量測定装置が知られている。この流量測定装置は、流れ導管と、上流側検出管とを有し、該上流側検出管が、流れ導管内に配置され且つ流れに対面して配置されるノッチを備え、下流側検出管を有し、該下流側検出管が、流れ導管内に配置され且つ流れに背を向けて配置されるノッチを備え、上流側検出管及び下流側検出管に作動的に連結されて、両検出管から信号を受ける変換器を更に有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような鼻呼吸測定装置は、鼻カニューレに代表されるように、チューブを鼻腔内部へと挿入し、チューブを介して変換器(フローセンサ若しくは差圧センサ)により、鼻呼吸に関する情報を測定する(特許文献1の
図1参照)。しかしながら、この鼻呼吸測定装置を装着した患者は、頭部もしくは頭部および胴部に及ぶまでの範囲にチューブやセンサを張り巡らされ、日常と比較し生活に何かしらの支障をきたすことは想像に難くない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、日常生活に支障なく患者に装着できる鼻呼吸測定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置は、患者の鼻呼吸に関する情報を測定する測定部と、前記測定部を支持し、前記患者の鼻に装着される装着部と、を備え、前記装着部には、前記患者の鼻孔に流体連通して前記測定部を配置する測定流路が形成されている。
【0007】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記装着部には、前記患者の鼻の鼻中隔、鼻尖、鼻翼の少なくとも一つが挟み込まれる。
【0008】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記装着部は、前記患者の鼻の鼻中隔を挟み込む一対の突起部を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記突起部の前記鼻中隔と接触しない非接触部分の少なくとも一部は、流線型に形成されている。
【0010】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記測定流路の開口は、前記装着部の側面に形成されている。
【0011】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記装着部は、前記一対の突起部の間を接続する接続部を備え、前記測定流路の開口は、前記接続部の側面に形成されている。
【0012】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記測定流路の開口は、前記突起部の側面に形成されている。
【0013】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記装着部には、前記患者の鼻孔に対向する検査体積を形成する貫通流路形成部が設けられ、前記測定流路の開口は、前記貫通流路形成部の内壁面において、前記検査体積の中心軸に直交する向きに形成されている。
【0014】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記貫通流路形成部の内壁面において、前記貫通流路形成部の鼻孔に対向する側の一端部、及び、前記一端部と反対側の他端部の少なくとも一方には、外部に向かって拡径するテーパー部が形成されている。
【0015】
本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置において、前記貫通流路形成部の少なくとも前記鼻孔に対向する側の一端部は、前記患者の鼻孔に挿入可能な筒状に形成されている。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明の一態様によれば、日常生活に支障なく患者に装着できる鼻呼吸測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置が患者の鼻に装着されている様子を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置の背面側斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置の断面構成図である。
【
図6】第2実施形態に係る鼻呼吸測定装置の背面側斜視図である。
【
図7】第2実施形態に係る鼻呼吸測定装置の断面構成図である。
【
図10】第3実施形態に係る鼻呼吸測定装置の背面側斜視図である。
【
図11】第3実施形態に係る鼻呼吸測定装置の断面構成図である。
【
図12】第3実施形態に係る装着部の平面図である。
【
図13】第3実施形態に係る装着部の底面図である。
【
図14】第4実施形態に係る鼻呼吸測定装置の背面側斜視図である。
【
図15】第4実施形態に係る鼻呼吸測定装置の断面構成図である。
【
図16】第4実施形態に係る装着部の平面図である。
【
図17】第4実施形態に係る装着部の底面図である。
【
図18】第5実施形態に係る鼻呼吸測定装置が患者の鼻に装着されている様子を示す正面図である。
【
図19】第6実施形態に係る鼻呼吸測定装置が患者の鼻に装着されている様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置1が患者100の鼻110に装着されている様子を示す正面図である。
図1に示すように、鼻呼吸測定装置1は、測定部2と、電源部3と、通信部4と、装着部5と、を備えている。
【0020】
なお、
図1中、符号100は患者、符号110は患者の鼻、符号120は患者の口を示している。鼻110は、左右の鼻孔111、左右の鼻孔111を隔てる鼻中隔112、鼻110の先端である鼻尖113、及び鼻110の左右に膨らむ鼻翼114を備えている。口120は、上唇121、下唇122を備えている。
【0021】
測定部2は、患者100の鼻呼吸に関する情報を測定する。本実施形態の測定部2は、圧力センサである。圧力センサは、患者100の鼻呼吸に伴うデバイス周囲の気流の流れによる圧力変化を測定する。この圧力センサは、絶対圧センサが好ましい。なお、測定部2は、温度センサであってもよい。温度センサは、患者100の鼻呼吸に伴うデバイス周囲の気流の流れによるデバイスの温度変化を測定する。また、測定部2は、その他のセンサ、例えば、湿度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、脈波センサ、あるいは流量センサであっても構わない。また、測定部2は、複数種のセンサを併用していても構わない。
【0022】
電源部3は、測定部2や通信部4に電力を供給する。本実施形態の電源部3は、空気電池である。空気電池は、正極活物質として空気中の酸素、負極活物質として金属を用いる電池であり、正極側の活物質が酸素なので、電池容器内に正極活物質を充填する必要が無く、小型且つ長時間の使用に適している。なお、電源部3は、電池容器内に正極活物質を充填した通常の一次電池や、充電可能な二次電池であっても構わない。
【0023】
通信部4は、図示しない外部装置と無線通信する無線通信モジュールである。外部装置は、例えば、測定部2の測定結果を受信し、患者100の鼻呼吸の状態(流量など)を演算するデータ処理装置である。鼻呼吸測定装置1は、通信部4の代わりに、または、通信部4と共に、測定部2の測定結果を記憶する記憶部を備えてもよい。記憶部は、例えば、不揮発性メモリであり、デバイスを患者100から取り外したときに、当該メモリに記憶された測定結果を取り出すようにしても構わない。
【0024】
測定部2、電源部3、及び通信部4は、基板6に実装されている。装着部5は、基板6を介して測定部2、電源部3、及び通信部4を支持し、患者100の鼻110に装着される。装着部5は、患者100の鼻110の一部を挟み込む。本実施形態の装着部5は、患者100の左右の鼻孔111に差し込まれ、鼻孔111内で鼻中隔112を挟み込む。なお、装着部5は、患者100の鼻尖113を挟み込んでもよいし、患者100の鼻翼114を挟み込む構成であっても構わない。
【0025】
図1に示すように、鼻呼吸測定装置1は、装着部5が患者100の鼻110に装着された状態において当該鼻110の外に露出する装置部分が、患者100の鼻110と上唇121との間に収まる大きさとなっている。すなわち、当該露出部分は、患者100の人中の長さ(例えば20mm)以下の大きさとなっている。好ましくは、当該露出部分が、10mm程度で、装置の全高(上下方向の寸法)が20mm程度であるとよい。これにより、患者100の鼻110に装着された鼻呼吸測定装置1が、患者100の口120を塞いだり、食事や発声の邪魔になることを抑制できる。
【0026】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の構成及び位置関係について説明する。なお、X軸方向は、左右方向である。Y軸方向は、前後方向である。Z軸方向は、上下方向である。また、X軸方向の+側は、人体の左側とし、-側は右側とする。Y軸方向の+側は、人体の背面側とし、-側は正面側とする。Z軸方向の+側は、人体の上側とし、-側は下側とする。
【0027】
図2は、第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の背面側斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の断面構成図である。
図4は、第1実施形態に係る装着部5の平面図である。
図5は、第1実施形態に係る装着部5の底面図である。
図2に示すように、装着部5は、一対の突起部10と、一対の突起部10の間を接続する接続部11と、を備えている。装着部5は、略U字状に形成されている。
【0028】
装着部5は、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂など、ある程度の剛性を有する材料から形成されている。なお、装着部5の全部もしくは一部(例えば鼻中隔112を挟む部分など)は、フッ素樹脂(PTFE)やPEEK樹脂、シリコーンゴムなどの生体適合性を有し、かつ弾性を有する材料から形成されていても構わない。
【0029】
接続部11は、X軸方向に延びている。
図3に示すように、接続部11の上面11a及び下面11cは、X-Y平面に平行に形成されている。接続部11の左右の側面11bは、下側(-Z側)に向かうに従って、接続部11のX軸方向の寸法が小さくなるように傾斜している。
【0030】
一対の突起部10は、X軸方向に間隔をあけて配置され、接続部11から上側(+Z側)に向かって延びている。一対の突起部10は、上側に向かうに従って、X軸方向の寸法(
図3参照)及びY軸方向の寸法(
図2及び
図4参照)が小さくなる先細り形状を有している。
【0031】
図3に示す、一対の突起部10がX軸方向で互いに対向する対向面10aは、患者100の鼻中隔112に接触する。一方、接続部11の上面11aは、患者100の鼻孔111外の鼻中隔112の先端面に接触する。つまり、装着部5の患者100の鼻110への装着時において、一対の突起部10は、鼻孔111内に配置され、接続部11は、鼻孔111外に配置される。
【0032】
突起部10の対向面10aは、第1面10a1と、第2面10a2とを含む。第1面10a1は、Y-Z平面に平行な平面であり、突起部10の対向面10aにおける先端部に形成されている。第1面10a1は、鼻中隔112と接触する。なお、突起部10の対向面10aにおける先端部は、鼻中隔112を形成する皮膚や粘膜と接触するため、丸みを帯びた曲面になっていても構わない。
【0033】
第2面10a2は、第1面10a1に対し角度θ1で、X軸方向外側に向かって傾斜している。第2面10a2は、第1面10a1の下端から、接続部11の上面11aまで延びている。第2面10a2は、鼻中隔112と接触してもよいし、鼻中隔112から離れ、第1面10a1における鼻中隔112に対する接触圧を高める構成であってもよい。
【0034】
突起部10の鼻中隔112と接触しない非接触部分の少なくとも一部は、流線型に形成されている。つまり、突起部10の対向面10aの第1面10a1ないし第2面10a2以外は、全て流線型であってもよい。
図3に示すように、一対の突起部10のX軸方向で互いに背向する側面10bは、第1面10b1と、第2面10b2と、を含む。
【0035】
第1面10b1は、突起部10の側面10bにおける先端部から略中腹部にかけて形成されている。第1面10b1は、下側(-Z側)に向かうに従って、Y-Z平面に対する角度θ2が漸次大きくなる形状を有する。これにより、患者100の鼻孔111内の気流が、鼻中隔112の側面から突起部10の側面10bに滑らかに流れ、突起部10の先端部において気流の剥離や淀み、渦などが発生し難くなる。
【0036】
第2面10b2は、第1面10b1の下端に連なり、突起部10の側面10bにおける略中腹部から突起部10の根本部(接続部11と交わる部分)にかけて形成されている。第1面10b1は、下側(-Z側)に向かうに従って、Y-Z平面に対する角度θ3が漸次小さくなる形状を有する。これにより、一対の突起部10の左右の広がりを抑制し、一対の突起部10が挿入される鼻孔111が狭くならないようにしている。
【0037】
装着部5には、患者100の鼻孔111に流体連通する測定流路12が形成されている。なお、「鼻孔に流体連通する」とは、測定流路12が、鼻孔111内に限らず、本実施形態のように、鼻孔111外に配置される場合であっても、鼻呼吸による流体の流れの影響を受ける位置に連通していることをいう。
【0038】
測定流路12は、測定部2が配置される測定室13と、測定室13から装着部5の側面まで延びる接続流路14と、を備えている。測定室13は、装着部5の下面11cに形成されている。接続流路14は、Z軸方向に延び測定室13に接続される第1流路14aと、X軸方向に延び第1流路14aと直角に交わって装着部5の側面(接続部11の側面11b)に接続される第2流路14bと、を備えている。なお、第2流路14bは、必ずしも第1流路14aに対し、直角に交わらなくてもよい。
【0039】
図5に示すように、測定室13は、底面視で円形に形成されている。なお、測定室13の形状は、底面視で円形に限らず、矩形や多角形などであっても構わない。接続流路14(第1流路14a)は、測定室13に対し偏心した位置で接続されている。例えば、
図3において、接続流路14の第1流路14aの軸と、測定部2のセンシング部分の軸とが一致する位置関係にすることで、測定部2の感度を高めることができる。それに対して、両者の軸を一致させないことで、測定部2の耐久性や安定性を高めることもできる。これは、デバイスの設計者が任意に設定するとよい。
【0040】
測定流路12の開口15は、接続部11の側面11bに形成されている。測定流路12の開口15は、患者100の鼻呼吸による流体の流れに略直交する向きに形成されている。これにより、患者100の鼻呼吸による流体が、測定流路12の開口15を介して第2流路14bに流入し難くなり、測定部2(圧力センサ)が静圧を測定することが可能となる。静圧は、周知のように流量に変換し易い。なお、患者100の鼻呼吸による流体が、測定流路12に流入する場合、測定部2が全圧を測定する構成であっても構わない。
【0041】
測定流路12の開口15は、接続部11の側面11bにおいて、装着部5の背面側(+Y側)に配置されている。
図5に示すように、鼻孔111は、個人差にもよるが背面側に広がっている場合が多いため、測定流路12の開口15を背面側(+Y側)に配置することで、鼻孔111の略中心を流れる流体の静圧や全圧を測定し易くなり、鼻呼吸の測定精度を高めることができる。
【0042】
装着部5には、上記測定流路12として、患者100の左側の鼻孔111に流体連通する第1測定流路12Aと、第1測定流路12Aと独立し、患者100の右側の鼻孔111に流体連通する第2測定流路12Bと、が形成されている。測定部2は、
図3に示すように、第1測定流路12Aに配置された第1測定部2Aと、第2測定流路12Bに配置された第2測定部2Bと、を備えている。第1測定流路12A及び第2測定流路12Bの開口15は、装着部5の左右の側面11bに背向して形成されている。
【0043】
装着部5の下面11cは、接着剤20を介して基板6と接合されている。基板6は、測定室13の底面を封止している。この測定室13の周囲には、シール材21が配置されている。シール材21は、Z軸方向に延びる円筒状に形成され、装着部5と基板6とを接合したときに圧縮されて測定室13の気密性を確保している。
【0044】
上記構成の鼻呼吸測定装置1によれば、患者100が鼻呼吸すると、流体が装着部5の側面11bに沿って流れる。装着部5の側面11bには、測定流路12の開口15が形成されており、測定部2は、鼻呼吸の主流から離れた位置で、鼻呼吸に伴うデバイス周囲の圧力変化(例えば静圧の変化)を測定することができる。
【0045】
また、装着部5には、患者100の左右の鼻孔111に流体連通する、互いに独立した第1測定流路12A及び第2測定流路12Bが形成されており、第1測定部2A及び第2測定部2Bにおいて左右の鼻呼吸情報をそれぞれ独立して取得することができる。このような小型の鼻呼吸測定装置1は、装着された患者100に与える不快感が少なく、日常的に、長時間違和感なく使用できる。
【0046】
このように、上述した本実施形態の鼻呼吸測定装置1は、患者100の鼻呼吸に関する情報を測定する測定部2と、測定部2を支持し、患者100の鼻に装着される装着部5と、を備え、装着部5には、患者100の鼻孔111に流体連通して測定部2を配置する測定流路12が形成されている。
図3に示すように、装着部5自体に測定流路12を形成することで、チューブを必要とせずに、デバイスを小型化できる。したがって、患者100の頭部もしくは頭部および胴部に及ぶまでの範囲にチューブやセンサを張り巡らせることなく、患者100の鼻呼吸に関する情報を測定することができる。
【0047】
また、本実施形態において、装着部5は、患者100の鼻110の鼻中隔112を挟み込む一対の突起部10を備える。この構成によれば、鼻呼吸測定装置1が患者100の鼻呼吸を妨げずに、安定して患者100の鼻110に装着可能となる。また、患者100の鼻110への装着が一対の突起部10によって可能になるため、装置構成がコンパクトになる。
【0048】
また、本実施形態において、突起部10の鼻中隔112と接触しない非接触部分の少なくとも一部は、流線型に形成されている。この構成によれば、患者100の鼻孔111内の気流が、鼻中隔112の側面から突起部10の側面10bに滑らかに流れ、突起部10において気流の剥離や淀み、渦などが発生し難くなる。
【0049】
また、本実施形態において、測定流路12の開口15は、装着部5の側面に形成されている。この構成によれば、装着部5が鼻中隔112を挟み込んだ状態において、装着部5の側面に形成された測定流路12が患者100の鼻孔111に流体連通し易くなる。
【0050】
また、本実施形態において、装着部5は、一対の突起部10の間を接続する接続部11を備え、測定流路12の開口15は、接続部11の側面11bに形成されている。接続部11は、鼻孔111外に配置されており、測定流路12の開口15も鼻孔111外に配置されているため、測定部2は、鼻110もしくは鼻孔111内の形状の個人差の影響を無視した計測が可能となる。本実施形態の接続部11の側面11bは、傾斜面となっているため、特に、鼻孔111から空気を吐くときに、測定流路12に空気が入り難く、測定部2は、そのときの静圧を精度よく測定できる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0052】
図6は、第2実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の背面側斜視図である。
図7は、第2実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の断面構成図である。
図8は、第2実施形態に係る装着部5の平面図である。
図9は、第2実施形態に係る装着部5の底面図である。
図7に示すように、鼻呼吸測定装置1は、測定部2と、電源部3と、通信部4と、装着部5と、を備えている。第2実施形態では、突起部10の形状と、測定流路12の開口15の位置が、上記実施形態と大きく異なる。
【0053】
装着部5は、
図6に示すように、一対の突起部10と、一対の突起部10の間を接続する接続部11と、を備えている。装着部5は、略U字状に形成されている。接続部11は、X軸方向に延びている。一対の突起部10は、X軸方向に間隔をあけて配置され、接続部11から上側(+Z側)に向かって延びている。一対の突起部10は、上側に向かうに従って、X軸方向の寸法(
図7参照)及びY軸方向の寸法(
図6及び
図8参照)が小さくなる先細り形状を有している。
【0054】
図7に示すように、第2実施形態の突起部10の側面10bは、第1面10b1と、第2面10b2と、第3平面10b3とを含む。なお、突起部10の対向面10aは、第1実施形態と同様に、第1面10a1と、第2面10a2とを含んでいる。
【0055】
側面10bの第1面10b1は、突起部10の先端から下側(-Z側)に向かってX軸方向外側に向かって傾斜している。第1面10b1は、対向面10aの第1面10a1(Y-Z平面)に対して角度θ2で傾斜している。
【0056】
側面10bの第2面10b2は、第1面10b1の下端から下側(-Z側)に向かってX軸方向外側に向かって傾斜している。第2面10b2は、Y-Z平面に対して角度θ2より小さい角度θ3で傾斜している。第2面10b2は、患者100の鼻孔111内の鼻呼吸による流体の流れに略直交する向きに形成されている。
【0057】
側面10bの第3平面10b3は、第1面10b1の下端から下側(-Z側)に向かってX軸方向外側に向かって傾斜している。第3平面10b3は、Y-Z平面に対して角度θ3より小さい角度θ4で傾斜している。なお、角度θ4は、対向面10aの第2面10a2の角度θ1と等しくてもよい。第3平面10b3の下端は、接続部11の側面11bに接続されている。
【0058】
第2実施形態では、装着部5の突起部10の側面10bに、測定流路12の開口15が形成されている。具体的に、測定流路12の開口15は、側面10bの第2面10b2に形成されている。第2面10b2は、接続部11の上面11aより上側(+Z側)に配置されている。つまり、第2実施形態の測定流路12の開口15は、患者100の鼻孔111内に配置される。測定流路12は、測定部2が配置される測定室13と、測定室13から突起部10の第2面10b2まで延びる接続流路14と、を備えている。
【0059】
接続流路14は、Z軸方向に延び測定室13に接続される第1流路14aと、X軸方向に延び第1流路14aと直角に交わる第2流路14bと、Z軸方向に延び第2流路14bと直角に交わる第3流路14cと、突起部10に沿って角度θ1ないしθ4で形成され、第3流路14cと交わる第4流路14dと、Z軸方向に延び第4流路14dと交わる第5流路14eと、X軸方向に延び第5流路14eと直角に交わって第2面10b2に接続される直角に交わる第6流路14fと、を備えている。なお、第1流路14a~第6流路14fが交わる角度は、必ずしも
図7に示すような角度でなくてもよい。
【0060】
図9に示すように、測定室13は、底面視で円形に形成されている。なお、測定室13の形状は、底面視で円形に限らず、矩形や多角形などであっても構わない。接続流路14(第1流路14a)は、測定室13の中心位置に接続されている。また、測定流路12の開口15は、Y軸方向において、装着部5の中間位置に配置されている。つまり、第2実施形態の測定流路12の開口15は、Y軸方向において偏心していない。第2実施形態の測定流路12の開口15は、必ずしも上述した
図5に示すように偏心させる必要はなく、設計者が任意に設定するとよい。
【0061】
図7に示すように、装着部5の一対の突起部10には、測定流路12として、患者100の左側の鼻孔111に流体連通する第1測定流路12Aと、第1測定流路12Aと独立し、患者100の右側の鼻孔111に流体連通する第2測定流路12Bと、が形成されている。測定部2は、第1測定流路12Aに配置された第1測定部2Aと、第2測定流路12Bに配置された第2測定部2Bと、を備えている。第1測定流路12A及び第2測定流路12Bの開口15は、一対の突起部10の左右の側面10bに背向して形成されている。
【0062】
上記構成の鼻呼吸測定装置1によれば、患者100が鼻呼吸すると、流体が突起部10の側面10bに沿って流れる。突起部10の側面10bには、測定流路12の開口15が形成されており、測定部2は、鼻呼吸の主流から離れた位置で、鼻呼吸に伴うデバイス周囲の圧力変化(例えば静圧の変化)を測定することができる。
【0063】
また、一対の突起部10には、患者100の左右の鼻孔111に流体連通する、互いに独立した第1測定流路12A及び第2測定流路12Bが形成されており、第1測定部2A及び第2測定部2Bにおいて左右の鼻呼吸情報をそれぞれ独立して取得することができる。
【0064】
上述したように、第2実施形態の鼻呼吸測定装置1においては、測定流路12の開口15が、突起部10の側面10bに形成されている。突起部10の第2面10b2は、傾斜しており、第1実施形態とは逆に、特に鼻孔111から空気を吸い込むときに、測定流路12に空気が入り難く、測定部2は、そのときの静圧を精度よく測定できる。
【0065】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0066】
図10は、第3実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の背面側斜視図である。
図11は、第3実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の断面構成図である。
図12は、第3実施形態に係る装着部5の平面図である。
図13は、第3実施形態に係る装着部5の底面図である。
図11に示すように、鼻呼吸測定装置1は、測定部2と、電源部3と、通信部4と、装着部5と、を備えている。第3実施形態では、突起部10の形状と、検査体積31を形成する貫通流路形成部30を備える点で、上記実施形態と大きく異なる。
【0067】
装着部5は、
図10に示すように、一対の突起部10と、一対の突起部10の間を接続する接続部11と、を備えている。装着部5は、略U字状に形成されている。接続部11は、X軸方向に延びている。一対の突起部10は、X軸方向に間隔をあけて配置され、接続部11から上側(+Z側)に向かって延びている。一対の突起部10は、上側に向かうに従って、X軸方向の寸法(
図11参照)及びY軸方向の寸法(
図10及び
図12参照)が小さくなる先細り形状を有している。
【0068】
図11に示すように、第3実施形態の突起部10の側面10bは、第1面10b1と、第2面10b2とを含む。なお、突起部10の対向面10aは、第1実施形態と同様に、第1面10a1と、第2面10a2とを含んでいる。
【0069】
側面10bの第1面10b1は、突起部10の先端から下側(-Z側)に向かってX軸方向外側に向かって傾斜している。第1面10b1は、対向面10aの第1面10a1(Y-Z平面)に対して角度θ2で傾斜している。
【0070】
側面10bの第2面10b2は、第1面10b1の下端から下側(-Z側)に向かってX軸方向外側に向かって傾斜している。第2面10b2は、Y-Z平面に対して角度θ2より大きい角度θ3で傾斜している。
【0071】
図10に示すように、第3実施形態の装着部5には、貫通流路形成部30が設けられている。貫通流路形成部30は、患者100の鼻孔111に対向する検査体積31を形成する。第3実施形態では、接続部11の左右の端部が、一対の突起部10の側面10bよりもX軸方向外側に張り出しており、この部分に貫通流路形成部30が形成されている。
【0072】
図11に示すように、貫通流路形成部30は、Z軸方向に貫通した検査体積31(貫通流路)を形成している。検査体積31は、平面視円形に形成され、その中心軸Oは、Z軸方向に延びている。
【0073】
貫通流路形成部30の内壁面30aには、テーパー部30a1が形成されている。テーパー部30a1は、貫通流路形成部30の鼻孔111に対向する側(+Z側)の一端部30A、及び、一端部30Aと反対側の他端部30Bのそれぞれに形成されている。テーパー部30a1は、外部に向かって拡径している。貫通流路形成部30の内壁面30aは、一端部30Aと他端部30Bのテーパー部30a1の間において、一定の内径を有している。
【0074】
測定流路12の開口15は、貫通流路形成部30の一定の内径を有する内壁面30aにおいて、検査体積31の中心軸Oに直交する向きに形成されている。接続流路14は、Z軸方向に延び測定室13に接続される第1流路14aと、X軸方向に延び第1流路14aと直角に交わって貫通流路形成部30の内壁面30aに接続される第2流路14bと、を備えている。なお、第2流路14bは、必ずしも第1流路14aに対し、直角に交わらなくてもよい。
【0075】
図13に示すように、測定室13は、底面視で円形に形成されている。なお、測定室13の形状は、底面視で円形に限らず、矩形や多角形などであっても構わない。接続流路14(第1流路14a)は、測定室13に対し偏心した位置に接続されている。また、検査体積31は、装着部5の背面側(+Y側)に配置されている。検査体積31を背面側(+Y側)に配置することで、鼻孔111の略中心を流れる流体を検査体積31に導入し易くなり、鼻呼吸の測定精度を高めることができる。
【0076】
図11に示すように、装着部5には、測定流路12として、検査体積31を介して患者100の左側の鼻孔111に流体連通する第1測定流路12Aと、第1測定流路12Aと独立し、もう一つの検査体積31を介して患者100の右側の鼻孔111に流体連通する第2測定流路12Bと、が形成されている。測定部2は、第1測定流路12Aに配置された第1測定部2Aと、第2測定流路12Bに配置された第2測定部2Bと、を備えている。
【0077】
上記構成の第3実施形態の鼻呼吸測定装置1によれば、患者100が鼻呼吸すると、鼻孔111に対向する検査体積31に流体が導入される。検査体積31を形成する貫通流路形成部30の内壁面30aには、測定流路12の開口15が形成されており、測定部2は、鼻呼吸の主流から離れた位置で、鼻呼吸に伴う圧力変化(例えば静圧の変化)を測定できる。
【0078】
測定流路12の開口15は、貫通流路形成部30の内壁面30aにおいて、検査体積31の中心軸に直交する向きに形成されている。このため、鼻孔111から空気を吐き出すとき、また、鼻孔111から空気を吸い込むときのいずれの場合であっても、測定流路12に空気が入り難くなり、測定部2は静圧を精度よく測定できるようになる。
【0079】
装着部5には、検査体積31を介して患者100の左右の鼻孔111に流体連通する、互いに独立した第1測定流路12A及び第2測定流路12Bが形成されており、第1測定部2A及び第2測定部2Bにおいて左右の鼻呼吸情報をそれぞれ独立して取得することができる。
【0080】
また、
図11に示すように、貫通流路形成部30の内壁面30aにおいて、貫通流路形成部30の鼻孔111に対向する側の一端部30A、及び、一端部30Aと反対側の他端部30Bの少なくとも一方には、外部に向かって拡径するテーパー部30a1が形成されている。この構成によれば、鼻呼吸によって検査体積31に導入される流体の圧力を通常よりも大きく減少させ、精度よく静圧を測定できるようになる。
【0081】
なお、テーパー部30a1が、
図11に示すように、貫通流路形成部30の鼻孔111に対向する側の一端部30A、及び、一端部30Aと反対側の他端部30Bの両方に形成されることで、鼻孔111から空気を吐き出すとき、また、鼻孔111から空気を吸い込むときのいずれの場合であっても、同じような作用効果が得られる。ちなみに、鼻孔111から空気を吐き出すとき、また、鼻孔111から空気を吸い込むときのいずれか一方のみの測定を行うときは、テーパー部30a1は、貫通流路形成部30の一端部30A及び他端部30Bのいずれか一方のみに形成される場合もある。
【0082】
テーパー部30a1の斜面の中心軸Oと交差する角度は、例えば15°~45°が好ましい。テーパー部30a1の角度が15°以上であると、検査体積31のZ軸方向の寸法がそれほど長くならず、コンパクトなデバイスを実現できる。また、テーパー部30a1の角度が45°以下であると、流体の流れの急激な変化を避けることができる。なお、検査体積31は、長いほど好ましく、径が太いほど好ましく、デバイスの大きさとトレードオフとなる。
【0083】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0084】
図14は、第4実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の背面側斜視図である。
図15は、第4実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の断面構成図である。
図16は、第4実施形態に係る装着部5の平面図である。
図17は、第4実施形態に係る装着部5の底面図である。
図15に示すように、鼻呼吸測定装置1は、測定部2と、電源部3と、通信部4と、装着部5と、を備えている。第4実施形態では、貫通流路形成部30の形状が、上記実施形態と大きく異なる。
【0085】
装着部5は、
図14に示すように、一対の突起部10と、一対の突起部10の間を接続する接続部11と、を備えている。装着部5は、略U字状に形成されている。接続部11は、X軸方向に延びている。一対の突起部10は、X軸方向に間隔をあけて配置され、接続部11から上側(+Z側)に向かって延びている。一対の突起部10は、上側に向かうに従って、X軸方向の寸法(
図15参照)及びY軸方向の寸法(
図14及び
図16参照)が小さくなる先細り形状を有している。
【0086】
図15に示すように、第4実施形態の突起部10の側面10bは、突起部10の先端から下側(-Z側)に向かってX軸方向外側に向かって傾斜している。つまり、突起部10の側面10b全体が、一定の角度で傾斜している。なお、突起部10の対向面10aは、第1実施形態と同様に、第1面10a1と、第2面10a2とを含んでいる。
【0087】
図14に示すように、第4実施形態の貫通流路形成部30は、筒状に形成されている。貫通流路形成部30は、患者100の鼻孔111に挿入可能な外径を有している。
図15に示すように、貫通流路形成部30の鼻孔111に対向する側(+Z側)の一端部30Aは、接続部11の上面11aより上側(+Z側)に配置されている。
【0088】
接続部11の上面11aは、鼻中隔112の端部と当接するため、接続部11の上面11aより上側(+Z側)に配置された貫通流路形成部30の一端部30Aは、鼻孔111内に位置する。なお、鼻中隔112は、Z軸方向の最も-側に端点を有するため、接続部11が鼻中隔112に接したとしても、貫通流路形成部30が鼻孔111内に入らない場合もある。また、貫通流路形成部30の一端部30Aが、接続部11の上面11aより上側(+Z側)に配置されていることで、上述した第3実施形態と比べて検査体積31のZ軸方向の寸法を長くすることができ、呼気をより多く検出できるようになる。
【0089】
測定流路12の開口15は、貫通流路形成部30の一定の内径を有する内壁面30aにおいて、検査体積31の中心軸Oに直交する向きに形成されている。接続流路14は、X軸方向に延び測定室13及び貫通流路形成部30の内壁面30aに接続される第1流路14aを備えている。つまり、第4実施形態の接続流路14は、一直線に延びており、流路が屈曲しておらず、圧力損失が小さい。
【0090】
図17に示すように、測定室13は、底面視で矩形に形成されている。なお、測定室13の形状は、底面視で矩形に限らず、円形や多角形などであっても構わない。接続流路14(第1流路14a)は、測定室13の側面に接続されている。また、貫通流路形成部30(筒体)の周面の一部は、接続部11よりも背面側(+Y側)に突出している。貫通流路形成部30の周面の一部を背面側(+Y側)に突出させることで、径を太くすることができる。
【0091】
図15に示すように、装着部5には、検査体積31を介して患者100の左右の鼻孔111に流体連通する、互いに独立した第1測定流路12A及び第2測定流路12Bが形成されており、第1測定部2A及び第2測定部2Bにおいて左右の鼻呼吸情報をそれぞれ独立して取得することができる。
【0092】
上記構成の第4実施形態の鼻呼吸測定装置1によれば、患者100が鼻呼吸すると、鼻孔111に対向する検査体積31に流体が導入される。検査体積31を形成する貫通流路形成部30の内壁面30aには、測定流路12の開口15が形成されており、測定部2は、鼻呼吸の主流から離れた位置で、鼻呼吸に伴う圧力変化(例えば静圧の変化)を測定できる。
【0093】
測定流路12の開口15は、貫通流路形成部30の内壁面30aにおいて、検査体積31の中心軸に直交する向きに形成されている。このため、鼻孔111から空気を吐き出すとき、また、鼻孔111から空気を吸い込むときのいずれの場合であっても、測定流路12に空気が入り難くなり、測定部2は静圧を精度よく測定できるようになる。
【0094】
装着部5には、検査体積31を介して患者100の左右の鼻孔111に流体連通する、互いに独立した第1測定流路12A及び第2測定流路12Bが形成されており、第1測定部2A及び第2測定部2Bにおいて左右の鼻呼吸情報をそれぞれ独立して取得することができる。
【0095】
また、第4実施形態において、貫通流路形成部30の少なくとも貫通の鼻孔111に対向する側の一端部30Aは、患者100の鼻孔111に挿入可能な筒状に形成されている。この構成によれば、貫通流路形成部30の一端部30Aが鼻孔111に挿入される分、検査体積31を長くすることができる。また、貫通流路形成部30の一端部30Aが患者100の鼻孔111内に配置されることで、検査体積31に鼻呼吸による流体が導入され易くなる。
【0096】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0097】
図18は、第5実施形態に係る鼻呼吸測定装置1が患者100の鼻110に装着されている様子を示す正面図である。
図18に示すように、鼻呼吸測定装置1は、測定部2と、電源部3と、通信部4と、装着部5と、を備えている。第5実施形態では、患者100の鼻110に対する装着部5の装着位置が、上記実施形態と大きく異なる。
【0098】
第5実施形態の装着部5は、患者100の鼻尖113を挟み込む3つの突起部10を備えている。3つの突起部10のうち、2つの突起部10は、左右の鼻孔111に挿入されている。3つの突起部10のうち、残りの1つの突起部10は、鼻尖113に覆いかぶさるように延びている。
【0099】
上記構成の第5実施形態の鼻呼吸測定装置1によれば、患者100の鼻尖113を3つの突起部10によって挟み込むことで、患者100の鼻110に装着できる。第5実施形態においては、上述した実施形態よりも突起部10の数は増えるが、その分、装着安定性を高めることができる。
【0100】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0101】
図19は、第6実施形態に係る鼻呼吸測定装置1が患者100の鼻110に装着されている様子を示す正面図である。
図19に示すように、鼻呼吸測定装置1は、測定部2と、電源部3と、通信部4と、装着部5と、を備えている。第6実施形態では、患者100の鼻110に対する装着部5の装着位置が、上記実施形態と大きく異なる。
【0102】
第6実施形態の装着部5は、患者100の左右の鼻孔111に差し込まれた左右の貫通流路形成部30から左右に延び、貫通流路形成部30との間で左右の鼻翼114を挟み込むように左右両側に延びている。なお、鼻呼吸測定装置1は、左右に分離して、左右の鼻翼114を個別に挟み込む構成であっても構わない。
【0103】
上記構成の第6実施形態の鼻呼吸測定装置1によれば、患者100の鼻翼114を挟み込むことで、患者100の鼻110に装着できる。鼻翼114は、鼻中隔112や鼻尖113に比べて薄く柔らかいが、貫通流路形成部30などを利用することで、装着安定性を高めることができる。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0105】
1…鼻呼吸測定装置、2…測定部、2A…第1測定部、2B…第2測定部、3…電源部、4…通信部、5…装着部、6…基板、10…突起部、10a…対向面、10a1…第1面、10a2…第2面、10b…側面、10b1…第1面、10b2…第2面、10b3…第3平面、11…接続部、11a…上面、11b…側面、11c…下面、12…測定流路、12A…第1測定流路、12B…第2測定流路、13…測定室、14…接続流路、14a…第1流路、14b…第2流路、14c…第3流路、14d…第4流路、14e…第5流路、14f…第6流路、15…開口、20…接着剤、21…シール材、30…貫通流路形成部、30a…内壁面、30A…一端部、30a1…テーパー部、30B…他端部、31…検査体積、100…患者、110…鼻、111…鼻孔、112…鼻中隔、113…鼻尖、114…鼻翼、120…口、121…上唇、122…下唇、O…中心軸、θ1…角度、θ2…角度、θ3…角度、θ4…角度