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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134427
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】床用目地カバー装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033543
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】592094243
【氏名又は名称】カネソウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健治
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001FA11
2E001FA54
2E001GA13
2E001HB03
2E001PA04
2E001PA08
(57)【要約】
【課題】目地上を移動する人や物を安定して支持できると共に軽量化し得る床用目地カバー装置を提案する。
【解決手段】目地に差し渡された目地カバー体11は、中央水平板部41と断面略コ字形の連結杆部42とが接合された中央カバー板12と、側部水平板部43と該側部水平板部43の内側縁から下方へ折り曲げられて延出された枢結脚縁部44とから構成された側部カバー板13とを備え、前記中央カバー板12が、その連結杆部42を伸縮保持体31に直接的に枢結される一方、該中央カバー板12の両建造物側に夫々複数並列された前記側部カバー板13が、その枢結脚縁部44を前記伸縮保持体31に直接的に枢結されるものである。
【選択図】図16

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地を介して隣接する建造物の側縁に夫々配設された連結基体と、
目地幅方向に伸縮可能に形成され、両端部が両建造物の各連結基体に夫々枢結された伸縮保持体と、
目地幅方向に並設されて、前記伸縮保持体に回動可能に連結された複数のカバー板を備え、隣合うカバー板の側縁同士が目地幅方向および目地長手方向に相対的に摺動可能に重ね合わされた目地カバー体と
を備えてなる床用目地カバー装置において、
前記目地カバー体は、
目地幅方向の略中央に配設された中央カバー板と、該中央カバー板の両建造物側に目地幅方向に夫々並設された複数の側部カバー板とを備えたものであって、
前記中央カバー板は、
目地長手方向に延在する平板状の中央水平板部と、
該中央水平板部の長手方向に亘って設けられて、該中央水平板部の下面に接合され、前記伸縮保持体に直接的に枢結された断面略コ字形の連結杆部と
を備えてなり、
前記側部カバー板は、
目地長手方向に延在する平板状の側部水平板部と、
該側部水平板部の目地幅方向一側縁から下方へ折り曲げられて延出され、前記伸縮保持体に直接的に枢結された枢結脚縁部と
を備えてなるものであることを特徴とする床用目地カバー装置。
【請求項2】
側部カバー板の枢結脚縁部は、
側部水平板部の目地幅方向一側縁から下方へ折り曲げられて連成された垂直縁部と、
該垂直脚部の下縁から目地幅方向一側へ折り曲げられて連成され、前記伸縮保持体に直接的に枢結された枢結縁部と、
該枢結縁部の目地幅方向一側縁から上方へ折り曲げられて連成された端縁部と
を備えてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の床用目地カバー装置。
【請求項3】
両端部が両建造物の各連結基体に夫々枢結された、目地幅方向に伸縮可能な伸縮支持梁を備えたものであって、
中央カバー板の連結杆部と側部カバー板の枢結脚縁部とが、前記伸縮支持梁に摺動可能に乗載されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床用目地カバー装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する建造物の床相互間の目地を覆う床用目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震による被害を最小限に留めるために、緩衝機能を備えた免震装置によって下部を支持した建造物が多く建設されている。こうした免震構造の建造物間には、地震による変位を吸収し得る比較的広幅の目地が形成されており、かかる目地を覆う床用目地カバー装置が配設されている。
【0003】
前記床用目地カバー装置として、例えば特許文献1の構成が提案されている。この構成は、目地を介して隣接する建造物の側壁に両端部が枢結された複数の支持バーと、該支持バーに所定間隔で移動可能に支持された複数の目地プレート支持バーと、両端部が各建造物の側壁に枢結され且つ各目地プレート支持バーが枢支された複数のパンタグラフ状の伸縮リンクと、各目地プレート支持バーに夫々固定されて目地を覆う複数の目地プレートとを備えてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-96926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来構成は、各目地プレートが目地プレート支持バーを介して伸縮リンクに枢支されたものであり、該目地プレート支持バーによって、目地プレートの重量と該目地プレート上を移動する人や物の重量とを支えている。そのため、目地プレート支持バーには、所望の強度と剛性とを有するものが適用される。
ところで、前記床用目地カバー装置では、目地プレートの配設数を多くすることによって、該目地プレートにより構成される通路を、地震時における両建造物の相対変位に従って円滑に動かすことができる。しかし、目地プレートの配設数が増加すると、前記目地プレート支持バーの配設数も増加してしまい、該目地プレート支持バーの増加が、装置全体の重量増加に直結する。そのため、目地プレート支持バーによる重量増加を軽減できる構成が求められていた。
【0006】
本発明は、目地上を移動する人や物を安定して支持できると共に軽量化し得る床用目地カバー装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、目地を介して隣接する建造物の側縁に夫々配設された連結基体と、目地幅方向に伸縮可能に形成され、両端部が両建造物の各連結基体に夫々枢結された伸縮保持体と、目地幅方向に並設されて、前記伸縮保持体に回動可能に連結された複数のカバー板を備え、隣合うカバー板の側縁同士が目地幅方向および目地長手方向に相対的に摺動可能に重ね合わされた目地カバー体とを備えてなる床用目地カバー装置において、前記目地カバー体は、目地幅方向の略中央に配設された中央カバー板と、該中央カバー板の両建造物側に目地幅方向に夫々並設された複数の側部カバー板とを備えたものであって、前記中央カバー板は、目地長手方向に延在する平板状の中央水平板部と、該中央水平板部の長手方向に亘って設けられて、該中央水平板部の下面に接合され、前記伸縮保持体に直接的に枢結された断面略コ字形の連結杆部とを備えてなり、前記側部カバー板は、目地長手方向に延在する平板状の側部水平板部と、該側部水平板部の目地幅方向一側縁から下方へ折り曲げられて延出され、前記伸縮保持体に直接的に枢結された枢結脚縁部とを備えてなるものであることを特徴とする床用目地カバー装置である。
【0008】
かかる構成にあっては、側部カバー板が、側部水平板部と枢結脚縁部とを一体成形してなるものであり、該枢結脚縁部によって伸縮保持体に直接的に枢結されていることから、前述した従来構成における目地プレート支持バーを有しない。そのため、本発明の構成によれば、前記従来構成に比して軽量化できると共に、比較的多くのカバー板を備えたものとした場合に、重量の増加を抑制でき、該従来構成に比して軽量化効果が大きくなる。一方で、本発明の構成にあって、中央カバー板は、中央水平板部と断面略コ字形の連結杆部とが接合されたものであり、高い強度と剛性とを有している。こうした中央カバー板の両側に前記側部カバー板を配設した構成とすることによって、目地に差し渡された目地カバー体が、該目地カバー体上を通過する人や物の重量を安定して支えることができる。したがって、本発明の構成によれば、目地上を移動する人や物を安定して支持でき、かつ前記従来構成に比して軽量化できる。
【0009】
尚、本発明の構成にあって、伸縮保持体は、複数のリンク片がパンタグラフ状に枢結されて、目地幅方向に伸縮可能に形成され、両端部が両建造物の各連結基体に夫々枢結されたものが好適である。
【0010】
前述した本発明の床用目地カバー装置にあって、側部カバー板の枢結脚縁部は、側部水平板部の目地幅方向一側縁から下方へ折り曲げられて連成された垂直縁部と、該垂直脚部の下縁から目地幅方向一側へ折り曲げられて連成され、前記伸縮保持体に直接的に枢結された枢結縁部と、該枢結縁部の目地幅方向一側縁から上方へ折り曲げられて連成された端縁部とを備えてなるものである構成が提案される。
【0011】
かかる構成にあっては、側部カバー板の枢結脚縁部が、伸縮保持体に枢結される両側に垂直縁部と端縁部とを備えた構成であることから、剛性が向上する。この剛性向上によって、側部カバー板に作用する負荷に対する耐力を高めることができる。したがって、本構成によれば、目地上を移動する人や物を安定して支持するという、前述した本発明の作用効果を一層向上できる。
【0012】
前述した本発明の床用目地カバー装置にあって、両端部が両建造物の各連結基体に夫々枢結された、目地幅方向に伸縮可能な伸縮支持梁を備えたものであって、中央カバー板の連結杆部と側部カバー板の枢結脚縁部とが、前記伸縮支持梁に摺動可能に乗載されている構成が提案される。
【0013】
かかる構成にあっては、伸縮支持梁によって中央カバー板と側部カバー板とを支持することにより、目地上を移動する人や物の重量を該伸縮支持梁が負担できることから、目地カバー体を一層安定して支持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の床用目地カバー装置にあっては、目地上を移動する人や物を安定して支持できると共に、前述した従来構成に比して軽量化できる。そして、軽量化によって、施工に要する作業負担やコストを軽減できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】床用目地カバー装置1の施工状態を示す縦断面図である。
図2】床用目地カバー装置1の施工状態を示す平面図である。
図3】床用目地カバー装置1の施工状態を示す斜視図である。
図4】目地カバー体11を省略して示す平面図である。
図5】伸縮保持体31の平面図である。
図6】伸縮支持梁51の、(A)平面図と、(B)側面図である。
図7】伸縮支持梁51を構成する中支持梁体52の、(A)平面図と、(B)側面図である。
図8】中支持梁体52の正面図である。
図9】伸縮支持梁51を構成する側支持梁体53の、(A)平面図と、(B)側面図である。
図10】側支持梁体53の、(A)正面図と、(B)図9中のS-S線断面図である。
図11】(A)図6中のT-T線断面図と、(B)図6中のM-M線断面図である。
図12】目地カバー体11の斜視図である。
図13】(A)目地カバー体11を構成する中央カバー板12の断面図と、(B)目地カバー体11を構成する側部カバー体13の断面図である。
図14】側部カバー板13の斜視図である。
図15】側部カバー板13の取付状態を示す説明図である。
図16】目地カバー体11の一部を切り欠いて示す斜視図である。
図17】建造物81,82が近接方向に相対変位した場合の、床用目地カバー装置1の作用説明図である。
図18】建造物81,82が左右方向に相対変位した場合の、床用目地カバー装置1の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明にかかる実施例を添付図面を用いて説明する。
床用目地カバー装置1は、図1~3に示すように、隣接する建造物81,82間に設けられた目地83に配設されて、両建造物81,82を連絡する通路を構成する。建造物81,82はそれぞれ、緩衝機能を備えた免震装置(図示せず)によって下部が支持された免震構造の建造物である。目地83は、建造物81と建造物82との間に所定幅で形成され、地震の際に建造物81と建造物82との水平方向の相対的な揺れを吸収し得るようになっている。
【0017】
尚、本実施例では、目地83の長手方向(目地長手方向)を、床用目地カバー装置1の左右方向として説明する。すなわち、本実施例の左右方向が、本発明の目地長手方向に相当する。また、建造物81,82から目地83に向かう方向を内方とし、目地83から建造物81,82に向かう方向を外方として、以下で説明する。
【0018】
建造物81の床85の側縁と建造物82の床86の側縁とには、床用目地カバー装置1を構成する連結基体2,2が、目地83の長手方向に沿って対向状に配設されて、各側縁に固結されている。ここで、建造物81,82の床85,86の側縁には、所定深さで凹ませた支持段縁91,92が設けられており、この支持段縁91,92に、前記連結基体2,2が配設されている。連結基体2は、前記支持段縁91,92の上面を覆う平板状の水平受縁21と、該水平受縁21の外端に左右方向に亘って立設された垂直縁22とを備え、さらに、水平受縁21の内端に、目地83を構成する建造物81,82の壁面に沿って下方へ延出された内側縁23が連成されており、両建造物81,82に配設された連結基体2、2の内側縁23,23間により、両建造物81,82を連絡する通路上における目地幅が規定されている。尚、本実施例にあって、連結基体2を構成する水平受縁21、垂直縁22、および内側縁23は、ステンレス等の鋼板を折曲加工することにより形成されており、図示しないアンカーボルトなどによって建造物81,82の床85,86に固結されている。
【0019】
両建造物81,82の前記水平受縁21,21には、図4に示すように、夫々の垂直縁22,22寄りに、円柱状の連結杆25,25が対向状に立設され、この一対の連結杆25,25が左右方向に所定間隔をおいて複数設けられている。ここで、本実施例にあっては、六組の前記一対の連結杆25,25が、左右方向の中心線に対して左右対称となる位置に夫々配設されている。尚、本実施例にあっては、前記連結杆25が、水平受縁21に固結されて該水平受縁21から上方へ突出されたボルトと、該ボルトに外嵌された円筒とから構成されている。
【0020】
図4に示すように、両建造物81,82に対向状に設けられた一対の連結杆25,25のなかで、右端から二番目の一対の連結杆25,25と、左端から二番目の一対の連結杆25,25とには、複数のリンク片33a,33bがパンタグラフ状に枢結されてなる伸縮保持体31が夫々連結されている。伸縮保持体31は、図5に示すように、二個のリンク片33a,33bを螺子杆38により枢結したX状のリンク要素部32が、複数連結された構成を有するものである。ここで、リンク要素部32は、互いの中央部を交差させたリンク片33a,33bが、該中央部で前記螺子杆38により回動可能に枢結されてなり、伸縮保持体31は、複数のリンク要素部32を列ねて、隣合うリンク要素部32,32の各リンク片33a,33bの端部同士が螺子杆(図示せず)により回動可能に夫々枢結されることによって構成されている。さらに、両端のリンク要素部32,32には、前記一対の連結杆25,25に連結される取付部36,36が、短尺リンク片34a,34bを介して夫々枢結されている。短尺リンク片34a,34bは、前記リンク要素部32を構成するリンク片33a,33bの略半分の長さをなし、夫々の一端が取付部36に枢結され、夫々の他端が、前記リンク要素部32のリンク片33a,33bの各端部に夫々枢結される。また、取付部36は、前記連結杆25の外径よりも大きい径寸法で形成された連結孔37が上下方向に貫通形成されており、該連結孔37が該連結杆25に外嵌される。これにより、取付部36は、連結杆25に対して、左右方向へ回動可能であると共に、上下方向に傾動可能である。
【0021】
こうして配設された伸縮保持体31は、両建造物81,82が目地幅方向(目地83の幅方向)に相対変位した場合に、該相対変位に追従して伸縮できる(図17参照)。そして、両建造物81,82が目地長手方向に相対変位した場合には、該相対変位に追従して左右方向に回動できる(図18参照)。さらに、両建造物81,82が高さ方向に相対変位した場合には、該相対変位に追従して上下方向に傾動できる。
【0022】
一方、両建造物81,82に対向状に設けられた複数の一対の連結杆25,25のなかで、前記伸縮保持体31が枢結されていない複数組の一対の連結杆25,25には、図4に示すように、目地幅方向に伸縮可能な伸縮支持梁51が夫々枢結されている。伸縮支持梁51は、両建造物81,82の連結杆25,25に夫々枢結される一対の側支持梁体53,53と、該側支持梁体53,53により支持される中支持梁体52とにより構成されている。
【0023】
中支持梁体52は、図6~8に示すよう、目地幅方向に沿って延在された上下方向の側面部を左右両側に有する中梁杆部61を備え、該中梁杆部61の一端部には、左右一側の側面部に、四個の中回転ローラ64を有する中ローラユニット63が設けられていると共に、該中梁杆部61の他端部には、左右他側の側面部に、中ローラユニット63が設けられている。中ローラユニット63は、中梁杆部61の側面部に直交状に取り付けれる四個の回動軸65が上下方向と目地幅方向とに並列して設けられ、各回動軸65に前記中回転ローラ64が回動自在に夫々連結されたものである。中回転ローラ64には、その外周面に嵌合周溝64aが周成されている。
【0024】
さらに、中支持梁体52は、中梁杆部61の左右両側に、上下一対の案内部67,68を有する中案内レール66が夫々固結されている。案内部67,68は、中梁杆部61の上下端から左右一方へ夫々延出された水平縁67a,68aと、該水平縁67a,68aの延出端から下方または上方へ夫々延出された嵌合縁67b,68bとからなる断面略L形を成し、夫々の嵌合縁67b,68bが上下方向に所定間隙をおいて対設されている。こうした中案内レール66は、中梁杆部61の長手方向(目地幅方向)に亘って夫々設けられている。そして、本実施例の中案内レール66は、上側の案内部67が前記中ローラユニット63よりも上方に設けられ且つ下側の案内部68が該中ローラユニット63よりも下方に設けられており、上下の嵌合縁67b,68bの間隙に、該中ローラユニット63が位置する。
【0025】
尚、中梁杆部61の上面部には、左右方向と長手方向との中央部位に、上方へ突成された枢支杆59が設けられている。この枢支杆59は、後述するように、目地カバー体11を構成する中央カバー板12に回動可能に枢支される(図16参照)。
【0026】
側支持梁体53は、図9,10に示すように、目地幅方向に沿って延在された上下方向の側面部を左右一側に有する側梁杆部71を備え、該側梁杆部71の一端部には、前記連結杆25に枢結される梁取付部72が設けられると共に、該側梁杆部71の他端部には、前記側梁杆部71の側面部に、二個の側回転ローラ74を有する側ローラユニット73が設けられている。梁取付部72には、前記連結杆25の外径よりも大きい径寸法で形成された連結孔72aが上下方向に貫通形成されており、該連結孔72aが該連結杆25に外嵌される。これにより、梁取付部72は、連結杆25に対して、左右方向へ回動可能であると共に、上下方向に傾動可能である。
【0027】
側ローラユニット73は、側梁杆部71の側面部に直交状に取り付けられる二個の回動軸75が上下方向に並列して設けられ、各回動軸75に前記側回転ローラ74が回動自在に夫々連結されたものである。そして、側回転ローラ74には、その外周面に嵌合周溝74aが周成されている。こうした側ローラユニット73は、上側の側回転ローラ74の嵌合周溝74aに、前記中案内レール66を構成する上側の案内部67の嵌合縁67bを相対移動可能に嵌合でき、且つ下側の側回転ローラ74の嵌合周溝74aに、当該案内部67と対の下側の案内部68の嵌合縁68bを相対移動可能に嵌合できる。
【0028】
さらに、側支持梁体53は、側梁杆部71の側面部に、上下一対の案内部77,78を有する側案内レール76が固結されている。案内部77,78は、側梁杆部71の側面部の上部および下部から左右一方へ夫々延出された水平縁77a,78aと、各水平縁77a,78aの延出端から下方または上方へ夫々延出された嵌合縁77b,78bとからなる断面略L形を成し、夫々の嵌合縁77b,78bが上下方向に所定間隙をおいて対設されている。こうした側案内レール76は、側梁杆部71の側面部に、前記側ローラユニット73が取り付けられた他端部を除いて、該側梁杆部71の長手方向(目地幅方向)に亘って夫々設けられている。そして、本実施例の側案内レール76は、前記中支持梁体52の中案内レール66を構成する上下の案内部67,68(上下の嵌合縁67b,68b)間を挿通可能に設けられており、前記中支持梁体52の中ローラユニット63を構成する上側の二個の回転ローラ64,64の嵌合周溝64a,64aに、上側の案内部77の嵌合縁77bを相対移動可能に嵌合でき、且つ前記中ローラユニット63の下側の二個の回転ローラ64,64の嵌合周溝64a,64aに、下側の案内部78の嵌合縁78bを相対移動可能に嵌合できる。
【0029】
また、本実施例にあって、側支持梁体53には、側梁杆部71の上下端から側面部側に夫々突設された外嵌片部79,79を備える。上下の外嵌片部79,79は、その間に、前記中支持梁体52の中案内レール66を嵌入可能に形成されており、側梁杆部71の長手方向(目地幅方向)に亘って設けられている。ここで、上下の外嵌片部79,79は、その間に、中案内レール66を構成する上下の案内部77,78の水平縁67a,68aが嵌入されて、該中案内レール66を上下方向で支持する(図11参照)。
【0030】
伸縮支持梁51は、図6,11に示すように、前述した中支持梁体52と二個の側支持梁体53,53とが連結されて構成される。すなわち、中支持梁体52の左右両側で、該中支持梁体52を構成する中梁杆部61の側面部と側支持梁体53,53を構成する側梁杆部71,71の側面部とを夫々対向させて、該中支持梁体52の中案内レール66と該側支持梁体53の側回転ローラ74とを嵌合させると共に、該中支持梁体52の中回転ローラ64と該側支持梁体53の側案内レール76とを嵌合させる。こうして中支持梁体52と二個の側支持梁体53,53とを連結してなる伸縮支持梁51が構成され、該伸縮支持梁51は、各側支持梁体53,53が両建造物81,82の連結基体2,2に枢結され且つ該連結基体2,2の水平受縁21,21に乗載されて支持される(図1,4参照)。かかる伸縮支持梁51は、中案内レール66の上下の案内部67,68間に側ローラユニット73の上下の側回転ローラ74,74が相対移動可能に嵌合され、且つ側案内レール76の上下の案内部77,78間に中ローラユニット63の上下の中回転ローラ64,64が相対移動可能に嵌合された構成であることから、中支持梁体52と側支持梁体53,53とが各案内レール66,76に沿って相対的に移動することによって、円滑に伸縮できる。
【0031】
伸縮支持梁51は、図4に示すように、側支持梁体53,53の梁取付部72,72が両建造物81,82の連結基体2,2に枢結されて、左右方向に回転可能かつ上下方向に傾動可能に配設される。そして、側支持梁体53,53が前記連結基体2,2の水平受縁21,21上に摺動可能に乗載されていることから、該側支持梁体53,53によって中支持梁体52が安定して支持される。
【0032】
本実施例の床用目地カバー装置1は、図1~3に示すように、前記した伸縮保持体31および伸縮支持梁51上に、両建造物81,82の連結基体2,2間に差し渡されて、目地83を覆う目地カバー体11が配設されている。
【0033】
目地カバー体11は、目地幅方向の中央部分に配置される中央カバー板12と、該中央カバー板12の両建造物81,82側に夫々配置される複数の側部カバー板13と、連結基体2,2の垂直縁22,22に夫々連結される端部カバー板14とを備える。中央カバー板12が、前記伸縮保持体31を構成する中央のリンク要素部32に枢結され、各側部カバー板13が、中央のリンク要素部32を除く他のリンク要素部32に夫々枢結されることによって、中央カバー板12と各側部カバー板13とが目地幅方向に並んで配設されている。本実施例にあっては、中央カバー板12、側部カバー板13、および端部カバー板14が、目地長手方向で同じ長さ寸法で形成されている。尚、これら中央カバー板12、側部カバー板13、および端部カバー板14は、スチールなどの鋼板を用いて成形加工されたものである。
【0034】
中央カバー板12は、図12,13(A)に示すように、目地長手方向に延在する矩形平板状の中央水平板部41と、該中央水平板部41の下面に溶接された連結杆部42とを備える。連結杆部42は、前記中央水平板部41の目地幅方向中央部に、該中央水平板部41の目地長手方向に亘って設けられる。ここで、連結杆部42は、間隔をおいて対設された側壁部42a,42aと、該側壁部42a,42aの下縁に連成された底壁部42bと、一方の側壁部42aの上縁から外方へ延出された接合縁部42cとにより構成された断面略コ字形を成し、前記中央水平板部41と同じ長さ寸法に形成されている。そして、前記接合縁部42cが中央水平板部41の下面に溶接されることによって、連結杆部42が該中央水平板部41に一体化され、中央カバー板12が構成される。また、底壁部42bには、前記した伸縮支持梁51を構成する中支持梁体52の枢支杆59を回転自在に挿通させる複数の挿通孔(図示せず)と、前記した伸縮保持体31の中央に位置するリンク要素部32の螺子杆38を回転自在に挿通させる複数の挿通孔(図示せず)とが夫々開口形成されている。
【0035】
中央カバー板12は、前記底壁部42bの各挿通孔に、両建造物81,82の連結基体2,2に枢結された伸縮支持梁51の枢支杆59と、該連結基体2,2に枢結された伸縮保持体31の中央に位置する前記螺子杆38とが夫々挿通されて、ナット等により抜け止めされることによって、該伸縮支持梁51と伸縮保持体31とに回転可能に枢結される(図16参照)。そして、中央カバー板12は、連結杆部42の底壁部42bが、伸縮支持梁51の上面に摺動可能に乗載される。
【0036】
前記中央水平板部41は、その幅寸法(目地幅方向の長さ寸法)が、常態における前記伸縮保持体31の隣合うリンク要素部32の螺子杆間隔の二倍よりも長い所定寸法に設定されている。これにより、中央カバー板12は、中央のリンク要素部32に枢結された状態で、中央水平板部41の両側縁部が、両隣りのリンク要素部32に夫々枢結された各側部カバー板13の内側部を覆って重なる(図1参照)。
【0037】
側部カバー板13は、図12,13(B),14に示すように、目地長手方向に延在する矩形平板状の側部水平板部43と、該側部水平板部43の内側縁から下方へ延出された枢結脚縁部44とを備えたものであり、一枚の鋼板を折曲加工することにより成形されてなる。側部水平板部43は、前記中央水平板部41と同じ長さ寸法で形成されており、枢結脚縁部44は、該側部水平板部43の内側縁から下方へ折り曲げられて連成された垂直縁部44aと、該垂直縁部44aの下縁から側方へ折り曲げられて連成された枢結縁部44bと、該枢結縁部44bの内側縁から上方へ折り曲げられて連成された端縁部44cとにより構成される。また、枢結縁部44bには、前記した伸縮保持体31を構成するリンク要素部32の螺子杆38を回転自在に挿通させる複数の挿通孔(図示せず)が開口形成されている。側部カバー板13は、前記枢結脚縁部44の各挿通孔に、両建造物81,82の連結基体2,2に枢結された複数の伸縮保持体31の前記螺子杆38が夫々挿通されて、ナット等により抜け止めされることによって、該伸縮保持体31に回転可能に枢結される。そして、側部カバー板13は、枢結脚縁部44の枢結縁部44bが、連結基体2,2に枢結された前記伸縮支持梁51の上面に摺動可能に乗載される。尚、本実施例にあって、側部水平板部43の内側縁が、本発明にかかる側部水平板部の目地幅方向一側縁に相当し、枢結縁部44bの内側縁が、本発明にかかる枢結縁部の目地幅方向一側縁に相当する。
【0038】
こうした側部カバー板13は、図15,16に示すように、枢結脚縁部44を内側(中央カバー板12側)にして配置され、前記伸縮保持体31を構成するリンク要素部32の螺子杆38に枢結される。本実施例にあっては、前記中央カバー板12と、その両側に配置される複数の側部カバー板13との総数が、前記伸縮保持体31を構成する複数のリンク要素部32と同数となっており、中央のリンク要素部32を除く各リンク要素部32の螺子杆38に、側部カバー板13が夫々枢結される。尚、各側部カバー板13は、伸縮保持体31に夫々枢結され且つ伸縮支持梁51に乗載されると共に、後述するように、内側の側部水平板部43が外側の側部水平板部43の上面に乗載される(図1参照)。そのため、各側部カバー板13の枢結脚縁部44は、内側から外側に向かって、垂直縁部44aの高さ寸法が段々と短くなっている。
【0039】
前記側部水平板部43は、その幅寸法が、常態における前記伸縮保持体31の隣合うリンク要素部32の螺子杆間隔よりも長い所定寸法に設定されている。これにより、側部カバー板13は、リンク要素部32に枢結された状態で、側部水平板部43の外側縁部が、外側の隣りに配置された側部カバー板13の内側部を覆って重なる(図1参照)。
【0040】
端部カバー板14は、前記連結基体2の垂直縁22の上端部に取り付けられており(図1参照)、図12に示すように、矩形平板状態の端部水平板部45と、該端部水平板部45の内側縁から下方へ延出された断面略L形の脚縁部46とを備えたものであり、該端部水平板部45と脚縁部46が一枚の鋼板を折曲加工することにより成形される。端部水平板部45は、前記中央水平板部41および側部水平板部43と同じ長さ寸法で形成されている。こうした端部カバー板14は、その脚縁部46が、連結基体2に連結された前記伸縮支持梁51の上面に摺動可能に乗載される。そして、端部カバー板14は、その内側部が、その内側の隣りに配置された側部カバー板13の側部水平板部43の外側縁部により覆われて、当該側部水平板部43と重なっている。また、本実施例にあって、端部カバー板14は、端部水平板部45の下面に補強杆47が接合されており、この補強杆47により高い強度と剛性とを有する。
【0041】
このように目地カバー体11は、図15,16に示すように、中央カバー板12と複数の側部カバー板13とが伸縮保持体31の各リンク要素部32に夫々枢結されて目地幅方向に並設されることによって、目地83に差し渡される通路を形成する。そして、最外に夫々配置された端部カバー板14から中央カバー板12までの隣合うカバー板12~14同士で、内側に位置するカバー板12,13の外側縁部が、外側のカバー板13,14の内側部を覆って重なっている。これにより、端部カバー板14の端部水平板部45、各側部カバー板13の側部水平板部43、および中央カバー板12の中央水平板部41が階段状に重なっており、中央水平板部41が最も高い位置にある(図1参照)。そして、端部カバー板14の脚縁部46と各側部カバー板13の枢結脚縁部44とが覆われて、目地上に露出していない。
【0042】
次に、本実施例の床用目地カバー装置1の作動態様について説明する。
図17に示すように、地震の際に両建造物81,82が近接する方向に相対変位すると、各伸縮支持梁51と各伸縮保持体31とが収縮し、該伸縮保持体31の各リンク要素部32に枢結された各側部カバー板13が中央カバー板12に向かって移動して、目地カバー体11が収縮する。ここで、伸縮支持梁51と伸縮保持体31とが円滑に伸縮できることから、地震による両建造物81,82の近接方向への相対変位にスムーズに追従できる。このように伸縮保持体31の収縮に連動して中央カバー板12と各側部カバー板13とが摺動することにより、両建造物81,82の近接方向への相対変位に追従して、目地カバー体11がスムーズに収縮できる。
【0043】
また、地震の際に両建造物81,82が離間する方向に相対変位した場合(図示せず)には、各伸縮支持梁51と各伸縮保持体31とが伸張し、該伸縮保持体31の伸張に伴って各側部カバー板13が目地外方へ移動して、目地カバー体11が伸張する。このように離間方向へ相対変位した際にも、伸縮支持梁51と伸縮保持体31とが円滑に伸張して、当該相対変位にスムーズに追従できる。そして、中央カバー板12と各側部カバー板13とが摺動することにより、前記離間方向への相対変位に追従して、目地カバー体11がスムーズに伸張できる。
【0044】
一方、図18に示すように、地震の際に両建造物81,82が左右方向(目地長手方向)に相対変位した場合には、各伸縮支持梁51と各伸縮保持体31とが左右方向へ傾動し且つ該傾動に伴って伸張する。ここで、各伸縮支持梁51と各伸縮保持体31とは、夫々円滑に伸縮でき、且つ両建造物81,82に固定された連結基体2,2(一対の連結杆25,25)に回動可能に夫々枢結されていることから、地震による両建造物81,82の左右方向への相対変位にスムーズに追従できる。そして、伸縮保持体31の傾動に伴って、中央カバー板12と各側部カバー板13とが左右方向へ移動して、目地カバー体11が傾動する。このように中央カバー板12と各側部カバー板13とが伸縮保持体31に連動して摺動することによって、両建造物81,82の左右方向への相対変位に追従して、目地カバー体11がスムーズに傾動できる。
【0045】
さらに、地震の際に両建造物81,82が上下方向に相対変位した場合(図示せず)には、各伸縮支持梁51と各伸縮保持体31とが上下方向に傾動し且つ伸張する。そして、各伸縮保持体31の伸張に伴って、目地カバー体11が伸張する。ここで、伸縮支持梁51と伸縮保持体31とは、夫々の両端が、両建造物81,82に固定された連結基体2,2(一対の連結杆25,25)に上下方向へ傾動可能に枢結されていることから、両建造物81,82の上下方向への相対変位にスムーズに追従できる。
【0046】
前述したように、本実施例の床用目地カバー装置1にあっては、地震の際に両建造物81,82が相対変位すると、該相対変位に追従して伸縮支持梁51と伸縮保持体31とが伸縮および傾動し、これに伴って中央カバー板12と側部カバー板13とが摺動することよって、目地カバー体11がスムーズに伸縮および傾動できる。特に、本実施例の構成は、中央カバー板12の両外側に複数の側部カバー板13を夫々配設した構成であることから、目地カバー体11が前記相対変位に追従して一層スムーズに伸縮および傾動できる。
【0047】
本実施例の側部カバー板13は、側部水平板部43と一体成形された枢結脚縁部44が、伸縮保持体31のリンク要素部32に直接的に枢結され且つ伸縮支持梁51に直接的に乗載されるものである。すなわち、本実施例の構成は、前述した従来構成のように目地プレートと伸縮リンクとの間に介装される目地プレート支持バーを有せず、該目地プレート支持バーの重量分を軽量化できる。そして、本実施例のように複数の側部カバー板13を備えた構成では、該側部カバー板13の配設数増加に伴う重量増加を抑制できるため、前記従来構成に比して軽量化でき且つ軽量化効果が高くなる。ここで、側部カバー板13の枢結脚縁部44は、垂直縁部44aと枢結縁部44bと端縁部44cとから構成され、この形状効果により強度と剛性とを向上させたものである。特に、端縁部44cを有することによって、高い剛性を有して、この高剛性化によって側部カバー板13に掛かる負荷に対する耐力が向上している。こうしたことから、前記従来構成の支持バーを有しない構成であっても、目地カバー体11上を移動する人や物の重量を十分に支えることができる。
さらに、中央カバー板12は、中央水平板部41と断面略コ字形の連結杆部42とが接合された構成として、比較的高い強度と剛性とを有する。こうした中央カバー板12の両外側に側部カバー板13を配設した構成とすることで、目地カバー体11上を通過する人や物の重量を安定して支え易くなっている。
【0048】
また、本実施例の構成は、側部カバー板13の枢結脚縁部44が、夫々の内側で隣り合う中央カバー板12の中央水平板部41または側部カバー板13の側部水平板部43によって覆われる。そのため、目地カバー体11上を人や物が移動し易いことに加えて、枢結脚縁部44上に砂やゴミなどが溜まってしまうことを抑制できるため、該砂やゴミなどによって、伸縮保持体31と側部カバー板13との相対的な摺動が妨げられてしまうことを抑制できる。
【0049】
また、本実施例の構成は、前記中央カバー板12と側部カバー板13とを支持する伸縮支持梁51が円滑に伸縮作動することによって、目地カバー体11のスムーズな伸縮および傾動に寄与している。ここで、伸縮支持梁51は、中支持梁体52の中回転ローラ64と側支持梁体53の側案内レール76とが相対移動可能に嵌合され、かつ中支持梁体52の中案内レール66と側支持梁体53の側回転ローラ74とが相対移動可能に嵌合されて構成されたものであることから、中支持梁体52と側支持梁体53,53とが各案内レール66,76に沿って相対移動することによって、円滑に伸縮作動できる。さらに、本実施例にあっては、中支持梁体52に配設された上下の中回転ローラ64,64が、側支持梁体53に配設された側案内レール76の上下の案内部77,78間に相対移動可能に嵌合され、かつ側支持梁体53に配設された上下の側回転ローラ74,74が、中支持梁体52に配設された中案内レール66の上下の案内部67,68間に相対移動可能に嵌合された構成であるから、地震の際に、これら嵌合状態が安定して保持され、前記伸縮作動が安定かつスムーズに実行できる。こうしたことから、本実施例の伸縮支持梁51は、前記した両建造物81,82の相対変位に伴って円滑に伸縮することで、該相対変位に安定して追従できる。
さらに、本実施例の構成は、伸縮支持梁51の側支持梁体53,53が、両建造物81,82に固定された水平受縁21,21に支持され、該側支持梁体53,53によって中支持梁体52を支持するようにしたものであるから、目地83上に配置される該中支持梁体52を安定して支持できる。これにより、目地カバー体11をしっかりと支持できることから、該目地カバー体11上を通過する人や物の荷重を安定して支持し得る高い強度と剛性とを発揮できる。
【0050】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、目地カバー体11を構成する側部カバー板13の配設数は、適宜変更して設定することができる。すなわち、床用目地カバー装置1の設置場所、通路の幅、伸縮支持梁51や伸縮保持体31の配設数などに応じて適宜設定変更することが好適である。
【0051】
また、前述の実施例は、側部カバー板13の枢結脚縁部44が、垂直縁部44aと枢結縁部44bと端縁部44cとからなるものとしたが、これに限らず、例えば、垂直縁部と枢結縁部とからなる枢結脚縁部とすることもできる。
【0052】
また、前述の実施例は、伸縮支持梁51の中支持梁体52に、四個の中回転ローラ64を有する中ローラユニット63が配設された構成であるが、これに限らず、中ローラユニットに有する中回転ローラの個数は適宜変更することができる。例えば、上下に並ぶ二個の中回転ローラ64,64を備えた中ローラユニットを備えた構成であっても良い。さらには、中支持梁体52の両側面部に、夫々一個の中回転ローラを備えた構成であっても良い。
同様に、側支持梁体53に、二個の側回転ローラ74を有する側ローラユニット73が配設された構成であるが、これに限らず、側回転ローラの配設個数は適宜変更することができる。例えば、四個の側回転ローラを有する側ローラユニットが配設された構成、一個の側回転ローラが配設された構成などとできる。
【0053】
また、前述の実施例は、連結基体2が水平受縁21を備え、該水平受縁21に伸縮支持梁51の両端部を摺動可能に乗載したものであるが、これに限らず、例えば、連結基体が、伸縮支持梁51の両端を枢結するのみで、該伸縮支持梁51の両端部を支持しない(水平受縁を有しない)構成であっても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 床用目地カバー装置
2 連結基体
11 目地カバー体
12 中央カバー板
13 側部カバー板
14 端部カバー板
21 水平受縁
22 垂直縁
23 内側縁
25 連結杆
31 伸縮保持体
32 リンク要素部
33a,33b リンク片
34a,34b 短尺リンク片
36 取付部
37 連結孔
38 螺子杆
41 中央水平板部
42 連結杆部
42a 側壁部
42b 底壁部
42c 接合縁部
43 側部水平板部
44 枢結脚縁部
44a 垂直縁部
44b 枢結縁部
44c 端縁部
45 端部水平板部
46 脚縁部
47 補強杆
51 伸縮支持梁
52 中支持梁体
53 側支持梁体
59 枢支杆
61 中梁杆部
63 中ローラユニット
64 中回転ローラ
64a 嵌合周溝
65 回動軸
66 中案内レール
67,68 案内部
67a,68a 水平縁
67b,68b 嵌合縁
71 側梁杆部
72 梁取付部
72a 連結孔
73 側ローラユニット
74 側回転ローラ
74a 嵌合周溝
75 回動軸
76 側案内レール
77,78 案内部
77a,78a 水平縁
77b、78b 嵌合縁
79 外嵌片部
81,82 建造物
83 目地
85,86 床
91,92 支持段縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
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図18