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特開2022-134438トッププレート及びこれを備えた加熱調理器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134438
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】トッププレート及びこれを備えた加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/10 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
F24C15/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033560
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】作田 寛和
(72)【発明者】
【氏名】町田 義典
(57)【要約】
【課題】表層体と裏層体とを適切な固定強度で固定しつつ、組立性を損なわないようにできるトッププレート及びこれを備えた加熱調理器を提供する。
【解決手段】トッププレート3は、加熱調理器1に用いられるトッププレート3である。トッププレート3は、板状に形成されたプレート本体4と、プレート本体4の外周を囲む枠体8と、を備える。プレート本体4は、プレート本体4の上面を含む表層体5と、表層体5の下面に重なる裏層体6と、枠体8内に収容され、表層体5の外周端部と裏層体6の外周端部とを互いに固定する固定部材7と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器に用いられるトッププレートであって、
板状に形成されたプレート本体と、
前記プレート本体の外周を囲む枠体と、
を備え、
前記プレート本体は、
前記プレート本体の上面を含む表層体と、
前記表層体の下面に重なる裏層体と、
前記枠体内に収容され、前記表層体の外周端部と前記裏層体の外周端部とを互いに固定する固定部材と、
を有する、
トッププレート。
【請求項2】
前記表層体が透明板であり、
前記裏層体が化粧板である、
請求項1記載のトッププレート。
【請求項3】
前記固定部材は、
前記裏層体の下面に沿う水平板部と、
前記水平板部の端部から立ち上げられ前記裏層体の端面と前記表層体の端面とに跨る起立板部と、
を有し、
前記起立板部に対し、前記裏層体の端面と前記表層体の端面とが接着されることで、前記表層体の外周端部と前記裏層体の外周端部とが互いに固定されている、
請求項1又は請求項2記載のトッププレート。
【請求項4】
前記起立板部は、当該起立板部と前記表層体の端面と前記裏層体の端面との間の余剰分の接着剤を排出する複数の貫通穴を有する、
請求項3記載のトッププレート。
【請求項5】
前記複数の貫通穴は、前記起立板部において前記裏層体の上面以上の位置に形成されている、
請求項4記載のトッププレート。
【請求項6】
前記固定部材は、前記加熱調理器の機器本体に対して連結される連結部を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のトッププレート。
【請求項7】
前記固定部材は、
前記表層体の上面に対向する上片と、
前記裏層体の下面に対向する下片と、
前記上片の基端部と前記下片の基端部とをつなぐ接続片と、
を有し、
前記上片と前記下片とで、前記裏層体と前記表層体とが挟まれることで、前記表層体の外周端部と前記裏層体の外周端部とが互いに固定されている、
請求項1又は請求項2記載のトッププレート。
【請求項8】
前記下片は、前記基端から先端までの寸法が、前記上片よりも長く形成されている、
請求項7記載のトッププレート。
【請求項9】
前記下片は、その先端部に形成され前記接続片から離れるに従って下方向にいくように前記裏層体の下面に対して傾斜する導入片を有する、
請求項8記載のトッププレート。
【請求項10】
前記上片は、前記基端から前記先端に向かう方向に直交する幅方向において、第一端部からその反対側の第二端部に向かう方向に沿って、前記基端から前記先端までの突出寸法が短くなる部分を有し、
前記下片は、前記幅方向における前記第二端部から前記第一端部に向かう方向に沿って、前記突出寸法が短くなる部分を有する、
請求項7記載のトッププレート。
【請求項11】
機器本体と、
前記機器本体に対して取り付けられた請求項1~10のいずれか一項に記載のトッププレートと、
を備える加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッププレート及びこれを備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のトッププレート(特許文献1では天板)が記載されている。特許文献1記載の天板は、下板と、上板と、枠体とから構成されている。枠体は、断面コの字状の4本の直線枠を使って、上板及び下板の外周4辺において、上板と下板とを挟んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-360984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、トッププレートにおいて枠体は、外観上露出するため、デザイン上重要な要素の一つである。このため、特許文献1記載の天板では、各辺に対応する直線枠を連続した一の直線枠とする必要がある。
【0005】
ここで、上板と下板とを挟む際に、断面コの字状の上片と下片とを、弾性的に広げなければならないが、特許文献1記載の天板では、長い直線枠を用いる必要があるため、上片と下片とを広げることが難しい。すなわち、特許文献1記載の天板は組立性が悪い。
【0006】
また、製造時の組立性を優先し、枠体の上片と下片との間の寸法を、上板と下板との厚さ寸法よりも大きめに設計することも考えられるが、この場合、上板と下板とを適切な固定強度で固定することができない。
【0007】
要するに、特許文献1記載の天板では、上板と下板とを枠体で固定しようとするため、組立性が悪く、上板と下板とを適切に固定することができない、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、表層体と裏層体とを適切な固定強度で固定しつつ、組立性を損なわないようにできるトッププレート及びこれを備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一態様のトッププレートは、加熱調理器に用いられるトッププレートであって、板状に形成されたプレート本体と、前記プレート本体の外周を囲む枠体と、を備える。前記プレート本体は、前記プレート本体の上面を含む表層体と、前記表層体の下面に重なる裏層体と、前記枠体内に収容され、前記表層体の外周端部と前記裏層体の外周端部とを互いに固定する固定部材と、を有する。
【0010】
本発明に係る一態様の加熱調理器は、機器本体と、前記機器本体に対して取り付けられた前記トッププレートと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る上記態様のトッププレート及びこれを備えた加熱調理器は、表層体と裏層体とを適切な固定強度で固定しつつ、組立性を損なわないようにできる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る加熱調理器の斜視図である。
図2図2は、同上の加熱調理器のトッププレートの斜視図である。
図3図3は、同上の加熱調理器のトッププレートの分解斜視図である。
図4図4(A)(B)は、同上のトッププレートの第一固定板(固定部材)の斜視図である。
図5図5(A)は、同上のトッププレートの外周端部の断面図である。図5(B)は、同上の加熱調理器のトッププレート本体の後側の端部の断面図である。
図6図6は、同上の加熱調理器の筐体とトッププレートとの取付け状態を示す断面図である。
図7図7は、同上のトッププレートの第二固定板(固定部材)の斜視図である。
図8図8は、同上のトッププレートの製造方法において、枠体に接着剤を載せる工程を示す平面図である。
図9図9は、同上のトッププレートの製造方法において、裏層体に固定部材を接着する工程を示す平面図である。
図10図10は、同上のトッププレートの製造方法において、トッププレートの完成品を示す平面図である。
図11図11は、変形例1のトッププレートの外周端部の断面図である。
図12図12は、同上のトッププレートの固定部材の斜視図である。
図13図13は、同上のトッププレートの固定部材の配置位置を示す説明図である。
図14図14は、変形例2の固定部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、本実施形態に係るトッププレート3及び加熱調理器1について、詳細に説明する。
【0014】
(1)全体
加熱調理器1は、例えば、ガス、電気等の熱源を利用して加熱調理を行う調理器具である。加熱調理器1としては、例えば、ガスこんろ、電磁調理器(IH(Induction Heating)調理器)、電気こんろ等が挙げられる。本実施形態に係る加熱調理器1は、図1に示すように、グリル付きのガスこんろである。
【0015】
ガスこんろは、ガスを燃料とするこんろである。本実施形態に係るガスこんろは、キッチンカウンタのワークトップに形成された開口に、機器本体2が落とし込まれるビルトインこんろであるが、設置面(例えば、テーブル、こんろ台等)に載せて使用されるテーブルこんろであってもよい。
【0016】
また、本実施形態に係るガスこんろは、グリル部23を有しているが、本発明では、グリル部23を有さなくてもよい。また、グリル部23に代えて、例えば、レンジ機能、オーブン機能、炊飯機能をもつマルチグリルを有していてもよいし、レンジ、オーブン又は炊飯器のいずれかを有していてもよい。
【0017】
以下では、説明の便宜上、ガスこんろの使用態様に基づいて、方向を定義する。すなわち、ガスこんろに対しユーザが正対して調理する使用態様を想定し、図1に示すように、「左右方向」を定義する。また、ガスこんろからユーザに向かい、かつ水平面に沿う方向を「前方向」とし、その反対方向を「後方向」とし、前方向及び後方向に平行な2方向を「前後方向」として定義する。また、設置面に直交する方向を「上下方向」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、本発明に係る加熱調理器1の使用態様を限定する趣旨ではない。
【0018】
加熱調理器1は、図1に示すように、機器本体2と、複数(ここでは三つ)の五徳9が取外し可能に取り付けられるトッププレート3と、を備える。
【0019】
(2)機器本体
機器本体2は、加熱調理器1の主体を構成する。機器本体2は、筐体21と、複数の機器22,23と、を備える。本実施形態に係る機器本体2は、複数の機器22,23として、グリル部23と、複数の加熱部22と、を備える。
【0020】
(2.1)筐体
筐体21は、機器本体2において、機器が収まる箱である。筐体21は、直方体状に形成されており、上面に開口面(不図示)を有している。筐体21の前面には、図1に示すように、グリル部23のグリル扉231を通すための開口211、及び各機器の点火/消火及び火力調節を行う操作器24を通すための開口212が形成されている。
【0021】
(2.2)加熱部
加熱部22は、トッププレート3の上方に配置された調理物を加熱する。ここでいう「トッププレート3の上方に配置された調理物」とは、例えば、鍋やフライパン等の調理器具に収容された食品、水(湯を含む)等を意味する。加熱部22は、加熱部22自体が熱を加えず調理器具を発熱させた結果、調理物を加熱するIHヒータであってもよいが、本実施形態では、五徳9に載った調理器具を加熱して調理物を加熱するバーナ221により構成されている。バーナ221は、ガスを含む気体の供給を受け、予混合燃焼を行うブンゼンバーナである。
【0022】
バーナ221は、筐体21内において、互いに離れて配置されている。バーナ221に対する点火/消火及び火力調節は、筐体21の前面の開口212に通された操作器24(例えば、操作ダイヤル、操作摘まみ、操作レバー等)によって操作される。
【0023】
(2.3)グリル部
グリル部23は、グリル庫(不図示)に収容された調理物に対し、グリル調理を行うことができる。グリル部23は、前面に開口面を有するグリル庫(不図示)と、グリル庫の開口面を開閉可能に閉じるグリル扉231と、を備える。グリル扉231は、グリル庫に対して前後方向に沿って平行移動可能に、支持機構(不図示)を介して取り付けられている。
【0024】
(3)トッププレート
トッププレート3は、加熱調理器1の最上部の板である。トッププレート3は、図2に示すように、略矩形板状に形成されている。トッププレート3には、各バーナ221の上端部が通される複数(ここでは三つ)の穴(これを「バーナ挿通穴45」という)が形成されており、トッププレート3は、機器本体2の筐体21の上端に載るようにして、筐体21に取り付けられる。トッププレート3は、図2に示すように、プレート本体4と、枠体8と、を備える。
【0025】
(3.1)プレート本体
プレート本体4は、トッププレート3の主体を構成する部分である。プレート本体4は、板状に形成され、平面視矩形状に形成されている。プレート本体4は、図3に示すように、表層体5と、裏層体6と、複数の固定部材7と、補強プレート42と、複数のバーナリング43と、複数の連結板44と、を備える。
【0026】
(3.1.1)表層体
表層体5は、プレート本体4の上面を含む部分である。表層体5は、平面視略矩形状に形成されている。表層体5としては、例えば、透明板、透明シート、透明フィルム等が挙げられる。ここでいう「透明」とは、表層体5が、表層体5を通して裏層体6の色又は模様が見える程度の透過率を有することを意味する。本実施形態では、例えば、透過率が5%以上であれば「透明」であり、いわゆる半透明な素材も「透明」の範疇である。本実施形態に係る表層体5は、透明板51が用いられる。透明板51としては、例えば、ガラス板、耐熱樹脂板等が挙げられるが、耐熱性や意匠性の観点からガラス板が好ましい。
【0027】
表層体5は、バーナ挿通穴45に対応する位置に形成された複数の開口52を有する。各開口52は、表層体5を貫通する。
【0028】
(3.1.2)裏層体
裏層体6は、表層体5の下面に重なる部分である。裏層体6は、平面視略矩形状に形成されており、表層体5と略同形同大に形成されている。したがって、裏層体6の外周縁は、表層体5の外周縁に対して、平面視において略一致した位置にあり、裏層体6の端面と上層体の端面とは面一であって、側方を向いている。
【0029】
裏層体6は、表層体5とは別の素材で構成されている。裏層体6としては、剛性及び厚さ寸法について、特に制限はなく、例えば、板、シート、フィルム等であってもよい。本実施形態に係る裏層体6は、板材である。また、裏層体6としては、例えば、表層体5を通して見える意匠性を向上することができる化粧材、又は表層体5を補強する補強材等であってもよい。ここでは、裏層体6として、化粧板61を例示して説明する。
【0030】
化粧板61は、少なくとも上面に化粧面を有する板材である。化粧板61は平板状に形成されている。化粧板61の材質としては、特に制限はなく、例えば、金属、合成樹脂、FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)、カーボン、木質板等が挙げられる。金属としては、例えば、スチール、ステンレス、チタン、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム等が挙げられる。本実施形態に係る化粧板61は、カラー鋼板からなる金属板により構成されている。
【0031】
化粧面としては、特に制限はなく、単色で構成されてもよいし、色分けされた複数色(例えば、グラデーション調、ストライプ調等)で構成されてもよいし、格子柄、水玉、花柄等の模様が付されていてもよい。化粧面の色又は模様は、例えば、塗装、印刷、蒸着、めっき等によって形成される。また、金、銀又は銅等の表面をそのまま化粧面としてもよい。また、化粧板61の上面の一部が化粧面であってもよい。
【0032】
裏層体6は、バーナ挿通穴45に対応する位置に形成された複数の開口62を有する。各開口62は、裏層体6を貫通する。裏層体6の複数の開口62は、表層体5の複数の開口62に対し、平面視で一致した位置に形成されており、互いに通じている。
【0033】
(3.1.3)固定部材
固定部材7は、表層体5の外周端部と裏層体6の外周端部とを互いに固定するための部材である。固定部材7は、図3に示すように、複数(ここでは四つ)の第一固定板71と、第二固定板72と、を備える。
【0034】
第一固定板71は、表層体5と裏層体6とを重ねた状態で、角部同士を固定する。ここで「角部」は、左右方向のいずれかの端縁と、前後方向のいずれかの端縁とでなす出隅部を意味する。一つの第一固定板71によって、表層体5と裏層体6との、一の角部を構成する左右方向の一方の端縁同士、及び当該角部を構成する前後方向の一方の端縁同士を固定することができる。
【0035】
第一固定板71は、図4(A)(B)に示すように、水平板部711と、起立板部712と、連結部714と、を備える。第一固定板71は、水平板部711、起立板部712及び連結部714が、例えばプレス加工によって一体に形成されている。第一固定板71としては、本実施形態では金属板で構成されているが、表層体5と裏層体6とを相互に固定することができれば、これに制限されず、例えば、合成樹脂プレート、木質プレート等で構成されてもよい。金属板としては、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム、チタン等が挙げられる。
【0036】
水平板部711は、裏層体6の下面に沿う板状に形成された部分である。水平板部711は、本実施形態では、略L字状に形成されているが、これに限らず、例えば、略C字状、扇形状、三角形状、矩形状等に形成されてもよい。水平板部711は、裏層体6の下面に接着により固定されることが好ましいが、必ずしも接着されていなくてもよい。
【0037】
起立板部712は、水平板部711における表層体5及び裏層体6の外縁に沿う端部から立ち上げられた部分である。起立板部712は、裏層体6の端面と表層体5の端面とに跨っている。ここで「裏層体6の端面と表層体5の端面とに跨る」とは、起立板部712が、裏層体6の端面の下端から表層体5の端面の少なくとも一部にかかる位置まで延びていることを意味する。したがって、起立板部712は、必ずしも、表層体5の端面と裏層体6の端面とをすべてカバーしている必要はない。
【0038】
図5(A)に示すように、起立板部712と、表層体5の端面及び裏層体6の端面と、の間に接着剤B1が介在し、これによって、起立板部712は表層体5の端面及び裏層体6の端面とを相互に固定する。接着剤B1としては、特に制限はなく、例えば、天然系接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、熱硬化樹脂系接着剤、エラストマ系接着剤等が挙げられる。エラストマ系接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂系、アクリルゴム系、ウレタンゴム系、変性シリコーンゴム系等が挙げられるが、本実施形態では、シリコーン樹脂系接着剤が用いられる。
【0039】
起立板部712には、複数の貫通穴713が形成されている。貫通穴713は、図5(A)に示すように、裏層体6の上面(すなわち、裏層体6と表層体5との境界)以上の位置に形成されている。これによって、貫通穴713は、起立板部712と、表層体5の端面及び裏層体6の端面と、の間の余剰分の接着剤B1を排出することができる。したがって、製造時に、裏層体6と表層体5とを接着剤B1で接着する際、固定部材7を裏層体6及び表層体5に押し付けても、接着剤B1が貫通穴713を介して排出されるため、接着剤B1が、裏層体6と表層体5との間に侵入することが抑制される。
【0040】
また、貫通穴713は裏層体6の上面以上の位置に形成されているため、起立板部712に対する表層体5と裏層体6との界面での接着面積が減少しない。したがって、裏層体6と表層体5との固定強度が低下するのを防ぐことができる。ここで、本明細書でいう「裏層体6の上面以上の位置に形成される」とは、貫通穴713の下端が、裏層体6の上面と同じ高さ位置か、それよりも上方にあることを意味する。ただし、表層体5と裏層体6との固定強度を向上するという観点では、貫通穴713の下端が、裏層体6の上面よりも上方にあることが好ましい。
【0041】
複数の貫通穴713は、図4(A)(B)に示すように、起立板部712の起立方向に直交する方向(プレート本体4の端面に沿う方向)に、一定の間隔をおいて形成されている。各貫通穴713は、接着剤B1から起立板部712に加わる圧力が、一定の圧力未満の場合に接着剤B1の通過を妨げる一方、一定の圧力以上の場合に接着剤B1を通過させるような直径に設定されている。各貫通穴713の直径は、1mm以上3mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mm以上2.5mmである。ただし、貫通穴713の直径は、接着剤の粘性に応じて適切な数値が設定される。各貫通穴713は、円形であるが、例えば、四角形状、長円形状、スリット状等であってもよい。
【0042】
連結部714は、水平板部711に設けられている。連結部714は、水平板部711から下方向に突出しており、機器本体2の爪部213に引掛け可能な係止穴715が形成されている。ここで、図6には、機器本体2の筐体21の上端部と、トッププレート3の固定部材7とが連結された状態の断面図を示す。筐体21の上端部には、板ばねで構成された爪部213が設けられている。トッププレート3が筐体21の上面に載ると、連結部714が爪部213を外側に押し退けると共に、下方向に移動する。すると、爪部213が弾性力によって復元し、係止穴715に入り込む。これによって、トッププレート3は、機器本体2に対して取り付けられる。
【0043】
なお、本実施形態では、連結部714は、図3に示すように、四つの固定部材7のすべてに形成されているが、前側の二つのみ折り曲げて使用し、後側の二つについては使用しない。したがって、後側の二つの固定部材7については、水平板部711に対して折り曲げられていない。
【0044】
第二固定板72は、表層体5と裏層体6とを重ねた状態で、隣り合う角部同士の間の部分(ここでは、前側のみ)を固定する。第二固定板72は、トッププレート3の角部同士の間の寸法に応じて適宜使用される。例えば、トッププレート3の左右方向の寸法の代表例として、650mmのものと、750mmのものとがあるが、650mmである場合、第二固定板72は不要であるが、750mmである場合、第二固定板72が設けられることが好ましい。隣り合う第一固定板71の間の寸法が長い場合、第二固定板72無しでは、表層体5と裏層体6との固定強度が不足する可能性があるからである。
【0045】
第二固定板72は、図7に示すように、水平板部721と、起立板部722と、を備える。水平板部721は、裏層体6の下面に沿う板状に形成された部分である。水平板部721は、略矩形状に形成されているが、形状には制限はない。また、水平板部721は、裏層体6の下面に接着により固定されることが好ましいが、必ずしも接着されていなくてもよい。
【0046】
起立板部722は、水平板部721における表層体5及び裏層体6の外縁に沿う端部から立ち上げられた部分である。起立板部722は、第一固定板71と同様、裏層体6の端面と表層体5の端面とに跨っている。起立板部722は、第一固定板71と同様、表層体5の端面及び裏層体6の端面との間に、接着剤B1が介在し、これによって、表層体5の端面及び裏層体6の端面とを相互に固定する。
【0047】
起立板部722には、複数の貫通穴723が形成されている。貫通穴723は、第一固定板71と同様、裏層体6の上面以上の位置に形成されている。これによって、貫通穴723は、起立板部722と、表層体5の端面及び裏層体6の端面と、の間の余剰分の接着剤B1を排出することができる。
【0048】
これら第一固定板71と第二固定板72(すなわち、固定部材7)は、図5(A)に示すように、枠体8内に収容される。「枠体8内に収容される」とは、枠体8の外周よりも内側の領域内に配置されていることを意味する。本実施形態に係る固定部材7は、枠体8内に収容されると共に、起立板部712,722が枠体8に覆われ、かつ水平板部711,721がトッププレート3に覆われているため、上方からみて固定部材7が露出することがなく、外観が損なわれない。
【0049】
本実施形態に係るトッププレート3は、図3に示すように、裏層体6の後方側の端部を、枠体8と共に挟む押さえ部材41を備える。押さえ部材41は、図5(B)に示すように、裏層体6の下面に沿う押さえ部411と、押さえ部411から上方に突出する立ち上がり部412と、立ち上がり部412から折り返されて下方向に延びるリブ部413と、を備える。押さえ部411と裏層体6とが接着剤B1により接着され、立ち上がり部412と枠体8とが接着剤B1により接着されることで、裏層体6の後方側の端部が表層体5に対して押し付けられる。なお、押さえ部材41は、必要に応じて取り付けられるようにしてもよい。
【0050】
(3.1.4)補強プレート
補強プレート42は、裏層体6の下面に重なる補強板である。補強プレート42は、図3に示すように、平面視略三角形状に形成されており、バーナ挿通穴45に対応する位置に形成された複数の開口421を有する。各開口421は、表層体5の開口52及び裏層体6の開口62に対応して形成されており、平面視で一致する位置に形成されている。
【0051】
補強プレート42の材質は、特に制限はないが、例えば、金属、合成樹脂、FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)、カーボン、木質板等が挙げられる。本実施形態に係る補強プレート42は、金属板で構成されている。
【0052】
(3.1.5)バーナリング、連結板
バーナリング43は、トッププレート3におけるバーナ挿通穴45を構成する。各バーナリング43は、平面視円環状に形成されている。バーナリング43は、表層体5の上面に対向するフランジ431と、フランジ431の内周面から下方向に突出する筒体432と、で構成されている。バーナリング43は、Oリング433に筒体432を差し入れた状態で、当該筒体432を、表層体5及び裏層体6に形成された開口52,62、及び補強プレート42の開口421に対して上から差し込む。そして、筒体432の下端に連結板44を固定する。
【0053】
連結板44は、バーナリング43の筒体432の下端に取り付けられ、かつ補強プレート42に対して固定される。これによって、バーナリング43がバーナ挿通穴45の中央を中心として回転することが妨げられると共に、バーナリング43のフランジ431を表層体5の上面に押し付けることができ、表層体5の上面とバーナリング43との間の止水性を確保することができる。連結板44は円盤状に形成されているが、形状には特に制限はない。
【0054】
(3.2)枠体
枠体8は、プレート本体4の外周を囲む。枠体8は、図3に示すように、枠状部81と、枠状部81の後側に一体に設けられた排気部82と、側壁部83と、を備える。枠体8は、金属板をプレス加工することにより一体に形成されている。金属板としては、特に制限はないが、例えば、スチール、ステンレス、チタン、アルミニウム等が挙げられる。
【0055】
枠状部81は、プレート本体4の外周に沿って形成され、プレート本体4の外周端部の上面に被さっている。枠状部81は、矩形枠状に形成されている。枠状部81は、図5(A)に示すように、当接部811と、近接部812と、を備える。
【0056】
近接部812は、プレート本体4の外周端部に対して、隙間を介して覆っている。近接部812は水平面に沿って形成されている。近接部812とプレート本体4の外周端部との間には、接着剤B1が充填される。
【0057】
当接部811は、近接部812の内周端部に設けられており、表層体5の上面に当たる。すなわち、当接部811は、枠状部81の内周端部を構成する。当接部811は、断面略L字状に形成されており、その下端面が表層体5の上面に当たる。当接部811が設けられていることで、枠状部81は、プレート本体4の上面に付着した水分がトッププレート3の外側及び枠体8とプレート本体4との間に浸入するのを防ぐことができる。
【0058】
排気部82は、グリル庫内の排気を出す排気口821が形成された部分である。排気部82は、図3に示すように、枠状部81の後方に設けられている。排気口821には、図1に示すように、排気口カバー822が取外し可能に取り付けられる。
【0059】
側壁部83は、図3に示すように、枠体8の外周を囲む部分である。側壁部83の下端はワークトップの上面に対向するように配置され、側壁部83はトッププレート3の端面を側方から覆う。
【0060】
(4)製造方法
次に、本実施形態に係るトッププレート3の製造方法の一例について説明する。
【0061】
まず、表層体5としてのガラス板、裏層体6としてのカラー鋼板、及び補強プレート42を重ね、複数のバーナリング43及び連結板44でこれらを挟み込む(以下、これを「プレートセット品4S」という)。次いで、図8に示すように、枠体8を上下反転させ、枠体8の近接部812の裏面(すなわち、設置状態の下面)に対し、全長にわたって接着剤B1(ここではシリコーン樹脂系接着剤)を塗布する。
【0062】
次いで、図9に示すように、上下反転した状態の枠体8に対し、プレートセット品4Sを上下反転して載せ、枠体8とプレートセット品4Sとを接着する。次いで、第一固定板71の起立板部712及び第二固定板72の起立板部722に沿って接着剤B1を塗布し、プレートセット品4Sに対して、第一固定板71及び第二固定板72を載せて適切な力で押し込む。
【0063】
すると、ガラス板の端面及びカラー鋼板の端面と、起立板部712,722との間に接着剤B1が充填されるが、図5(A)に示すように、余剰分の接着剤B1については、貫通穴713,723を介して排出される。このため、起立板部712,722が接着剤B1を加圧しても、ガラス板とカラー鋼板との間に接着剤B1が入り込むのを抑えることができる。
【0064】
また、図9に示すように、押さえ部材41の押さえ部411に接着剤B1を塗布し、プレートセット品4Sに対して押さえ部411を押し当て、枠体8に対して立ち上がり部412を押し当てる。このとき、立ち上がり部412と枠体8との間にも接着剤B1が介在する。この状態で、接着剤B1が硬化するのを待ち、図10に示すようにトッププレート3が完成する。
【0065】
このように、本実施形態に係るトッププレート3は、表層体5の外周端部と裏層体6の外周端部とを、枠体8とは別の固定部材7で互いに固定するため、表層体5と裏層体6とが別部材で構成されていながらも、組立性を向上させることができる。これにより、ガラス板の裏面に印刷するような従来の製造方法を用いることがないため、例えば、透明板51と化粧板61とを別部材で構成してコストを下げることができながらも、組立性も損なわないようにすることができる。
【0066】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0067】
(1)変形例1
上記実施形態に係る固定部材7は、表層体5の外周端部と裏層体6の外周端部とを、接着により固定したが、変形例1に係る固定部材7は、図11に示すように、表層体5の外周端部と裏層体6の外周端部とを挟むことで固定している。その他の構成については、上記実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0068】
固定部材7は、図11に示すように、上片73と、下片74と、上片73の基端部と下片74の基端部とをつなぐ接続片75と、を備える。固定部材7は、例えば、一定の剛性があり、かつ弾性変形可能な材料で構成されることが好ましい。固定部材7の材料としては、例えば、板ばね、線細工ばね、合成樹脂等が挙げられる。板ばねとしては、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、リン酸銅等が用いられる。
【0069】
上片73は、表層体5の上面に対向しており、当該上面に接触している。上片73は、図12に示すように、基端から先端に向かう方向(これを、「突出方向」という場合がある)に直交する方向(これを「幅方向」という場合がある)の全長にわたって、同じ突出寸法となるように形成されている。ここでいう「突出寸法」とは、基端から先端までの寸法を意味する。
【0070】
下片74は、裏層体6の下面に対向している。下片74は、上片73に比べて、突出寸法が長く形成されている。下片74は、裏層体6の下面に接触する挟持片741と、挟持片741の先端に設けられた導入片742と、で構成されている。挟持片741の突出寸法は、図11に示すように、上片73の突出寸法と比べて、やや短く形成されているが、同じ寸法かそれ以上であってもよい。
【0071】
導入片742は、下片74の先端部に形成されている。導入片742は、接続片75から離れるに従って下方向にいくように、裏層体6の下面に対して傾斜している。導入片742によれば、表層体5の外周端部と裏層体6の外周端部を、固定部材7に嵌め込む際に嵌め込みやすくすることができる。
【0072】
複数の固定部材7は、図11に示すように、枠体8内に収容される。上片73は、表層体5の上面と近接部812との間に配置され、外観上、露出しない。また、複数の固定部材7は、例えば、図13に示すように、破線丸印の位置(計8箇所)で、部分的に、表層体5と裏層体6とを挟む。隣り合う固定部材7の間隔は、固定部材7間で裏層体6がたわまないような寸法に設定されることが好ましい。
【0073】
なお、図13では、上記実施形態で用いられた第一固定板71のうちの前側の第一固定板71(ここでは、「固定板71A」)が取り付けられているが、表層体5と裏層体6とを接着する機能は有しておらず、裏層体6にのみ接着され、機器本体2に対して連結する機能を有している。
【0074】
(2)変形例2
上記変形例1に係る固定部材7は、上片73及び下片74が、幅方向に同じ突出寸法であったが、図14に示すように、上片73及び下片74が、幅方向に沿って突出寸法が変化してもよい。
【0075】
ここで、図14に示すように、固定部材7において、幅方向の一方の端部を「第一端部X1」とし、幅方向の他方の端部を「第二端部X2」として定義する。
【0076】
上片73は、幅方向において、突出寸法が同じ部分である第一部分76と、突出寸法が変化する第二部分77とが、第一端部X1から第二端部X2に向かう方向に沿って、隣り合って連続している。第二部分77は、第一端部X1から第二端部X2に向かう方向に沿って、突出寸法が短くなるように形成されている。
【0077】
下片74は、幅方向において、突出寸法が同じ部分である第一部分76と、突出寸法が変化する第二部分77とが、第二端部X2から第一端部X1に向かう方向に沿って、隣り合って連続している。第二部分77は、第二端部X2から第一端部X1に向かう方向に沿って、突出寸法が短くなるように形成されている。
【0078】
固定部材7は、平面視で、第二部分77の先端の縁が交差するように構成されている。したがって、固定部材7の上片73及び下片74を、幅方向が水平面に対して傾斜するように傾け、表層体5の外周端部及び裏層体6の外周端部に押し当てつつ、固定部材7の上片73及び下片74を水平面に近付けるように向きを変えてゆくことで、上片73又は下片74を弾性変形させやすい。したがって、変形例2に係る固定部材7によれば、導入片742がなくても、表層体5及び裏層体6に対して、固定部材7を取り付けやすい。また、変形例2に係る固定部材7は、接続片75の中央を通る法線を中心とした点対称の形状に形成されているため、上下向きを気にすることなく取りつけることができるという利点もある。
【0079】
なお、「第一端部X1」が第二端部X2であり、「第二端部X2」が第一端部X1であってもよい。また、上片73及び下片74は、幅方向の全長にわたって第二部分77のみで構成されてもよい。
【0080】
(3)その他の変形例
実施形態の変形例を列挙する。
【0081】
上記実施形態に係るトッププレート3は、表層体5が透明板51で構成されたが、本発明では、表層体5は、透明でなくてもよく、金属板で構成されてもよい。金属板としては、例えば、アルミニウム、ホーロー、フッ素コーティングされた鋼板等が挙げられる。
【0082】
また、表層体5は、可とう性又は柔軟性のある素材である場合に、裏層体6を剛性の高い素材としてもよい。また、表層体5を、高価でかつ薄い素材とし、裏層体6を、安価でかつ剛性の高い素材(すなわち、補強材)としてもよい。
【0083】
上記変形例1,2の固定部材7は、断面略コ字状に形成されたが、例えば、断面倒H状に形成されてもよく、形状には特に制限はない。
【0084】
上記実施形態に係る第一固定板71は、表層体5及び裏層体6の角部として、左右方向の一方の端縁同士と、これに隣接する前後方向の一方の端縁同士と、の両方を固定したが、左右方向の一方の端縁及び前後方向の一方の端縁のうちのいずれか一方のみを固定してもよい。また、全ての第一固定板71に代えて、第二固定板72を使用してもよいし、第一固定板71のうちの後側の二つの第一固定板71に代えて、第二固定板72を使用してもよいし、第一固定板71のうちの前側の二つの第一固定板71に代えて、第二固定板72を使用してもよい。
【0085】
本明細書にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0086】
また、本明細書において「端部」及び「端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「端」は物体の末の部分を意味するが、「端部」は「端」を含む一定の範囲を持つ域を意味する。端を含む一定の範囲内にある点であれば、いずれも、「端部」であるとする。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
【0087】
<まとめ>
以上説明したように、第1の態様に係るトッププレート3は、加熱調理器1に用いられるトッププレート3である。トッププレート3は、板状に形成されたプレート本体4と、プレート本体4の外周を囲む枠体8と、を備える。プレート本体4は、プレート本体4の上面を含む表層体5と、表層体5の下面に重なる裏層体6と、枠体8内に収容され、表層体5の外周端部と裏層体6の外周端部とを互いに固定する固定部材7と、を有する。
【0088】
この態様によれば、固定部材7で表層体5と裏層体6とを固定した上で、枠体8内に取り付けることができるため、表層体5と裏層体6とを適切な固定強度で固定しつつ、組立性が損なわれない。
【0089】
第2の態様に係るトッププレート3では、第1の態様において、表層体5が透明板51であり、裏層体6が化粧板61である。
【0090】
この態様によれば、透明板51の裏面に印刷等を施す必要がない。このため、印刷費用よりも安価な裏層体6を用いることで、コストダウンを実現しやすい。
【0091】
第3の態様に係るトッププレート3では、第1又は第2の態様において、固定部材7は、裏層体6の下面に沿う水平板部711,721と、水平板部711,721の端部から立ち上げられ裏層体6の端面と表層体5の端面とに跨る起立板部712,722と、を有する。起立板部712,722に対し、裏層体6の端面と表層体5の端面とが接着されることで、表層体5の外周端部と裏層体6の外周端部とが互いに固定されている。
【0092】
この態様によれば、表層体5と裏層体6とが互いに適切な位置関係に配置した上で、固定部材7を用いて接着することができるため、裏層体6と表層体5との間に接着剤B1を介在させる場合よりも、組み立てやすい。また、表層体5が透明板51である場合には、裏層体6と表層体5との間に接着剤B1を介在すると、表層体5を通して接着剤B1が見えて外観が損なわれるが、この態様によれば、これを防ぐことができる。
【0093】
第4の態様に係るトッププレート3では、第3の態様において、起立板部712,722は、当該起立板部712,722と表層体5の端面と裏層体6の端面との間の余剰分の接着剤B1を排出する複数の貫通穴713,723を有する。
【0094】
この態様によれば、接着の際、起立板部712,722が接着剤B1を加圧しても、貫通穴713,723を通して余剰分の接着剤B1が排出されるため、接着剤B1が表層体5と裏層体6との間に入り込むのを抑制することができる。
【0095】
第5の態様に係るトッププレート3では、第4の態様において、複数の貫通穴713,723は、起立板部712,722において裏層体6の上面以上の位置に形成されている。
【0096】
この態様によれば、表層体5と裏層体6との境界における接着面積をできる限り広くすることができ、表層体5と裏層体6との固定強度が低下するのを抑えることができる。
【0097】
第6の態様に係るトッププレート3では、第1~5のいずれか1つの態様において、固定部材7は、加熱調理器1の機器本体2に対して連結される連結部714を有する。
【0098】
この態様によれば、一の固定部材7で、表層体5と裏層体6とを固定する機能と、トッププレート3を機器本体2に取り付ける機能と、を兼ねることができ、部品点数を減らすことができる。
【0099】
第7の態様に係るトッププレート3では、第1又は第2の態様において、固定部材7は、表層体5の上面に対向する上片73と、裏層体6の下面に対向する下片74と、上片73の基端部と下片74の基端部とをつなぐ接続片75と、を有する。上片73と下片74とで、裏層体6と表層体5とが挟まれることで、表層体5の外周端部と裏層体6の外周端部とが互いに固定されている。
【0100】
この態様によれば、表層体5と裏層体6との固定に接着剤B1を用いなくてもよいため、全体として接着剤B1の使用量を減らすことができる。
【0101】
第8の態様に係るトッププレート3では、第7の態様において、下片74は、基端から先端までの寸法が、上片73よりも長く形成されている。
【0102】
この態様によれば、下片74をたわませやすく、組み立ての際の作業性を向上させることができる。
【0103】
第9の態様に係るトッププレート3では、第8の態様において、下片74は、その先端部に形成され接続片75から離れるに従って下方向にいくように裏層体6の下面に対して傾斜する導入片742を有する。
【0104】
この態様によれば、表層体5と裏層体6との外周端部を、上片73と下片74との間に嵌め込みやすく、組み立ての際の作業性を向上させることができる。
【0105】
第10の態様に係るトッププレート3では、第7の態様において、上片73は、基端から先端に向かう方向に直交する幅方向において、第一端部X1からその反対側の第二端部X2に向かう方向に沿って、基端から先端までの突出寸法が短くなる部分を有する。下片74は、幅方向における第二端部X2から第一端部X1に向かう方向に沿って、突出寸法が短くなる部分を有する。
【0106】
この態様によれば、上下方向の取付け向きに制約がないため、表層体5と裏層体6に対する取り付けやすさを保ちながらも、組み立て時に、固定部材7の上下向きを気にする必要がなく、組立性がよい。
【0107】
第11の態様に係る加熱調理器1は、機器本体2と、機器本体2に対して取り付けられた第1~10のいずれか1つの態様のトッププレート3と、を備える。
【0108】
この態様によれば、表層体5と裏層体6とを適切な固定強度で固定しつつ、組立性を損なわないトッププレート3を用いて加熱調理器1を製造できるため、組立性の高い加熱調理器1を提供することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 加熱調理器
2 機器本体
213 爪部
3 トッププレート
4 プレート本体
5 表層体
51 透明板
6 裏層体
61 化粧板
7 固定部材
711 水平板部
712 起立板部
713 貫通穴
714 連結部
721 水平板部
722 起立板部
723 貫通穴
73 上片
74 下片
742 導入片
75 接続片
X1 第一端部
X2 第二端部
8 枠体
B1 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14