(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134442
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20220908BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220908BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20220908BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 Y
H02J7/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033564
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】519100310
【氏名又は名称】APB株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
(72)【発明者】
【氏名】川崎 洋志
(72)【発明者】
【氏名】水野 雄介
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA11
5G503EA08
5G503GA10
5H030AA10
5H030AS08
5H030AS11
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】組電池を構成する積層された複数の単電池の状態に応じた光信号を出力するリチウムイオン電池モジュールを提供する。
【解決手段】リチウムイオン電池モジュールは組電池(50)を構成する複数の単電池(30)に備えられた複数の光送信器(10)を含む。各光送信器は、測定回路(90)から対応する単電池の特性を表す特性信号を受信し、所定の制御信号を出力するように構成された制御回路(40)と、複数の光送信器に共通の光導波路(60)に、制御信号に応じた光信号を出力する発光部(20)とを備える。制御回路(40)は、受信した特性信号に基づいて対応する単電池の状態を判定する状態判定回路(42)を備え、判定された状態に応じた異なるパターンの制御信号を出力し、判定された状態に応じた異なるパターンの光信号を出力するように発光部(20)を制御するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を積層して構成された組電池と、前記複数の単電池に備えられた複数の光送信器とを含むリチウムイオン電池モジュールであって、
前記複数の単電池の各単電池は、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層、及び負極集電体を含み、
前記複数の光送信器の各光送信機は、前記各単電池に対応しており、前記対応する単電池から電力供給され、
前記複数の光送信器の各光送信器は、
前記対応する単電池の特性を表す特性信号を出力するように構成された測定部と、
前記特性信号を受信し、所定の制御信号を出力するように構成された制御部と、
前記制御信号に応じた光信号を出力するように構成された発光部と、
を備え、
前記制御部は、
受信した前記特性信号に基づいて前記対応する単電池の状態を判定する状態判定部を備え、
判定された前記対応する単電池の状態に応じた異なるパターンの前記制御信号を出力し、判定された前記対応する単電池の状態に応じた異なるパターンの前記光信号を出力するように前記発光部を制御するように構成されている、リチウムイオン電池モジュール。
【請求項2】
前記特性は、前記単電池の電圧または前記単電池の温度である、請求項1に記載のリチウムイオン電池モジュール。
【請求項3】
前記制御部は他の単電池の制御部と非同期で前記制御信号を出力するように構成されている、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池モジュール。
【請求項4】
前記複数の光送信器のそれぞれが個別の内部クロックで動作しており、前記制御部は前記個別の内部クロックに基づく一定の周期で前記制御信号を出力し、前記内部クロックが互いに異なるおよび/または異なるように調整されていることにより、前記一定の周期は前記他の単電池の制御部が制御信号を出力する一定の周期と異なる、請求項3に記載のリチウムイオン電池モジュール。
【請求項5】
前記制御部は、外部からの異常状態を示す外部信号に応答して、前記異常状態に対応するパターンの制御信号を出力するようにさらに構成された、請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池モジュール。
【請求項6】
前記光信号を受信して電気信号に変換する受光部をさらに備え、
前記受光部と前記組電池とは電気的に絶縁されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池モジュール。
【請求項7】
前記電気信号を処理して前記複数の単電池のそれぞれの状態を決定または推定するように構成された信号処理部さらに備えた、請求項6に記載のリチウムイオン電池モジュール。
【請求項8】
前記複数の光送信器に共通の光導波路をさらに備えた、請求項1から7のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池モジュールに関し、より詳細には、組電池を構成する積層された複数の単電池のそれぞれの状態に応じた光信号を出力する複数の光送信器を備えたリチウムイオン電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車およびハイブリッド電気自動車等の電源携帯型電子機器の電源としてリチウムイオン電池の単電池を複数個積層した組電池が用いられている。このような組電池を充電する場合、過充電状態になる単電池が存在することがないように充電管理を行う必要がある。
【0003】
特許文献1には、直列に接続された単電池を含む電池モジュールの両端に、発光ダイオードを含む過充電発熱回路を並列に接続し、過充電が生じたときに発光ダイオードの発光が共通の光ファイバーにより受光ダイオードに送られることが開示されている(例えば、特許文献1の第0012、0023-0024段落、第5図参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成は、単電池に過充電が生じて対応する発光ダイオードに通電が生じると発光する構成であるため、組電池を構成する複数の単電池のそれぞれの状態に応じて発光することができない。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、各発光部が対応する単電池の状態に応じた光信号を出力するようしたリチウムイオン電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールは、複数の単電池を積層して構成された組電池と、複数の単電池に備えられた複数の光送信器とを含み、複数の単電池の各単電池は、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層、及び負極集電体を含み、複数の光送信器の各光送信機は、各単電池に対応しており、対応する単電池から電力供給され、
複数の光送信器の各光送信器は、
対応する単電池の特性を表す特性信号を出力するように構成された測定部と、
特性信号を受信し、所定の制御信号を出力するように構成された制御部と、
制御信号に応じた光信号を出力するように構成された発光部と、
を備え、
制御部は、
受信した特性信号に基づいて対応する単電池の状態を判定する状態判定部を備え、
判定された対応する単電池の状態に応じた異なるパターンの制御信号を出力し、判定された対応する単電池の状態に応じた異なるパターンの光信号を出力するように発光部を制御するように構成されていること、を特徴とする。
【0008】
また、他の実施形態に係るリチウムイオン電池モジュールは、光信号を受信して電気信号に変換する受光部をさらに備え、受光部と組電池とは電気的に絶縁されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、各発光部が対応する単電池の状態に応じた光信号を出力するようしたリチウムイオン電池モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるリチウムイオン電池モジュールの一部を切り欠いた斜視図である。
【
図2】
図1に示すリチウムイオン電池モジュールの概略断面構造を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュール内の複数の光送信器の概略構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールにおける光送信器のクロック生成回路の概略構成を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールにおける光送信器の測定回路の機能ブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールにおける光送信器の制御回路の機能ブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールにおけるある時間期間(システム周期内の理想的なタイミング)において複数の光送信器が送信する光信号を説明する図であり、(a)、(b)、および(c)は互いに異なる光送信器から送信される光信号を時間軸上に示す図であり、(d)は共通の光導波路における(a)、(b)、および(c)の光信号を時間軸上に示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールにおける別の時間期間(システム周期内の理想的なタイミングからずれたタイミング)において複数の光送信器が送信する光信号を説明する図であり、(a)、(b)、および(c)は互いに異なる光送信器から送信される光信号を時間軸上に示す図であり、(d)は共通の光導波路における(a)、(b)、および(c)の光信号を時間軸上に示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュール内において光送信器が送信する光信号のタイミングを説明する図であり、(a)は光送信器のクロックを示す図であり、(b)は測定回路からの特性信号に基づいて判定された対応する単電池の状態を示す信号を示す図であり、(c)は所定の期間を示す信号を示す図であり、(d)は発光部が制御回路からの制御信号に応じて出力する光信号を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールの機能ブロック図である。
【
図11】本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールの信号処理装置の信号処理のフローチャートである。
【
図12】第1の実施例の光送信機とその利用法を示すブロック図である。
【
図13】第1の実施例の比較回路を示す回路図である。
【
図14】第1の実施例の出力回路を示す回路図である。
【
図15】第1の実施例の光送信機の状態と入力電圧と出力信号対応の一例を示す図である。
【
図16】第1の実施例の光送信機の出力信号の一例を示す図である。
【
図17】第2の実施例の光送信機を示すブロック図である。
【
図18】第3の実施例の光送信機を示すブロック図である。
【
図19】第4の実施例の光送信機を示すブロック図である。
【
図20】第5の実施例の光送信機を示すブロック図である。
【
図21】第6の実施例の光送信機を示すブロック図である。
【
図22】第7の実施例の光送信機を示すブロック図である。
【
図23】第8の実施例の光送信機を示すブロック図である。
【
図24】第9の実施例の光送信機を示すブロック図である。
【
図25】第9の実施例の光送信機を接続する一例を示す図である。
【
図26】第10の実施例の光送信機を示すブロック図である。
【
図27】第10の実施例の光送信機を接続する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。同一または類似の符号は、同一または類似の要素を示すものとし、繰り返しの説明を省略する場合がある。以下に説明される数値および材料は例示であり、したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で他の数値および材料を用いて実施することができることは言うまでもない。
【0012】
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池モジュールは、複数の単電池を積層して構成された組電池と、複数の単電池に備えられた複数の光送信器とを含む。各単電池が対応する光送信器を有する。各光送信器は、対応する単電池の特性を表す特性信号を受信し、所定の制御信号(例えば、所定の期間毎に当該特性信号を符号化した制御信号)を出力するように構成された制御部と、複数の光送信器に共通の光導波路に、制御信号に応じた光信号を出力する発光部とを備える。複数の光送信器は、非同期で光信号を送信するように構成されている。
【0013】
典型的に、単電池は、下から順に正極集電体と、正極活物質層と、セパレータと、負極活物質層と、負極集電体とを積層したものである。また、単電池は、略矩形平板状の正極集電体の表面に正極活物質層が形成された正極と、同様に略矩形平板状の負極集電体の表面に負極活物質層が形成された負極とが、略平板状のセパレータを介して積層されて形成されている。単電池は、正極集電体と負極集電体との間に環状の枠部材を配置し、当該枠部材により、正極集電体と負極集電体の間にセパレータの周縁部を固定するとともに、正極活物質層、セパレータおよび負極活物質層を封止している。例えば、発光部は、枠部材の側面に露出するように、枠部材内に埋め込まれるまたは枠部材に取り付けられてもよい。
【0014】
図1は本発明の実施形態にかかるリチウムイオン電池モジュールの一部を切り欠いた斜視図である。
【0015】
図1に示すように、リチウムイオン電池モジュール1は積層された複数の単電池30を有する。また、リチウムイオン電池モジュール1は、発光部20の発光面に隣接または近接して配置された光導波路60を有する。さらに、リチウムイオン電池モジュール1は複数の単電池30および光導波路60を収容する外装体70を有する。
【0016】
積層された複数の単電池30は組電池50を構成している。
図1は、5つの単電池30を積層した形態を示しているが、単電池の積層数は5より多くても、または5より少なくてもよい。一実装例では、単電池30の積層数は20以上であり得る。各単電池30は、負極集電体(不図示)および負極集電体と対向する正極集電体(不図示)を有する。組電池50内において隣り合う2つの単電池30は、一方の単電池30の負極集電体の上面と他方の単電池30の正極集電体の下面が隣接するように積層されている。
図1は、5つの単電池30を直列接続した組電池50を示している。
【0017】
正極集電体および負極集電体は、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケルおよびこれらの合金などの金属材料、ならびに焼成炭素、導電性高分子材料、導電性ガラス等のいずれかを用いて構成され得る。
【0018】
組電池50の最上面の負極集電体の上には導電性シートが設けられている。導電性シートの一部が外装体70から引き出されて引出配線57となっている。また、組電池50の最下面の正極集電体の下には導電性シートが設けられている。導電性シートの一部が外装体70から引き出されて引出配線59となっている。導電性シートは、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケルおよびこれらの合金などの金属材料のいずれかを用いて構成され得るが、導電性を有す材料であればこれらに限定されない。導電性シートは、導電性高分子材料を用いて構成されてもよい。
【0019】
各単電池30は、当該単電池の特性を測定する測定回路90を有する。また、各単電池30は、測定された特性に基づいて発光して光信号を出力する発光部20を有する。測定回路90および発光部20は、制御回路40とともに光送信器10に備えられている。光送信器10については後述する。
【0020】
光導波路60は、入射し伝搬した光信号が出射する光出力部を有する。一実装例では、1つの光導波路60に隣接または近接して配置された20個以上の単電池30の各々に備えられた発光部20からの発光が、光学的に結合され、光出力部から出射する。本実施形態において、光導波路60の一部は、外装体70から引き出されて、光出力部となっている。光出力部から出射した光信号は、受光部80により受信される。受光部80は、フォトダイオード、フォトトランジスタなどを用いて構成することができる。発光素子であるLED素子を受光素子として用いて受光部80を構成してもよい。なお、光出力部を含む光導波路60の全体は外装体70の内部に収容されていてもよい。光導波路60の全体を外装体70の内部に収容する場合、光出力部から出射した光信号は、外装体70の内部に配置された受光部80により受信される。受光部80を外装体70の内部に配置する場合であっても、外装体70の内部に配置する場合と同様に、受光部80は組電池50と電気的に絶縁されることが望ましい。
【0021】
外装体70は、金属缶ケースまたは高分子金属複合フィルムを用いて構成することができる。外装体70は、内部の減圧を保つように封止される。
【0022】
図2は、
図1に示すリチウムイオン電池モジュールの概略断面構造を示す図である。
図2に示すように、単電池の積層方向に延伸した光導波路60は、発光部20の発光面に隣接または近接して配置される。光導波路60は、例えば、光ファイバーとしてもよく、発光部20からの光信号を受光するのに十分な幅(単電池の積層方向に直交する方向の長さ)を有する導光板としてもよい。光導波路60を導光板で構成する場合、光導波路60の幅方向寸法を発光部20の発光面の最大寸法(発光面が円形の場合は直径、矩形の場合は対角線)よりも大きくするとよい。
図2は、導光板を用いて光導波路60を構成した場合を示している。
【0023】
光導波路60として導光板を用いる場合、複数の発光部20の発光面(各々が積層された複数の単電池に対応する)のすべてを覆うように光導波路60を配置することができる。また、発光部20の発光方向(発光面の鉛直方向に一致する場合および発光面の鉛直方向にから傾斜している場合を含む)を覆うように光導波路60を配置することができる。
【0024】
このように光導波路60として導光板を用いる場合、光導波路60として光ファイバーを用いる場合に比べて、発光部20から出力された光信号が受光され易くなる、発光部20からの光信号を光導波路60に集光するためのレンズなどの追加部品が必要なくなる、光導波路の位置決めの手間が削減される、または位置ずれの許容量が増大される。勿論、光導波路60としての導光板に対する発光部20からの光信号の結合効率を高めるために、レンズなどの追加部品を用いてもよく、集光加工を施した導光板を用いてもよい。レンズなどの追加部品および集光加工を施した導光板の一方または双方を用いる場合であっても、光導波路60として光ファイバーを用いる場合に比べ、位置決めの手間の煩雑性が削減される、または位置ずれ許容量が増大される。単電池の積層方向に延伸した光導波路60を例示するが、単電池の積層方向に直交する方向に延伸した光導波路60を用いることも可能である。この場合、光導波路60としての導光板は、複数の発光部20の発光面のすべてを覆うことが可能で、光出力部に向かうテーパー形状とすることで、先細りの光出力部から出力される光信号を受光部80で受信することができる。
【0025】
図2に示すように、光導波路60は、光信号を受光する表面の位置に対応する裏面の位置に、散乱加工60aが施されている。散乱加工60aは、隣接または近接する発光部20の発光面に対応する位置に施されている。散乱加工60aは、例えば、凹凸加工であり得る。光導波路60に入射し散乱加工60aにより散乱した光信号の一部は、光出力部の方向に伝搬する。
【0026】
また、光導波路60は、曲げ部分に反射加工60bが施されており、これにより曲げ部分により散乱した光信号を光出力部の方向へ反射することができる。また、光導波路60の光出力部となる端部と反対の端部および曲げ部分に反射加工60bが施されており、これにより凹凸加工により光出力部の方向と反対方向に散乱した光を、光出力部の方向反射することができる。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュール内の複数の光送信器の概略構成を示す図である。光送信器10は単電池30にそれぞれ対応する。光送信器10は、フレキシブルプリント基板(Flexible printed circuits:FPC)(不図示)の上に配置された発光部20、制御回路40、および測定回路90を備える。
【0028】
測定回路90は、対応する単電池30の特性を測定し、測定された特性を表す特性信号を出力するように構成されている。測定回路90は、マイクロコンピュータ、IC、LSIなどの任意の半導体素子を用いて構成し得る。測定回路90は、単電池30から電力供給される。測定回路90は、単電池の特性として、例えば、電圧または温度若しくは両方を測定するように構成し得る。より具体的には、測定回路90は、正極集電体および負極集電体にそれぞれ接する電圧測定端子(不図示)に電気的に結合されると共に発光部20に電気的に結合された制御回路40と電気的に結合される。測定回路90は、電圧測定端子に入力される電圧を示す信号を特性信号として出力する。測定回路90は、電圧測定端子の代替としてまたは追加して、正極集電体および負極集電体の表面または単電池の表面に接して設けられた1つ以上の温度測定素子(不図示)に電気的に結合されてもよい。測定回路90は、温度測定素子からの出力に対応する信号を特性信号として出力する。
【0029】
制御回路40は、測定回路90から対応する単電池の特性を表す特性信号を受信し、所定の期間毎に特性信号を符号化した制御信号を出力するように構成されている。制御信号は、発光部20に供給される。制御回路40は、マイコン、IC、LSIなどの任意の半導体素子を用いて構成され得る。単電池30から電力供給される。制御回路40は、測定回路90と一体であってもよい。制御回路は、特性信号と共に対応する単電池30に固有の識別子IDを符号化して制御信号を出力するように構成してもよい。特性信号と共に対応する制御信号に単電池30の識別子IDが符号化された制御信号に基づいて光信号が出力されるようになることで、受信側で、いずれの単電池の状態情報であるかを決定または推定することが可能となる。
【0030】
発光部20は、LED素子、有機EL素子などの発光素子を用いて構成され得る。発光部20は、単電池30から電力供給され、制御回路40からの制御信号に基づいて駆動する(すなわち、制御信号に応じて発光することで制御信号に応じた光信号を出力する)ように構成され得る。
【0031】
光送信器10は、発光部20が単電池30の短辺の一方に配置されるように、単電池30に備えられている。好ましくは、複数の単電池30を積層した状態で、複数の発光部20の発光面が、組電池50の側面に複数の単電池30の積層方向に一列に並び、光導波路60に隣接または近接して配置される。
【0032】
光送信器10は、内部クロックで動作するように構成される。測定回路90および制御回路40は内部クロックに同期して動作する。単電池30から電力供給される光送信器10による電力消費を抑制するため、クロック生成回路も電力消費の小さなものが好ましい。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールにおける光送信器のクロック生成回路の概略構成を示す図である。このクロック生成回路は、コルピッツ回路のような発信回路(不図示)により生成された正弦波電圧を、コンパレータの2つの入力の内の一方(Vinp)と他方(Vinn)に印加すると矩形波のクロック信号を出力する回路である。容量Cと抵抗Rを含むCR回路がVinpに接続されており、抵抗Rと容量Cの大きさは、所望の矩形波の周期または周波数に応じて決定されている。
【0034】
図5は、本実施形態の光送信器の測定回路90の機能ブロック図である。測定回路90は、入力端子91aおよび入力端子91bと、比較回路92と、出力端子95とを備える。
【0035】
入力端子91aおよび入力端子91bは、単電池30の正極集電体および負極集電体にそれぞれ接する電圧測定端子と測定回路90を電気的に結合するための端子である。または、入力端子91aおよび入力端子91bは、単電池30の正極集電体および負極集電体の表面または単電池の表面に接して設けられた1つ以上の温度測定素子(不図示)に測定回路90を電気的に結合するための端子である。または、入力端子91aおよび入力端子91bは、単電池30の正極集電体と負極集電体との間の電圧を測定する電圧または電流センサ、単電池30の表面に設けられた温度センサ、または単電池の表面付近に設けられた磁気センサ等のセンサが出力する電圧を入力するための端子である。予め定められた基準に対する信号(例えば、グランド電位を基準とした電圧)を測定回路90に入力する場合、入力端子91aおよび入力端子91bの一方に基準に対する信号が入力されるように構成してもよい(例えば、比較回路92内において予め入力端子91bを接地して比較回路92へグランド電位が供給されるようにし、入力端子91aに基準に対する信号が入力されるもよい。この場合、比較回路92は、外部から基準となる信号を入力するための入力端子91bを備えなくてもよい。)。
【0036】
比較回路92は、入力端子91aおよび91bに入力される電位を比較して、電位差を示す信号を出力する。この電位差は、単電池30の電圧または単電池の温度に相当する。比較回路92は、例えば、1つまたは複数のコンパレータを用いて構成することができる。コンパレータの数を多くすることで、比較回路92が出力端子95をから出力する電位差が示す意味内容(例えば、単電池30の電圧、単電池の温度、または単電池の周囲の磁界)の粒度を細かくまたは精度を高くできる。
【0037】
出力端子95は、比較回路92により出力された信号を、単電池30の特性(電圧または温度)に対応する特性信号として出力するための端子である。
【0038】
図6は、本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールにおける光送信器10の制御回路40の機能ブロック図である。制御回路40は、状態判定回路42と、ルックアップテーブル44と、セレクタ43と、出力端子45とを備える。
【0039】
状態判定回路42は、測定回路90が出力する特性信号に基づいて対応する単電池の状態を判定し、判定された対応する単電池の状態に応じて異なるパターンの制御信号を出力端子45から出力するように構成された回路である。状態判定回路42は、ルックアップテーブル44およびセレクタ43と結合され、これらを協働して測定回路90からの特性信号に基づいて対応する単電池の状態を判定し、判定された対応する単電池の状態に応じて異なるパターンの制御信号を出力ように構成されている。
【0040】
ルックアップテーブル44は、測定回路90から状態判定回路42を介して入力され得る複数の電位差を示す信号(特性信号)の値と、対応する電池の複数の状態と、互いに異なるパターンの複数の制御信号とを対応付けるテーブルとすることができる。対応する電池の状態は、例えば、対応する電池の電圧または温度の範囲とすることができ、制御信号は対応する電池の電圧の範囲または温度の範囲を表す信号パターンとすることができる。
【0041】
セレクタ43は、ルックアップテーブル44を参照して、状態判定回路42を介して入力された電位差を示す信号(特性信号)の値に対応する電池の状態(例えば、電圧または温度の範囲)および当該状態に応じた制御信号(信号パターン)を判定する。判定された対応する電池の状態に応じた制御信号は、出力端子45から出力される。セレクタ43およびルックアップテーブル44は、状態判定回路32から信号に応答して、電池の電圧の範囲または温度の範囲を表す信号パターンを表すパルスパターンを設定する1つの回路で構成してもよい。
【0042】
以上の構成により、複数の光送信器10はそれぞれ、対応する単電池の状態に対応する光信号を出力する。各光送信器10は、他の光送信器と非同期で光信号を出力する。
【0043】
図7は、本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールにおけるある時間期間において(システム周期内の理想的な送信タイミングにおいて)複数の光送信器が送信する光信号を説明する図である。組電池50はn個(nは、2以上の整数)の単電池が積層されて構成されており、リチウムイオン電池モジュールはn個の単電池にそれぞれ対応するn個の光送信器を含むものとする。リチウムイオン電池モジュールのシステム周期をn×Tとし、各光送信器10はシステム周期内の時間期間Tにおいて光信号を送信する。n個の光送信器10が光信号を送信するn個の時間間隔Tが重ならないタイミングがシステム周期内の理想的な送信タイミングである。
【0044】
図7(a)、(b)、および(c)は、システム周期内の理想的な送信タイミングにおいて、n個の光送信器10の内の3つの光送信器から送信される光信号を時間軸上に示す図である。
図7(a)は3つの光送信器の内の第1の光送信器によってt=t0からt=t1までの時間期間Tに送信された光信号を示し、
図7(b)は3つの光送信器の内の第2の光送信器によってt=t1からt=t2までの時間期間Tに送信された光信号を示し、
図7(c)は3つの光送信器の内の第3の光送信器によってt=t2からt=t3までの時間期間Tに送信された光信号を示す。第1、第2および第3の光送信器が光信号を送信する時間期間はTであり、周期(繰り返し時間期間)はnTである。(d)はn個の光送信器10に共通の光導波路60上の光信号を時間軸上に示す図である。
図7(a)、(b)、および(c)に示す光信号は、光導波路60上で重ならずに、受光部80で受信される。
図7は、各光送信器が、同じ内容の光信号を送信する場合を示すが、光信号の内容(パルスの数やパターン)は単電池の状態に応じて可変である。時間期間Tにおいて送信できる最大数のパルスが光信号として送信される場合もあり、より少ない数のパルスが光信号として送信される場合(時間期間Tの前半にパルスが送信され、後半にパルスが送信されない場合)もある。
【0045】
上述したように、光送信器10は、内部クロックで動作するように構成される。したがって、すべての光送信器10の内部クロックは同一とはならず、光信号の送信タイミングにずれが生じる。光信号の送信タイミングのずれは時間の経過とともに大きくなり、再びシステム周期内の理想的な送信タイミングに戻る。仮にすべての光送信器10の内部クロックは同一であるとすると、非同期で光信号を送信する2つの以上の光送信器10の光信号の送信タイミングは同一となり得る。この場合、光導波路60上において光信号は重なり続けることになるので、複数の光送信器10間で、送信タイミングを制御する機構が必要となり、すなわち複数の光送信器10間で、送信タイミングを同期化する必要がある。
【0046】
送信のタイミングを制御する機構を追加すると、部品点数の増加、光送信器10のサイズの増加、組み立て工程の増加に伴い光送信器10のコストが増加する。したがって、本実施例のリチウムイオン電池モジュールは、複数の光送信器10のそれぞれが、内部クロックで動作して、他の光通信器と非同期に、光信号を送信するようにしている。より具体的には
図4を参照して上述したCR回路の抵抗Rおよび容量Cの大きさを調整することで、すべての光送信器10の内部クロックが同一とならないように予め構成してある。
【0047】
図4を参照して説明した本実施形態のクロック発生回路の精度は、水晶振動子を用いたクロック発生回路に比べて、低い。
図4のクロック発生回路のようなマイコン内に実装され得るシリコン振動子やセラミック振動子の精度は、1×10
-3~1×10
-2(0.1%~数%)程度であり温度依存性を有するのに対して、温度補償回路を内蔵した水晶振動子の精度は、1×10
-9程度である。また、本実施形態のシリコン振動子やセラミック振動子の制度は、製造時の目標精度からのずれを含む(精度にバラつきがある)。したがって、光送信器10の内部クロックは、製造時のバラつきにより、および/またはCR回路の調整により、他の光送信器10の内部クロックと同一とならないように調整されている。
【0048】
上述したように、発光部20は、光送信器10の内部クロックにしたがって動作し発光する。光送信器10の内部クロックは温度依存性を有している。よって、光信号として送信されるパルスの幅(発光時間の長さ)もまた温度依存性を有している。光パルスの幅が温度に応じて変化しているにもかかわらず、受光部80が一定のサンプリング間隔で、光信号を電気信号に変換した場合、パルスの取り込みミスが生じる可能性(発光部20側で光パルスの幅が短くなっている場合に受光部80側で2つの光パルスを1つの電気パルスに変換したり、または、発光部20側で光パルスの幅が長くなっている場合に受光部80側で1つの光パルスを2つの電気パルスに変換したりする可能性)がある。したがって、受光部80は、受信した光信号を電気信号に変換する際のサンプリング間隔を、予め取得した光送信器10の内部クロックの温度依存性にしたがって変更する機構を備えた構成とすることが望ましい。
【0049】
図8は、本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールにおけるある時間期間(システム周期内の理想的な送信タイミングからずれた送信タイミング)において複数の光送信器が送信する光信号を説明する図である。
図7と同様に、
図8(a)、(b)、および(c)は、n個の光送信器10の内の3つの光送信器から送信される光信号を時間軸上に示す図である。
【0050】
図8(a)は第1の光送信器によってt=t0からt=t1までの時間期間Tに送信された光信号を示す。第1の光送信器の内部クロックを基準とすると、第2の光送信器の内部クロックの周期はわずかに短く(周波数はわずかに高く)構成されており、したがって、光信号を送信する時間期間はTよりもδ1だけ短くなっており、周期(繰り返し時間期間)はn(T-δ1)となっている。
図8(b)は第2の光送信器によってt=t1からずれた時間期間T-δ1に送信された光信号を示す。また、第3の光送信器の内部クロックの周期は、第1の光送信器の内部クロックに比べてわずかに長く(周波数はわずかに低く)構成されており、したがって、光信号を送信する時間期間はTよりもδ2だけ長くなっており、周期(繰り返し時間期間)はn(T+δ2)となっている。
図8(c)は第3の光送信器によってt=t2からずれた時間期間T+δ2に送信された光信号を示す。(d)はn個の光送信器10に共通の光導波路60上の光信号を時間軸上に示す図である。
図8(a)、(b)、および(c)に示す光信号は、光導波路60上で重なって、受光部80で受信される。光導波路60上で光信号が重なることで、例えば、t=t0からt=t1までの時間期間Tにおける光信号に含まれる光パルスの数、光パルスの幅、または配列パターンの少なくとも一部は、第1の光送信器が出力した光信号に含まれる光パルスから変化する。
図9(d)の例では、t=t0からt=t1までの時間期間T内の後ろから2つ目のパルスが追加され、後ろから1つ目のパルスの幅が広くなり、光信号内の光パルスの配列が変化している。この変化は、受光部80から電気信号にも現れる。したがって、受光部80から電気信号に含まれる電気パルスの数、電気パルスの幅、または電気パルスの配列の少なくとも1つに基づいて、複数の光送信器10から出力された複数の光信号の少なくとも一部が光導波路60上で重なったかどうかを判定することができる。
【0051】
図9は、本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュール内において光送信器が光信号を送信するタイミングを説明する図である。
図7および
図8を参照して説明した第1の光送信器10を例に、光送信器10が、システム周期の時間期間nT内のt=0からt=1までの時間期間Tにおいて光信号を送信するタイミングを説明する。
【0052】
図9(a)は、光送信器10の内部クロックを時間軸上に示す図である。この内部クロックにしたがって、測定回路90および制御回路40が動作する。
【0053】
図9(b)は、測定回路90からの特性信号に基づいて制御回路40により判定された対応する単電池の状態を示す信号を示す図である。単電池の状態を示す信号は単電池の状態に応じて異なる(変化する)。測定回路90において、内部クロックにしたがって、比較回路92が2つの入力端子間の電位差(単電池の電圧)を示す特性信号を出力する。また、制御回路40において、内部クロックにしたがって、状態判定回路42が、測定回路90からの特性信号に基づいて対応する単電池の状態を判定し、対応する単電池の状態に応じた異なるパターンの信号を判定する。対応する単電池の状態および判定された単電池の状態に応じた異なるパターンの信号の判定は、セレクタ43およびルックアップテーブル44を用いて行われ得る。測定回路90が特性信号を出力するときおよび制御回路40において制御信号を出力するとき、量子化誤差が生じる。
図9(b)は、t=0からのシステム周期の時間期間nT内に測定回路90の2つの入力端子間の電位差が変化しない場合を例示しているが、測定回路90の2つの入力端子間の電位差の変化(単電池の状態)に応じて、制御回路40において判定される単電池の状態に応じた信号(パルスの数やパターン)が変化する。
【0054】
図9(c)は、システム周期の時間期間nTにおける所定の時間期間T(繰り返し周期がnTである)を示す信号を示す図である。制御回路40は、内部クロックをカウントするクロックカウンター(不図示)を使用して、システム周期の時間期間nTおよび時間期間nT中の所定の時間期間Tを計数し、所定の時間期間を示す信号を生成することができる。制御回路40は、特性信号を所定の時間期間を示す信号とともに符号化して制御信号を出力する。制御回路40が発光部20へ供給する制御信号は、
図9(b)に示す特性信号と
図9(c)に示す所定の期間を示す信号の積となっている。
【0055】
図9(d)は、発光部20が制御回路40から供給された制御信号にしたがって発光することにより出力される光信号を示す図である。
図9(b)に示すt=t1以降に制御回路40において判定された測定回路90から出力された特性信号に対応する単電池の状態に応じたパターンの信号は、制御信号に符号化されず(または、符号化されて0の連続となる)、したがって、光信号として出力されない。システム周期の時間期間nTの内のt=t1以降の期間に、残りのn-1個の光送信器(例えば、第2の光送信器、第3の光送信器、・・・第nの光送信器)が互いに異なるタイミングで光信号を送信すれば、
図7(d)に示すように光信号は、光導波路60上で重ならずに、受光部80で受信されることになる。
【0056】
以上説明したように、システム周期内の理想的な送信タイミングにおいては
図7(d)に示したように光信号は共通の光導波路60上で重ならず、受光部80で受信される。その後のシステム周期内の理想的な送信タイミングからずれた送信タイミングにおいては
図8(d)に示したように光信号は、光導波路60上で重なって、受光部80で受信される。さらにその後のシステム周期内の理想的な送信タイミングにおいては再び
図7(d)に示したように光信号は共通の光導波路60上で重ならず、受光部80で受信される。このように、本実施形態のリチウムイオン電池モジュールにおいては、比較的長い周期で、システム周期内の理想的な送信タイミングが生じ、この時に受信した複数の光送信器10からの光信号に基づいて、複数の単電池の特性を決定することが可能となる。
【0057】
図8(d)に示すシステム周期内の理想的な送信タイミングからずれた送信タイミングにおいて単電池の特性を決定または推定する方法を以下に説明する。
【0058】
図10は、本発明の一実施形態のリチウムイオン電池モジュールの機能ブロック図である。リチウムイオン電池モジュールは、受光部80が光信号から変換した電気信号とは別の追加情報を考慮し、複数の単電池の状態を決定または推定するように構成された信号処理装置100を備える。
【0059】
図10に示すようにリチウムイオン電池モジュール1は、引出配線57と引出配線59とに接続された、組電池の入出力電圧を測定するための電圧計120を備える。また、リチウムイオン電池モジュール1は、引出配線57に接続された、組電池の入出力電流を測定するための電流計110を備える。電圧計120から取得される入出力電圧情報および電流計110から取得される入出力電流情報は追加情報として複数の単電池の状態を決定または推定する際に用いることができる。また、複数の単電池の状態を決定または推定する際に時系列や事前知識を用いることもできる。時系列は、状態決定部102により決定された状態を時間順に記録した情報テーブルとすることができる。事前知識は、事前に設定した単電池の特性(電圧や温度などの内部状態)と測定回路90が出力する特性信号の長さとの対応関係を示す情報テーブルや、単電池の特性(電圧や温度などの内部状態)の状態遷移を示す情報とすることができる。時系列や事前知識は、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録された情報とすることができる。
【0060】
信号処理装置100は、状態決定部102および状態推定部104を備える。信号処理装置100は、メモリおよびプロセッサと、プロセッサを状態決定部102および状態推定部104として機能させるプログラムを記録したコンピュータが読取可能な記憶媒体とを備えたコンピューティング装置としてもよい。コンピュータが読取可能な記憶媒体は、プログラムの他に、上述した事前知識を示す情報を記録していてもよい。
【0061】
システム周期内の理想的な送信タイミングからずれた送信タイミングにおいても、複数の光送信装置から送信される光信号は、重ならない限り、受光部80によって受光され、当該光信号を送信した光送信器に対応する単電池の特性を正しく決定できる。したがって、
図11に示すように、初めに、状態決定部102において受光部80からの電気信号に基づいて単電池30の状態(特性)を決定し(ステップS11)、全ての単電池の状態を決定できたどうかを判定し(ステップS12)、状態を決定できなかった単電池については、状態推定部104で状態を推定する(ステップS13)。以下、単電池の特性として単電池の電圧を決定または推定する方法の具体例を説明する。
【0062】
状態決定部102は、受光部80からの電気信号を処理して、2つ以上の光信号が重なった状態の光信号から変換されたものでないかを決定する。例えば、電子信号に含まれるパルスの数、パルスの幅、パルスの配列パターンに基づいて、2つ以上の光信号が重なったかどうかを決定することができる。電気信号が2つ以上の光信号が重なった状態の光信号から変換されたものでないと決定された場合、状態決定部102は、当該電気信号が示す電圧を、単電池30の電圧であると決定する。
【0063】
状態推定部104は、状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧を推定する。状態推定部104は、電圧計120から取得される入出力電圧情報を利用する。直列に接続されたn個の単電池30から構成された組電池50の入出力電圧情報Vtotalとし、複数の単電池の電圧の和をV1+V2+V3+・・・Vnとすると、式1の関係が成立する。状態推定部104は、式1の関係を利用することで状態決定部102により決定することができなかった単電池の電圧を推移する。
Vtotal=V1+V2+V3+・・・Vn (式1)
【0064】
状態推定部104は、Vtotalと、状態決定部102により決定された単電池の電圧の和との差を求め、求めた差に基づいて状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧を推定することができる。ここで、状態決定部102により決定された単電池の電圧は、測定回路90および制御回路40における量子化誤差を含み得る。したがって、この誤差の範囲を考慮して、状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧を推定することが好ましい。状態決定部102により電圧が決定された単電池の数をm(mは整数)とし、電気信号により表された電圧の範囲の下限をSmとし、上限をSMとすると、状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧の範囲Vrng_NDは、式(2)で表現できる。状態推定部104は、この範囲内で状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧を推定することができる。
Vtotal-(SM1+SM2+・・・SMm)<Vrng_ND<Vtotal-(Sm1+Sm2+・・・Smm) (式2)
【0065】
また、状態推定部104は、あるタイミングで状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧を、時系列に基づいて推定することができる。例えば、状態推定部104は、あるタイミングで状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧を、そのタイミングよりも前のタイミングおよびそのタイミングよりも後のタイミングの少なくとも一方で状態決定部102により決定された単電池の電圧に基づいて推定することができる。例えば、t=t0およびt=t2において状態決定部102により決定された単電池の電圧がV1で等しかったとする。このとき、状態推定部104は、この時系列に基づいて、t=t1において状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧が、V1に近い(V1との差が大きくない)V0、V1またはV2(V0<V1<V2)のいずれかであると推定することができる。別の例では、t=t0において状態決定部102により決定された単電池の電圧がV1で、t=t2において状態決定部102により決定された単電池の電圧がV3であったとする。このとき、状態推定部104は、この時系列に基づいて、t=t1において状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧が、V1またはV3に近い(V1またはV3との差が大きくない)V1からV3までの間のV1、V2またはV3(V1<V2<V3)と推定することができる。
【0066】
さらにまた、状態推定部104は、事前知識を用いて、タイミングで状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧を推定することができる。事前知識として、予め測定された電圧-容量曲線を保持しておき、状態推定部104は、電圧-容量曲線にフィットする値を用いて、ある電圧の単電池に所定量充電した後の当該単電池における電圧変化量または電圧を推定することができる。
【0067】
状態推定部104は、追加情報を用いる推定、時系列に基づく推定、および事前知識を用いる推定の1つ以上を用いて、タイミングで状態決定部102により決定されなかった単電池の電圧を推定することができる。
【0068】
以上説明したように、システム周期内の理想的な周期からずれた時間期間においては
図8(d)に示したように光信号が光導波路60上で重なって受光部80で受信されるが、単電池の状態を推定することが可能となる。
【0069】
以下、図面を参照しながら上述した実施形態に係るリチウムイオン電池モジュールにおける光送信機10の種々の実施例について詳細に説明する。
【0070】
[第1の実施例]
第1の実施例の光送信機10の構成について
図12を参照しながら説明する。
図12は、第1の実施例における光送信機10とその利用法を示すブロック図である。
図12において、本実施例の光送信機10は、比較回路92と、状態判定回路42と、パルスパターン設定回路233と、リセット回路234と、クロック発生回路235と、出力回路236を備える。また、光送信機10は、VDD端子221と、VSS端子222と、入力端子224と、出力端子223と、を備える。光送信機10は、発光部20(不図示)をさらに備える。
【0071】
VDD端子221は、光送信機10内の電源VDDに接続される。VSS端子222は、光送信機10内の電源VSSに接続される。入力端子224は、比較回路92に接続される。比較回路92は、状態判定回路42に接続される。状態判定回路42は、比較回路92とパルスパターン設定回路233に接続される。パルスパターン設定回路233は、状態判定回路3242とリセット回路234とクロック発生回路235と出力回路236に接続される。リセット回路234は、パルスパターン設定回路233と、クロック発生回路235に接続される。クロック発生回路235は、リセット回路234とパルスパターン設定回路233に接続される。出力回路236は、パルスパターン設定回路233と出力端子223が接続される。光送信機10内の各回路の電源接続については、一部説明を省略する。単電池30は、光送信機10の単電池接続端子であるVDD端子221とVSS端子222に接続される。センサ205は、電源と出力の3端子を有する。センサ205は、単電池30を電源として動作する。センサ205は、出力端子からVSS端子222の電圧を基準とした電圧を入力電圧VINとして入力端子224に印加する。光送信機10は、入力端子224に印加された電圧の電圧範囲に対応する出力信号OUTを、出力端子223から出力する。特性信号に相当する出力信号OUTは、発光部20(不図示)へ供給される。
【0072】
次に、第1の実施例の比較回路92の構成について
図13を参照しながら説明する。
図13は、第1の実施例の比較回路92を示す回路図である。比較回路92は、コンパレータに入力する電圧を生成する抵抗回路301、302と、コンパレータ303、304と、電圧源305で構成されている。抵抗回路301は、スイッチ306、307と、抵抗310、311、312を有する。スイッチ306と、抵抗310と、抵抗312とは、VDD端子221とVSS端子222の間に直列に接続される。同様に、スイッチ307と、抵抗311と、抵抗312とは、入力端子224と電源VSSとの間に直列に接続される。抵抗回路302は、スイッチ308、309と、抵抗313、314、315を有する。スイッチ308と、抵抗313と、抵抗315とは、入力端子224と電源VSSとの間に直列に接続される。同様に、スイッチ309と、抵抗314と、抵抗315とは、入力端子24224と電源VSSとの間に直列に接続される。コンパレータ303は、反転入力端子が電圧源305を介して電源VSS2に接続され、非反転入力端子が抵抗310、311、312の接続点に接続される。同様にコンパレータ304は、反転入力端子が電圧源305を介して電源VSSに接続され、非反転入力端子が抵抗313、314、315の接続点に接続される。コンパレータ303、304の出力は、状態判定回路42に接続される。
【0073】
状態判定回路42は、入力されたコンパレータの出力判定結果に従って、入力端子224に入力される入力電圧VINがどの電圧範囲に位置するかを判定し、判定に応じて新たな監視電圧範囲を設定するよう、比較回路92のスイッチ306、307、308、309のオンオフを設定する制御信号を出力する。また、状態判定回路42は、入力電圧VINがどの監視電圧範囲にあるかをパルスパターン設定回路233へ出力する。状態判定回路42は、ロジック回路、プロセッサ回路等で構成できる。
【0074】
パルスパターン設定回路233は、上述したセレクタ43およびルックアップテーブル44に相当する機能を実装した回路である。パルスパターン設定回路233は、状態判定回路42の出力を受け、出力回路236を介して出力端子223から、センサ205からの入力電圧VINの電圧範囲に対応したパルス状の出力信号OUTを出力する。出力信号OUTのパルスパターンの生成は、リセット回路234とクロック回路35からの信号を用いておこなう。パルスパターン設定回路233と、リセット回路234と、クロック回路35の動作については後で説明する。
【0075】
出力回路236の構成について
図14を参照しながら説明する。出力回路236は、入力と出力とPMOSトランジスタ361とNMOSトランジスタ362を備える。PMOSトランジスタ361は、ゲート端子が出力回路236の入力に、ソース端子が電源VDDに、ドレイン端子が出力回路236の出力に接続される。NMOSトランジスタ362は、ゲート端子が出力回路236の入力に、ソース端子が電源VSSに、ドレイン端子が出力回路236の出力に接続される。
【0076】
図13を参照して、センサ205が接続される入力端子224の入力電圧VINと、比較回路92と、状態判定回路42の動作について説明する。入力電圧VINは、VSS端子222の電圧を基準にしてセンサ205から入力端子224に印加される電圧とする。電圧源305は、基準電圧VREFをコンパレータ303、304の反転入力端子に供給する。
【0077】
コンパレータ303の非反転入力端子は、スイッチ306、307のどちらかをオンすることで、単電池電圧VBATを抵抗回路301で分圧した電圧が印加される。スイッチ306がオンのときに、コンパレータ303の非反転入力端子に印加される電圧が、基準電圧VREFと等しくなる時の入力電圧VINを電圧VDET1とする。スイッチ307がオンのときに、コンパレータ303の非反転入力端子に印加される電圧が、基準電圧VREFと等しくなる時の入力電圧VINを電圧VDET3とする。
【0078】
コンパレータ304の非反転入力端子は、スイッチ308、309のどちらかをオンすることで、入力電圧VINを抵抗回路302で分圧した電圧が印加される。スイッチ308がオンのときに、コンパレータ304の非反転入力端子に印加される電圧が、基準電圧VREFと等しくなる時の入力電圧VINを電圧VDET2とする。スイッチ309がオンのときに、コンパレータ304の非反転入力端子に印加される電圧が、基準電圧VREFと等しくなる時の入力電圧VINを電圧VDET4とする。電圧VDET1、VDET2、VDET3、VDET4は、電圧VDET1>電圧VDET2>電圧VDET3>電圧VDET4の大小関係となるように抵抗310~315の抵抗値を設定する。
【0079】
図15を参照して、入力電圧VINと電圧VDET1~電圧VDET4と状態(STATE)の関係を説明する。
図15は、光送信機の状態と入力電圧VINと出力信号OUTの対応を示す図である。入力電圧VINが、電圧VDET1以上の電圧状態は、STATE1とする。入力電圧VINが、電圧VDET2以上かつ電圧VDET1未満の電圧状態は、STATE2とする。入力電圧VINが、電圧VDET3以上かつVDET2未満の電圧状態は、STATE3とする。入力電圧VINが、電圧VDET4以上かつ電圧VDET3未満の電圧状態は、STATE4とする。入力電圧VINが、電圧VDET4未満の電圧状態は、STATE5とする。なおここでは境界の電圧は上側のSTATEに含まれるとしたが、境界の電圧が上側か下側かどちらのSTATEに含まれるかは任意に設定可能である。
【0080】
図13の比較回路92において、例えばスイッチ306、308がオン状態とする。コンパレータ303の非反転入力端子には、入力電圧VINを抵抗310、312で分圧した電圧が入力され、コンパレータ304の非反転入力には、入力電圧VINを抵抗313、315で分圧した電圧が入力される。前述の電圧関係より、比較回路92は、入力電圧VINを監視する上側基準電圧が電圧VDET1、下側基準電圧が電圧VDET2となり、監視電圧範囲が設定される。状態判定回路42は比較回路92の出力に基づいて、入力電圧VINが前記電圧状態(STATE1~STAET5)の内のどの電圧範囲に位置するかを判定し、判定結果をパルスパターン設定回路233へ出力する。また判定結果に応じて、新たな監視電圧範囲を設定するよう、比較回路92のスイッチのオンオフを設定する制御信号を出力する。
【0081】
ここで、入力電圧VINが電圧VDET2以上かつ電圧VDET1未満の電圧状態であるSTATE2の状態から変化し、入力電圧VINが電圧VDET2未満となったとする。状態判定回路42はスイッチ306をオフし、スイッチ307をオンする制御信号を出力する。比較回路92による監視電圧範囲は、電圧VDET3以上かつ電圧VDET2未満の電圧範囲となり、入力電圧VINがこの電圧範囲である場合の電圧状態はSTATE3となる。さらに入力電圧VINが変化することによって、電圧VDET3未満の電圧となった場合、状態判定回路42は、スイッチ308をオフし、スイッチ309をオンする制御信号を出力する。比較回路92の監視電圧範囲は、電圧VDET4以上かつ電圧VDET3未満となり、入力電圧VINがこの電圧範囲である場合の電圧状態はSTATE4となる。このように比較回路92の判定結果に応じて、状態判定回路42がスイッチ制御信号を出力することで監視電圧範囲を順次切り替えることができ、比較回路92は、2つのコンパレータで複数の電圧範囲を監視することができる。入力電圧VINが上昇して変化していった場合、光送信機は、逆の動作スイッチ切り替えを行う。
【0082】
続いて、光送信機10の全体動作について
図12を参照して説明する。光送信機10は、比較回路92と状態判定回路42によって得られる監視電圧範囲によって、
図15に示すように5つの電圧状態に対応した状態(STATE)を得ることができる。状態判定回路42は比較回路92の出力に基づいて、入力電圧VINがどの電圧範囲に位置するかを判定した信号を、パルスパターン設定回路233へ出力する。パルスパターン設定回路233は、クロック発生回路235から供給されるクロック信号に基づき、各状態に応じて予め設定された所定のパルス幅と所定のパルス数で構成された所定のパルス群を所定のパルス周期ごとに繰り返して、出力回路236を介して、所定の電圧パルス、または、電流パルスとして出力する。状態判定回路42、およびパルスパターン設定回路233は、ロジック回路やプログラムで動作するプロセッサ回路で構成される。
【0083】
リセット回路234は、所定のパルス周期ごとにパルスパターン設定回路233から所定の周期ごとの信号を受け動作し、パルスパターン設定回路233を初期化することで、所定のパルス幅と所定のパルス数で構成された所定のパルス群を所定のパルス周期ごとに繰り返し出力する。
【0084】
本実施例における、パルス出力割り当て例を
図15に示す。
図15は、各電圧状態(STATE)と、入力電圧VIN、パルス幅(Output Pulse Width)、パルス群を構成するパルス数(Output Pulse Number)、パルス周期(Output Pulse Cycle)の対応関係を示す。出力信号OUTの一例を
図16に示す。例えば入力電圧VINが電圧VDET1以上の電圧値(STATE1)をとるとき、所定のパルス群は、パルス幅128msの電圧パルスがパルス間隔128msで2発であり、パルス群を繰り返して出力する所定のパルス周期は、1024msである。所定のパルス周期内のパルス幅とパルス間隔とパルス数の組合せをパルスパターンと呼ぶ。
図16では出力信号OUTが電圧パルスの場合を示したが、出力信号OUTは電流パルスとしても良い。パルス出力の割り当ては、入力電圧VINが高い時に消費電流が大きくなるパルス幅の大きいパルスを割り当て、単電池が消耗して単電池電圧VBATが低くなった時に消費電流が小さくなるパルス幅の小さいパルスを割り当てる。このようにパルス出力を割り当てることで、単電池電圧VBATが低くなった時の単電池寿命を延ばすことができる。
【0085】
光送信機10の出力端子223からの電圧パルスまたは電流パルスによってセンサ205の電圧判定をするマイコン(不図示)は、光送信機10の出力するパルス郡のパルス幅と、パルス数を判断することでセンサ205の出力の電圧情報を得ることができる。監視用のマイコンはマスタークロックを基準とし、光送信機10の出力するパルス郡の判定を行う。パルス郡の判定において、マイコンはパルス周期毎に、パルス郡の最初のパルス幅と後続のパルスまでの時間を測定し、最初に測定した前記時間を基準として、同様の波形後続のパルスが前記時間と同様の発数をカウントするようにすれば状態(STATE)を判定できる。光送信機10の出力端子223からの電圧パルスまたは電流パルスによってセンサ205の電圧判定をする。同様に、光送信機10の発光部20(不図示)からの光パルスによってセンサ205の電圧判定をする信号処理装置100は、光パルス郡のパルス幅と、光パルス数を判断することでセンサ205の出力の電圧情報を得ることができる。
【0086】
本実施例の光送信機10において、出力信号OUTのパルスパターンはクロック発生回路235で生成するクロックを基準に生成され、クロック発生回路235は
図4を参照して説明したようなCR発振回路等の一般的な発振回路で構成される。CR発振回路より出力されるクロック周期は、電源電圧依存、温度依存等によってばらつきを持つが、マイコンによる状態判定は、前記の通り、最初のパルスパターンに関する時間測定と、後続の同様のパルスパターンの発数をカウントすることによって判定される。光送信機10のクロック発生回路235は、高精度でなくとも状態判定を可能とするパルスを出力できる。したがって光送信機10は、水晶振動子などの高精度基準発信源を必要とせず、電圧監視システムを容易かつ安価に構成できる。
【0087】
以上、説明したように、本実施例の光送信機10において、パルスパターン設定回路233は、入力電圧VINの電圧範囲に応じた所定のパルス幅と所定のパルス数で構成された所定のパルス群が所定のパルス周期ごとに繰り返し出力する。本実施例の光送信機10は、入力電圧VINが所定の電圧範囲に位置することを、所定のパルス周期毎に定期的に確認できる。上記所定パルスパターンをマイコン等において、監視することによって、センサ205の出力が所定電圧範囲内に位置することを所定の周期ごとに確認することができるため、出力ポートまでの配線経路が電源とショートする等の監視回路の故障の有無を定期的に判断することができる。なお、本実施例の比較回路92は、4つの基準電圧と5つの監視電圧範囲を有する構成としたが、スイッチと分圧抵抗を増やすことで、入力電圧VINを分圧した電圧を増やし、順次スイッチを切り替えるような構成にすることで、監視電圧範囲をより細分化することが可能となる。
【0088】
なお、ここでは、リセット回路234は、パルスパターン設定回路233から所定のパルス周期ごとの信号を受けて動作する構成を説明したが、状態判定回路42およびパルスパターン設定回路233の両方から信号を受けて動作し、状態判定回路42の変化またはパルスパターン設定回路233からの所定の周期ごとにクロック発生回路235とパルスパターン設定回路233を初期化する構成としてもよい。
【0089】
上記構成においては、センサ205の出力が変動し、所定電圧範囲を外れ、状態が変化した時点から、所定のパルスパターンを出力可能になる。センサ205は、感知する物理量によって電圧出力するものであればよく、例として温度センサ、磁気センサ等があるがこれらに限定されるものはない。
【0090】
[第2の実施例]
第2の実施例の光送信機10aの構成について
図17を参照しながら説明する。なお、第1の実施例と同じ構成要素は、第1の実施例と同じ番号を附番し説明を省略する。
図17は、第2の実施例における光送信機10aを示すブロック図である。光送信機10aは、発光部20(不図示)をさらに備える。
【0091】
本実施例の光送信機10aは、第1の実施例の光送信機10の入力端子224に代えて、センサ回路237を備えて構成される。比較回路92は、入力端子224に代えてセンサ回路237に接続される。本実施例の光送信機10aは、センサ回路237が出力するセンサ電圧を比較回路92に印加する。センサ電圧は比較回路92のコンパレータで比較され、その結果を状態判定回路42へ出力する。
【0092】
状態判定回路42は、入力されたコンパレータの出力判定結果に従って、センサ回路237が出力するセンサ電圧がどの電圧範囲に位置するかを判定し、判定に応じて新たな監視電圧範囲を設定するよう、比較回路92のスイッチ306、307、308、309のオンオフを設定する制御信号を出力する。また、状態判定回路42は、センサ電圧がどの監視電圧範囲にあるかの信号をパルスパターン設定回路233へ出力する。パルスパターン設定回路233は、状態判定回路42の出力を受け、出力回路236を介してセンサ回路237が出力するセンサ電圧に対応したパルス状の出力信号OUTを出力する。特性信号に相当する出力信号OUTは、発光部20(不図示)および監視用のマイコン(不図示)へ供給される。
【0093】
以上、説明したように、本実施例の光送信機10aにおいて、パルスパターン設定回路233は、センサ回路237が出力するセンサ電圧の電圧範囲に応じた所定のパルス幅と所定のパルス数で構成された所定のパルス群が所定のパルス周期ごとに繰り返し出力する。本実施例の光送信機10aは、センサ回路237が出力するセンサ電圧が所定の電圧範囲に位置することを、所定のパルス周期毎に定期的に確認できる。センサ回路237は、感知する物理量によって電圧出力するものであればよく、例として温度センサ回路、磁気センサ回路等があるがこれらに限定されるものはない。
【0094】
[第3の実施例]
第3の実施例の光送信機10bの構成について
図18を参照しながら説明する。なお、第1の実施例と同じ構成要素は、第1の実施例と同じ番号を附番し説明を省略する。
図18は、第3の実施例における光送信機12を示すブロック図である。光送信機10bは、発光部20(不図示)をさらに備える。
【0095】
本実施例の光送信機10bは、第1の実施例の光送信機10の入力端子224に代えて、VDD端子221を比較回路92に接続して構成される。VDD端子221は、光送信機10bの内部で電源VDDと比較回路92に接続される。本実施例の光送信機10bは、VDD端子221に印加される単電池30の単電池電圧VBATを比較回路92に印加する。単電池電圧VBATは比較回路92のコンパレータで比較され、その結果を状態判定回路42へ出力する。
【0096】
状態判定回路42は、入力されたコンパレータの出力判定結果に従って、単電池30の単電池電圧VBATがどの電圧範囲に位置するかを判定し、判定に応じて新たな監視電圧範囲を設定するよう、比較回路92のスイッチ306、307、308、309のオンオフを設定する制御信号を出力する。また、状態判定回路42は、単電池電圧VBATがどの監視電圧範囲にあるかの信号をパルスパターン設定回路233へ出力する。パルスパターン設定回路233は、状態判定回路42の出力を受け、出力回路236を介して単電池電圧VBATの電圧範囲に対応したパルス状の出力信号OUTを出力する。特性信号に相当する出力信号OUTは、発光部20(不図示)および監視用のマイコン(不図示)へ供給される。
【0097】
以上、説明したように、本実施例の光送信機10bにおいて、パルスパターン設定回路233は、単電池30の単電池電圧VBATの電圧範囲に応じた所定のパルス幅と所定のパルス数で構成された所定のパルス群が所定のパルス周期ごとに繰り返し出力する。本実施例の光送信機10は、単電池30の単電池電圧VBATが所定の電圧範囲に位置することを、所定のパルス周期毎に定期的に確認できる。
【0098】
[第4の実施例]
第4の実施例の光送信機10cの構成について
図19を参照しながら説明する。なお、第1の実施例と同じ構成要素は、第1の実施例と同じ番号を附番し説明を省略する。
図19は、第4の実施例における光送信機10cを示すブロック図である。本実施例の光送信機10cは、第1の実施例の光送信機10に比較回路92と同様の構成である第2の比較回路92aを備えて構成される。また状態判定回路42に代えて状態判定回路42aを備えている。状態判定回路42aは、比較回路92と第2の比較回路92aからの入力を受け、比較回路92と第2の比較回路92aのスイッチを設定する制御信号を出力する。光送信機10cは、発光部20(不図示)をさらに備える。
【0099】
入力端子224は、第2の比較回路92aを介して状態判定回路42aに接続される。本実施例の光送信機10cは、VDD端子221が、光送信機10の内部で電源VDDと比較回路92に接続される。またセンサ205は単電池30を電源とし、VSS端子221の電圧を基準としたセンサ電圧を入力端子224に印加する。入力端子224は、第2の比較回路92aに接続される。
【0100】
比較回路92は、状態判定回路42aに接続され、同様に第2の比較回路92aは、状態判定回路42aに接続される。状態判定回路42aは、比較回路92と第2の比較回路92aの監視電圧範囲がどの電圧範囲にあるかの信号を、パルスパターン設定回路233へ出力する。パルスパターン設定回路233は、状態判定回路42の出力を受け、出力回路236を介してVDD端子221と入力端子224に入力される電圧に対応したパルス状の出力信号OUTを出力する。特性信号に相当する出力信号OUTは、発光部20(不図示)および監視用のマイコン(不図示)へ供給される。
【0101】
パルスパターン設定回路233の出力するパルスパターンは、比較回路92と第2の比較回路92aの監視電圧範囲である各5個の電圧範囲(STATE)を組み合わせた25個の状態のうちのどれかを表すパルスパターンとしても良いし、比較回路92の電圧範囲を表すパルスパターンと、第2の比較回路92aの電圧範囲を表すパルスパターンと、を繰り返すとしても良い。
【0102】
以上、説明したように、本実施例の光送信機10cにおいて、パルスパターン設定回路233は、入力端子224に入力される入力電圧VINと、単電池30の単電池電圧VBATの電圧範囲に応じた所定のパルス幅と所定のパルス数で構成された所定のパルス群が所定のパルス周期ごとに繰り返し出力する。本実施例の光送信機10cは、入力電圧VINと単電池電圧VBATが所定の電圧範囲に位置することを、所定のパルス周期毎に定期的に確認できる。
【0103】
[第5の実施例]
第5の実施例の光送信機10dの構成について
図20を参照しながら説明する。なお、第4の実施例と同じ構成要素は、第4の実施例と同じ番号を附番し説明を省略する。
図20は、第5の実施例における光送信機10dを示すブロック図である。光送信機10dは、発光部20(不図示)をさらに備える。
【0104】
本実施例の光送信機10dは、VDD端子221を比較回路92に接続して構成される。VDD端子221は、光送信機10bの内部で電源VDDと比較回路92に接続される。また、第1の実施例の光送信機10の入力端子224に代えて、センサ回路237と第2の比較回路92aを備えて構成される。第2の比較回路92aは、状態判定回路42aに接続される。
【0105】
比較回路92は、状態判定回路42aに接続され、同様に第2の比較回路92aは、状態判定回路42aに接続される。状態判定回路42aは、比較回路92と第2の比較回路92aの監視電圧範囲がどの電圧範囲にあるかの信号を、パルスパターン設定回路233へ出力する。パルスパターン設定回路233は、状態判定回路42の出力を受け、出力回路236を介してVDD端子221とセンサ回路237から出力される電圧に対応したパルス状の出力信号OUTを出力する。特性信号に相当する出力信号OUTは、発光部20(不図示)および監視用のマイコン(不図示)へ供給される。
【0106】
パルスパターン設定回路233の出力するパルスパターンは、比較回路92と第2の比較回路92aの監視電圧範囲である各5個の電圧範囲(STATE)を組み合わせた25個の状態のうちのどれかを表すパルスパターンとしても良いし、比較回路92の電圧範囲を表すパルスパターンと、第2の比較回路92aの電圧範囲を表すパルスパターンと、を繰り返すとしても良い。
【0107】
以上、説明したように、本実施例の光送信機10dにおいて、パルスパターン設定回路233は、単電池30の単電池電圧VBATと、センサ回路237から出力される電圧(入力電圧VIN)との電圧範囲に応じた所定のパルス幅と所定のパルス数で構成された所定のパルス群が所定のパルス周期ごとに繰り返し出力する。本実施例の光送信機10dは、入力電圧VINと単電池電圧VBATが所定の電圧範囲に位置することを、所定のパルス周期毎に定期的に確認できる。
【0108】
[第6の実施例]
第6の実施例の光送信機10eの構成について
図21を参照しながら説明する。なお、第1の実施例と同じ構成要素は、第1の実施例と同じ番号を附番し説明を省略する。
図21は、第6の実施例における光送信機10eを示すブロック図である。本実施例の光送信機10eは、第1の実施例の光送信機10に異常信号入力端子25を備えて構成される。また状態判定回路42に代えて状態判定回路42bを備えている。異常信号入力端子25は、状態判定回路42bに接続される。異常信号入力端子25がアクティブ信号を受けると、状態判定回路42bは異常状態を判定し、パルスパターン設定回路233へ異常状態を出力する。パルスパターン設定回路233は、状態判定回路42bの出力を受け、異常状態に対応したパルス状の出力信号OUTを出力する。異常状態に相当する出力信号OUTは、発光部20(不図示)および監視用のマイコン(不図示)へ供給される。
【0109】
[第7の実施例]
第7の実施例の光送信機10fの構成について
図22を参照しながら説明する。なお、第1の実施例と同じ構成要素は、第1の実施例と同じ番号を附番し説明を省略する。
図22は、第7の実施例における光送信機10fを示すブロック図である。本実施例の光送信機10fは、第1の実施例の光送信機10と発光部20とを有する。本実施例の発光部20は、第1の実施例の光送信機10のVDD端子221と出力端子223の間に発光部20を接続している。光送信機10のVDD端子221は、第2のVDD端子226を介して単電池30の正極と接続され、光送信機10のVSS端子222は、第2のVSS端子227を介して単電池30の負極と接続される。入力端子224は、第2の入力端子28を介してセンサ205の出力に接続される。
【0110】
本実施例の光送信機10fは、センサ205からの入力電圧VINの電圧範囲に応じた所定のパルス幅と所定のパルス数で構成された所定のパルス群が所定のパルス周期ごとに繰り返し発光部20を発光させる。本実施例の光送信機10fは、センサ205が出力する入力電圧VINが所定の電圧範囲に位置することを、所定のパルス周期毎に定期的に確認できる。本実施例の光送信機10fは、発光部20による発光を受光部80にて受信することで単電池30及び光送信機10fと電気的に絶縁した絶縁通信が可能となる。
【0111】
光送信機10fにおける出力回路236と、パルスパターン設定回路233は、発光部20によって出力されるパルスパターンを、受光部80で正確に受信するため、適切に設定にされる。
出力回路236は、発光部20を通信可能な光度で発光させるため、適切な出力電流を出力するよう設定される。またパルスパターン設定回路233は、発光部20が要する点灯、消灯時間を考慮し、適切なパルス幅に設定される。
【0112】
なお、本実施例は第1の実施例の光送信機10に発光部20を付加する構成にしたが、第2の実施例の光送信機10a、第3の実施例の光送信機10b、第4の実施例の光送信機10c、第5の実施例の光送信機10dに発光部20を付加される構成でも良い。また、発光部20の例としては、赤外発光ダイオードや可視光発光ダイオード等があるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
[第8の実施例]
第8の実施例の光送信機10gの構成について
図23を参照しながら説明する。なお、第7の実施例と同じ構成要素は、第7の実施例と同じ番号を附番し説明を省略する。
図23は、第8の実施例における光送信機10gを示すブロック図である。本実施例の光送信機10gは、第7の実施例の光送信機10fに、異常電流制限装置接続端子229を備えた構成とである。光送信機10gは、
図14に示す出力回路236のNMOSトランジスタ362のソース端子が電源VSSに代えて異常電流制限装置接続端子229に接続されている。光送信機10gは、異常電流制限装置接続端子229とVSS端子222間に異常電流制限装置206を接続した構成とする。異常電流制限装置206は、端子間に予め設定した電流値以上の電流が流れた時、当該電流値を制限する動作をする。
【0114】
本構成において、
図14に示す出力回路236のトランジスタがショート故障した場合を考える。PMOSトランジスタ361がショート故障した場合、パルス出力を行う毎に貫通電流が出力回路236を介し、異常電流制限装置206に流れるが、異常電流制限装置206の端子間に予め設定した電流値以上の電流が流れた時、当該電流値を制限する動作をするため、異常電流を制限することができる。NMOSトランジスタ362のショート故障も前記と同じく、異常電流を制限することができる。なお、本実施例は第7の実施例に付加する構成にしたが、第1~第6の実施例に付加される構成でも良い。また出力回路236のPMOSトランジスタ361のソース端子に異常電流制限装置接続端子229aを設け、異常電流制限装置接続端子229aを介して、VDD端子221と接続し、出力端子223に発光部20を接続する構成としても同等の効果が得られる。
【0115】
[第9の実施例]
本発明の第9の実施例の光送信機10hの構成について
図24を参照しながら説明する。なお、第1の実施例と同じ構成要素は、第1の実施例と同じ番号を附番し説明を省略する。
図24は、第9の実施例における光送信機10hを示すブロック図である。本実施例は第3の実施例の光送信機10bに、通信端子230と、パルス合成回路239を備えた。光送信機10hは、発光部20(不図示)をさらに備える。通信端子230は、パルス合成回路239を介して、出力回路236へ接続される構成とした。通信端子230は、外部で別の光送信機とデイジーチェーン接続し、別の光送信機の監視状況と合わせて出力端子223から出力信号OUTを出力する。
パルス合成回路239は、パルスパターン設定回路233と出力回路236の間に設置され、パルスパターン設定回路233からの信号と通信端子230からの信号の和を出力回路236へ出力する。出力回路236からの信号は、発光部20(不図示)および監視用のマイコン(不図示)へ供給される。
【0116】
図25は、本実施例の光送信機10hをデイジーチェーン接続した構成の一例である。本実施例の第1の光送信機10h-1の通信端子230は、第2の光送信機10h-2の出力端子223に接続される。第2の光送信機10g-2の通信端子230は、図示していない第3の光送信機10g-3に接続される。本実施例の光送信機は、複数の単電池監視結果を、最終段となる第1の光送信機10h-1からまとめて出力することが可能となる。前述の通り、監視用のマイコン(不図示)は最初のパルス幅を時間基準として、後続のパルスの数を判定するようにすれば状態(STATE)を判定できるため、各光送信機の間にクロックの同期は不要である。同様に、光送信機10h-1の発光部20(不図示)からの光パルスを処理する信号処理装置100は、光パルス郡のパルス幅と、光パルス数を判断することで状態(STATE)を判定することができる。したがって複数電圧の監視システムを、処理回路の通信負荷の低減を図りつつ、容易かつ安価に構成できる。
【0117】
また、パルス周期は、1024msを例として説明したが、デイジーチェーン接続によって、多数の光送信機からの信号が纏められる場合など、パルス周期は、例えば60s(60秒)のように長い周期とし、出力信号同士の衝突を避けることができる。
【0118】
[第10の実施例]
第10の実施例の光送信機10iの構成について
図26を参照しながら説明する。なお、第1の実施例と同じ構成要素は、第1の実施例と同じ番号を附番し説明を省略する。
図26は、第10の実施例における光送信機10iを示すブロック図である。本実施例は第3の実施例の光送信機10bに、通信端子230と、パルス判定回路240と、状態比較回路241を備えた。光送信機10iは、発光部20(不図示)をさらに備える。通信端子230は、パルス判定回路240を介して、状態比較回路241に接続される構成とした。状態比較回路241は、状態判定回路42aとパルス判定回路240とパルスパターン設定回路233へ接続される構成とした。通信端子230は、外部で別の光送信機とデイジーチェーン接続し、別の光送信機の監視状況と合わせて出力端子223から出力信号OUTを出力する。出力回路236からの信号は出力端子223を介して、発光部20(不図示)および監視用のマイコン(不図示)へ供給される。
【0119】
パルス判定回路240は、通信端子230からのパルス信号を受け、パルス信号の示す状態(STATE)信号を状態比較回路241へ出力する。状態比較回路241は、状態判定回路42aからの状態(STATE)信号と、パルス判定回路240からの状態(STATE)信号をあらかじめ定めた基準で比較し、より重要と判定された状態(STATE)信号をパルスパターン設定回路233へ出力する。
【0120】
図27は、本実施例の光送信機10iをデイジーチェーン接続した構成の一例である。本実施例の第1の光送信機10i-1の通信端子230は、第2の光送信機10i-2の出力端子223に接続される。第2の光送信機10i-2の通信端子230は、図示していない第3の光送信機10i-3に接続される。本実施例の光送信機は、複数の単電池監視結果の内、最も重要度の高い結果を光送信機10i-1から出力することが可能となる。前述の通り、監視用のマイコン(不図示)は最初のパルス幅を時間基準として、後続のパルスの数を判定するようにすれば状態(STATE)を判定できるため、各光送信機の間にクロックの同期は不要である。同様に、光送信機10i-1の発光部20(不図示)からの光パルスを処理する信号処理装置100は、光パルス郡のパルス幅と、光パルス数を判断することで状態(STATE)を判定することができる。したがって複数電圧の監視システムを、処理回路の通信負荷の低減を図りつつ、容易かつ安価に構成できる。
【0121】
以上、各種実施例の光送信機によれば、単電池の電圧状態に応じて予め設定された所定のパルス幅と所定のパルス数で構成された所定のパルス群が所定のパルス周期ごとに繰り返し出力されるため、単電池電圧の状態を定期的に確認することができる。これにより光送信機の出力端子が内部で電源と短絡する異常が生じた場合において、光送信機の異常を判定することができる。
【0122】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成要素の一部または全部を置換して若しくは構成要素を追加して、組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 リチウムイオン電池モジュール
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i 光送信器
20 発光部
30、30a、30b 単電池
40 制御回路
42、42a、42b 状態判定回路
43 セレクタ
44 ルックアップテーブル
45 出力端子
50 組電池
57、59 引出配線
60 光導波路
60a 散乱加工
60b 反射加工
70 外装体
80 受光部
90 測定回路
91a、91b 入力端子
92、92a 比較回路
95 出力端子
100 信号処理装置
102 状態決定部
104 状態推定部
110 電流計
120 電圧計
205 センサ
206 異常電流制限装置
223 出力端子
224 入力端子
229 異常電流制限装置接続端子
230 通信端子
301、302 抵抗回路
303、304 コンパレータ
305 電圧源
306、307、308、309 スイッチ
310、311、312、313 抵抗
314、315、361、362 PMOSトランジスタ