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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134485
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20220908BHJP
【FI】
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033626
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】内藤 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】土子 千春
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 晋祐
(72)【発明者】
【氏名】山口 学
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA44
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA03
5F142CA13
5F142CG04
5F142CG05
5F142DB22
5F142DB30
5F142DB60
(57)【要約】
【課題】半導体発光素子に加わる透明樹脂の応力を減少させ、半導体発光素子がランドから剥離することを抑制できる半導体装置の提供。
【解決手段】半導体装置1は、ランド23を有する基板6と、ランド23に取り付けられた半導体発光素子20と、半導体発光素子20を覆う透明樹脂40と、ランド23の周辺から半導体発光素子20の上端20aよりも高く突出すると共に、透明樹脂40と接触する突起部30と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランドを有する基板と、
前記ランドに取り付けられた半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を覆う透明樹脂と、
前記ランドの周辺から前記半導体発光素子の上端よりも高く突出すると共に、前記透明樹脂と接触する突起部と、を備える、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記突起部は、前記ランドを挟んで一対で設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載された半導体装置。
【請求項3】
前記突起部は、平面視で前記ランドに沿って直線状に延びている、ことを特徴とする請求項1または2に記載された半導体装置。
【請求項4】
前記突起部は、平面視で前記ランドに沿ってスポット状に設けられている、ことを特徴とする請求項1または2に記載された半導体装置。
【請求項5】
前記基板は、第1平面と、前記第1平面に対して窪んだ第2平面と、を有し、
前記ランドは、前記第2平面に設けられている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ランドは、前記半導体発光素子を前記ランドに接続する導電性接着材のフィレットよりも外形が小さい、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載の半導体装置が知られている。この半導体装置においては、配線基板の表面に配置された半導体素子、素子搭載部、リード線の一部、吊りピン部の一部、ダイアタッチ材及びボンディングワイヤ等が、エポキシ樹脂等を材料とする樹脂封止体により樹脂封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-42702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体発光素子(LED光源)を基板に搭載し、当該半導体発光素子を樹脂封止する場合、半導体発光素子の発光を妨げないように透明樹脂を用いるのが一般的である。しかしながら、透明樹脂には、その透光性を確保するために、例えば基板との熱膨張差を緩和する物質などを添加することは困難である。仮に、透明樹脂と基板との間に熱膨張差が生じ、半導体発光素子と基板のランドとの接続界面にせん断応力が加わると、熱ストレスによって半導体発光素子がランドから剥離する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、半導体発光素子に加わる透明樹脂の応力を減少させ、半導体発光素子がランドから剥離することを抑制できる半導体装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る半導体装置は、ランドを有する基板と、前記ランドに取り付けられた半導体発光素子と、前記半導体発光素子を覆う透明樹脂と、前記ランドの周辺から前記半導体発光素子の上端よりも高く突出すると共に、前記透明樹脂と接触する突起部と、を備える。
【0007】
上記半導体装置において、前記突起部は、前記ランドを挟んで一対で設けられていてもよい。
【0008】
上記半導体装置において、前記突起部は、平面視で前記ランドに沿って直線状に延びていてもよい。
【0009】
上記半導体装置において、前記突起部は、平面視で前記ランドに沿ってスポット状に設けられていてもよい。
【0010】
上記半導体装置において、前記基板は、第1平面と、前記第1平面に対して窪んだ第2平面と、を有し、前記ランドは、前記第2平面に設けられていてもよい。
【0011】
上記半導体装置において、前記ランドは、前記半導体発光素子を前記ランドに接続する導電性接着材のフィレットよりも外形が小さくてもよい。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明の一態様によれば、半導体発光素子に加わる透明樹脂の応力を減少させ、半導体発光素子がランドから剥離することを抑制できる半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2図1に示す矢視II-II断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る突起部の一変形例を示す平面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る突起部の一変形例を示す平面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の要部を示す断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の要部を示す断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の要部の一変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1を示す平面図である。図2は、図1に示す矢視II-II断面図である。
図1に示す半導体装置1は、反射型光エンコーダである。この半導体装置1は、平面視矩形状の筐体2と、筐体2に収容された投光部3及び受光部4と、筐体2内において投光部3及び受光部4の間を仕切る隔壁5と、を備えている。
【0016】
隔壁5は、筐体2に収容された基板6上に設けられ、投光部3及び受光部4は、隔壁5を隔てて1枚の基板6上に搭載されている。なお、投光部3と受光部4は、分離した2枚の基板に搭載されていても構わない。
【0017】
受光部4は、半導体受光素子10を備えている。半導体受光素子10は、例えば、光センサー搭載のCMOSアンプICである。半導体受光素子10の表面には、複数の接続電極が設けられ、基板6に設けられた複数のボンディングパッド11と、ボンディングワイヤ12を介して電気的に接続されている。
【0018】
投光部3は、半導体発光素子20を備えている。半導体発光素子20は、例えば、LED光源である。半導体発光素子20の表面には、接続電極が設けられ、基板6に設けられた複数のボンディングパッド21と、ボンディングワイヤ22を介して電気的に接続されている。
【0019】
また、半導体発光素子20の裏面には、Au蒸着などで接続電極が設けられ、基板6に設けられたランド23と、導電性接着材24を介して電気的に接続されている。導電性接着材24は、例えば、Agペーストの接着材(主成分はエポキシ樹脂)である。なお、導電性接着材24の代わりに、半導体発光素子20をランド23にはんだで接続しても構わない。
【0020】
図2の断面図に示すように、半導体発光素子20は、透明樹脂40に覆われている。透明樹脂40は、半導体発光素子20、ランド23、導電性接着材24、基板6の表面7及び後述する突起部30を封止している。この透明樹脂40は、基板6(例えば、ガラスエポキシ基板)よりも熱膨張率が高い、例えば透明なエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などである。
【0021】
ランド23の周辺には、突起部30(ダム)が立設している。突起部30は、基板6の表面7から半導体発光素子20の上端20aよりも高い位置まで突出している。なお、ここで言う「半導体発光素子20の上端20a」とは、半導体発光素子20のチップ表面(上面)であるが、チップ表面に突設された図示しない接続電極の上端であっても構わない。
【0022】
透明樹脂40は、突起部30の上端30aよりも高い位置までモールドされている。透明樹脂40は、突起部30の上端30a及び側面30bと接触している。突起部30の側面30bは、基板6の表面7に沿う板面方向で、導電性接着材24による半導体発光素子20の裏面20b(Au蒸着面)とランド23との接続界面25及び半導体発光素子20の側面20cと、透明樹脂40を隔てて対向している。
【0023】
図1に示すように、突起部30は、ランド23を挟んで一対で設けられている。また、突起部30は、平面視でランド23に沿って直線状に平行に延びている。突起部30の長手方向の寸法は、ランド23よりも長くなっている。この突起部30は、平面視矩形の板状部材を基板6に貼り付けるなどして形成することができる。
【0024】
上記構成の半導体装置1によれば、図2に示すように、ランド23の周辺から半導体発光素子20の上端20aよりも高く突出する突起部30が、基板6との熱膨張差により透明樹脂40が基板6の板面方向に沿って広がろうとする移動を抑制するため、半導体発光素子20の側面20cに加わる熱応力を緩和することができる。これにより、導電性接着材24による半導体発光素子20とランド23との接続界面25に加わるせん断応力を低減でき、半導体発光素子20がランド23から剥離することを抑制できる。
【0025】
特に、本実施形態の導電性接着材24のように、Agペーストの主成分であるエポキシは、自身の-OH基(ヒドロキシ基)と被接着面の-O基(カルボニル基)が結合して接着するが、本実施形態の半導体発光素子20の裏面20bのように、Au蒸着されている場合、裏面20bは酸化しないことから、基本的にはAgペーストで接着しておらず、主成分のエポキシの粘着力でタックしているだけと推定される。このような半導体発光素子20がランド23から剥離し易い条件において、本構成は特に有効である。
【0026】
このように、上述した第1実施形態の半導体装置1は、ランド23を有する基板6と、ランド23に取り付けられた半導体発光素子20と、半導体発光素子20を覆う透明樹脂40と、ランド23の周辺から半導体発光素子20の上端20aよりも高く突出すると共に、透明樹脂40と接触する突起部30と、を備える。この構成によれば、半導体発光素子20に加わる透明樹脂40の応力を減少させ、半導体発光素子20がランド23から剥離することを抑制できる。
【0027】
また、第1実施形態では、突起部30は、ランド23を挟んで一対で設けられている。この構成によれば、半導体発光素子20の側面20cに加わる透明樹脂40の応力を左右どちらからも緩和することができる。
【0028】
また、第1実施形態では、突起部30は、図1に示す平面視でランド23に沿って直線状に延びている。この構成によれば、基板6に板状部材を貼り付けるなどして突起部30を形成することができる。
【0029】
上述した第1実施形態では、以下のような変形例を採用することができる。
【0030】
図3は、本発明の第1実施形態に係る突起部30の一変形例を示す平面図である。
図3に示す突起部30は、平面視でランド23に沿ってスポット状に設けられている。この構成によれば、基板6に対する液状樹脂のポッティングなどで突起部30を形成することができる。
【0031】
図4は、本発明の第1実施形態に係る突起部30の一変形例を示す平面図である。
図4に示す突起部30は、隔壁5と一体となっている。この構成によれば、隔壁5を樹脂モールドなどで形成するときに、同時に突起部30も形成することができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0033】
図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置1の要部を示す断面図である。
図5に示すように、第2実施形態では、基板6が、第1平面7aと、第1平面7aに対して窪んだ第2平面7bと、を有し、ランド23は、第2平面7bに設けられている。つまり、第2実施形態の基板6の表面7には、段差が設けられ、当該段差を設けた厚みの薄い部分にランド23が形成されている。
【0034】
なお、図5に示す符号8は、基板6に設けられたレジストである。図5において図示しないが、ランド23の両側には、第1実施形態と同様に一対の突起部30が形成されている。ちなみに、第2平面7bを深く形成し、半導体発光素子20の上端20aがレジスト8の表面以下の高さとなれば、基板6上にダムとなる壁を設けなくても構わない。
【0035】
上記構成の第2実施形態によれば、ランド23が基板6の第1平面7aに対して窪んだ第2平面7bに設けられているため、導電性接着材24による半導体発光素子20とランド23との接続界面25が、透明樹脂40の応力によってせん断応力がするレジスト8の表面や第1平面7aと同一平面でなくなる。これにより、導電性接着材24による半導体発光素子20とランド23との接続界面25に加わるせん断応力を低減でき、半導体発光素子20がランド23から剥離することを抑制できる。
【0036】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0037】
図6は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置1の要部を示す断面図である。
図6に示すように、第3実施形態では、ランド23が、半導体発光素子20をランド23に接続する導電性接着材24のフィレットよりも外形が小さくなっている。なお、第3実施形態においても、図6において図示しないが、ランド23の両側には、第1実施形態と同様に一対の突起部30が形成されている。
【0038】
導電性接着材24のフィレットとは、半導体発光素子20の側面20cとランド23の表面との角部を満たしている部分である。導電性接着材24は、半導体発光素子20の側面20cから離れるに従って徐々に薄くなっていく。導電性接着材24のフィレットは、ランド23の表面から外側に延出し、ランド23の側面23aに接触(接着)している。また、導電性接着材24のフィレットの外形部分は、基板6の表面7まで延び、当該表面7と接触(接着)している。
【0039】
上記構成の第3実施形態によれば、ランド23が導電性接着材24のフィレットよりも外形が小さいため、導電性接着材24のフィレットがランド23の側面23aを抱え込み、アンカー効果が得られる。このため、基板6との熱膨張差によって透明樹脂40から半導体発光素子20に応力が加わったとしても、半導体発光素子20がランド23から剥離することを抑制できる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0041】
例えば、上記実施形態では、図2に示すように、透明樹脂40は、突起部30の上端30aよりも高い位置までモールドされていると説明したが、図7に示すように、突起部30の上端30aよりも低く、且つ、半導体発光素子20の上端20aよりも高い位置までモールドされている構成であっても構わない。このような構成であっても、突起部30によって、半導体発光素子20がランド23から剥離することを抑制できる。
【0042】
また、例えば、上記第2実施形態では、図示しない突起部30があることを前提に説明したが、突起部30がなく、図5に示す構成のみでも、半導体発光素子20の剥離防止作用が得られる。したがって、上述した第2実施形態の一部又は全部は、以下の付記1のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0043】
(付記1)
ランドを有する基板と、
前記ランドに取り付けられた半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を覆う透明樹脂と、を備えており、
前記基板は、第1平面と、前記第1平面に対して窪んだ第2平面と、を有し、
前記ランドは、前記第2平面に設けられている、ことを特徴とする半導体装置。
【0044】
また、例えば、上記第3実施形態でも、図示しない突起部30があることを前提に説明したが、突起部30がなく、図6に示す構成のみでも、半導体発光素子20の剥離防止作用が得られる。したがって、上述した第3実施形態の一部又は全部は、以下の付記2のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0045】
(付記2)
ランドを有する基板と、
前記ランドに取り付けられた半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を覆う透明樹脂と、を備えており、
前記ランドは、前記半導体発光素子を前記ランドに接続する導電性接着材のフィレットよりも外形が小さい、ことを特徴とする半導体装置。
【符号の説明】
【0046】
1…半導体装置、2…筐体、3…投光部、4…受光部、5…隔壁、6…基板、7…表面、7a…第1平面、7b…第2平面、8…レジスト、10…半導体受光素子、11…ボンディングパッド、12…ボンディングワイヤ、20…半導体発光素子、20a…上端、20b…裏面、20c…側面、21…ボンディングパッド、22…ボンディングワイヤ、23…ランド、23a…側面、24…導電性接着材、25…接続界面、30…突起部、30a…上端、30b…側面、40…透明樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7