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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134535
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】高圧用検電器の耐電圧試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/16 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
G01R31/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033704
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】597118393
【氏名又は名称】一般財団法人中国電気保安協会
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】松川 瑞紀
(72)【発明者】
【氏名】奥井 雅也
【テーマコード(参考)】
2G015
【Fターム(参考)】
2G015AA06
2G015BA03
2G015CA05
2G015DA01
(57)【要約】
【課題】複数の伸縮式の高圧検電器を一括して耐電圧試験できる高圧用検電器の耐電圧試験装置を提供する。
【解決手段】検電器Dvは、検知子Peを本体部Dbの先端部に設け、本体部Dbの基端から延びる握り部Dgを備える。試験装置10は、検電器Dvを耐電圧試験できる。試験装置10は、接地装置1と電圧印加装置2を備える。接地装置1は、複数の検電器Dvを水平状態で並列配置できると共に、これらの握り部Dgを一括して接地電極に接地できる。電圧印加装置2は、接地装置1から延びた検電器Dvの検知子Peを一括して電圧電極2eに電気的に接続できる。接地装置1と電圧印加装置2は、分離可能に構成している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知子を本体部の先端部に設け、接地アース間に形成される浮遊静電容量により被検電部から検知子を介して流れる静電誘導電流を検出し、検出信号に基づいて被検電部の充電状態を報知する検知回路を本体部に収容し、本体部の基端から延びる絶縁性を有する握り部を備えた高圧用検電器を耐電圧試験する高圧用検電器の耐電圧試験装置であって、
複数の高圧用検電器を水平状態で並列配置できると共に、これらの高圧用検電器の握り部を一括して接地電極に接地できる接地装置と、
前記接地装置から延びた前記高圧用検電器の検知子を一括して電圧電極に電気的に接続できる電圧印加装置と、を備え、
前記接地装置と前記電圧印加装置は、分離可能に構成している、高圧用検電器の耐電圧試験装置。
【請求項2】
前記接地装置は、
略平面上に載置できる絶縁性を有する第1設置台と、
前記第1設置台の上部に固定し、前記握り部を外周方向から導入できる複数の円弧状の第1開口を上面の板厚面から穿設した固定板と、
複数の前記第1開口に跨って、前記固定板の上面の板厚面に貼着した第1導電部材と、
前記握り部を外周方向から導入できる複数の円弧状の第2開口を下面の板厚面から穿設した移動板と、
複数の前記第2開口に跨って、前記移動板の下面の板厚面に貼着した第2導電部材と、
前記固定板の上面の板厚面に対して前記移動板の下面の板厚面を近接又は離間可能に配置し、前記固定板に対して前記移動板が移動することで、複数の前記握り部を一括して挟持できる一つ以上の挟持手段と、を備えている、請求項1記載の高圧用検電器の耐電圧試験装置。
【請求項3】
前記接地装置は、前記固定板の上面の板厚面に向かって前記移動板の下面の板厚面が近接又は離間可能に案内する案内手段を更に備えている、請求項2記載の高圧用検電器の耐電圧試験装置。
【請求項4】
前記電圧印加装置は、
略平面上に載置できる絶縁性を有する帯板状の第2設置台と、
前記第2設置台の両端部に立設し、前記電圧電極を上面に固定した一対の円柱状の碍子と、
一対の前記碍子の上面に両端部を固定した帯板状の電圧電極と、
一方の把持部を前記電圧電極に着脱自在に固定し、一方の把持部と対向配置した他方の把持部を一方の把持部に向かって押下すると、これらの把持部に連続する一対の挟持部が前記検知子を軸方向から導入でき、一方の把持部を解放すると、一対の挟持部が前記検知子を外周方向から挟持できる、高圧用検電器と同数の目玉クリップと、を備えている、請求項1記載の高圧用検電器の耐電圧試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧用検電器の耐電圧試験装置に関する。特に、設備、機器、又は、電路などの充電の有無を判別する高圧用検電器が所定の耐電圧を有しているか否かを試験する高圧用検電器の耐電圧試験装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
被検電部との接触により被検電部と電気的に接続できる検知子を本体部の先端部に設け、接地アース間に形成される浮遊静電容量により被検電部から検知子を介して流れる静電誘導電流を検出し、検出信号に基づいて被検電部の充電状態を報知する検知回路を本体部に収容し、本体部の基端から延びる絶縁性を有する握り部を備えた高圧用検電器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、被検電部と電気的に接続できる検知子、検知子を先端部に設け、被検電部の充電状態を報知する検知回路を内部に収容した本体部、本体部と縦続接続し、軸方向に伸縮自在な伸縮部材、及び、伸縮部材の基端部に取り付けた絶縁性を有する握り部を備えた伸縮式の高圧用検電器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
これらの高圧用検電器は、所定の耐電圧特性を有していることを確認するため、耐電圧試験を実施している。高圧用検電器の耐電圧試験は、高圧用検電器の絶縁性の握り部に金属箔などの導電性部材を巻き付け、検電器本体部の先端部の検知子と握り部との間に規定の交流電圧を一定時間印加し続けて、高圧用検電器に絶縁破壊が発生しないことを確認している。
【0005】
このような高圧用検電器の耐電圧を試験するためには、高圧用検電器の握り部に金属箔などの導電性部材を1本ずつ巻き付けなければならないため、煩雑な手間と多くの時間を要し、作業能率が悪いという不具合があった。
【0006】
従来の高圧用検電器の耐電圧試験装置は、上記のような不具合があったので、複数の高用検電器の各握り部を対向して配置する接地側電極間で一括して挟み込み、複数の高圧用検電器の各検知子を電圧側電極に一括して電気的に接触させて接地側電極と電圧側電極間に電圧を印加する高圧用検電器の耐電圧試験装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-257870号公報
【特許文献2】特開2002-243772号公報
【特許文献3】特開2010-256055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3による高圧用検電器の耐電圧試験装置は、複数の高圧用検電器を一括して試験できるので、作業効率に優れている。しかしながら、特許文献3による高圧用検電器の耐電圧試験装置は、検知子が下向きになるように、複数の高圧用検電器を縦置きに配列した状態で、蓋止自在な箱体の内部に収容しているので、伸縮式の高圧用検電器を延伸した状態で耐電圧試験することが困難であった。又、全長が異なる高圧用検電器を耐電圧試験するためには、箱体を作り直す必要があった。
【0009】
伸縮式の高圧用検電器を延伸した状態で複数の高圧検電器を一括して耐電圧試験できると共に、全長が異なる高圧用検電器を一括して耐電圧試験できる高圧用検電器の耐電圧試験装置が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、伸縮式の高圧用検電器を延伸した状態で複数の高圧検電器を一括して耐電圧試験できると共に、全長が異なる高圧用検電器を一括して耐電圧試験できる高圧用検電器の耐電圧試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、複数の高圧用検電器を水平状態で並列配置できると共に、これらの高圧用検電器の握り部を一括して接地電極に接地できる接地装置と、接地装置から延びた高圧用検電器の検知子を一括して電圧電極に電気的に接続できる電圧印加装置で、高圧用検電器の耐電圧試験装置を構成し、接地装置と電圧印加装置を分離可能に構成することで、伸縮式の高圧用検電器を延伸した状態で複数の高圧検電器を一括して耐電圧試験できると共に、全長が異なる高圧用検電器を一括して耐電圧試験できると考え、これに基づいて、以下のような新たな高圧用検電器の耐電圧試験装置を発明するに至った。
【0012】
(1)本発明による高圧用検電器の耐電圧試験装置は、検知子を本体部の先端部に設け、接地アース間に形成される浮遊静電容量により被検電部から検知子を介して流れる静電誘導電流を検出し、検出信号に基づいて被検電部の充電状態を報知する検知回路を本体部に収容し、本体部の基端から延びる絶縁性を有する握り部を備えた高圧用検電器を耐電圧試験する高圧用検電器の耐電圧試験装置であって、複数の高圧用検電器を水平状態で並列配置できると共に、これらの高圧用検電器の握り部を一括して接地電極に接地できる接地装置と、前記接地装置から延びた前記高圧用検電器の検知子を一括して電圧電極に電気的に接続できる電圧印加装置と、を備え、前記接地装置と前記電圧印加装置は、分離可能に構成している。
【0013】
(2)前記接地装置は、略平面上に載置できる絶縁性を有する第1設置台と、前記第1設置台の上部に固定し、前記握り部を外周方向から導入できる複数の円弧状の第1開口を上面の板厚面から穿設した固定板と、複数の前記第1開口に跨って、前記固定板の上面の板厚面に貼着した第1導電部材と、前記握り部を外周方向から導入できる複数の円弧状の第2開口を下面の板厚面から穿設した移動板と、複数の前記第2開口に跨って、前記移動板の下面の板厚面に貼着した第2導電部材と、前記固定板の上面の板厚面に対して前記移動板の下面の板厚面を近接又は離間可能に配置し、前記固定板に対して前記移動板が移動することで、複数の前記握り部を一括して挟持できる一つ以上の挟持手段と、を備えていることが好ましい。
【0014】
(3)前記接地装置は、前記固定板の上面の板厚面に向かって前記移動板の下面の板厚面が近接又は離間可能に案内する案内手段を更に備えていることが好ましい。
【0015】
(4)前記電圧印加装置は、略平面上に載置できる絶縁性を有する帯板状の第2設置台と、前記第2設置台の両端部に立設し、前記電圧電極を上面に固定した一対の円柱状の碍子と、一対の前記碍子の上面に両端部を固定した帯板状の電圧電極と、一方の把持部を前記電圧電極に着脱自在に固定し、一方の把持部と対向配置した他方の把持部を一方の把持部に向かって押下すると、これらの把持部に連続する一対の挟持部が前記検知子を軸方向から導入でき、一方の把持部を解放すると、一対の挟持部が前記検知子を外周方向から挟持できる、高圧用検電器と同数の目玉クリップと、を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明による高圧用検電器の耐電圧試験装置は、複数の高圧用検電器を水平状態で並列配置できると共に、これらの高圧用検電器の握り部を一括して接地電極に接地できる接地装置と、接地装置から延びた高圧用検電器の検知子を一括して電圧電極に電気的に接続できる電圧印加装置で、高圧用検電器の耐電圧試験装置を構成し、接地装置と電圧印加装置を分離可能に構成することで、伸縮式の高圧用検電器を延伸した状態で複数の高圧検電器を一括して耐電圧試験できると共に、全長が異なる高圧用検電器を一括して耐電圧試験できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による高圧用検電器の耐電圧試験装置の構成を示す平円図である。
図2】前記実施形態による高圧用検電器の耐電圧試験装置の構成を示す正面図である。
図3】前記実施形態による高圧用検電器の耐電圧試験装置の構成を示す背面図であり、接地装置に備わる固定板に対して移動板が離間した状態図である。
図4】前記実施形態による高圧用検電器の耐電圧試験装置の構成を示す右側面図である。
図5】前記実施形態による高圧用検電器の耐電圧試験装置の構成を示す右側面図であり、高圧用検電器の握り部に対して本体部を伸長した状態図である。
図6】前記実施形態による高圧用検電器の耐電圧試験装置の接地装置に備わる固定板及び移動板の正面図であり、固定板の上面及び移動板の下面に銅箔を貼着した状態図である。
図7】前記実施形態による高圧用検電器の耐電圧試験装置の接地装置に備わる固定板及び移動板の正面図であり、短尺の導電性ゴムを移動板の下部に形成した第2開口の底部に部分的に貼着した状態図である。
図8】前記実施形態による高圧用検電器の耐電圧試験装置の接地装置に備わる固定板の正面図であり、U字状の導電性ゴムを固定板の上部に形成した第1開口の底部に貼着した状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0019】
[高圧用検電器の耐電圧試験装置の構成]
最初に、本発明の一実施形態による高圧用検電器の耐電圧試験装置の構成を説明する。
【0020】
図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、本発明の一実施形態による高圧用検電器の耐電圧試験装置(以下、試験装置と略称する)10は、複数の高圧用検電器(以下、検電器と略称する)Dvを一括して耐電圧試験できる。
【0021】
図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、検電器Dvは、検知子Peを本体部Dbの先端部に設け、接地アース間に形成される浮遊静電容量により被検電部から検知子Peを介して流れる静電誘導電流を検出し、検出信号に基づいて被検電部の充電状態を報知する検知回路(図示せず)を本体部Dbに収容し、本体部Dbの基端から延びる絶縁性を有する握り部Dgを備えている。実施形態による検電器Dvは、本体部Dbと握り部Dgが伸縮自在な伸縮ロッドReで連結されている(図5参照)。
【0022】
図1から図5を参照すると、試験装置10は、接地装置1と電圧印加装置2で構成している。接地装置1は、複数の検電器Dvを水平状態で並列配置できる。又、接地装置1は、複数の検電器Dvの握り部Dgを一括して接地電極となる第1導電部材12e及び第2導電部材13eに接地できる(図3又は図6から図8参照)。
【0023】
図1から図5を参照すると、電圧印加装置2は、接地装置1から延びた検電器Dvの検知子Peを一括して電圧電極2eに電気的に接続できる。そして、接地装置1と電圧印加装置2は、分離可能に構成している。
【0024】
図1から図5を参照すると、実施形態による試験装置10は、接地装置1と電圧印加装置2を分離可能に構成することで、伸縮式の検電器Dvを延伸した状態で複数の検電器Dvを一括して耐電圧試験できると共に、全長が異なる高圧用検電器を一括して耐電圧試験できる。
【0025】
(接地装置の構成)
次に、実施形態による試験装置10に備わる接地装置1の構成を説明する。図1から図5を参照すると、接地装置1は、第1設置台11、固定板12、及び、移動板13を備えている。又、接地装置1は、第1導電部材12eと第2導電部材13eを備えている(図3又は図6及び図7参照)。更に、接地装置1は、一対の挟持手段となるパッチン錠14・14を備えている(図1又は図2参照)。
【0026】
(第1設置台の構成)
図3から図5を参照すると、第1設置台11は、絶縁性を有する矩形の敷板11aと絶縁性を有する矩形の立設板11bを有している。敷板11aと立設板11bは、逆T字状に形成している。敷板11aは、損傷防止用の複数のゴム板11gを底面に取り付けている。第1設置台11は、フロア面FLなどの略平面上に載置できる。実施形態による第1設置台11は、敷板11aと立設板11bを組立式で構成しているが、敷板11aと立設板11bを一体で形成してもよい。
【0027】
(固定板の構成)
図2から図5を参照すると、固定板12は、複数の帯板状のストラップ11sを用いて、第1設置台11の上部に固定している。ストラップ11sの一端部側は、立設板11bの上部に固定している。ストラップ11sの他端部側は、固定板12の下部に固定している。
【0028】
図3又は図6及び図7を参照すると、固定板12は、複数の円弧状の第1開口121を上面の板厚面から穿設している。第1開口121には、検電器Dvの握り部Dgを外周方向から導入できる(図1又は図4及び図5参照)。
【0029】
(第1導電部材の構成)
図3又は図6及び図7を参照すると、第1導電部材12eは、帯状の銅箔1bcを用いて、複数の第1開口121に跨って、固定板12の上面の板厚面に貼着している。銅箔1bcは、固定板12の両側面に延長した状態で、固定板12の両側面に貼着している。
【0030】
(移動板の構成)
図3又は図6及び図7を参照すると、移動板13は、複数の円弧状の第2開口221を下面の板厚面から穿設している。第2開口221には、検電器Dvの握り部Dgを外周方向から導入できる(図1又は図4及び図5参照)。
【0031】
(第2導電部材の構成)
図3又は図6及び図7を参照すると、第2導電部材13eは、帯状の銅箔2bcを用いて、複数の第2開口221に跨って、移動板13の下面の板厚面に貼着している。銅箔2bcは、移動板13の両側面に延長した状態で、移動板13の両側面に貼着している。
【0032】
(挟持手段の構成)
図1又は図2を参照すると、パッチン錠14は、互いに係脱自在なレバー部材141とフック部材142で構成している(図2参照)。レバー部材141は、固定板12の上部に固定している。フック部材142は、移動板13の下部に固定している。
【0033】
図2を参照して、レバー部材141に備わるレバー14rに連結したリング部材143をフック部材142に係合した状態で、レバー14rを操作することで、固定板12の上面の板厚面に向かって移動板13の下面の板厚面を近接できる。リング部材143がフック部材142に係合した状態から、レバー14rを逆に操作することで、固定板12の上面の板厚面に対して移動板13の下面の板厚面を離間できる。
【0034】
図3又は図6及び図7を参照して、第1開口121と第2開口221の間に、握り部Dgを導入し(図2参照)、固定板12に対して移動板13が移動することで、第1導電部材12e及び第2導電部材13eを介して、複数の握り部Dgを一括して挟持できる(図2参照)。
【0035】
(案内手段の構成)
次に、接地装置1に備わる案内手段15の構成を説明する。図1から図5を参照すると、案内手段15は、接地装置1の三箇所に配置している。案内手段15は、長尺のボルト部材15b、金属製のアングル部材15a、一対のナット部材15nで構成している。
【0036】
図3を参照すると、一対のアングル部材15a・15aは、銅箔1bcを介して、それらの一片を固定板12の両側面に固定している。そして、一対のアングル部材15a・15aは、銅箔1bcと接触している。アングル部材15aの他片には、ボルト部材15bの軸部が嵌合している。一対のナット部材15n・15nを用いて、ボルト部材15bの軸部の先端部側をアングル部材15aの他片に固定している。同様の構成は、固定板12の中央部にも設けている(図2参照)。
【0037】
図2を参照すると、一対のアングル部材15a・15aは、銅箔2bcを介して、それらの一片を移動板13の両側面に固定している。そして、一対のアングル部材15a・15aは、銅箔2bcと接触している。アングル部材15aの他片には、ボルト部材15bの軸部が嵌合している。同様の構成は、移動板13の中央部にも設けている。
【0038】
図2を参照して、一対のパッチン錠14・14を解除することで、複数の案内手段15は、固定板12の上面の板厚面に向かって移動板13の下面の板厚面が近接又は離間可能に、固定板12に対して移動板13を略平行移動できるように、案内できる。
【0039】
(接地電極の構成)
次に、接地装置1に備わる接地電極の構成を説明する。図1から図5を参照すると、接地電極は、第1導電部材12eと第2導電部材13eを含んでいる。第1導電部材12eは、固定板12の板厚面に貼着した銅箔1bcを含んでいる。又、第1導電部材12eは、銅箔1bcを介して、第1開口121の底部に貼着したU字状の導電性シリコンゴム12gを含んでいる(図8参照)。導電性シリコンゴム12gは、導電性接着剤を用いて、その底部を銅箔1bcに接着している(図8参照)。
【0040】
図1から図5を参照すると、第2導電部材13eは、移動板13の板厚面に貼着した銅箔2bcを含んでいる。又、第2導電部材13eは、銅箔2bcを介して、第2開口221の底部に部分的に貼着した導電性シリコンゴム13gを含んでいる(図7参照)。導電性シリコンゴム13gは、導電性接着剤を用いて、その底部を銅箔2bcに接着している(図7参照)。
【0041】
図2又は図4及び図5を参照して、第1導電部材12e及び第2導電部材13eを介して、固定板12と移動板13が握り部Dgを挟持した状態では、第1導電部材12e及び第2導電部材13eは、握り部Dgに接地できる。図4又は図5を参照すると、アース線Caは、その端末に圧着端子を備えている。そして、アース線Caの圧着端子を一部のボルト部材15bに電気的に接続している。
【0042】
(電圧印加装置の構成)
次に、実施形態による試験装置10に備わる電圧印加装置2の構成を説明する。図1から図5を参照すると、電圧印加装置2は、帯板状の第2設置台21、一対の円柱状の碍子22・22、及び、帯板状の電圧電極2eを備えている。又、電圧印加装置2は、検電器Dvと同数の目玉クリップ23を備えている(図1又は図2参照)。
【0043】
(第2設置台の構成)
図3から図5を参照すると、第2設置台21は、絶縁性を有する矩形板で構成している。第2設置台21は、損傷防止用の複数のゴム板21gを底面に取り付けている。第2設置台21は、フロア面FLなどの略平面上に載置できる。又、第2設置台21は、その長手方向に沿って、薄板のアース板21aを第2設置台21の上面に取り付けている(図2又は図3参照)。アース板21aは、碍子22の底面と接地している。アース板21aに図示しないアース線を電気的に接続することで、電圧電極2eに流れる電気を大地側に逃がすことができる。
【0044】
(碍子の構成)
図1から図5を参照すると、一対の碍子22・22は、アース板21aを介して、第2設置台21の両端部に立設している。又、一対の碍子22・22は、電圧電極2eを上面に固定している。実施の形態では、帯板状の留め金22sを用いて(図1又は図2参照)、電圧電極2eの両端部を碍子22の上面に着脱自在に固定している。
【0045】
(電圧電極の構成)
図1を参照すると、電圧電極2eは、第2設置台21の長手方向に沿って配置されている。電圧電極2eは、その長手方向が検電器Dvの軸方向と略直交した状態で配置されている。又、電圧電極2eは、後述する目玉クリップ23の一方の把持部23gをねじ止めするための雌ねじ部を設けている。
【0046】
図1又は図2を参照すると、目玉クリップ23は、開閉自在な一対の把持部23g・23gとこれらの把持部23g・23gから連続して延びた一対の挟持部23c・23cを有している。又、目玉クリップ23は、一対の挟持部23c・23cを互いに接触させるための捩りコイルバネを設けているが、図示は省略している。
【0047】
図1又は図2を参照すると、一方の把持部23gを電圧電極2eに着脱自在に固定している。一方の把持部23gと対向配置した他方の把持部23gを一方の把持部23gに向かって押下すると、これらの把持部23g・23gに連続する一対の挟持部23c・23cに検知子Peを軸方向から導入できる。そして、一方の把持部23gを解放すると、一対の挟持部23c・23cが捩りコイルバネの付勢力で検知子Peを外周方向から挟持できる(図4又は図5参照)。
【0048】
図1を参照すると、電圧印加線Ceは、その端末に圧着端子を備えている。電圧印加線Ceの圧着端子は、電圧電極2eを碍子22に固定する一方の留め金22sと電気的に接続している。
【0049】
図1を参照して、電圧印加線Ceから高圧の試験電圧を電圧電極2eに印加すると、電圧電極2eに導通した目玉クリップ23を介して、複数の検知子Peに試験電圧を一括して印加できる。
【0050】
[高圧用検電器の耐電圧試験装置の作用]
次に、実施形態による試験装置10による検電器Dvの耐電圧試験方法を説明しながら、試験装置10の作用及び効果を説明する。
【0051】
最初に、図1又は図2を参照して、一対のパッチン錠14・14を解除して、固定板12に対して移動板13を引き上げておく(図3参照)。
【0052】
次に、図8を参照して、U字状の導電性シリコンゴム12gが開口した状態で、導電性シリコンゴム12gの内部に握り部Dgを外周方向から導入する。次に、固定板12に向かって移動板13を押し下げると、導電性シリコンゴム12gが握り部Dgを包み込む状態で、導電性シリコンゴム12gを握り部Dgの外周に接触できる。又、固定板12に向かって移動板13を押し下げると、導電性シリコンゴム13gを握り部Dgの外周に接触できる(図7参照)。
【0053】
次に、図1又は図2を参照して、一対のパッチン錠14・14を施錠する。図2を参照して、固定板12と移動板13が握り部Dgを挟持した状態では、導電性シリコンゴム12g及び導電性シリコンゴム13gが握り部Dgの外周を包囲した状態で接触及び保持しているので、握り部Dgに確実に電気的に導通できると共に、握り部Dgを損傷させないという効果がある。
【0054】
次に、図1又は図2を参照して、他方の把持部23gを一方の把持部23gに向かって押下する。次に、一対の挟持部23c・23cの間に検知子Peを軸方向から導入する。次に、一方の把持部23gを解放すると、一対の挟持部23c・23cが検知子Peを外周方向から挟持できる(図4又は図5参照)。
【0055】
図1又は図2を参照して、電圧印加装置2は、複数の検知子Peを一括して挟持することなく、目玉クリップ23を用いて、検知子Peを個別に挟持しているので、検知子Peへの接触圧力を分散でき、検知子Peを痛めないという効果がある。又、目玉クリップ23を用いて、検知子Peを挟持しているので、検知子Peへの接触面積も増え、耐電圧試験の信頼性の向上が期待できる。
【0056】
最後に、図4又は図5を参照して、接地装置1の接地電極と電圧印加装置2の電圧電極2eの間に高圧の試験電圧を一定時間、印加し続けて耐電圧試験を実行する。
【0057】
図4又は図5を参照すると、実施形態による試験装置10は、接地装置1と電圧印加装置2を分離可能に構成しているので、伸縮式の検電器Dvを縮めて使用でき(図4参照)、伸縮式の検電器Dvを伸ばして使用できる(図5参照)。又、試験装置10は、全長が異なる検電器にも適用できる。
【0058】
図1から図5を参照すると、実施形態による試験装置10は、複数の検電器Dvを一括して耐電圧試験できるので、試験効率に優れている。
【符号の説明】
【0059】
1 接地装置
2 電圧印加装置
2e 電圧電極
10 試験装置(高圧用検電器の耐電圧試験装置)
12e 第1導電部材(接地電極)
13e 第2導電部材(接地電極)
Dv 検電器(高圧用検電器)
Db 本体部
Dg 握り部
Pe 検知子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8