(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134575
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】軟磁性金属粉末
(51)【国際特許分類】
B22F 1/00 20220101AFI20220908BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20220908BHJP
B22F 1/16 20220101ALI20220908BHJP
B22F 9/24 20060101ALI20220908BHJP
H01F 1/20 20060101ALI20220908BHJP
H01F 1/33 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B22F1/00 Y
C22C38/00 303S
B22F1/02 E
B22F9/24 A
H01F1/20
H01F1/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033782
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000166443
【氏名又は名称】戸田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173406
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 真貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100067301
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 順一
(72)【発明者】
【氏名】堀江 真司
(72)【発明者】
【氏名】石谷 誠治
(72)【発明者】
【氏名】井澤 拓己
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
5E041
【Fターム(参考)】
4K017AA03
4K017BA06
4K017BB13
4K017CA07
4K017CA08
4K017DA02
4K017EJ01
4K017EJ02
4K017FB03
4K017FB04
4K018BA14
4K018BB04
4K018BB05
4K018BC28
4K018KA43
5E041AA11
5E041BD03
5E041CA01
5E041NN06
(57)【要約】
【課題】
成形密度の高い圧粉成形体を作製できる微粒子からなる軟磁性金属粉末であり、飽和磁化を低下させるボロンの含有量が少ないので、磁気特性に優れる圧粉磁心を作製でき、また、粒度分布が狭い微粒子の集合体であるため表面平滑性に優れる薄層を形成できる軟磁性金属粉末を提供する。
【解決手段】
平均粒子径が0.05μm以上、かつ、1.5μm以下であり、下記(式)で表される変化係数が0.25以下であり、ボロンの含有量が5.0重量%未満(但し、0は含まない)である軟磁性金属粉末。
(式) 粒子径の標準偏差/平均粒子径
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が0.05μm以上、かつ、1.5μm以下であり、下記(式)で表される変化係数が0.25以下であり、ボロンの含有量が5.0重量%未満(但し、0は含まない)である軟磁性金属粉末。
(式) 粒子径の標準偏差/平均粒子径
【請求項2】
鉄の含有量が90重量%以上である請求項1記載の軟磁性金属粉末。
【請求項3】
1種又は2種以上の金属酸化物で被覆された請求項1又は2記載の軟磁性金属粉末。
【請求項4】
前記金属酸化物の金属元素がアルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタニウム、イットリウム又はリンである請求項3記載の軟磁性金属粉末。
【請求項5】
金属塩、錯化剤、pH調整剤、リン系還元剤を含む金属塩水溶液にボロン系還元剤を含有する還元液を滴下する液相還元法によって製造する請求項1又は2記載の軟磁性金属粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軟磁性金属粉末に関する。詳しくは、該軟磁性金属粉末は微粒子からなるから高い成形密度の圧粉成形体を作製できるとともに、飽和磁化を低下させるボロンの含有量が少ないため、磁気特性に優れる圧粉磁心を作製でき、また、粒度分布が狭い微粒子の集合体だから表面平滑性に優れる薄層を形成できる軟磁性金属粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電気機器の高機能化や小型・薄型化に伴い、電気機器に内蔵されるインダクタやトランスには磁気特性の向上に加え、薄層化も求められている。
【0003】
インダクタ等の磁気特性を向上させるため、圧粉磁心には高い成形密度が要求される。
【0004】
軟磁性金属粉末が微粒子からなる集合体であれば圧粉磁心の成形密度の向上が望める。
【0005】
微粒子の軟磁性金属粉末を作製する方法として、特許文献1に記載されるような金属塩水溶液に対して、ボロン(B)系還元剤を含む還元液を滴下する液相還元法がある。
【0006】
しかし、Bは飽和磁化を低下させるため、Bを多く含有する軟磁性金属粉末で作製した圧粉磁心は飽和磁化が低下するという問題がある。
【0007】
また、粒度分布の広い軟磁性金属粉末を使用し、大きい粒子の隙間を中・小の粒子で埋めることによっても圧粉磁心の成形密度の向上が望める。
【0008】
粒度分布の広い軟磁性金属粉末であれば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、噴霧熱分解法のような一般的な方法で作製することができる。
【0009】
しかしながら、粒度分布の広い軟磁性金属粉末は薄層化した際に表面の良好な平滑性が得られ難いという問題がある。
【0010】
そこで、成形密度が高く、また、Bの含有量が少なくて磁気特性に優れる圧粉磁心を作製できる微粒子からなる軟磁性金属粉末であって、粒度分布が狭くて表面平滑性にも優れる薄層を形成できる軟磁性金属粉末の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1には、鉄塩、錯化剤、分散剤、pH調整剤、P系還元剤を含む鉄塩水溶液にB系還元剤を含む還元液を滴下する液相還元法によって、従来よりも粒径の小さい軟磁性金属粉末を作製する方法が記載されている。
【0013】
しかし、特許文献1に記載される軟磁性金属粉末はBを多く含有するため、飽和磁化が低下するという問題がある。
【0014】
本発明者らは、前記諸問題を解決することを技術的課題とし、試行錯誤的な数多くの試作・実験を重ねた結果、B系還元剤を多く添加しなくても、平均粒子径が0.05μm以上、かつ、1.5μm以下の微粒子であり、かつ、粒子径の標準偏差/平均粒子径で表される変化係数が0.25以下であって粒度分布が狭い軟磁性金属粉末を作製することに成功し、前記技術的課題を解決したものである。
【0015】
本発明に係る軟磁性金属粉末は、成形密度の高い圧粉成形体を作製できるので、高密度化による磁気特性が向上した圧粉磁心を作製でき、また、飽和磁化を低下させるBの含有量が低いため、さらに磁気特性に優れる圧粉磁心を作製することができる軟磁性金属粉末であり、しかも、表面平滑性に優れる薄層を形成することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記技術的課題は次のとおりの本発明によって解決できる。
【0017】
本発明は、平均粒子径が0.05μm以上、かつ、1.5μm以下であり、下記(式)で表される変化係数が0.25以下であり、ボロン(B)の含有量が5.0重量%未満(但し、0は含まない)である軟磁性金属粉末である。
(式) 粒子径の標準偏差/平均粒子径(σ/D)
【0018】
また、本発明は、鉄(Fe)の含有量が90重量%以上である前記軟磁性金属粉末である。
【0019】
また、本発明は、1種又は2種以上の金属酸化物で被覆された前記軟磁性金属粉末である。
【0020】
また、本発明は、前記金属酸化物の金属元素がアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)、イットリウム(Y)又はリン(P)である前記軟磁性金属粉末である。
【0021】
また、本発明は、金属塩、錯化剤、pH調整剤、P系還元剤を含む金属塩水溶液にB系還元剤を含む還元液を滴下する液相還元法によって製造する前記軟磁性金属粉末の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、平均粒子径が0.05μm~1.5μmの軟磁性金属粉末であって微粒子の集合体であるから、高い成形密度を実現できるため、磁気特性の高い圧粉磁心を作製することができる。
【0023】
また、「粒子径の標準偏差/平均粒子径」で表される変化係数が0.25以下という粒度分布の狭い微粒子の軟磁性金属粉末であるから、表面平滑性に優れる薄層を形成できる。
【0024】
また、飽和磁化を低下させるBの含有量が5.0重量%未満なので、さらに磁気特性に優れる圧粉磁心を作製できる。
【0025】
また、鉄(Fe)の含有量が90重量%以上であれば、飽和磁化の高い圧粉磁心を作製できる。
【0026】
また、軟磁性金属粉末を、金属酸化物で被覆すれば、各粒子間の電気的な絶縁性を確保できるため、エネルギー損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明における軟磁性金属粉末(σ/D=0.180)のSEM写真(10000倍)である。
【
図2】本発明における軟磁性金属粉末(σ/D=0.167)のSEM写真(10000倍)である。
【
図3】本発明における軟磁性金属粉末(σ/D=0.113)のSEM写真(10000倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明における軟磁性金属粉末は微粒子の集合体であり、かつ、粒度分布が狭いから、成形密度の高い圧粉成形体を作製できると共に、表面平滑性に優れる薄層を形成することができる。
【0029】
軟磁性金属粉末の平均粒子径は0.05μm~1.5μmが好ましく、さらに好ましくは、0.07μm~1.0μmである。
【0030】
平均粒子径が0.05μm未満であると、粒子表面の酸化被膜の比率が多くなるため飽和磁化が低下し、また、1.5μmを超えると薄層化した際に表面の最大高さ(Rmax)の値が高くなって薄層の表面平滑性が低下する虞があるからである。
【0031】
酸化被膜による飽和磁化の低下を抑制するために、軟磁性金属粉末における酸素(O)の含有量は8.0重量%未満が好ましく、さらに好ましくは5.0重量%以下である。
【0032】
軟磁性金属粉末微粒子の「粒子径の標準偏差/平均粒子径」で表される変化係数は0.25以下が好ましく、より好ましくは0.22以下である。
【0033】
変化係数が0.25を超えると、薄層化した場合のRmaxの値が高くなって薄層の表面平滑性が低下する虞があるからである。
【0034】
本発明によれば、10~30μmの薄層であっても、Rmaxを3.5μm未満にすることができる。
【0035】
軟磁性金属粉末の粒子径は走査型顕微鏡(SEM)を用いて2000倍~10000倍の倍率で撮影した後、画像解析ソフトを使用して計測することができる。
【0036】
本発明の軟磁性金属粉末が含有するBの含有量は5.0重量%未満であるが、0重量%ではない。
【0037】
Bは飽和磁化を低下させるから少ないほうが好ましいが、B系還元剤を使用しないと球状ではない微粒子が増加して成形密度が低下する虞があるからである。
【0038】
本発明における軟磁性金属粉末は金属酸化物で被覆されていてもよい。絶縁効果の向上が望めるからである。
【0039】
金属酸化物が含有する金属元素としては、Al、Si、Zr、Ti、Y、Pを例示することできる。
【0040】
金属酸化物における金属元素の含有量は0.1重量%~3.0重量%が好ましい。3.0重量%より多く含有すると飽和磁化が低下する虞があるからである。
【0041】
十分な磁気特性を備える圧粉磁心を作製するために、軟磁性金属粉末の飽和磁化は150Wb・m/kg以上、保磁力は10kA/m以下であることが好ましい。
【0042】
本発明は、金属塩水溶液をB系還元剤で還元して製造する液相還元法で製造することができる。
【0043】
金属塩は限定されないが鉄塩が好ましい。
【0044】
鉄塩としては、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)を例示する。
【0045】
金属塩水溶液には錯化剤や還元剤を添加してもよい。
【0046】
錯化剤は特に限定されないが、グリシン、アラニン、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、クエン酸IIIナトリウムを例示することができる。
【0047】
還元剤は特に限定されないが、P系還元剤を使用することが好ましい。
【0048】
P系還元剤として、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウムを例示することができる。
【0049】
金属塩水溶液のpHは6.5~11.0に調整することが好ましい。
【0050】
pH調整剤は特に限定されないが、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸水素ナトリウムを例示する。
【0051】
金属塩水溶液には適宜、分散剤、触媒、消泡剤を添加してもよい。
【0052】
金属塩水溶液を還元する還元剤はB系還元剤を使用する。
【0053】
B系還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミノボランを例示することができる。
【0054】
B系還元剤と併せて、Bを含有しないヒドラジンを使用してもよい。
【0055】
還元温度は10℃~95℃で行うことが好ましい。
【実施例0056】
本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
硫酸鉄(II)7水和物0.2mol/L、グリシン0.08mol/L、次亜リン酸ナトリウム0.1mol/Lの濃度となるようにガラスビーカー内に蒸留水1500mlと共に投入し、室温で、回転数100rpm~300rpmで攪拌しながら水酸化ナトリウムを用いてpH7.0~8.5の金属塩水溶液を作製した。
【0058】
作製した金属塩水溶液を回転数100rpm~300rpmで攪拌させながら、ビーカー内を窒素ガスで不活性雰囲気にした状態で45℃になるまで加熱した。
【0059】
水素化ホウ素ナトリウムを0.25mol/Lとなるように蒸留水300mlと混合し、室温にて100rpm~300rpmで攪拌して溶解させることでB系還元液を作製した。
【0060】
窒素雰囲気中で45℃の金属塩水溶液を回転数100rpm~300rpmで撹拌しながら作製したB系還元剤を徐々に滴下した。
金属塩水溶液からの発泡がなくなったところを還元反応の終点とした。
【0061】
還元反応終了後、蒸留水で水洗し、アルコールで置換後、窒素ガスの不活性雰囲気で乾燥させることで実施例1の軟磁性金属粉末を得た。
【0062】
(実施例2~5及び比較例1~3)
実施例2~5及び比較例1~3の原料を表1に示す通りとした以外は実施例1と同じ条件で製造した。
【0063】
(実施例6)
実施例1で得られた軟磁性金属粉末0.30mol/L、テトラエトキシシラン(TEOS)0.04mol/L、アンモニア水0.20mol/Lの濃度となるように秤量してガラスビーカー内にイソプロピルアルコール150mlと共に投入し、室温で1時間、回転数100rpm~300rpmで攪拌してTEOSを加水分解させることにより軟磁性金属粉末の微粒子の表面をシリカで被覆する処理を行った。
【0064】
イソプロピルアルコールで洗浄後、窒素ガスの不活性雰囲気中で乾燥させてシリカ被覆処理軟磁性金属粉末を得た。
【0065】
(比較例4)
塩化鉄(II)水和物1.0mol/L、塩化アンモニウム1.5mol/L、クエン酸三ナトリウム水和物0.8mol/L、次亜リン酸ナトリウム水和物1.5mol/L、分散剤としてポリビニルピロリドン0.004mol/Lの濃度となるようにそれぞれ秤量し、ガラス製容器内に蒸留水200mlと共に投入し、室温において回転数160rpm~300rpmで60~120分間撹拌することで金属塩水溶液を作製した。
【0066】
作製した金属塩水溶液を室温において回転数160rpm~300rpmで撹拌させながら、水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH10にした。
【0067】
回転数160rpm~300rpmで撹拌している金属塩水溶液に対して、実施例1と同一のB系還元液を徐々に滴下し、金属塩水溶液表面からの泡の発生がなくなったことを確認してから、析出した粉末を液中から分離し、得た粉末を水洗及びアルコール洗浄した後、窒素ガスの不活性雰囲気中で乾燥することで非晶質軟磁性合金粉末を得た。
【0068】
(比較例5)
ポリオール法にてFe粒子を合成した。
エチレングリコール100mlを還流器のついたガラス容器に入れ、窒素ガスを300ml/minの流量で吹き込み、テフロン(登録商標)攪拌羽根により100rpmの回転速度で液を攪拌した。
【0069】
攪拌している液の中に、塩化第一鉄4水和物FeCl2・4H2Oを0.1mol/Lの濃度となるように投入した。
【0070】
次いで、[Fe]に対する[OH-]濃度の比[OH-]/[Fe]が40となるようにNaOHを投入した。
【0071】
更に、核生成のための白金前駆体としてヘキサクロリド白金(IV)酸を2.0×10-8mol/L投入した。
【0072】
投入後、還流器に冷却水を流し、窒素ガスの吹き込み、及び、機械攪拌を継続しながら加熱して、170℃の状態で還流しながら20min保持し、還元反応を行った。
【0073】
析出した粒子は、溶液が室温になるまで放冷してからエタノール中に移し、遠心分離により洗浄を繰り返し、窒素雰囲気中にて乾燥させることによりFe粒子粉末を得た。
【0074】
(比較例6)
カルボニル鉄粉(製品名:HQ BASF社製)を用いた。
【0075】
(粒子形状)
走査型電子顕微鏡(SEM)(S-4800形FE-SEM/株式会社日立ハイテク製 )写真(10000倍)で目視により観察した。
【0076】
粒子の最長径aと最短径bの比(a/b)を算出して、以下に示すように形状を評価した。
【0077】
球状:a/b≦1.7かつ1.0≦a/b≦1.2の比率が90%以上
球状/粒状:a/b≦1.7かつ1.0≦a/b≦1.2の比率が50%以上90%未満
粒状:a/b≦1.7かつ1.0≦a/b≦1.2の比率が50%未満
針状:a/b>1.7
【0078】
(平均粒子径、標準偏差及び変化係数)
走査型電子顕微鏡を用いて2000~10000倍の倍率で撮影し、撮影した視野内のすべての粒子の最長径を、画像解析ソフトA像君(旭化成エンジニアリング株式会社製)を用いて計測して平均粒子径を算出し、さらに標準偏差を計算した。また、それらの数値から変化係数を計算した。
【0079】
(結晶構造)
X線回折装置(D8 ADVANCE/ブルカー・ジャパン株式会社製)を使用して測定を行い、リードベルト解析によって試料中の結晶相の同定を行った。
【0080】
(組成分析)
<Fe、P、Si>
蛍光X線回折装置(ZSX PrimusII/株式会社リガク製)を使用してJIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定を行った。
【0081】
<B>
誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置(iCAP6500/サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を使用して測定を行った。
【0082】
<O>
酸素・窒素・水素分析装置(EMGA-930/株式会社堀場製作所製)を使用して測定を行った。
【0083】
(磁気特性)
振動試料型磁力計(VSM)(TM-VSM2130MRHL型/株式会社玉川製作所製 )を使用して印加磁場797.7kA/mにて、飽和磁化(σs)及び保磁力(Hc)を測定した。
【0084】
(薄層特性)
実施例1の軟磁性金属粉末5.0gにヒマシ油0.5ml及び硝化綿クリヤーラッカー(P用クリヤー(標準試料)151-009/関西ペイント株式会社製)4.5gを加え、自転・公転ミキサー(あわとり練太郎 ARE-310/株式会社シンキー製)を用いて、回転数1500rpmで3分間攪拌してペーストを作製した。
【0085】
作製したペーストを3millのアプリケーターを用いてPETフィルムに塗布し、室温にて乾燥させることにより約20μmの薄層を作製した。
【0086】
薄層の最大高さ(Rmax)は、非接触表面粗さ計(NewView600/キヤノンマーケティングジャパン株式会社製)を用いて測定した。
【0087】
【0088】
【0089】
表1及び表2より、本発明における軟磁性金属粉末は飽和磁化及び保磁力が高く、また、表面平滑性に優れる薄層を作製できることが証明された。
本発明における軟磁性金属粉末は微粒子からなるから、成形密度の高い圧粉成形体を作製することができ、また、Bの含有量が低いため、磁気特性に優れる圧粉磁心を作製することができる。
また、粒度分布が狭い微粒子の集合体であるから表面平滑性に優れる薄層を作製することができる。
したがって、本発明は産業上の利用可能性の高い発明である。