(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134580
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】サクションパッキンおよびこれを備えるポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/08 20060101AFI20220908BHJP
F04B 53/00 20060101ALI20220908BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
F04D29/08 B
F04B53/00 F
F16J15/10 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033790
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】505328085
【氏名又は名称】古河産機システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】葛山 達夫
(72)【発明者】
【氏名】中澤 真一
【テーマコード(参考)】
3H071
3H130
3J040
【Fターム(参考)】
3H071BB03
3H071CC35
3H071DD52
3H130AA02
3H130AB12
3H130AB22
3H130AB47
3H130AC30
3H130BA91A
3H130CA02
3H130CA22
3H130DA02Z
3H130DB01Z
3H130DC01Z
3H130DC06X
3H130DG02Z
3H130EA01A
3J040AA12
3J040BA03
3J040EA16
3J040FA05
3J040HA03
3J040HA05
3J040HA15
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性が向上するポンプを提供する。
【解決手段】このポンプ10のサクションパッキン40は、吸込口21kの部分で対向するフランジ接続部24、Sj相互の対向する端面間に介装されるものであり、対向する端面間に挟持される円環状をなすゴム製のシール本体部41と、シール本体部41の内側端面よりも吸込口21kの内側に張り出すとともにフランジ接続部24側に嵌合される姿勢保持部43と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線が水平配置される円筒中心部に吸込口が設けられたフランジ接続部を有するケーシングを有するポンプに用いられ、前記吸込口に対向して着脱可能に接続される吸込管のフランジ接続部と前記ケーシングのフランジ接続部との間に介装されるサクションパッキンであって、
前記介装されたときに前記対向するフランジ接続部相互の端面間に挟持される円環状をなすゴム製のシール本体部と、
前記シール本体部の内側の端面から前記吸込口の側に張り出して前記介装されたときに前記ケーシングのフランジ接続部側に嵌め込まれる姿勢保持部と、
を有することを特徴とするサクションパッキン。
【請求項2】
前記姿勢保持部は、前記介装されたときに前記シール本体部の内側の端面から前記吸込口の側に張り出して前記吸込口の内周面に挿入されるようになっている請求項1に記載のサクションパッキン。
【請求項3】
前記姿勢保持部の外面は、前記ケーシングの吸込口の内周面に挿入されて吸込口の内周面に嵌合される円筒状をなして設けられ、
前記姿勢保持部の内面は、前記ケーシングの吸込口の下流側に向けて拡径する円錐台形状をなして設けられている請求項2に記載のサクションパッキン。
【請求項4】
円筒中心部に吸込口が設けられたフランジ接続部を有するケーシングを有し、前記フランジ接続部の軸線が水平に配置されるポンプであって、
前記ケーシングのフランジ接続部と、該フランジ接続部に接続される吸込管のフランジ接続部との間に介装されるサクションパッキンとして、請求項1~3のいずれか一項に記載のサクションパッキンを備えることを特徴とするポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプに係り、特に、ケーシングの吸込口に接続される吸込管のフランジ接続部とポンプ側のフランジ接続部との間に介装されるサクションパッキンに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のポンプは、複数の羽根を有するインペラと、インペラを自身に画成された空間内に収容するケーシングと、を備える(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、この種のポンプでは、吸込口が設けられたケーシングのフランジ接続部とこれに接続される吸込管のフランジ接続部との間に、サクションパッキンが介装される。
しかし、軸線が水平に配置されるポンプにあっては、フランジ接続部の組立作業に際し、相互のフランジ接続部同士を固定するための複数のボルト締め作業時に、仮介装状態のサクションパッキンが外れ易く、また、サクションパッキンの介装位置がずれ易いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、ケーシングの吸込口と吸込管とのフランジ接続部同士の組立作業をより安全に且つスムーズに行い、メンテナンス性を向上させ得るサクションパッキンおよびこれを備えるポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るサクションパッキンは、軸線が水平配置される円筒中心部に吸込口が設けられたフランジ接続部を有するケーシングを有するポンプに用いられ、前記吸込口に対向して着脱可能に接続される吸込管のフランジ接続部と前記ケーシングのフランジ接続部との間に介装されるサクションパッキンであって、前記介装されたときに前記対向するフランジ接続部相互の端面間に挟持される円環状をなすゴム製のシール本体部と、前記シール本体部の内側の端面から前記吸込口の側に張り出して前記介装されたときに前記ケーシングのフランジ接続部側に嵌め込まれる姿勢保持部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るポンプは、円筒中心部に吸込口が設けられたフランジ接続部を有するケーシングを有し、前記フランジ接続部の軸線が水平に配置されるポンプであって、前記ケーシングのフランジ接続部と、該フランジ接続部に接続される吸込管のフランジ接続部との間に介装されるサクションパッキンとして、本発明の一態様に係るサクションパッキンを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サクションパッキンに、介装されたときにケーシングのフランジ接続部側に嵌め込まれる姿勢保持部を設けたので、ポンプのメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一態様に係るポンプの第一実施形態である遠心ポンプの説明図であり、同図では、軸線に沿った断面を示している。
【
図2】本発明の一態様に係るサクションパッキンの第一実施形態の説明図であり、同図(a)は軸線に沿った断面図、(b)は(a)の右側面図である。
【
図3】本発明の一態様に係るサクションパッキンの第一実施形態の装着状態の説明図である。
【
図4】第一実施形態における姿勢保持部の変形例(第一変形例)の説明図であり、同図(a)は軸線に沿った断面図、(b)は(a)の右側面図である。
【
図5】第一実施形態における姿勢保持部の変形例(第二変形例)の説明図であり、同図(a)は軸線に沿った断面図、(b)は(a)の右側面図である。
【
図6】本発明の一態様に係るサクションパッキンの第二実施形態とその装着状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0011】
[第一実施形態]
図1に示すように、第一実施形態のポンプ10は、フレーム2と、フレーム2の上部に載置固定されたハウジング(軸受箱)3と、フレーム2の前側面に固定されたケーシング20と、を備える。ハウジング3は、軸線が水平に配置される駆動軸1を回転自在に支持している。ハウジング3は、フレーム2上の所定位置に、前後二箇所のハウジング押え7によって固定される。
【0012】
駆動軸1の先端1sは、ケーシング20の背面中央からケーシング20内部に張り出しており、その駆動軸1の先端1sにインペラ(羽根車)8が片持ち支持され、ケーシング20内の画成空間に収容されている。インペラ8の軸方向の背面側には、ケーシング20とハウジング3との間に、軸封装置4が駆動軸1を囲繞するように配される。駆動軸1の基端側は、ハウジング3の後端から後方に突設され、この突設部が不図示のモータの出力軸に駆動力を伝達可能に連結される。
【0013】
第一実施形態のケーシング20は、駆動軸1と直交する面に沿って適所で三分割され、軸方向の前面側(同図の左側)から順に、吸込みカバー21、ケーシング本体22およびケーシング側壁部23を有して構成される。吸込みカバー21、ケーシング本体22およびケーシング側壁部23相互は、分割面の周囲が、複数のボルト・ナットを用いて軸方向に着脱可能に固定される。
【0014】
本実施形態のケーシング20では、インペラ8の軸方向の前面側に吸込部5が設けられ、インペラ8の径方向の上方に吐出部6が設けられている。吐出部6は、ケーシング本体22の上部中央の位置に設けられ、これにより、インペラ8の回転により吸込部5から流体Fを吸い込んでその流体Fを吐出部6から吐出するようになっている。
【0015】
本実施形態の吸込部5は、吸込みカバー21の中央部に吸込口21kを有する。吸込口21kは、駆動軸1の先端1sに対向しており、その円筒状の内周面21nが駆動軸1と同軸に形成される。
本実施形態の吸込みカバー21には、吸込口21kの前端周囲に、円環状に径方向に張り出すフランジ接続部24が形成されている。また、吸込みカバー21のフランジ接続部24の前端面には、凸円環状の内縁段部25が形成されている。
【0016】
ここで、第一実施形態のケーシング20は、
図3に拡大図示するように、吸込みカバー21に対して、吸込口21k前端のフランジ接続部24に吸込管Sが接続されるところ、吸込管Sのフランジ接続部Sjと吸込みカバー21のフランジ接続部24との対向面間には、略円環状のサクションパッキン40が介装される。なお、フランジ接続部24と吸込管Sのフランジ接続部Sjとは、複数のボルト・ナット(不図示)を用いて着脱可能に周囲が固定される。
【0017】
第一実施形態のサクションパッキン40は、
図2および
図3に示すように、円環状をなすゴム製のシール本体部41と、シール本体部41と一体形成されて、シール本体部41の側端面よりも吸込口21kの内側に張り出す姿勢保持部43とを有する。
シール本体部41は、介装時に、フランジ接続部24とこれに対向する吸込管Sのフランジ接続部Sjとの端面間に挟持される円環状の部分である。シール本体部41の両面の部分が介装時のシール面41a,41bになっている(
図2参照)。
【0018】
そして、姿勢保持部43は、介装されたとき、
図3に示すように、径方向において、シール本体部41の側端面よりも吸込口21k側に張り出すように設けられるとともに、軸方向においても、吸込口21kの下流側に張り出すように設けられている。
これにより、姿勢保持部43は、吸込みカバー21の吸込口21kの内周面21nに挿入可能に構成される。つまり、この姿勢保持部43は、組み立て後の状態において、流路内での接液する部分に設けられている。
【0019】
第一実施形態では、
図2に示すように、姿勢保持部43の外面43sは、吸込みカバー21の吸込口21kの内周面に挿入されて吸込口21kの内周面21nに嵌合される円筒状をなして設けられている。姿勢保持部43の外面43sは、吸込口21kの内周面21nに嵌め込んだ仮置き状態が保持されるように寸法が管理されている。
また、姿勢保持部43の内面43nは、軸方向後側から略中央の位置にかけて、吸込みカバー21の吸込口21kの下流側に向けて拡径する円錐台形状をなして設けられている。円錐台形状の内面43nよりも軸方向前側は円筒面43pとされている。
【0020】
次に、上記第一実施形態に示すポンプ10での装着作業および作用効果について説明する。
第一実施形態に示すポンプ10において、ケーシング20側の吸込口21kのフランジ接続部24と吸込管Sのフランジ接続部Sjとの組立作業を行う際は、まず、フランジ接続部24に対し、サクションパッキン40の姿勢保持部43を吸込口21kの内周面21nに軸方向の前方から挿入し、吸込口21kの内周面21nに嵌め込んだ仮置き状態とする。
【0021】
次いで、その仮置き状態で、吸込管Sのフランジ接続部Sjをフランジ接続部24に対向させた状態を保持しつつ、複数のボルト・ナット(不図示)を用いて着脱可能に固定する。これにより、サクションパッキン40は、上記シール本体部41の両シール面41a,41bが挟圧されて、必要なシール機能が発揮される。
【0022】
ここで、この組立作業のとき、吸込管Sとのフランジ接続部24、Sjの分解・組立作業の時間短縮がメンテナンス性に大きく影響する。これに対し、第一実施形態のサクションパッキン40によれば、
図2および
図3に示したように、円筒状の姿勢保持部43が、シール本体部41の側端面よりも吸込口21k側に更に張り出しており、吸込みカバー21の吸込口21kの内周面21nに挿入可能に形成されている。これにより、
図3に示すように、吸込みカバー21に対し、吸込口21kの内周面21nに仮置き状態とされたサクションパッキン40によれば、この姿勢保持部43により仮置き時の脱落防止性が向上する。
【0023】
よって、第一実施形態のサクションパッキン40およびこれを備える第一実施形態のポンプ10によれば、ケーシング20の吸込口21kと吸込管Sとのフランジ接続部同士の組立作業をより安全に且つスムーズに行なえるので、メンテナンス性が向上する。
【0024】
また、第一実施形態のサクションパッキン40によれば、吸込口21kの内周面21nと、サクションパッキン40の姿勢保持部43とで偏芯があったときでも、シール本体部41の径方向での介装位置は特段の拘束がされない。そのため、サクションパッキン40の仮置き時に、姿勢保持部43の挿入が容易であり、姿勢保持部43を軸方向前方からスムーズに差し込んでサクションパッキン40の仮置き姿勢を容易に保持できる。
【0025】
なお、フランジ接続部同士を組み立てた後は、姿勢保持部43は、ポンプの流路内に位置することになるので、対応する流体に接液しても問題が無い素材を選定すればよい。なおまた、第一実施形態のサクションパッキン40では、姿勢保持部43の内面は、ケーシング20の吸込口21kの下流側に向けて拡径する円錐台形状をなして設けられているので、圧送流体の流れを可及的に阻害しないようにする上で好適である。
【0026】
また、スラリーなどが含まれる流体の移送においては、姿勢保持部43が摩耗して消失することも考えられるものの、第一実施形態の姿勢保持部43の作用効果は、フランジ接続部同士の組立作業性の向上にある。そのため、フランジ接続部同士を組み立て後のポンプの稼働によって姿勢保持部43が磨滅したところでなんら問題はない。
【0027】
なお、本発明に係るサクションパッキン若しくはポンプは、上記第一実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
つまり、本発明に係る姿勢保持部は、シール本体部の内側の端面から吸込口の側に張り出しており、ボルト締め作業時にフランジ接続部側に嵌め込まれて、仮介装状態のサクションパッキンの姿勢を保持可能であれば種々の態様を採用できる。
【0028】
例えば、
図4に示す第一変形例では、サクションパッキン40Aの姿勢保持部43には、一または複数のスリット48が軸方向に沿って形成されている。第一変形例の姿勢保持部43は、その張り出す円筒形状の周方向に離隔して、複数(この例では、径方向で対向する位置の二か所)のスリット48が軸方向に沿って形成されている。このような構成であれば、例えば異心がある場合の姿勢保持部43の挿入性が向上する。
【0029】
また、例えば上記第一実施形態では、姿勢保持部43は円環状に形成されるとともに、シール本体部41と一体形成されている例を示したが、これに限定されない。例えば、姿勢保持部43は、シール本体部41とは別個の部品としてもよい。
図5に示す第二変形例では、複数の金属製の爪部から姿勢保持部を構成している。
【0030】
同図に示すように、第二変形例のサクションパッキン40Bでは、姿勢保持部43は、シール本体部41とは別個の部品からなる金属製の板部材から側面視が略L字状に形成されるとともに、シール本体部41に対して上下の二か所に設けられている。
各姿勢保持部43は、略L字状をなす一方の側が基端部43bとされ、基端部43bとは反対の側が軸方向に沿って伸びる挿入部43aとされている。挿入部43aは、上記第一実施形態同様に、吸込口24の内周面24nに挿入可能に形成される。
各姿勢保持部43は、径方向で対向する二か所に離隔配置され、シール本体部41の内周面側に基端部43bが嵌め込まれて加硫接着される。これにより、挿入部43aが、シール本体部41の内周面に沿ってシール本体部41の端面よりも吸込口24の内側に張り出すように設けられる。よって、この姿勢保持部43によっても、仮置き時の脱落防止性が向上する。
【0031】
また、本発明に係る姿勢保持部は、吸込口の内周面に挿入される態様に限定されず、介装されたときにケーシングのフランジ接続部側に嵌め込まれるようになっていれば、種々の態様を採用できる。以下、第二実施形態について説明する。なお、以下の説明は、上記第一実施形態と相違する点について説明し、同一若しくは同様の構成については説明を省略する。
【0032】
[第二実施形態]
図6に示すように、第二実施形態のサクションパッキン140は、円環状をなすゴム製のシール本体部141と、シール本体部141と一体形成された円環状凸部142と、から構成されている。
【0033】
一方、第二実施形態の吸込みカバー121は、その中央部に吸込口121kを有し、その円筒状の内周面121nが駆動軸と同軸に形成されている。吸込口121kの前端周囲には、円環状に径方向に張り出すフランジ接続部124が形成される。そして、この第二実施形態においては、フランジ接続部124の側には、凹の円環溝による内縁段部125が、姿勢保持部としての円環状凸部142と軸方向で対向する位置に形成されている。
【0034】
第二実施形態のサクションパッキン140を用いて吸込管Sの組立作業を行う際は、同図に示すように、サクションパッキン140の円環状凸部142を姿勢保持部とし、フランジ接続部124に形成されている凹円環状の内縁段部125に軸方向前方から嵌め込んで、サクションパッキン140を仮置き状態とし、この仮置き状態で吸込管Sのフランジ接続部Sjを対向させて組立作業を行うことができる。
これにより、吸込みカバー121に対し、吸込口121kの前端に仮置き状態とされた第二実施形態のサクションパッキン140によれば、仮置き時の脱落防止性が向上する。よって、第二実施形態のサクションパッキン140およびこれを備えるポンプによれば、第一実施形態同様、フランジ接続部同士の組立作業をより安全に且つスムーズに行なえるので、メンテナンス性が向上する。
なお、第二実施形態での姿勢保持部である円環状凸部142においても、上記第一実施形態での変形例と同様に、円環状凸部142を別個の部品から構成したり、また、円環状凸部142にその軸方向に沿ってスリットを設けたり、分割構造を設けたりすることができることは勿論である。
【0035】
但し、第二実施形態において、吸込みカバー121のフランジ接続部124におけるサクションパッキン140の仮置き状態を安定させることを主眼におくと、同図での中心線上側に破線で示すように、吸込みカバー121の内縁段部125の深さL2を深くすればよいものの、この深さL2を深くすれば、その分、フランジ接続部124の肉厚M2が薄くなることになる。
【0036】
そのため、フランジ相互の締結による強い力が作用することにより、フランジ接続部124が内縁段部125の角部から破断するおそれが高くなるので、第二実施形態においては、むやみに内縁段部125の深さL2を深くできないという問題がある。また、フランジ接続部124自体の肉厚M2を厚くすると機器が大型化するという問題がある。
【0037】
一方、第二実施形態において、吸込みカバー121のフランジ接続部124における強度に主眼をおくと、吸込みカバー121の内縁段部125の深さL2を浅くすれば、機器を小型に維持しつつフランジ接続部124の肉厚M2の厚さも確保し得る。しかし、この場合、同図での中心線下側に示すように、逆に、サクションパッキン140の円環状凸部142と内縁段部125との軸方向の嵌合長が短くなる。そのため、仮置き状態でのサクションパッキン140の装着安定性が低下して、組立作業時のメンテナンス性が低下するという問題がある。
【0038】
これに対し、上述した第一実施形態のサクションパッキン40によれば、
図2および
図3に示したように、円筒状の姿勢保持部43が、シール本体部の側端面よりも吸込口21k側に更に張り出しており、吸込みカバー21の吸込口21kの内周面21nに挿入可能に形成されている。
【0039】
これにより、第一実施形態の構成であれば、
図3に示したように、吸込みカバー21に対し、第二実施形態での内縁段部125自体の加工が不要となり、この段部から破断するというような強度問題や機器が大型化するというような問題が解消される上、吸込口21kの内周面21nに仮置き状態とされたサクションパッキン40は、この姿勢保持部43により仮置き時の脱落防止性を向上させることができる。
【0040】
このように、第一実施形態のサクションパッキン40によれば、サクションパッキン40の仮置き状態の安定性を向上させて軸方向組み付け性が大幅に向上する上、第二実施形態に示したような、吸込みカバー121端面への凹の内縁段部125のような加工が不要となり、これにより、フランジ接続部24の肉厚についても必要十分に確保して機器を小型に維持しつつも必要な強度をもたせることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 駆動軸
2 フレーム
3 ハウジング(軸受箱)
4 軸封装置
5 吸込部
6 吐出部
7 ハウジング押え
8 インペラ
10 ポンプ
20 ケーシング
21 吸込みカバー
21k (吸込みカバーの)吸込口
21n (吸込口の)内周面
22 ケーシング本体
23 ケーシング側壁部
24 フランジ接続部
24n 内周面
25 内縁段部
40 サクションパッキン
41 シール本体部
41a,41b シール面
43 姿勢保持部
43n 内面
43s 外面
125 内縁段部
140 サクションパッキン
141 シール本体部
142 円環状凸部
F 流体
M1 肉厚
M2 肉厚
S 吸込管
Sj フランジ接続部