(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134582
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】電子契約サーバ、及び電子契約プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20120101AFI20220908BHJP
G06Q 20/38 20120101ALI20220908BHJP
G16Y 10/50 20200101ALI20220908BHJP
【FI】
G06Q40/02
G06Q20/38 312
G16Y10/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033792
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 均
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 勝治
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA72
5L055BB14
(57)【要約】
【課題】電子契約書の本人証明や非改ざん性に加えて、成立の真正性を証明する。
【解決手段】本実施形態の電子契約サーバ1では、端末装置3を使用する顧客と、銀行等の端末装置4を使用する銀行(銀行員)間の各種契約を両装置3、4のウェブ画面を通して成立させるための電子契約処理を行う。電子契約サーバ1によれば、電子契約書だけを対象として契約者による電子署名を行うのではなく、当該電子契約書の締結に至る間に撮影されたビデオ会議の内容を一意に表す情報(一意情報)を加えた電子契約書を対象として契約者による電子署名を行う。これにより、電子契約サーバ1の電子契約処理により締結された電子契約書に対して、本人証明や非改ざん性だけでなく、当該電子契約書の成立の真正性を証明することが可能になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子契約書を取得する電子契約書取得手段と、
電子契約を行う複数当事者が操作する各端末装置に対して、前記電子契約書が表示された契約内容確認画面を提供する契約書提供手段と、
前記電子契約書について前記複数当事者間で行われるビデオ会議の動画を前記契約内容確認画面内に提供する動画提供手段と、
前記ビデオ会議の内容を一意に表すビデオ会議データを取得するビデオ会議データ取得手段と、
前記取得したビデオ会議データを添付した前記電子契約書に対して、少なくとも非改ざん証明を行う真正証明手段と、
前記非改ざん証明がされた電子契約書を保存する保存手段と、
を具備したことを特徴とする電子契約サーバ。
【請求項2】
前記真正証明手段は、前記非改ざん証明として、電子署名とタイムスタンプの少なくとも一方を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子契約サーバ。
【請求項3】
前記真正証明手段は、前記非改ざん証明として、少なくとも1の当事者による電子署名を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子契約サーバ。
【請求項4】
前記ビデオ会議の動画には、少なくとも当事者の本人確認と、前記電子契約書の重要箇所の説明が行われている動画が含まれている、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の電子契約サーバ。
【請求項5】
前記ビデオ会議における特定状態の静止画を取得する静止画取得手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載の電子契約サーバ。
【請求項6】
前記ビデオ会議動画の内容を一意に表すビデオ会議データは、次の(イ)~(ヘ)のいずれか1であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1の請求項に記載の電子契約サーバ。
(イ)前記ビデオ会議の動画
(ロ)前記ビデオ会議において指定された動画の一部
(ハ)前記ビデオ会議において指定された動画の静止画
(ニ)上記(イ)~(ハ)の保存場所を規定したリンク情報
(ホ)上記(イ)~(ニ)うちの少なくとも2つ
(ヘ)上記(イ)~(ホ)のハッシュ値
【請求項7】
前記ビデオ会議データの動画は、前記契約内容確認画面内に提供する前記ビデオ会議の動画である、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子契約サーバ。
【請求項8】
前記ビデオ会議データの動画は、前記電子契約書とビデオ会議の動画を含む前記契約内容確認画面内全体の動画である、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子契約サーバ。
【請求項9】
前記ビデオ会議データの静止画は、前記契約内容確認画面内に提供する前記ビデオ会議の動画の静止画である、
ことを特徴とする請求項6、請求項7、又は、請求項8に記載の電子契約サーバ。
【請求項10】
前記ビデオ会議データの静止画は、前記電子契約書とビデオ会議の動画を含む前記契約内容確認画面内全体の動画の静止画である、
ことを特徴とする請求項6、請求項7、又は、請求項8に記載の電子契約サーバ。
【請求項11】
電子契約書を取得する電子契約書取得機能と、
電子契約を行う複数当事者が操作する各端末装置に対して、前記電子契約書が表示された契約内容確認画面を提供する契約書提供機能と、
前記電子契約書について前記複数当事者間で行われるビデオ会議の動画を前記契約内容確認画面内に提供する動画提供機能と、
前記ビデオ会議の内容を一意に表すビデオ会議データを取得するビデオ会議データ取得機能と、
前記取得したビデオ会議データを添付した前記電子契約書に対して、非改ざん証明を行う証明機能と、
前記非改ざん証明がされた電子契約書を保存する保存機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする電子契約プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当事者による契約を電子的に行う電子契約サーバ、及び電子契約プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子文書に対する本人証明や改ざん防止の技術として電子署名が広く利用されている。
この電子署名は、銀行や不動産等の各種契約において作成される契約書を成立させる際に活用されている。
例えば、特許文献1記載技術では、顧客は個人番号カード(いわゆる「マイナンバーカード」)を用いて契約書ファイルに電子署名を行い、電子署名に用いた電子証明書とあわせて契約締結サーバに送信することで、高レベルの本人認証がされた電子契約について提案されている。
【0003】
ところで、銀行等の金融機関において行われる金銭消費貸借契約、不動産契約において行われる不動産売買契約や不動産賃貸契約等における契約書では、単に契約当事者が契約書の内容を確認、及び同意した上で電子署名を行うだけではない。
すなわち、契約書に規定された各種の事項の説明が必要であったり、更に重要事項を説明する義務がある場合などがある。また、確かに本人が契約を同意しているといった契約同意に至る経緯についても重要な要素となる場合がある。
しかし、特許文献1記載技術では、あくまでも電子契約書だけを対象にした顧客の電子署名がされるだけであり、契約書に対する説明の有無や、本人の契約の同意に至る経緯などの、電子契約書の成立の真正性を証明することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電子契約書の非改ざん証明に加えて、成立の真正性を証明可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1記載の発明では、電子契約書を取得する電子契約書取得手段と、電子契約を行う複数当事者が操作する各端末装置に対して、前記電子契約書が表示された契約内容確認画面を提供する契約書提供手段と、前記電子契約書について前記複数当事者間で行われるビデオ会議の動画を前記契約内容確認画面内に提供する動画提供手段と、前記ビデオ会議の内容を一意に表すビデオ会議データを取得するビデオ会議データ取得手段と、前記取得したビデオ会議データを添付した前記電子契約書に対して、少なくとも非改ざん証明を行う真正証明手段と、前記非改ざん証明がされた電子契約書を保存する保存手段と、を具備したことを特徴とする電子契約サーバを提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、前記真正証明手段は、前記非改ざん証明として、電子署名とタイムスタンプの少なくとも一方を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の電子契約サーバを提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記真正証明手段は、前記非改ざん証明として、少なくとも1の当事者による電子署名を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の電子契約サーバを提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記ビデオ会議の動画には、少なくとも当事者の本人確認と、前記電子契約書の重要箇所の説明が行われている動画が含まれている、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の電子契約サーバを提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記ビデオ会議における特定状態の静止画を取得する静止画取得手段と、を具備したことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載の電子契約サーバを提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、前記ビデオ会議動画の内容を一意に表すビデオ会議データは、次の(イ)~(ヘ)のいずれか1であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1の請求項に記載の電子契約サーバを提供する。
(イ)前記ビデオ会議の動画
(ロ)ビデオ会議において指定された動画の一部
(ハ)ビデオ会議において指定された動画の静止画
(ニ)上記(イ)~(ハ)の保存場所を規定したリンク情報
(ホ)上記(イ)~(ニ)うちの少なくとも2つ
(ヘ)上記(イ)~(ホ)のハッシュ値
(7)請求項7に記載の発明では、前記ビデオ会議データの動画は、前記契約内容確認画面内に提供する前記ビデオ会議の動画である、ことを特徴とする請求項6に記載の電子契約サーバを提供する。
(8)請求項8に記載の発明では、前記ビデオ会議データの動画は、前記電子契約書とビデオ会議の動画を含む前記契約内容確認画面内全体の動画である、ことを特徴とする請求項6に記載の電子契約サーバを提供する。
(9)請求項9に記載の発明では、前記ビデオ会議データの静止画は、前記契約内容確認画面内に提供する前記ビデオ会議の動画の静止画である、ことを特徴とする請求項6、請求項7、又は、請求項8に記載の電子契約サーバを提供する。
(10)請求項10に記載の発明では、前記ビデオ会議データの静止画は、前記電子契約書とビデオ会議の動画を含む前記契約内容確認画面内全体の動画の静止画である、ことを特徴とする請求項6、請求項7、又は、請求項8に記載の電子契約サーバを提供する。
(11)請求項11に記載の発明では、電子契約書を取得する電子契約書取得機能と、電子契約を行う複数当事者が操作する各端末装置に対して、前記電子契約書が表示された契約内容確認画面を提供する契約書提供機能と、前記電子契約書について前記複数当事者間で行われるビデオ会議の動画を前記契約内容確認画面内に提供する動画提供機能と、前記ビデオ会議の内容を一意に表すビデオ会議データを取得するビデオ会議データ取得機能と、前記取得したビデオ会議データを添付した前記電子契約書に対して、非改ざん証明を行う証明機能と、前記非改ざん証明がされた電子契約書を保存する保存機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする電子契約プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、非改ざん証明の対象を、ビデオ会議の内容を一意に表すビデオ会議データを添付した電子契約書としているので、非改ざん証明に加えて成立の真正性を証明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電子契約サーバを含む電子契約システムの構成を表した説明図である。
【
図3】電子契約システムによる電子契約処理の流れを表したフローチャートである。
【
図4】電子契約処理におけるログイン画面を表した説明図である。
【
図5】銀行員による電子契約案件一覧画面の説明図である。
【
図6】銀行員が操作する帳票完成入力画面の説明図である。
【
図7】銀行の役席者による電子契約書の確認・承認画面の説明図である。
【
図8】銀行員によるビデオ会議予約における各画面の説明図である。
【
図9】顧客の端末装置に通知された契約書閲覧案内の説明図である。
【
図10】顧客に対する契約手続説明画面の説明図である。
【
図11】顧客の端末装置に表示される非対面の契約内容確認画面の説明図である。
【
図12】銀行員側の契約内容確認画面による非対面電子契約の説明図である。
【
図13】顧客の端末装置に表示される契約手続画面の説明図である。
【
図14】電子署名をした電子契約書の構造を概念的に説明した図である。
【
図15】顧客の端末装置に表示される契約完了画面の説明図である。
【
図16】役席者の端末装置に提供される検印画面を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の電子契約サーバ1における好適な実施の形態について、
図1から
図16を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の電子契約サーバ1では、端末装置3を使用する顧客と、銀行等の端末装置4を使用する銀行(銀行員)間の各種契約を両装置3、4のウェブ画面を通して成立させるための電子契約処理を行う。
すなわち、電子契約サーバ1は、
図1に示した電子契約システム内において、次の(a)~(f)による電子契約処理を行う。
【0010】
(a)銀行側では端末装置4からウェブ画面を使用して電子契約書PDF(PDF形式で保存された電子契約書、以下単に電子契約書という)を作成し、作成した電子契約書、顧客の携帯電話番号等の連絡情報、スケジューラに設定したビデオ会議の日程、電子契約サーバ1へのログイン情報を電子契約サーバ1にアップロードする。
(b)電子契約サーバ1は当該アップロードされた契約関連情報をストレージに保存し、顧客に電話番号を利用したSMS(ショートメールサービス)により電子契約書の閲覧依頼通知を行う。この閲覧依頼通知では、電子契約書を閲覧するためのURL、ビデオ会議の日程、ログイン情報を通知する。
(c)顧客は、指定されたURLとログイン情報で電子契約サーバ1にログインし、対応する銀行員も自己のログイン情報から電子契約サーバ1にログインする。これにより顧客の端末装置3と銀行員の端末装置4には、両者が共有する契約内容確認画面(
図11、
図12)が電子契約サーバ1から提供される。
この契約内容確認画面には、契約対象となる電子契約書が表示されると共に、ビデオ会議サーバ5が提供するビデオ会議における顧客側の動画が顧客画像欄106に表示され、銀行員側の動画が銀行員画像欄107に表示される。そして、ビデオ会議を通して銀行員が契約書の内容や重要事項の説明等を顧客に行い、そのビデオ会議の動画(音声を含む、以下同じ)や、説明途中での本人確認や契約書の重要事項説明を行った際のスクリーンショット画像が当該契約に関連する状況として保存される。
(d)契約内容の確認と説明を受けて電子契約書の内容を理解した後、顧客が契約手続(電子署名)を行うと、電子契約サーバ1は、電子契約書にビデオ会議データを添付して顧客の電子署名と銀行による電子署名を行う。
(e)その後、署名済みの電子契約書に対する銀行側の検印が行われる。
(f)電子契約サーバ1は、署名済み電子契約書にタイムスタンプを押し、顧客にSMSにより、電子契約書の控え用URLを送信する。
【0011】
本実施形態の電子契約サーバ1によれば、電子契約書だけを対象として契約者による電子署名を行うのではなく、当該電子契約書の締結に至る間に撮影されたビデオ会議の内容を一意に表す情報(一意情報)を加えた電子契約書を対象として契約者による電子署名を行っている。
これにより、電子契約サーバ1の電子契約処理により締結された電子契約書に対して、本人証明や非改ざん性だけでなく、当該電子契約書の成立の真正性を証明することが可能になる。
【0012】
本実施形態では、ビデオ会議の内容を一意に表すビデオ会議データ(一意情報)として、ビデオ会議の動画(音声を含む、以下ビデオ会議動画という)と、ビデオ会議において指定された動画のスクリーンショット画像(静止画像)を使用する。
【0013】
(2)実施形態の詳細
図1は本実施形態における電子契約サーバ1を含む、電子契約システムのシステム構成を表した図である。
図1は、電子契約サーバ1を含む電子契約システムの構成を表した説明図である。
図1に示すように電子契約サーバ1と、契約当事者である顧客の端末装置3、銀行側(当該契約を担当する銀行員、及び、当該契約についての役席者を含む)の端末装置4、ビデオ会議サーバ5、リモート署名鍵サーバ7、タイムスタンプサーバ8を含む電子契約システムが形成されている。
電子契約システムを形成する各部は、それぞれがインターネット等の通信ネットワークを介し、SSLやTLSで暗号化された状態の通信が可能になっている。
図1では1台の端末装置3、4について表示しているが、実際には電子契約サーバ1に対する電子契約用のアカウントを有する各契約当事者の数に応じた複数台が存在している。
なお、本実施形態の電子契約サーバ1による電子契約処理では、電子契約を結ぶ当事者の一方を銀行員とその役席者が手続きを行う銀行、他方を顧客とし、両者の間で金銭消費貸借契約を電子契約にて締結する場合を例に説明する。
【0014】
電子契約サーバ1は、電子契約プログラム(PG)140、スケジューラ141等のプログラム及び電子契約書DB142、ユーザ情報144等のデータベース(DB)を備えている。
電子契約サーバ1は、電子契約プログラム140の電子契約処理によって、顧客と銀行との間で締結される電子契約書について、本人証明、非改ざん証明、存在証明、電子契約書成立の真正性証明が可能な状態での電子署名やタイムスタンプを行う。この電子署名及び又は/及びタイムスタンプが、真正証明手段として機能する。
【0015】
端末装置3は、契約当事者のうちの顧客側が使用する各種端末装置である。
端末装置3は、無線や有線によって通信ネットワークに接続可能なコンピュータであって、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートホン、携帯電話、ゲーム機器などで構成される。
端末装置3は、ブラウザを備え、電子契約サーバ1から提供される契約内容確認画面を表示する表示装置を備え、電話番号を利用したショートメールサービス(SMS)又は/及び電子メールの利用が可能に構成されている。また端末装置3は、ビデオ会議サーバ5が提供するビデオ会議を利用可能な環境として、動画撮影用のカメラ、マイク、スピーカを備えている。また、契約内容確認画面に対する各種入力操作を行うためのタッチパネルやキーボードを備えている。
本実施形態では、端末装置3として、スマートホンを使用し、その携帯電話番号が「080-1122-3344」であるものとして説明する。
【0016】
端末装置4は、例えば、金融機関、保険会社、自動車販売店、不動産事業者、コンテンツ販売会社などの各種企業や、会計事務所、政府・自治体の機関など、本実施形態の電子契約サーバ1の電子契約処理を利用する各種の事業体や個人が所有する端末装置である。
端末装置4は、無線や有線によって通信ネットワークに接続可能なコンピュータであって、例えば、パーソナルコンピュータなどで構成される。
端末装置4は、ブラウザを備え、電子契約サーバ1から提供される契約内容確認画面を表示する表示装置を備え、電子メールの利用が可能に構成されている。また端末装置4は、ビデオ会議サーバ5が提供するビデオ会議を利用可能な環境として、動画撮影用のカメラ、マイク、スピーカを備えている。また、契約内容確認画面に対する各種入力操作を行うためのタッチパネルやキーボードを備えている。
【0017】
端末装置4の利用者は、電子契約サーバ1に事前にユーザ登録されており、例えば顧客との間で電子契約書を締結する事業体等(法人)における担当者や承認者のユーザ情報が登録されている。電子契約サーバ1にユーザ登録されるユーザ情報としては、端末装置4を使用する各ユーザが電子契約サーバ1の電子契約処理を利用するためのアカウント情報(アカウントとパスワード)や企業情報などである。
本実施形態の端末装置4では、事前登録されたユーザとして、契約当事者のうちの銀行側の銀行員や役席者(銀行員が作成した電子契約書に対する確認や承認をする権限を有する者)について、説明するものとする。
【0018】
なお、
図1には端末装置4を1台だけ表示しているが、電子契約サーバ1にユーザ登録されている金融機関や保険会社等の事業体毎に複数の端末装置4が存在し、電子契約書の作成等を担当する銀行員等の契約担当者と、電子契約書の承認や検証を担当する担当上司や担当役員等が別の端末装置4を使用するようになっている。
但し、電子契約サーバ1と接続する電子契約書専用の端末装置4を1台用意し、当該事業体内で共通使用することも可能である。
【0019】
ビデオ会議サーバ5は、電子契約サーバ1や端末装置3、4にインターネット等の通信ネットワークを介して、音声と動画によるビデオ会議を提供する、コンピュータシステムで構成されたサーバである。
ビデオ会議サーバ5は、ストレージ6を備えており、このストレージ6には、ビデオ会議において、各利用者(端末装置3や端末装置4等)から受信する動画が、各端末装置からの指示に従って保存されている。
ビデオ会議サーバ5は、電子契約サーバ1からの要求に基づいて、ストレージ6に保存されているビデオ会議の動画を提供するようになっている。
【0020】
リモート署名鍵サーバ7は、電子契約サーバ1からの依頼に基づいて、公開鍵と秘密鍵の生成、図示しない認証局から電子証明書の取得、生成したPINコードの送信等を行う。
またリモート署名鍵サーバ7は、電子契約サーバ1からの電子署名依頼に基づいて、PINコードに対応する秘密鍵で電子契約書(電子契約書とビデオ会議データのハッシュ値)に対する電子署名を行い、その署名値を電子契約サーバ1に返信する。
タイムスタンプサーバ8は、電子契約サーバ1の依頼に基づいて、電子署名された電子契約書等の各種データに対するタイムスタンプの付与を行う。
【0021】
図2は、電子契約サーバ1のハードウェア的な構成を表したものである。
図2に示すように、電子契約サーバ1は、CPU11、ROM12、RAM13、記憶装置14、通信制御部15、その他装置がバスラインで接続されている。
CPU11は、中央処理装置であって、記憶装置14が記憶する電子契約プログラム140に従って動作し、端末装置3、4、ビデオ会議サーバ5、リモート署名鍵サーバ7、タイムスタンプサーバ8、等の外部機器との間での通信処理、及び電子契約処理に関する内部処理を行う。
【0022】
ROM12は、読み出し専用のメモリであって、CPU11が動作するための基本的なプログラムやパラメータを記憶している。
RAM13は、読み書きが可能なメモリであって、CPU11が本実施形態における電子契約処理を行う際のワーキングメモリである。
通信制御部15は、端末装置3、4、ビデオ会議サーバ5、リモート署名鍵サーバ7、タイムスタンプサーバ8等の外部機器との間での通信処理を行う。
【0023】
記憶装置14は、例えば、ハードディスクなどの大容量記憶媒体を1又は複数用いて構成されており、CPU11に本実施形態の機能を発揮させるための電子契約プログラム140やスケジューラ141等の各種プログラム、電子契約書DB142、契約書情報143、ユーザ情報144、電子証明書145、操作ログ146、その他の情報147が保存されている。
【0024】
電子契約プログラム140は、CPU11によって実行され、当事者間の電子契約を成立させるための電子契約処理を行うプログラムである。
この電子契約処理では、顧客と銀行側で電子契約を行うための各種処理を行うが、代表的な処理として次の処理が行われる。
(a)作成する金銭貸借契約や不動産売買契約等の各種電子契約書に対応した入力項目が規定された帳票完成入力画面(電子契約書を作成する画面)を端末装置4に提供し、端末装置4からの入力項目の入力データに応じて自動的に電子契約書の作成を補助する、契約書自動作成処理。
(b)作成された電子契約書に対して設定されたビデオ会議のスケジュール設定処理。
(c)端末装置3と端末装置4に契約内容確認画面を提供し、当該電子契約書と共に、スケジューラ141の設定に基づいてビデオ会議サーバ5が提供するビデオ会議の動画を表示する処理。
(d)端末装置4の選択に基づいて、このビデオ会議の中において行われる顧客の本人確認(eKYC)や、銀行員による電子契約書の内容説明、重要事項の説明等の各時点における、契約内容確認画面に表示されている電子契約書と画像のスクリーンショット画像を取得、保存する処理。
(e)契約内容確認画面に表示される、電子契約書、顧客の画像、及び免許証等の顧客特定書類によって、顧客を確認する本人確認処理。この本人確認処理は、上記(d)のスクリーンショット画像の利用でより簡易に本人確認の検証を行うことが可能になる。
(f)端末装置3に表示されている契約内容確認画面の「ご契約手続き」ボタンが顧客によって選択された場合に、ビデオ会議の内容を一意に表すビデオ会議データ(一意情報)を電子契約書に加えて、顧客用の秘密鍵による電子署名を行う処理。
【0025】
スケジューラ141は、ビデオ会議サーバ5を利用したビデオ会議の開催を管理する。
例えば、電子契約サーバ1にログインしている端末装置3、4にビデオ会議カレンダ画面を表示し、指定された日時におけるビデオ会議の開催を管理する。
【0026】
電子契約書DB142は、端末装置4で入力された内容に従って電子契約サーバ1の契約書自動作成処理で作成した電子契約書や、銀行側が自装置で作成し端末装置4からアップロードされた電子契約書の原本や、電子契約書の原本にビデオ会議データ(一意情報)を加えて電子署名、タイムスタンプを付与した成立済み電子契約書が、各電子契約書に付された契約書番号により紐づけて管理されている。この契約書番号は、電子契約書の識別情報として機能する。
【0027】
電子契約書情報143は、電子契約書DB142に保存されている各電子契約書に対する契約書情報が保存されている。
契約書情報143には、電子契約書毎に、その契約書番号が保存される。また、契約者の一方が銀行である本実施形態の場合には、店番、店名、顧客情報ファイル(CFI)番号、取扱番号、顧客氏名(漢字氏名)、稟議金額(契約金額)、条件登録日、ステータス(作成待ち、承認待ち、承認済み、署名済み、検印済み等)、契約書作成(通し番号)、証明書発行(発行日時)、タイムスタンプ(発行日時)、契約書交付(通知日時)、操作履歴等が保存されている。
また、電子契約書が端末装置4からの入力により自動作成された場合の入力データも契約書情報143に保存される。
【0028】
ユーザ情報144は、端末装置3を使用する顧客や、端末装置4を使用する銀行員等を特定するための情報がユーザ毎に保存されている。
例えば、電子契約書の一方の当事者である銀行員、役席者等の場合には、電子契約サーバ1にログインするためのアカウントとパスワード、会社ID、会社名、利用者名、メールアドレスなどが保存される。また、銀行員(又は銀行)が電子契約書に電子署名する場合のPINコード(秘密鍵に対応)が保存されている。
電子契約書の他の当事者である、顧客の場合には、顧客情報ファイル(CFI)、電子契約サーバ1にログインするためのアカウントとパスワード、顧客氏名、電話番号(携帯電話番号)又は/及びメールアドレスなどが保存される。また、顧客が電子契約書に電子署名するためのPINコード(秘密鍵に対応)と、当該PINコードに対応して作成され、顧客に通知するアカウントトとパスワードが保存されている。例えば、顧客用のPINコードに対応するアカウンとパスワードは、所定規則での変換処理や、PINコードを2分割して前半をアカウントとし、後半をパスワードとする処理などにより作成される。
【0029】
電子証明書145は、図示しない認証局により発行され、リモート署名鍵サーバ7から電子契約サーバ1が取得した電子証明書で、署名検証鍵(公開鍵)と対応する秘密鍵の所有者(利用者、本実施形態では顧客、銀行員等)を結びつけるものである。
電子証明書145には、公開鍵(ビデオ会議データ付きの電子契約書を電子署名するための秘密鍵に対応)と、秘密鍵等の発行者(認証局)と、これらに対する認証局の電子署名等が含まれる。
【0030】
操作ログ146は、電子契約サーバ1の電子契約処理において処理された一連の操作のログが保存される。操作ログ146には、RAM13に保存された操作ログが所定タイミング毎に追加、保存される。
その他の情報147としては、会社IDに対応する会社情報、請求先情報や、取引先IDに対応する取引先情報や、請求情報などが保存される。
【0031】
次に電子契約サーバ1による、電子契約処理の内容について説明する。
なお、以下の電子契約処理では、端末装置3を使用する顧客を借り主、端末装置4を使用する銀行(契約担当は銀行員)を貸し主とする、金銭消費貸借契約についての電子契約書を例に説明するものとする。また、前提として、端末装置4を利用する銀行側のユーザ登録は済んでいるものとする。
【0032】
図3は、電子契約システムによる電子契約処理の流れを表したフローチャートである。この電子契約処理は、電子契約サーバ1のCPU11が電子契約プログラム140を実行することで処理される。
以下、
図3のフローチャートに従って、
図4以下に示した顧客側の端末装置3又は銀行側の端末装置4の表示画面を参照しながら電子契約処理について説明する。
【0033】
ステップ2において、顧客との金銭消費貸借契約を締結する電子契約書をPDF形式で作成する。
すなわち、最初に銀行員が端末装置4から、電子契約サーバ1にログイン要求をすると、電子契約サーバ1のCPU11(以下単に電子契約サーバ1の動作として説明する)は、端末装置4に対してログイン画面40を提供する。
図4は、電子契約サーバ1から提供される、電子契約処理におけるログイン画面40を表した説明図である。
銀行員は端末装置4に表示されたログイン画面40から、ユーザ登録した際に設定済みのアカウントとパスワードをアカウント欄41、パスワード欄42に入力し、ログインボタン43を選択することで、電子契約サーバ1の電子契約処理に入力する。
【0034】
電子契約サーバ1は、端末装置4のログイン画面40からアカウントとパスワードが入力されると、入力されたアカウントとパスワードをRAM13に保存すると共に、ユーザ情報を照会して登録済みのユーザ(銀行員)であることを確認し、端末装置4に電子契約案件一覧画面50を提供する。
図5は、電子契約サーバ1から提供される、端末装置4に提供された電子契約案件一覧画面50の説明図である。
図5に示されるように、電子契約案件一覧画面50の上部には、店番、CIF(顧客情報ファイル)の番号、漢字氏名(顧客氏名)、ステータス等の検索項目欄51が設けられ、画面下部には、検索項目欄51の入力内容に対応した案件リスト欄52が表示される。
図5では、銀行員が検索項目欄51の検索項目「ステータス」から、プルダウン表示される項目(新規作成、契約書作成待ち、承認待ち、承認済み、署名済み、検印済み等)の中から「契約書作成待ち」を選択し、「検索」ボタンを選択した場合を表示している。
なお、
図5では、ステータス「契約書作成待ち」の検索項目で検索した場合の案件リスト52が表示された状態である。
【0035】
電子契約サーバ1は、選択された検索項目の「契約書作成待ち」と、RAM13に保存した銀行員のアカウント、パスワードを検索キーとして、電子契約書DB142から、当該銀行員に対応する作成待ちの電子契約書のリストを、端末装置4における電子契約案件一覧画面50の案件リスト欄52に提供する。
銀行員は、電子契約案件一覧画面50の案件リスト欄52にリスト表示された各案件の中から、電子契約書を作成する案件を選択すると、電子契約サーバ1は、選択された案件に対応する帳票完成入力画面60を端末装置4に提供する。
【0036】
図6は、電子契約サーバ1から提供され、端末装置4に表示される帳票完成入力画面60の説明図である。
この帳票完成入力画面60は、金銭消費貸借契約や不動産販売契約等の電子契約書の種類に応じて予め入力項目が規定されていて、銀行員は、各入力項目に必要な情報を入力することで、電子契約書を作成することができる。
帳票完成入力画面60には、その上部に案件情報表示欄61、右側に契約事項入力項目欄62、左側にプレビュー表示欄63、下側にビデオ会議チェックボックス64、処理ボタン65が配置されている。
案件情報表示欄61には、案件リスト欄52(
図5)から選択された案件の案件情報が表示され、契約事項入力項目欄62には、金銭消費貸借契約や不動産販売契約等の電子契約書の種類に応じて予め規定された入力項目が表示されている。
プレビュー表示欄63には、処理ボタン65のうちの「イメージ表示反映」ボタンが選択されると、契約事項入力項目欄62の入力内容に応じた電子契約書のプレビュー表示が更新され、「契約書の作成」ボタンが選択されると内容が確定され、電子契約書が作成される。
【0037】
ビデオ会議チェックボックス64は、作成した電子契約書に対してビデオ会議による本人確認や契約書の説明を義務づけるオプションを付けるためのチェックボックスであり、本実施形態の電子契約処理では必須のチェック項目となっている。
【0038】
本実施形態では、金銭消費貸借契約の電子契約書を例に説明しているので、
図6に示した帳票完成入力画面60では、契約事項入力項目欄62に債務者、借入金、金利、返済開始日、返済完了日、毎月返済金、連帯保証人等の入力項目が規定されている。
そして、銀行員により、債務者「銀行太郎」、借入金「25,000,000」、金利「1.0」、毎月返済金「50,000」、連帯保証人「中島勝治」が入力され、この入力内容に応じた電子契約書がプレビュー表示欄63にプレビュー表示されている。
【0039】
なお、
図6において、返済開始日と返済完了日は未入力となっているが、契約事項入力項目欄62の入力項目は必須ではなく、入力項目がない(すでに完成している)場合もある。また入力値には初期値設定が可能であり、初期値が反映された状態でプレビュー表示欄63に表示される。この場合、銀行員は、入力行為を行わずに「契約書の作成」ボタンを押すことも可能である。
【0040】
図6において、銀行員が処理ボタン65の「契約書の作成」ボタンを選択すると、プレビュー表示欄63の表示内容が確定し、対応する電子契約書が作成される。
以上の処理により作成された電子契約書は、電子契約サーバ1の電子契約書DB142に原本として保存される(ステップ3)。
これにより電子契約サーバ1は、契約書情報143(
図2参照)における当該電子契約書のステータスを承認待ちに変更する。
なお、電子契約処理における契約書自動作成処理により、電子契約書を自動的に作成する場合について説明したが、銀行や不動産会社等の契約当事者が自社で作成した電子契約書を電子契約サーバ1にアップロードすることも可能である。この場合、アップロードされた電子契約書が原本として電子契約書DB142に保存される。
【0041】
次のステップ4(
図3)では、作成された電子契約書に対する承認処理を行う。
すなわち、銀行員によって作成され電子契約サーバ1に保存された電子契約書に対する承認処理を銀行の役席者が行う。
銀行の役席者は、端末装置4を使用し、電子契約サーバ1から提供されるログイン画面40(
図4参照)でログインし、電子契約案件一覧画面50(
図5参照)の検索項目欄51でステータスの「承認待ち」を検索項目で検索を実行することで、当該銀行で作成された承認待ちの電子契約書が案件リスト欄52にリスト表示される。
役席者が、端末装置4に表示されている電子契約案件一覧画面50の案件リスト欄52から該当する案件を選択することで、電子契約サーバ1から提供される確認・承認画面が表示される。
【0042】
図7は、電子契約サーバ1から提供され、銀行の役席者の端末装置4に表示される電子契約書の確認・承認画面75を表したものである。
この
図7に示すように、確認・承認画面75の上部には、
図6で説明した案件情報表示欄61と同様に、確認・承認画面75用の案件情報表示欄76が表示され、その下側の契約書確認欄77に選択された案件の電子契約書が表示される。
役席者は、契約書確認欄77で銀行員が作成した電子契約書の確認を行い、問題がなければ画面下側の「承認」ボタンを選択する。
一方、電子契約書の修正が必用な場合には、「修正」ボタンを選択することで、役席者用の帳票完成入力画面60(
図6参照)が、電子契約サーバ1から提供され、適宜修正することができる。
【0043】
役席者によって確認・承認画面75で「承認」ボタンが選択されると、電子契約サーバ1は、契約書情報143(
図2参照)における当該電子契約書のステータスを、承認待ちから承認済みに更新する。
【0044】
次に、非対面契約の準備を銀行員が行う(ステップ5)。
この非対面契約の準備では、ビデオ会議のスケジュール設定と保存、顧客の電子契約用ログインアカウントの取得、保存、SMS通知が行われる。
すなわち、銀行員は、
図4、5で説明したように、電子契約サーバ1にログインし、承認済みの電子契約書を検索する。
これにより、銀行員の端末装置4には、電子契約サーバ1から電子契約案件一覧画面80が提供される。
【0045】
図8は、電子契約サーバ1から提供される、銀行員によるビデオ会議予約における各画面の説明図である。
図8(a)は、電子契約サーバ1から提供された電子契約案件一覧画面80が表示されている。
この「契約書承認済み」の検索項目で検索された電子契約案件一覧画面80の案件リスト欄82には、「契約書作成待ち」で検索された案件リスト欄52(
図5参照)や、「契約書承認待ち」で検索された案件リスト欄に比べて、各リストの後ろ側に会議予約ボタン83が表示されている。
所望の会議予約ボタン83が選択されると、
図8(b)に示すようにビデオ会議用のスケジュールカレンダ84が別枠で表示され、銀行員は顧客と行うビデオ会議の日時を入力する。入力された日時に基づいて、電子契約サーバ1のスケジューラ141により、当該電子契約書のビデオ会議の予約が設定される。
【0046】
更に銀行員は、案件リスト欄82から該当の案件を選択することで、
図8(c)に示した契約書通知画面85の提供を受ける。
この契約書通知画面85では、当該契約書の当事者の氏名「銀行太郎」が契約者欄86に表示され、入力項目としてチェックボックス87、携帯電話番号欄88、契約書通知ボタン89が配設されている。
銀行員は、契約者欄86に表示された氏名「銀行太郎」が、当該電子契約書の締結相手である顧客の氏名であることを確認してチェックボックス87にチェックを入れる(マウスでクリックする)、携帯電話番号欄88に顧客の携帯電話番号「080 1122 3344」を入力した後に、契約書通知ボタン89を選択する。
契約書通知ボタン89の選択の後、携帯電話番号を再度入力する確認画面が表示され(図示しない)、再度入力された携帯電話番号が先の入力と一致していれば、電子契約サーバ1のユーザ情報144に保存される。
【0047】
そして電子契約サーバ1は、入力された携帯電話番号を使用したSMSにより、契約書閲覧の案内を行う。
図9は、電子契約サーバ1から顧客の端末装置3に通知された契約書閲覧案内の説明図である。
図9に示すように、契約書閲覧案内画面91には、電子契約サーバ1にログインするためのログイン情報(アカウントとパスワード)と、電子契約書を参照するためのURL、銀行員が設定したビデオ会議の日程が通知される。
【0048】
次に顧客と銀行員による電子契約サーバ1のログインが行われる(ステップ6)。
銀行員は、設定したビデオ会議のスケジュールに合わせてログイン画面(
図4参照)から電子契約サーバ1にログインをしておく。
一方、顧客は端末装置3の契約書閲覧案内画面91に表示されたURLを選択することで、電子契約サーバ1から提供されるログイン画面(
図4参照)にログイン情報を入力して電子契約サーバ1にログインする。電子契約サーバ1にログインすることで、端末装置3には、契約手続説明画面92が表示される。
図10は、電子契約サーバ1から提供され、端末装置3に表示される契約手続説明画面92を表したものである。
図10に示されるように、契約手続説明画面92には、左側にご契約の流れ説明93(アカウントの発行・通知、契約内容の説明、電子署名の説明)が記載されている。また、契約手続説明画面92の右側には、契約者欄95に顧客の氏名「銀行太郎」が表示され、入力項目としてチェックボックス96、携帯電話番号欄97、アカウント発行ボタン98、契約手続移行ボタン99が配設されている。
顧客は、契約者欄95に自分の氏名「銀行太郎」が表示されていることを確認してチェックボックス96にチェックを入れ、携帯電話番号欄97に端末装置3の携帯電話番号「080 1122 3344」(電子契約サーバ1からURLを受信したSMSの電話番号)を入力した後に、アカウント発行ボタン98を選択する。
【0049】
次に、電子契約サーバ1は、顧客の電子署名用アカウントを発行する(ステップ7)。
すなわち、アカウント発行ボタン98が選択され、入力された携帯電話番号が当該顧客のユーザ情報に登録された携帯電話番号と一致している場合、電子契約サーバ1は、仮の本人確認ができたものとして、当該顧客の電子署名用のアカウント発行とリモート署名鍵の生成を行う。
電子契約サーバ1は、リモート署名鍵サーバ7に依頼して、当該顧客に対する電子署名用の電子証明書とPINコードを取得する。更に電子契約サーバ1は、取得したPINコードから電子署名用のアカウントとパスワードを作成する。作成したアカウントとパスワードは、ビデオ会議による正式な本人確認(後述する)が完了した後に、当該顧客の端末装置3にSMSで通知する。
また電子契約サーバ1は、取得した電子証明書、PINコード、及び作成したアカウントとパスワードを、当該顧客用のユーザ情報144に保存する。
なお、リモート署名鍵サーバ7は、電子契約書に含まれる公開鍵に対応する秘密鍵をリモート署名鍵として、PINコードに紐づけて保存する。
【0050】
次に電子契約サーバ1が、顧客の端末装置3と銀行員の端末装置4に契約内容確認画面100a、100bを提供する(ステップ8)。
すなわち、
図10の契約手続説明画面92において、顧客が契約手続移行ボタン99を選択すると、電子契約サーバ1は、端末装置3に契約内容確認画面100aを提供する。
また、電子契約サーバ1は、設定したビデオ会議のスケジュールに合わせて電子契約サーバ1にログインをしている銀行員側の端末装置4にも、同様に契約内容確認画面100bを提供する。
【0051】
図11は電子契約サーバ1から顧客側の端末装置3に提供される、非対面で行う電子契約用の契約内容確認画面100aを表し、
図12は電子契約サーバ1から銀行員側の端末装置4に提供される、非対面で行う電子契約用の契約内容確認画面100bを表している。
この両契約内容確認画面100a、100bには、共に電子契約書欄101、ビデオ会議開始ボタン102、ビデオ会議変更ボタン103、ご契約手続ボタン105、顧客画像欄106、銀行員画像欄107が表示されている。
銀行員側の契約内容確認画面100bには、更にスクリーンショット取得ボタン104が表示されている。
【0052】
電子契約書欄101には、電子契約の対象となっている金銭消費貸借契約等の電子契約書が表示される。電子契約書欄101に表示される電子契約書は、顧客側の契約内容確認画面100aと銀行員側の契約内容確認画面100bと同一状態に表示され、例えば端末装置3又は端末装置4の一方側の操作で電子契約書の表示範囲をスクロールさせると他方側の電子契約書も同じようにスクロールされる。電子契約書の拡大表示や縮小表示なども同様に表示される。
また、銀行員が契約内容の特定箇所を説明する場合に、端末装置4で電子契約書の該当箇所をハイライト表示させると、顧客側の電子契約書の該当箇所もハイライト表示される。
【0053】
ビデオ会議開始ボタン102は、ビデオ会議サーバ5による端末装置3と端末装置4間のビデオ会議を開始するボタン、ビデオ会議変更ボタン103は、ビデオ会議のスケジュールを変更するボタンである。
ご契約手続ボタン105は、ビデオ会議による電子契約書の説明が終了した後に契約書の締結を完了させるボタンである。
顧客画像欄106には、ビデオ会議の開催中において、顧客側の端末装置3で撮像される画像(動画)が表示される。銀行員画像欄107には、ビデオ会議の開催中において、銀行員側の端末装置4で撮像される画像(動画)が表示される。
なお、顧客画像欄106と銀行員画像欄107については、端末装置3、4毎に独立して表示位置やサイズを変更することが可能であるが、デフォルトの設定では、
図11、12に示すように、顧客側の契約内容確認画面100aでは銀行員画像欄107が大きく、銀行員側の契約内容確認画面100bでは顧客画像欄106が大きくなるように設定されている。
【0054】
スクリーンショット取得ボタン104は、顧客画像欄106に表示された顧客側の画像に基づく本人確認や、電子契約書欄101についての重要事項説明等に対応して、顧客画像欄106の静止画像をスクリーンショット画像として取得し、保存するためのボタンである。
なお、電子契約サーバ1は、スクリーンショット取得ボタン104により顧客画像欄106の静止画像をスクリーンショット画像として取得するのではなく、銀行員側の端末装置4に表示されている契約内容確認画面100b全体の静止画像を保存するようにしてもよい。
【0055】
スクリーンショット取得ボタン104を選択すると、免許証確認(本人確認用)、免責事項確認、特定条文の説明、契約同意等のショット項目名を規定したプルダウン画面が表示される。このプルダウン画面からショット項目名が選択されると、電子契約サーバ1は、顧客画像欄106の静止画を取得し、免許証確認等のショット項目名が静止画のタイトルとして保存される。
プルダウン画面に所望のショット項目名がない場合には、その他を選択し、銀行員がキーボード等から項目名を入力することも可能である。
なお、スクリーンショット取得ボタン104は、銀行側だけでなく、顧客側の契約内容確認画面100aにも設けることで、顧客側でも証拠保全が可能になり、顧客の保護を行うことができる。
【0056】
契約内容確認画面100a、100bにおいて、顧客または銀行員の何れかによってビデオ会議開始ボタン102が選択されると、端末装置3と端末装置4間でビデオ会議サーバ5が提供するビデオ会議が開始され、端末装置3、4で撮像された動画が顧客画像欄106と銀行員画像欄107に表示され、ビデオ会議動画を録画する(ステップ9)。
ビデオ会議動画は、ビデオ会議が開始されると同時に開始され、ビデオ会議サーバ5のストレージ6に保存される。ビデオ会議動画には、電子契約書欄101に表示されている電子契約書や、顧客画像欄106、銀行員画像欄107の表示内容等の、顧客の端末装置3に表示されている契約内容確認画面100a全体が音声と共に保存される。従って、顧客や銀行員の操作によって電子契約書欄101に表示されている電子契約書がスクロール表示された場合には、その動きについてもビデオ会議動画として保存される。
なお、電子契約サーバ1は、後述する電子署名の際に、保存されたビデオ会議動画を要求してビデオ会議サーバ5から取得するが、電子契約サーバ1は契約内容確認画面100aを顧客の端末装置3に提供しているので、ビデオ会議が開催されている間のビデオ会議動画を電子契約サーバ1の記憶装置に保存することも可能である。
【0057】
ビデオ会議が開始されると、顧客と銀行員の相互観で、電子契約書についての説明と質問、回答等が行われる(ステップ10)。
そして銀行員は、顧客に対する説明の途中途中において、スクリーンショット取得ボタン104により、顧客画像欄106の静止画を取得する(ステップ11)。
すなわち、銀行員は、ビデオ会議の最初に顧客に本人確認資料(免許証等)を胸のあたりに掲げてもらい、顧客画像欄106に表示された顧客の容貌や電子契約書に表示された氏名が、提示された免許証の写真や氏名と一致していることを目視確認すると共に、本人確認資料を回転してもらうことで目視による厚み確認を行う。
そして、銀行員は、顧客と免許証の表面が写っている状態と、免許証の側面が写っている状態の各々において、スクリーンショット取得ボタン104を選択してショット項目のプルダウン画面を表示させる。
表示されたショット項目の中から「本人確認」が選択されると、電子契約サーバ1は、顧客画像欄106の静止画(スクリーンショット画像)を保存すると共に、正規の本人確認が完了したので、上述した顧客の端末装置3に電子証明用のアカウントとパスワードを通知する。
【0058】
なお、本実施形態では、ショット項目のうち「本人確認」が選択されることでアカウント等が自動的に端末装置3に送信されるが次のようにすることも可能である。
すなわち、ショット項目の「本人確認」が選択されると、別枠のアカウント通知確認画面に「アカウント通知」ボタンが表示され、電子契約サーバ1は、このボタンが銀行員により選択された場合に電子証明用のアカウントとパスワードを顧客の端末装置3に通知するようにしてもよい。
また、銀行員の端末装置4に提供する契約内容確認画面100bに、予め「アカウント通知」ボタンを表示するようにしてもよい。この場合、当初は「アカウント通知」ボタンを選択ができない非アクティブ状態で表示しておき、ショット項目「本人確認」の選択がされて、スクリーンショット画像を保存したことを契機として、選択可能なアクティブ状態に変更する。そして、アクティブ状態になった「アカウント通知」ボタンを銀行員が選択することで、電子契約サーバ1はアカウントとパスワードを端末装置3に送信する。
【0059】
その後、銀行員は、電子契約書の説明を行い、免責事項確認、特定条文の説明、契約同意等の説明毎にスクリーンショット取得ボタン104を選択する。
例えば、銀行員が契約書の条文を説明した後に、「○○条の説明はこれで同意いただけますか。」というように顧客の同意を求め、顧客が同意した状態のスクリーンショット取得ボタン104を選択する。
【0060】
ビデオ会議における電子契約書の説明が完了した後、顧客の電子署名を行う(ステップ12)。
すなわち銀行員は、ビデオ会議のなかで顧客による電子署名手続きに移行する旨の説明をし、ご契約手続ボタン105の選択を促す。
顧客がご契約手続ボタン105を選択すると、電子契約サーバ1は、端末装置3に対して契約手続画面110を提供する。また電子契約サーバ1は、顧客と銀行員によるビデオ会議とその録画を終了する。
図13は、電子契約サーバ1から提供され、顧客の端末装置3に表示される契約手続画面110を表したものである。
図13に示すように、契約手続画面110には、アカウント欄111、パスワード欄112、「契約内容の確認を受け、内容について理解しましたので、電子署名により契約を行います」と記載された同意用の説明文の前に配設されたチェックボックス113、署名ボタン114が表示される。
この契約手続画面110において、顧客は、免許証等を提示しての本人確認後に電子契約サーバ1から通知されている、電子署名用のアカウントとパスワードをアカウント欄111とパスワード欄112に入力し、チェックボックス113のチェックを入れた後に、署名ボタン114を選択する。
【0061】
電子契約サーバ1は、顧客が入力した電子署名用のアカウントとパスワードが、ユーザ情報144に保存されている値との一致していることを確認した後、当該電子契約書(原本)にビデオ会議データを添付した電子契約書(ビデオ会議データ)のハッシュ値を算出する。
電子契約サーバ1は、算出したハッシュ値と、入力されたアカウントとパスワードに対応するPINコードをリモート署名鍵サーバ7に送信する。
リモート署名鍵サーバ7では、受信したPINコードに対応するリモート署名鍵(秘密鍵)を使用してハッシュ値に対する署名を実行し、署名値(顧客)を電子契約サーバ1に返信する。
電子契約サーバ1では、受信した署名値(顧客)を電子契約書に埋め込み、更に、当該電子署名に使用したPINコードに対応する顧客用の電子証明書(顧客)と失効情報を付加することで、顧客署名済みの電子契約書(顧客署名)を作成する。
【0062】
更に電子契約サーバ1は、この電子契約書(顧客署名)に対して、同様の処理により、銀行の電子署名を行う。
すなわち、電子契約サーバ1は、電子契約書(顧客署名)のハッシュ値と、銀行のPINコードをリモート署名鍵サーバ7に送信し、電子契約書(顧客署名)に対する署名値(銀行)を受信する。この署名値(銀行)を電子契約書(顧客署名)に埋め込み、更に銀行のPINコードに対応する電子証明書(銀行)と失効情報を付加することで、顧客と銀行両者の署名が完了した署名等済電子契約書を作成し、契約書DB142(
図2参照)に保存する。
これにより電子契約サーバ1は、契約書情報143(
図2参照)における当該電子契約書のステータスを契約書署名済みに変更する。
【0063】
図14は、電子署名をした電子契約書の構造を概念的に説明したものである。
図14(a)は、本実施形態による電子契約書の構造で、電子契約書(原本)150にビデオ会議データ(本実施形態ではビデオ会議動画とスクリーンショット画像)151を添付した電子契約書(ビデオ会議データ)152に対し、顧客の電子署名(顧客)を行ったものが電子契約書(顧客署名)153である。
この電子契約書(顧客署名)153に対し、銀行の電子署名(銀行)を行ったものが電子契約書(顧客銀行署名)154である。
なお、この電子契約書(顧客銀行署名)154に、後述するタイムスタンプを付したものが、最終的に保存される署名等済電子契約書155である。
【0064】
図14(a)に示した本実施形態の署名等済電子契約書155は、ビデオ会議データ151を含むため、全体のデータサイズが大きくなる。
そこで、最終的に保存される署名等済電子契約書155の構造を次のように変形することも可能である。
図14(b)は、 最終的に保存される署名等済電子契約書155の他の構造を概念的に表したものである。
電子契約サーバ1は、ビデオ会議データ151に対して銀行の電子署名を行い、署名後のビデオ会議データ(銀行署名)160に電子契約サーバ1がタイムスタンプを付与してビデオ会議データ(署名タイムスタンプ)161とする。
電子契約サーバ1は、このビデオ会議データ(署名タイムスタンプ)161のハッシュ値(ビデオ会議ハッシュ値156)を電子契約書に添付し、これを電子契約書(ビデオ会議ハッシュ値)157として、これに顧客の電子署名(顧客)を行ったものが電子契約書(顧客署名)158とする。
この電子契約書(顧客署名)158に対し、電子契約サーバ1が後述するタイムスタンプを付したものが署名等済電子契約書159である。
この変形例では、ビデオ会議データ151に対するタイムスタンプが付与されないかぎり、ビデオ会議データ151を添付した電子契約書(原本)150に対する顧客の電子署名を行うことができなくなっている。
【0065】
この変形例の場合、最終的に保存される署名等済電子契約書159に、ビデオ会議データ151が含まれていないので全体のデータサイズを小さくすることができる。また、電子契約書(顧客署名)158に対して銀行の電子署名(銀行)を行っていないので、更にデータサイズを小さくすることができる。
署名等済電子契約書159にはビデオ会議データ151が含まれていないが、ビデオ会議データ(署名タイムスタンプ)161にビデオ会議データが含まれているので問題はない。
電子契約サーバ1は、最終的にビデオ会議データ(署名タイムスタンプ)161と、署名等済電子契約書159を保存する。
この変形例では、ビデオ会議データ151に対して銀行の電子署名を行っているので、本人確認を行った側の署名となる。
【0066】
図14(a)、(b)で示した実施形態、変形例では、電子契約サーバ1がデータ量の大きいビデオ会議データを保存するようにしている。
これに対して、
図14(c)に示した第2変形例では、ビデオ会議データをビデオ会議サーバ5側のストレージ6に保存することで、電子契約サーバ1のデータ量を少なくしたものである。
図14(c)に示すように、第2変形例では、ビデオ会議データ151のハッシュ値156bを電子契約書(原本)150に添付したものを電子契約書(ビデオ会議ハッシュ値)157bとしている。この電子契約書(ビデオ会議ハッシュ値)157bに対し顧客の電子署名を行ったものが電子契約書(顧客署名)158で、更に電子契約サーバ1が後述するタイムスタンプを付した署名等済電子契約書159を保存する。
また、電子契約サーバ1は、契約書(原本)150のみに対して銀行の電子署名を行った電子契約書(顧客署名)162に、銀行のタイムスタンプを付与し、更に電子契約サーバ1のタイムスタンプを付与したものを保存する。
【0067】
署名等済電子契約書155(159)を作成した後、電子契約サーバ1は、契約手続画面110(
図13参照)が表示されている顧客の端末装置3に、契約完了画面149を提供する。
図15は、電子契約サーバ1から顧客の端末装置3に提供される契約完了画面149を表したものである。
図15に示すように、契約完了画面149では、電子署名(契約手続き)が完了したことと、後日契約書の控え(署名等済電子契約書159)を送信することを、伝えるメッセージが表示される。
顧客は、この契約完了画面149を確認したうえで電子契約サーバ1からログアウトすることができる。
【0068】
次に、電子契約サーバ1は、ステップ12で作成した電子契約書(顧客銀行署名)154に対する役席者による検印と、電子契約サーバ1によるタイムスタンプを行う(ステップ13)。
すなわち、銀行側の役席者は、端末装置4から電子契約サーバ1にログインした後、ステータス「契約書署名済み」を検索項目として検索を実行し、表示される検印対象の案件リストから、所望の案件を選択する。これにより、役席者の端末装置4には、電子契約サーバ1から、電子契約書(顧客銀行署名)154に対応する検印画面170が提供される。
【0069】
図16は、電子契約サーバ1から役席者の端末装置4に提供される検印画面170を表したものである。
図16(a)に示す検印画面170には、案件表示欄171、ビデオ会議確認ボタン172、スクリーンショット確認ボタン173、役席検印ボタン174等が表示される。
案件表示欄171には、契約者(借り主(甲))の氏名、携帯電話番号、配付状態表示、交付回数、送信テストボタン、店番とCIF(顧客情報ファイル)の番号、が表示されている。
【0070】
ビデオ会議確認ボタン172は、当該電子契約書に対して顧客と銀行員とのビデオ会議動画を再生するためのボタンである。ビデオ会議確認ボタン172の選択により、端末装置4には別枠でビデオ会議動画が表示される。このビデオ会議動画は、ビデオ会議において銀行員が端末装置4で見ていた契約内容確認画面100aの全体(電子契約書欄101、顧客画像欄106、銀行員画像欄107等が含まれる)が変化する動画が再生される。
従って、ビデオ会議確認ボタン172で再生されるビデオ会議動画では、銀行員が顧客の本人確認を行っている場面や、電子契約書の内容説明をしている場面等の動画が再生される。
但し、再生するビデオ会議動画としては、契約内容確認画面100a全体ではなく、顧客画像欄106に表示される顧客の端末装置3が撮影した顧客動画だけを再生するようにしてもよい。
【0071】
スクリーンショット確認ボタン173は、端末装置4に表示されている検印画面170とは別枠でスクリーンショット画面180を表示するためのボタンである。
図16(b)はスクリーンショット画面180を表したものである。
図16(b)に示すように、スクリーンショット画面180には、ビデオ会議において銀行員がスクリーンショット取得ボタン104を選択した際に取得、保存した複数のスクリーンショット画像181とそのショット項目名182が取得順に表示される。
なお、
図16(b)では、表示の都合で同一画像を表示しているが、実際には取得時の状態に応じた画像が表示される。例えば、ショット項目名182が免許証確認のスクリーンショット画像では、銀行員の説明に応じて免許証等を胸の前に掲げた状態の画像や、厚み確認のために免許証と回転させた状態の画像が表示される。
このように、スクリーンショット画面180には、複数のスクリーンショット画像181とショット項目名182が表示され、これらは銀行員が顧客の本人確認や、内容説明における重要説明箇所に対応した静止画であるため、役席者はビデオ会議動画に比べて容易に確認することができる。
【0072】
銀行の役席者は、端末装置4に表示されるビデオ会議動画の再生や、スクリーンショット画像によって、当該電子契約書に対して要求されている銀行員による説明や顧客の同意が行われているか否かを確認した後、問題がなければ役席検印ボタン174を選択する。
これにより電子契約サーバ1は、契約書情報143(
図2参照)における当該電子契約書のステータスを検印済みに変更し、検印確認画面(図視しない)を端末装置4に提供する。この検印確認画面では、「契約書にタイムスタンプを押し、お客様に送付します。よろしいですか。」とのコメントと、「はい」「いいえ」の両ボタンが表示される。
【0073】
銀行の役席者が検印確認画面において「はい」を選択すると、電子契約サーバ1は、電子契約書(顧客銀行署名)154に対して、タイムスタンプサーバと連携してタイムスタンプの付与を行い、これを署名等済電子契約書155(
図14参照)として契約書DB142に保存する。
なお、本実施形態では、役席者の承認(検印)が行われた際に、電子契約書(顧客署名)158に対するタイムスタンプを付与しているが、顧客の電子署名と銀行の電子署名が完了した時点で自動的にタイムスタンプを付与して署名等済電子契約書159を作成し、保存するようにしてもよい。
【0074】
次に、電子契約サーバ1は、契約書控えの送信を行う。
すなわち、電子契約サーバ1は、電子契約書(原本)150にビデオ会議データ151を添付した電子契約書(ビデオ会議データ)152に対して顧客と銀行の電子署名、及びタイムスタンプが付与された署名等済電子契約書155を顧客の端末装置3に送信する。
この送信は、顧客に対して後日契約書の控えを送信する旨のメッセージ(
図15参照)に対応した送信である。
【0075】
以上説明したように本実施形態の電子契約サーバ1によれば、契約当事者(顧客と銀行)間で締結される電子契約書だけではなく、ビデオ会議データを添付した電子契約書を対象として顧客の電子署名を行っている。
このビデオ会議データには、契約当事者がビデオ会議を通して非対面で行われる本人確認や重要事項の説明といった契約過程を一意に表すビデオ会議動画が含まれているので、電子契約書の本人証明や非改ざん証明に加えて、契約成立の真正性を確認し、証明することができる。
また、顧客の電子署名の対象を、ビデオ会議データを添付した電子契約書とし、かつビデオ会議データには当該電子契約書が写されているので、電子契約書に対応するビデオ会議データであることも確認、証明することができる。
【0076】
更に、本実施形態のビデオ会議データでは、顧客と銀行員によるビデオ会議動画だけでなく、ビデオ会議のなかで行われる契約の真正性を確認する場面(本人確認の場面、重要事項説明の場面等)の静止画像(スクリーンショット画像)が含まれているので、真正性を効率的に確認することができる。
【0077】
なお、説明した電子契約サーバ1の実施形態について説明したが、次のように変形することも可能である。
例えば説明した実施形態では、電子契約書に添付するビデオ会議データとして、ビデオ会議動画とスクリーンショット画像を使用する場合について説明したが、ビデオ会議の内容を一意に表すビデオ会議データ(一意情報)として、次の(イ)~(ヘ)のいずれかを使用可能である。なお、(イ)と(ハ)のセットが本実施形態の場合である。
(イ)前記ビデオ会議の動画
(ロ)ビデオ会議において指定された動画の一部
(ハ)ビデオ会議において指定された動画の静止画
(ニ)上記(イ)~(ハ)の保存場所を規定したリンク情報
(ホ)上記(イ)~(ニ)うちの少なくとも2つ
(ヘ)上記(イ)~(ホ)のハッシュ値
【0078】
上記(ロ)のビデオ会議において指定された動画の一部については、スクリーンショット取得ボタン104(
図12参照)が選択した時点から、遡ってN分間(例えば、1分間、2分間等)、又は、前後のN分間の動画を保存する。
なお、ビデオ会議動画に対して、スクリーンショット取得ボタン104の選択時点の位置、又はN分前の位置に、当該位置からの動画再生を可能とするチャプタの作成や、区切りマークの挿入をすることも可能である。
【0079】
以上の、(イ)~(ホ)の各ビデオ会議データは、ビデオ会議を主催するビデオ会議サーバ5のストレージ6に保存され、ビデオ会議が終了した後に、電子契約サーバ1がビデオ会議サーバ5から取得する場合のほか、電子契約サーバ1がビデオ会議中に端末装置3に提供している契約内容確認画面100a全体の動画と静止画(またスクリーンショット画像)を保存するようにしてもよい。
【0080】
また、説明した実施形態では、銀行業務における金銭消費貸借契約を例に、顧客と銀行側(銀行員、役席者)が電子契約書の締結する手続について説明したが、銀行以外の金融機関や、保険会社、自動車販売店、不動産事業者、コンテンツ販売会社などの各種企業や、会計事務所、政府・自治体の機関などにおける電子契約書の締結に対しても適用することが可能である。
また電子契約書を作成する電子契約の対象も金銭消費貸借契約に限らず、売買契約や、秘密保持契約、雇用契約等の各種契約を対象とすることも可能である。
【0081】
この場合、実施形態で説明した契約書自動作成処理で電子契約サーバ1が提供する各種電子契約書に対応する帳票完成入力画面については、契約形態や、事業者の事業形態などを元に予め作成され電子契約サーバ1に保存される。
帳票完成入力画面については、電子契約サーバ1のユーザとなる事業体から、契約書の雛形となるPDFデータをアップロードしてもらい、PDFを解析して入力項目を作成することも可能である。
また、契約書自動作成処理用のプログラムや、帳票完成入力画面(
図6参照)については、ユーザとなる事業体が作成して電子契約サーバ1にアップロードしたものを保存し、使用することも可能である。
【0082】
説明した実施形態では、顧客の端末装置3として、スマートホンを使用する場合を例に、携帯電話番号を利用したSMSで各種通知を行う場合について説明した。
これに対し、端末装置3としては、通信機能と表示画面を備えた各種電子機器、例えば、タブレット装置やパーソナルコンピュータなどを使用することが可能である。
ただし、端末装置3が携帯電話機能を備えていない場合には、SMSに代えて電子メールで対応することが可能である。この場合、説明した実施形態において、携帯電話番号を入力対象、表示対象となっている箇所(例えば、
図8(c)、
図10等)は、電子メールアドレスが入力対象、表示対象となる。携帯電話と電子メールの両者が使用可能な機器については、両者を入力対象、表示対象とすることも可能である。
【0083】
また説明した実施形態では、電子契約サーバ1は、1台の端末装置3(スマートホン)を対象として電子契約書処理を行う場合について説明したが、複数台の端末装置3(例えば、スマートホンとパーソナルコンピュータ)を使用することも可能である。
この場合、電子契約サーバ1からの通知をスマートホンで受け、パーソナルコンピュータで電子契約サーバ1へのログインを行うことが可能である。なお、ビデオ会議用の動画撮影については、スマートホン、パーソナルコンピュータの何れで行うことも可能である。
【0084】
本実施形態では、ビデオ会議データを添付した電子契約書(電子契約書(ビデオ会議データ)152)に対して、顧客の電子署名を行った後に銀行の電子署名を行う場合について説明したが、電子署名の順序は逆でもよい。この場合、顧客が署名ボタン114(
図13)を選択した後に銀行による署名をし、引続き顧客の署名を行い、役職者による検印は、両電子署名の後に行われる。
また、顧客の電子署名と銀行の電子署名の両者を行う場合について説明したが、顧客の電子署名だけを行うことも可能である。
【0085】
更に、顧客と銀行の電子署名の後に、電子契約サーバ1によるタイムスタンプを押す場合について説明したが、対応する電子契約書が該当時刻において存在していることを証明する必要性が低い場合には、タイムスタンプを省略することも可能である。
逆に存在証明の重要性が高い場合には、ビデオ会議の終了時にビデオ会議データに対してタイムスタンプを押すことも可能である。この場合、役席者による検印後のタイムスタンプを省略してもよく、2度目のタイムスタンプとして付与することも可能である。
【0086】
また実施形態では、ビデオ会議データとして機能するスクリーンショット画像として、顧客画像欄106(
図11、12参照)の画像を保存する場合について説明したが、銀行側の契約内容確認画面100b全体の画像をスクリーンショット画像として保存するようにしてもよい。
この場合、顧客の画像だけでなく、電子契約書欄101も表示されるので、例えば免責事項確認のスクリーンショット画像確認する場合に、電子契約書の当該免責事項について記載された部分が画像中に含まれているので、スクリーンショット時の状況をより正しく認識することができる。
【0087】
また実施形態では、銀行の電子署名を行う場合について説明したが、銀行員の電子署名を行うようにしてもよい。
【0088】
また説明した実施形態では、ビデオ会議データを付加した電子契約書に対して、非改ざん証明として、顧客の電子署名と銀行側(銀行員又は銀行)の電子署名、及び、タイムスタンプを付与する場合について説明したが、電子署名だけの場合、又タイムスタンプの付与だけの場合でもよい。
電子署名だけを行う場合、顧客の電子署名、又は/及び、銀行側(銀行員又は/及び銀行)の電子署名を行う。
【符号の説明】
【0089】
1 電子契約サーバ 3、4 端末装置
5 ビデオ会議サーバ 6 ストレージ
7 リモート署名鍵サーバ 8 タイムスタンプサーバ
11 CPU 12 ROM
13 RAM 14 記憶装置
140 電子契約プログラム 141 スケジューラ
142 電子契約書DB 143 契約書情報
144 ユーザ情報 145 電子証明書
146 操作ログ 147 その他の情報
15 通信制御部 40 ログイン画面
41 アカウント欄 42 パスワード欄
43 ログインボタン 50 電子契約案件一覧画面
51 検索項目欄 52 案件リスト欄
60 帳票完成入力画面 61 案件情報表示欄
62 契約事項入力項目欄 63 プレビュー表示欄
64 ビデオ会議チェックボックス 65 処理ボタン
75 確認・承認画面 76 案件情報表示欄
77 契約書確認欄 80 電子契約案件一覧画面
82 案件リスト欄 83 会議予約ボタン
84 スケジュールカレンダ 85 契約書通知画面
86 契約者欄 87 チェックボックス
88 携帯電話番号欄 89 契約書通知ボタン
91 契約書閲覧案内画面 92 契約手続説明画面
93 ご契約の流れ説明 95 契約者欄
96 チェックボックス 97 携帯電話番号欄
98 アカウント発行ボタン 99 契約手続移行ボタン
100a、100b 契約内容確認画面 101 電子契約書欄
102 ビデオ会議開始ボタン 103 ビデオ会議変更ボタン
104 スクリーンショット取得ボタン 105 契約手続ボタン
106 顧客画像欄 107 銀行員画像欄
110 契約手続画面 111 アカウント欄
112 パスワード欄 113 チェックボックス
114 署名ボタン 149 契約完了画面
150 電子契約書(原本) 151 ビデオ会議データ
152 電子契約書(ビデオ会議データ)
153 電子契約書(顧客署名) 154 電子契約書(顧客銀行署名)
155 署名等済電子契約書 156 ビデオ会議ハッシュ値
157 電子契約書(ビデオ会議ハッシュ値)
158 電子契約書(顧客署名) 159 署名等済電子契約書
160 ビデオ会議データ(銀行署名) 161 署名等済ビデオ会議データ
170 検印画面 171 案件表示欄
172 ビデオ会議確認ボタン 173 スクリーンショット確認ボタン
174 役席検印ボタン 180 スクリーンショット画面
181 スクリーンショット画像 182 ショット項目名