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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134585
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】信号源推定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20220908BHJP
   G01R 29/10 20060101ALI20220908BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20220908BHJP
【FI】
G01R29/08 D
G01R29/10 Z
H04B17/309
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033796
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】502135679
【氏名又は名称】株式会社デンソーEMCエンジニアリングサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 一郎
(72)【発明者】
【氏名】下起 洋司
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 大地
(57)【要約】
【課題】ターゲット信号に影響する信号の信号源を容易に推定することができる信号源推定装置を提供する。
【解決手段】解析対象の信号であるターゲット信号yと、プローブにより検出された信号であるプローブ信号とのコヒーレンス関数γZY を算出するコヒーレンス関数算出部80と、プローブ信号zのパワースペクトルWZZを算出するパワースペクトル算出部52と、コヒーレンス関数γZY と、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZを平均化した値との積WVZを算出し、算出した値を出力する乗算部92とを備える信号源推定装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY )を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
前記検出子信号のパワースペクトル(WZZ)を算出するパワースペクトル算出部(52)と、
前記コヒーレンス関数と、平均化した前記検出子信号のパワースペクトルとの積(WVZ)を算出し、算出した値を出力する乗算部(92)と、
を備える信号源推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号源推定装置であって、
前記検出子の位置を検出する位置検出部(110)と、
前記乗算部が算出した前記積を、前記位置検出部が検出した前記検出子の位置に対応付けて、表示装置(30)に表示する表示処理部(22)と、
を備える、信号源推定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の信号源推定装置であって、
前記検出子により信号源の位置を推定する範囲を撮影するカメラ(11)を備え、
前記表示処理部は、前記表示装置に、前記カメラが撮影した画像を視認可能にしつつ、前記カメラが撮影した画像に、前記検出子の二次元位置と前記積との関係を示す画像を重畳表示する、信号源推定装置。
【請求項4】
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY )を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
前記検出子の位置を検出する位置検出部(110)と、
前記コヒーレンス関数を、前記位置検出部が検出した前記検出子の位置に対応付けて表示装置(30)に表示する表示処理部(22)と、
を備える信号源推定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の信号源推定装置であって、
前記検出子により信号源の位置を推定する範囲を撮影するカメラ(11)を備え、
前記表示処理部は、前記表示装置に、前記カメラが撮影した画像を視認可能にしつつ、前記カメラが撮影した画像に、前記検出子の二次元位置と前記コヒーレンス関数との関係を示す画像を重畳表示する、信号源推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
信号源の位置を推定する信号源推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被測定対象物からどのような距離でどのような信号が発生しているかを表示する装置が開示されている。特許文献1に開示されている装置は、被測定対象物から発生する電磁界をプローブ等により検出し、プローブ等の位置に対応する画面の区画を、強度に応じた色で表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-238581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プローブ等により検出した電磁界の強度には、解析対象の信号(以下、ターゲット信号)に影響しない信号源の信号も影響する。したがって、特許文献1に開示された装置は、ターゲット信号に影響する信号源を推定することが必ずしも容易ではない。
【0005】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、本開示の目的は、ターゲット信号に影響する信号の信号源を容易に推定することができる信号源推定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するための1つの開示は、
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY )を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
検出子信号のパワースペクトル(WZZ)を算出するパワースペクトル算出部(52)と、
コヒーレンス関数と、平均化した検出子信号のパワースペクトルとの積(WVZ)を算出し、算出した値を出力する乗算部(92)と、を備える信号源推定装置である。
【0008】
ターゲット信号と検出子信号とのコヒーレンス関数は、詳しくは後述するが、ターゲット信号のパワースペクトルに占める、検出子が検出した検出子信号に対応する信号源信号のパワースペクトルの割合を示す。コヒーレンス関数と検出子信号のパワースペクトルの積が大きな値になる場合、ターゲット信号のパワースペクトルに占める信号源信号のパワースペクトルの割合が高く、かつ、検出子信号のパワースペクトルも大きいことになる。よって、この積が大きな値になる検出子信号を検出する位置が、ターゲット信号に影響を与えている信号源の位置を示していると言える。したがって、この積を用いることで、ターゲット信号に影響を与えている信号源の位置を容易に推定できる。
【0009】
上記目的を達成するための他の1つの開示は、
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY )を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
検出子の位置を検出する位置検出部(110)と、
コヒーレンス関数を、位置検出部が検出した検出子の位置に対応付けて表示装置(30)に表示する表示処理部(22)と、を備える信号源推定装置である。
【0010】
ターゲット信号と検出子信号とのコヒーレンス関数は、ターゲット信号のパワースペクトルに占める、検出子が検出した検出子信号に対応する信号源信号のパワースペクトルの割合を示す。信号源推定装置は、このコヒーレンス関数を、検出子の位置に対応付けて表示装置に表示する。よって、操作者は、表示装置を見ることで、ターゲット信号に影響を与えている信号源の位置を容易に推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】信号源推定システム10の全体構成図である。
図2】処理装置20の信号処理部21が実行する機能を示すブロック図である。
図3】一例とする測定系をモデル化した図である。
図4】測定系を一般化した図である。
図5】処理装置20の表示処理部22が実行する機能を示すブロック図である。
図6】オーバーレイ画像を例示する図である。
図7】オーバーレイ後画像を例示する図である。
図8】積WVZの特性を説明するためのシミュレーションを示す図である。
図9図8のシミュレーション結果を示す図である。
図10】第2実施形態の信号処理部221の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、信号源推定システム10の全体構成図である。信号源推定システム10は、カメラ11、ターゲット信号検出線12、プローブ14、処理装置20、表示装置30を備えている。
【0013】
カメラ11は、プローブ14により信号源の位置を推定する範囲を撮影するために、所定の位置に固定されている。信号源は、ターゲット信号yに含まれる信号源信号xを発生させている部分である。ターゲット信号yは解析対象の信号である。解析する内容は、ターゲット信号yに含まれる信号源信号xの発生位置を推定することである。信号源信号xがターゲット信号yにおいて不要な信号であれば、信号源信号xはノイズであることになり、信号源はノイズ源である。
【0014】
ターゲット信号検出線12は、ターゲット信号yを検出しようとする箇所に接続されている。ターゲット信号yは、ターゲット信号検出線12を用いて検出する以外に、電界プローブあるいは磁界プローブを用いて検出したり、アンテナにより検出したりすることができる。
【0015】
プローブ14は、検出子信号であるプローブ信号zを検出するための検出子である。プローブ信号zは、空間を伝播する電磁信号である。プローブ信号zは、信号源を推定するために検出する信号であるが、プローブ14の伝達関数Hによる影響だけ、信号源信号xとは相違する。
【0016】
プローブ14は、操作者が手に持って移動させる。操作者は、プローブ14を、ターゲット信号yに影響する信号源を推定する対象装置に接近させて、その信号源の可能性がある範囲を順次移動させる。図1では、ECU16が備える複数の電子機器18がそれぞれ信号源である。ただし、全部の電子機器18が、ターゲット信号yに影響を与えている信号源であるとは限らない。そこで、この信号源推定システム10により、ターゲット信号yに影響を与えている信号源がどれであるかを推定する。なお、プローブ信号zおよびターゲット信号yを検出する対象装置は、ECU16のような小型のものに限られず、車両などであってもよい。
【0017】
処理装置20は、信号源推定装置に相当するものであり、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。たとえば、処理装置20は、CPU、ROM、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータにより実現できる。ROMには、汎用的なコンピュータを処理装置20として機能させるためのプログラムが格納されている。CPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに記憶されたプログラムを実行することで、処理装置20は、信号処理部21および表示処理部22として機能する。処理装置20が、信号処理部21および表示処理部22として機能することは、上記プログラムに対応する方法が実行されることを意味する。
【0018】
処理装置20が実行する処理の詳細は後述するが、処理装置20は、カメラ11が撮影した対象装置の画像(以下、カメラ画像)に、オーバーレイ画像を重畳させたオーバーレイ後画像の画像データ(以下、オーバーレイ後画像データ)を作成する。オーバーレイ画像の一例は、コヒーレンス関数γZY とプローブ14の二次元位置との関係を示す画像である。オーバーレイ画像の他の例は、コヒーレンス関数γZY とプローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZとの積WVZとプローブ14の二次元位置との関係を示す画像である。処理装置20は、オーバーレイ後画像を表示装置30に表示させる。
【0019】
表示装置30は、二次元表示およびカラー表示が可能な表示装置である。表示装置30は、オーバーレイ後画像などを操作者に向けて表示する。本実施形態の表示装置30は、表示画面に、可視化表示領域31とグラフ表示領域32を表示できる。
【0020】
[信号処理部21の説明]
信号処理部21は、図2に詳細を示す各部を備える。図2をもとに、信号処理部21が実行する機能を説明する。信号処理部21は、周波数変換部40、パワースペクトル算出部50、クロススペクトル算出部60、平均化処理部70、コヒーレンス関数算出部80、乗算部90、乗算部92を備える。
【0021】
周波数変換部40は、2つのフレーム切り出し部41、42と、2つの離散フーリエ変換部(以下、DFT部)43、44とを備える。一方のフレーム切り出し部41には、図示しないAD変換回路によりデジタル値に変換されたターゲット信号yが入力される。フレーム切り出し部41は、逐次入力されるターゲット信号yから、DFT部43での一度の処理に用いる時間(すなわち窓)分の信号を切り出す。そして、切り出した信号をDFT部43に入力する。
【0022】
他方のフレーム切り出し部42には、図示しないAD変換回路によりデジタル値に変換されたプローブ信号zが入力される。フレーム切り出し部42は、逐次入力されるプローブ信号zから、DFT部44での一度の処理に用いる時間分の信号を切り出す。そして、切り出した信号をDFT部44に入力する。
【0023】
DFT部43は、入力されたターゲット信号yを離散フーリエ変換する。フーリエ変換後の信号は、ターゲット信号yが周波数スペクトルに変換された信号である。変換後の信号をターゲット信号スペクトルYとする。
【0024】
DFT部44は、入力されたプローブ信号zを離散フーリエ変換する。フーリエ変換後の信号は、プローブ信号zが周波数スペクトルに変換された信号である。変換後の信号をプローブ信号スペクトルZとする。
【0025】
パワースペクトル算出部50は、ターゲット信号スペクトルYが入力される第1パワースペクトル算出部51とプローブ信号スペクトルZが入力される第2パワースペクトル算出部52とを備える。第1パワースペクトル算出部51は、ターゲット信号スペクトルYのパワースペクトル、すなわち、|Y|を算出する。第2パワースペクトル算出部52は、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトル、すなわち、|Z|を算出する。
【0026】
クロススペクトル算出部60は、プローブ信号スペクトルZとターゲット信号スペクトルYのクロススペクトルWZYを算出する。本実施形態では、具体的には、プローブ信号スペクトルZの共役複素数Zとターゲット信号スペクトルYとの積を算出する。
【0027】
平均化処理部70は、第1平均化処理部71、第2平均化処理部72、第3平均化処理部73を備える。第1平均化処理部71は、ターゲット信号スペクトルYのパワースペクトルを平均化する。ターゲット信号スペクトルYのパワースペクトルの平均値をWYYとする。第2平均化処理部72は、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルを平均化する。プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルの平均値をWZZとする。第3平均化処理部73はクロススペクトルを平均化する。クロススペクトルの平均値をWZYとする。なお、以降、記号Wで示す値は、平均であることを表記していなくても平均化処理された後の値を意味するものとし、「平均」は省略する。
【0028】
これら平均化処理部70においてスペクトルを平均化する時間は任意に設定可能である。スペクトルを平均化する時間は、たとえば、数十ミリ秒程度とすることができる。また、スペクトルを平均化する時間は、数秒程度としてもよい。3つの平均化処理部71、72、73の平均化時間は互いに同一とすることができる。平均化処理の手法は、n項移動平均、指数移動平均など、種々の平均化手法を採用することができる。
【0029】
コヒーレンス関数算出部80は、(1)式に示すコヒーレンス関数γZY を算出する。コヒーレンス関数算出部80は、算出したコヒーレンス関数γZY を表示処理部22に送る。コヒーレンス関数γZY は、後述するように、ターゲット信号yに占める信号源信号xに起因するパワースペクトルの割合を示す。
【0030】
【数1】
乗算部90は、コヒーレンス関数γZY に、ターゲット信号スペクトルYのパワースペクトルWYYを乗じる。乗じた値は、ターゲット信号yに含まれている信号源信号xに起因する成分のパワースペクトルWVVになる。乗算部90は、パワースペクトルWVVを表示処理部22に送る。なお、算出するパワースペクトルWVVは、推定値であることから、図2では、WVVの上に推定値を意味する記号を付している。
【0031】
乗算部92は、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZとコヒーレンス関数γZY との積WVZを算出し、その積WVZを表示処理部22に送る。なお、平均化処理部71が算出したターゲット信号スペクトルYのパワースペクトルWYYおよび平均化処理部72が算出したプローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZも、表示処理部22に送られる。
【0032】
[数学的説明]
次に、コヒーレンス関数γZY がターゲット信号yに占める信号源信号xに起因するパワースペクトルの割合を示すことを理論的に説明する。
【0033】
図3に、一例とする測定系をモデル化した図を示す。図3に示す測定系では、3つの信号源A、B、Cからの信号x、x、xが、それぞれ、伝達ゲインG、G、Gで伝達された後、合成されてターゲット信号yとなっている。
【0034】
各信号x、x、xは相互に無相関であるとする。このとき、ある1つの信号源に着目したとき、他の信号源はノイズnとして1つにまとめることができる。したがって、図3に例示する測定系を含め、どのような複雑な測定系でも、測定系は図4に一般化することができる。
【0035】
図4より、ターゲット信号yの周波数スペクトルであるターゲット信号スペクトルYは(2)式で表すことができる。また、プローブ信号zの周波数スペクトルであるプローブ信号スペクトルZは(3)式で表すことができる。なお、Gは信号源信号xがターゲット信号yの観測点まで伝達されるときの伝達関数、Hはプローブ14の伝達関数である。Xは信号源信号xの周波数スペクトル、Nはノイズの周波数スペクトルである。
【0036】
Y=GX+N (2)
Z=HX (3)
(2)式、(3)式より、WZZは(4)式の変形ができ、WZYは(5)式の変形ができる。
【数4】
【0037】
【数5】
これら(4)式と(5)式を(1)式に代入すると、(6)式が得られる。
【数6】
(6)式においてWXXは、信号源信号xのパワースペクトルの平均値である。(6)式から、コヒーレンス関数γZY は、ターゲット信号yに占める信号源信号xに起因するパワースペクトルの割合を示すことが証明された。
【0038】
コヒーレンス関数γZY は、プローブ信号zを用いて算出しており、プローブ信号zと信号源信号xの間には、伝達関数Hの影響分の相違がある。しかし、上記式を用いた証明により、コヒーレンス関数γZY には、伝達関数Hは影響しないことが示された。
【0039】
さらに、V=GXであるので、(7)式が成立する。なお、Vは、信号vの周波数スペクトルであり、信号vは信号源信号xが伝達関数Gによりターゲット信号yの観測点まで伝達された信号である。
【0040】
【数7】

(7)式を変形すると(8)式が得られる。
【0041】
【数8】
(8)式において、左辺のWVVは、ターゲット信号yのパワースペクトルに含まれている信号源信号xに起因する成分のパワースペクトルである。よって、コヒーレンス関数γZY に、ターゲット信号スペクトルYのパワースペクトルWYYを乗じることで、ターゲット信号yのパワースペクトルに含まれている信号源信号xに起因する成分のパワースペクトルが算出できる。
【0042】
[表示処理部22の説明]
表示処理部22は、図5に詳細を示す各部を備える。次に、図5をもとに、表示処理部22が実行する機能を説明する。表示処理部22は、データ読み込み部100、位置検出部110、メモリ120、グラフデータ作成部130、オーバーレイデータ作成部140、オーバーレイ処理部150を備えている。
【0043】
データ読み込み部100は、WVV、WYY、WZZ、WVZ、γZY を信号処理部21から読み込む。以下、データ読み込み部100が信号処理部21から読み込んだデータを総称して読み込みデータとする。
【0044】
位置検出部110は、カメラ画像を取得し、そのカメラ画像をもとにプローブ14の二次元位置を逐次検出する。プローブ14によりプローブ信号zを検出している状態では、カメラ画像にプローブ14が写っている。したがって、カメラ画像をもとにプローブ14の二次元位置を検出できる。
【0045】
メモリ120は、データ読み込み部100が読み込んだ読み込みデータと、位置検出部110が検出したプローブ14の位置とを対応付けて記憶する。このメモリ120には、処理装置20が備えるRAMを用いることができる。メモリ120に記憶したデータは、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置に保存してもよい。
【0046】
グラフデータ作成部130は、表示装置30のグラフ表示領域32にグラフを描画するためのグラフ描画データを作成する。グラフ表示領域32に描画するグラフは、たとえば、横軸を周波数とする。縦軸は、選択した区画のターゲット信号スペクトルYのパワースペクトルWYY、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZ、コヒーレンス関数γZY 、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZとコヒーレンス関数γZY との積WVZとする。また、縦軸をパワースペクトルWVVとしたグラフをグラフ表示領域32に表示してもよい。
【0047】
グラフの横軸に含まれる周波数帯は、操作者の入力操作によりグラフデータ作成部130に入力される周波数範囲により変更可能である。また、区画は、可視化表示領域31の1つの区画であり、操作者の入力操作により定まる。
【0048】
オーバーレイデータ作成部140は、カメラ画像に重畳するオーバーレイデータを作成する。オーバーレイデータは、オーバーレイ画像を示すデータである。オーバーレイ画像は、プローブ14の二次元位置と読み込みデータが示す値の大きさとの対応を示す二次元画像である。プローブ14の二次元位置は、可視化表示領域31の各区画に対応した離散化した位置である。読み込みデータが示す値の大きさは、色もしくは濃淡で表す。オーバーレイデータ作成部140は、可視化表示領域31の各区画の読み込みデータをメモリ120から取得し、取得したデータをもとに、オーバーレイデータを作成する。
【0049】
オーバーレイデータ作成部140にも、操作者の入力操作により周波数範囲が入力される。オーバーレイデータ作成部140に入力される周波数範囲は、グラフデータ作成部130に入力される周波数範囲とは異なる範囲を設定できる。読み込みデータは周波数により数値が異なる。各区画に対応する読み込みデータの値は、周波数範囲の最大値、平均値など、解析目的に応じて定まる値とする。
【0050】
図6に、オーバーレイ画像を例示する。図6において、左上に示しているカメラ画像以外の3つの画像が、オーバーレイ画像である。図6の右上の画像は、可視化表示領域31の区画ごとにプローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZを示す画像である。図6の左下の画像は、可視化表示領域31の区画ごとにコヒーレンス関数γZY を示す画像である。図6の右下の画像は、可視化表示領域31の区画ごとに積WVZを示す画像である。
【0051】
オーバーレイ処理部150は、表示装置30の可視化表示領域31に表示させるオーバーレイ後画像を示すデータであるオーバーレイ後画像データを作成する。そして、作成したオーバーレイ後画像データを表示装置30に出力する。これにより、表示装置30の可視化表示領域31にオーバーレイ後画像が表示される。
【0052】
図7に、オーバーレイ後画像を例示する。図7において、左上に示しているカメラ画像以外の3つの画像がオーバーレイ後画像である。図7の右上の画像は、カメラ画像に図6の右上の画像を重畳した画像である。図7の左下の画像は、カメラ画像に図6の左下の画像を重畳した画像である。図7の右下の画像は、カメラ画像に図6の右下の画像を重畳した画像である。いずれのオーバーレイ後画像も、カメラ画像を視認可能にしつつも、カメラ画像に、オーバーレイ画像が重畳表示された画像である。
【0053】
オーバーレイ後画像が表示されることで、ノイズ源(すなわち信号源)とノイズの大きさとの関係を容易に理解できる。図7には、4つの画像が並んで示されているが、可視化表示領域31には、選択的に1つの画像を表示する。ただし、これとは別の態様として、事前に設定された1つあるいは複数の画像が可視化表示領域31に表示されるようになっていてもよい。
【0054】
[3つのオーバーレイ後画像の違い]
図7に示す3つのオーバーレイ後画像の違いを説明する。プローブ信号zのパワースペクトルWZZを示す画像には、3つのノイズ源1、2、3が観測できる。しかし、これら3つのノイズ源1、2、3がターゲット信号yに影響を与えているかどうかは、この画像からは分からない。
【0055】
コヒーレンス関数γZY を示す画像を見ると、左下の1つの領域のみが、コヒーレンス関数γZY が高いことが分かる。この画像を見ることで、ターゲット信号yに影響を与えているノイズ源は、ノイズ源2であることが分かる。さらに、積WVZを示す画像を見ると、ターゲット信号yに影響を与えているノイズ源が、ノイズ源2であることが、より明確に分かる。
【0056】
コヒーレンス関数γZY と積WVZとの違いを示すために、図8に示すシミュレーションを説明する。図8に示すシミュレーションでは、2個のノイズ源1、2をx軸上の+30mmおよび-30mmの位置に配置する。2個のノイズ源1、2の周波数差は周波数分解能より小さい。ターゲット信号yに対してはノイズ源1のみが寄与している。高さを固定してプローブ14を走査させて、プローブ信号zを検出する。このプローブ信号zをもとに、コヒーレンス関数γZY と、積WVZを算出する。
【0057】
図9に、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZ、コヒーレンス関数γZY 、積WVZの位置変化を示す。図9上段のグラフに示されるように、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZは、-30mmと30mmの位置にピークがある。図9中段のグラフに示されるように、コヒーレンス関数γZY は、ノイズ源2の位置では0になっている。これに対して、ノイズ源1の位置では1になっている。ただし、ノイズ源1の位置以外でも、コヒーレンス関数γZY は1など高い値になっている。しかし、ノイズ源の位置は分かっているのが通常である。図8の例では、ノイズ源の位置は-30mmおよび30mmであることは分かっている。したがって、30mmの位置のコヒーレンス関数γZY が0であることが分かれば、ターゲット信号yに影響を与えているノイズ源はノイズ源1であることが分かる。このように、位置とコヒーレンス関数γZY の関係から、ターゲット信号yに影響を与えているノイズ源を推定することができる。
【0058】
図9下段に示す積WVZは、図9上段のグラフと図9中段のグラフの積になる。したがって、積WVZはコヒーレンス関数γZY よりも、ターゲット信号yに影響するノイズ源の位置を明確に知ることができる。
【0059】
[第1実施形態のまとめ]
以上、説明した第1実施形態の信号源推定システム10によれば、ターゲット信号yとプローブ信号zを取得し、それらの信号から、コヒーレンス関数γZY を算出する。プローブ信号zに伝達関数Hの影響があるにも関わらず、コヒーレンス関数γZY は、上述した数学的説明が示すように、ターゲット信号yのパワースペクトルに占める信号源信号xのパワースペクトルの割合を表している。
【0060】
信号源推定システム10は、このコヒーレンス関数γZY を、プローブ14の位置に対応付けて表示装置30に表示する。よって、信号源推定システム10を操作する操作者は、表示装置30を見ることで、ターゲット信号yに影響を与えている信号源の位置を容易に推定できる。
【0061】
特に、本実施形態では、コヒーレンス関数γZY をプローブ14の位置に対応付けた画像として、オーバーレイ後画像を表示装置30に表示する。コヒーレンス関数γZY のオーバーレイ後画像は、カメラ画像を視認可能にしつつ、カメラ画像に、コヒーレンス関数γZY とプローブ14の二次元位置とを対応付けた画像が重畳された画像である(図7左下画像)。したがって、どの信号源が、ターゲット信号yに影響を与えている信号源であるかを特に推定しやすい。
【0062】
また、本実施形態では、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZと、コヒーレンス関数γZY の積WVZを算出する。この積WVZが大きな値になる場合、ターゲット信号yのパワースペクトルWYYに占める信号源信号xのパワースペクトルWXXの割合が高く、かつ、プローブ信号zのパワースペクトルWZZも大きいことになる。よって、この積WVZが大きな値になるプローブ信号zを検出する位置が、ターゲット信号yに影響を与えている信号源の位置であると推定できる。
【0063】
プローブ14の二次元位置と積WVZとの関係を示す画像も、カメラ画像を視認可能にしつつ、カメラ画像に重畳表示されている(図7右下画像)。操作者は、この画像を見ることで、ターゲット信号yに影響を与えている信号源の位置を明確に推定できる。
【0064】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0065】
図10に第2実施形態の信号処理部221を示す。信号処理部221は、第1実施形態の信号処理部21に代えて用いることができるものである。
【0066】
信号処理部221は、信号処理部21が備えていたコヒーレンス関数算出部80、乗算部90を備えていない。代わりに、信号処理部221は、伝達関数推定部180、2乗部182、乗算部184、コヒーレンス関数算出部190を備える。信号処理部221の他の構成は、信号処理部21と同じである。
【0067】
伝達関数推定部180は、プローブ信号zからターゲット信号yへの伝達系に、クロススペクトル法による伝達関数推定を適用する。すなわち、平均化されたクロススペクトルWZYを、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZで割る。伝達関数推定部180は、WZYをWZZで割った値を2乗部182に出力する。
【0068】
2乗部182は、伝達関数推定部180から取得した値を2乗する。乗算部184は、2乗部182が出力した値と、プローブ信号スペクトルZのパワースペクトルWZZの積を算出し、算出した値を表示処理部22に出力する。算出した値は、次に説明するように、ターゲット信号yのパワースペクトルに含まれている信号源信号xに起因する成分のパワースペクトルWVVである。
【0069】
次に、乗算部184が算出した値がパワースペクトルWVVであることを説明する。下記(9)式は、プローブ信号スペクトルZとターゲット信号スペクトルYに対してクロススペクトル法を適用した場合の式変形であり、クロススペクトル法に、さらに、前述した(2)式、(3)式を適用している。
【数9】
(9)式を2乗し、かつWZZを乗じると、(10)式に示す式変形ができる。(10)式において、1行目は(9)式の両辺を2乗して、かつWZZを乗じた式であり、2行目は、WZZによる約分をし、かつ、分母分子にWYYを乗じた式である。
【0070】
【数10】
(10)式より、乗算部184が算出した値はパワースペクトルWVVを意味していることが示された。
【0071】
コヒーレンス関数算出部190は、乗算部184が算出した値を、第1平均化処理部71にて平均化されたターゲット信号スペクトルYのパワースペクトルWYYで割る。上述したように、乗算部184が算出した値はパワースペクトルWVVを意味している。これをパワースペクトルWYYで割った値は、前述した(7)式より、コヒーレンス関数γZY になる。コヒーレンス関数算出部190は、算出した値を表示処理部22に出力する
この第2実施形態でも、計算手順は異なるものの、第1実施形態と同じ各種の値が算出できる。よって、第1実施形態と同じ効果が得られる。
【0072】
以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0073】
<変形例1>
実施形態では、コヒーレンス関数γZY あるいは積WVZをプローブ14の位置に対応付けた画像として、オーバーレイ画像をカメラ画像に重畳したオーバーレイ後画像(図7左下画像、図7右下画像)を表示装置30に表示していた。しかし、コヒーレンス関数γZY あるいは積WVZをプローブ14の位置に対応付けた画像として、オーバーレイ画像をカメラ画像に重畳せず、オーバーレイ画像をそのまま表示装置30に表示してもよい。オーバーレイ画像は、図6に例示した画像である。図6に示す画像からでも、ターゲット信号yに影響を与える信号源を容易に推定できる。
【符号の説明】
【0074】
10:信号源推定システム 11:カメラ 12:ターゲット信号検出線 14:プローブ 16:ECU 18:電子機器 20:処理装置 21:信号処理部 22:表示処理部 30:表示装置 31:可視化表示領域 32:グラフ表示領域 40:周波数変換部 50:パワースペクトル算出部 60:クロススペクトル算出部 70:平均化処理部 80:コヒーレンス関数算出部 90:乗算部 92:乗算部 100:データ読み込み部 110:位置検出部 120:メモリ 130:グラフデータ作成部 140:オーバーレイデータ作成部 150:オーバーレイ処理部 180:伝達関数推定部 184:乗算部 190:コヒーレンス関数算出部 221:信号処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY)を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
前記検出子信号のパワースペクトル(WZZ)を算出するパワースペクトル算出部(52)と、
前記コヒーレンス関数と、平均化した前記検出子信号のパワースペクトルとの積(WVZ)を算出し、算出した値を出力する乗算部(92)と、
前記検出子の位置を検出する位置検出部(110)と、
前記乗算部が算出した前記積を、前記位置検出部が検出した前記検出子の位置に対応付けて、表示装置(30)に表示する表示処理部(22)と、
を備える信号源推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号源推定装置であって、
前記検出子により信号源の位置を推定する範囲を撮影するカメラ(11)を備え、
前記表示処理部は、前記表示装置に、前記カメラが撮影した画像を視認可能にしつつ、前記カメラが撮影した画像に、前記検出子の二次元位置と前記積との関係を示す画像を重畳表示する、信号源推定装置。
【請求項3】
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY )を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
前記検出子の位置を検出する位置検出部(110)と、
前記コヒーレンス関数を、前記位置検出部が検出した前記検出子の位置に対応付けて表示装置(30)に表示する表示処理部(22)と、
前記検出子により信号源の位置を推定する範囲を撮影するカメラ(11)と、
を備え、
前記表示処理部は、前記表示装置に、前記カメラが撮影した画像を視認可能にしつつ、前記カメラが撮影した画像に、前記検出子の二次元位置と前記コヒーレンス関数との関係を示す画像を重畳表示する、信号源推定装置。
【請求項4】
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、それぞれ所定位置に存在する複数の信号源を備える対象装置に接近させて順次移動させた検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY)を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
前記検出子信号のパワースペクトル(WZZ)を算出するパワースペクトル算出部(52)と、
前記コヒーレンス関数と、平均化した前記検出子信号のパワースペクトルとの積(WVZ)を算出し、算出した値を出力する乗算部(92)と、
を備える信号源推定装置。
【請求項5】
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、それぞれ所定位置に存在する複数の信号源を備える対象装置に接近させて順次移動させた検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY)を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
前記検出子の位置を検出する位置検出部(110)と、
前記コヒーレンス関数を、前記位置検出部が検出した前記検出子の位置に対応付けて表示装置(30)に表示する表示処理部(22)と、
を備える信号源推定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するための1つの開示は、
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY)を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
検出子信号のパワースペクトル(WZZ)を算出するパワースペクトル算出部(52)と、
コヒーレンス関数と、平均化した検出子信号のパワースペクトルとの積(WVZ)を算出し、算出した値を出力する乗算部(92)と、
検出子の位置を検出する位置検出部(110)と、
乗算部が算出した積を、位置検出部が検出した検出子の位置に対応付けて、表示装置(30)に表示する表示処理部(22)と、を備える信号源推定装置である。
上記目的を達成するための1つの開示は、
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、それぞれ所定位置に存在する複数の信号源を備える対象装置に接近させて順次移動させた検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY )を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
検出子信号のパワースペクトル(WZZ)を算出するパワースペクトル算出部(52)と、
コヒーレンス関数と、平均化した検出子信号のパワースペクトルとの積(WVZ)を算出し、算出した値を出力する乗算部(92)と、を備える信号源推定装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記目的を達成するための他の1つの開示は、
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY)を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
検出子の位置を検出する位置検出部(110)と、
コヒーレンス関数を、位置検出部が検出した検出子の位置に対応付けて表示装置(30)に表示する表示処理部(22)と、検出子により信号源の位置を推定する範囲を撮影するカメラ(11)と、を備え
表示処理部は、表示装置に、カメラが撮影した画像を視認可能にしつつ、カメラが撮影した画像に、検出子の二次元位置とコヒーレンス関数との関係を示す画像を重畳表示する、信号源推定装置である。
上記目的を達成するための1つの開示は、
解析対象の信号であるターゲット信号(y)と、それぞれ所定位置に存在する複数の信号源を備える対象装置に接近させて順次移動させた検出子(14)により検出された信号である検出子信号(z)とのコヒーレンス関数(γZY )を算出するコヒーレンス関数算出部(80、190)と、
検出子の位置を検出する位置検出部(110)と、
コヒーレンス関数を、位置検出部が検出した検出子の位置に対応付けて表示装置(30)に表示する表示処理部(22)と、を備える信号源推定装置である。