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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013462
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】昇降圧インバータおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/537 20060101AFI20220111BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20220111BHJP
【FI】
H02M7/537
H02M7/48 R
H02M7/48 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020122365
(22)【出願日】2020-07-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】202010629514.9
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520137305
【氏名又は名称】安徽工業大学
【氏名又は名称原語表記】ANHUI UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】59 Hudong Road Maanshan,Anhui 243032 China
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】胡 雪峰
(72)【発明者】
【氏名】龍 子康
(72)【発明者】
【氏名】江 順徳
(72)【発明者】
【氏名】沈 浩
(72)【発明者】
【氏名】張 玉勃
(72)【発明者】
【氏名】姚 志壘
(72)【発明者】
【氏名】楊 雲虎
(72)【発明者】
【氏名】鄭 詩程
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA01
5H770BA11
5H770CA04
5H770CA05
5H770CA06
5H770EA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】入力側と出力側が共通接地され、漏れ電流がなくなりストレートスルーの問題が解決される昇降圧インバータとその制御方法を提供する。
【解決手段】昇降圧インバータは、入力電源U、トランジスタS1~6、コンデンサC1,2、インダクタL1~4、ダイオードD1~3を含む。Sの一端は、U、Sの一端に接続され、二端は、Dのカソード及びLに接続され、DのアノードはSの一端に接続され、Sの一端は、Uの他端、C、L、Sの二端、C及び出力側に接続され、Lの他端は、Sの一端、Dのアノードに接続され、Dのカソードは、Cの他端、Sの一端に接続され、Sの第2の端は、Lに接続され、Lの他端は、L及びSの一端に接続され、Lの他端は、出力側の他端に接続され、Sの二端Cの他端は、Dのアノードに接続され、Dのカソードは、Lの他端及びSの二端に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフィルターインダクタL、第2のフィルターインダクタL、第3のフィルターインダクタL、第4のフィルターインダクタL、第1のスイッチングトランジスタS、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、第5のスイッチングトランジスタS、第6のスイッチングトランジスタS、第1のフィルターコンデンサC、第2のフィルターコンデンサC、第1のダイオードD、第2のダイオードD、および第3のダイオードDを含み、そのうち、
第2のスイッチングトランジスタSの第1の端は、入力電源Uinの一端および第1のスイッチングトランジスタSの第1の端に接続され、第2のスイッチングトランジスタSの第2の端は、第2のダイオードDのカソードおよび第2のフィルターインダクタLの一端に接続され、
第2のダイオードDのアノードは、第3のスイッチングトランジスタSの第2の端に接続され、
第3のスイッチングトランジスタSの第1の端は、入力電源Uinの他端、第1のフィルターコンデンサCの一端、第1のフィルターインダクタLの一端、第4のスイッチングトランジスタSの第2の端、第2のフィルターコンデンサCの一端および出力側の一端に接続され、
第2のフィルターインダクタLの他端は、第4のスイッチングトランジスタSの第1の端、および第3のダイオードDのアノードに接続され、
第3のダイオードDのカソードは、第2のフィルターコンデンサCの他端および第5のスイッチングトランジスタSの第1の端に接続され、
第5のスイッチングトランジスタS5の第2の端は、第4のフィルターインダクタL4の一端に接続され、
第4のフィルターインダクタL4の他端は、第3のフィルターインダクタL3の一端および第6のスイッチングトランジスタS6の第1の端に接続され、第3のフィルターインダクタL3の他端は、出力側の他端に接続され、
第6のスイッチングトランジスタS6の第2の端は、第1のフィルターコンデンサC1の他端および第1のダイオードD1のアノードに接続され、
第1のダイオードD1のカソードは、第1のフィルターインダクタL1の他端および第1のスイッチングトランジスタS1の第2の端に接続されることを特徴とする昇降圧インバータ。
【請求項2】
前記入力電源Uinは、出力側と共通接地されることを特徴とする、請求項1に記載の昇降圧インバータ。
【請求項3】
前記第1のスイッチングトランジスタS1、第2のスイッチングトランジスタS2、第3のスイッチングトランジスタS3、第4のスイッチングトランジスタS4、第5のスイッチングトランジスタS5および第6のスイッチングトランジスタS6は、MOSFETまたはIGBTであることを特徴とする、請求項2に記載の昇降圧インバータ。
【請求項4】
前記第1のダイオードD1、第2のダイオードD2および第3のダイオードD3は、炭化ケイ素ダイオードまたは高速回復ダイオードであることを特徴とする、請求項3に記載の昇降圧インバータ。
【請求項5】
前記入力電源Uinは、蓄電池、燃料電池または太陽電池を用いた直流電源であることを特徴とする、請求項4に記載の昇降圧インバータ。
【請求項6】
前記出力側は、グリッドまたは負荷であることを特徴とする、請求項5に記載の昇降圧インバータ。
【請求項7】
前記負荷の種類は、抵抗性、誘導性または容量性であることを特徴とする、請求項6に記載の昇降圧インバータ。
【請求項8】
入力電源Uin>出力側電圧ugと、入力電源Uin≦出力側電圧ugとの2つのスイッチモードがあり、
入力電源Uin>出力側電圧ugの場合、出力側電圧ugが正の半サイクルにあるとき、第1のスイッチングトランジスタS1、第4のスイッチングトランジスタS4、および第6のスイッチングトランジスタS6は常にオフにされ、第3のスイッチングトランジスタS3、および第5のスイッチングトランジスタS5は常にオンにされ、第2のスイッチングトランジスタS2は高周波で切り替えられ、
入力電源Uin>出力側電圧ugの場合、出力側電圧ugが負の半サイクルにあるとき、第2のスイッチングトランジスタS2、第3のスイッチングトランジスタS3、第4のスイッチングトランジスタS4、および第5のスイッチングトランジスタS5は常にオフにされ、第6のスイッチングトランジスタS6は常にオンにされ、第1のスイッチングトランジスタS1は高周波で切り替えられ、
入力電源Uin≦出力側電圧ugの場合、正の半サイクルでも負の半サイクルでも、昇降圧モードで動作し、
出力側電圧ugが正の半サイクルにあるとき、第1のスイッチングトランジスタS1、および第6のスイッチングトランジスタS6は常にオフにされ、第2のスイッチングトランジスタS2、第3のスイッチングトランジスタS3、および第5のスイッチングトランジスタS5は常にオンにされ、第4のスイッチングトランジスタS4は高周波で切り替えられ、
出力側電圧ugが負の半サイクルにあるとき、第2のスイッチングトランジスタS2、第3のスイッチングトランジスタS3、第4のスイッチングトランジスタS4、および第5のスイッチングトランジスタS5は常にオフにされ、第6のスイッチングトランジスタS6は常にオンにされ、第1のスイッチングトランジスタS1は高周波で切り替えられ、
正と負の半サイクルに対応する高周波スイッチはそれぞれ1つだけである、ことを特徴とする、請求項1-7のいずれか一項に記載の昇降圧インバータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換の技術分野に関し、より具体的には、昇降圧インバータおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染の深刻化や化石エネルギーの不足に伴い、太陽光発電、風力発電、燃料電池発電などの新エネルギー発電技術は、無公害・再生可能エネルギーなどのメリットから人々の注目を集めている。ただし、太陽光発電、風力発電や燃料電池発電からの電気出力は直流(DC)であるが、グリッド電圧は交流(AC)である。従って、系統連系インバータは、新エネルギー発電技術とグリッドとの間の主要なインターフェース回路となっている。また、太陽光発電や燃料電池発電は、外部環境からの干渉を受けやすいため、出力電圧の変動幅が広くなり、出力電圧がグリッド電圧よりも高い場合や、グリッド電圧よりも低い場合があり、その結果、インバータには昇降圧機能が求められている。
【0003】
従来の降圧ブリッジインバータではこれに対応できず、前段DC/DCコンバータを必要とすることが多く、これにより、システムの制御の複雑さが増加し、システムの信頼性が低下する。従来のブリッジインバータでは、ストレートスルーの問題により、デッドタイムを設定しなければならず、かつ、従来の回路では漏れ電流が発生し、システムの安全性に一定の影響を与える。
【0004】
中国発明特許(公開番号:CN106877723A)には、昇降圧インバータおよびその制御方法が開示されており、広い入力電圧範囲で動作でき、信頼性の高い昇降圧インバータである単段昇降圧インバータが実現される。中国発明特許(登録番号:CN106849177A、登録日:2019年1月18日)には、入力電圧範囲の広い高信頼性昇降圧インバータが単段インバータとして提案される。中国発明特許(登録番号:CN106849723A、登録日:2019年8月2日)には、提案された主回路トポロジーに基づき、回路の昇圧・降圧モードでの動作を可能にする新たな制御方法が提案されている。しかしながら、上記特許で提案されているインバータでは、回路に漏れ電流が発生し、システムの安全性や効率が低下するという問題が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術における昇降圧インバータに漏れ電流が発生するという技術的課題に鑑みて、本発明は、昇降圧インバータおよびその制御方法を提供する。本発明によれば、漏れ電流をなくすことができ、システムの安全性と効率を向上させるとともに、回路の体積が小さく部品の点数が少ないため、回路のコストが削減される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一方で、本発明は、昇降圧インバータを提供しており、第1のフィルターインダクタL1、第2のフィルターインダクタL2、第3のフィルターインダクタL3、第4のフィルターインダクタL4、第1のスイッチングトランジスタS1、第2のスイッチングトランジスタS2、第3のスイッチングトランジスタS3、第4のスイッチングトランジスタS4、第5のスイッチングトランジスタS5、第6のスイッチングトランジスタS6、第1のフィルターコンデンサC1、第2のフィルターコンデンサC2、第1のダイオードD1、第2のダイオードD2、および第3のダイオードD3を含み、そのうち、
【0007】
第2のスイッチングトランジスタSの第1の端は、入力電源Uinの一端および第1のスイッチングトランジスタSの第1の端に接続され、第2のスイッチングトランジスタSの第2の端は、第2のダイオードDのカソードおよび第2のフィルターインダクタLの一端に接続され、
【0008】
第2のダイオードDのアノードは、第3のスイッチングトランジスタSの第2の端に接続され、
【0009】
第3のスイッチングトランジスタSの第1の端は、入力電源Uinの他端、第1のフィルターコンデンサCの一端、第1のフィルターインダクタLの一端、第4のスイッチングトランジスタSの第2の端、第2のフィルターコンデンサCの一端および出力側の一端に接続され、
【0010】
第2のフィルターインダクタLの他端は、第4のスイッチングトランジスタSの第1の端、および第3のダイオードDのアノードに接続され、
【0011】
第3のダイオードDのカソードは、第2のフィルターコンデンサCの他端および第5のスイッチングトランジスタSの第1の端に接続され、
【0012】
第5のスイッチングトランジスタSの第2の端は、第4のフィルターインダクタLの一端に接続され、
【0013】
第4のフィルターインダクタLの他端は、第3のフィルターインダクタLの一端および第6のスイッチングトランジスタSの第1の端に接続され、第3のフィルターインダクタLの他端は、出力側の他端に接続され、
【0014】
第6のスイッチングトランジスタSの第2の端は、第1のフィルターコンデンサCの他端および第1のダイオードDのアノードに接続され、
【0015】
第1のダイオードDのカソードは、第1のフィルターインダクタLの他端および第1のスイッチングトランジスタSの第2の端に接続される。
【0016】
本発明のさらなる改良として、前記入力電源Uinは、出力側と共通接地される。
【0017】
本発明のさらなる改良として、前記第1のスイッチングトランジスタS、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、第5のスイッチングトランジスタSおよび第6のスイッチングトランジスタSは、MOSFETまたはIGBTである。
【0018】
本発明のさらなる改良として、前記第1のダイオードD、第2のダイオードDおよび第3のダイオードDは、炭化ケイ素ダイオードまたは高速回復ダイオードである。
【0019】
本発明のさらなる改良として、前記入力電源Uinは、蓄電池、燃料電池または太陽電池を用いた直流電源である。
【0020】
本発明のさらなる改良として、前記出力側は、グリッドまたは負荷である。
【0021】
本発明のさらなる改良として、前記負荷の種類は、抵抗性、誘導性または容量性である。
【0022】
もう一方で、本発明はさらに、昇降圧インバータに対応する制御方法を提供しており、入力電源Uin>出力側電圧uと、入力電源Uin≦出力側電圧uとの2つのスイッチモードに分割され、
【0023】
入力電源Uin>出力側電圧uの場合、出力側電圧uが正の半サイクルにあるとき、第1のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第6のスイッチングトランジスタSは常にオフにされ、第3のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSは常にオンにされ、第2のスイッチングトランジスタSのスイッチは高周波で切り替えられ、
【0024】
入力電源Uin>出力側電圧uの場合、出力側電圧uが負の半サイクルにあるとき、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSは常にオフにされ、第6のスイッチングトランジスタSは常にオンにされ、第1のスイッチングトランジスタSのスイッチは高周波で切り替えられ、
【0025】
入力電源Uin≦出力側電圧uの場合、正の半サイクルでも負の半サイクルでも、昇降圧モードで動作し、
【0026】
出力側電圧uが正の半サイクルにあるとき、第1のスイッチングトランジスタS、および第6のスイッチングトランジスタSは常にオフにされ、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSは常にオンにされ、第4のスイッチングトランジスタSは高周波で切り替えられ、
【0027】
出力側電圧uが負の半サイクルにあるとき、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSは常にオフにされ、第6のスイッチングトランジスタSは常にオンにされ、第1のスイッチングトランジスタSは高周波で切り替えられ、
【0028】
正と負の半サイクルに対応する高周波スイッチはそれぞれ1つだけである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によって提供される技術的解決手段は、既存の周知の技術と比較して、以下の顕著な効果を有する。
【0030】
(1)本発明に係る昇降圧インバータは、昇圧/降圧モジュールとインバータモジュールを組み合わせた従来の技術的解決手段と異なり、単段回路構造を独創的に採用し、体積が小さく、部品の点数が少なく、回路のコストが削減され、かつその入力側と出力側が共通接地されるため、漏れ電流をなくすことができる。
【0031】
(2)本発明に係る昇降圧インバータは、昇降圧を実現するとともに、インバータの機能を実現することができ、従来のブリッジインバータのパワースイッチングトランジスタによく見られるストレートスルーの問題がなく、システムの信頼性が向上し、各スイッチングトランジスタにデッドタイムを設定する必要がなく、系統連系電流の波形品質が向上する。
【0032】
(3)本発明に係る昇降圧インバータの制御方法により、昇降圧インバータは広い電圧値入力範囲で動作でき、かつ高い変換効率を有するため、様々な用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明に係る昇降圧インバータの回路構造の概略図である。
図2】本発明における昇降圧インバータの動作モード1の等価回路構造の概略図である。
図3】本発明における昇降圧インバータの動作モード2の等価回路構造の概略図である。
図4】本発明における昇降圧インバータの動作モード3の等価回路構造の概略図である。
図5】本発明における昇降圧インバータの動作モード4の等価回路構造の概略図である。
図6】本発明における昇降圧インバータの動作モード一の等価回路構造の概略図である。
図7】本発明における昇降圧インバータの動作モード二の等価回路構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の内容をさらに理解するために、図面および実施例を参照し、本発明について詳細に説明する。本明細書で記載される具体的な実施例は、関連する発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことが理解され得る。なお、説明を容易にするために、本発明に関連する部分のみが図面に示されていることにも留意すべきである。本発明に記載される「第1」、「第2」などの用語は、本発明の技術的解決手段を説明する便宜のために提供され、特定の限定効果はなく、いずれも一般的なものであり、本発明の技術的解決手段に対する限定効果を構成しない。なお、本願の実施例と実施例における特徴は、矛盾がなければ、互いに組み合わせてもよいことに留意すべきである。以下、図面を参照して、実施例に関連して本願を詳細に説明する。
【0035】
本発明に記載の昇降圧インバータは、直流電源として入力電源Uinを有し、この直流電源は、蓄電池、燃料電池または太陽電池であり得、使用する直流電源の選択に応じて、昇降圧インバータは、異なる環境で応用でき、それによって、異なる応用の要件を満たすことができる。その出力側は、グリッドまたは負荷であり得、出力側が負荷である場合、接続された負荷は、抵抗性、誘導性または容量性負荷であり得、異なる入力電圧要件を持つ電気設備に対して給電することができる。
【0036】
自動車の電源システムを一例として、人々の物質的な生活の向上に伴って、その需要もだんだん増えてきて、自動車の給電電源の出力は、携帯電話、パワーバンク、またはその他の電子製品を充電するためのものに過ぎず、さらに、アウトドアスポーツやキャラバンなどの市場に位置づけられるファミリーカーを給電する必要もあり、こうして、電磁調理器や電子レンジなどの家電製品を使用して車内で調理する人々の需要に応えるため、車内に交流220Vの電力を出力することが求められる。自動車では、通常、入力電源として蓄電池や太陽電池などを使用し、さらに本発明におけるインバータの昇降圧機能を利用することにより、上記の要件を満たすことができる。
【0037】
また、本発明で適用されるスイッチングトランジスタ部品およびダイオードは柔軟に選択され、異なる応用の需要を満たすために、実際の応用に存在するコスト、効率や安全性などの要因を総合的に考慮してスイッチングトランジスタの種類を決定することができる。スイッチングトランジスタ部品はMOSFETまたはIGBTであり得、MOSFETを選択する場合、これらのスイッチングトランジスタの第1の端はドレインであり、第2の端はソースであり、第3の端はベースであるが、IGBTを選択する場合、スイッチングトランジスタの第1の端はコレクタであり、第2の端はエミッタであり、第3の端はゲートである。ダイオードは、炭化ケイ素ダイオードまたは高速回復ダイオードであり得る。
【実施例0038】
図1に示すように、本実施例は、昇降圧インバータを提供しており、第1のフィルターインダクタL、第2のフィルターインダクタL、第3のフィルターインダクタL、第4のフィルターインダクタL、第1のスイッチングトランジスタS、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、第5のスイッチングトランジスタS、第6のスイッチングトランジスタS、第1のフィルターコンデンサC、第2のフィルターコンデンサC、第1のダイオードD、第2のダイオードD、および第3のダイオードDを含み、そのうち、
【0039】
第2のスイッチングトランジスタSの第1の端は、入力電源Uinの一端および第1のスイッチングトランジスタSの第1の端に接続され、第2のスイッチングトランジスタSの第2の端は、第2のダイオードDのカソードおよび第2のフィルターインダクタLの一端に接続され、
【0040】
第2のダイオードDのアノードは、第3のスイッチングトランジスタSの第2の端に接続され、
【0041】
第3のスイッチングトランジスタSの第1の端は、入力電源Uinの他端、第1のフィルターコンデンサCの一端、第1のフィルターインダクタLの一端、第4のスイッチングトランジスタSの第2の端、第2のフィルターコンデンサCの一端および出力側の一端に接続され、
【0042】
第2のフィルターインダクタLの他端は、第4のスイッチングトランジスタSの第1の端、および第3のダイオードDのアノードに接続され、
【0043】
第3のダイオードDのカソードは、第2のフィルターコンデンサCの他端および第5のスイッチングトランジスタSの第1の端に接続され、
【0044】
第5のスイッチングトランジスタSの第2の端は、第4のフィルターインダクタLの一端に接続され、
【0045】
第4のフィルターインダクタLの他端は、第3のフィルターインダクタLの一端および第6のスイッチングトランジスタSの第1の端に接続され、第3のフィルターインダクタLの他端は、出力側の他端に接続され、
【0046】
第6のスイッチングトランジスタSの第2の端は、第1のフィルターコンデンサCの他端および第1のダイオードDのアノードに接続され、
【0047】
第1のダイオードDのカソードは、第1のフィルターインダクタLの他端および第1のスイッチングトランジスタSの第2の端に接続される。
【0048】
本実施例では、入力電源Uinが出力側と共通接地されるため、漏れ電流がなくなり、回路の安全性が確保され、インバータが配置されるシステムの安全性が向上する。
【0049】
前記入力電源Uinが太陽電池であり、出力側がグリッドである場合、太陽電池から出力される電力をグリッドにフィードバックすることができる。
【0050】
本実施例に係る昇降圧インバータは、昇圧/降圧モジュールとインバータモジュールを組み合わせた従来の技術的解決手段と異なり、単段回路構造を独創的に採用し、体積が小さく、部品の点数が少なく、かつ部品を柔軟に選択でき、回路のコストが削減される。昇降圧を実現するとともに、インバータの機能を実現することもでき、かつ従来のブリッジインバータによく見られるストレートスルーの問題がなく、各スイッチングトランジスタにデッドタイムを設定する必要がなく、系統連系電流の波形品質が向上する。
【実施例0051】
実施例1に記載の昇降圧インバータに基づいて、本実施例は、昇降圧インバータ制御方法を提供する。
【0052】
図2および図3に示すように、入力電源Uin>出力側電圧uの場合、出力側電圧uが正の半サイクルにあるとき、第1のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第6のスイッチングトランジスタSは常にオフにされ、第3のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSは常にオンにされ、第2のスイッチングトランジスタSは高周波で切り替えられる。グリッド電流iの大きさは、グリッド電流iとグリッド電圧uが同じ周波数で同相になるように、第2のスイッチングトランジスタSのデューティ比を調整することで調整できる。
【0053】
図4および図5に示すように、入力電源Uin>出力側電圧uの場合、出力側電圧uが負の半サイクルにあるとき、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSは常にオフにされ、第6のスイッチングトランジスタSは常にオンにされ、第1のスイッチングトランジスタSは高周波で切り替えられる。グリッド電流iの大きさは、グリッド電流iとグリッド電圧uが同じ周波数で同相になるように、第1のスイッチングトランジスタSのデューティ比を調整することで調整できる。
【0054】
入力電源Uin≦出力側電圧uの場合、正の半サイクルでも負の半サイクルでも、昇降圧モードで動作し、
【0055】
図6および図7に示すように、出力側電圧uが正の半サイクルにあるとき、第1のスイッチングトランジスタS、および第6のスイッチングトランジスタSは常にオフにされ、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSは常にオンにされ、第4のスイッチングトランジスタSは高周波で切り替えられる。グリッド電流iの大きさは、グリッド電流iとグリッド電圧uが同じ周波数で同相になるように、第4のスイッチングトランジスタSのデューティ比を調整することで調整できる。
【0056】
出力側電圧uが負の半サイクルにあるとき、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSは常にオフにされ、第6のスイッチングトランジスタSは常にオンにされ、第1のスイッチングトランジスタSは高周波で切り替えられる。グリッド電流iの大きさは、グリッド電流iとグリッド電圧uが同じ周波数で同相になるように、第1のスイッチングトランジスタSのデューティ比を調整することで調整できる。正と負の半サイクルに対応する高周波スイッチはそれぞれ1つだけである。
【0057】
上記制御方法により、前記昇降圧インバータは広い入力範囲で動作でき、かつ高い変換効率を有するために、様々な用途に適用できる。
【0058】
本実施例では、以下のように想定される。
【0059】
〔1〕すべてのダイオードおよびスイッチングトランジスタは、オン/オフ時間やオン状態の電圧降下を考慮せずに、理想的なデバイスであり、〔2〕すべてのインダクタとコンデンサは理想的なデバイスである。グリッド電流iは、正弦波パルス幅変調またはヒステリシス電流制御を採用でき、本実施例において、正弦波パルス幅変調が採用され、入力電圧がグリッド電圧以上または以下の場合、それぞれ4つのスイッチモードがあり、具体的な分析は次のとおりである。
【0060】
in>uの場合
【0061】
1)スイッチモード1
【0062】
図2に示すように、第1のスイッチングトランジスタS、および第4のスイッチングトランジスタSはオフにされ、第6のスイッチングトランジスタSはオフにされる。第2のスイッチングトランジスタS、および第3のスイッチングトランジスタSはオンにされ、第5のスイッチングトランジスタSはオンにされる。第1のスイッチングトランジスタS、および第4のスイッチングトランジスタSにかかる電圧ストレスはUinであり、第2のダイオードDにかかる電圧ストレスはUinであり、第1のダイオードD、および第3のスイッチングトランジスタSにかかる電圧ストレスは0であり、第6のスイッチングトランジスタSにかかる電圧ストレスはuである。
【0063】
2)スイッチモード2
【0064】
図3に示すように、第1のスイッチングトランジスタS、第2のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第6のスイッチングトランジスタSはオフにされ、第3のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSはオンにされる。第1のスイッチングトランジスタS、および第2のスイッチングトランジスタSにかかる電圧ストレスはUinであり、第4のスイッチングトランジスタS、および第6のスイッチングトランジスタSにかかる電圧ストレスはuである。第1のダイオードDにかかる電圧ストレスは0である。
【0065】
3)スイッチモード3
【0066】
図4に示すように、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSはオフにされ、第1のスイッチングトランジスタS、および第6のスイッチングトランジスタSはオンにされる。
【0067】
4)スイッチモード4
【0068】
図5に示すように、第1のスイッチングトランジスタS、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSはオフにされ、第6のスイッチングトランジスタSはオンにされる。
【0069】
in≦uの場合
【0070】
1)スイッチモード一
【0071】
図6に示すように、第1のスイッチングトランジスタS、および第6のスイッチングトランジスタSはオフにされ、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSはオンにされる。第1のスイッチングトランジスタSにかかる電圧ストレスはUinであり、第1のダイオードDにかかる電圧ストレスはuである。
【0072】
2)スイッチモード二
【0073】
図7に示すように、第1のスイッチングトランジスタS、第4のスイッチングトランジスタS、および第6のスイッチングトランジスタSはオフにされ、第2のスイッチングトランジスタS、第3のスイッチングトランジスタS、および第5のスイッチングトランジスタSはオンにされる。第4のスイッチングトランジスタSにかかる電圧ストレスはuである。
【0074】
3)スイッチモード三
【0075】
in>uの場合のモード3と同様である。
【0076】
4)スイッチモード四
【0077】
in>uの場合のモード4と同様である。
【0078】
以上、本発明およびその実施形態について概略的に説明したが、これに限定されるものではなく、図示したのは本発明の実施形態の一例に過ぎず、実際の構造はこれに限定されない。従って、当業者が本発明の啓発を得て、本発明の創作的目的を逸脱することなく、創造的労力をせずに設計された当該技術的解決手段と同様の構造方法および実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】