(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134630
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】メッセージカードホルダーおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B42D 15/00 20060101AFI20220908BHJP
B42F 17/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B42D15/00 341D
B42D15/00 341E
B42F17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033885
(22)【出願日】2021-03-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売開始日:2020年11月11日 販売場所:河合陽子の個人事業所(静岡県浜松市浜北区小松2201-1) 公開者:河合陽子
(71)【出願人】
【識別番号】521092465
【氏名又は名称】河合 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】河合 陽子
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017VA08
2C017VB18
(57)【要約】
【課題】メッセージの数や内容を容易に確認できる、メッセージカードホルダーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】メッセージカードホルダー10は、花の形状を模した形状に形成された第1本体部14および第2本体部16と、花芯を模した形状に形成された中心部材18とを備えている。第1本体部14は、花びらの形状を模した形状に形成された複数の第1カード受部20を中央部から放射状に延びて設けることによって構成されている。第2本体部16は、花びらの形状を模した形状に形成された複数の第2カード受部22を中央部から放射状に延びて設けることによって構成されている。第1カード受部20および第2カード受部22は、その幅方向の両側部分が上方へ向けて湾曲するシート状に形成されており、第1カード受部20および第2カード受部22の上面でメッセージカード12a,12bが載置される載置面20a,22aが構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセージカードが載置される載置面を有するシート状の複数のカード受部を備え、
前記複数のカード受部のうちの少なくとも1つは、
前記載置面が凹状に湾曲した凹状の曲面に形成されている、メッセージカードホルダー。
【請求項2】
前記カード受部における長さ方向の一方の端部を基端部とし、その反対側の端部を先端部としたとき、前記基端部における幅方向の両側部分の曲率は、前記先端部における幅方向の両側部分の曲率よりも大きくされており、前記カード受部の幅は前記基端部から前記先端部に向かうにつれて広くされている、請求項1に記載のメッセージカードホルダー。
【請求項3】
互いに大きさが異なる少なくとも2種類の前記カード受部を有している、請求項1または2に記載のメッセージカードホルダー。
【請求項4】
前記載置面は、複数の前記カード受部のそれぞれの上面で構成されており、
複数の前記カード受部のそれぞれの幅方向の両側部分は上方へ向けて湾曲されており、
少なくとも2つの前記カード受部が、互いに上下方向に重なるように設けられている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のメッセージカードホルダー。
【請求項5】
複数の前記カード受部のそれぞれは、紙で形成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のメッセージカードホルダー。
【請求項6】
複数の前記メッセージカードを備え、
複数の前記メッセージカードのそれぞれとこれらを保持する前記カード受部とは、互いに異なる色を有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のメッセージカードホルダー。
【請求項7】
前記カード受部は、花びらの形状を模した形状に形成されており、
複数の前記カード受部が、花芯の位置に対応する部分から放射状に延びて設けられている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のメッセージカードホルダー。
【請求項8】
花びらの形状を模した形状を有する複数の第1カード受部を形成する第1カード受部形成工程(a)と、
複数の前記第1カード受部を平面視で放射状に並べて互いに接合することによって花の形状を模した形状を有する第1本体部を形成する第1本体部形成工程(b)とを備え、
前記第1カード受部形成工程(a)では、シート状の第1部材の長さ方向の一方の端部における幅方向の両側部分を上方へ向けて湾曲させて互いに接合するとともに、前記第1部材の長さ方向の他方の端部に第1平坦面を確保する、メッセージカードホルダーの製造方法。
【請求項9】
花びらの形状を模した形状を有する複数の第2カード受部を形成する第2カード受部形成工程(c)と、
複数の前記第2カード受部を平面視で放射状に並べて互いに接合することによって花の形状を模した形状を有する第2本体部を形成する第2本体部形成工程(d)と、
前記第2本体部を前記第1本体部に上方から重ね合わせて接合する積層工程(e)とを備え、
前記第2カード受部形成工程(c)では、シート状の第2部材の長さ方向の一方の端部における幅方向の両側部分を上方へ向けて湾曲させて互いに接合するとともに、前記第2部材の長さ方向の他方の端部に第2平坦面を確保する、請求項8に記載のメッセージカードホルダーの製造方法。
【請求項10】
花芯を模した形状を有する中心部材を形成する中心部材形成工程(f)と、
前記中心部材を前記第1本体部または前記第2本体部の中央部に接合する中心部材接合工程(g)とを備え、
前記中心部材形成工程(f)では、シート状の第3部材に互いに平行な複数の直線状の切り込みを入れた後、前記第3部材を丸めることによって前記切り込みの間の線状部分を互いに離間させる、請求項8または9に記載のメッセージカードホルダーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッセージが記載された複数のメッセージカードを保持可能に構成されたメッセージカードホルダーおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
卒業式、結婚式、退職者の送別会および葬式などでは、友人、退職者および故人などにメッセージを寄せ書きした色紙を送ることがある。しかし、色紙に寄せ書きを収集する際には、複数人が順番にメッセージを記載するため、先に記載した人のメッセージが後から記載する人に見られるおそれがあり、このことがメッセージを記載する人の心理的負担となっていた。
【0003】
下記特許文献1には、このような心理的負担を軽減できる小片回収ボックスが開示されている。この小片回収ボックスは、互いに接合された表面材、中間層材および裏面材を備えている。表面材には、メッセージカードを受け入れる貫通孔が設けられており、中間層材には、貫通孔に繋がる中空部が設けられている。この小片回収ボックスを用いれば、複数人のそれぞれがメッセージカードにメッセージを個別に記載することができ、また、メッセージが記載されたメッセージカードを表面材の貫通孔から中間層材の中空部に投入できるので、メッセージを他人に見られる心配がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかしながら、特許文献1の小片回収ボックスでは、中空部に投入されたメッセージカードは他人に見られることはないが、他人にも見て欲しいメッセージについても見ることができないという不都合があった。
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、メッセージカードについて一見しても見難いが意識して見れば比較的容易に判読することができるメッセージカードホルダーおよびその製造方法を提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るメッセージカードホルダーの特徴は、メッセージカードが載置される載置面を有するシート状の複数のカード受部を備え、前記複数のカード受部のうちの少なくとも1つは、前記載置面が凹状に湾曲した凹状の曲面に形成されていることにある。
【0008】
この構成では、メッセージカードホルダーは、メッセージカードが載置される載置面が凹状に湾曲する曲面で構成されているため、メッセージカードを湾曲した状態で保持することでメッセージカードに記載されたメッセージを適度に見え難くすることができる。これにより、本発明に係るメッセージカードホルダーは、メッセージカードについて一見しても見難いが意識して見れば比較的容易に判読することができる。また、メッセージカードホルダーは、載置面が凹状に湾曲する曲面で構成されているため、メッセージカードの位置ズレまたは脱落を防いで精度良く保持することができる。また、メッセージカードのメッセージが記載された面を載置面側に向けることによって、メッセージを完全に見えないようにすることもできる。
【0009】
さらに、1つのカード受部に複数のメッセージカードを載置することができるので、メッセージカードの数がカード受部の数より多くなった場合でも対応できる。
【0010】
本発明に係るメッセージカードホルダーの他の特徴は、前記カード受部における長さ方向の一方の端部を基端部とし、その反対側の端部を先端部としたとき、前記基端部における幅方向の両側部分の曲率は、前記先端部における幅方向の両側部分の曲率よりも大きくされており、前記カード受部の幅は前記基端部から前記先端部に向かうにつれて広くされていることにある。
【0011】
この構成では、カード受部の幅が基端部から先端部に向かうにつれて広くされているので、先端部では、メッセージカードに記載されたメッセージの視認性が高められており、メッセージを読むことができる。一方、基端部では、メッセージカードの保持性が高められており、メッセージカードを脱落させることなく保持できる。つまり、カード受部に対するメッセージカードの挿し込む方向によってメッセージを視認し易くしたり視認し難くしたり視認性を調整することができる。
【0012】
本発明に係るメッセージカードホルダーの他の特徴は、互いに大きさが異なる少なくとも2種類の前記カード受部を有していることにある。
【0013】
この構成では、メッセージの記載量に応じた大小のメッセージカードを使用できる。すなわち、メッセージの記載量が多い人は、大きい方のカード受部に対応する大サイズのメッセージカードを使用でき、メッセージの記載量が少ない人は、小さい方のカード受部に対応する小サイズのメッセージカードを使用できる。
【0014】
本発明に係るメッセージカードホルダーの他の特徴は、前記載置面は、複数の前記カード受部のそれぞれの上面で構成されており、複数の前記カード受部のそれぞれの幅方向の両側部分は上方へ向けて湾曲されており、少なくとも2つの前記カード受部が、互いに上下方向に重なるように設けられていることにある。
【0015】
この構成では、保持可能なメッセージカードの量(枚数)を多くすることができるとともに、立体構造によって華やかさを演出できる。
【0016】
本発明に係るメッセージカードホルダーの他の特徴は、複数の前記カード受部のそれぞれは、紙で形成されていることにある。
【0017】
この構成では、メッセージカードホルダーの主要部となるカード受部が紙で形成されており、故人とともに燃やすことができるので、故人に送るメッセージカードを保持する用途に適する。
【0018】
本発明に係るメッセージカードホルダーの他の特徴は、複数の前記メッセージカードを備え、複数の前記メッセージカードのそれぞれとこれらを保持する前記カード受部とは、互いに異なる色を有することにある。
【0019】
この構成では、メッセージカードの色がカード受部の色と異なるため、メッセージカードの入れ忘れを防止できるとともに、華やかさを演出できる。
【0020】
本発明に係るメッセージカードホルダーの他の特徴は、前記カード受部は、花びらの形状を模した形状に形成されており、複数の前記カード受部が、花芯の位置に対応する部分から放射状に延びて設けられていることにある。
【0021】
この構成では、メッセージカードホルダーの全体形状が、平面視で花の形状を模した形状であることから、装飾性が高く、メッセージの数が少ない場合でも見劣りしない。また、花びらの形状を模した形状のカード受部には、序列がないため、メッセージを記載した人の地位などに関係なくメッセージカードを平等に扱うことができる。
【0022】
本発明に係るメッセージカードホルダーの製造方法の特徴は、花びらの形状を模した形状を有する複数の第1カード受部を形成する第1カード受部形成工程(a)と、複数の前記第1カード受部を平面視で放射状に並べて互いに接合することによって花の形状を模した形状を有する第1本体部を形成する第1本体部形成工程(b)とを備え、前記第1カード受部形成工程(a)では、シート状の第1部材の長さ方向の一方の端部における幅方向の両側部分を上方へ向けて湾曲させて互いに接合するとともに、前記第1部材の長さ方向の他方の端部に第1平坦面を確保することにある。
【0023】
この構成では、シート状の第1部材を曲げたり、接合したりすることによって、第1本体部を備えるメッセージカードホルダーを簡単に製造することができる。
【0024】
本発明に係るメッセージカードホルダーの製造方法の他の特徴は、花びらの形状を模した形状を有する複数の第2カード受部を形成する第2カード受部形成工程(c)と、複数の前記第2カード受部を平面視で放射状に並べて互いに接合することによって花の形状を模した形状を有する第2本体部を形成する第2本体部形成工程(d)と、前記第2本体部を前記第1本体部に上方から重ね合わせて接合する積層工程(e)とを備え、前記第2カード受部形成工程(c)では、シート状の第2部材の長さ方向の一方の端部における幅方向の両側部分を上方へ向けて湾曲させて互いに接合するとともに、前記第2部材の長さ方向の他方の端部に第2平坦面を確保することにある。
【0025】
この構成では、シート状の第2部材を曲げたり、接合したりすることによって、第2本体部を簡単に形成できる。また、第2本体部を第1本体部に重ね合わせて接合するだけで、第1本体部および第2本体部を備える華やかなメッセージカードホルダーを簡単に製造することができる。
【0026】
本発明に係るメッセージカードホルダーの製造方法の他の特徴は、花芯を模した形状を有する中心部材を形成する中心部材形成工程(f)と、前記中心部材を前記第1本体部または前記第2本体部の中央部に接合する中心部材接合工程(g)とを備え、前記中心部材形成工程(f)では、シート状の第3部材に互いに平行な複数の直線状の切り込みを入れた後、前記第3部材を丸めることによって前記切り込みの間の線状部分を互いに離間させることにある。
【0027】
この構成では、シート状の第3部材に切り込み入れたり、これを丸めたりすることによって、花芯を模した形状を有する中心部材を簡単に形成でき、この中心部材を第1本体部または第2本体部の中央部に接合するだけで、中心部材を備える華やかなメッセージカードホルダーを簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態に係るメッセージカードホルダーの構成および使用状態を示す斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】実施形態に係るメッセージカードホルダーの構成を示す斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】実施形態に係るメッセージカードホルダーの構成を示す分解斜視図である。
【
図4】(A)は、第1カード受部の構成を示す斜視図、(B)は、第2カード受部の構成を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係るメッセージカードホルダーの製造方法における第1カード受部形成工程を示す図であり、(A)は、第1部材の構成を示す平面図、(B)は、第1カード受部の構成を示す平面図である。
【
図6】実施形態に係るメッセージカードホルダーの製造方法における第1本体部形成工程を示す平面図である。
【
図7】実施形態に係るメッセージカードホルダーの製造方法における中心部材形成工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るメッセージカードホルダーおよびその製造方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
(実施形態に係るメッセージカードホルダーの構成)
図1は、実施形態に係るメッセージカードホルダー10の構成および使用状態を示す斜め上方から見た斜視図である。
図2は、メッセージカードホルダー10の構成を示す斜め下方から見た斜視図である。
図3は、メッセージカードホルダー10の構成を示す分解斜視図である。
【0031】
図1および
図2に示すメッセージカードホルダー10は、卒業式、結婚式、退職者の送別会および葬式などで、友人、退職者および故人などに送るメッセージが記載された複数のメッセージカード12a,12bを保持するものであり、平面視で花の形状を模した形状に形成されている。
【0032】
図1に示すように、本実施形態のメッセージカードホルダー10は、6枚の大サイズの第1メッセージカード12aと、6枚の小サイズの第2メッセージカード12bとを個別に保持可能に構成されている。第1メッセージカード12aおよび第2メッセージカード12bは、メッセージカードホルダー10を構成する部品である。なお、
図1に示す使用状態では、4枚の第1メッセージカード12aにメッセージXが記載されており、他の2枚の第1メッセージカード12aおよび6枚の第2メッセージカード12bには、メッセージXが記載されていない。
【0033】
図3に示すように、メッセージカードホルダー10は、平面視で花の形状を模した形状に形成された大サイズの第1本体部14と、平面視で花の形状を模した形状に形成された小サイズの第2本体部16と、花の花芯の形状を模した形状に形成された中心部材18とを備えている。
【0034】
第1本体部14は、花を構成する花びらの形状を模した形状に形成された6個の大サイズの第1カード受部20を有しており、第2本体部16は、花を構成する花びらの形状を模した形状に形成された6個の小サイズの第2カード受部22を有している。なお、
図3では、第1メッセージカード12aおよび第2メッセージカード12bが省略されている。
【0035】
第1カード受部20、第2カード受部22、中心部材18および後述する閉塞部材36(
図2)の材料は、特に限定されるものではなく、紙、プラスチックおよび不織布などの使用が可能であるが、本実施形態では、棺内に入れて故人とともに燃やすことも想定しているため、紙が用いられている。また、第1カード受部20、第2カード受部22および中心部材18の大きさは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、平面視におけるこれらの直径が、25cm、13cmおよび7cmに定められている。
【0036】
図3に示すように、6個の第1カード受部20のそれぞれは、花の花芯の位置に対応する中央部24aから放射状に延びて設けられている。各第1カード受部20においては、中央部24a側の端部が基端部26とされており、その反対側の端部すなわち外側の端部が先端部28とされている。そして、基端部26から先端部28に向かう方向が「長さ方向」とされており、平面視で長さ方向に対して直交する方向が「幅方向」とされている。つまり、第1カード受部20では、その長さ方向の一方の端部が基端部26となっており、その長さ方向の他方の端部が先端部28となっている。
【0037】
図4(A)は、第1カード受部20の構成を示す斜視図である。
図4(A)に示すように、複数の第1カード受部20のそれぞれは、その幅方向の両側部分30a,30bが同じ方向(本実施形態では上方)へ向けて湾曲するシート状に形成されており、複数の第1カード受部20のそれぞれの上面は凹状に湾曲して、第1メッセージカード12a(
図1)が載置される第1載置面20aとなっている。つまり、本実施形態では、第1載置面20aは、凹状に湾曲する曲面で構成されており、第1カード受部20の上面を構成している。
【0038】
第1カード受部20の基端部26における幅方向の両側部分30a,30bの曲率は、先端部28における幅方向の両側部分30a,30bの曲率よりも大きくされている。そして、第1カード受部20の基端部26には、幅方向の両側部分30a,30bが互いに接合されることによって円錐状の形状保持部32が形成されている。これによって、幅方向の両側部分30a,30bの湾曲した形状が保持されるとともに、第1カード受部20の先端部28に第1平坦面34が確保されている。
【0039】
平面視における第1カード受部20の面積は、基端部26から先端部28に向けて広くされている。つまり、第1カード受部20の幅は、基端部26から先端部28に向かうにつれて徐々に広くなっている。第1カード受部20の先端部28の外周縁28aは、平面視で外側へ膨らむように湾曲しながら、幅方向の中央部において先方へ突出するように尖って形成されている。
【0040】
図3に示すように、6個の第1カード受部20は、中央部24aから放射状に延びるように並べられて、互いに隣接する第1カード受部20どうしが接合されている。また、
図2に示すように、6個の第1カード受部20のそれぞれの基端部26の下面には、六画形のシート状の閉塞部材36が貼り付けられており、これによって、中央部24aに生じた隙間が塞がれている。
【0041】
なお、第1カード受部20の幅方向の両側部分30a,30b(
図4(A))を互いに接合するための接合手段や、互いに隣接する第1カード受部20(
図3)どうしを接合するための接合手段は、特に限定されるものではなく、接着剤、粘着テープおよびステープラなどの使用が可能であるが、本実施形態では接着剤が用いられている。
【0042】
図3に示すように、6個の第2カード受部22のそれぞれは、花の花芯の位置に対応する中央部24bから放射状に延びて設けられている。各第2カード受部22においては、中央部24b側の端部が基端部38とされており、その反対側の端部すなわち外側の端部が先端部40とされている。そして、基端部38から先端部40に向かう方向が「長さ方向」とされており、平面視で長さ方向に対して直交する方向が「幅方向」とされている。つまり、第2カード受部22では、その長さ方向の一方の端部が基端部38となっており、その長さ方向の他方の端部が先端部40となっている。
【0043】
図4(B)は、第2カード受部22の構成を示す斜視図である。
図4(B)に示すように、複数の第2カード受部22のそれぞれは、その幅方向の両側部分42a,42bが同じ方向(本実施形態では上方)へ向けて湾曲するシート状に形成されており、複数の第2カード受部22のそれぞれの上面は凹状に湾曲して、第2メッセージカード12b(
図1)が載置される第2載置面22aとなっている。つまり、本実施形態では、第2載置面22aは、凹状に湾曲する曲面で構成されており、第2カード受部22の上面を構成している。
【0044】
第2カード受部22の基端部38における幅方向の両側部分42a,42bの曲率は、先端部40における幅方向の両側部分42a,42bの曲率よりも大きくされている。そして、第2カード受部22の基端部38には、幅方向の両側部分42a,42bが互いに接合されることによって円錐状の形状保持部44が形成されている。これによって、幅方向の両側部分42a,42bの湾曲した形状が保持されるとともに、第2カード受部22の先端部40に第2平坦面46が確保されている。
【0045】
平面視における第2カード受部22の面積は、基端部38から先端部40に向けて広くされている。つまり、第2カード受部22の幅は、基端部38から先端部40に向かうにつれて徐々に広くなっている。第2カード受部22の先端部40の外周縁40aは、平面視で外側へ膨らむように湾曲しながら、幅方向の中央部において先方へ突出するように尖って形成されている。
【0046】
図3に示すように、6個の第2カード受部22は、中央部24bから放射状に延びるように並べられて、互いに隣接する第2カード受部22どうしが接合されている。そして、6個の第2カード受部22の集合体である第2本体部16が、6個の第1カード受部20の集合体である第1本体部14に上方から重ね合わされて接合されている。この接合状態において、6個の第2カード受部22のそれぞれは、互いに隣接する第1カード受部20の境界部に配置されている。これによって、第1カード受部20で保持される第1メッセージカード12aの視認性が高められている。
図3に示す中心部材18は、複数の線状体48が球状に集合した部材であり、第2本体部16の中央部24bに上方から接合されている。
【0047】
なお、第2カード受部22の幅方向の両側部分42a,42b(
図4(B))を互いに接合するための接合手段や、互いに隣接する第2カード受部22(
図3)どうしを接合するための接合手段は、特に限定されるものではなく、接着剤、粘着テープおよびステープラなどの使用が可能であるが、本実施形態では接着剤が用いられている。また、第1本体部14と第2本体部16とを接合するための接合手段や、中心部材18と第2本体部16とを接合するための接合手段も同様に、接着剤が用いられている。
【0048】
(メッセージカードホルダー10の製造方法)
図5は、メッセージカードホルダー10の製造方法における第1カード受部形成工程を示す図であり、(A)は、第1部材の構成を示す平面図、(B)は、第1カード受部の構成を示す平面図である。
図6は、メッセージカードホルダー10の製造方法における第1本体部形成工程を示す平面図である。
図7は、メッセージカードホルダー10の製造方法における中心部材形成工程を示す平面図である。
【0049】
図1に示すメッセージカードホルダー10を製造する際には、作業者は、第1カード受部形成工程(a)、第1本体部形成工程(b)、第2カード受部形成工程(c)、第2本体部形成工程(d)、積層工程(e)、中心部材形成工程(f)および中心部材接合工程(g)をこの順に実行する。
【0050】
第1カード受部形成工程(a)では、
図5(A),(B)に示すように、花びらの形状を模した形状を有する複数の第1カード受部20を形成する。すなわち、まず、
図5(A)に示すように、シート材(本実施形態では紙)を切断することによって、第1カード受部20を展開した形状を有するシート状の第1部材50を形成する。続いて、
図5(B)に示すように、第1部材50の長さ方向の一方の端部52における幅方向の両側部分54a,54bを上方へ向けて湾曲させて互いに接合するとともに、第1部材50の長さ方向の他方の端部56に第1平坦面34を確保する。
【0051】
なお、第1部材50においては、その幅方向の両側部分54a,54bが、第1カード受部20の幅方向の両側部分30a,30bに対応する。また、第1部材50の長さ方向の一方の端部52が、第1カード受部20の基端部26に対応し、第1部材50の長さ方向の他方の端部56が、第1カード受部20の先端部28に対応する。
【0052】
第1本体部形成工程(b)では、
図6に示すように、複数の第1カード受部20を平面視で放射状に並べて互いに接合することによって、花の形状を模した形状を有する第1本体部14を形成する。
【0053】
第2カード受部形成工程(c)では、第1カード受部形成工程(a)と同様の方法によって
図4(B)に示す第2カード受部22を形成する。つまり、まず、第2カード受部22を展開した形状を有するシート状の第2部材(図示省略)を準備する。続いて、第2部材の長さ方向の一方の端部における幅方向の両側部分を上方へ向けて湾曲させて互いに接合するとともに、第2部材の長さ方向の他方の端部に第2平坦面を確保する。
【0054】
第2本体部形成工程(d)では、第1本体部形成工程(b)と同様の方法によって第2本体部16を形成する。つまり、
図3に示すように、複数の第2カード受部22を平面視で放射状に並べて互いに接合することによって花の形状を模した形状を有する第2本体部16を形成する。
【0055】
積層工程(e)では、
図3に示すように、第2本体部16を第1本体部14に上方から重ね合わせて接合する。中心部材接合工程(g)では、
図3に示すように、花芯を模した形状を有する中心部材18を第2本体部16の中央部24bに上方から接合する。
【0056】
中心部材形成工程(f)では、
図7に示すように、シート状の第3部材(本実施形態では紙)60に互いに平行な複数の直線状の切り込み62を入れた後、第3部材60を略球状に丸めることによって、切り込み62の間の線状部分64を互いに離間させる。すると、この線状部分64が花の雄しべおよび雌しべの形状を模した形状となる。なお、第3部材60の数は、特に限定されるものではなく、互いに異なる色を有する複数の第3部材60が用いられてもよい。
【0057】
図1に示すように、第1メッセージカード12aおよび第2メッセージカード12bは、第1カード受部20および第2カード受部22によって湾曲した状態で保持されるシート状の部材であり、メッセージカードホルダー10の一部であるが、工場出荷時には、第1カード受部20および第2カード受部22から分離されている。
【0058】
友人、退職者および故人などにメッセージXを送ろうとするメッセージカードホルダー10の使用者は、そのメッセージXの量に応じて、大サイズの第1メッセージカード12aおよび小サイズの第2メッセージカード12bのいずれかを選択してメッセージXを記載する。この場合、使用者は、メッセージカード12a,12bに対して縦書きまたは横書きなど自由に記載することができるとともに裏面にも記載することができる。
【0059】
次に、使用者は、メッセージカード12a,12bをカード受部20,22の載置面20a,22aに載置する。この場合、使用者は、メッセージカード12a,12bを載置面20a,22aの形状に応じて湾曲させた状態で載置する。なお、使用者は、メッセージカード12a,12bの数が第1カード受部20および第2カード受部22の数に足らない場合には、不足する数のメッセージカード12a,12bを補充して第1カード受部20および第2カード受部22に空きが生じないようにすることもできる。また、使用者は、メッセージカード12a,12bにおける載置面20a,22aに対向する側の面にテープまたは接着剤を用いてメッセージカード12a,12bを載置面20a,22aに固着することもできる。
【0060】
図1に示すように、メッセージカード12a,12bの大きさは、載置面20a,22a(
図3)の大きさよりもわずかに小さく定められている。また、メッセージカード12a,12bの色は、これらを保持するカード受部20,22の色とは、異なる色に定められている。つまり、メッセージカード12a,12bのそれぞれとこれらを保持するカード受部20,22とは、互いに異なる色を有している。したがって、少なくとも2色の色によって華やかさを演出できるとともに、メッセージカード12a,12bが不足している場合には、その不足している箇所を目視で簡単に確認できる。また、1つの載置面20a,22a(
図3)上に複数のメッセージカード12a,12bを重ねて載置することもできる。
【0061】
載置面20a,22aにメッセージカード12a,12bが保持されたメッセージカードホルダー10は、棺内などにおいて水平状態に設置されて遺体とともに焼却される。また、メッセージカードホルダー10は、そのままの状態、または透明なケースなどに収容された状態で壁などに吊下げられて記念品とすることもできる。この場合、メッセージカードホルダー10は、垂直方向に起立したまたは傾斜した状態で吊下げるほか、天地を逆さまにした水平状態で下から見上げるように吊下げることもできる。
【0062】
(第1実施形態に係るメッセージカードホルダーの効果)
本実施形態によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、メッセージカードホルダー10は、メッセージカード12a,12bが載置される載置面20a,22aが凹状に湾曲する曲面で構成されているため、メッセージカード12a,12bを湾曲した状態で保持することでメッセージカード12a,12bに記載されたメッセージXを適度に見え難くすることができる。これにより、本発明に係るメッセージカードホルダー10は、メッセージカード12a,12bについて一見しても見難いが意識して見れば比較的容易に判読することができる。また、メッセージカードホルダー10は、載置面20a,22aが凹状に湾曲する曲面で構成されているため、メッセージカード12a,12bの位置ズレまたは脱落を防いで精度良く保持することができる。また、メッセージカード12a,12bのメッセージXが記載された面を載置面20a,22a側に向けることによって、メッセージXを完全に見えないようにすることもできる。
【0063】
図1に示すように、メッセージカードホルダー10の全体形状が、平面視で花の形状を模した形状であることから、装飾性が高く、メッセージXの数が少ない場合でも見劣りしない。また、花びらの形状を模した形状のカード受部20,22は、円形に配置されることで序列がないため、メッセージXを記載した人の地位などに関係なくメッセージカード12a,12bを平等に扱うことができる。さらに、1つのカード受部20,22に複数のメッセージカード12a,12bを載置することができるので、メッセージカード12a,12bの数がカード受部20,22の数より多くなった場合でも対応できる。
【0064】
図4に示すように、カード受部20,22の幅が基端部26,38から先端部28,40に向かうにつれて広くなっているので、先端部28,40では、メッセージカード12a,12bに記載されたメッセージXの視認性が高められており、メッセージXを読むことができる。このことは、カード受部20,22の幅が先端部28,40から基端部26,38に向かうにつれて狭くなっているので、基端部26,38では、メッセージカード12a,12bに記載されたメッセージXの視認性が低くなることでメッセージXを読み難くすることができることも意味している。つまり、使用者は、メッセージカード12a,12bにメッセージXを書く位置またはカード受部20,22への載置の向きによって見易さまたは見難さを調整することができる。一方、基端部26,38では、湾曲したメッセージカード12a,12b(
図1)の保持性が高められており、メッセージカード12a,12bを接着剤等で接合しない場合でも、これらを脱落させることなく保持できる。
【0065】
図1に示すように、メッセージXの記載量に応じた大小のメッセージカード12a,12bを使用できる。すなわち、メッセージXの記載量が多い人は、大きい方の第1カード受部20に対応する大サイズの第1メッセージカード12aを使用でき、メッセージXの記載量が少ない人は、小さい方の第2カード受部22に対応する小サイズの第2メッセージカード12bを使用できる。
【0066】
図1に示すように、第1本体部14と第2本体部16とを備える2層構造であることから、保持可能なメッセージカード12a,12bの量(枚数)を多くすることができるとともに、立体構造によって華やかさを演出できる。
【0067】
メッセージカードホルダー10の主要部となるカード受部20,22が紙で形成されており、故人とともに燃やすことができるので、故人に送るメッセージカード12a,12bを保持する用途に適する。メッセージカード12a,12bの色がカード受部20,22の色と異なるため、メッセージカード12a,12bの入れ忘れを防止できるとともに、華やかさを演出できる。
【0068】
図5および
図3に示すように、シート状の第1部材50を曲げたり、接合したりすることによって、第1本体部14を備えるメッセージカードホルダー10を簡単に製造することができる。また、シート状の第2部材(図示省略)を曲げたり、接合したりすることによって、第2本体部16を簡単に形成でき、第2本体部16を第1本体部14に重ね合わせて接合するだけで、第1本体部14および第2本体部16を備える華やかなメッセージカードホルダー10を簡単に製造することができる。
【0069】
図7に示すように、シート状の第3部材60に切り込み62を入れたり、これを丸めたりすることによって、花芯を模した形状を有する中心部材18を簡単に形成できる。そして、この中心部材18を第1本体部14または第2本体部16の中央部24a,24bに接合するだけで、中心部材18を備える華やかなメッセージカードホルダー10を簡単に製造することができる。
【0070】
(変形例)
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、
図1に示すように、上記実施形態では、メッセージカード12a,12bが、メッセージカードホルダー10を構成する部品として取り扱われているが、メッセージカード12a,12bは、メッセージカードホルダーとは別に準備された市販品などが用いられてもよい。
【0071】
図1に示すように、上記実施形態では、4枚の第1メッセージカード12aにメッセージXが記載されており、2枚の第1メッセージカード12aと6枚の第2メッセージカード12bには、メッセージXが記載されていないが、メッセージXが記載されていないメッセージカード12a,12bは省略されてもよい。
【0072】
図1に示すように、上記実施形態では、メッセージXが記載された4枚の第1メッセージカード12aは、メッセージXが記載された面を上方に向けて第1カード受部20の載置面20aに載置されているが、メッセージXが記載されたメッセージカード12a,12bは、メッセージXが記載された面を下方に向けてカード受部20,22に載置されてもよい。
【0073】
図1に示すように、上記実施形態では、第1本体部14と第2本体部16とが重ね合わされているが、第1本体部14および第2本体部16の一方は、省略されてもよい。また、少なくとも1つの本体部(図示省略)がさらに重ね合わされて、3層以上に構成されてもよい。なお、第2本体部16が省略された場合には、中心部材18は、第1本体部14の中央部24aに上方から接合される。
【0074】
図1に示すように、上記実施形態では、大きさが異なる2種類のカード受部20,22が6個ずつ設けられているが、カード受部の種類は、1種類でもよいし、3種類以上でもよい。また、カード受部の数は、2個以上かつ5個以下でもよいし、7個以上でもよい。
【0075】
図4に示すように、上記実施形態では、カード受部20,22の幅が基端部26,38から先端部28,40に向かうにつれて広くなっているが、カード受部20,22の幅は、その長さ方向の全長にわたって一定に定められてもよいし、先端部28,40に向かうにつれて狭くなるように定められてもよい。また、基端部26,38の両側部分30a,30bおよび42a,42bの曲率は、先端部28,40の両側部分30a,30bおよび42a,42bの曲率に比べて小さくされてもよいし、同じにされてもよい。
【0076】
図1に示すように、上記実施形態では、第1載置面20aおよび第2載置面22aが上方へ向くように構成されているが、第1載置面20aおよび第2載置面22aは、水平方向や斜め上方へ向くように構成されてもよい。また、メッセージカードホルダー10が高い位置に飾れる場合には、第1載置面20aおよび第2載置面22aは、下方へ向くように構成されてもよい。
【0077】
図1に示すように、上記実施形態では、第1メッセージカード12a、第2メッセージカード12b、第1カード受部20および第2カード受部22が、花びらの形状を模した形状に形成されており、第1本体部14および第2本体部16が、花の形状を模した形状に形成されているが、これらの形状は適宜変更されてもよい。例えば、これらの少なくとも1つは、平面視で星型や幾何学模様を模した形状に形成されてもよい。また、第1カード受部20および第2カード受部22は、放射状ではなく、垂直方向およびまたは水平方向に列状または格子状に配置することもできる。
【0078】
上記実施形態では、メッセージカードホルダー10は、全てのカード受部20,22について載置面20a,22aを凹状の曲面に形成した。しかし、メッセージカードホルダー10は、複数のカード受部20,22のうちの少なくとも1つのカード受部20,22について載置面20a,22aを凹状の曲面に形成すればよい。
【符号の説明】
【0079】
10…メッセージカードホルダー、12a…第1メッセージカード、12b…第2メッセージカード、14…第1本体部、16…第2本体部、18…中心部材、20a…第1載置面、20…第1カード受部、22a…第2載置面、22…第2カード受部、24a,24b…中央部、26,38…基端部、28,40…先端部、30a,30b…両側部分、32,44…形状保持部、34…第1平坦面、36…閉塞部材、42a,42b…両側部分、46…第2平坦面、50…第1部材、52…長さ方向の一方の端部、54a,54b…両側部分、56…長さ方向の他方の端部、60…第3部材、62…切り込み、64…線状部分。