(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134632
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】車載カメラ評価用ドライビングシミュレータ
(51)【国際特許分類】
G09B 9/05 20060101AFI20220908BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20220908BHJP
【FI】
G09B9/05 A
G03B15/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033887
(22)【出願日】2021-03-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り Motor Fan illustrated、Vol.171 頒布日:令和2年12月15日 発行者:株式会社三栄
(71)【出願人】
【識別番号】000176730
【氏名又は名称】三菱プレシジョン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391022614
【氏名又は名称】学校法人幾徳学園
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】榎本 幸司
(72)【発明者】
【氏名】星合 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】別宮 彰
(72)【発明者】
【氏名】井上 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】小山 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 功児
(57)【要約】
【課題】自動運転システムの車載カメラの知覚、認識を評価するシステムとして用いることのできるドライビングシミュレータを提供する。
【解決手段】車両12の前方に配置した球面スクリーン18を有し、疑似光景を該球面スクリーンに表示する投影装置16を備えたドライビングシミュレータ10において、球面スクリーン18に表示した疑似光景を撮像するカメラ22を車両12内部に配置した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方に配置した球面スクリーンを有し、疑似光景を当該球面スクリーンに表示する投影装置を備えたドライビングシミュレータにおいて、
前記球面スクリーンに表示した疑似光景を前記車両内部から撮像するカメラを具備することを特徴とするドライビングシミュレータ。
【請求項2】
元映像データをカメラの視点に対応させて変換して、前記投影装置に出力する映像生成装置を具備する請求項1に記載のドライビングシミュレータ。
【請求項3】
前記映像生成装置は、被験者が装着したヘッドマウントディスプレイに、被験者の視点に対応させて元映像データを変換してヘッドマウントディスプレイに出力する請求項2に記載のドライビングシミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行環境を模擬して走行中の疑似光景を表示するドライビングシミュレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の研究開発等を支援するための装置としてドライビングシミュレータが知られている。運転席を視点とする疑似光景をフロントガラスや、車外のスクリーンに表示して、被験者のハンドル操作等に応じて疑似光景を進行、変化させるドライビングシミュレータが実用化されている。
【0003】
特許文献1、2には、こうしたドライビングシミュレータの一例として、運転模擬試験装置が開示されている。特許文献1に記載の運転模擬試験装置では、車両をドーム内に設置するとともに、車両を囲むドームの内壁をスクリーンとしてプロジェクタから映像を投影するものである。特許文献2に記載の運転模擬試験装置では、被験者の顔画像をカメラで撮影して、被験者の意識レベルを解析するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-145601号公報
【特許文献2】特開2010-002715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示の運転試験装置では、ドライバ視点(運転席に着座している被験者の視点)の疑似光景がスクリーンに表示され、それとは異なる視点位置からフロントウィンドウまたはスクリーンを認識するのは不適当である。そのため、従来の運転試験装置は、運転席から離れた位置に配置されている自動運転システムの中核を担う車載カメラの知覚、認識を評価するシステムとして用いるのには適していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の前方に配置した球面スクリーンを有し、疑似光景を当該球面スクリーンに表示する投影装置を備えたドライビングシミュレータにおいて、前記球面スクリーンに表示した疑似光景を前記車両内部から撮像するカメラを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
車載カメラによって車両の内部から球面スクリーンに投影されている疑似光景を撮像することによって、広角レンズを有する車載カメラの知覚、認識精度に対して、現実世界の環境要因がどのような影響を及ぼすかを評価可能となる。これにより、従来のドライビングシミュレータに車載カメラを搭載するシステムと比較して、一層精緻な評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の好ましい実施形態によるドライビングシミュレータの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものとは必ずしも一致していない。
【0010】
本実施形態によるドライビングシミュレータ10は、模擬車両12の外部、一例として模擬車両12の屋根14の外面に取り付けられた投影装置16、模擬車両12の前方に配置され投影装置16によって疑似光景を表示する球面スクリーン18、および、フロントウィンドウ20を通して球面スクリーン18に表示される疑似光景を撮像可能な、車両の内部、一例として屋根(天井)14の内面に取り付けられた車載カメラ22を含む。運転席30に着座した被験者(ドライバー)24が装着する場合には、被験者24が装着したヘッドマウントディスプレイ26を含む。
【0011】
更に、ドライビングシミュレータ10は、投影装置16、車載カメラ22およびヘッドマウントディスプレイ26に接続された映像生成装置28を備えている。投影装置16、車載カメラ22およびヘッドマウントディスプレイ26は、S-VideoやVGA(ビデオグラフィックアレイ)のようなアナログビデオ通信や、DVI(デジタルビデオインターフェース)やHDMI(登録商標)(ハイデフィニションマルチメディアインターフェース)のようなデジタルビデオ通信によって、映像生成装置28に接続することができる。
【0012】
映像生成装置28は、CPU(中央演算素子)、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)のようなメモリ装置、HDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)、DVD(デジタルヴァーサタイルディスク)のような記憶デバイス、出入力ポート、および、これらを相互接続する双方向バスを含むコンピュータおよび関連するソフトウェアから構成することができる。
【0013】
映像生成装置28の記憶デバイスには、球面スクリーン18に表示する疑似光景を生成する基礎となる映像データ(元映像データ)が格納されている。元映像データは、例えばCG(コンピュータグラフィックス)や、アニメーションにより提供することができる。或いは、例えば事前に模擬車両12と同型の自動車にビデオカメラを搭載し、実際に車両を走行させて撮像した走行映像データとしてもよい。
【0014】
映像生成装置28の記憶デバイスには、元映像データの座標系やカメラベクトルに関連したデータや、走行映像を撮像したときのビデオカメラの座標や光軸方向(ベクトル)を格納することができる。更に、映像生成装置28の記憶デバイスには、車載カメラ22の位置(座標)や光軸方向(ベクトル)が格納されている。更に、運転席30に着座した被験者24にヘッドマウントディスプレイ26を装着する場合には、被験者24の視点であるヘッドマウントディスプレイ26の位置(座標)および視線(光軸)の方向(ベクトル)を映像生成装置28に格納することができる。映像生成装置28のデータ格納装置には、更に、被験者24による模擬車両12の操作に対応した再生速度や、元映像のカメラベクトルを変化させるパラメータが格納されている。
【0015】
映像生成装置28は、元映像データに基づき、被験者24による模擬車両12の操作に対応した疑似光景データを生成し投影装置16に出力する。その際、投影装置16が球面スクリーン18に投影する映像が、車載カメラ22が撮像した映像となるように、つまり車載カメラ22の視点の映像となるように、ビュー座標変換のような公知の映像技術を用いて元映像データを変換して投影装置16へ出力する。投影装置16は、これに基づき、球面スクリーン18に疑似光景を投影する。
【0016】
被験者24がヘッドマウントディスプレイ26を装着する場合には、映像生成装置28は、元映像データをヘッドマウントディスプレイ26の視線に対応した映像データに変換して、ヘッドマウントディスプレイ26に出力する。
【0017】
車載カメラ22は、球面スクリーン18に投影された疑似光景をフロントウィンドウ20を通して撮像する。本実施形態では、車載カメラ22が撮像したデータは映像生成装置28のデータ格納装置に格納されるようになっているが、車載カメラ22を映像生成装置28以外のデータ格納装置、例えば映像生成装置28とは別のハードディスクや、LANのようなネットワークを通じて映像生成28が接続されているサーバー(図示せず)に格納するようにしてもよい。
【0018】
上述のように、球面スクリーン18には、車載カメラ22視点の疑似光景が投影されているので、車載カメラ22は、疑似光景中のオブジェクトが疑似光景中で正しい位置にある映像を撮像することができ、ドライビングシミュレータ10は、車載カメラ評価システムとして、広角レンズを有する車載カメラの知覚、認識精度を高めることが可能となり、ひいては、従来のドライビングシミュレータに車載カメラを搭載するシステムと比較して、一層精緻な評価が可能となる。
【符号の説明】
【0019】
10 ドライビングシミュレータ
12 模擬車両
14 屋根
16 投影装置
18 球面スクリーン
20 フロントウィンドウ
22 車載カメラ
24 被験者
26 ヘッドマウントディスプレイ
28 映像生成装置