IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オービックの特許一覧

特開2022-134653単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラム
<>
  • 特開-単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラム 図1
  • 特開-単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラム 図2
  • 特開-単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラム 図3
  • 特開-単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラム 図4
  • 特開-単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラム 図5
  • 特開-単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラム 図6
  • 特開-単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラム 図7
  • 特開-単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134653
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220908BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20220908BHJP
【FI】
G06Q30/02 490
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021033934
(22)【出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 高徳
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB04
5L049CC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鉄鋼業界特有の、取引単価の取り決めに関する細かな要件に対応した単価算出を実現できる単価算出装置、単価算出方法および単価算出プログラムを提供する。
【解決手段】単価算出装置を含む販売管理装置は、取引先、取引される製品の品種および製品が定尺品か加工品かの情報を基に、ベース単価マスタを参照して、適用するベース単価を取得し、取引先、取引される製品および製品の加工内容に関する数値を基に、エキストラ単価マスタを参照して、適用するエキストラ単価を取得し、取得したベース単価およびエキストラ単価を基に、製品の取引の単価を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鋼の流通業者において利用される、制御部を備える単価算出装置であって、
取引先別かつ品種別に、定尺品用と加工品用の2種類のベース単価を管理するベース単価マスタと、
取引先別かつ製品別かつ加工内容別に、エキストラ単価を管理するエキストラ単価マスタと、
にアクセス可能であり、
前記制御部は、
取引先、取引される製品の品種、および当該製品が定尺品か加工品かの情報を基に、前記ベース単価マスタを参照して、適用するベース単価を取得する第一取得手段と、
取引先、取引される製品、および当該製品の加工内容に関する数値を基に、前記エキストラ単価マスタを参照して、適用するエキストラ単価を取得する第二取得手段と、
前記取得したベース単価およびエキストラ単価を基に、前記製品の取引の単価を算出する算出手段と、
を備えること、
を特徴とする単価算出装置。
【請求項2】
取引先別かつ品種別に、定尺品用と加工品用の2種類のベース単価を管理するベース単価マスタと、取引先別かつ製品別かつ加工内容別に、エキストラ単価を管理するエキストラ単価マスタと、にアクセス可能な、鉄鋼の流通業者において利用される、制御部を備える情報処理装置で実行される単価算出方法であって、
前記制御部で実行される、
取引先、取引される製品の品種、および当該製品が定尺品か加工品かの情報を基に、前記ベース単価マスタを参照して、適用するベース単価を取得する第一取得ステップと、
取引先、取引される製品、および当該製品の加工内容に関する数値を基に、前記エキストラ単価マスタを参照して、適用するエキストラ単価を取得する第二取得ステップと、
前記取得したベース単価およびエキストラ単価を基に、前記製品の取引の単価を算出する算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする単価算出方法。
【請求項3】
取引先別かつ品種別に、定尺品用と加工品用の2種類のベース単価を管理するベース単価マスタと、取引先別かつ製品別かつ加工内容別に、エキストラ単価を管理するエキストラ単価マスタと、にアクセス可能な、鉄鋼の流通業者において利用される、制御部を備える情報処理装置に実行させるための単価算出プログラムであって、
前記制御部に実行させるための、
取引先、取引される製品の品種、および当該製品が定尺品か加工品かの情報を基に、前記ベース単価マスタを参照して、適用するベース単価を取得する第一取得ステップと、
取引先、取引される製品、および当該製品の加工内容に関する数値を基に、前記エキストラ単価マスタを参照して、適用するエキストラ単価を取得する第二取得ステップと、
前記取得したベース単価およびエキストラ単価を基に、前記製品の取引の単価を算出する算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする単価算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼業界の商流について、上流から順に、メーカー、一次問屋、二次問屋/加工屋/直売、需要家という並びが一般的である。
【0003】
なお、特許文献1には、建築・土木分野における設計対象物を設計する際に、設計前の段階で知り得る基本的なデータを設計者が入力することで、参考となる建築コストを予め算定できるようにする、建築・土木設計における建築コスト算定支援方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-305644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、鉄鋼業界では、原材料の供給量や経済情勢の変化等により、製品の取引単価が定期的に変更される。また、鉄鋼業界では、流通業者に対し、扱う品や、納め場所・経由地、さらには取引先(具体的には得意先または仕入先)との関係性により、取引単価(具体的には売上単価または仕入単価)の取り決めについて細かな要件が設定されることが多い。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、鉄鋼業界特有の、取引単価の取り決めに関する細かな要件に対応した単価算出を実現できる単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る単価算出装置は、鉄鋼の流通業者において利用される、制御部を備える単価算出装置であって、取引先別かつ品種別に、定尺品用と加工品用の2種類のベース単価を管理するベース単価マスタと、取引先別かつ製品別かつ加工内容別に、エキストラ単価を管理するエキストラ単価マスタと、にアクセス可能であり、前記制御部は、取引先、取引される製品の品種、および当該製品が定尺品か加工品かの情報を基に、前記ベース単価マスタを参照して、適用するベース単価を取得する第一取得手段と、取引先、取引される製品、および当該製品の加工内容に関する数値を基に、前記エキストラ単価マスタを参照して、適用するエキストラ単価を取得する第二取得手段と、前記取得したベース単価およびエキストラ単価を基に、前記製品の取引の単価を算出する算出手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る単価算出方法は、取引先別かつ品種別に、定尺品用と加工品用の2種類のベース単価を管理するベース単価マスタと、取引先別かつ製品別かつ加工内容別に、エキストラ単価を管理するエキストラ単価マスタと、にアクセス可能な、鉄鋼の流通業者において利用される、制御部を備える情報処理装置で実行される単価算出方法であって、前記制御部で実行される、取引先、取引される製品の品種、および当該製品が定尺品か加工品かの情報を基に、前記ベース単価マスタを参照して、適用するベース単価を取得する第一取得ステップと、取引先、取引される製品、および当該製品の加工内容に関する数値を基に、前記エキストラ単価マスタを参照して、適用するエキストラ単価を取得する第二取得ステップと、前記取得したベース単価およびエキストラ単価を基に、前記製品の取引の単価を算出する算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る単価算出プログラムは、取引先別かつ品種別に、定尺品用と加工品用の2種類のベース単価を管理するベース単価マスタと、取引先別かつ製品別かつ加工内容別に、エキストラ単価を管理するエキストラ単価マスタと、にアクセス可能な、鉄鋼の流通業者において利用される、制御部を備える情報処理装置に実行させるための単価算出プログラムであって、前記制御部に実行させるための、取引先、取引される製品の品種、および当該製品が定尺品か加工品かの情報を基に、前記ベース単価マスタを参照して、適用するベース単価を取得する第一取得ステップと、取引先、取引される製品、および当該製品の加工内容に関する数値を基に、前記エキストラ単価マスタを参照して、適用するエキストラ単価を取得する第二取得ステップと、前記取得したベース単価およびエキストラ単価を基に、前記製品の取引の単価を算出する算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、鉄鋼業界特有の、取引単価の取り決めに関する細かな要件に対応した単価算出を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、販売管理装置100の構成の一例を示す図である。
図2図2は、売上ベース単価マスタ106aの一例を示す図である。
図3図3は、売上エキストラ単価マスタ106bの一例を示す図である。
図4図4は、仕入ベース単価マスタ106cの一例を示す図である。
図5図5は、仕入エキストラ単価マスタ106dの一例を示す図である。
図6図6は、商品マスタ106eの一例を示す図である。
図7図7は、売上単価の算出の一例を示す図である。
図8図8は、仕入単価の算出の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る単価算出装置、単価算出方法、および単価算出プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[1.構成]
本実施形態に係る販売管理装置100(本発明に係る単価算出装置を含む)の構成の一例について、図1等を参照して説明する。図1は、販売管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
販売管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータを基に構築したものである。なお、販売管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置を基に構築したものに限らず、市販のノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォンまたはタブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置を基に構築したものであってもよい。
【0015】
販売管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。販売管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0016】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、販売管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、販売管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0017】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114(本発明の出力部に相当)が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0018】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0019】
記憶部106は、売上ベース単価マスタ106a、売上エキストラ単価マスタ106b、仕入ベース単価マスタ106c、仕入エキストラ単価マスタ106d、および商品マスタ106eなどを格納する。
【0020】
ここで、売上ベース単価マスタ106aと仕入ベース単価マスタ106cは、概念的に、本発明のベース単価マスタに含まれるものである。売上エキストラ単価マスタ106bと仕入エキストラ単価マスタ106dは、概念的に、本発明のエキストラ単価マスタに含まれるものである。
【0021】
上述した各マスタの具体例は、図2~6を参照されたい。なお、売上ベース単価マスタ106aと仕入ベース単価マスタ106c内の「ベース単価」は、本発明の定尺品用のベース単価に相当する。また、売上ベース単価マスタ106aと仕入ベース単価マスタ106c内の「加工ベース単価」「切断ベース単価」は、本発明の加工品用のベース単価に相当する。また、売上エキストラ単価マスタ106bと仕入エキストラ単価マスタ106dでは、「長さ以上」および長さの設定値(例:0、6000)で定義される条件式「長さ≧設定値」で、加工内容別のエキストラ単価の管理を実現している。本発明の「製品の加工内容に関する数値」は、当該条件式に当てはめられて設定値と比較される長さに相当する。
【0022】
図1に戻り、制御部102は、販売管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0023】
制御部102は、機能概念的に、受注入力部102a、仕入入力部102b、第一取得部102c、第二取得部102d、および算出部102eなどを備える。
【0024】
受注入力部102aは、得意先からの製品の受注に関する情報を画面(図示せず)上に入力させ、入力された情報を受注情報として例えば記憶部106内の所定の記憶領域に格納する情報処理手段である。受注入力部102aは、第一取得部102c、第二取得部102d、および算出部eを動作させて、入力された情報を基に単価の算出を実行させ、第一取得部102c、第二取得部102d、および算出部eの処理にて得られた数値を画面に表示させてもよい。
【0025】
仕入入力部102bは、仕入先からの製品の仕入に関する情報を画面(図示せず)上に入力させ、入力された情報を仕入情報として例えば記憶部106内の所定の記憶領域に格納する情報処理手段である。仕入入力部102bは、第一取得部102c、第二取得部102d、および算出部eを動作させて、入力された情報を基に単価の算出を実行させ、第一取得部102c、第二取得部102d、および算出部eの処理にて得られた数値を画面に表示させてもよい。
【0026】
第一取得部102cは、本発明の第一取得手段に相当するものである。第一取得部102cは、取引先、取引される製品の品種、および当該製品が定尺品か加工品かの情報を基に、売上ベース単価マスタ106aまたは仕入ベース単価マスタ106cを参照して、適用するベース単価を取得する情報処理手段である。第一取得部102cが実行する処理の具体例については、「2.処理の具体例」にて詳細に説明する。
【0027】
第二取得部102dは、本発明の第二取得手段に相当するものである。第二取得部102dは、取引先、取引される製品、および当該製品の加工内容に関する数値を基に、売上エキストラ単価マスタ106bまたは仕入エキストラ単価マスタ106dを参照して、適用するエキストラ単価を取得する情報処理手段である。第二取得部102dが実行する処理の具体例については、「2.処理の具体例」にて詳細に説明する。
【0028】
算出部102eは、本発明の算出手段に相当するものである。算出部102eは、第一取得部102cで取得したベース単価および第二取得部102dで取得したエキストラ単価を基に、製品の取引の単価を算出する情報処理手段である。算出部102eが実行する処理の具体例については、「2.処理の具体例」にて詳細に説明する。
【0029】
[2.処理の具体例]
ここでは、販売管理装置100で実行される処理の具体例を、図7,8等を参照して説明する。
【0030】
[2-1.売上単価の算出例その1(図7参照)]
例えば、大阪本社(販売管理装置100を利用する企業における企業内組織に相当)が、得意先「●●鋼管」(得意先コード「1116432」)に、定尺品(商品名「SUS304△△△6×50×」(商品コード「213406050500」),長さ「4000」(mm/本))を、2本売る場合を想定して、売上単価の算出処理を具体的に説明する。なお、売上の単位は「本」を想定しているので、取引を行う単位(提示単位)は「本」である。ここでは、受注入力部102aが第一取得部102c、第二取得部102d、および算出部102eを動作させたことを前提とする。
【0031】
まず、第一取得部102cは、商品マスタ106eを参照して、商品名「SUS304△△△6×50×」(商品コード「213406050500」)に紐付く品種名「SUS304××××××」(品種コード「8400101」)とM単重「2.38」(kg/m)を取得する。
【0032】
つぎに、第一取得部102cは、売上ベース単価マスタ106aを参照して、品種名「SUS304××××××」(品種コード「8400101」)と、提示単位「本」と、得意先「●●鋼管」(得意先コード「1116432」)または得意先「大阪本社共通(1)」(得意先コード「11011」)もしくは得意先「大阪本社共通(2)」(得意先コード「11012」)と、に紐付く、定尺品用のベース単価「710.0」(円/kg)、値引率「0.10」、および口銭「0.020」を取得する。
【0033】
つぎに、第二取得部102dは、売上エキストラ単価マスタ106bを参照して、商品名「SUS304△△△6×50×」(商品コード「213406050500」)と、得意先「●●鋼管」(得意先コード「1116432」)または得意先「大阪本社共通(1)」(得意先コード「11011」)と、長さ「4000」が満たす条件式「長さ≧0」と、に紐付く、エキストラ単価「12.0」(円/kg)を取得する。
【0034】
つぎに、算出部102eは、ベース単価「710.0」、エキストラ単価「12.0」、および値引率「0.10」を、計算式「単価小計(円/kg)=(ベース単価(円/kg)+エキストラ単価(円/kg))×(1-値引率)」に代入して、単価小計「649.8」を算出する。
【0035】
つぎに、算出部102eは、単価小計「649.8」、および、画面に入力された更なる第2の値引率の値(※本説明では未入力、つまり「0」とする)を、計算式「合計売上単価(円/kg)=単価小計(円/kg)×(1-値引率)」に代入して、合計売上単価「649.8」を算出する。なお、長さ「4000」およびM単重「2.38」から、「9.52」(kg/本)が得られるので、合計売上単価「649.8」(円/kg)×「9.52」(kg/本)から、合計売上単価「6186.1」(円/本)を算出してもよい。つまり、合計売上単価の単位を、円/kgから円/本に変更してもよい。
【0036】
つぎに、算出部102eは、合計売上単価「649.8」、長さ「4000」、M単量「2.38」、および本数「2」を、計算式「金額(円)=合計売上単価(円/kg)×長さ(m/本)×M単量(kg/m)×本数(本)」に代入して、金額「12,372」を算出する(小数点以下切り捨て)。
【0037】
つぎに、算出部102eは、金額「12,372」および口銭「0.020」を、計算式「口銭金額(円)=金額(円)×口銭」に代入して、口銭金額「247」を算出する(小数点以下四捨五入)。
【0038】
つぎに、算出部102eは、金額「12,372」、口銭金額「247」、画面に入力された別途加工賃(※本説明では未入力、つまり「0」とする)、および本数「2」を、計算式「売上金額(円)=金額(円)-口銭金額(円)+別途加工賃(円/本)×本数(本)」に代入して、売上金額「12,125」を算出する。
【0039】
[2-2.売上単価の算出例その2(図7参照)]
例えば、大阪本社(販売管理装置100を利用する企業における企業内組織に相当)が、得意先「●●鋼管」(得意先コード「1116432」)に、切断品(商品名「SUS304△△△4×50×」(商品コード「213404050900」),長さ「110」(mm/本))を、10本売る場合を想定して、売上単価の算出処理を具体的に説明する。なお、売上の単位は「本」を想定しているので、取引を行う単位(提示単位)は「本」である。ここでは、受注入力部102aが第一取得部102c、第二取得部102d、および算出部102eを動作させたことを前提とする。
【0040】
まず、第一取得部102cは、商品マスタ106eを参照して、商品名「SUS304△△△4×50×」(商品コード「213404050900」)に紐付く品種名「SUS304××××××」(品種コード「8400101」)とM単重「1.77」(kg/m)を取得する。
【0041】
つぎに、第一取得部102cは、売上ベース単価マスタ106aを参照して、品種名「SUS304××××××」(品種コード「8400101」)と、提示単位「本」と、得意先「●●鋼管」(得意先コード「1116432」)または得意先「大阪本社共通(1)」(得意先コード「11011」)もしくは得意先「大阪本社共通(2)」(得意先コード「11012」)と、に紐付く、加工品用のベース単価「810.0」(円/kg)、加工賃閾値「300.0」(mm)、値引率「0.10」、および口銭「0.020」を取得する。
【0042】
つぎに、第二取得部102dは、売上エキストラ単価マスタ106bを参照して、商品名「SUS304△△△4×50×」(商品コード「213404050900」)と、得意先「●●鋼管」(得意先コード「1116432」)または得意先「大阪本社共通(1)」(得意先コード「11011」)と、長さ「110」が満たす条件式「長さ≧0」と、に紐付く、エキストラ単価「10.0」(円/kg)および加工賃「50」(円/本)を取得する。
【0043】
つぎに、算出部102eは、長さ「110」が加工賃閾値「300.0」未満なので、ベース単価「810.0」、エキストラ単価「10.0」、加工賃「50」、M単重「1.77」、長さ「110」、および値引率「0.10」、ならびに歩留りを考慮して事前に設定した加算長さ「3」(mm)を、計算式「単価小計(円/本)={(ベース単価(円/kg)+エキストラ単価(円/kg))×M単重(kg/m)×加算込長さ(m/本)+加工賃(円/本)}×(1-値引率)」に代入して、単価小計「192.6」を算出する。
【0044】
つぎに、算出部102eは、単価小計「192.6」、および、画面に入力された更なる第2の値引率の値(※本説明では「0.05」が入力されたとする)を、計算式「合計売上単価(円/本)=単価小計(円/本)×(1-第2の値引率)」に代入して、合計売上単価「182.97」(円/本)を算出する。
【0045】
つぎに、算出部102eは、合計売上単価「182.97」および本数「10」を、計算式「金額(円)=合計売上単価(円/本)×本数(本)」に代入して、金額「1,829」を算出する(小数点以下切り捨て)。
【0046】
つぎに、算出部102eは、金額「1,829」および口銭「0.020」を、計算式「口銭金額(円)=金額(円)×口銭」に代入して、口銭金額「37」を算出する(小数点以下四捨五入)。
【0047】
つぎに、算出部102eは、金額「1,829」、口銭金額「37」、画面に入力された別途加工賃(※本説明では「200」が入力されたとする)、および本数「10」を、計算式「売上金額(円)=金額(円)-口銭金額(円)+別途加工賃(円/本)×本数(本)」に代入して、売上金額「3,792」(円)を算出する。
【0048】
[2-3.仕入単価の算出例その1(図8参照)]
例えば、大阪本社(販売管理装置100を利用する企業における企業内組織に相当)が、仕入先「△△興業」(仕入先コード「1114100」)から、定尺品(商品名「SUS304△△△6×50×」(商品コード「213406050500」),長さ「4000」(mm/本))を、2本仕入れる場合を想定して、仕入単価の算出処理を具体的に説明する。なお、仕入の単位は「本」を想定しているので、取引を行う単位(提示単位)は「本」である。ここでは、仕入入力部102bが第一取得部102c、第二取得部102d、および算出部102eを動作させたことを前提とする。
【0049】
まず、第一取得部102cは、商品マスタ106eを参照して、商品名「SUS304△△△6×50×」(商品コード「213406050500」)に紐付く品種名「SUS304××××××」(品種コード「8400101」)とM単重「2.38」(kg/m)を取得する。
【0050】
つぎに、第一取得部102cは、仕入ベース単価マスタ106cを参照して、品種名「SUS304××××××」(品種コード「8400101」)と、提示単位「本」と、仕入先「△△興業」(仕入先コード「1114100」)または仕入先「大阪本社共通」(仕入先コード「11011」)と、に紐付く、定尺品用のベース単価「470.0」(円/kg)を取得する。
【0051】
つぎに、第二取得部102dは、仕入エキストラ単価マスタ106dを参照して、商品名「SUS304△△△6×50×」(商品コード「213406050500」)と、仕入先「△△興業」(仕入先コード「1114100」)または仕入先「大阪本社共通」(仕入先コード「11011」)と、長さ「4000」が満たす条件式「長さ≧0」と、に紐付く、エキストラ単価「20.0」(円/kg)を取得する。
【0052】
つぎに、算出部102eは、ベース単価「470.0」およびエキストラ単価「20.0」を、計算式「単価小計(円/kg)=ベース単価(円/kg)+エキストラ単価(円/kg)」に代入して、単価小計「490.0」を算出する。
【0053】
つぎに、算出部102eは、単価小計「490.0」、長さ「4000」、M単重「2.38」、および、画面に入力された値引率の値(※本説明では「0」が入力されたとする)を、計算式「合計仕入単価(円/本)=単価小計(円/kg)×長さ(m/本)×M単重(kg/m)×(1-値引率)」に代入して、合計仕入単価「4,664.8」を算出する。
【0054】
つぎに、算出部102eは、合計仕入単価「4,664.8」および本数「2」を、計算式「金額(円)=合計仕入単価(円/本)×本数(本)」に代入して、金額「9,330」を算出する(小数点以下四捨五入)。
【0055】
つぎに、算出部102eは、金額「9,330」、および、画面に入力された口銭の値(※本説明では「0.020」が入力されたとする)を、計算式「口銭金額(円)=金額(円)×口銭」に代入して、口銭金額「187」を算出する(小数点以下四捨五入)。
【0056】
つぎに、算出部102eは、金額「9,330」、口銭金額「187」、画面に入力された別途加工賃の値(※本説明では未入力、つまり「0」とする)、および本数「2」を、計算式「仕入金額(円)=金額(円)-口銭金額(円)+別途加工賃(円/本)×本数(本)」に代入して、仕入金額「9,143」を算出する。
【0057】
[2-4.仕入単価の算出例その2(図8参照)]
例えば、大阪本社(販売管理装置100を利用する企業における企業内組織に相当)が、仕入先「××機械加工」(仕入先コード「1113446」)から、切断品(商品名「SUS304△△△4×50×」(商品コード「213404050900」),長さ「110」(mm/本))を、10本仕入れる場合を想定して、仕入単価の算出処理を具体的に説明する。なお、仕入の単位は「本」を想定しているので、取引を行う単位(提示単位)は「本」である。ここでは、仕入入力部102bが第一取得部102c、第二取得部102d、および算出部102eを動作させたことを前提とする。
【0058】
まず、第一取得部102cは、商品マスタ106eを参照して、商品名「SUS304△△△4×50×」(商品コード「213404050900」)に紐付く品種名「SUS304××××××」(品種コード「8400101」)とM単重「1.77」(kg/m)を取得する。
【0059】
つぎに、第一取得部102cは、仕入ベース単価マスタ106cを参照して、品種名「SUS304××××××」(品種コード「8400101」)と、提示単位「本」と、仕入先「××機械加工」(仕入先コード「1113446」)または仕入先「大阪本社共通」(仕入先コード「11011」)と、に紐付く、加工品用のベース単価「695.0」(円/kg)、加工賃閾値「200.0」(mm)、および特別BS「-30.0」(円/kg)を取得する。
【0060】
つぎに、第二取得部102dは、仕入エキストラ単価マスタ106dを参照して、商品名「SUS304△△△4×50×」(商品コード「213404050900」)と、仕入先「××機械加工」(仕入先コード「1113446」)または仕入先「大阪本社共通」(仕入先コード「11011」)と、長さ「110」が満たす条件式「長さ≧0」と、に紐付く、エキストラ単価「10.0」(円/kg)および加工賃「30」(円/本)を取得する。
【0061】
つぎに、算出部102eは、長さ「110」が加工賃閾値「200.0」未満なので、ベース単価「695.0」、特別BS「-30.0」、エキストラ単価「10.0」、加工賃「30」、M単重「1.77」、および長さ「110」、ならびに歩留りを考慮して事前に設定した加算長さ「3」(mm)を、計算式「単価小計(円/本)=(ベース単価(円/kg)+特別BS(円/kg)+エキストラ単価(円/kg))×M単重(kg/m)×加算込長さ(m/本)+加工賃(円/本)」に代入して、単価小計「165.0」(円/本)を算出する。なお、長さが加工賃閾値未満のときは、特別BSを加算せずに単価小計を算出する。
【0062】
つぎに、算出部102eは、単価小計「165.0」、および、画面に入力された値引率の値(※本説明では「0.05」が入力されたとする)を、計算式「合計仕入単価(円/本)=単価小計(円/本)×(1-値引率)」に代入して、合計仕入単価「156.8」を算出する。
【0063】
つぎに、算出部102eは、合計仕入単価「156.8」および本数「10」を、計算式「金額(円)=合計仕入単価(円/本)×本数(本)」に代入して、金額「1,568」を算出する(小数点以下切り捨て)。
【0064】
つぎに、算出部102eは、金額「1,568」、および、画面に入力された口銭の値(※本説明では「0」が入力されたとする)を、計算式「口銭金額(円)=金額(円)×口銭」に代入して、口銭金額「0」を算出する(小数点以下四捨五入)。
【0065】
つぎに、算出部102eは、金額「1,568」、口銭金額「0」、画面に入力された別途加工賃(※本説明では未入力、つまり「0」とする)、および本数「10」を、計算式「仕入金額(円)=金額(円)-口銭金額(円)+別途加工賃(円/本)×本数(本)」に代入して、仕入金額「1,568」を算出する。
【0066】
[3.本実施形態のまとめ]
鉄鋼業界の商流としては、「メーカー」→「一次問屋」→「加工屋、二次問屋、直売」→「需要家」といったような流れが一般的である。また、商流の川上がより価格交渉力が強く、原材料の供給量や、経済情勢の変化等により、取引される単価が定期的に変更される。古くから存在する日本の基幹産業であるため、商流の川上に行くほど新規参入企業は少なく、特定の企業と定期的に取引を行う紐付き商売が多い。また、価格の取り決めについては、扱う品や納め場所・経由地(品が重くて移動にコストがかかるため)、取引先との関係性により、細かな要件が設定されることが多い。
【0067】
そこで、本実施形態では、1)ベース単価・エキストラ単価といった鉄鋼業界の主となる要件を満たす単価算出の仕組みを実現している他、更に、2)加工を伴う企業向けの、加工内容による単価を考慮した単価算出の仕組みと、3)重量と数量による取引(これも鉄鋼業界において必須の要件であり、本数や重量での複数単位の管理が必要)について単位情報を自動換算して単価算出を行う仕組みも実現している。そして、本実施形態では、このような細かな仕組みをマスタで管理するスキームを設計することで、企業内での業務統制の実現を図った。具体的には、本実施形態におけるポイントは、1)取引先毎のベース単価・エキストラ単価をマスタ上で管理する点、2)加工内容に伴うエキストラ単価の設定をマスタ上でさらに管理する点、3)数量から重量への換算を自動で行うことで重量ベースでの単価算出を実現した点、4)最低単価情報をマスタに持たせることで、原価割れの防止や粗利率のチェックが可能となった点、である。
【0068】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0071】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0072】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0073】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0074】
また、販売管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0075】
例えば、販売管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて販売管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0076】
また、このコンピュータプログラムは、販売管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0077】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0078】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0079】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0080】
また、販売管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、販売管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0081】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、鉄鋼・建材業界において特に有用である。
【符号の説明】
【0083】
100 販売管理装置(本発明に係る単価算出装置を含む)
102 制御部
102a 受注入力部
102b 発注入力部
102c 第一取得部
102d 第二取得部
102e 算出部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 売上ベース単価マスタ
106b 売上エキストラ単価マスタ
106c 仕入ベース単価マスタ
106d 仕入エキストラ単価マスタ
106e 商品マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8