IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図1
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図2
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図3
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図4
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図5
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図6
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図7
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図8
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図9
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図10
  • 特開-印刷装置、及びカッター装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134691
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】印刷装置、及びカッター装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20220908BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20220908BHJP
   B26D 1/30 20060101ALI20220908BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20220908BHJP
   B41J 3/36 20060101ALN20220908BHJP
【FI】
B65H35/07 P
B41J11/70
B26D1/30 501G
B26D7/02 Z
B26D1/30 501F
B41J3/36 T
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034003
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 慶
(72)【発明者】
【氏名】横山 佳正
【テーマコード(参考)】
2C055
2C058
3C021
3F062
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C058AB12
2C058AB17
2C058AC06
2C058AC12
2C058AD06
2C058AE15
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA24
2C058LA36
2C058LB09
2C058LB17
2C058LB24
2C058LB34
3C021CC04
3F062AA05
3F062AA13
3F062BA06
3F062BE08
3F062BG02
3F062BG05
(57)【要約】
【課題】簡易な機構により、被印刷媒体をカットするときに被印刷媒体の位置にずれが生じることを防ぐ。
【解決手段】被印刷媒体11の搬送経路における第1の位置で被印刷媒体11をカットするカット部9を備えた印刷装置1において、カット部9は、可動することにより被印刷媒体11をカット可能な可動刃920と、可動刃920に連動し、押圧による荷重によって可動刃920を移動させるカットボタン6と、搬送経路上における第1の位置よりも上流側で、被印刷媒体11を保持する少なくとも1つの保持部材950と、を含み、その少なくとも1つの保持部材950は、可動刃920と被印刷媒体11との相対位置の変化に伴って可動する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体の搬送経路における第1の位置で前記被印刷媒体をカットするカット部と、を備え、
前記カット部は、
可動することにより前記被印刷媒体をカット可能な可動刃と、
前記可動刃に連動し、押圧による荷重によって前記可動刃を移動させるカットボタンと、
前記搬送経路上における前記第1の位置よりも上流側で、前記被印刷媒体を保持する少なくとも1つの保持部材と、
を含み、
前記少なくとも1つの保持部材は、前記可動刃と前記被印刷媒体との相対位置の変化に伴って可動することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記搬送経路における第2の位置で前記被印刷媒体への印刷を行う印刷部を含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの保持部材は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記被印刷媒体を保持するように配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記可動刃は、
前記相対位置を、前記可動刃の可動範囲内において最も前記被印刷媒体から離間した第1の相対位置と、前記被印刷媒体のカットが終了する位置である第2の相対位置との間で変更可能であり、前記カットボタンに印加される前記荷重によって、前記第1の相対位置から前記第2の相対位置に向かう方向に可動することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの保持部材は、
前記可動刃の前記相対位置が前記第1の相対位置と前記第2の相対位置との間であって前記可動刃が前記被印刷媒体から離間している第3の相対位置と、前記第2の相対位置と、の間であるときには前記被印刷媒体を保持し、前記可動刃の前記相対位置が、前記第3の相対位置と前記第1の相対位置との間であるときには前記被印刷媒体から離間するように、前記可動刃と連動することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記カット部は、前記可動刃を前記第2の相対位置から前記第1の相対位置に向かう方向に付勢する付勢部材を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記カット部は、前記少なくとも1つの保持部材として、第1の保持部材及び第2の保持部材を含み、
前記第2の保持部材を前記第1の保持部材に向かう方向に付勢する付勢部材を更に備え、
前記第2の保持部材は、前記可動刃の前記相対位置が前記第1の相対位置と前記第3の相対位置との間であるときに、前記第1の保持部材から離間する方向の荷重を前記可動刃から受けるように前記可動刃と連動する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材は、
前記第1の保持部材が前記被印刷媒体における前記印刷部による印刷が行われる印刷面とは反対側の面と対向し、前記第2の保持部材が前記被印刷媒体の前記印刷面と対向し、かつ前記第2の保持部材が前記第1の保持部材からの距離を変更可能であり、
前記第2の保持部材が前記可動刃と連動することを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記カット部は、前記搬送経路との相対位置が変更されない固定刃を更に含み、前記固定刃と前記可動刃とにより前記被印刷媒体を挟み切るように構成される
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの保持部材は、前記被印刷媒体を保持するときに前記被印刷媒体に接触するすべり止め部材を含む
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記搬送部により前記被印刷媒体を搬送しながら前記印刷部による前記被印刷媒体への印刷を行っている場合に、前記被印刷媒体上の前記カット部によりカットするラインが前記搬送経路の前記第1の位置に到達すると、前記搬送部による前記被印刷媒体の搬送及び前記印刷部による前記被印刷媒体への印刷を停止し、前記カット部による前記被印刷媒体のカットが終了した後、前記搬送部による前記被印刷媒体の搬送及び前記印刷部による前記被印刷媒体への印刷を再開するように前記搬送部及び前記印刷部の動作を制御する制御部
を更に備えることを特徴とする請求項2~10のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項12】
印刷装置の搬送部により搬送される被印刷媒体の搬送経路における第1の位置で被印刷媒体をカットするカット部を備え、
前記カット部は、
可動することにより前記被印刷媒体をカット可能な可動刃と、
前記可動刃に連動し、押圧による荷重によって前記可動刃を移動させるカットボタンと、
前記搬送経路上における前記第1の位置よりも上流側で、前記被印刷媒体を保持する少なくとも1つの保持部材と、
を含み、
前記少なくとも1つの保持部材は、前記可動刃と前記被印刷媒体との相対位置の変化に伴って可動することを特徴とするカッター装置。
【請求項13】
前記カッター装置は、前記少なくとも1つの保持部材が、前記搬送経路における前記第1の位置と前記印刷装置の印刷部により前記被印刷媒体への印刷が行われる第2の位置との間で前記被印刷媒体を保持するように、前記印刷装置に対して配設される
ことを特徴とする請求項12に記載のカッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、印刷装置、及びカッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ状の被印刷媒体に印刷を行う印刷装置には、被印刷媒体をカットするカッター装置を備えたものがある。この種の印刷装置におけるカッター装置には、電力(例えば、モータの動力)を利用して被印刷媒体をカットするものと、利用者により加えられる外力(例えば、利用者がボタンを押す力)を利用して被印刷媒体をカットするものとがある。
【0003】
上記の印刷装置には、被印刷媒体への印刷と被印刷媒体のカットとを含む動作を連続して行うことが可能なものがある。しかしながら、一般的な印刷装置では、被印刷媒体をカットしたときに被印刷媒体の位置にずれが生じることがある。このため、従来の印刷装置は、被印刷媒体への印刷と被印刷媒体のカットとを含む動作を連続して行う場合に、被印刷媒体への1回分の印刷が終了した後で被印刷媒体をカットするように動作するものが多い。
【0004】
関連する技術として、特許文献1には、電力を利用して被印刷媒体をカットするカット作動機構を備え、テープ押え部材とテープ受け板とで被印刷媒体を挟んで固定した状態で、被印刷媒体をカットするためのフルカッタを動作させる印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-243616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された印刷装置のようにテープ押え部材とテープ受け板とで被印刷媒体を挟んで固定した状態で被印刷媒体をカットすることにより、被印刷媒体の位置のずれを防ぐことができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたカット作動機構は、テープ押え部材を移動させる動作と、被印刷媒体をカットするためのフルカッタを移動させる動作とが個別に行われる構成になっている。このため、カット作動機構に用いる部品数の増加により機構が複雑化し、製造コストの上昇等を招く。
【0008】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、簡易な機構により、被印刷媒体をカットするときに被印刷媒体の位置にずれが生じることを防ぐことが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る印刷装置は、被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体の搬送経路における第1の位置で前記被印刷媒体をカットするカット部と、を備え、前記カット部は、可動することにより前記被印刷媒体をカット可能な可動刃と、前記可動刃に連動し、押圧による荷重によって前記可動刃を移動させるカットボタンと、前記搬送経路上における前記第1の位置よりも上流側で、前記被印刷媒体を保持する少なくとも1つの保持部材と、を含み、前記少なくとも1つの保持部材は、前記可動刃と前記被印刷媒体との相対位置の変化に伴って可動することを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係るカッター装置は、印刷装置の搬送部により搬送される被印刷媒体の搬送経路における第1の位置で被印刷媒体をカットするカット部を備え、前記カット部は、可動することにより前記被印刷媒体をカット可能な可動刃と、前記可動刃に連動し、押圧による荷重によって前記可動刃を移動させるカットボタンと、前記搬送経路上における前記第1の位置よりも上流側で、前記被印刷媒体を保持する少なくとも1つの保持部材と、を含み、前記少なくとも1つの保持部材は、前記可動刃と前記被印刷媒体との相対位置の変化に伴って可動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記の態様によれば、簡易な機構により、被印刷媒体をカットするときに被印刷媒体の位置にずれが生じることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】カット機構を備えた印刷装置の外観構成の一例を示す斜視図である。
図2図1の印刷装置における蓋を開いた状態の一例を示す斜視図である。
図3】被印刷媒体の搬送経路を説明する図である。
図4】印刷装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5】印刷装置が行う連続印刷処理の一例を説明するフローチャートである。
図6】従来の印刷装置において生じ得る被印刷媒体の位置のずれを説明する図である。
図7】一実施形態に係るカット機構の構成及び動作の一例を説明する図(その1)である。
図8】一実施形態に係るカット機構の構成及び動作の一例を説明する図(その2)である。
図9】一実施形態に係るカット機構の構成及び動作の一例を説明する図(その3)である。
図10】一実施形態に係る印刷装置における連続印刷中の動作の一具体例を説明する図である。
図11】一実施形態に係る印刷装置における連続印刷中の動作の一具体例と、従来の印刷装置における連続印刷中の動作の一具体例とを比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る印刷装置の一例として、熱転写方式によりテープ状の被印刷媒体への印刷を行う印刷処理部と、利用者がボタンを押下する力により被印刷媒体をカットするカット機構とを備えた印刷装置を挙げる。以下の説明では、例示する印刷装置における周知の機能、構成、動作等についての詳細な説明は省略する。
【0014】
図1は、カット機構を備えた印刷装置の外観構成の一例を示す斜視図である。図2は、図1の印刷装置における蓋を開いた状態の一例を示す斜視図である。
【0015】
図1及び図2に例示した印刷装置1は、装置筐体2の表面に入力部3と表示部4とが設けられている。入力部3は、被印刷媒体に印刷する文字や図形等の入力、被印刷媒体への印刷や被印刷媒体のカットに関する各種設定に対する入力等を行うために利用者が操作するキーボード装置である。表示部4は、入力部3により入力された各種情報等を表示する装置であり、例えば、ドットマトリクス型の液晶ディスプレイである。
【0016】
装置筐体2には、図2に例示したように、カートリッジ10を装着する凹部201が設けられている。カートリッジ10には被印刷媒体及びインクリボンが収容されている。装置筐体2には、凹部201を覆う位置と凹部201にカートリッジ10を着脱可能な位置との間で移動させることが可能な蓋5が取り付けられている。
【0017】
装置筐体2の凹部201には、被印刷媒体を搬送するプラテンローラ7と、被印刷媒体への印刷を行う印刷部8とが配置されている。印刷部8は、カートリッジ10から供給されるインクリボンのインクをカートリッジ10から供給される被印刷媒体に転写するサーマルヘッド801を含む。凹部201は、装置筐体2の側面に設けられた被印刷媒体の排出口210に通じている。
【0018】
印刷装置1は、プラテンローラ7とサーマルヘッド801とにより、カートリッジ10から供給される被印刷媒体とインクリボンとを挟持し、その状態でプラテンローラ7を回転させながら被印刷媒体への印刷を行う。このとき、インクリボンはカートリッジ内に回収され、被印刷媒体は排出口210に向けて搬送される。
【0019】
図1及び図2には示していないが、被印刷媒体を搬送する経路であって、凹部201におけるプラテンローラ7及び印刷部8(サーマルヘッド801)が配置された位置と、排出口210との間には、被印刷媒体をカットするためのカット機構が配置されている。カット機構は装置筐体2に設けられたカットボタン6と連結しており、利用者がカットボタン6を押すことにより、被印刷媒体がカットされる。
【0020】
図3は、被印刷媒体の搬送経路を説明する図である。図3には、印刷装置1における被印刷媒体11の搬送経路を直線状にして概略的に示している。図3では、カートリッジ10を省略している。
【0021】
図3における「カット位置」、「印刷位置」、及び「排出位置」は、それぞれ、搬送経路における、被印刷媒体11のカットが行われる位置(第1の位置)、被印刷媒体11への印刷が行われる位置(第2の位置)、及び被印刷媒体11が装置筐体2の外部へ排出される位置(すなわち排出口210の位置)である。図3における「上流」及び「下流」は、被印刷媒体の搬送経路における相対的な位置関係、及び被印刷媒体上での相対的な位置関係を表す方向である。以下の説明では、ある位置から見て印刷位置から排出位置に向かう方向(図3では右方向)を「下流側」といい、その反対の方向(図3では左方向)を「上流側」という。
【0022】
被印刷媒体11とインクリボン12とは、個別にロール状にしてカートリッジ10内に収容されている。カートリッジ10は、被印刷媒体11とインクリボン12とが、プラテンローラ7とサーマルヘッド801との間を通るように凹部201に収容される。プラテンローラ7は、図示しないモータ(例えば、DCモータ)と連結しており、被印刷媒体11及びインクリボン12を搬送経路の下流側に送り出す方向(図3では反時計方向)に回転させることができる。被印刷媒体11への印刷を行うとき、被印刷媒体11とインクリボン12とは、印刷位置において、プラテンローラ7とサーマルヘッド801とにより挟持される。印刷装置1は、プラテンローラ7を回転させて被印刷媒体11及びインクリボン12を下流側に送りながら、サーマルヘッド801を利用して被印刷媒体11への印刷を行う。被印刷媒体11は、特定の種類のものに限定されない。例えば、被印刷媒体11は、インクリボン12のインクが転写される基材と、その基材におけるインクが転写される面(印刷面)とは反対側の面に設けられた粘着層及び保護層とを含む粘着テープタイプのものであってもよいし、粘着層を含まないものであってもよい。
【0023】
搬送経路におけるカット位置は、印刷位置と排出位置との間にある。カット位置には、カットボタン6(図2を参照)と連結されたカット機構9が配置される。本実施形態で例示するカット機構9は、装置筐体2に固定された固定刃910と、利用者によるカットボタン6を押す動作と連動して移動(可動)し、固定刃910及び被印刷媒体11との相対位置が変化する可動刃920とを含む。印刷装置1は、被印刷媒体11におけるカットする位置(以下「カットライン」という)が搬送経路のカット位置に到達すると被印刷媒体11の搬送を停止する。その後、利用者がカットボタン6を押してカット機構9を動作させて被印刷媒体11をカットすると、カット位置よりも下流側にある被印刷媒体11が排出口210から装置筐体2の外部に排出される。カットボタン6とカット機構9との組み合わせは、被印刷媒体11をカットするカッター装置の一例である。
【0024】
図4は、印刷装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。図4に例示したように、印刷装置1は、プロセッサ100、メモリ110、入力装置120、表示装置130、カートリッジセンサ140、搬送部150、印刷部8、及びカット部170を含む。
【0025】
プロセッサ100は、印刷装置1の動作を制御する装置である。プロセッサ100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、例えば、メモリ110に記憶させた各種プログラムを実行することにより、印刷装置1の動作を制御する。プロセッサ100は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等であってもよい。また、プロセッサ100は、複数のプロセッサの組み合わせであってもよい。プロセッサ100は、後述する連続印刷処理を含む印刷処理における被印刷媒体の搬送及び被印刷媒体への印刷を制御する処理を行う制御部の一例である。
【0026】
メモリ110は、印刷装置1の動作を制御するための命令を含むプログラム、印刷装置1がプログラムの実行中に作成したデータ、及び印刷装置1がプログラムの実行中に参照するデータ等を記憶する記憶装置である。メモリ110は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。
【0027】
入力装置120は、印刷装置1に対する各種入力を受け付ける1つ以上の装置である。入力装置120は、上述したキーボード装置等の入力部3を含む。表示装置130は、印刷装置1の動作と関連する各種情報を表示する1つ以上の装置である。表示装置130は、上述した液晶ディスプレイ等の表示部4を含む。
【0028】
カートリッジセンサ140は、装置筐体2の凹部201に装着されたカートリッジ10を検出する。カートリッジセンサ140は、例えば、カートリッジ10が装着されているか否かを示す検出情報や、装着されたカートリッジ10に収容されている被印刷媒体11の幅等を示す検出情報を出力する。
【0029】
搬送部150は、プロセッサ100からの制御信号に基づいて、被印刷媒体11を搬送する処理を行う。搬送部150は、モータ、モータを駆動させる駆動回路、モータと連結されたプラテンローラ7、及びプラテンローラ7の回転数を検出する検出器(例えば、エンコーダ)を含む。
【0030】
印刷部8は、プロセッサ100からの制御信号に基づいて、被印刷媒体11に印刷(印字)する処理を行う。印刷部8は、サーマルヘッド801、サーマルヘッド801を駆動させる駆動回路、及びサーマルヘッド801の温度を検出する温度センサ(例えば、サーミスタ)を含む。
【0031】
カット部170は、例えば、被印刷媒体11をカットするカット機構9と、カット機構9が被印刷媒体11をカットする動作を行ったことを検出するセンサ171とを含む。
【0032】
なお、印刷装置1は、上述したハードウェア構成に限らず、例えば、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等の外部装置との通信を可能にする通信装置(通信インタフェース)を含んでもよい。また、印刷装置1は、カット部170のセンサ171を省略し、利用者が入力装置120に対する所定の入力操作を行った場合にカット機構9が被印刷媒体11をカットする動作を行ったと認識するものであってもよい。
【0033】
上述した印刷装置1は、例えば、入力装置120を使用して利用者が作成した印刷レイアウトに基づいて、被印刷媒体11への印刷を行うことができる。また、印刷装置1は、作成された印刷データに基づいて、被印刷媒体11に連続印刷を行うことができる。連続印刷は、1つの印刷レイアウトに基づく被印刷媒体11への印刷を複数回連続して行うことを含む。また、連続印刷は、複数の印刷レイアウトに基づいて、印刷レイアウト毎の被印刷媒体11への印刷を連続して行うことを含む。更に、上述した印刷装置1は、例えば、入力装置120を使用して利用者が設定したカットに関する情報に基づいて、被印刷媒体11への印刷の途中で搬送及び印刷を停止し、利用者に被印刷媒体11をカットさせることができる。このような印刷装置1が行う連続印刷処理の一例を、図5を参照して説明する。
【0034】
図5は、印刷装置が行う連続印刷処理の一例を説明するフローチャートである。
【0035】
連続印刷処理を開始すると、印刷装置1は、まず、被印刷媒体11の搬送を開始する(ステップS1)。次に、印刷装置1は、被印刷媒体11の搬送量に応じた1ライン分の印刷制御を行う(ステップS2)。ステップS2では、被印刷媒体11における搬送経路の印刷位置にある部分(以下「被印刷ライン」という)と対応付けられる、印刷レイアウトに基づいて作成された制御情報に基づいてサーマルヘッド801を制御し、被印刷ラインへの印刷(印字)を行う。被印刷ラインと対応付けられる制御情報が被印刷媒体11への印刷を行わないことを示す情報である場合には、インクリボンのインクが被印刷媒体11に転写されないようにサーマルヘッド801を制御する。
【0036】
次に、印刷装置1は、被印刷媒体11上のカットラインが搬送経路のカット位置に到達したか否かを判定する(ステップS3)。
【0037】
カットラインがカット位置に到達していない場合(ステップS3;NO)、印刷装置1は、1枚分の印刷が終了したか否かを判定する(ステップS6)。1枚分の印刷は、1つの印刷レイアウトに基づいて被印刷媒体11に対して行われる1回の印刷と対応する。1枚分の印刷が終了していない場合(ステップS6;NO)、印刷装置1が行う処理は、ステップS1に戻る。なお、この場合のステップS1は、被印刷媒体11の搬送を継続する処理となる。
【0038】
これに対し、カットラインがカット位置に到達した場合(ステップS3;YES)、印刷装置1は、被印刷媒体11の搬送及び被印刷媒体への印刷を停止し(ステップS4)、被印刷媒体11をフルカットしたか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5では、例えば、カット部170のセンサ171によりカット機構9が被印刷媒体11をフルカットする動作をしたことを検出した場合、又は入力装置120を利用した所定の操作が行われた場合に、被印刷媒体11をフルカットしたと判定する。被印刷媒体11をフルカットしたと判定するまで、印刷装置1の処理はステップS5の判定にとどまる(ステップS5;NO)。被印刷媒体11をフルカットしたと判定すると(ステップS5;YES)、印刷装置1は、ステップS6の判定を行う。1枚分の印刷が終了していない場合(ステップS6;NO)、印刷装置1が行う処理は、ステップS1に戻る。なお、この場合のステップS1は、被印刷媒体11の搬送を再開する処理となる。
【0039】
1枚分の印刷が終了すると(ステップS6;YES)、印刷装置1は、次に、全ての印刷が終了したか否かを判定する(ステップS7)。全ての印刷は、1つ以上の印刷レイアウトに基づいて印刷レイアウト毎に行う1回以上の印刷の全てと対応する。
【0040】
終了していない印刷がある場合(ステップS7;NO)、印刷装置1は、被印刷媒体11上の次の印刷を開始する被印刷ラインが搬送経路の印刷位置に到達するまで被印刷媒体11を搬送する(ステップS8)。その後、印刷装置1が行う処理は、ステップS1に戻る。なお、ステップS8とその後のステップS1とは、被印刷媒体11の搬送を停止することなく連続して行ってもよいし、被印刷ラインが印刷位置に到達した時点で被印刷媒体11の搬送を停止させ、その後ステップS1の搬送を行ってもよい。
【0041】
全ての印刷が終了すると(ステップS7;YES)、印刷装置1は、被印刷媒体11上のカットラインが搬送経路のカット位置に到達するまで被印刷媒体11を搬送し(ステップS9)、被印刷媒体11をフルカットしたか否かを判定する(ステップS10)。ステップS9では、印刷装置1は、上述したステップS5と同様の判定を行う。被印刷媒体11をフルカットしたと判定するまで、印刷装置1の処理はステップS10の判定にとどまる(ステップS10;NO)。被印刷媒体11をフルカットしたと判定すると(ステップS10;YES)、印刷装置1は、連続印刷処理を終了する。
【0042】
このように、本実施形態で例示する印刷装置1は、被印刷媒体11への印刷が行われているときに被印刷媒体11のカットラインが搬送経路のカット位置に到達すると、被印刷媒体11の搬送及び印刷を停止する。そして、利用者がカットボタン6を押して被印刷媒体11をカットすると、印刷装置1は、被印刷媒体11の搬送及び印刷を再開する。
【0043】
図6は、従来の印刷装置において生じ得る被印刷媒体の位置のずれを説明する図である。図6には、従来の印刷装置において図5に例示したフローチャートに沿って「ABCD」の文字列の印刷を複数回連続して行う場合の、被印刷媒体11をカットする時及びその前後の状態を例示している。
【0044】
図6の(a)には、被印刷媒体11のカットライン1102が搬送経路のカット位置に到達したときの被印刷媒体11の状態を例示している。印刷装置1は、例えば、サーマルヘッド801を利用した被印刷媒体11の印刷領域1122内への文字列「ABCD」の印刷を開始した後、印刷領域1122の下流側にあるカットライン1102がカット位置に到達するタイミングで、被印刷媒体11の搬送及び被印刷媒体11への印刷を停止する。図6の(a)の印刷領域1122内に点線の袋文字で示された文字「C」の一部と文字「D」は、まだ被印刷媒体11に印刷されていないことを示す。すなわち、印刷領域1122内に対する印刷は、搬送を停止した時点で印刷位置にある被印刷媒体11の被印刷ライン1132まで行われている。この後、利用者が印刷装置1のカットボタン6を押すとカット機構9(可動刃920)が作動し、被印刷媒体11がカットライン1102でカットされる。
【0045】
図6の(b)には、カット機構9により被印刷媒体11をカットするときの被印刷媒体11の状態を例示している。カット機構9の固定刃910と可動刃920とは、カットボタン6が押される前(すなわち作動する前)は被印刷媒体11から離間した状態である。そして、カットボタン6が押されると、その押込み量に応じた距離だけ可動刃920が固定刃910側に移動(可動)し、可動刃920と固定刃910とが噛み合うことにより被印刷媒体11がカットされる。例えば、可動刃920は固定刃910に回転可能に取り付けられており、可動刃920が回転移動することにより被印刷媒体11を挟み切る。このとき、被印刷媒体11の位置が固定されていない状態であると、図6の(b)に例示したように、可動刃920から受ける外力により、被印刷媒体11のカットライン1102から被印刷ライン1132までの部分が搬送経路の下流側に引っ張られることがある。すなわち、被印刷媒体11の位置が固定されていない状態で被印刷媒体11をカットすると、印刷を中断した被印刷ライン1132の搬送経路上での位置が印刷位置から下流側に距離gだけずれることがある。
【0046】
被印刷媒体11をカットしたときに位置のずれが生じると、カット後の被印刷媒体11における印刷位置にある部分は、カット前に印刷を中断した被印刷ライン1132から上流側に距離gだけ離れた部分になる。この場合、被印刷媒体11をカットした後で残りの印刷を実行すると、図6の(c)に例示したように、印刷領域1122内のカット前に印刷された部分と、カット後に印刷された部分との間に、距離gの空白ライン1190が生じる。
【0047】
このように、被印刷媒体11の位置を固定していない状態で被印刷媒体11をカットする従来の印刷装置では、カット前に印刷された部分と、カット後に印刷された部分との間に、空白ライン1190が生じ、印刷品質が低下する。また、カット時の被印刷媒体11の位置を固定するために上述した特許文献1に記載された機構を適用する場合、構成が複雑化し、製造コストの上昇等を招く。しかも、電力により作動するカット機構を備えていない印刷装置には、上述した特許文献1に記載された機構を適用することが困難である。
【0048】
以下、図7図9を参照して、本発明の一実施形態に係るカット機構の構成及び動作の一例を説明する。
【0049】
図7は、一実施形態に係るカット機構の構成及び動作の一例を説明する図(その1)である。図8は、一実施形態に係るカット機構の構成及び動作の一例を説明する図(その2)である。図9は、一実施形態に係るカット機構の構成及び動作の一例を説明する図(その3)である。図7図8、及び図9の各図には、被印刷媒体11の幅方向でみたカット機構9の構成の概略図(a)と、搬送経路のカット位置よりも下流側の位置から上流側をみたときのカット機構9の構成の概略図(b)とを示している。
【0050】
本実施形態で例示するカット機構9は、固定刃910と可動刃920とを含む。固定刃910は、図7図9に例示したように、刃910aが被印刷媒体11の幅方向に延伸し、被印刷媒体11をカットする動作の間、搬送経路との相対位置が変わらないように装置筐体2に固定されている。可動刃920は、固定刃901の刃910aと可動刃920の刃922aとにより被印刷媒体11を挟み切るように、固定刃910に対して回転可能に取り付けられて(結合されて)いる。
【0051】
図7図9に例示したカット機構9の可動刃920は、支点部921と、支点部921から第1の方向に伸長する刃部922と、支点部921から第2の方向に伸長する外力変換部923とを含む。支点部921は、刃部922が被印刷媒体11の幅方向に延伸し、かつカット位置及びその周囲における被印刷媒体11の搬送方向を軸心方向とする回転軸AX周りで回転可能なように、支持部材930に回転可能に支持されている。支持部材930は、固定刃910に固定されている。
【0052】
可動刃920の外力変換部923は、カットボタン6と係合し、利用者がカットボタン6を押したときに生じるカットボタン6の直線状の動きを、可動刃920を回転させる動きに変換する部分である。外力変換部923の先端部には、カットボタン6の柱状部材940と係合し、カットボタン6(柱状部材940)の位置の変化に応じて柱状部材940が摺動する溝部923aが形成されている。
【0053】
カットボタン6は、本体部610と、一対の支持部920及び930と、柱状部材940とを含む。本体部610は、被印刷媒体11をカットするときに利用者が手の指等で押す部分である。本体部610における利用者が押圧による荷重(押圧荷重)を加える押圧面610aとは反対側を向いた面610bは、装置筐体2の内部底面202と向かい合っており、面610bには柱状部材940を支持する一対の支持部920及び930が設けられている。カットボタン6は、本体部610の面610bと、その面610bと向かい合う装置筐体2の内部底面202とに結合された圧縮コイルばね650により、装置筐体2の内部底面202から遠ざかる方向に付勢されている。圧縮コイルばね650は、可動刃620を付勢する付勢部材の一例である。
【0054】
可動刃920は、カットボタン6を装置筐体2の内部底面202に近づける方向に移動させたときに、刃部922の刃922aが固定刃910の刃910aに近づき、かつ両方の刃が噛み合う作用点が回転軸AXから遠ざかる方向に移動するように回転移動する。すなわち、利用者がカットボタン6を押すと、被印刷媒体11における幅方向の一端から他端に向かって被印刷媒体11のカットが進む。利用者がカットボタン6から指等を離すと、圧縮コイルばね650からの外力によりカットボタン6は装置筐体2の内部底面202から遠ざかる方向に移動し、可動刃920は逆方向に回転移動する。
【0055】
また、本実施形態のカット機構9は、図7図9に例示したように、搬送経路におけるカット位置と印刷位置との間にあり、被印刷媒体11をカットする際の被印刷媒体11の位置を固定するための第1のテープ保持部材940及び第2のテープ保持部材950を有する。第1のテープ保持部材940及び第2のテープ保持部材950は、搬送経路におけるカット位置よりも上流側で被印刷媒体11を保持する保持部材の一例である。
【0056】
第1の保持部材940は、被印刷媒体11の搬送経路を境として固定刃910と同じ側の位置に配置されており、例えば、装置筐体2に固定されている。第1のテープ保持部材940は、基部941と、基部941における被印刷媒体11側を向いた面に設けられたすべり止め部材942とを有する。すべり止め部材942には、例えば、摩擦力により被印刷媒体11の滑りを抑制するゴム等の材料を用いる。
【0057】
第2のテープ保持部材950は、被印刷媒体11の搬送経路を境として第1の保持部材940とは反対の位置に配置されており、第1の保持部材940(被印刷媒体11)からの距離を変更可能な態様で装置筐体2内に配設される。第2のテープ保持部材950は、基部951と、基部951の被印刷媒体11側の端部に設けられた平板部952と、平板部952における被印刷媒体11側を向いた面に設けられたすべり止め部材953と、基部951から搬送経路の下流側に延伸する柱状部954とを有する。すべり止め部材942には、例えば、摩擦力により被印刷媒体11の滑りを抑制するゴム等の材料を用いる。
【0058】
第2のテープ保持部材950は、例えば、引っ張りばね960により第1のテープ保持部材940に向かう方向に付勢されている。第2のテープ保持部材950は、柱状部954を可動刃920の刃部922における峰922bと係合(連動)させることにより、第1のテープ保持部材940や被印刷媒体11と当接していない状態であるときの付勢方向への移動が規制される。また、第2のテープ保持部材950は、例えば、図8に例示したように、固定刃910及び可動刃920による被印刷媒体11の切断が開始されるよりも前に被印刷媒体11に当接し、第1のテープ保持部材940と第2のテープ保持部材950とにより被印刷媒体11の位置が固定(保持)されるように移動する。第2のテープ保持部材950は、可動刃920と被印刷媒体11との相対位置の変化に伴って可動する保持部材の一例である。
【0059】
本実施形態の印刷装置1におけるカット機構9は、カットボタン6に押圧荷重が印加されていないときには図7に例示した状態であり、可動刃920は、可動範囲内において最も被印刷媒体11から離間した第1の相対位置にある。一方、カットボタン6に押圧荷重が印加されて被印刷媒体11のカットが終了したときのカット機構9は、図9に例示した状態であり、可動刃920は、カットが終了する位置である第2の相対位置にある。また、カット機構9は、図8に例示したように、カットボタン6に押圧荷重が印加されて可動刃920が第1の相対位置から第2の相対位置に向かう方向へ回転移動する途中であって、被印刷媒体11のカットが開始される前の回転位置において、第1のテープ保持部材940と第2のテープ保持部材950とにより被印刷媒体11を挟持する。
【0060】
すなわち、本実施形態の印刷装置1における被印刷媒体11をカットするための一連の動作では、カットボタン6が押されて可動刃920が回転移動を開始すると可動刃920の回転移動と連動して第2のテープ保持部材950が第1のテープ保持部材940に近づく。そして、被印刷媒体11のカットが開始されるよりも前に、搬送経路の印刷位置とカット位置との間のテープ保持位置において、第1のテープ保持部材940と第2のテープ保持部材950とにより被印刷媒体11を挟持して被印刷媒体11の位置を固定する。このため、被印刷媒体11をカットするときに、被印刷媒体11におけるテープ保持位置及びその上流側にある部分が下流側(カット位置の方向)に引っ張られることを防げる。このため、カット時の被印刷媒体11の搬送方向への位置ずれを防ぐことができる。また、第1のテープ保持部材940と第2のテープ保持部材950とにより被印刷媒体11の位置を固定することにより、例えば、可動刃920と固定刃910とが噛み合う位置(作用点)が被印刷媒体11の幅方向に移動することに起因する被印刷媒体11の幅方向への位置ずれを防ぐこともできる。
【0061】
また、カットボタン6に対する押圧荷重が小さくなると、第1のテープ保持部材940と第2のテープ保持部材950とで被印刷媒体11を挟持した状態で、固定刃910及び可動刃920が被印刷媒体11から離間し、その後、可動刃920の刃部922(峰922b)が柱状部954に当接して第2のテープ保持部材950を被印刷媒体11(第1のテープ保持部材940)から離間させる。このため、カット後の可動刃920の回転移動に起因する被印刷媒体11の位置ずれも防ぐことができる。
【0062】
図10は、一実施形態に係る印刷装置における連続印刷中の動作の一具体例を説明する図である。図11は、一実施形態に係る印刷装置における連続印刷中の動作の一具体例と、従来の印刷装置における連続印刷中の動作の一具体例とを比較する図である。図10の(a)及び(b)、並びに図11の(c)には、本実施形態の印刷装置1において図5に例示したフローチャートに沿った連続印刷を行う場合の、被印刷媒体11をカットする時及びその前後の状態を例示している。図11の(d)には、第1のテープ保持部材940及び第2のテープ保持部材950を有していない印刷装置において被印刷媒体11をカットするときの状態を例示している。
【0063】
図10の(a)には、被印刷媒体11のカットライン1102が搬送経路のカット位置に到達したときの被印刷媒体11の状態を例示している。印刷装置1は、例えば、サーマルヘッド801を利用した被印刷媒体11への印刷を開始した後、カットライン1102がカット位置に到達するタイミングで、被印刷媒体11の搬送及び被印刷媒体11への印刷を停止する。
【0064】
被印刷媒体11への印刷を行っている間、可動刃920の被印刷媒体11との相対位置は第1の相対位置(図7を参照)である。このため、カット機構9における固定刃910の刃910a及び可動刃920の刃922a、並びに第1のテープ保持部材940のすべり止め部材942及び第2のテープ保持部材950のすべり止め部材953は、それぞれ、被印刷媒体11から離間している。このとき、第1のテープ保持部材940と固定刃910とは、例えば、第1のテープ保持部材940のすべり止め部材942のテープ接触面942aから被印刷媒体11の裏面1152までの距離d3と、固定刃910の刃910aから被印刷媒体11の裏面1152までの距離d1との関係が、d1>d3となるようにする。被印刷媒体11の裏面1152は、印刷面1151の反対側の面である。また、第2のテープ保持部材950と可動刃920とは、例えば、第2のテープ保持部材950のすべり止め部材953のテープ接触面953aから被印刷媒体11の印刷面1151までの距離d4と、可動刃920の刃922aのうちの被印刷媒体11に接触する部分から被印刷媒体11の印刷面1151までの距離d2との関係が、d2>d4となるようにする。
【0065】
被印刷媒体11の搬送及び被印刷媒体11への印刷が停止した後、利用者がカットボタン6を押すと、上述したように、可動刃920が回転移動し、可動刃920の峰922bにより付勢方向への移動が規制されていた第2のテープ保持部材950が被印刷媒体11(第1のテープ保持部940)の方向へ移動する。第2のテープ保持部材950は、可動刃920の被印刷媒体11との相対位置が第1の相対位置と、第1の相対位置と第2の相対位置との間の所定の相対位置(第3の相対位置)と、の間であるときには、第1のテープ保持部材840から離間する方向の荷重を前記可動刃920から受けるように可動刃920と連動している。そして、可動刃920の被印刷媒体11との相対位置が第1の相対位置と第2の相対位置との間の所定の相対位置(第3の相対位置)を超える(可動刃920の被印刷媒体11との相対位置が第3の相対位置と第2の相対位置との間にある)と、図10の(b)に示したように、搬送経路における印刷位置とカット位置との間のテープ保持位置で、被印刷媒体11が第1のテープ保持部材940と第2のテープ保持部材950とにより挟持(保持)された状態になる。このとき、引っ張りばね960(図8を参照)の付勢力により第2のテープ保持部材950から被印刷媒体11に押圧荷重Frが印加される。このため、第1のテープ保持部材940のすべり止め部材942の接触面942aと被印刷媒体11の裏面1152との間、及び第2のテープ保持部材950のすべり止め部材953の接触面953aと被印刷媒体11の印刷面1151との間に、押圧荷重Frの大きさに応じた静止摩擦力が働く。また、上述したように、被印刷媒体11は、固定刃910及び可動刃920によるカットが開始される前に、第1のテープ保持部材940と第2のテープ保持部材950とにより挟持される。
【0066】
その後、利用者がカットボタン6を更に押し込み可動刃920の回転移動が進むと、図11の(c)に例示したように、可動刃920の刃922aが被印刷媒体11に当接して可動刃920の刃922aと固定刃910の刃910aとが噛み合うことにより、被印刷媒体11がカットされる。このとき、被印刷媒体11のカットライン1102は可動刃920の刃922aからの外力Fcを受けるため、被印刷媒体11のカットライン1102よりも上流側の部分が下流に引っ張られる。しかしながら、本実施形態の印刷装置1では、被印刷媒体11のカットライン1102よりも上流側の部分のうちの第1のテープ保持部材940と第2のテープ保持部材950とにより挟まれた区間(位置1133から位置1134までの部分)は、静止摩擦力により搬送方向への移動(すべり)が規制される。このため、被印刷媒体11をカットしたときに印刷位置にある被印刷媒体11の被印刷ライン1132の位置が下流側にずれることを防げ、カット後に、被印刷ライン1132の上流側に隣接する次の被印刷ラインから印刷を再開することができる。特に、上述したようなゴム等のすべり止め部材942及び953を被印刷媒体11に接触させて被印刷媒体11を挟持することで、より大きな静止摩擦力が働き、被印刷媒体11の搬送方向への移動(すべり)を規制する効果がより大きくなる。
【0067】
これに対し、第1のテープ保持部材940及び第2のテープ保持部材950を備えていない印刷装置では、図11の(d)に例示したように、被印刷媒体11のカットライン1102で可動刃920の刃922aからの外力Fcを受けて被印刷媒体11のカットライン1102よりも上流側の部分全体が下流に引っ張られる。このため、被印刷ライン1132の位置が距離gだけ下流側にずれてしまい、カット後に印刷を再開したときに、ずれた距離gと対応する空白ライン1190(図6の(c)を参照)が生じる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る印刷装置1のカット機構9は、被印刷媒体11のカットが開始される前に、搬送経路における印刷位置とカット位置の間で被印刷媒体11を挟持(保持)して位置を固定する第1のテープ保持部材940及び第2のテープ保持部材950を備える。このため、被印刷媒体11をカットしたときの、被印刷媒体11上の印刷位置にある部分(被印刷ライン1132)の下流方向へのずれを防ぐことができる。したがって、本実施形態に係る印刷装置1は、被印刷媒体11への印刷を中断して被印刷媒体11をカットし、その後被印刷媒体11への印刷を再開したときに、カット前に印刷された部分とカット後に印刷された部分との間に空白ラインが生じて印刷品質が低下することを防げる。また、このような印刷装置1は、例えば、連続印刷を行う場合に、1つの印刷レイアウトに基づく1回分の印刷を行う毎に被印刷媒体11を搬送してカットする処理と被印刷媒体11を逆搬送する処理とを行う印刷装置と比べて、消費電力や連続印刷が終了するまでの待ち時間を低減することができる。
【0069】
また、上述したカット機構9は、可動刃920の回転移動と連動して第2のテープ保持部材950と被印刷媒体11(第1のテープ保持部材940)の距離が変更されるように構成されている(すなわち、第2のテープ保持部材950が可動刃920と被印刷媒体11との相対位置の変化に伴って可動する)。より具体的には、可動刃920を回転移動させるカットボタン6の押込み量が所定の押込み量よりも小さい場合には、第1のテープ保持部材940に近づく方向に付勢された第2のテープ保持部材950が可動刃920と当接し、被印刷媒体11(第1のテープ保持部材940)への移動が規制されるようにしている。このような構成は、例えば、図7図9を参照して説明したように、第1のテープ保持部材940に近づく方向に第2のテープ保持部材950を付勢する付勢部材(例えば、引っ張りばね960)と、第2のテープ保持部材950を可動刃920と当接させる柱状部954とを利用した簡易な構成により実現可能である。したがって、本実施形態の印刷装置1によれば、簡易な構成のカット機構9により、被印刷媒体11をカットするときに被印刷媒体11の位置にずれが生じることを防ぐことができる。
【0070】
また、本実施形態に係るカット機構9は、上述したように、利用者により加えられる外力(例えば、利用者がカットボタン6を押す力)を利用して被印刷媒体11をカットするカット機構に適用することが容易であり、カット機構の複雑化等による製造コストの上昇等を抑制することができる。
【0071】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0072】
例えば、カット機構9における被印刷媒体11をカットする前に第1のテープ保持部材940及び第2のテープ保持部材950により被印刷媒体11を挟持(保持)するための構成は、図7図9を参照して説明したような構成に限らず、適宜変更可能である。例えば、第1のテープ保持部材940及び第2のテープ保持部材950の両方が、可動刃920に連動するように構成されてもよい。また、例えば、第1のテープ保持部材940が省略されており、装置筐体2に一体的に設けられた保持部及び第2のテープ保持部材950により被印刷媒体11を保持する構成になっていてもよい。また、例えば、適用対象の被印刷媒体11がマグネットテープや金属層を有するものである場合には、第2のテープ保持部材950に磁石を内蔵して磁力により被印刷媒体11を一時的に保持するような構成であってもよい。磁力により被印刷媒体11を一時的に保持する場合、すべり止め部材953が省略されてもよい。
【0073】
また、カット機構9は、上述したような、固定刃910と回転移動する可動刃920とにより被印刷媒体11を挟み切る機構に限らず、他の機構であってもよい。また、可動刃920の被印刷媒体11との相対位置を変化させることに用いるカットボタン6は、上述したような押圧面610aを押し込む構成のものに限らず、例えば、装置筐体2の表面に沿ってスライドさせる構成のものであってもよい。カットボタン6をスライドさせて被印刷媒体11をカットする構成の場合、例えば、上述した圧縮コイルばね650のような付勢部材を省略し、カットボタン6を第1の方向にスライドさせる操作と、第1の方向とは反対の第2の方向にスライドさせる操作と、の両方を利用者が行うような構成であってもよい。
【0074】
例えば、上述したカット機構9は、印刷装置1(装置筐体2)に内包されるものに限らず、装置筐体2に取り付けられるカッター装置であってもよい。また、上述したカット機構9を備えた印刷装置1又はカッター装置は、被印刷媒体11の全体をカットするフルカット機構(固定刃910と可動刃920とにより被印刷媒体11の全体をカットする機構)とは別の、被印刷媒体11の一部をカットするハーフカット機構を含むものであってもよい。
【0075】
また、第1のテープ保持部材940における接触面942a、及び第2のテープ保持部材950における接触面953aは、それぞれ、図10の(a)及び(b)等に例示したような平面に限らず、曲面であってもよい。また、可動刃920が第1の相対位置にあるときの、固定刃910の刃から被印刷媒体11までの距離d1、可動刃920から被印刷媒体11までの距離d2、第1のテープ保持部材940の接触面942aから被印刷媒体までの距離d3、及び第2のテープ保持部材950の接触面953aから被印刷媒体11までの距離d4の大小関係は、図10の(a)を参照して上述した関係に限らず、適宜変更可能である。
【0076】
また、本発明に係る印刷装置1は、図1及び図2に例示したような外観構成の据え置き型の印刷装置に限らず、手で持って使用することを想定した外観構成の携帯性の高い印刷装置等であってもよい。また、印刷装置1は上述したカット機構9を含むものであればよく、印刷方式は限定されない。例えば、印刷装置1は、上述した熱転写方式のものに限らず、サーマルヘッド801を利用して被印刷媒体11の感熱材料層に熱を印加して発色させる感熱式のものであってもよい。
【0077】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体の搬送経路における第1の位置で前記被印刷媒体をカットするカット部と、を備え、
前記カット部は、
可動することにより前記被印刷媒体をカット可能な可動刃と、
前記可動刃に連動し、押圧による荷重によって前記可動刃を移動させるカットボタンと、
前記搬送経路上における前記第1の位置よりも上流側で、前記被印刷媒体を保持する少なくとも1つの保持部材と、
を含み、
前記少なくとも1つの保持部材は、前記可動刃と前記被印刷媒体との相対位置の変化に伴って可動することを特徴とする印刷装置。
[付記2]
前記搬送経路における第2の位置で前記被印刷媒体への印刷を行う印刷部を含むことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記3]
前記少なくとも1つの保持部材は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記被印刷媒体を保持するように配設されることを特徴とする付記1又は2に記載の印刷装置。
[付記4]
前記可動刃は、
前記相対位置を、前記可動刃の可動範囲内において最も前記被印刷媒体から離間した第1の相対位置と、前記被印刷媒体のカットが終了する位置である第2の相対位置との間で変更可能であり、前記カットボタンに印加される前記荷重によって、前記第1の相対位置から前記第2の相対位置に向かう方向に可動することを特徴とする付記1~3のいずれか1つに記載の印刷装置。
[付記5]
前記少なくとも1つの保持部材は、
前記可動刃の前記相対位置が前記第1の相対位置と前記第2の相対位置との間であって前記可動刃が前記被印刷媒体から離間している第3の相対位置と、前記第2の相対位置と、の間であるときには前記被印刷媒体を保持し、前記可動刃の前記相対位置が、前記第3の相対位置と前記第1の相対位置との間であるときには前記被印刷媒体から離間するように、前記可動刃と連動することを特徴とする付記4に記載の印刷装置。
[付記6]
前記カット部は、前記可動刃を前記第2の相対位置から前記第1の相対位置に向かう方向に付勢する付勢部材を更に備えることを特徴とする付記5に記載の印刷装置。
[付記7]
前記カット部は、前記少なくとも1つの保持部材として、第1の保持部材及び第2の保持部材を含み、
前記第2の保持部材を前記第1の保持部材に向かう方向に付勢する付勢部材を更に備え、
前記第2の保持部材は、前記可動刃の前記相対位置が前記第1の相対位置と前記第3の相対位置との間であるときに、前記第1の保持部材から離間する方向の荷重を前記可動刃から受けるように前記可動刃と連動する
ことを特徴とする付記5又は6に記載の印刷装置。
[付記8]
前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材は、
前記第1の保持部材が前記被印刷媒体における前記印刷部による印刷が行われる印刷面とは反対側の面と対向し、前記第2の保持部材が前記被印刷媒体の前記印刷面と対向し、かつ前記第2の保持部材が前記第1の保持部材からの距離を変更可能であり、
前記第2の保持部材が前記可動刃と連動することを特徴とする付記7に記載の印刷装置。
[付記9]
前記カット部は、前記搬送経路との相対位置が変更されない固定刃を更に含み、前記固定刃と前記可動刃とにより前記被印刷媒体を挟み切るように構成される
ことを特徴とする付記1~8のいずれか1つに記載の印刷装置。
[付記10]
前記少なくとも1つの保持部材は、前記被印刷媒体を保持するときに前記被印刷媒体に接触するすべり止め部材を含む
ことを特徴とする付記1~9のいずれか1項に記載の印刷装置。
[付記11]
前記搬送部により前記被印刷媒体を搬送しながら前記印刷部による前記被印刷媒体への印刷を行っている場合に、前記被印刷媒体上の前記カット部によりカットするラインが前記搬送経路の前記第1の位置に到達すると、前記搬送部による前記被印刷媒体の搬送及び前記印刷部による前記被印刷媒体への印刷を停止し、前記カット部による前記被印刷媒体のカットが終了した後、前記搬送部による前記被印刷媒体の搬送及び前記印刷部による前記被印刷媒体への印刷を再開するように前記搬送部及び前記印刷部の動作を制御する制御部
を更に備えることを特徴とする付記2~10のいずれか1つに記載の印刷装置。
[付記12]
印刷装置の搬送部により搬送される被印刷媒体の搬送経路における第1の位置で被印刷媒体をカットするカット部を備え、
前記カット部は、
可動することにより前記被印刷媒体をカット可能な可動刃と、
前記可動刃に連動し、押圧による荷重によって前記可動刃を移動させるカットボタンと、
前記搬送経路上における前記第1の位置よりも上流側で、前記被印刷媒体を保持する少なくとも1つの保持部材と、
を含み、
前記少なくとも1つの保持部材は、前記可動刃と前記被印刷媒体との相対位置の変化に伴って可動することを特徴とするカッター装置。
[付記13]
前記カッター装置は、前記少なくとも1つの保持部材が、前記搬送経路における前記第1の位置と前記印刷装置の印刷部により前記被印刷媒体への印刷が行われる第2の位置との間で前記被印刷媒体を保持するように、前記印刷装置に対して配設される
ことを特徴とする付記12に記載のカッター装置。
【符号の説明】
【0078】
1 印刷装置
100 プロセッサ
110 メモリ
120 入力装置
130 表示装置
140 カートリッジセンサ
150 搬送部
170 カット部
171 センサ
2 装置筐体
201 凹部
202 内部底面
210 排出口
3 入力部
4 表示部
5 蓋
6 カットボタン
610 本体部
610a 押圧面
620、630 支持部
640 柱状部材
7 プラテンローラ
8 印刷部
9 カット機構
910 固定刃
910a 刃
920 可動刃
921 支点部
922 刃部
922a 刃
922b 峰
923 外力変換部
923a 溝部
940 第1のテープ保持部材
942 すべり止め部材
950 第2のテープ保持部材
953 すべり止め部材
954 柱状部
10 カートリッジ
11 被印刷媒体
1102 カットライン
1122 印刷領域
1132 被印刷ライン
12 インクリボン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一態様に係る印刷装置は、被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体の搬送経路における第1の位置で前記被印刷媒体をカットするカット部と、を備え、前記カット部は、動することにより前記被印刷媒体をカット可能な可動刃と、前記可動刃に連動し、前記可動刃を移動させるカットボタンと、前記搬送経路上における前記第1の位置よりも上流側で、前記被印刷媒体を保持する少なくとも1つの保持部材と、を含み、前記少なくとも1つの保持部材は、前記可動刃と前記被印刷媒体との相対位置の変化に伴って変位することを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の一態様に係るカッター装置は、印刷装置の搬送部により搬送される被印刷媒体の搬送経路における第1の位置で被印刷媒体をカットするカット部を備え、前記カット部は、動することにより前記被印刷媒体をカット可能な可動刃と、前記可動刃に連動し、前記可動刃を移動させるカットボタンと、前記搬送経路上における前記第1の位置よりも上流側で、前記被印刷媒体を保持する少なくとも1つの保持部材と、を含み、前記少なくとも1つの保持部材は、前記可動刃と前記被印刷媒体との相対位置の変化に伴って変位することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体の搬送経路における第1の位置で前記被印刷媒体をカットするカット部と、を備え、
前記カット部は、
動することにより前記被印刷媒体をカット可能な可動刃と、
前記可動刃に連動し、前記可動刃を移動させるカットボタンと、
前記搬送経路上における前記第1の位置よりも上流側で、前記被印刷媒体を保持する少なくとも1つの保持部材と、
を含み、
前記少なくとも1つの保持部材は、前記可動刃と前記被印刷媒体との相対位置の変化に伴って変位する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記搬送経路における第2の位置で前記被印刷媒体への印刷を行う印刷部を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの保持部材は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記被印刷媒体を保持するように配設される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記可動刃は、
前記相対位置を、前記可動刃の可動範囲内において最も前記被印刷媒体から離間した第1の相対位置と、前記被印刷媒体のカットが終了する位置である第2の相対位置との間で変更可能であり、前記カットボタンに印加される荷重によって、前記第1の相対位置から前記第2の相対位置に向かう方向に動する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの保持部材は、
前記可動刃の前記相対位置が前記第1の相対位置と前記第2の相対位置との間であって前記可動刃が前記被印刷媒体から離間している第3の相対位置と、前記第2の相対位置と、の間であるときには前記被印刷媒体を保持し、前記可動刃の前記相対位置が、前記第3の相対位置と前記第1の相対位置との間であるときには前記被印刷媒体から離間するように、前記可動刃と連動する
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記カット部は、前記可動刃を前記第2の相対位置から前記第1の相対位置に向かう方向に付勢する付勢部材を更に備える
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記カット部は、前記少なくとも1つの保持部材として、第1の保持部材及び第2の保持部材を含み、
前記第2の保持部材を前記第1の保持部材に向かう方向に付勢する付勢部材を更に備え、
前記第2の保持部材は、前記可動刃の前記相対位置が前記第1の相対位置と前記第3の相対位置との間であるときに、前記第1の保持部材から離間する方向の荷重を前記可動刃から受けるように前記可動刃と連動する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材は、
前記第1の保持部材が前記被印刷媒体における前記印刷部による印刷が行われる印刷面とは反対側の面と対向し、前記第2の保持部材が前記被印刷媒体の前記印刷面と対向し、かつ前記第2の保持部材が前記第1の保持部材からの距離を変更可能であり、
前記第2の保持部材が前記可動刃と連動する
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの保持部材は、前記被印刷媒体を保持するときに前記被印刷媒体に接触するすべり止め部材を含む
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記搬送部により前記被印刷媒体を搬送しながら前記印刷部による前記被印刷媒体への印刷を行っている場合に、前記被印刷媒体上の前記カット部によりカットするラインが前記搬送経路の前記第1の位置に到達すると、前記搬送部による前記被印刷媒体の搬送及び前記印刷部による前記被印刷媒体への印刷を停止し、前記カット部による前記被印刷媒体のカットが終了した後、前記搬送部による前記被印刷媒体の搬送及び前記印刷部による前記被印刷媒体への印刷を再開するように前記搬送部及び前記印刷部の動作を制御する制御部を更に備える
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項11】
印刷装置の搬送部により搬送される被印刷媒体の搬送経路における第1の位置で被印刷媒体をカットするカット部を備え、
前記カット部は、
動することにより前記被印刷媒体をカット可能な可動刃と、
前記可動刃に連動し、前記可動刃を移動させるカットボタンと、
前記搬送経路上における前記第1の位置よりも上流側で、前記被印刷媒体を保持する少なくとも1つの保持部材と、
を含み、
前記少なくとも1つの保持部材は、前記可動刃と前記被印刷媒体との相対位置の変化に伴って変位する
ことを特徴とするカッター装置。