(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134731
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】位置決め支援装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20220908BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B66F9/24 Z
G01B11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034085
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591033010
【氏名又は名称】株式会社小矢部精機
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 照教
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健夫
(72)【発明者】
【氏名】空 卓見
(72)【発明者】
【氏名】玉井 涼二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博光
【テーマコード(参考)】
2F065
3F333
【Fターム(参考)】
2F065AA24
2F065AA31
2F065BB05
2F065CC11
2F065DD03
2F065DD06
2F065FF11
2F065GG00
2F065GG04
2F065LL04
2F065TT02
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333DB01
3F333FA26
3F333FA36
3F333FD13
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】クレーンセーバ上でのワークの位置決めを効率良く行うことができる位置決め支援装置を提供する。
【解決手段】クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされた状態におけるワークWの上面での投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置と、ワークWが所定位置の鉛直上方まで搬送された状態におけるワークWの上面での投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置とが一致するように、ワークWの上面の高さ位置に応じて画像投影条件を調整する。これにより、フォークリフトFLの運転者がクレーンセーバ2の上方でのワークWに対する投影画像の状態を認識するのみで、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWを位置決めすることが可能になり、ワークWの位置決め作業を効率良く行うことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車両によって搬送物を載置台の上方まで搬送した後、当該搬送物を下降させて載置台に載置するに際し、当該載置台上での所定位置に前記搬送物を位置決めするための支援を行う位置決め支援装置であって、
前記搬送物の上面に向けて投影画像を投影可能な画像投影装置と、
前記載置台の上方まで搬送された前記搬送物の上面の高さ位置を計測する高さ位置計測装置と、
前記搬送物の上面での前記投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置を決定する画像投影条件を調整して当該画像投影条件の情報を前記画像投影装置に出力する投影画像調整部とを備え、
前記投影画像調整部は、前記載置台上での前記所定位置に前記搬送物が位置決めされた状態における前記搬送物の上面での前記投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置と、前記搬送物が前記所定位置の鉛直上方まで搬送された状態における前記搬送物の上面での前記投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置とが一致するように、前記高さ位置計測装置によって計測された前記搬送物の上面の高さ位置に応じて前記画像投影条件を調整する構成となっていることを特徴とする位置決め支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置決め支援装置に係る。特に、本発明は、フォークリフト等の搬送車両によって搬送物を搬送して載置台に載置するに際し、当該載置台上での所定位置に搬送物を位置決めするための支援を行う位置決め支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているような自動車等の生産ラインにあっては、各ステーションで使用されるワーク(例えば所定形状の鋼板)をフォークリフト等の搬送車両によって搬送してクレーンセーバと呼ばれる載置台に載置することが行われている。そして、このクレーンセーバに載置されたワークがワーク移送装置によって取り出されて加工装置(例えばプレス装置)に移送され、その後、当該加工装置による加工(例えばプレス加工)が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワーク移送装置によるクレーンセーバからのワークの取り出しを円滑に行うためには、クレーンセーバ上でのワークの載置状態(クレーンセーバ上でのワークの位置や姿勢)を適正にしておく必要がある。
【0005】
しかしながら、クレーンセーバ上へのワークの載置作業が不慣れな作業者(フォークリフトの運転者)にあっては、クレーンセーバ上でのワークの載置状態を適正にするために時間を要してしまい、生産効率の悪化に繋がってしまう可能性があった。そればかりでなく、ワークの形状が異形である場合には、前記載置作業に慣れている作業者であっても、クレーンセーバ上でのワークの載置状態を適正にするために時間を要してしまう可能性があった。
【0006】
クレーンセーバ上でのワークの載置状態を適正にするために、クレーンセーバ上においてワークを当接させて位置決めを行うポジショナやガイドプレート等を設置しておくことも考えられるが、この場合、ポジショナにワークが当接しているか否かをフォークリフトの運転席から確認することが難しく、また、ワークの端縁が直線状でない場合には、その端縁の一部しかガイドプレートに当接しない状態となり、ガイドプレートに対するワークの姿勢を適正にすることが難しい。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、載置台上における搬送物の載置状態を適正に得る作業(位置決め作業)を効率良く行うことができる位置決め支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、搬送車両によって搬送物を載置台の上方まで搬送した後、当該搬送物を下降させて載置台に載置するに際し、当該載置台上での所定位置に前記搬送物を位置決めするための支援を行う位置決め支援装置を前提とする。そして、この位置決め支援装置は、前記搬送物の上面に向けて投影画像を投影可能な画像投影装置と、前記載置台の上方まで搬送された前記搬送物の上面の高さ位置を計測する高さ位置計測装置と、前記搬送物の上面での前記投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置を決定する画像投影条件を調整して当該画像投影条件の情報を前記画像投影装置に出力する投影画像調整部とを備え、前記投影画像調整部は、前記載置台上での前記所定位置に前記搬送物が位置決めされた状態における前記搬送物の上面での前記投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置と、前記搬送物が前記所定位置の鉛直上方まで搬送された状態における前記搬送物の上面での前記投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置とが一致するように、前記高さ位置計測装置によって計測された前記搬送物の上面の高さ位置に応じて前記画像投影条件を調整する構成となっていることを特徴とする。
【0009】
この特定事項により、搬送車両によって搬送物を搬送して、載置台上での所定位置に搬送物を位置決めする作業に当たっては、先ず、搬送車両によって搬送物を載置台の上方まで搬送する。この際、搬送物の上面に向けて画像投影装置から投影画像が投影されることになる。この画像投影装置から搬送物の上面に向けて投影される画像は、高さ位置計測装置によって計測された搬送物の上面の高さ位置に応じて、投影画像調整部により画像投影条件(搬送物の上面での投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置を決定する画像投影条件)が調整されたものとなっている。
【0010】
そして、投影画像調整部は、載置台上での所定位置に搬送物が位置決めされた状態における搬送物の上面での投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置と、搬送物が所定位置の鉛直上方まで搬送された状態における搬送物の上面での投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置とが一致するように、高さ位置計測装置によって計測された搬送物の上面の高さ位置に応じて画像投影条件を調整している。このため、搬送物を載置台の上方まで搬送した際に当該搬送物の上面での投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置が、載置台上での所定位置に搬送物が位置決めされたと仮定した場合における搬送物の上面での投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置に一致するようにしておけば(投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置が一致するように載置台の上方での搬送物の位置を調整すれば)、そのまま搬送物を下降させることで、載置台上での所定位置に搬送物を位置決めすることが可能である。つまり、作業者(搬送車両の運転者等)が載置台の上方での搬送物に対する投影画像の状態(投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置)を認識するのみで、載置台上での所定位置に搬送物を位置決めすることが可能である。このため、載置台上への搬送物の載置作業が不慣れな作業者であっても、また、搬送物の形状が異形であっても、載置台上における搬送物の載置状態を適正に得る作業(位置決め作業)を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、載置台上での所定位置に搬送物が位置決めされた状態における搬送物の上面での投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置と、搬送物が所定位置の鉛直上方まで搬送された状態における搬送物の上面での投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置とが一致するように、搬送物の上面の高さ位置に応じて画像投影条件を調整するようにしている。このため、作業者が載置台の上方での搬送物に対する投影画像の状態(投影画像の画像領域の大きさおよび当該投影画像の画像位置)を認識するのみで、載置台上での所定位置に搬送物を位置決めすることが可能になる。その結果、載置台上への搬送物の載置作業が不慣れな作業者であっても、また、搬送物の形状が異形であっても、載置台上における搬送物の載置状態を適正に得る作業(位置決め作業)を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る位置決め支援装置およびクレーンセーバを示す側面図である。
【
図2】位置決め支援装置の制御装置の機能ブロック図である。
【
図3】フォークリフトによってワークがクレーンセーバの上方まで搬送された状態を示す図である。
【
図4】クレーンセーバの上方でのワークの搬送位置が適正でない場合におけるワークの上面での投影画像の投影状態の一例を示す図である。
【
図5】クレーンセーバの上方でのワークの搬送位置が適正である場合におけるワークの上面での投影画像の投影状態を示す図である。
【
図6】フォークリフトによってワークがクレーンセーバに載置された状態を示す図である。
【
図7】クレーンセーバに載置されたワークの上面での投影画像の投影状態を示す図である。
【
図8】変形例に係るワークの上面での投影画像の投影状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、自動車の生産ラインに設置されたプレス装置に付属されるクレーンセーバ上での所定位置にワーク(鋼板)を位置決めするための支援を行う位置決め支援装置として本発明を適用した場合について説明する。
【0014】
-位置決め支援装置の構成-
先ず、位置決め支援装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る位置決め支援装置1およびクレーンセーバ2を示す側面図であり、フォークリフト(搬送車両)FLによって搬送されるワーク(搬送物)Wが未だクレーンセーバ2の上方に達していない状態を示している。
【0015】
クレーンセーバ2は、プレス装置によるプレス加工が行われる複数枚のワーク(本実施形態では矩形状の鋼板)WをパレットPに載置した状態で、各ワークWをパレットPと共にフォークリフトFLによって搬送して載置される載置台である。
【0016】
フォークリフトFLによるワークWの搬送形態としては、フォークリフトFLに備えられた2本のフォークFがパレットPのフォークポケットに差し入れられ、フォークリフトFLのフォーク昇降装置によるフォークFの上昇移動によってワークWおよびパレットPが所定高さ位置まで上昇された状態で、フォークリフトFLがクレーンセーバ2に向けて走行する。そして、ワークWおよびパレットPがクレーンセーバ2の上方に達した時点でフォークリフトFLの走行を停止し(
図3に示す状態を参照)、その後、フォーク昇降装置によるフォークFの下降移動によってワークWおよびパレットPがクレーンセーバ2に載置されることになる(
図6に示す状態を参照)。
【0017】
本実施形態に係る位置決め支援装置1は、このワークWおよびパレットPがクレーンセーバ2に載置される際に、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWを位置決めするための支援を行うものとなっている。以下、具体的に説明する。
【0018】
位置決め支援装置1は、支持架台3、レーザ変位計(高さ位置計測装置)4、プロジェクタユニット5を備えている。
【0019】
(支持架台)
支持架台3は、支柱31、および、該支柱31の上端から水平方向に延在する支持アーム32を備えている。
【0020】
支柱31は、鉛直方向に延在する金属製のフレーム材で成り、その上端位置が、クレーンセーバ2の上面よりも所定寸法だけ高い位置となるように、所定高さを有している。また、この支柱31の上端近傍の側面には、プロジェクタユニット5を取り付けるためのベースプレート33が設けられている。
【0021】
支持アーム32は、水平方向に延在する金属製のフレーム材で成り、その一端(
図1における左端)が支柱31の上端に接続されていると共に、他端(
図1における右端)がクレーンセーバ2の上方に位置している。
【0022】
(レーザ変位計)
レーザ変位計4は、前記支持アーム32の先端(
図1における右端)近傍の下面であってクレーンセーバ2に対向する位置に取り付けられている。このレーザ変位計4は、クレーンセーバ2の上方に進入したワークWの上面の高さ位置を計測するためのものであり、鉛直下方に向けてレーザ光を照射する図示しない投光部と、該投光部から反射されたレーザ光を受ける図示しない受光部とを備えている。そして、このレーザ変位計4は、ワークWの上面に向けて投光部からレーザ光を照射し、その反射光を受光部によって受光し、レーザ光の照射から受光までの時間によってワークWの上面までの距離を計測可能となっている。
【0023】
(プロジェクタユニット)
プロジェクタユニット5は、プロジェクタ本体6と画像投影装置7とを備えている。
【0024】
プロジェクタ本体6は、筐体61の内部に、画像投影装置7からの画像の投影を制御するための駆動用LSI等の各種電子部品を実装した基板が収容された構成となっている。
【0025】
画像投影装置7は、LED等の光源素子および広角レンズ等で構成される光学モジュールを備えており、クレーンセーバ2に向けて進入してくるワークWの上面に向けて斜め下向きにワークWの外縁形状に略相似した画像を投影可能となっている。より具体的には、ワークWが載置されるクレーンセーバ2は画像投影装置7の配設位置よりもワークWの進入側(
図1における右側)に配置されており、画像投影装置7からの画像の投影方向は、ワークWの進入側に向かう下向き(
図1における右下向き)となっている(
図3の破線を参照)。また、この画像投影装置7は、画像の投影角度(ビーム角度;投影される画像の拡がり角度)の調整および画像の投影方向の調整が可能な構成となっている。例えば、レンズ群およびレンズ可動機構等を備え、レンズの作動によって、斜め下向きに投影される画像の投影角度の調整および画像の投影方向の調整が可能となっている。この投影角度の調整および投影方向の調整を行うためのレンズ可動機構の作動は、プロジェクタ本体6に備えられた制御装置8(
図2を参照)による演算処理によって求められた投影角度および投影方向の情報が当該プロジェクタ本体6から画像投影装置7に送信され、当該画像投影装置7においてレンズ可動機構が作動することで実施される。
【0026】
図2は、投影角度および投影方向を求めるための位置決め支援装置1の制御装置8の機能ブロック図である。この
図2に示すように、制御装置8は、ワーク位置情報受信部81、投影角度算出部82、投影方向算出部83、制御情報出力部84を備えている。
【0027】
ワーク位置情報受信部81は、レーザ変位計4によって計測されたワークWの上面までの距離の情報(以下、ワーク位置情報という)を当該レーザ変位計4から受信する。
【0028】
投影角度算出部82は、ワーク位置情報受信部81からワーク位置情報を受け取り、当該ワーク位置情報に応じて、画像投影装置7から投影する画像の投影角度(ビーム角度)を算出する。この投影角度は、画像がワークWの上面に投影された状態における当該ワークWの上面での投影画像の投影領域の大きさを決定するものとなる。つまり、この投影角度は、ワークWの上面での投影画像の画像領域の大きさを決定する画像投影条件の一つである。
【0029】
ここで算出される投影角度としては、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされた状態におけるワークWの上面での投影画像の画像領域の大きさと、ワークWが所定位置の鉛直上方まで搬送された状態におけるワークWの上面での投影画像の画像領域の大きさとが一致するように、前記ワーク位置情報に応じて調整された投影角度となっている。例えば、ワーク位置情報(レーザ変位計4からワークWの上面までの距離の情報)と投影角度との関係を規定したマップが予め記憶されており、このマップにワーク位置情報を当て嵌めることで投影角度が求められるようになっている。このマップは予めシミュレーションや演算によって作成されて、制御装置8に備えられた記憶部に記憶されている。つまり、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされた状態におけるワークWの上面での投影画像の画像領域の大きさと、ワークWが所定位置の鉛直上方まで搬送された状態におけるワークWの上面での投影画像の画像領域の大きさとを一致させるために、レーザ変位計4からワークWの上面までの距離が短いほど(ワークWの高さ位置が高い位置にあるほど)、投影角度算出部82は投影画像の投影角度を大きな値として求めることになる。
【0030】
投影方向算出部83は、ワーク位置情報受信部81からワーク位置情報を受け取り、当該ワーク位置情報に応じて、画像投影装置7から投影する画像の投影方向を算出する。この投影方向は、画像がワークWの上面に投影された状態における当該ワークWの上面での投影画像の画像位置を決定するものとなる。つまり、この投影方向は、ワークWの上面での投影画像の画像位置を決定する画像投影条件の一つである。
【0031】
ここで算出される投影方向としては、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされた状態におけるワークWの上面での投影画像の画像位置と、ワークWが所定位置の鉛直上方まで搬送された状態におけるワークWの上面での投影画像の画像位置とが一致するように、前記ワーク位置情報に応じて調整された投影方向となっている。例えば、ワーク位置情報(レーザ変位計4からワークWの上面までの距離の情報)と投影方向との関係を規定したマップが予め記憶されており、このマップにワーク位置情報を当て嵌めることで投影方向が求められるようになっている。このマップは予めシミュレーションや演算によって作成されて、制御装置8に備えられた記憶部に記憶されている。つまり、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされた状態におけるワークWの上面での投影画像の画像位置と、ワークWが所定位置の鉛直上方まで搬送された状態におけるワークWの上面での投影画像の画像位置とを一致させるために、レーザ変位計4からワークWの上面までの距離が短いほど(ワークWの高さ位置が高い位置にあるほど)、投影方向算出部83は投影画像の投影方向をワークWの進入側(
図3における右側)の方向として求めることになる。
【0032】
このように投影角度算出部82によって、ワークWの上面での投影画像の画像領域の大きさを決定する投影角度が算出され、投影方向算出部83によって、ワークWの上面での投影画像の画像位置を決定する投影方向が算出されるようになっているため、これら投影角度算出部82および投影方向算出部83によって本発明でいう投影画像調整部が構成されている。
【0033】
そして、本実施形態では、このようにして投影角度算出部82によって算出された投影角度および投影方向算出部83によって算出された投影方向でワークWの上面に投影画像が投影された場合、
図5に示すように、ワークWの外縁(矩形状の外縁)から所定寸法だけ内側の領域において当該外縁と相似形状の領域(
図5において破線で囲んだ領域)LAに画像が投影されるようになっている。この場合のワークWの外縁と画像が投影される領域(画像領域)LAの外縁との間の寸法は例えば50mmであって、この寸法はクレーンセーバ2に対するワークWの載置位置のズレ量の許容最大値として規定されたものとなっている。この寸法は前述した値には限定されず、適宜設定可能である。
【0034】
制御情報出力部84は、投影角度算出部82によって算出された投影角度の情報および投影方向算出部83によって算出された投影方向の情報を画像投影装置7に送信する。そして、これら投影角度の情報および投影方向の情報を受信した画像投影装置7は、これら情報に従って制御された(投影角度および投影方向が制御された)投影画像を斜め下向きに投影することになる。
【0035】
-ワーク搬送動作-
次に、位置決め支援装置1による位置決め支援を伴うワーク搬送動作について説明する。前述したように、ワーク搬送動作では、フォークリフトFLに備えられた2本のフォークFがパレットPのフォークポケットに差し入れられ、フォークリフトFLのフォーク昇降装置によるフォークFの上昇移動によってワークWおよびパレットPが所定高さ位置まで上昇された状態で、フォークリフトFLがクレーンセーバ2に向けて走行する(
図1を参照)。そして、ワークWおよびパレットPがクレーンセーバ2の上方に達した時点でフォークリフトFLの走行を停止し(
図3に示す状態を参照)、その後、フォーク昇降装置によるフォークFの下降移動によってワークWおよびパレットPがクレーンセーバ2に載置されることになる(
図6に示す状態を参照)。以下、具体的に説明する。
【0036】
先ず、
図1に示す状態からフォークリフトFLがクレーンセーバ2に向けて走行し、
図3に示すように、ワークWおよびパレットPがクレーンセーバ2の上方に達した時点でフォークリフトFLの走行を停止させる。この時点でのフォークリフトFLの適正な停止位置としては、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされたと仮定した場合における当該位置決めされたワークWの鉛直上方にワークWが位置している状態となっている停止位置である。単に、ワークWおよびパレットPがクレーンセーバ2の上方に達した時点でフォークリフトFLの走行を停止させただけでは、このフォークリフトFLの停止位置が適正な位置となっている保証はない。
【0037】
このようにしてワークWおよびパレットPがクレーンセーバ2の上方に達した時点でワークWの上面に向けて画像投影装置7から投影画像が投影される(
図3の破線を参照)。この画像投影装置7からワークWの上面に向けて投影される投影画像は、レーザ変位計4によって計測されたワークWの上面の高さ位置に応じて、制御装置8の投影角度算出部82によって算出された投影角度の情報に従って調整されると共に投影方向算出部83によって算出された投影方向の情報に従って調整されたものとなっている。つまり、ワークWの上面での投影画像の画像領域LAの大きさおよび当該投影画像の画像位置が調整されたものとなっている。
【0038】
そして、投影角度算出部82によって算出される投影角度としては、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされた状態におけるワークWの上面での投影画像の画像領域LAの大きさと、ワークWが所定位置の鉛直上方まで搬送された状態におけるワークWの上面での投影画像の画像領域LAの大きさとが一致するように、前記ワーク位置情報に応じて調整された投影角度となっている。また、投影方向算出部83によって算出される投影方向としては、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされた状態におけるワークWの上面での投影画像の画像位置と、ワークWが所定位置の鉛直上方まで搬送された状態におけるワークWの上面での投影画像の画像位置とが一致するように、前記ワーク位置情報に応じて調整された投影方向となっている。
【0039】
このため、ワークWをクレーンセーバ2の上方まで搬送した際に当該ワークWの上面での投影画像の画像領域LAの大きさおよび投影画像の画像位置が、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされたと仮定した場合におけるワークWの上面での投影画像の画像領域LAの大きさおよび投影画像の画像位置に一致するようにしておけば(これら投影画像の画像領域LAの大きさおよび投影画像の画像位置が一致するようにクレーンセーバ2の上方でのワークWの位置を調整すれば)、そのままワークWを下降させることで、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWを位置決めすることが可能である。
【0040】
図7は、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされたと仮定した場合におけるワークWの上面での投影画像の画像領域LAの大きさおよび投影画像の画像位置を示している。このため、ワークWをクレーンセーバ2の上方まで搬送した際に当該ワークWの上面での投影画像の画像領域LAの大きさおよび投影画像の画像位置が
図5に示す状態(
図7と一致する状態)としておけば、そのままワークWを下降させることで、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWを位置決めすることが可能である。このため、ワークWをクレーンセーバ2の上方まで搬送した際に当該ワークWの上面での投影画像の画像領域LAの大きさおよび投影画像の画像位置が
図4に示す状態(
図7に一致しない状態であって、
図3に仮想線で示す位置にワークWが位置している状態でのワークWの上面での投影画像)となっている場合には、フォークリフトFLの走行調整を行って(
図4に示す状態の場合にはフォークリフトFLを僅かに前進させる走行調整を行って)
図5に示す状態(
図3に実線で示す位置にワークWが位置している状態でのワークWの上面での投影画像)にする。そして、この状態からワークWを下降させることで、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWを位置決めすることができる。つまり、本実施形態では、作業者(フォークリフトFLの運転者等)がクレーンセーバ2の上方でのワークWに対する投影画像の状態(投影画像の画像領域LAの大きさおよび当該投影画像の画像位置)を認識するのみで、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWを位置決めすることが可能である。このため、クレーンセーバ2上へのワークWの載置作業が不慣れな作業者であっても、また、ワークWの形状が異形であっても、クレーンセーバ2上におけるワークWの載置状態を適正に得る作業(位置決め作業)を効率良く行うことができる。また、クレーンセーバ上においてワークを当接させて位置決めを行うポジショナやガイドプレート等を設置しておく必要もない。
【0041】
-変形例-
次に変形例について説明する。本変形例はワークWの形状が前記実施形態のものと異なっており、それに伴って、ワークWの上面での投影画像の画像形状も異なっている。
【0042】
図8は、本変形例に係るワークWの上面での投影画像の投影状態を示す図である。この
図8に示すように、本変形例におけるワークWは、自動車のフェンダパネル(プレス加工前の材料)である。そして、画像投影装置7からワークWの上面に投影される投影画像の形状としては、ワークWの外縁から所定寸法だけ内側の領域において当該外縁と相似形状の領域(
図8において破線で囲んだ領域)LAとなっている。本変形例にあっても、ワークWの外縁と投影画像が投影される画像領域LAの外縁との間の寸法は例えば50mmであって、クレーンセーバ2に対するワークWの載置位置のズレ量の許容最大値として規定されたものとなっている。この寸法は前述した値には限定されず、適宜設定可能である。
【0043】
本変形例にあっても前述した実施形態の場合と同様に、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWが位置決めされた状態におけるワークWの上面での投影画像の画像領域LAの大きさおよび当該投影画像の画像位置と、ワークWが所定位置の鉛直上方まで搬送された状態におけるワークWの上面での投影画像の画像領域LAの大きさおよび当該投影画像の画像位置とが一致するように、ワークWの上面の高さ位置に応じて画像投影条件を調整するようにしている。このため、作業者(フォークリフトFLの運転者等)がクレーンセーバ2の上方でのワークWに対する投影画像の状態(投影画像の画像領域LAの大きさおよび当該投影画像の画像位置)を認識するのみで、クレーンセーバ2上での所定位置にワークWを位置決めすることが可能である。このため、クレーンセーバ2上へのワークWの載置作業が不慣れな作業者であっても、また、ワークWの形状が異形であっても、クレーンセーバ2上におけるワークWの載置状態を適正に得る作業(位置決め作業)を効率良く行うことができる。
【0044】
-他の実施形態-
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
【0045】
例えば、前記実施形態では、自動車の生産ラインに設置されたプレス装置に付属されるクレーンセーバ2上での所定位置にワークWを位置決めするための支援を行う位置決め支援装置1として本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、その他の生産ラインに対しても適用が可能である。このため、搬送物としては鋼板に限定されるものではない。
【0046】
また、前記実施形態では、画像投影装置7からワークWに向けて斜め下向きに投影画像を投影するものとしていた。本発明はこれに限らず、画像投影装置7からワークWに向けて鉛直下向きに投影画像を投影するものとしてもよい。この場合、投影角度算出部82によって、ワークWの上面での投影画像の画像領域の大きさを決定する投影角度を算出するのみで前述した効果を奏することが可能である。このため、投影方向算出部83を不要にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、フォークリフトによってワークを搬送してクレーンセーバに載置するに際し、当該クレーンセーバ上での所定位置にワークを位置決めするための位置決め支援装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 位置決め支援装置
2 クレーンセーバ(載置台)
4 レーザ変位計(高さ位置計測装置)
7 画像投影装置
82 投影角度算出部(投影画像調整部)
83 投影方向算出部(投影画像調整部)
FL フォークリフト(搬送車両)
W ワーク(搬送物)
LA 画像領域