(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134764
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】シーケンス実行状況報知装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
G05B23/02 301L
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034143
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】517091447
【氏名又は名称】株式会社ハイテックシステム
(71)【出願人】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 俊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151161
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 彩
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃昌
(72)【発明者】
【氏名】金田 龍貴
(72)【発明者】
【氏名】高峰 尚
(72)【発明者】
【氏名】宮森 直樹
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA02
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF17
3C223FF24
3C223FF35
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH08
(57)【要約】
【課題】渋滞が起きる頻度が低い設備におけるわずかな変化を検知することができるシーケンス実行状況報知装置及びシーケンス実行状況報知プログラムを提供する。
【解決手段】シーケンス実行状況報知装置21は、取得部32と基準値記憶部31と相違度算出部33と画像生成部36とを備える。取得部32は、シーケンスの実行中にシーケンスステップの遷移に応答して遷移タイミングを取得する。取得部32は、動作の直前の先行遷移タイミングから、動作した機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する。基準値記憶部31は、履歴動作タイミング時間に基づいて算出された基準値を記憶する。相違度算出部33は、動作タイミング時間が取得された動作の基準値を、動作タイミング時間の取得に応答して基準値記憶部31から特定し、相違度を算出する。画像生成部36は、相違度を表す画像を生成して表示部37に表示させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーケンスステップが順次遷移するシーケンスの実行中に、前記シーケンスステップの遷移タイミングを取得するとともに、既に取得された遷移タイミングの中から直前の前記遷移タイミングを先行遷移タイミングとして特定し、前記先行遷移タイミングから、動作した機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する取得部と、
前記シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作について過去の動作タイミング時間である履歴動作タイミング時間に基づいて算出された基準値を、機器の動作と関連付けて記憶する基準値記憶部と、
前記取得部により前記動作タイミング時間が取得された前記動作の前記基準値を、前記動作タイミング時間の取得に応答して前記基準値記憶部から特定し、特定した前記基準値と前記動作タイミング時間との相違度を算出する相違度算出部と、
前記相違度を表す画像を生成して表示部に表示させる画像生成部と
を備えるシーケンス実行状況報知装置。
【請求項2】
前記シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作と、前記履歴動作タイミング時間とをシーケンス毎に関連付けて記憶する履歴情報記憶部と、
前記履歴情報記憶部に記憶されている前記複数の機器の動作の各々について、前記履歴情報記憶部に記憶されている前記履歴動作タイミング時間に基づいて前記基準値を算出する基準値算出部と、
を備える請求項1に記載のシーケンス実行状況報知装置。
【請求項3】
シーケンス制御され、前記複数の機器を含む機器群の各々の動作に応答して、動作した機器の動作の中から、前記履歴情報記憶部において前記履歴動作タイミング時間に関連付けられている動作を特定し、特定された動作を前記取得部に出力する特定部をさらに備え、
前記取得部は、前記特定部からの入力に応答して、取得した前記動作タイミング時間を前記相違度算出部に出力する請求項2に記載のシーケンス実行状況報知装置。
【請求項4】
前記基準値は、機器の動作が異常である確率を示す異常確率に対応付けられており、
前記基準値算出部は、取得した前記履歴動作タイミング時間を学習して、前記基準値を算出する請求項2または3に記載のシーケンス実行状況報知装置。
【請求項5】
前記取得部により取得された前記動作タイミング時間は、前記基準値の次回以降の算出に用いる新たな前記履歴動作タイミング時間とされる請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシーケンス実行状況報知装置。
【請求項6】
シーケンスステップが順次遷移するシーケンスの実行中に、前記シーケンスステップの遷移タイミングを取得するとともに、既に取得された遷移タイミングの中から直前の前記遷移タイミングを先行遷移タイミングとして特定し、前記先行遷移タイミングから、動作した機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する取得ステップと、
前記シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作について過去の動作タイミング時間である履歴動作タイミング時間に基づいて算出された基準値を、機器の動作と関連付けて基準値記憶部に記憶する基準値記憶ステップと、
前記取得ステップにより前記動作タイミング時間が取得された前記動作の前記基準値を、前記動作タイミング時間の取得に応答して前記基準値記憶部から特定し、特定した前記基準値と前記動作タイミング時間との相違度を算出する相違度算出ステップと、
前記相違度を表す画像を生成して表示部に表示させる画像生成ステップと
をコンピュータに実行させるシーケンス実行状況報知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーケンス実行状況報知装置及びシーケンス実行状況報知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水車発電機を備える水力発電設備をはじめとする各種発電設備や、石油化学製品の製造設備には、起動や停止などにおいてシーケンス制御が行われるものが多くある。シーケンスは、シーケンスステップが順次遷移することで実行されるが、遷移が滞ってしまい実行中のシーケンスが停止するといういわゆる渋滞が発生する場合がある。
【0003】
渋滞が検出される前に、渋滞に至る潜在的な機器の異常を発見するシーケンスモニタ装置が特許文献1に開示されている。このシーケンスモニタ装置は、ロジック回路とタイマ回路とタイムカウンタと演算器を備え、シーケンス制御が行われる被制御機器の起動から停止までの各シーケンスステップにおける機器要素の動作状態を監視し、その機器要素の動作渋滞を検出する。ロジック回路は、現在のシーケンスステップの状態を検出しており、予め設定された渋滞監視設定時間内に次のシーケンスステップへ遷移しない場合にタイマ回路によって警報信号が発せられる。タイムカウンタは、次のシーケンスステップに遷移するまでの機器要素の実動作時間をカウントする。そして演算器は、所定の2つの積算値の差が予定値よりも大きい場合、または起動,停止回数と所定の積算値との関数の傾きが予定値よりも大きくなった場合に警報信号を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシーケンスモニタ装置は、上記の通り、次のシーケンスステップに遷移しない場合に警報信号を発しており、渋滞が起きる頻度がそもそも低い設備には必ずしも向いているとは言えない。
【0006】
そこで、本発明は、渋滞が起きる頻度が低い設備におけるわずかな変化を検知することができるシーケンス実行状況報知装置及びシーケンス実行状況報知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシーケンス実行状況報知装置は、取得部と、基準値記憶部と、相違度算出部と、画像生成部とを備える。取得部は、シーケンスステップが順次遷移するシーケンスの実行中に、シーケンスステップの遷移タイミングを取得するとともに、既に取得された遷移タイミングの中から直前の遷移タイミングを先行遷移タイミングとして特定し、先行遷移タイミングから、動作した機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する。基準値記憶部は、シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作について過去の動作タイミング時間である履歴動作タイミング時間に基づいて算出された基準値を、機器の動作と関連付けて記憶する。相違度算出部は、取得部により動作タイミング時間が取得された動作の基準値を、動作タイミング時間の取得に応答して基準値記憶部から特定し、特定した基準値と動作タイミング時間との相違度を算出する。画像生成部は、相違度を表す画像を生成して表示部に表示させる。
【0008】
シーケンス実行状況報知装置は、履歴情報記憶部と、基準値算出部とを備えることがより好ましい。履歴情報記憶部は、シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作と、履歴動作タイミング時間とをシーケンス毎に関連付けて記憶する。基準値算出部は、履歴情報記憶部に記憶されている複数の機器の動作の各々について、履歴情報記憶部に記憶されている履歴動作タイミング時間に基づいて基準値を算出する。
【0009】
シーケンス実行状況報知装置は、特定部を備えることがより好ましい。特定部は、シーケンス制御され、複数の機器を含む機器群の各々の動作に応答して、動作した機器の動作の中から、履歴情報記憶部において履歴動作タイミング時間に関連付けられている動作を特定し、特定された動作を取得部に出力する。取得部は、特定部からの入力に応答して、取得した動作タイミング時間を相違度算出部に出力する。
【0010】
基準値は、機器の動作が異常である確率を示す異常確率に対応付けられており、基準値算出部は、取得した履歴動作タイミング時間を学習して、基準値を算出することが好ましい。
【0011】
取得部により取得された動作タイミング時間は、基準値の次回以降の算出に用いる新たな履歴動作タイミング時間とされることが好ましい。
【0012】
本発明のシーケンス実行状況報知プログラムは、取得ステップと、基準値記憶ステップと、相違度算出ステップと、画像生成ステップとをコンピュータに実行させる。取得ステップは、シーケンスステップが順次遷移するシーケンスの実行中に、シーケンスステップの遷移タイミングを取得するとともに、既に取得された遷移タイミングの中から直前の遷移タイミングを先行遷移タイミングとして特定し、先行遷移タイミングから、動作した機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する。基準値記憶ステップは、シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作について過去の動作タイミング時間である履歴動作タイミング時間に基づいて算出された基準値を、機器の動作と関連付けて基準値記憶部に記憶する。相違度算出ステップは、取得ステップにより動作タイミング時間が取得された動作の基準値を、動作タイミング時間の取得に応答して基準値記憶部から特定し、特定した基準値と動作タイミング時間との相違度を算出する。画像生成ステップは、相違度を表す画像を生成して表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、渋滞が起きる頻度が低い設備におけるわずかな変化を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】基準値算出部及び相違度算出部での算出の説明図である。
【
図5】シーケンスの開始時を時間的起点にした動作タイミング時間のグラフである。
【
図6】直前の遷移タイミングを時間的起点にした動作タイミング時間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示す発電システム10は、本発明の一実施形態である。発電システム10は、例えば発電所に設けられた発電プラント11と、発電プラント11に電気的に接続されたシーケンス実行状況報知ユニット(以下、報知ユニットと称する)12とを備える。発電プラント11は、設備の一例である発電設備15と、発電設備15にシーケンスを実行させる、すなわち発電設備15のシーケンス制御等の制御を行うコントローラ16とを備える。
【0016】
発電設備15は、この例では水力発電を行う設備となっており、水車発電機(以下、単に「発電機」と称する)18A、入口弁18B、水車18C、送電部18D等から構成されている。入口弁18Bは、たとえばダムの取水口(図示無し)と水車18Cとのそれぞれに接続し、開閉することにより、水車18Cへの水の案内と案内停止とを切り替える。送電部18Dは、発電機18Aで発生させた電気を、例えば、発電システム10が設けられている発電所(図示無し)の外部等へ送出する。発電設備15は、発電機18A、入口弁18B、水車18C、送電部18Dの各部や、これらの相互の接続部等に、機器群を有する。例えば、発電機18Aには制御装置(図示無し)、空気冷却器(図示無し)、入口弁18Bには入口弁本体(図示無し)や入口弁本体を開閉する開閉機構(図示無し)、水車18Cにはランナー(図示無し)やガイドベーン(図示無し)、送電部18Dには並列用遮断器(図示無し)等の機器が備えられている。
図1においては、図の煩雑化を避けるために、発電機18Aにのみ機器を図示しており、また、図示している機器は、符号19a~19eを付している5つのみとしている。
【0017】
コントローラ16は、発電設備15の各部を統括的に制御することで、発電設備15にシーケンスを実行させる。コントローラ16は、発電設備15の稼働(停止を含む)に関わる制御を行っており、シーケンス制御はそれら稼働に関わる制御のひとつである。コントローラ16は、発電設備15から機器群の各機器の動作を示す動作信号を取得し、取得した動作信号に基づき発電設備15に対してフィードバック制御を行う場合もある。動作信号は、発電設備15において動作毎に生成され、コントローラ16に出力される。動作信号としては、動作に関する二値情報である動作信号と、二値情報ではない動作信号とがある。動作に関する二値情報は、機器が取り得る2つの状態の一方と他方とで切り替わる信号であり、例えば、オンとオフとで切り替わる信号、0(ゼロ)と1とで切り替わる信号、弁などの開閉について開状態と閉状態とで切り替わる信号等である。二値情報ではない動作信号は、例えば発電設備15においては、例えば水車18C等の回転する回転軸の軸受が浸漬されている潤滑油面の高さや、潤滑油の温度などのように、取り得る値が連続している場合の検出信号等、状態に応じた値を示す信号である。
【0018】
この例のコントローラ16は、シーケンスを実行中の発電設備15において動作した機器の動作を示す動作信号のうち、二値情報である動作信号のすべてを、報知ユニット12のシーケンス実行状況報知装置(以下、報知装置と称する)21に出力する。コントローラ16は、さらに、発電設備15において生成され、シーケンスが遷移したことを示す遷移信号を、報知装置21に出力する。コントローラ16は、発電設備15において生成された動作に関する二値信号である動作信号のうち、特定の動作信号をシーケンスの遷移信号とみなして、その遷移信号を報知装置21に出力してもよい。上記の例では、コントローラ16は、取得した動作信号から二値情報である動作信号を特定しており、特定した動作信号を報知装置21に出力している。しかし、二値情報である動作信号は、発電設備15の各機器から、コントローラ16を介さずに、報知装置21へ直接出力してもよい。なお、本例では、機器が一方から他方への切り替え動作をした場合に、すなわち、発電設備15から二値情報である動作信号をコントローラ16が取得した場合に、非点灯から点灯あるいは点灯から非点灯に変化する(切り替わる)表示灯がコントローラ16に設けられている。この表示灯の点灯状態がシーケンスの開始時から変化した場合に動作信号を報知装置21に出力している。また、本例では、遷移信号が入力された場合に同様に変化する(切り替わる)表示灯がコントローラ16に設けられており、この表示灯の点灯に応答して、コントローラ16は遷移信号を報知装置21に出力している。
【0019】
この例の発電システム10は、報知装置21と複数の端末22a~22cとで構成されている報知ユニット12を備えるが、複数の端末22a~22cは無くてもよい。すなわち、発電プラント11と報知装置21とで構成される発電システムでもよい。なお、以下の説明において端末22a~22cを区別しない場合には、端末22と記載する。
【0020】
報知装置21は、発電プラント11から入力された遷移信号と動作信号、この例ではコントローラ16から入力された遷移信号と動作信号とに基づき、発電設備15で実行されているシーケンスの実行状況を報知する。具体的には、発電設備15での起動において、渋滞、すなわち起動渋滞が起きる可能性の確率を、シーケンスの実行状況として報知する。なお、この報知装置21は、発電設備15の停止において渋滞(停止渋滞)が起きる可能性の確率も、シーケンスの実行状況として報知することができる。
【0021】
この例の報知装置21と複数の端末22a~22cの各々とは通信可能に構成されており、報知装置21はシーケンスの実行状況を端末22に送信することで、端末22により報知することもできるようになっている。報知装置21から端末22への送信は、例えば、端末22から報知装置21に対する送信指示を報知装置21が取得した場合に、その取得に応答して行う。この例の端末22は、液晶ディスプレイなどの表示部(図示無し)を備える例えばパーソナルコンピュータ(以下、PCと称する)であり、PCとしては、デスクトップ型PC,モバイルPC(タブレット端末,スマートフォン等を含む)などが挙げられる。なお、報知ユニット12が備える端末22の数は本例の3個に限られない。
【0022】
シーケンスは、複数のシーケンスステップが順次遷移することで実行される。以下の説明において、順序付けられた複数のシーケンスステップを、シーケンスステップS0(開始シーケンスステップ),S1,S2,・・・とし、これらのシーケンスステップを区別しない場合にはシーケンスステップSと記載する。シーケンスを実行する複数のシーケンスステップS及びそれらの数(ステップ数)は、発電プラントによって異なる。例えば、起動のシーケンス(以下、起動シーケンスと称する)の場合、互いに異なる発電プラントA~Cは、表1に示すように、シーケンスステップS0,S1,S2,・・・が異なるシーケンスが実行されるとともに、シーケンスステップSのステップ数も互いに異なる。停止のシーケンス(以下、停止シーケンス)についても同様である。
【0023】
【0024】
表1において、「準備」は入口弁18Bやガイドベーン(図示無し)の全閉、並列用遮断器(図示無し)が開いていること等の発電機18Aの起動に必要な条件を準備するシーケンスステップSである。「入口弁」は入口弁18B(
図1参照)を全開にするシーケンスステップSである。「起動」は、入口弁18Bが全開であることを条件に始動装置(図示無し)によりガイドベーン(図示無し)の開度を漸増し、水車18Cを起動するシーケンスステップSである。「励磁」は、励磁装置(図示無し)により発電機18Aを励磁するシーケンスステップSである。「並列」は、発電設備15を系統につなげるシーケンスステップSである。なお、停止シーケンスの場合には発電設備15を系統から切り離す「解列」のシーケンスステップSや、入口弁を全閉にする「入口弁全閉」のシーケンスステップSがある。
【0025】
発電プラント11の起動シーケンスにおいて、シーケンスステップS0に遷移する遷移タイミングを、遷移タイミングTT0とする。同様に、シーケンスステップS1,S2,・・・の各々に遷移する遷移タイミングを遷移タイミングTT1,TT2,・・・とする。発電プラント11においては、
図2に示すように時間軸を横軸にして、時間の経過を紙面右向きに表した場合には、シーケンスステップS0に遷移した遷移タイミングTT0を起点として、右向きに、遷移タイミングTT1,TT2,TT3,TT4,TT5で、シーケンスステップSは順にシーケンスステップS1,S2,S3,S4,S5に遷移する。これにより起動シーケンスが実行される。なお、以下の説明において、遷移タイミングTT0,TT1,TT2,・・・を区別しない場合には、遷移タイミングTTと記載する。
【0026】
図3において報知装置21は、基準値記憶部31と、取得部32と、相違度算出部33と、画像生成部36とを備える。報知装置21は表示部37を備えてもよく、本例でもそのようにしている。報知装置21は、本例のように、さらに、履歴情報記憶部41と、基準値算出部42と、特定部43とを備えることが好ましい。
【0027】
取得部32はコントローラ16に電気的に接続し、コントローラ16から出力された遷移信号が入力される。取得部32は、遷移タイミングTT0からの経過時間をカウントするタイマ46を有し、コントローラ16からのシーケンスステップS0の遷移信号の入力に応答して、タイマ46によるカウントをオンにする。また、取得部32は、その他のシーケンスステップS1,S2,・・・の遷移信号の入力に応答して、タイマ46によりカウントされたタイマ値を遷移タイミングTT1,TT2,・・・として取得する。このように、取得部32は、シーケンスの実行中に、シーケンスステップSの遷移に応答して、遷移タイミングTT0,TT1,TT2,・・・を取得する。なお、この例では、遷移信号が発電プラント11(
図1参照)で生成され、既に生成された遷移信号が取得部32に入力されている。しかし取得部32が、発電プラント11から入力された所定の信号を遷移信号として特定することで遷移信号を生成してもよい。
【0028】
コントローラ16に接続する取得部32は、コントローラ16から出力された動作信号が入力される。入力される動作信号は、動作に関する二値情報の信号である。取得部32は、動作信号の入力に応答して、タイマ46によりカウントされたタイマ値を、動作信号が示す動作の動作タイミングとして読み出し、既に取得してある遷移タイミングTTの中から動作タイミングの直前の遷移タイミングTTを先行遷移タイミングとして特定する。そして、動作タイミングのタイマ値から先行遷移タイミングのタイマ値を減算することにより、動作の直前の遷移タイミングから動作タイミングまでの経過時間である動作タイミング時間を算出して取得する。このように、取得部32は、機器の動作に応答して、既に取得された遷移タイミングTTの中から先行遷移タイミングを特定し、先行遷移タイミングから、動作した機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する。なお、発電設備15から出力された二値情報である動作信号をコントローラ16を介さずに取得部32に入力する場合には、取得部32を発電設備15に電気的に接続してもよい。また、この例では、二値情報の動作信号が発電プラント11(
図1参照)で生成され、既に生成された当該動作信号が取得部32に入力されている。しかし取得部32が、発電プラント11から入力された所定の二値情報の信号を動作信号として特定することで、二値情報の動作信号を生成してもよい。
【0029】
この例の報知装置21は特定部43を備えており、取得部32は動作タイミング時間を取得した動作を示す動作信号を特定部43に出力する。取得部43は、特定部43に出力した動作信号が下記のように特定部43から入力された場合に、入力された動作信号が示す動作とその動作の動作タイミング時間とを関連付けたタイミング時間情報を相違度算出部33と履歴情報記憶部41とのそれぞれに出力する。取得部32の履歴情報記憶部41への出力は、動作と動作タイミング時間とを先行遷移タイミングを示すシーケンスに関連付け、かつ、動作を履歴動作、動作タイミング時間を履歴動作タイミング時間として、履歴情報記憶部41に記憶させることで行う。このように、取得部32は、履歴動作と履歴動作タイミング時間とシーケンスとを関連付けた履歴情報を生成して履歴情報記憶部41に記憶する。取得部32は、また、履歴情報記憶部41への記憶が完了すると、基準値算出部42に対して、履歴情報記憶部41への記憶を完了したことを通知する(記憶完了通知)。
【0030】
特定部43は、取得部32に接続され、取得部32からの動作信号の入力に応答して、入力された動作信号が示す動作と同じ過去の動作を、履歴情報記憶部41の履歴動作の中から特定する。特定された場合、すなわち、履歴動作タイミング時間に関連付けられている履歴動作の中に、入力された動作信号が示す動作と同じ動作が有ると判定した場合には、取得部32に、その動作を示す動作信号を出力する。特定されなかった場合、すなわち、履歴動作タイミング時間に関連付けられている履歴動作の中に、入力された動作信号が示す動作と同じ動作が無いと判定した場合には、取得部32に対して動作信号を出力しない。なお、履歴動作の中から特定されたか否かによる判定の代わりに、例えば90%等の予め設定された所定割合以上の履歴情報の中に、入力された動作信号が示す動作と同じ動作が含まれていることで判定を行ってもよい。
【0031】
この例では、特定部43を取得部32と接続させ、特定部43には取得部32を介して動作信号が入力される。しかし、この態様に代えて、特定部43をコントローラ16に接続させ、コントローラ16から特定部43に、動作に関する二値情報である動作信号を入力してもよい。この場合には、特定部43にもタイマ46と同様のタイマを設け、特定部43で動作タイミング時間を求めて、求めた動作タイミング時間を取得部32に出力してもよい。ただし、動作タイミング時間の精度をより高くする観点では、遷移タイミングを求めるタイマ値と動作タイミング時間を求めるための動作タイミングのタイマ値とは、共通のタイマでカウントすることがより好ましい。
【0032】
履歴情報記憶部41は、シーケンスの過去の実行中に動作した機器の動作(以下、履歴動作と称する)と、その履歴動作の動作タイミング時間である履歴動作タイミング時間とを、シーケンス毎に関連付けた履歴情報として記憶する(表2参照)。新たに実行されたシーケンスによって取得部32が動作タイミング時間を新たに取得した場合には、取得された新たな動作タイミング時間と動作とは、この履歴情報記憶部41に履歴動作タイミング時間及び履歴動作として記憶される。一度のシーケンスには動作が複数有り、履歴情報は履歴動作毎に生成されるから、一度のシーケンスの実行で、履歴情報が複数生成されて記憶される。なお、履歴動作と履歴動作タイミング時間とが、取得部32と異なる他の取得手段等により得られている場合には、得られている履歴動作と履歴動作タイミング時間を例えば予め履歴情報記憶部41に記憶させてもよい。
【0033】
基準値算出部42は、取得部32からの記憶完了通知の取得に応答して、記憶された履歴動作に関連付けられた履歴動作タイミング時間と、記憶された履歴動作の過去の履歴動作タイミング時間とを特定し、それらの履歴動作タイミング時間に基づいて基準値を算出する。このようにして、基準値算出部42は、履歴動作の各々について、履歴情報記憶部41に記憶されている履歴動作タイミング時間に基づいて基準値を算出する。基準値は、履歴動作タイミング時間から例えば統計的に導出した値であれば、算出の手法は限定されない。基準値は、機器の動作が異常である確率を示す異常確率に対応付けた値である。
【0034】
基準値算出部42は、取得した履歴動作タイミング時間を学習して、基準値を算出する学習演算部であることが好ましい。本例でも学習演算部を基準値算出部42に用いている。本例の基準値算出部42は、外れ値を除去した履歴動作タイミング時間から、ノンパラメトリックな手法を用いて履歴動作タイミング時間の分布を作成し、データの統計的な情報から基準値を算出している。外れ値は取り除かなくてもよいが、取り除くことにより起動渋滞が起きる可能性の確率をより正確なものとして報知することができるので好ましい。外れ値の除去では、One-Class SVMを2回用いて外れ値を取り除いている。履歴動作タイミング時間の過度に大きな外れ値を、One-Class SVMの1度目の適用で取り除き、小さくて見分けにくい外れ値を、One-Class SVMの2度目の適用で取り除くことが好ましい。
【0035】
外れ値を取り除いた履歴動作タイミング時間hMを学習データとし、履歴動作タイミング時間hMから、ノンパラメトリックな密度推定の手法であるカーネル密度推定を用いて履歴動作タイミング時間の分布を求める(
図4の(A)参照)。この求めた分布は、正常に動作している状態の履歴動作タイミング時間の分布である。この分布から正常な履歴動作タイミング時間で頻繁に観測される可能性の高い経過時間α
1と、α
1から少し外れた経過時間α
2を求める。例えば、α
1は履歴動作タイミング時間の分布が65%所属する経過時間とし、α
2は、履歴動作タイミング時間の分布の標準偏差sに予め設定した係数を乗じた値を、α
1に加算することにより求めることが好ましく、本例でも、α
1に120×(履歴動作タイミング時間の分布の標準偏差s)を加えた値として求めている。α
1は履歴動作タイミング時間の分布が所定の割合で所属する経過時間とすればよく、本例のような上述の65%に限定されないが、小さくとも50%で設定することが、求められる異常確率の妥当性を確保する上でより好ましい。
【0036】
本例では、上記の履歴動作タイミング時間の分布から得られた経過時間α
1、α
2と分布の標準偏差sから、異常確率モデルの生成に用いる基準値として、第1基準値VA(
図4参照)と、第1基準値VAよりも高い異常確率に対応付けた第2基準値VB(
図4参照)とをそれぞれ下記式(1),(2)で算出している。そして、第1基準値VAでとる異常確率y
1を例えば2%とし、第2基準値VBでとる異常確率y
2を例えば80%と設定する。第1基準値VAでとる異常確率y
1、第2基準値でとる異常確率y
2は、本例に限定されない。各基準値でとる異常確率は、生成したい確率モデルの性能に基づいて適宜設定してよい。例えば、基準値付近において余裕を持って確率算出をさせたい場合には、異常確率を低めに設定し、また、基準値付近で厳しく確率算出をさせたい場合には、異常確率を高めに設定するとよい。
VA=α
1 ・・・(1)
VB={(α
2-α
1)/s}+α
1 ・・・(2)
【0037】
基準値記憶部31は、基準値と履歴動作とを関連付けて、基準値情報として記憶する(表3参照)。
【0038】
相違度算出部33は、取得部32で取得された動作タイミング時間を含むタイミング時間情報の入力に応答して、タイミング時間情報に含まれる動作と同じ動作を基準値記憶部31の履歴動作の中から特定し、その履歴動作と関連付けられている基準値を特定する。相違度算出部33は、取得した動作タイミング時間と、基準値記憶部31から特定した基準値との相違度を算出し、画像生成部36に出力する。
【0039】
相違度は、下記の手法を用いて求めている。まず、第1基準値VAと第1基準値VAでとる異常確率y1、第2基準値VBと第2基準値VBでとる異常確率y2のそれぞれを以下の式(3)のシグモイド関数に対応させることにより、定数A,Bを算出する。そして、算出定数A,Bにより以下の式(3)のシグモイド関数から生成された異常確率モデルPMに対し、異常値(動作タイミング時間)xから異常確率y(ただし、0.0≦y≦1.0)を算出する。すなわち定数A,Bを求めることにより確率モデルが生成される。
y=1/(1+eAx+B) ・・・・(3)
【0040】
求めた確率モデルをグラフ化し(
図4の(B)参照)、このグラフ(
図4の(B))の横軸に、取得された動作Mnの動作タイミング時間MTnを上記式(3)のx値として採る(
図4の(C)参照)ことで、取得された動作Mnの異常確率Pnを上記式(3)のyとして縦軸に表すことができる。表された異常確率Pnは、基準値における異常確率との差異が現れたものであるから、この異常確率を相違度とすることができる。なお、本例では異常確率を、単位を%とする百分率で示しているが、下限を0(ゼロ)、上限を1とする等、百分率以外の数値で表してもよい。
【0041】
画像生成部36は、相違度算出部33で算出された相違度を表す画像を生成し、その画像を示す画像データを表示部37に出力することで表示部37に画像を表示させる。表示部37は、例えば液晶ディスプレイである。
【0042】
報知装置21は、コンピュータで構成されており、コンピュータに所定のプログラムを実行させることにより、コンピュータは上記の各部として機能する。プログラムは、取得ステップと、基準値記憶ステップと、相違度算出ステップと、画像生成ステップとをコンピュータに実行させるシーケンス実行状況報知プログラムである。取得ステップは、シーケンスステップSが順次遷移するシーケンスの実行中に、シーケンスステップSの遷移に応答して遷移タイミングを取得するとともに、機器の動作に応答して、既に取得された遷移タイミングの中から直前の遷移タイミングを先行遷移タイミングとして特定し、先行遷移タイミングから、動作した機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する。基準値記憶ステップは、シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作について過去の動作タイミング時間である履歴動作タイミング時間に基づいて算出された基準値を、機器の動作と関連付けて(基準値情報として/関連付けた基準値情報を)基準値記憶部に記憶する。相違度算出ステップは、取得ステップにより動作タイミング時間が取得された動作の基準値を、動作タイミング時間の取得に応答して基準値記憶部から特定し、特定した基準値と動作タイミング時間との相違度を算出する。画像生成ステップは、相違度を表す画像を生成して表示部に表示させる。
【0043】
上記構成の作用を説明する。発電システム10の発電プラント11は、コントローラ16の制御により発電設備15の起動、発電、停止が行われる。発電設備15は、コントローラ16によりシーケンスを実行して起動し、発電、送電を行う。また、同様にコントローラ16によりシーケンスを実行して停止する。コントローラ16は、シーケンスを実行中の発電設備15で動作した機器の動作について、発電設備15で生成された動作信号のうち、動作に関する二値情報の動作信号を、報知装置21の取得部32に出力する。
【0044】
起動シーケンスの実行が開始されると、コントローラ16は、シーケンスステップS0に遷移したことを示す遷移信号を取得部32に出力する。コントローラ16は、その後、生成された動作信号と遷移信号とを生成された順に取得部32に出力する。取得部32は、シーケンスステップS0への遷移を示す遷移信号を取得すると、タイマ46によるカウントの開始をオンにして遷移タイミングTT0を報知装置21に内蔵される記憶部(本例では取得部32に設けた記憶部(図示無し))にシーケンスステップS0と関連付けて記憶する。取得部32は、以降、遷移信号が入力されると、遷移信号が示す遷移の遷移タイミングTT1,TT2,・・・を取得し、遷移信号と関連付けて上記記憶部に記憶する。なお、後行の遷移タイミングTTを取得した後に、後行の遷移タイミングTTを示すタイマ値からその直前の遷移タイミングTTを示すタイマ値を減算することにより、遷移タイミング間の時間としてのシーケンスピリオドを求め、このシーケンスピリオドも遷移信号に関連付けて上記記憶部(図示無し)に記憶してもよい。
【0045】
取得部32は、遷移信号と動作信号とがそれぞれ入力されると、直前の遷移タイミングTTを上記の記憶部に記憶されている遷移タイミングの中から特定し、タイマ値により動作タイミング時間を取得する。取得部32は、また、動作信号が入力されると、その動作信号を特定部43に出力する。
【0046】
特定部43は、取得部32からの動作信号の入力に応答して、入力された動作信号が示す動作と同じ過去の動作を、履歴情報記憶部41の履歴動作の中から特定する。特定した場合には、取得部32に、その動作を示す動作信号を出力する。特定されなかった場合には、取得部32に対して動作信号を出力しない。
【0047】
例えば、特定部43に動作M1を示す動作信号が入力されると、表2に示す履歴情報記憶部41にM1を示す履歴動作がシーケンスAの履歴情報A、シーケンスBの履歴情報B、シーケンスCの履歴情報Cにおいて特定されるので、この場合には、特定部43は取得部32に動作M1を示す動作信号を出力する。一方、特定部43に動作M3を示す動作信号が入力されると、表2に示す履歴情報記憶部41にM3を示す履歴動作がいずれの履歴情報A~Cにもないため特定されない。そのため、この場合には、取得部32に動作M3を示す動作信号は出力しない。
【0048】
【0049】
履歴情報記憶部41には、シーケンスの過去の実行に関連した動作が履歴動作として記憶されており、特定部43は、取得部32を介して入力された動作信号が示す動作と同じ動作を履歴情報記憶部41の履歴動作の中から特定する。これにより、発電プラント11から取得部32に入力された動作信号の中から、シーケンスの実行中に動作する機器の動作を示す動作信号が抽出され、抽出された動作信号とその動作信号が示す動作の動作タイミング時間とが、相違度算出部33と履歴情報記憶部41とのそれぞれに出力される。したがって、抽出された動作信号についてのみが相違度算出部33による処理の対象とされるから、報知までの処理効率がよりよい。また、抽出された動作信号とその動作信号が示す動作の動作タイミング時間とは履歴情報記憶部41に新たな履歴動作と履歴動作タイミング時間として記憶されるので、次回以降の抽出における確からしさがより向上するとともに、履歴動作タイミング時間を用いた基準値算出部42による算出結果の確からしさもより向上する。
【0050】
取得部32は、特定部43から動作信号が入力された場合に、取得した動作タイミング時間と動作とを関連付けたタイミング時間情報を相違度算出部33と履歴情報記憶部41とのそれぞれに出力する。動作タイミング時間を、シーケンスの開始時(この例では遷移タイミングTT0)からの経過時間とした場合には、特定の動作信号に着目した場合に、
図5に示すように、シーケンス同士での差が小さく、互いの差の大小がわかりにくい。そのため、異常であることに気づきにくい。また、互いに異なる動作信号同士で比較した場合に、動作信号間の差異もわかりにくく、動作信号の中でも異常であることにより注意すべき対象であるか否かの判別もつきにくい。そのため、個々の動作タイミング時間に対する値の確からしさが低くなっている。これに対して、本例では、動作タイミング時間を、直前の遷移タイミングからの経過時間としているから、特定の動作信号に着目した場合に、
図6に示すように、シーケンス同士での差が大きく示され、互いの差の大小がわかりやすい。そのため、異常であることや異常である可能性に気づきやすい。また、互いに異なる動作信号同士で比較した場合に、動作信号間の差異が顕著に示され、動作信号の中でも異常であることにより注意すべき対象であるか否かの判別がしやすい。そのため、個々の動作タイミング時間に対する値の確からしさが高く、異常確率がより精度の高いものとして得ることができる。そのため、渋滞が起きる頻度が低い発電設備15におけるわずかな変化であっても検知される。なお、
図5及び
図6の横軸は、動作M1,M2,M3,・・・であり、
図5及び
図6においては符号Mの後の数字を便宜的に連番にしてあるが、各シーケンスステップSに属する動作の数は、
図5に示す個数に限られない。また、
図6の(B)~(E)の縦軸は、(A)と同じく、いずれも履歴動作タイミング時間(単位は秒)であるが、
図6においては略してある。
【0051】
相違度算出部33は、動作タイミング時間を含むタイミング時間情報が入力されると、その入力に応答して、タイミング時間情報に含まれる動作と同じ動作を基準値記憶部31の履歴動作の中から特定して基準値を特定する。例えば、動作M1が含まれるタイミング時間情報が相違度算出部33に入力され、かつ、基準値記憶部31に表3に示すように基準値情報IV1,IV2,IV5が記憶されているとする。基準値情報IV1は、履歴動作M1と第1基準値VA1と第2基準値VB1とを含み、基準値情報IV2は、履歴動作M2と第1基準値VA2と第2基準値VB2とを含み、基準値情報IV5は、履歴動作M5と第1基準値VA5と第2基準値VB5を含むものとする。この場合には、基準値情報IV1,IV2,IV5のうち、M1を示す履歴動作が基準値情報IV1に含まれているので、相違度算出部33は、基準値情報IV1における第1基準値VA1と第2基準値VB2とのそれぞれの基準値を特定する。相違度算出部33は、取得部32から入力された動作タイミング時間と、基準値との相違度を算出する。上述の例の場合には、入力された動作タイミング時間と、第1基準値VA1及び第2基準値VB1との両方を基準値としてこれらから相違度を求めているが、いずれか一方のみを基準値としてもよい。算出に用いた動作タイミングと基準値とは上記の通り、直前の遷移タイミングTTよりも前の時間の影響を受けていない時間の値であるから、得られる相違度の確からしさは高い。
【0052】
【0053】
取得部32が、タイミング時間情報をシーケンスと関連付け、動作を履歴動作とし、動作タイミング時間を履歴動作タイミング時間とした履歴情報を履歴情報記憶部41に出力すると、基準値算出部42は基準値を算出する。すなわち、基準値算出部42は履歴情報記憶部41に新たな履歴情報が記憶されると、新たな履歴情報に含まれる履歴動作について基準値を算出する。
【0054】
例えば、表2に示す上述の場合において、取得部32が動作M1を履歴動作とし、動作タイミング時間hM1を履歴動作タイミング時間としてこれらをシーケンスDと関連付けて履歴情報記憶部41に出力したとする。この場合の履歴情報記憶部41において、履歴動作M1がシーケンスA,シーケンスB,シーケンスCのそれぞれに特定され、基準値算出部42はこれらシーケンスA~Cの履歴動作M1の各々に関連付けられた3つの履歴動作タイミング時間hM1と、新たに記憶されたシーケンスDの履歴動作M1の履歴動作タイミング時間hM1とから、新たに基準値を算出する。また、表2に示す上述の場合において、取得部32が動作M3を履歴動作とし、動作タイミング時間hM3を履歴動作タイミング時間としてこれらをシーケンスDと関連付けて履歴情報記憶部41に出力したとする。この場合には履歴情報記憶部41において、履歴動作M3がシーケンスA,シーケンスB,シーケンスCのいずれにも特定されないから、基準値算出部42は、新たに記憶されたシーケンスDの履歴動作M3の履歴動作タイミング時間hM3のみから、動作M3についての基準値を新たに算出する。
【0055】
このように、基準値算出部42は、履歴動作の各々について、履歴情報記憶部41に記憶されている履歴動作タイミング時間に基づいて基準値を算出する。履歴動作タイミング時間は、直前の遷移タイミングTTからの経過時間であるから、直前の遷移タイミングTTよりも前の経過時間の影響が含まれない。したがって、履歴動作タイミング時間から統計的に求めた基準値も直前の遷移タイミングTTよりも前の経過時間の影響が含まれない値となる。
【0056】
基準値算出部42は、取得した履歴動作タイミング時間を学習して、基準値を算出する学習演算部であるので、基準値の精度はより高くなり、また、シーケンスの実行を重ねるに従い、より精度が高いものとなる。
【0057】
画像生成部36は、相違度が入力されると、相違度を表す画像を生成し、表示部37に表示させる。基準値との相違の程度である相違度の画像が表示部37に表示されることにより異常確率が報知される。表示部37は、例えば
図7に示すように、動作Mn(nは自然数)の動作タイミングMTnの相違度である異常確率Pnを含む画像G1を生成し、表示部37(
図2参照)に表示させることにより、取得された動作Mnの異常確率Pnが報知される。
図7に示す例では、
図4に示す異常確率モデルPMのグラフ上に、取得された動作Mnのプロットを重ね、求めた異常確率PnをグラフPMとともに表示する画像G1を表示部37に表示させる例であるが、表示させる画像はこの例に限られない。例えば、求めた異常確率Pnの数値のみを画像G1として表示させてもよいし、数値に加えて、または代わりに、色の明暗や色彩で異常確率Pnを示してもよい。
【0058】
なお、相違度を表す画像G1を生成する毎に、相違度を算出した動作の表示を加えることにより、相違度が算出された動作を表示部37に一覧表示し、その中から特定の動作を選択する入力が行われると、その入力に応答して、選択された動作の相違度を表示部37に表示してもよい。例えば、画像生成部36は、
図8に示すように、シーケンスの実行状況を、シーケンスステップSの遷移状況とともに表示する画像G2を生成してもよい。画像G2においては、動作Mn(
図8においては、nは1,2,4,5,7,8)の各動作タイミングが先行シーケンスステップSに対応付けられて一覧表示されており、各動作Mnについて算出された相違度が異常確率Pnとして表示されている。表示部37は、入力部(図示無し)としてのマウス(図示無し)に接続されており、マウスの操作によりカーソルCUが所定の欄CL上に配されてクリックされて当該欄CLが選択される。この選択操作に応答して、当該欄CLが選択された選択通知が画像生成部36に入力されると、この入力に応答して、画像生成部36は画像G2を、選択された欄CL中の動作Mnについての相違度(異常確率Pn)を示す画像G1(
図7参照)に切り替える。欄CLの選択は、マウスに限られず、入力部として例えばキーボードや、表示部37としてのタッチパネルディルプレイを用いることにより行ってもよい。また、画像生成部36は、画像G1(
図7参照)中に、画像G2に切り替えるための切り替えボタンなどを含ませてもよく、このように、画像G1と画像G2とを切り替え可能に構成してもよい。
【0059】
以上のように、動作に関する二値情報の動作信号の各々に関して相違度の画像が表示されるから、シーケンスに関連する個々の動作及び動作の主体である機器の潜在的な異常について判定しやすい。さらに、上記構成によると、シーケンスに関連する動作毎に、相違度が表示されるから、動作信号の後のシーケンスステップ(後行シーケンスステップ)Sへの遷移タイミングを取得する前に、渋滞が起きる確率を低下させ、かつ、渋滞の原因となる動作が確実に特定される。また、前述のように、この例の端末22は表示部を備えており、相違度を表す画像が端末22の表示部にも表示される。このため、端末22においても異常確率が表示される。
【0060】
上記の例では、動作信号が示す動作のシーケンス内における時間的な所在(時間軸における位置)を、遷移タイミングTTを指標として、特定している。後行シーケンスステップSへの遷移タイミングTTに近いタイミングの動作は、動作信号が後行シーケンスステップSの遷移タイミングTTの後に取得される場合もある。そのような動作の動作信号の場合には、直前の遷移タイミングTTが、先行シーケンスステップSへの遷移タイミングTTに特定される場合と、後行シーケンスステップSへの遷移タイミングTTに特定される場合との両方がある。そこで、各シーケンスステップSについて、後行のステップタイミングSへの遷移タイミングTTに例えば所定の余剰時間を先行シーケンスステップSの継続時間に含ませることが好ましい。すなわち、
図9に示すように、連続する遷移タイミングTT同士の実際の時間的長さよりも余剰時間Tm分だけ長い時間を、遷移タイミング間の時間である遷移タイミングピリオドSP0,SP1,SP2,・・・とみなすことが好ましい。これにより、後行シーケンスステップSへの遷移タイミングに近い動作タイミングの動作の動作信号が、より確実に先行シーケンスステップSの遷移タイミングからの経過時間で動作タイミング時間を取得されやすくなる。なお、動作タイミング時間が余剰時間Tm内となる場合には、その余剰時間を遷移タイミングピリオドSPn(nは1以上の自然数)に含む先行のシーケンスステップSと、遷移タイミングピリオドSPn+1に対応付けられる後行のシーケンスステップSとの両方を、直前のシーケンスステップSとして特定することが好ましい。これにより、動作信号が示す動作の各々について、より確実に、異常確率が求められる。
【0061】
遷移タイミングピリオドSP0,SP1,SP2,・・・の各余剰時間Tmは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。過去のデータ等から、遷移タイミングTT同士の概ねの時間的長さが把握されている場合や、予測することができる場合には、先行のステップタイミングの遷移タイミングピリオドSPn(nは1以上の自然数)における余剰時間Tmを、後行のステップタイミングの遷移タイミングピリオドSPn+1よりも短い時間に設定することが好ましい。これにより、動作信号が示す動作の直前の遷移タイミングは、多くても2つシーケンスステップSの遷移タイミング、つまり、先行シーケンスステップSの遷移タイミングTTと後行シーケンスステップSの遷移タイミングTTとに特定され、後行シーケンスステップSの次のシーケンスステップSの遷移タイミングTTが特定されることが抑えられる。このため、動作信号が示す動作の各々について、より確実に、異常確率が求められる。
【0062】
本例では、
図9に示すシーケンスステップ5のように最後のシーケンスステップSの遷移タイミングピリオドに含ませる余剰時間Tmを60秒とし、他の遷移タイミングピリオドに含ませる余剰時間Tm(本例では5秒)よりも長くしている。最後のシーケンスステップSの遷移タイミングピリオドに含ませる余剰時間Tmは、30秒以上180秒以下の範囲とすることが好ましく、他の遷移タイミングピリオドに含ませる余剰時間Tmを長くても20秒で設定することが好ましく、長くても10秒で設定することがより好ましい。
【0063】
本実施形態では、シーケンス制御の対象、すなわちシーケンスが実行される設備として、水車発電機を備える発電設備15を用いている。しかし、設備はこれに限らず、シーケンスが実行される設備であれば、他の発電設備や、プラント設備等であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 発電システム
11 発電プラント
12 シーケンス実行状況報知ユニット
15 発電設備
16 コントローラ
18A 発電機
18B 入口弁
18C 水車
18D 送電部
21 シーケンス実行状況報知装置
22a~22c 端末
31 基準値記憶部
32 取得部
33 相違度算出部
36 画像生成部
37 表示部
41 履歴情報記憶部
42 基準値算出部
43 特定部
46 タイマ
【手続補正書】
【提出日】2022-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器を有する設備でシーケンスステップが順次遷移するシーケンスの実行中に、シーケンスステップが次のシーケンスステップに遷移した遷移タイミングをシーケンスステップの遷移に応答して取得するとともに、前記複数の機器の各動作に応答して、既に取得された遷移タイミングの中から、動作した前記機器の動作の直前の前記遷移タイミングを先行遷移タイミングとして特定し、前記先行遷移タイミングから、動作した前記機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する取得部と、
前記シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作について過去の動作タイミング時間である履歴動作タイミング時間に基づいて算出された基準値を、機器の動作と関連付けて記憶する基準値記憶部と、
前記取得部により前記動作タイミング時間が取得された前記動作の前記基準値を、前記動作タイミング時間の取得に応答して前記基準値記憶部から特定し、特定した前記基準値と前記動作タイミング時間との相違度を算出する相違度算出部と、
前記相違度を表す画像を生成して表示部に表示させる画像生成部と
を備えるシーケンス実行状況報知装置。
【請求項2】
前記シーケンスの過去の実行中に動作した前記複数の機器の各動作と、前記履歴動作タイミング時間とをシーケンス毎に関連付けて記憶する履歴情報記憶部と、
シーケンス制御され、前記複数の機器を含む機器群の各々の動作に応答して、動作した機器の動作の中から、前記履歴情報記憶部において前記履歴動作タイミング時間に関連付けられている動作を特定し、特定された動作を前記取得部に出力する特定部とをさらに備え、
前記取得部は、前記特定部からの入力に応答して、取得した前記動作タイミング時間を前記相違度算出部に出力する請求項1に記載のシーケンス実行状況報知装置。
【請求項3】
前記シーケンスの過去の実行中に動作した前記複数の機器の各動作と、前記履歴動作タイミング時間とをシーケンス毎に関連付けて記憶する履歴情報記憶部と、
前記履歴情報記憶部に記憶されている前記複数の機器の動作の各々について、前記履歴情報記憶部に記憶されている前記履歴動作タイミング時間に基づいて前記基準値を算出する基準値算出部と、
を備える請求項1に記載のシーケンス実行状況報知装置。
【請求項4】
シーケンス制御され、前記複数の機器を含む機器群の各々の動作に応答して、動作した機器の動作の中から、前記履歴情報記憶部において前記履歴動作タイミング時間に関連付けられている動作を特定し、特定された動作を前記取得部に出力する特定部をさらに備え、
前記取得部は、前記特定部からの入力に応答して、取得した前記動作タイミング時間を前記相違度算出部に出力する請求項3に記載のシーケンス実行状況報知装置。
【請求項5】
前記基準値は、機器の動作が異常である確率を示す異常確率に対応付けられており、
前記基準値算出部は、取得した前記履歴動作タイミング時間を学習して、前記基準値を算出する請求項3または4に記載のシーケンス実行状況報知装置。
【請求項6】
前記取得部により取得された前記動作タイミング時間は、前記基準値の次回以降の算出に用いる新たな前記履歴動作タイミング時間とされる請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシーケンス実行状況報知装置。
【請求項7】
複数の機器を有する設備でシーケンスステップが順次遷移するシーケンスの実行中に、シーケンスステップが次のシーケンスステップに遷移した遷移タイミングをシーケンスステップの遷移に応答して取得するとともに、前記複数の機器の各動作に応答して、既に取得された遷移タイミングの中から、動作した前記機器の動作の直前の前記遷移タイミングを先行遷移タイミングとして特定し、前記先行遷移タイミングから、動作した機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する取得ステップと、
前記シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作について過去の動作タイミング時間である履歴動作タイミング時間に基づいて算出された基準値を、機器の動作と関連付けて基準値記憶部に記憶する基準値記憶ステップと、
前記取得ステップにより前記動作タイミング時間が取得された前記動作の前記基準値を、前記動作タイミング時間の取得に応答して前記基準値記憶部から特定し、特定した前記基準値と前記動作タイミング時間との相違度を算出する相違度算出ステップと、
前記相違度を表す画像を生成して表示部に表示させる画像生成ステップと
をコンピュータに実行させるシーケンス実行状況報知プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明のシーケンス実行状況報知装置は、取得部と、基準値記憶部と、相違度算出部と、画像生成部とを備える。取得部は、複数の機器を有する設備でシーケンスステップが順次遷移するシーケンスの実行中に、シーケンスステップが次のシーケンスステップに遷移した遷移タイミングをシーケンスステップの遷移に応答して取得するとともに、複数の機器の各動作に応答して、既に取得された遷移タイミングの中から、動作した機器の動作の直前の遷移タイミングを先行遷移タイミングとして特定し、先行遷移タイミングから、動作した機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する。基準値記憶部は、シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作について過去の動作タイミング時間である履歴動作タイミング時間に基づいて算出された基準値を、機器の動作と関連付けて記憶する。相違度算出部は、取得部により動作タイミング時間が取得された動作の基準値を、動作タイミング時間の取得に応答して基準値記憶部から特定し、特定した基準値と動作タイミング時間との相違度を算出する。画像生成部は、相違度を表す画像を生成して表示部に表示させる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明のシーケンス実行状況報知プログラムは、取得ステップと、基準値記憶ステップと、相違度算出ステップと、画像生成ステップとをコンピュータに実行させる。取得ステップは、複数の機器を有する設備でシーケンスステップが順次遷移するシーケンスの実行中に、シーケンスステップが次のシーケンスステップに遷移した遷移タイミングをシーケンスステップの遷移に応答して取得するとともに、複数の機器の各動作に応答して、既に取得された遷移タイミングの中から、動作した機器の動作の直前の遷移タイミングを先行遷移タイミングとして特定し、先行遷移タイミングから、動作した機器の動作までの経過時間を動作タイミング時間として取得する。基準値記憶ステップは、シーケンスの過去の実行中に動作した複数の機器の各動作について過去の動作タイミング時間である履歴動作タイミング時間に基づいて算出された基準値を、機器の動作と関連付けて基準値記憶部に記憶する。相違度算出ステップは、取得ステップにより動作タイミング時間が取得された動作の基準値を、動作タイミング時間の取得に応答して基準値記憶部から特定し、特定した基準値と動作タイミング時間との相違度を算出する。画像生成ステップは、相違度を表す画像を生成して表示部に表示させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
この例の報知装置21は特定部43を備えており、取得部32は動作タイミング時間を取得した動作を示す動作信号を特定部43に出力する。取得部32は、特定部43に出力した動作信号が下記のように特定部43から入力された場合に、入力された動作信号が示す動作とその動作の動作タイミング時間とを関連付けたタイミング時間情報を相違度算出部33と履歴情報記憶部41とのそれぞれに出力する。取得部32の履歴情報記憶部41への出力は、動作と動作タイミング時間とを先行遷移タイミングを示すシーケンスに関連付け、かつ、動作を履歴動作、動作タイミング時間を履歴動作タイミング時間として、履歴情報記憶部41に記憶させることで行う。このように、取得部32は、履歴動作と履歴動作タイミング時間とシーケンスとを関連付けた履歴情報を生成して履歴情報記憶部41に記憶する。取得部32は、また、履歴情報記憶部41への記憶が完了すると、基準値算出部42に対して、履歴情報記憶部41への記憶を完了したことを通知する(記憶完了通知)。