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特開2022-134767高所作業車における作業台の取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134767
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】高所作業車における作業台の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20220908BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20220908BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B66F9/06 Y
B66F11/04
B66F9/24 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034148
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】桑原 嘉男
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 裕也
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 健
(72)【発明者】
【氏名】山崎 章浩
(72)【発明者】
【氏名】金子 淳一
(72)【発明者】
【氏名】杉田 良平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克也
(72)【発明者】
【氏名】添田 政信
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AB02
3F333AB04
3F333AC08
3F333BB08
3F333BB09
(57)【要約】
【課題】ブーム側に対する作業台の上昇を規制するための部品点数及び組立作業の工数を減少させるとともに、ブーム側に対する作業台の上昇を規制するための構造と平行リンク機構とをコンパクトにまとめることができる高所作業車における作業台の取付構造を提供する。
【解決手段】
ジブ固定部材71と、上部リンク部材80aと、作業台固定部材51と、下部リンク部材80bと、により構成される平行リンク機構70を備え、平行リンク機構70によってジブ固定部材71に対して作業台が上下移動可能であり、上部リンク部材80a又は下部リンク部材80bの少なくとも一方にストッパ部材83を設け、ジブ固定部材71にストッパ部材83a,83bと当接することで作業台の上方への移動を規制する規制部74a,74bを設けた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上に起伏自在に設けられたブームの先端部に作業台を取り付けて構成される高所作業車における前記ブームの先端部に対する前記作業台の取付構造であって、
前記ブームの先端に枢結されて垂直方向に延びるブーム側垂直部材と、
前記ブーム側垂直部材に基端側が枢結されて水平方向に延びる上部水平リンク部材と、
前記上部水平リンク部材の先端側に枢結されて垂直方向に延び、前記作業台が固定される作業台側垂直部材と、
前記上部水平リンク部材の下側に位置して水平方向に延び、基端側が前記ブーム側垂直部材に枢結され、先端側が前記作業台側垂直部材に枢結された下部水平リンク部材と、により構成される平行リンク機構を備え、
前記平行リンク機構によって前記ブーム側垂直部材に対して前記作業台が上下移動可能であり、
前記上部水平リンク部材又は前記下部水平リンク部材の少なくとも一方に当接部材を設け、
前記当接部材と当接することで前記作業台の上方への移動を規制する規制部を前記ブーム側垂直部材に設けた
ことを特徴とする高所作業車における作業台の取付構造。
【請求項2】
前記規制部は、前記上部水平リンク部材及び前記下部水平リンク部材が略水平のときに前記当接部材と当接する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車における作業台の取付構造。
【請求項3】
前記作業台の荷重を検出するための荷重検出器を備え、
前記荷重検出器は、前記上部水平リンク部材の上方に位置して前記ブーム側垂直部材に設けられた取付部に取り付けられ、
前記作業台側垂直部材は、前記平行リンク機構により上下移動可能となった前記作業台の下方への移動に応じて前記取付部に取り付けられた前記荷重検出器に上方から当接し、前記作業台からの荷重を付加する荷重付加部材を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の高所作業車における作業台の取付構造。
【請求項4】
前記荷重付加部材と前記荷重検出器との間隔を調整する付加荷重調整機構を有し、
前記規制部と前記当接部材とが当接した状態で、前記付加荷重調整機構により前記間隔を縮小させて前記荷重検出器に対して付加的な荷重を加えることができる
ことを特徴とする請求項3に記載の高所作業車における作業台の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体上に起伏作動自在にブームを設け、当該ブームの先端部において平行リンク機構によって作業台を上下方向に揺動自在に支持する高所作業車における作業台の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高所作業車は、車輪又はクローラ装置を有して走行可能な走行体と、その走行体上に水平旋回可能に設けられた旋回台と、その旋回台に起伏および伸縮可能に設けられたブームと、そのブームの先端部に首振り可能に支持された作業台とを備えている。また、作業台に操作装置を設け、この操作装置を作業台に搭乗した作業者が操作することで、旋回台の旋回作動、ブームの起伏作動及び作業台の首振り作動等の制御を可能としている。
【0003】
上述したような高所作業車を用いて高所に位置する作業対象物に対して作業を行う場合、作業者が工具や資材等と共に作業台に搭乗し、作業台に設けられた操作装置を作業者が操作することで、作業台を高所の作業対象物まで移動させることができる。このとき高所作業車には、車体を作業台の方向へ転倒させようとするモーメント(以下「転倒モーメント」と称する)が常に作用する。転倒モーメントは、作業台への積載荷重の増加やブームの伸長作動等によって増大するため、高所作業車の中には作業台への積載荷重を検知し、検知した積載荷重に応じてブームの作動範囲を規制することにより、ブームの作動に応じて変化する転倒モーメントによって車体の安定性が損なわれないようにしたものがある。
【0004】
例えば、特許文献1の高所作業車では、ブーム側と作業台(作業用プラットフォーム)側とを上部ベアリングリンク及び下部ベアリングリンクによって接続することでブーム側とプラットフォーム側との間に平行リンク機構を形成し、互いの相対的な移動を可能にしている。また、作業台側に固定された第1の停止板に荷重部材(キャリッジボルト)を設け、この荷重部材をブーム側に固定されたロードセルに係合させることで、作業台側の荷重を検知している。これにより、作業台側の荷重と荷重モーメントとが分離され、ロードセルに対して作業台側の荷重の総重量のみを付加することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6668502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の高所作業車では、上部ベアリングリンクと下部ベアリングリンクとの間において、ブーム側に対して前述した第1の停止板よりも高い位置に第2の停止板を設け、ブーム側に対して作業台が所定以上に上昇しようとすると、第1の停止板が第2の停止板に当接して、作業台が所定以上に上昇するのを規制している。これにより、ロードセルの検知信号が入力される電子回路において、作業台にかかる上向きの力のために校正が失われてしまうのを防いでいる。しかしながら、第1の停止板及び第2の停止板を平行リンク機構とは別の部材によって構成しているため、このような構造によって作業台の上方への移動を規制する場合、部品点数が増え、組立作業の工数が増えてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ブーム側に対する作業台の上
昇を規制するための部品点数を低減し、組立作業の工数を減少させるとともに、ブーム側に対する作業台の上昇を規制するための構造と平行リンク機構とをコンパクトにまとめることができる高所作業車における作業台の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る高所作業車における作業台の取付構造は、車体上に起伏自在に設けられたブームの先端部に作業台を取り付けて構成される高所作業車における前記ブームの先端部に対する前記作業台の取付構造であって、前記ブームの先端に枢結されて垂直方向に延びるブーム側垂直部材(例えば、実施形態におけるジブ固定部材71,71’)と、前記ブーム側垂直部材に基端側が枢結されて水平方向に延びる上部水平リンク部材(例えば、実施形態における上部リンク部材80a,80a’)と、前記上部水平リンク部材の先端側に枢結されて垂直方向に延び、前記作業台が固定される作業台側垂直部材(例えば、実施形態における作業台固定部材51,51’)と、前記上部水平リンク部材の下側に位置して水平方向に延び、基端側が前記ブーム側垂直部材に枢結され、先端側が前記作業台側垂直部材に枢結された下部水平リンク部材(例えば、実施形態における下部リンク部材80b,80b’)と、により構成される平行リンク機構(例えば、実施形態における平行リンク機構70,70’)を備え、前記平行リンク機構によって前記ブーム側垂直部材に対して前記作業台が上下移動可能であり、前記上部水平リンク部材又は前記下部水平リンク部材の少なくとも一方に当接部材(例えば、実施形態におけるストッパ部材83,83’)を設け、前記当接部材と当接することで前記作業台の上方への移動を規制する規制部(例えば、実施形態における規制部74,74’)を前記ブーム側垂直部材に設けた。
【0009】
また、上記構成の高所作業車における作業台の取付構造において、前記規制部は、前記上部水平リンク部材及び前記下部水平リンク部材が略水平のときに前記当接部材と当接する位置に設けられていることが好ましい。
【0010】
また、上記構成の高所作業車における作業台の取付構造において、前記作業台の荷重を検出するための荷重検出器(例えば、実施形態におけるロードセル90)を備え、前記荷重検出器は、前記上部水平リンク部材の上方に位置して前記ブーム側垂直部材に設けられた取付部(例えば、実施形態におけるロードセル取付部72)に取り付けられ、前記作業台側垂直部材は、前記平行リンク機構により上下移動可能となった前記作業台の下方への移動に応じて前記取付部に取り付けられた前記荷重検出器に上方から当接し、前記作業台からの荷重を付加する荷重付加部材(例えば、実施形態における押付けボルト53)を有することが好ましい。
【0011】
さらに、上記構成の高所作業車における作業台の取付構造において、前記荷重付加部材と前記荷重検出器との間隔を調整する付加荷重調整機構(例えば、実施形態における押付けボルト53、上部ナット54a及び下部ナット54b)を有し、前記規制部と前記当接部材とが当接した状態で、前記付加荷重調整機構により前記間隔を縮小させて前記荷重検出器に対して付加的な荷重を加えることができることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る高所作業車における作業台の取付構造によれば、ブーム側垂直部材と、上部水平リンク部材と、作業台側垂直部材と、下部水平リンク部材と、により構成される平行リンク機構を備え、上部水平リンク部材又は下部水平リンク部材の少なくとも一方に当接部材を設け、当接部材と当接することで作業台の上方への移動を規制する規制部をブーム側垂直部材に設けている。このように、当接部材を上部水平リンク部材又は下部水平リンク部材の少なくとも一方に設けるとともに、規制部をブーム側垂直部材に設けることにより、ブーム側に対する作業台の上昇を規制するための部品点数を低減し、組立作業の工
数を減少させることができる。また、当接部材が上部水平リンク部材又は下部水平リンク部材の少なくとも一方に設けられるので、ブーム側に対する作業台の上昇を規制するための構造と平行リンク機構とをコンパクトにまとめることができる。
【0013】
また、上記の構成の高所作業車における作業台の取付構造において、好ましくは、作業台の荷重を検出するための荷重検出器を備え、荷重検出器は、上部水平リンク部材の上方に位置してブーム側垂直部材に設けられた取付部に取り付けられ、作業台側垂直部材は、平行リンク機構により上下移動可能となった作業台の下方への移動に応じて取付部に取り付けられた荷重検出器に上方から当接し、作業台からの荷重を付加する荷重付加部材を有する。このように、荷重検出器を平行リンク機構の外部(より具体的には上方)に取り付けることにより、作業台側とブーム側との間に荷重検出器が介在しないため、上部水平リンク部材及び下部水平リンク部材の長手方向の長さを短くして作業台側とブーム側との間隔を詰めることができ、かつ、荷重検出器のメンテナンス性を向上させることができる。
【0014】
また、上記構成の高所作業車における作業台の取付構造において、好ましくは、荷重付加部材と荷重検出器との間隔を調整する付加荷重調整機構を有し、規制部と当接部材とが当接した状態で、付加荷重調整機構により荷重付加部材と荷重検出器との間隔を縮小させて荷重検出器に対して付加的な荷重を加えることができるようにする。これにより、高所作業車の走行時の振動などによって作業台が上昇してしまうのを抑制することができるので、荷重付加部材が荷重検出器に異常な荷重を付加してしまうのを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る第1実施形態の作業台の取付構造を備える高所作業車の外観を示す側面図である。
図2】上記高所作業車のジブ機構及び作業台の外観を示す側面図である。
図3】本発明に係る第1実施形態の作業台の取付構造における平行リンク機構の外観を示す斜視図である。
図4】上記作業台の取付構造における平行リンク機構を構成する主要な部材の外観を示す斜視図である。
図5】上記作業台の取付構造における作業台固定部材の作動について説明するための説明図である。
図6】本発明に係る第2実施形態の作業台の取付構造における平行リンク機構の外観を示す斜視図である。
図7】上記作業台の取付構造におけるジブ固定部材の外観を示す斜視図である。
図8】上記作業台の取付構造におけるリンク部材の外観を示す斜視図である。
図9】上記作業台の取付構造における作業台固定部材の作動について説明するための説明図である。
図10】上記作業台の取付構造におけるリンク部材の他の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る第1実施形態の作業台の取付構造を備えた高所作業車の一例として、図1に自走式の高所作業車1を示す。高所作業車1は、走行可能に構成された走行体10と、走行体10の上部に設けられ、水平方向に旋回可能な旋回体20と、旋回体20の上部に設けられ、起伏可能なブーム30と、ブーム30の先端部に設けられたジブ機構40及び作業台50とを備えて構成される。なお、図1においてはブーム30の長さを一部省略して図示している。
【0017】
走行体10は、走行体フレーム11に回転自在に設けられた左右一対の操舵輪12と、左右一対の駆動輪13を有している。走行体フレーム11の上部中央には旋回機構15が
設けられ、旋回機構15によって、旋回体20を水平方向へ旋回可能に構成されている。旋回機構15は、走行体フレーム11に固定された外輪と、この外輪に係合し、旋回体20に固定された内輪と、走行体10に設けられている各種アクチュエータに作動油を供給するためのロータリーセンタージョイント(図示略)とを有している。旋回体20の上部にはブーム30が設けられており、ブーム30は枢結ピン34を軸として上下方向に回動自在(起伏自在)になっている。ブーム30は、旋回体20に枢結された基端ブーム31と、基端ブーム31に入れ子式に組み合わされた中間ブーム32及び先端ブーム33とを有し、これらブームが伸縮自在に構成されている。
【0018】
先端ブーム33の先端部に設けられたブームヘッド36は平行リンク式のジブ機構40の基端部であるジブベース43と枢結ピン43aによって枢結している。ジブベース43は、先端ブーム33の内部に設けられたブーム側レベリングシリンダ37(図2参照)のピストンロッド37aと枢結ピン43bによって枢結している。このブーム側レベリングシリンダ37の伸縮作動により、枢結ピン43aを軸としてブームヘッド36に対してジブ機構40を起伏作動させることができる。
【0019】
ジブ機構40の先端部であるジブヘッド45には垂直ポスト60が取り付けられており、垂直ポスト60は平行リンク機構70を介して作業台50を支持する。垂直ポスト60の内部には首振りモータが設けられており、この首振りモータによって作業台50の首振り作動が可能となる。また、平行リンク機構70によって作業台50は床面を水平に保ったままジブ機構40の先端部に対して上下動自在となる。作業台50には操作装置が設けられており、作業台50に搭乗した作業者が操作装置を操作することによって、走行体10の走行、旋回体20の旋回作動、ブーム30の起伏作動、及び作業台50の首振り作動などの制御が可能となる。
【0020】
次に図2を参照して、ジブ機構40の構成について説明する。ジブ機構40は、主にジブベース43と、上部アーム部材41と、下部アーム部材42と、ジブヘッド45とによって構成されている。ジブベース43は、前述した枢結ピン43a,43bによりブームヘッド36及びレベリングシリンダ37のシリンダロッド37aの先端部と枢結し、枢結ピン43cにより水平方向に延びる長尺棒状の上部アーム部材41の一端部と枢結している。この上部アーム部材41の他端部は、枢結ピン45aによりジブヘッド45と枢結している。上部アーム部材41の下方には、上部アーム部材41とほぼ平行に延びる長尺棒状の下部アーム部材42が配設されており、下部アーム部材42の一端部は、枢結ピン43dによってジブベース43と枢結し、下部アーム部材42の他端部は、枢結ピン45aの下方において、枢結ピン45bによりジブヘッド45と枢結している。
【0021】
上部アーム部材41と下部アーム部材42との間には、ピストンロッド44a及びシリンダチューブ44bを有するジブ側シリンダ44が設けられている。ピストンロッド44aの先端部は、ジブベース43と下部アーム部材42との枢結部において、枢結ピン43dによりジブベース43及び下部アーム部材42とともに枢結されている。また、ジブ側シリンダ44のシリンダチューブ44bの基端部は、上部アーム部材41と枢結ピン41aにより枢結している。このような構成によって、ブーム30の起伏作動に応じてブーム側レベリングシリンダ37を伸縮作動させて作業台50のレベリング制御を行いつつ、ジブ側シリンダ44を伸縮作動させることで、作業台50の床面が水平に保たれたまま、ブーム30の先端に対して作業台50を上下方向に揺動させることができる。
【0022】
次に図3及び図4を参照して、平行リンク機構70及びその周辺の構成について説明する。ここで、図3は平行リンク機構70及びその周辺の外観を示す斜視図、図4は、平行リンク機構70を構成する主要な部材の外観を示す斜視図である。図3及び図4において、図示されている各部を上部及び下部を区別することなく参照する場合は、各部の名称か
ら「上部」又は「下部」の文言を省き、各符号の末尾に付した「a」及び「b」の文字を省略する。
【0023】
図3に示すように、平行リンク機構70は、主にジブ機構40の先端部であるジブヘッド45に取り付けられた垂直ポスト60に平行リンク機構70を固定するためのジブ固定部材71と、上部リンク部材80aと、下部リンク部材80bと、作業台50が固定される作業台固定部材51とによって構成される。ジブ固定部材71は、側方から見て略コ字状の形状を有しており、水平方向に延びる上方の部位は、垂直ポスト60の上部が固定される垂直ポスト上部固定部73aになっており、水平方向に延びる下方の部位は、垂直ポスト60の下部が固定される垂直ポスト下部固定部73bになっている。
【0024】
図4に示すように、ジブ固定部材71の垂直方向に延びる部位において、上方には上部枢結ピン穴75aが設けられ、その下方には下部枢結ピン穴75bが設けられている。上部枢結ピン穴75aのやや上方には、作業台50側に突出する上部規制部74aが形成されている。同様に、下部枢結ピン穴75bのやや上方には、作業台50側に突出する下部規制部74bが形成されている。また、上部枢結ピン穴75aの上方には、作業台50側の荷重を検出するロードセル90を取り付けるためのロードセル取付部72が設けられている。
【0025】
ジブ固定部材71と作業台固定部材51とは、上部リンク部材80a及び下部リンク部材80bによって連結される。上部リンク部材80a及び下部リンク部材80bは同一形状になっているため、以下の説明では、上部リンク部材80a及び下部リンク部材80bの区別なく、リンク部材80としてその形状について説明する。
【0026】
リンク部材80は、水平方向に延びる長尺平板状の第1リンク84及び第2リンク85と、パイプ状のストッパ部材83とで構成されている。第1リンク84及び第2リンク85は互いに同じ形状を有しており、一方の端部には作業台側枢結ピン81(図3参照)を貫通させるための作業台側ピン穴86が設けられ、他方の端部にはジブ側枢結ピン82(図3参照)を貫通させるためのジブ側ピン穴87が設けられている。これら第1リンク84と第2リンク85とを対向して配置した状態で、ストッパ部材83により両者を連結している。ここで、ストッパ部材83の位置は、第1リンク84及び第2リンク85の各作業台側ピン穴86とジブ側ピン穴87との中間にあり、ストッパ部材83の長さは、第1リンク84と第2リンク85との間隔を少なくともジブ固定部材71の幅w1(図3参照)及び作業台固定部材51の幅w2(図3参照)よりも広い長さになっている。
【0027】
上記の構成により、上部リンク部材80aのジブ側ピン穴87aの位置をジブ固定部材71の上部枢結ピン穴75aの位置に合せ、各ピン穴にジブ側上部枢結ピン82a(図3参照)を貫通させることで、ジブ固定部材71と上部リンク部材80aとを枢結する。同様に、下部リンク部材80bのジブ側ピン穴87bの位置をジブ固定部材71の下部枢結ピン穴75bの位置に合せ、各ピン穴にジブ側下部枢結ピン82b(図3参照)を貫通させることで、ジブ固定部材71と下部リンク部材80bとを枢結する。また、図4では図示を省略しているが、作業台固定部材51においても、ジブ固定部材71の上部枢結ピン穴75a及び下部枢結ピン穴75bと同様の枢結ピン穴が設けられている。したがって、これら作業台固定部材51に設けられた各枢結ピン穴の位置と、上部リンク部材80a及び下部リンク部材80bの各作業台側ピン穴86a,86bの位置とを合せ、各ピン穴に作業台側上部枢結ピン81a及び作業台側下部枢結ピン81b(図3参照)を貫通させることで、作業台固定部材51と上部リンク部材80a及び下部リンク部材80bとを枢結する。
【0028】
なお、図3に示すように、ジブ固定部材71における規制部74の形成位置は、対応す
るストッパ部材83と当接したときに、作業台側枢結ピン81の位置とジブ部側枢結ピン82の位置とが略水平になるように定められている。また、上部規制部74a及び下部規制部74bのうち、いずれか一方のみを形成してもよく、この場合、省略された規制部に対応するリンク部材80におけるストッパ部材83を省略することができる。
【0029】
図3に示すように、ジブ固定部材71の最上部にはロードセル取付部72が設けられており、ロードセル取付部72にはロードセル90が固定される。作業台固定部材51には、ストッパ部材83と規制部74とが当接したときに、ロードセル90の上面よりも高くなる位置からジブ機構40側に突出する平板状の押付けボルト支持部52が設けられている。押付けボルト支持部52にはロードセル90の上面に対向する位置に貫通穴(図示略)が設けられており、この貫通穴にはロードセル90の上面に対して作業台50側の荷重を付加する押付けボルト53が貫入される。押付けボルト支持部52の貫通穴に貫入された押付けボルト53の先端がロードセル90の上面に当接して作業台50側の荷重がロードセル90に付加されると、付加された荷重に対応する検出信号がロードセル90から図示せぬコントローラへ出力される。コントローラは、ロードセル90から出力された検出信号に基づいてブーム30等の作動範囲を規制する。
【0030】
押付けボルト支持部52に対する押付けボルト53の貫入の深さは、押付けボルト支持部52を挟んで上方から押付けボルト53と螺合する上部ナット54aと下方から押付けボルト53と螺合する下部ナット54b(図5参照)とによって調整することができる。押付けボルト53の貫入が深くなればなる程、無負荷時における作業台50の位置(以下、「初期位置」ともいう。)はストッパ部材83と規制部74とが当接するまで上方へシフトすることになる。本実施形態では、作業台50側が無負荷の状態のときにストッパ部材83と規制部74とが当接するまで押付けボルト53を貫入させることができ、規制部74によって作業台50の上昇が規制されている状態でさらに押付けボルト53をロードセル90側に捻じ込むことで、ロードセル90に対して無負荷時における作業台50側の荷重を超える荷重(例えば、無負荷時の作業台50側の荷重+30~50kg)を付加することができる。なお、押付けボルト支持部52の貫通穴に押付けボルト53と螺合する雌ねじを形成することで下部ナット54bを省略し、押付けボルト53の貫入の深さを上部ナット54aのみで調整できるようにしてもよい。
【0031】
次に図5を参照して、作業台50に下向きの荷重がかかった場合と、上向きの荷重がかかった場合とにおける平行リンク機構70の作動について説明する。なお、図5では、ジブ機構40の先端部分から作業台固定部材51の基端部分までの側面を図示しており、作業台50の図示は省略している。また、図5において、図2図4に示した各構成と同一の構成については同じ符号を付し、それらの詳しい説明を省略する。また、図5に示す例では、作業台50側が無負荷のときに、上部リンク部材80a及び下部リンク部材80bのストッパ部材83a及び83bが、各々規制部74a及び74bに当接する(このとき、作業台側枢結ピン81の位置とジブ側枢結ピン82の位置とが略水平となる)ように、押付けボルト53の貫入の深さが調整されているものとする。
【0032】
まず、作業台50側が無荷重の状態から、例えば作業者が作業台50に搭乗するなどして図5(a)中の矢印で示すような下向きの荷重がかかると、上部リンク部材80a及び下部リンク部材80bは、各々、ジブ側上部枢結ピン82a及びジブ側下部枢結ピン82bを軸として下方へ傾き、作業台固定部材51は下方へ移動する。これにより、押付けボルト53はロードセル90に作業台50側の荷重を付加し、付加された荷重に対応する検出信号がロードセル90から出力される。
【0033】
これに対して、作業台50側が無荷重の状態から、何らかの作用によって図5(b)中の矢印で示すような上向きの荷重がかかった場合は、上部リンク部材80a及び下部リン
ク部材80bのストッパ部材83が、各々、ジブ固定部材71に形成されている上部規制部74a及び下部規制部74bに当接するため、作業台固定部材51の上昇が規制される。
【0034】
上述した構成によれば、ロードセル90が平行リンク機構70の外側(具体的には、ジブ固定部材71、上部リンク部材80a、作業台固定部材51及び下部リンク部材80bに囲まれた領域の上方)に設けられているため、ロードセル90のメンテナンスが容易となり、かつ、押付けボルト53の貫入の深さに関する調整が容易となる。また、押付けボルト53、上部ナット54a及び下部ナット54bにより、ロードセル90に対して付加的な荷重を加えることができるので、例えば高所作業車1の走行時に生じる振動などにより作業台50が上下動し、これにより押付けボルト53がロードセル90の上面でバウンドしてロードセル90に異常な負荷がかかるなどして、ロードセル90が破損してしまう虞を低くすることができる。
【0035】
また、作業台50側が無負荷のときに、作業台側枢結ピン81の位置とジブ側枢結ピン82の位置とが略水平となるように押付けボルト53の貫入の深さを調整した場合、作業台固定部材51の上下動に応じて、ジブ側上部枢結ピン82a及びジブ側下部枢結ピン82bを軸とする上部リンク部材82a及び下部リンク部材82bの傾きは水平近傍で変位することになる。これにより、ロードセル90の上面における押付けボルト53の先端の動きは、上下方向が主となり、横方向(図5(a)中、左右方向)の動きが小さくなるため、ロードセル90に付加される垂直荷重成分の減少が抑えられる。したがって、ロードセル90によって検出される荷重の精度が低下するのを軽減することができる。
【0036】
また、上述した構成によれば、ロードセル90に対して作業台50側の荷重以外の要因による荷重がかからない構成となっているため、ロードセル90によって検出される荷重の精度を低下させてしまう虞が無い。例えば、前述した特許文献1に記載された構成においては、作業台に対して下方から上方へ向かって大きな荷重がかかり、荷重部材(キャリッジボルト)が設けられた第1の停止板が、第2の停止板に当接したことによって下方へ撓んでしまった場合、荷重部材がロードセルに下向きの荷重をかけてしまうこととなり、ロードセルが異常な検出結果を出力してしまうことになるが、本実施形態においてはそのようなことがない。
【0037】
次に、図6図10を参照して本発明に係る第2実施形態の作業台の取付構造について説明する。図6は本実施形態の作業台の取付構造における平行リンク機構70’及びその周辺の構成を示す。図7は平行リンク機構70’を構成するジブ固定部材71’の外観を示し、図8は平行リンク機構70’を構成するリンク部材80’の外観を示す。なお、図6図8において、図3及び図4に示した各部と同一の構成については同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。また、図3及び図4に示した各部に対応する構成については同じ符号を用いてその末尾に「’」(ダッシュ)を付している。また、図6に示す上部リンク部材80a’及び下部リンク部材80b’は同一の構成であるため、図8に示すリンク部材80’は、図6に示す上部リンク部材80a’及び下部リンク部材80b’の双方に共通の構成を示している。
【0038】
図6に示すように、本実施形態における作業台固定部材51’の垂直部分は、水平方向の断面がコの字形状の部材からなっており、作業台固定部材51’の内側の幅w2’はジブ固定部材71’の幅w1’よりも広くなっている。上部リンク部材80a’及び下部リンク部材80b’のジブ側の端部は、外側からジブ固定部材71’を挟むようにしてジブ側上部枢結ピン82a及びジブ側下部枢結ピン82bにより枢結される。また、上部リンク部材80a’及び下部リンク部材80b’の作業台側の端部は、作業台固定部材51’の内側に収容された状態で作業台側上部枢結ピン81a及び作業台側下部枢結ピン81b
により枢結される。
【0039】
本実施形態におけるジブ固定部材71’の規制部74’は、図7に示すように下部枢結ピン穴75bのやや上方のみに設けられており、第1実施形態とは異なり、上部枢結ピン穴75aのやや上方に規制部は設けられていない。また、本実施形態のリンク部材80’には、図8に示すように、第1リンク84’及び第2リンク85’の各両端部にベアリング90を取り付けるための開口部89が設けられている。作業台側枢結ピン81及びジブ側枢結ピン82は、その両端部がベアリング90を介して第1リンク84’及び第2リンク85’の開口部89に固定される。ストッパ部材83’は円筒形状を有し、円筒形状の内径は開口部89の直径と一致しており、その両端部は、第1リンク84’及び第2リンク85’において作業台側枢結ピン81が固定される側の開口部89の周縁部に溶接などによって固定される。これにより、ストッパ部材83’は第1リンク84’と第2リンク85’とを連結する連結部材としての役割も担っている。
【0040】
なお、ストッパ部材83’の内径寸法を、開口部89の直径よりも大きくしてもよい。また、ストッパ部材83’の外径寸法を、開口部89の直径と一致させ、ストッパ部材86’の両端部を開口部89に挿入した状態で第1リンク84’及び第2リンク85’に固定するようにしてもよい。この場合、ベアリング90の外径寸法を、ストッパ部材83’の内径寸法に合わせる必要がある。
【0041】
次に図9を参照して、作業台50に下向きの荷重がかかった場合と、上向きの荷重がかかった場合とにおける平行リンク機構70’の作動について説明する。なお、図9では、ジブ機構40の先端部分から作業台固定部材51’の基端部分まで(ただし作業台50は図示略)の側面を示しており、ハッチングの部分は断面であることを示している。また、図9において、図6図8に示した各構成と同一の構成については同じ符号を付し、それらの詳しい説明を省略する。さらに、図9に示す例では、作業台50側が無負荷のとき、下部リンク部材80b’の下部ストッパ部材83b’が、規制部74’に当接する(このとき、作業台側枢結ピン81の位置とジブ側枢結ピン82の位置とが略水平となる)ように、押付けボルト53の貫入の深さが調整されているものとする。
【0042】
まず、作業台50側が無荷重の状態から、例えば作業者が作業台50に搭乗するなどして図9(a)中の矢印で示すような下向きの荷重がかかると、上部リンク部材80a’及び下部リンク部材80b’は、各々、ジブ側上部枢結ピン82a及びジブ側下部枢結ピン82bを軸として下方へ傾き、作業台固定部材51’は下方へ移動する。これにより、押付けボルト53はロードセル90に作業台50側の荷重を付加し、付加された荷重に対応する検出信号がロードセル90から出力される。
【0043】
これに対して、作業台50側が無荷重の状態から、何らかの作用によって図9(b)中の矢印で示すような上向きの荷重がかかった場合は、下部リンク部材80b’のストッパ部材83b’が、ジブ固定部材71’に形成されている規制部74’に当接するため、作業台固定部材51’の上昇が規制される。
【0044】
本実施形態の作業台の取付構造によれば、ストッパ部材83’が円筒形状を有し、その内側に作業台側枢結ピン81を収容するように第1リンク84’及び第2リンク85’に固定される。これにより、第1リンク84’及び第2リンク85’の長手方向における長さL(図8参照)を、第1実施形態における第1リンク84及び第2リンク85の長手方向における長さよりも短くすることができる。
【0045】
なお、第2実施形態において、例えば作業台側枢結ピン81の強度や作業台50等に付与され得る上向きの荷重を考慮した上で、作業台側枢結ピン81をジブ固定部材71’の
規制部74’に直接当接させても支障がない(例えば、作業台側枢結ピン81が破損しない)と判断できる場合は、図10(a)に示すようにストッパ部材83’を省略して、作業台側枢結ピン81を規制部74’に直接当接させるようにしてもよい。この場合、第1リンク84’と第2リンク85’とを連結させる連結部材(ストッパ部材としての機能を持たないもの)を別途設けてもよい。
【0046】
このような連結部材としては、例えば図10(b)に示すように、第1リンク84”及び第2リンク85”の下側半分を直線的な形状とし、この形状に合わせて屈曲させた平板形状の連結部材91によって第1リンク84”と第2リンク85”とを連結させてもよい。また、図10(c)に示すように、第1リンク84’及び第2リンク85’の長手方向において、その中間位置に断面がL字形状の部材の第1連結部材92を配置するとともに、第1連結部材92の下側に平板形状の第2連結部材93を配置し、これらの連結部材によって第1リンク84’と第2リンク85’とを連結させてもよい。
【0047】
また、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。例えば、本実施形態は、作業者が作業台に設けられた操作装置から走行体の走行制御を行う自走式の高所作業車であったが、キャブオーバ型トラックの車体に旋回台を設け、先端部に作業台を設けたブームを旋回台に起伏自在に取り付けた高所作業車であってもよい。また、本実施形態では、走行体がタイヤ車輪式である高所作業車であったが、走行体は必ずしもタイヤ車輪式に限定されるものではなく、クローラ装置等により走行するものであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 高所作業車
10 走行体
20 旋回体
30 ブーム
40 ジブ機構
50 作業台
51,51’ 作業台固定部材
52 押付けボルト支持部
53 押付けボルト
54a 上部ナット
54b 下部ナット
60 垂直ポスト
70,70’ 平行リンク機構
71,71’ ジブ固定部材
74a 上部規制部
74b 下部規制部
74’ 規制部
80a,80a’ 上部リンク部材
80b,80b’ 下部リンク部材
83a,83a’ 上部ストッパ部材
83b,83b’ 下部ストッパ部材
90 ロードセル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10