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▶ 鈴木 文典の特許一覧

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  • 特開-自然エネルギータービン 図1
  • 特開-自然エネルギータービン 図2
  • 特開-自然エネルギータービン 図3
  • 特開-自然エネルギータービン 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134780
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】自然エネルギータービン
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/12 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
F03B13/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034173
(22)【出願日】2021-03-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】599048719
【氏名又は名称】鈴木 文典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文典
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074AA11
3H074AA12
3H074BB09
3H074CC01
3H074CC50
(57)【要約】
【課題】水力発電、地熱発電、波力発電を極小規模で行うことを可能とする。
【解決手段】多数の磁石のうち半数の向きが逆になっている第一の永久磁石群を円形に配置した回転磁石盤6と、前記回転磁石盤6の回転軸に対して垂直な向きの第2の永久磁石で構成されるステータ磁石7を前記回転磁石盤6の外側近傍に備え、ステータ磁石7を適切なタイミングで動かすことによって回転を維持する回転磁石装置と、液体または気体を圧力室に取り込みピストン4による往復運動を実現する往復運動機構とを備え、両者をドライブとフィードバックの関係で適切にリンクすることにより回転磁石盤6の回転を維持する超小型のタービンを実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石におけるS極からN極に至る直線を磁石の軸と呼びその方向を磁石の向きと呼ぶことにすると、軸を平行にそろえた多数の磁石のうち半数の向きが逆になっている第一の永久磁石群を円形に配置した回転体と、前記回転体の回転軸に対して垂直な向きの第2の永久磁石を前記回転体の外側近傍に1個備えるかまたは2個を前記回転体を挟むように備え、第1の永久磁石群との間に発生する力に逆らう方向に移動できるように構成するとともに、前記第1の永久磁石群の各磁石は前記第2の永久磁石の移動と同じ方向に順次位置をずらして固定されており、前記第2の永久磁石は前記回転体に連動して動作する往復運動機構に連結されており、前記往復運動機構は自然に存在する気体または液体を動力源とすることを特徴とする自然エネルギータービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小規模発電を可能とする、極少量の水または空気で高速回転する自然エネルギータービンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電は、火力発電や原子力発電など蒸気タービンを使ったものが主流である。
【0003】
しかし、いずれの発電方式にも問題がある。火力発電は二酸化炭素排出問題、原子力発電は核廃棄物の問題があり、高濃度核廃棄物は何万年も隔離管理しなければならない。特に火力発電は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を大量に排出するため緊急に止める必要があるといわれている。昨今の異常気象の原因は地球温暖化にあるとされ、一度温暖化が始まると温室効果ガスである水蒸気が増え、それによって大気に含まれる二酸化炭素がさらに増えるという暴走状態に陥るといわれているのである。
【0004】
一方、自然エネルギーによる発電はというと、水力発電だけでは到底足りず、風力発電や太陽光発電は天候に左右されるという問題があった。
【0005】
この改善策として、比較的安定している水力発電、地熱発電、波力発電を普及させることが考えられるが、水あるいは空気の流量が少ないと全く発電に至らないという特性があり、膨大な流量を扱う施設を必要とし、設備投資額が莫大となる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、水力発電、地熱発電、波力発電の設備が大掛かりである点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、永久磁石により往復運動を回転運動に変換する回転磁石装置を備えるとともに、水や空気などの流動物質により往復運動する往復運動機構を備え、両者をドライブとフィードバックの関係で適切にリンクすることにより、ある程度の圧力を有する流動物質があれば僅かな流量でも回転するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自然エネルギータービンは小型で、気体液体の両方に使え、しかも僅かな流量で回転するため、水力発電、地熱発電、波力発電を極めて小規模にすることができる。ちなみに波力発電は、波の上下運動を直接回転運動に変換するのではなく、空気または水に圧力を加えるためのポンピングに使うことになる。こうした小規模発電が各地域あるいは各家庭に普及すれば地球温暖化対策として大いに貢献するはずである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本タービンを、一部断面図にして示した平面図と側面図である。
図2図2は本タービンを、一部断面図にして示した平面図と側面図である。
図3図3は回転体上の磁石とステータ磁石の関係を示した説明図である。
図4図4は回転体上の磁石とステータ磁石の関係を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般的に販売されている長さ3cmの棒磁石を使用して説明する。
【実施例0011】
図1は、本発明装置の1実施例の一部断面を示す側面図と平面図であって、断面部分は流体の圧力を動力源とする往復運動機構である。
【0012】
往復運動機構は、流動物質が充填される圧力室とシリンダーから成り、圧力室には切換弁2が、シリンダーにはピストン4が内蔵されている。太い矢印は流動物質の流れを示している。
【0013】
また、回転磁石盤6には16個の磁石が円形に固定されており、その半数は極性が逆になっている。ちなみに、磁石はN極を濃い色で表現している。また、この16個の磁石を回転磁石と呼ぶことにする。
【0014】
ステータ磁石7は、回転磁石の配置間隔以上の幅が必要なので、本実施例では4本の磁石とこれを束ねる固定部材で構成される。
【0015】
また、ステータ磁石7は回転磁石との間に発生する大きな力に逆らう方向に動かすように構成しなければならないが、できる限り小さい力でこれを実行したいので、磁石の中心付近を図のように回転可能に支持して、磁石固定部材の一部をレバーとして機能させ、傾けることで移動と同等の効果を実現している。
【0016】
このレバーを駆動するピストン4は切換弁2によって圧力方向が切り換えられ、切換弁2には回転体に備えられたクランクからのフィードバックリンク9によって回転を維持する最適なタイミングが伝えられる。
【0017】
図2に示すように、レバーとピストン4はドライブリンク10を介して接続され、2個のステータ磁石同士は連結棒11で連結されている。
【0018】
図3に示すように、回転磁石盤上の回転磁石は高さが一定ではない。理由は回転を維持するためであり、同時に回転方向を決定する役目もある、本発明の一番重要な特徴である。
【0019】
図3は、回転磁石盤6の回転位置の重要な位置4か所ABCDについて、回転磁石を基準にしたときのステータ磁石に加わる力を矢印で示した説明図である。各位置においてステータ磁石の高さが違った場合を何通りか示しているが、回転モーメントは無視している。
【0020】
A-1とA-2は、縦方向の力に逆らってこの程度の高さを維持すれば、少しくらい高さが違っても縦方向も横方向も加わる力に大きな違いは無いことを示している。
【0021】
B-1、B-2、B-3は、回転磁石の極性が逆になるところにステータ磁石が来た時を示し、どの場合も縦方向には力が加わらないが、横方向は、B-1ではブレーキとなり、B-2ではニュ-トラル状態、B-3ではかなりの力で回転する方向に力が発生することを示している。ブレーキ状態を避けるためにはステータ磁石7は常に縦方向の力に逆らって動作し、B-1の状態を避けるようにする。
【0022】
CとDについては、縦方向の力が逆なだけなので説明を省略する。
【0023】
図4は、ステータ磁石の振れ幅 が大きい場合と小さい場合を示した図である。
【0024】
CASE-1は、流動物質の圧力が弱いか負荷が大きいために、回転体の回転数が少なくなり、そのためにピストン4の動作幅が大きくなった場合を示している。
【0025】
CASE-2は、流動物質の圧力が強いために、回転が速くなり、ピストンの動作幅が小さくなった場合を示している。いずれの場合もB-1,D-1のブレーキ状態になることを避けることによって回転を維持しているのである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
回転磁石盤6の近傍にコイルを設置すれば発電できるし、クランクシャフト8に別の小型発電機を接続しても発電可能である。こうしておいて、高所の水をホースなどで接続すれば超小型の水力発電装置となる。地熱の場合は、噴き出した蒸気をそのまま接続すれば良い。波力はポンピングで空気を圧縮するか水をくみ上げて使用することになる。
【符号の説明】
【0027】
1 ハウジング
2 切換弁
3 弁心棒
4 ピストン
5 ピストンロッド
6 回転磁石盤
7 ステータ磁石
8 クランクシャフト
9 フィードバックリンク
10 ドライブリンク
11 連結棒
図1
図2
図3
図4