(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013481
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】測位システム、通信装置および測位方法
(51)【国際特許分類】
G01S 19/43 20100101AFI20220111BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20220111BHJP
【FI】
G01S19/43
H04W64/00 120
H04W64/00 130
H04W64/00 171
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020125803
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】517076097
【氏名又は名称】コンピュータ・システム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 法由
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062BB03
5J062CC07
5J062DD21
5K067AA21
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE14
5K067EE16
5K067JJ52
5K067JJ56
(57)【要約】
【課題】高い位置精度で測位を行うことができる測位システム、通信装置および測位方法を提供する。
【解決手段】通信装置1Aは、自装置から予め設定された距離範囲に設定された仮想基準点の仮想基準点情報を取得し、取得した仮想基準点情報と通信装置1Aが測位衛星SA1、SA2、SA3、SA4から受信するGNSS電波とを用いて通信装置1Aの位置を複数回算出し、複数回算出して得られる複数の通信装置1Aの位置に基づいて、通信装置1Aの位置を決定する。通信装置1Bは、通信装置1Aの固定局情報を取得し、取得した固定局情報と通信装置1Bが測位衛星SA1、SA2、SA3、SA4から受信するGNSS電波とを用いて通信装置1Bの位置を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上の電子基準局の実際の位置と前記電子基準局が測位衛星から受信するGNSS電波とから算出される自装置から予め設定された距離範囲に設定された仮想基準点の位置情報および前記仮想基準点に到来するGNSS電波に関する情報を含む仮想基準点情報を取得し、取得した仮想基準点情報と自装置が前記測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて自装置の位置を複数回算出し、複数回算出して得られる複数の自装置の位置に基づいて、自装置の位置を決定する固定局と、
前記固定局の位置情報および前記固定局が受信するGNSS電波に関する情報を含む固定局情報を取得し、取得した前記固定局情報と自装置が前記測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて自装置の位置を算出する移動局と、を備える、
測位システム。
【請求項2】
前記固定局は、前記複数の自装置の位置の重心位置を自装置の位置に決定する、
請求項1に記載の測位システム。
【請求項3】
前記固定局は、前記仮想基準点情報と自装置が前記測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて自装置の位置を10回以上算出する、
請求項1または2に記載の測位システム。
【請求項4】
測位衛星から到来するGNSS電波に基づいて生成されるGNSS情報を取得するGNSS情報取得部と、
3つ以上の電子基準局の実際の位置と前記電子基準局が測位衛星から受信するGNSS電波とから算出される自装置から予め設定された距離範囲に設定された仮想基準点の位置情報および前記仮想基準点に到来するGNSS電波に関する情報を含む仮想基準点情報を取得する仮想基準点情報取得部と、
固定局として機能する他の通信装置から前記他の通信装置の位置情報および前記他の通信装置が受信するGNSS電波に関する情報を含む固定局情報を取得する固定局情報取得部と、
前記仮想基準点情報または前記固定局情報と前記GNSS電波とを用いて基線解析を実行することにより前記仮想基準点情報または前記固定局情報と自装置との間の基線ベクトルを算出する基線解析部と、
前記仮想基準点の位置情報と、前記基線解析部が前記仮想基準点情報と前記GNSS電波とを用いて複数回算出して得られる複数の基線ベクトルと、から得られる複数の自装置の位置に基づいて、固定局として機能する場合の自装置の位置を決定する固定局位置算出部と、
前記固定局情報に含まれる他の通信装置の位置情報と、前記基線解析部が前記固定局情報と前記GNSS電波とを用いて算出した基線ベクトルと、から移動局として機能する場合の自装置の位置を算出する移動局位置算出部と、を備える、
通信装置。
【請求項5】
日本国内における複数箇所それぞれにおけるジオイド高を示すジオイド高情報を、複数箇所それぞれの緯度情報と経度情報との組み合わせに対応づけて記憶するジオイド高情報記憶部を更に備え、
前記移動局位置算出部は、前記固定局情報に含まれる他の通信装置の位置情報と、前記基線解析部により前記固定局情報と前記GNSS電波とを用いて算出された基線ベクトルと、から、自装置の緯度、経度および楕円体高を算出した後、前記ジオイド高情報記憶部が記憶する緯度情報および経度情報と、算出した自装置の緯度および経度それぞれを示す緯度情報および経度情報と、から、自装置のジオイド高情報を特定し、算出した楕円体高から特定したジオイド高情報が示すジオイド高を差し引くことにより標高を算出する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
3つ以上の電子基準局の実際の位置と前記電子基準局が測位衛星から受信するGNSS電波とから算出される、固定局から予め設定された距離範囲に設定された仮想基準点の位置情報および前記仮想基準点に到来するGNSS電波に関する情報を含む仮想基準点情報を取得するステップと、
取得した仮想基準点情報と前記固定局が前記測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて前記固定局の位置を複数回算出するステップと、
複数回算出して得られる複数の前記固定局の位置に基づいて、前記固定局の位置を決定するステップと、
前記固定局の位置情報および前記固定局が受信するGNSS電波に関する情報を含む固定局情報を取得するステップと、
取得した前記固定局情報と移動局が前記測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて前記移動局の位置を算出するステップと、を含む、
測位方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位システム、通信装置および測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RTK(Real Time Kinematic)観測法を利用してモバイル端末の位置を判断する測位方法が提供されている(例えば特許文献1参照)。RTK観測法では、モバイル端末が、実際の位置が判っている場所に設置されている基準局から送信される補正観測データを受信し、GNSS衛星から受信したGNSS電波と補正観測データとを用いて、自装置と基準局との間の基線ベクトルを算出することにより自装置の位置を算出する。
【0003】
ところで、RTK観測法の場合、基準局とモバイル端末との間の距離が長くなると、測位精度が低下してしまう。そこで、3つ以上の基準局からの補正観測データを用いて、モバイル端末の現在位置近傍に仮想基準点を設定し、設定した仮想基準点における補正観測データを用いて、モバイル端末の位置を算出するVRS(Virtual Reference Station)方式のネットワーク型RTK観測法が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、モバイル端末が基準局から離れている場合において、VRS方式のネットワーク型RTK観測法を利用した測位方法よりも高い位置精度でモバイル端末の位置を算出することが要請されつつある。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、高い位置精度で測位を行うことができる測位システム、通信装置および測位方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る測位システムは、
3つ以上の電子基準局の実際の位置と前記電子基準局が測位衛星から受信するGNSS電波とから算出される自装置から予め設定された距離範囲に設定された仮想基準点の位置情報および前記仮想基準点に到来するGNSS電波に関する情報を含む仮想基準点情報を取得し、取得した仮想基準点情報と自装置が前記測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて自装置の位置を複数回算出し、複数回算出して得られる複数の自装置の位置に基づいて、自装置の位置を決定する固定局と、
前記固定局の位置情報および前記固定局が受信するGNSS電波に関する情報を含む固定局情報を取得し、取得した前記固定局情報と自装置が前記測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて自装置の位置を算出する移動局と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、固定局が、仮想基準点情報と固定局が測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて固定局の位置を複数回算出し、複数回算出して得られる複数の固定局の位置に基づいて、固定局の位置を決定する。そして、移動局が、固定局情報を取得し、取得した固定局情報と移動局が測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて移動局の位置を算出する。即ち、固定局が、VRS方式のリアルタイムRTK観測法により複数回算出した固定局の位置に基づいて固定局の位置を決定してから、移動局が、決定された固定局の位置を示す位置情報を含む固定局情報を用いてRTK観測法により移動局の位置を算出する。これにより、移動局が電子基準局から離れている場合でもRTK観測法により移動局の位置を測位することができるので、移動局の位置を精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る測位システムの概略構成図である。
【
図3】実施の形態に係る測位システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態に係る端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態に係る通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態に係る測位システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図7】実施の形態に係る測位システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図8】実施の形態に係る通信装置が実行する測位制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態に係る通信装置が実行する測位制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】変形例に係るジオイド高情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る測位システムについて図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る測位システムは、固定局と移動局とを備える。固定局は、3つ以上の電子基準局の実際の位置と電子基準局が測位衛星から受信するGNSS電波とから算出される自装置から予め設定された距離範囲に設定された仮想基準点の位置情報および仮想基準点に到来するGNSS電波に関する情報を含む仮想基準点情報を取得する。そして、固定局は、取得した仮想基準点情報と自装置が測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて自装置の位置を複数回算出し、複数回算出して得られる複数の自装置の位置に基づいて、自装置の位置を決定する。移動局は、固定局の位置情報および固定局が受信するGNSS電波に関する情報を含む固定局情報を取得し、取得した固定局情報と自装置が測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて自装置の位置を算出する。
【0011】
本実施の形態に係る測位システムは、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)測量を行うシステムであり、
図1に示すように、2つの通信装置1A、1Bと、端末装置3と、を備える。通信装置1Aは、固定局として機能し、通信装置1Bは、移動局として機能する。通信装置1Bは、例えば無人航空機2に固定された状態で使用される。また、日本には、GNSS連続観測システム(GEONET:GNSS Earth Observation Network System)と呼ばれる、全国約1300箇所に設置された電子基準局200と、茨城県つくば市内に設置されたGEONET中央局(以下、「電子基準局管理サーバ」と称する)100と、を備える高密度且つ高精度な測量網の構築を目的とした観測システムが設けられている。電子基準局200は、国土地理院が管理しており、
図2の日本地図上に点で示す日本国内における予め設定された場所に設置されている。各電子基準局200は、測位衛星SA1、SA2、SA3、SA4から送信される電波を受信するアンテナを有する受信装置と、インターネットのような広域ネットワークを介して電子基準局管理サーバ100と通信する通信機器と、を有する。通信装置1A、1Bは、例えばNtrip(Networked Transport of RTCM via Internet Protocol)形式のフォーマットで情報の送受信を実行する。ここで、通信装置1A、1Bは、Ntripキャスタと呼ばれる仲介サーバ(図示せず)を経由して情報の送受信を実行してもよい。この場合、固定局として機能する通信装置1Aは、Ntripサーバと呼ばれ、移動局として機能する通信装置1Bは、Ntripクライアントと呼ばれる。
【0012】
電子基準局管理サーバ100は、日本国内に設置された各電子基準局200について、測位衛星SA1、SA2、SA3、SA4から受信したGNSS電波の位相情報およびGNSS電波から得られる時刻情報を含むGNSS情報と、電子基準局200の実際の設置位置を示す位置情報と、を管理する。また、電子基準局管理サーバ100は、固定局として機能する通信装置1Aから仮想基準点情報の送信を要求する仮想基準点情報要求情報を受信すると、受信した仮想基準点情報に含まれる後述の位置概要情報に基づいて、通信装置1Aが配置される位置P11の近傍に仮想基準点を設定する。そして、電子基準局管理サーバ100は、設定した仮想基準点の周囲の位置P1、P2、P3それぞれに設置された例えば3つの電子基準局200のGNSS情報と位置情報とから、設定した仮想基準点における後述するGNSS情報および位置情報を含む仮想基準点情報を生成する。そして、電子基準局管理サーバ100は、通信装置1Aから仮想基準点情報の送信を要求する仮想基準点情報要求情報を受信すると、生成した仮想基準点情報を通信装置1Aへ送信する。
【0013】
端末装置3は、例えば
図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)301と主記憶部302と補助記憶部303と表示部304と入力部305と短距離通信部307と各部を接続するバス309とを備える。主記憶部302は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリから構成され、CPU301の作業領域として使用される。補助記憶部303は、半導体メモリのような不揮発性メモリから構成され、端末装置3の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。入力部305は、例えばタッチパッドのような入力装置であり、ユーザが入力する各種操作情報を受け付けて、受け付けた操作情報をCPU301へ出力する。表示部304は、例えば液晶ディスプレイであり、CPU301から入力された各種情報を表示する。短距離通信部307は、例えばBluetooth(登録商標)のような短距離無線通信規格に基づいた通信方式により通信装置1A、1Bと通信する。
【0014】
端末装置3では、CPU301が、補助記憶部303が記憶するプログラムを主記憶部302に読み込んで実行することにより、
図4に示すように、受付部311、動作モード設定部312、表示制御部313、動作モード送信部314および移動局位置取得部315として機能する。また、
図3に示す補助記憶部303は、
図4に示すように、動作モード記憶部331と移動局位置記憶部332とを有する。動作モード記憶部331は、通信装置1A、1Bが固定局として動作することを示す固定局モード情報と移動局として動作することを示す移動局モード情報とを、通信装置1A、1Bを識別する通信装置識別情報に対応づけて記憶する。移動局位置記憶部332は、移動局として機能する通信装置1Bから受信した通信装置1Aの位置を示す移動局位置情報を記憶する。
【0015】
受付部311は、ユーザが入力部305に対して行った操作の操作内容を受け付け、受け付けた操作内容を示す操作情報を動作モード設定部312、表示制御部313および動作モード送信部314へ出力する。ここで、ユーザは、通信装置1A、1Bを固定局として機能させる場合、通信装置1A、1Bを設置する場所の大まかな位置を示す位置概要情報を入力部305を介して入力する。動作モード設定部312は、受付部311から通信装置1A、1Bの動作モードを設定するための操作を示す操作情報が入力されると、操作情報に基づいて、通信装置1A、1Bの動作モード情報、即ち、固定局モード情報または移動局モード情報を生成して、通信装置1A、1Bの通信装置識別情報に対応づけて動作モード記憶部331に記憶させる。ここで、動作モード設定部312は、操作情報が通信装置1A、1Bの動作モード情報が通信装置1A、1Bを固定局として機能させることを示す場合、ユーザが入力部305を介して入力した位置概要情報を含む固定局モード情報を動作モード記憶部331に記憶させる。
【0016】
動作モード送信部314は、動作モード記憶部331が記憶する動作モード情報、即ち、固定局モード情報または移動局モード情報に送信先の通信装置1A、1Bの通信装置識別情報を付加して通信装置1A、1Bへ送信する。移動局位置取得部315は、移動局として機能する通信装置1Bから移動局位置情報を受信すると、受信した移動局位置情報を移動局位置記憶部332に記憶させる。表示制御部313は、移動局位置記憶部332が記憶する移動局位置情報を表示部304に表示させる。また、表示制御部313は、例えば操作釦画像等を含む操作画面画像を表示部304に表示させている場合、操作釦画像等の操作画面上における相対位置を示す情報を受付部311へ出力する。
【0017】
通信装置1A、1Bは、いずれも、
図3に示すように、CPU101と主記憶部102と補助記憶部103とGNSS受信部104と広域通信部105と短距離無線通信部107とUSBインタフェース106と各部を接続するバス109とを備える。主記憶部102は、揮発性メモリから構成され、補助記憶部103は、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリから構成され、通信装置1A、1Bの各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。広域通信部105は、モデムとゲートウェイとを有し、インターネットのような広域ネットワークNWを介して電子基準局管理サーバ100または他の通信装置1A、1Bと通信する。ここで、広域通信部105は、他の通信装置1A、1Bとの間で前述のNtrip形式のフォーマットで情報の送受信を実行する。GNSS受信部104は、測位衛星SA1、SA2、SA3、SA4から到来するGNSS電波を受信し、受信したGNSS電波に基づいて位相情報、時刻情報等を含むGNSS情報を生成してCPU101へ出力する。USBインタフェース106は、USBメモリまたはUSBコネクタが接続される。USBインタフェース106にUSBメモリが接続された場合、補助記憶部103が記憶する情報をUSBメモリへ転送することが可能となる。
【0018】
通信装置1A、1Bでは、CPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、
図5に示すように、動作モード取得部111、固定局情報取得部112、基線解析部113、GNSS情報取得部114、移動局位置算出部115、移動局位置情報送信部116、仮想基準点情報取得部117、固定局位置算出部118、固定局情報生成部119および固定局情報送信部120として機能する。また、補助記憶部103は、動作モード記憶部131と、移動局位置記憶部132と、固定局位置記憶部133と、を有する。動作モード記憶部131は、端末装置3から受信した固定局モード情報または移動局モード情報を記憶する。
【0019】
固定局位置記憶部133は、通信装置1A、1Bが固定局として機能する場合における通信装置1A、1Bの位置情報を記憶する。移動局位置記憶部132は、通信装置1A、1Bが移動局として機能する場合における通信装置1A、1Bの位置情報を記憶する。
【0020】
動作モード取得部111は、端末装置3から送信される動作モード情報を受信すると、受信した動作モード情報に付加された通信装置識別情報を抽出する。そして、動作モード取得部111は、抽出した通信装置識別情報が自装置に割り当てられた通信装置識別情報と一致する場合、その動作モード情報、即ち、固定局モード情報または移動局モード情報を動作モード記憶部131に記憶させる。固定局情報取得部112は、動作モード記憶部131が移動局モード情報を記憶する場合、固定局として機能する通信装置1Aから通信装置1Aで受信されたGNSS電波に基づいて生成されたGNSS情報と通信装置1Aの位置情報とを含む固定局情報を取得する。そして、固定局情報取得部112は、取得した固定局情報を基線解析部113に通知する。また、動作モード取得部111は、端末装置3から固定局モード終了指令情報または移動局モード終了指令情報を受信すると、動作モード記憶部131が記憶する動作モード情報をクリアして固定局モードまたは移動局モードでの動作を終了する。
【0021】
仮想基準点情報取得部117は、動作モード記憶部131が固定局モード情報を記憶する場合、電子基準局管理サーバ100から、自装置の近傍に位置する仮想基準点についての前述の仮想基準点情報を取得する。ここで、仮想基準点情報取得部117は、固定局モード情報に含まれる位置概要情報を含む仮想基準点情報要求情報を電子基準局管理サーバ100へ送信することにより、電子基準局管理サーバ100から仮想基準点情報を取得する。仮想基準点情報取得部117は、取得した仮想基準点情報を基線解析部113に通知する。
【0022】
GNSS情報取得部114は、GNSS受信部104から出力される自装置のGNSS情報を取得する。GNSS情報取得部114は、取得したGNSS情報を基線解析部113に通知する。
【0023】
基線解析部113は、自装置が移動局として機能する場合、固定局情報取得部112から通知される固定局情報と、GNSS情報取得部114から通知されるGNSS情報と、に基づいて、測位衛星SA1、SA2、SA3、SA4それぞれと移動局として機能する通信装置1Bとの間の距離を算出する。次に、基線解析部113は、算出した距離から、固定局として機能する通信装置1Aと移動局として機能する通信装置1Bとの間の基線ベクトルを算出する。そして、基線解析部113は、算出した基線ベクトルを示す第1基線ベクトル情報と固定局情報に含まれる固定局として機能する通信装置1Aの位置情報とを移動局位置算出部115に通知する。
【0024】
一方、基線解析部113は、自装置が固定局として機能する場合、仮想基準点情報取得部117から通知される仮想基準点情報と、GNSS情報取得部114から通知されるGNSS情報と、に基づいて、測位衛星SA1、SA2、SA3、SA4それぞれと自装置との間の距離を算出する。次に、基線解析部113は、算出した距離から、固定局として機能する通信装置1Aと仮想基準点との間の基線ベクトルを算出する。ここで、基線解析部113は、固定局として機能する通信装置1Aと仮想基準点との間の基線ベクトルの算出処理を10回以上繰り返し実行する。そして、基線解析部113は、基線ベクトル算出処理を繰り返して得られる複数の基線ベクトルそれぞれを示す複数の第2基線ベクトル情報と、複数の第2基線ベクトル情報それぞれに対応する仮想基準点情報に含まれる仮想基準点の位置情報と、を固定局位置算出部118に通知する。
【0025】
移動局位置算出部115は、基線解析部113から通知される、第1基線ベクトル情報と固定局として機能する通信装置1Aの位置情報とに基づいて、移動局として機能する通信装置1Bの位置、即ち、通信装置1Bの緯度、経度および楕円体高を算出する。そして、移動局位置算出部115は、算出した位置、即ち、通信装置1Bの緯度、経度および楕円体高を示す移動局位置情報を移動局位置記憶部132に記憶させる。移動局位置情報送信部116は、移動局位置記憶部132が記憶する移動局位置情報を端末装置3へ送信する。
【0026】
固定局位置算出部118は、基線解析部113から通知される、複数の第2基線ベクトル情報と仮想基準点の位置情報との組み合わせに基づいて、固定局として機能する通信装置1Aの位置を算出する。具体的には、固定局位置算出部118は、複数の第2基線ベクトル情報それぞれと仮想基準点の位置情報とに基づいて、複数の通信装置1Aの位置を算出する。そして、固定局位置算出部118は、複数の通信装置1Aの位置の重心位置を通信装置1Aの固定位置として決定する。また、固定局位置算出部118は、算出した固定位置を示す固定局位置情報を固定局位置記憶部133に記憶させる。
【0027】
固定局情報生成部119は、固定局情報送信部120から固定局情報要求情報が通知されると、固定局位置記憶部133が記憶する固定局位置情報と、GNSS情報取得部114が取得したGNSS情報と、を含む固定局情報を生成する。そして、固定局情報生成部119は、生成した固定局情報を固定局情報送信部120へ出力する。固定局情報送信部120は、移動局として機能する通信装置1Bから固定局情報要求情報を受信すると、受信した固定局情報要求情報を固定局情報生成部119へ通知する。また、固定局情報送信部120は、固定局情報生成部119から固定局情報が入力されると、入力された固定局情報を通信装置1Bへ送信する。
【0028】
次に、本実施の形態に係る測位の動作について
図6および
図7を参照しながら説明する。ここでは、通信装置1Aが固定局として機能し、通信装置1Bが移動局として機能する場合について説明する。まず、ユーザが端末装置3の入力部305に対して通信装置1Aを固定局として機能させるための固定局モード設定操作を行ったとする。この場合、端末装置3は、固定局モード情報を生成して通信装置1Aの通信装置識別情報に対応づけて動作モード記憶部331に記憶させる(ステップS1)。次に、固定局モード情報が、端末装置3から、対応づけられた通信装置識別情報が示す通信装置1Aへ送信される(ステップS2)。一方、通信装置1Aは、固定局モード情報を受信すると、受信した固定局モード情報を動作モード記憶部131に記憶させる(ステップS3)。
【0029】
また、ユーザが端末装置3の入力部305に対して通信装置1Bを移動局として機能させるための移動局モード設定操作を行ったとする。この場合、端末装置3は、移動局モード情報を生成して通信装置1Bの通信装置識別情報に対応づけて動作モード記憶部331に記憶させる(ステップS4)。続いて、移動局モード情報が、端末装置3から、対応づけられた通信装置識別情報が示す通信装置1Bへ送信される(ステップS5)。一方、通信装置1Bは、移動局モード情報を受信すると、受信した移動局モード情報を動作モード記憶部131に記憶させる(ステップS6)。
【0030】
その後、電子基準局管理サーバ100に対して仮想基準点情報の送信を要求する仮想基準点情報要求情報が、固定局として機能する通信装置1Aから電子基準局管理サーバ100へ送信される(ステップS7)。一方、電子基準局管理サーバ100は、通信装置1Aから仮想基準点情報要求情報を受信すると、通信装置1Aの周囲の電子基準局200のGNSS情報および位置情報に基づいて、仮想基準点情報を生成する(ステップS8)。次に、生成された仮想基準点情報が、電子基準局管理サーバ100から通信装置1Aへ送信される(ステップS9)。一方、通信装置1Aは、仮想基準点情報を受信すると、通信装置1Aが受信するGNSS電波から生成されるGNSS情報を取得する(ステップS10)。続いて、通信装置1Aは、受信した仮想基準点情報とGNSS情報とに基づいて、基線解析を実行する(ステップS11)。これにより、通信装置1Aと仮想基準点との間の基線ベクトルが算出される。その後、ステップS10およびS11の一連の処理が繰り返し実行される。
【0031】
次に、
図7に示すように、通信装置1Aが、ステップS10からS12までの一連の処理を予め設定された回数繰り返すことにより予め設定された数だけ基線ベクトルを算出したと判定したとする(ステップS12)。この場合、通信装置1Aは、算出された予め設定された数の第2基線ベクトル情報と、対応する仮想基準点の位置情報と、の組み合わせに基づいて、固定局として機能する通信装置1Aの位置を予め設定された数だけ算出する(ステップS13)。そして、通信装置1Aは、算出した複数の位置の重心位置を、固定局として機能する通信装置1Aの固定局位置情報として算出し、算出した固定局位置情報を固定局位置記憶部133に記憶させる(ステップS14)。続いて、通信装置1Aが固定局として機能する準備が完了したことを通知する準備完了通知情報が、通信装置1Aから移動局として機能する通信装置1Bへ送信される(ステップS15)。
【0032】
その後、ユーザが端末装置3の入力部305に対して移動局として機能する通信装置1Bの位置情報の送信を要求するための移動局位置情報要求操作を行ったとする。この場合、移動局位置情報要求情報が、端末装置3から通信装置1Bへ送信される(ステップS16)。一方、通信装置1Bが、移動局位置情報要求情報を受信すると、通信装置1Aに対して前述の固定局情報の送信を要求する固定局情報要求情報が、通信装置1Bから通信装置1Aへ送信される(ステップS17)。一方、通信装置1Aは、固定局情報要求情報を受信すると、固定局情報を生成する(ステップS18)。次に、生成された固定局情報が、通信装置1Aから通信装置1Bへ送信される(ステップS19)。
【0033】
一方、通信装置1Bは、固定局情報を受信すると、通信装置1Bが受信するGNSS電波から生成されるGNSS情報を取得する(ステップS20)。続いて、通信装置1Bは、受信した固定局情報とGNSS情報とに基づいて、基線解析を実行する(ステップS21)。これにより、通信装置1Bと固定局として機能する通信装置1Aとの間の基線ベクトルが算出される。その後、通信装置1Bは、算出された基線ベクトルを示す第1基線ベクトル情報と、固定局情報に含まれる通信装置1Aの位置情報と、に基づいて、通信装置1Bの位置を算出し、算出した位置を示す移動局位置情報を移動局位置記憶部132に記憶させる(ステップS22)。次に、移動局位置記憶部132が記憶する移動局位置情報が、通信装置1Bから端末装置3へ送信される(ステップS23)。一方、端末装置3は、移動局位置情報を受信すると、受信した移動局位置情報が示す通信装置1Bの位置情報を表示部304に表示させる(ステップS24)。
【0034】
次に、本実施の形態に係る通信装置1A、1Bが実行する測位制御処理について
図8および
図9を参照しながら説明する。この測位制御処理は、通信装置1A、1Bへ電源が投入されたことを契機として開始される。まず、動作モード取得部111は、端末装置3から固定局モード情報を受信したか否かを判定する(ステップS101)。動作モード取得部111は、固定局モード情報を受信したと判定すると(ステップS101:Yes)、受信した固定局モード情報を動作モード記憶部131に記憶させる。そして、仮想基準点情報取得部117は、動作モード記憶部131が記憶する固定局モード情報を参照して、固定局モード情報に含まれる通信装置1A、1Bの位置概要情報を抽出し、抽出した位置概要情報を含む仮想基準点情報要求情報を生成して電子基準局管理サーバ100へ送信する(ステップS102)。このとき、電子基準局管理サーバ100は、仮想基準点情報要求情報を受信すると、仮想基準点情報を生成して通信装置1A、1Bへ送信する。そして、仮想基準点情報取得部117は、電子基準局管理サーバ100から送信される仮想基準点情報を取得する(ステップS103)。
【0035】
次に、GNSS情報取得部114は、通信装置1A、1Bが受信するGNSS電波から生成されるGNSS情報を取得する(ステップS104)。続いて、基線解析部113は、受信した仮想基準点情報と取得したGNSS情報とに基づいて、基線解析を実行する(ステップS105)。その後、基線解析部113は、複数回基線解析を実行することにより、予め設定された数の基線ベクトルを算出したか否かを判定する(ステップS106)。ここで、予め設定された数は、10以上の数に設定される。
【0036】
基線解析部113が、未だ予め設定された数の基線ベクトルが算出されていないと判定されると(ステップS106:No)、再びステップS104の処理が実行される。一方、基線解析部113が、予め設定された数の基線ベクトルを算出したと判定したとする(ステップS106:Yes)。この場合、固定局位置算出部118は、算出された予め設定された数の基線ベクトルそれぞれを示す第2基線ベクトル情報と、第2基線ベクトル情報それぞれに対応する仮想基準点の位置情報と、の組み合わせに基づいて、通信装置1A、1Bの位置を予め設定された数だけ算出する(ステップS107)。次に、固定局位置算出部118は、算出した複数の位置の重心位置を、通信装置1A、1Bの固定局位置情報として算出し、算出した固定局位置情報を固定局位置記憶部133に記憶させる(ステップS108)。続いて、固定局情報送信部120は、通信装置1A、1Bが固定局として機能する準備が完了したことを通知する準備完了通知情報を他の通信装置1A、1Bへ送信する(ステップS109)。
【0037】
その後、固定局情報送信部120は、他の通信装置1A、1Bから固定局情報要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS110)。固定局情報送信部120は、他の通信装置1A、1Bから固定局情報要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS110)。固定局情報送信部120は、固定局情報要求情報を受信していないと判定すると(ステップS110:No)、後述するステップS112の処理が実行される。一方、固定局情報送信部120は、固定局情報要求情報を受信したと判定すると(ステップS110:Yes)、受信した固定局情報要求情報を固定局情報生成部119へ通知する。そして、固定局情報生成部119が、固定局位置情報とGNSS情報とを含む固定局情報を生成し、固定局情報送信部120が、生成された固定局情報を他の通信装置1A、1Bへ送信する(ステップS111)。次に、動作モード取得部111は、端末装置3から固定局モード終了指令情報を受信したか否かを判定する(ステップS112)。動作モード取得部111が、端末装置3から固定局モード終了指令情報を受信していないと判定すると(ステップS112:No)、再びステップS110の処理が実行される。動作モード取得部111が、端末装置3から固定局モード終了指令情報を受信したと判定すると(ステップS112:Yes)、再びステップS101の処理が実行される。
【0038】
また、ステップS101において、動作モード取得部111が、端末装置3から固定局モード情報を受信していないと判定したとする(ステップS101:No)。この場合、動作モード取得部111は、
図9に示すように、端末装置3から移動局モード情報を受信したか否かを判定する(ステップS113)。動作モード取得部111が、移動局モード情報を受信していないと判定すると(ステップS113:Yes)、再びステップS101の処理が実行される。一方、動作モード取得部111が、移動局モード情報を受信したと判定すると(ステップS113:Yes)、受信した移動局モード情報を動作モード記憶部131に記憶させる。そして、移動局位置情報送信部116は、他の通信装置1A、1Bから既に準備完了通知情報を受信したか否かを判定する(ステップS114)。移動局位置情報送信部116は、未だ他の通信装置1A、1Bから準備完了通知情報を受信していないと判定すると(ステップS114:No)、後述するステップS122の処理が実行される。
【0039】
一方、移動局位置情報送信部116は、他の通信装置1A、1Bから準備完了通知情報を受信したと判定すると(ステップS114:Yes)、端末装置3から移動局位置情報要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS115)。移動局位置情報送信部116は、端末装置3から移動局位置情報要求情報を受信していないと判定すると(ステップS115:No)、後述するステップS122の処理が実行される。一方、移動局位置情報送信部116が、端末装置3から移動局位置情報要求情報を受信したと判定したとする(ステップS115:Yes)。この場合、固定局情報取得部112は、固定局情報要求情報を他の通信装置1A、1Bへ送信することにより(ステップS116)、他の通信装置1A、1Bから固定局情報を取得する(ステップS117)。
【0040】
続いて、GNSS情報取得部114は、GNSS受信部104からGNSS情報を取得する(ステップS118)。その後、基線解析部113は、取得した固定局情報とGNSS情報とに基づいて、基線解析を実行する(ステップS119)。次に、移動局位置算出部115は、基線解析により算出された基線ベクトルを示す第1基線ベクトル情報と、固定局情報に含まれる通信装置1A、1Bの位置情報と、に基づいて、通信装置1A、1Bの位置を算出し、算出した位置を示す移動局位置情報を移動局位置記憶部132に記憶させる(ステップS120)。続いて、移動局位置情報送信部116は、移動局位置記憶部132が記憶する移動局位置情報を端末装置3へ送信する(ステップS121)。次に、動作モード取得部111は、端末装置3から移動局モード終了指令情報を受信したか否かを判定する(ステップS121)。動作モード取得部111が、端末装置3から移動局モード終了指令情報を受信していないと判定すると(ステップS121:No)、再びステップS114の処理が実行される。動作モード取得部111が、端末装置3から移動局モード終了指令情報を受信したと判定すると(ステップS121:Yes)、再びステップS101の処理が実行される。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態に係る測位システムによれば、固定局として機能する通信装置1Aが、仮想基準点情報と固定局が測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて通信装置1Aの位置を複数回算出する。そして、通信装置1Aは、複数回算出して得られる複数の通信装置1Aの位置に基づいて、通信装置1Aの位置を決定する。また、移動局として機能する通信装置1Bが、固定局情報を取得し、取得した固定局情報と移動局が測位衛星から受信するGNSS電波とを用いて通信装置1Bの位置を算出する。即ち、通信装置1Aが、VRS方式のリアルタイムRTK観測法により複数回算出した通信装置1Aの位置に基づいて通信装置1Aの位置を決定してから、通信装置1Bが、決定された通信装置1Aの位置を示す位置情報を含む固定局情報を用いてRTK観測法により通信装置1Bの位置を算出する。これにより、通信装置1Bが電子基準局から離れている場合でもRTK観測法により通信装置1Bの位置を測位することができるので、通信装置1Bの位置を精度良く算出することができる。
【0042】
また、本実施の形態に係る通信装置1Aは、VRS方式のリアルタイムRTK観測法により算出された複数の通信装置1Aの位置の重心位置を通信装置1Aの固定局位置に決定する。ここで、通信装置1Aは、仮想基準点情報と通信装置1Aが測位衛星SA1、SA2、SA3、SA4から受信するGNSS電波とを用いて通信装置1Aの位置を10回以上算出する。これにより、固定局として機能する通信装置1Aの位置を精度良く決定することができるので、移動局として機能する通信装置1Bの位置を精度良く算出することができる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、通信装置1A、1BがUSBインタフェース106を備えない構成であってもよい。
【0044】
実施の形態では、ユーザが端末装置3を介して通信装置1A、1Bの動作モード情報を設定する例について説明したが、これに限らず、通信装置1A、1Bに動作モード切替用のスイッチが搭載されているものであってもよい。
【0045】
実施の形態において、通信装置1A、1Bが、例えば
図10に示すような、日本国内における複数箇所それぞれにおけるジオイド高を示すジオイド高情報を、複数箇所それぞれの緯度情報と経度情報との組み合わせに対応づけて記憶するジオイド高情報記憶部2134を更に備えるものであってもよい。この場合、移動局位置算出部115は、ジオイド高情報記憶部2134が記憶するジオイド高情報を参照して、生成した移動局位置情報に含まれる緯度情報および経度情報に対応するジオイド高情報を特定する。ここで、移動局位置算出部115は、例えば、ジオイド高情報記憶部2134が記憶するジオイド高情報のうち、移動局位置情報に含まれる緯度情報および経度情報が示す位置に最も近い緯度、経度に対応するジオイド高情報を特定する。次に、移動局位置算出部115は、移動局位置情報に含まれる楕円体高情報が示す楕円体高から特定したジオイド高情報が示すジオイド高を差し引くことにより標高を算出する。そして、移動局位置算出部115は、算出した標高を示す標高情報を移動局位置情報に付加して移動局位置記憶部132に記憶させる。
【0046】
本構成によれば、前述のジオイド高情報記憶部2134を備えることにより、日本国内における標高情報を迅速且つ高精度に出力することができる。また、通信装置1A、1Bの適用範囲を日本国内のみとすることにより、ジオイド高記憶部2134が記憶するジオイド高情報の大きさを低減することができ且つ通信装置1A、1Bにおける処理負担を軽減することができるので、通信装置1A、1Bに高い処理性能を求める必要が無くなるという利点がある。
【0047】
また、本発明に係る通信装置1A、1Bの各種機能は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する通信装置1A、1Bを構成してもよい。
【0048】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線の掲示版(BBS(Bulletin Board System))にアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OS(Operating System)の制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する通信装置1A、1Bとして機能する。
【0049】
以上、本発明の各実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態及び変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、GNSS衛星からのGNSS電波を利用した測量への適用に好適である。
【符号の説明】
【0051】
1A、1B:通信装置、2:無人航空機、3:端末装置、100:電子基準局管理サーバ、101,301:CPU、102,302:主記憶部、103,303:補助記憶部、104:GPS受信部、105:広域通信部、106:USBインタフェース、107,307:短距離通信部、111:動作モード取得部、112:固定局情報取得部、113:基線解析部、114:GNSS電波情報取得部、115:移動局位置算出部、116:移動局位置情報送信部、117:固定局位置算出部、118:固定局情報生成部、119:固定局情報送信部、131:動作モード記憶部、132:移動局位置記憶部、133:固定局位置記憶部、304:表示部、305:入力部、SA1、SA2、SA3、SA4:測位衛星