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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134846
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】医療用デバイスおよび医療用キット
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/10 20060101AFI20220908BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A61J1/10 330
A61M1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034296
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】梅垣 彦希
【テーマコード(参考)】
4C047
4C077
【Fターム(参考)】
4C047AA11
4C047AA13
4C047CC01
4C047CC07
4C047DD34
4C077AA06
(57)【要約】
【課題】封止部材の破断部を容易に破断することのできる医療用デバイスを提供する。
【解決手段】医療用デバイス1は、流路31Lを封止するように設けられ破断部18Cが破断されることによって流路31Lの封止が解除される封止部材18が、内部に配置される本体部31と、破断部よりも医療用液体バッグ20の遠位側に設けられ、破断部を破断する際に手指を引っ掛けるように本体部から突出する突出部32と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を封止するように設けられ破断部が破断されることによって前記流路の封止が解除される封止部材が、内部に配置される本体部と、
前記破断部よりも医療用液体バッグの遠位側に設けられ、前記破断部を破断する際に手指を引っ掛けるように前記本体部から突出する突出部と、を有する医療用デバイス。
【請求項2】
前記突出部は、前記本体部の延在方向に対して、直交する方向に突出する、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
導管チューブが接続される接続部をさらに有し、
前記接続部は、前記突出部に対して対向するように形成される、請求項2に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
前記本体部は、前記封止部材の前記破断部に対応する外周に、薄肉部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
流路を封止するように設けられ破断部が破断されることによって前記流路の封止が解除される封止部材と、
前記封止部材に連結されるチューブと、
前記チューブが固定される医療用液体バッグと、
前記封止部材が内部に配置される本体部、および前記破断部よりも前記医療液体バッグの遠位側に設けられ、前記破断部を破断する際に手指を引っ掛けるように前記本体部から突出する突出部を備える医療用デバイスと、を有する、医療用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用デバイスおよび医療用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、腹膜透析用バッグ等の医療用液体バッグには、流路を封止するように設けられ破断部が破断されることによって、前記流路の封止が解除される封止部材が接続されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-216225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているような公知の封止部材では、把持する領域が狭いことに起因して力を入れづらく、破断しにくいという課題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、封止部材の破断部を容易に破断することのできる医療用デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する医療用デバイスは、流路を封止するように設けられ破断部が破断されることによって前記流路の封止が解除される封止部材が、内部に配置される本体部と、前記破断部よりも医療用液体バッグの遠位側に設けられ、前記破断部を破断する際に手指を引っ掛けるように前記本体部から突出する突出部と、を有する。
【0007】
また、上記目的を達成する医療用キットは、流路を封止するように設けられ破断部が破断されることによって前記流路の封止が解除される封止部材と、前記封止部材に連結されるチューブと、前記チューブが固定される医療用液体バッグと、前記封止部材が内部に配置される本体部、および前記破断部よりも前記医療用液体バッグの遠位側に設けられ、前記破断部を破断する際に手指を引っ掛けるように前記本体部から突出する突出部を備える医療用デバイスと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した医療用デバイスおよび医療用キットによれば、本体部から突出した突出部に手指を引っ掛けて、封止部材の破断部を破断することができる。このため、封止部材の破断部を容易に破断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る医療用キットを示す概略図である。
図2】本実施形態に係る医療用デバイスを示す斜視図である。
図3】医療用デバイスを示す断面図であって、破断部が破断される前の様子を示す断面図である。
図4】医療用デバイスに第1導管チューブが接続される様子を示す断面図であって、破断部が破断される前の様子を示す断面図である。
図5】医療用デバイスを示す断面図であって、破断部が破断された後の様子を示す断面図である。
図6】医療用デバイスに第1導管チューブが接続される様子を示す断面図であって、破断部が破断された後の様子を示す断面図である。
図7】変形例に係る医療用デバイスの図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
図1図6を参照して、本発明の実施形態に係る医療用キット1の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る医療用キット1を示す概略図である。図2は、本実施形態に係る医療用デバイス17を示す斜視図である。図3は、医療用デバイス17を示す断面図であって、破断部18Cが破断される前の様子を示す断面図である。図4は、医療用デバイス17に第1導管チューブ16が接続される様子を示す断面図であって、破断部18Cが破断される前の様子を示す断面図である。図5は、医療用デバイス17を示す断面図であって、破断部18Cが破断された後の様子を示す断面図である。図6は、医療用デバイス17に第1導管チューブ16が接続される様子を示す断面図であって、破断部18Cが破断された後の様子を示す断面図である。
【0012】
本実施形態に係る医療用キット1は、腹膜透析用として使用される。医療用キット1は、図1に示すように、患者Mの腹膜内に挿通される腹膜カテーテル10と、腹膜カテーテル10の端部に取り付けられるカテーテルジョイント11と、カテーテルジョイント11に接続されるシリコーンチューブ12と、シリコーンチューブ12に配置されるローラークランプ13と、シリコーンチューブ12に連結管Pを介して接続される連結チューブ14と、連結チューブ14に連結される分岐管15と、分岐管15から延在する第1導管チューブ(導管チューブに相当)16と、第1導管チューブ16が接続される医療用デバイス17と、医療用デバイス17の内部に設けられる封止部材18と、封止部材18に連結されるチューブ19と、チューブ19が固定される医療用液体バッグ20と、分岐管15から延在する第2導管チューブ21と、第2導管チューブ21が固定される排液用バッグ22と、を有する。第1導管チューブ16には、透析液の流通・停止を切り替える第1クランプC1が設けられ、第2導管チューブ21には、透析液の流通・停止を切り替える第2クランプC2が設けられる。
【0013】
医療用デバイス17の構成について説明する。
【0014】
医療用デバイス17は、図2図6に示すように、上下方向に延在する本体部31と、本体部31から水平方向に突出する突出部32と、突出部32に対して対向するように設けられた接続部33と、を有する。
【0015】
本体部31の下端には、フランジ部31Aが形成されている。フランジ部31Aには、後述する封止部材18のフランジ部18Eが当接される。
【0016】
本体部31の内部には、医療用液体バッグ20からの透析液が流通するとともに封止部材18が配置されるルーメン(流路に相当)31Lが設けられる。ルーメン31Lは、図3図4に示すように、封止部材18の破断部18Cが破断される前において、封止部材18の上方に隙間Hを有する。隙間Hの高さは、例えば5mmである。この隙間Hは、図5図6に示すように、封止部材18の破断部18Cが破断された後、封止部材18の上方部18Aによって埋められる。
【0017】
ルーメン31Lの上部には、破断された封止部材18の上方部18Aの凸部18Dが嵌合する溝部31Mが形成されている。
【0018】
突出部32は、図3図6に示すように、水平方向の左向きに突出している。突出部32は、中実状に構成されている。この構成によれば、突出部32の剛性を高めることができる。したがって、突出部32に手指を引っ掛けて封止部材18の破断部18Cを破断する際に突出部32の変形を防止でき、好適に封止部材18の破断部18Cを破断することができる。
【0019】
突出部32は、破断部18Cよりも医療用液体バッグ20の遠位側に設けられる。突出部32は、図3図6に示すように、本体部31と一体的に構成されている。
【0020】
突出部32の外径は、特に限定されないが、2~10mmである。また、突出部32の水平方向の長さは、特に限定されないが、10~20mmである。
【0021】
接続部33は、図3図6に示すように、突出部32と対向するように水平方向の右向きに延在している。接続部33は、図4図6に示すように、第1導管チューブ16と接続される。
【0022】
接続部33の内部には、本体部31のルーメン31Lと連通するルーメン33Lが形成される。封止部材18の破断部18Cが破断されることによってルーメン31Lおよびルーメン33Lは互いに液密に連通して、医療用液体バッグ20から供給される透析液はルーメン31L、ルーメン33L、および第1導管チューブ16等を介して、患者Mに供給される。
【0023】
接続部33は、本体部31および突出部32と一体的に構成されている。
【0024】
接続部33の外径は、特に限定されないが、2~10mmである。また、接続部33の水平方向の長さは、特に限定されないが、10~20mmである。
【0025】
医療用デバイス17を構成する材料は特に限定されないが、例えば軟質の塩化ビニルを用いることができる。
【0026】
次に、封止部材18の構成について説明する。
【0027】
封止部材18は、図3図6に示すように、上方部18Aと、下方部18Bと、上方部18Aおよび下方部18Bの間に設けられる破断部18Cと、を有する。
【0028】
上方部18Aの上端には、凸部18Dが形成されている。凸部18Dは、図5図6に示すように、封止部材18の破断部18Cが破断した後に、ルーメン31Lの溝部31Mに嵌合する。
【0029】
上方部18Aの外径は、ルーメン31Lの内径よりも小さく構成されている。この構成によれば、封止部材18の破断部18Cが破断されることによって、ルーメン31Lのうち上方部18Aの外周側を透析液が流通して、ルーメン33Lに移動することができる。
【0030】
下方部18Bには、フランジ部18Eが形成されている。下方部18Bのフランジ部18Eは、図3図6に示すように、本体部31のフランジ部31Aに当接する。
【0031】
下方部18Bの内部には透析液が流通するルーメン18Lが形成されている。また、下方部18Bのフランジ部18Eの下方には、封止部材18の破断部18Cを破断する際に、利き手と反対側の手で把持する把持部18Fが設けられる。把持部18Fは、チューブ19に接続される接続部としても機能する。
【0032】
破断部18Cは、上方部18Aおよび下方部18Bの間に設けられる。破断部18Cは、薄肉状に構成されている。
【0033】
このように構成された封止部材18において、破断部18Cを破断する前は、医療用液体バッグ20からの透析液は、ルーメン18Lで止まっており、封止されている。一方、破断部18Cが破断されることによって、上方部18Aおよび下方部18Bが分離される。この結果、医療用液体バッグ20からの透析液は、ルーメン18Lを通過した後、ルーメン31Lのうち上方部18Aの外周を通過して、ルーメン33Lに流れて、第1導管チューブ16等を介して、患者Mに供給される。
【0034】
次に、本実施形態に係る医療用キット1の使用方法について説明する。
【0035】
まず、第1クランプC1、第2クランプC2、およびローラークランプ13が閉じた状態で、封止部材18の破断部18Cを破断する。具体的には、使用者は、利き手とは反対側の手(例えば左手)で封止部材18の把持部18Fを把持しつつ、利き手(例えば右手)の人差し指および中指で本体部31を抑えて、人差し指を突出部32に引っ掛けて、本体部31及びその内部の封止部材18を一緒に倒すことによって、封止部材18の破断部18Cを破断する。それによって、医療用液体バッグ20の透析液は、第1クランプC1まで移動することができる。
【0036】
次に、患者Mの腹膜の中の透析液を体の外に出す排液を行う。具体的には、第2クランプC2を開いた後に、ローラークランプ13を開くことによって、腹膜の中の透析液が、腹膜カテーテル10、シリコーンチューブ12、連結チューブ14、および第2導管チューブ21を介して、排液用バッグ22に流れる。そして、排液が終わったら、第2クランプC2およびローラークランプ13を閉じる。
【0037】
次に、第1導管チューブ16および第2導管チューブ21内に透析液を満たすプライミングを行う。具体的には、ローラークランプ13を閉じたまま、第1クランプC1および第2クランプC2を開くことによって、医療用液体バッグ20からの透析液が第1導管チューブ16内の空気を排液用バッグ22に押し出して、第1導管チューブ16および第2導管チューブ21内に透析液を満たすことができる。
【0038】
次に、医療用液体バッグ20内の新しい透析液を腹膜に入れる注液を行う。具体的には、第1クランプC1を開いたまま、第2クランプC2を閉じローラークランプ13を開くことによって、医療用液体バッグ20内の透析液を腹膜に入れる。
【0039】
そして、注液が終了したら、ローラークランプ13を閉じて、第1クランプC1を閉じる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る医療用デバイス17は、ルーメン(流路に相当)31Lを封止するように設けられ破断部18Cが破断されることによってルーメン31Lの封止が解除される封止部材18が、内部に配置される本体部31と、破断部18Cよりも医療用液体バッグ20の遠位側に設けられ、破断部18Cを破断する際に手指を引っ掛けるように本体部31から突出する突出部32と、を有する。このように構成された医療用デバイス17によれば、本体部31から突出した突出部32に手指を引っ掛けて、封止部材18の破断部18Cを破断することができる。このため、封止部材18の破断部18Cを容易に破断することができる。
【0041】
また、突出部32は、本体部31の延在方向に対して、直交する方向に突出する。このように構成された医療用デバイス17によれば、突出部32に対して好適に手指を引っ掛けることができる。
【0042】
また、医療用デバイス17は、第1導管チューブ16が接続される接続部33をさらに有し、接続部33は、突出部32に対して対向するように形成される。このように構成された医療用デバイス17によれば、利き手の中指を接続部33に引っ掛けることができ、より容易に破断部18Cを破断することができる。
【0043】
また、以上説明したように、本実施形態に係る医療用キット1は、ルーメン31Lを封止するように設けられ破断部18Cが破断されることによってルーメン31Lの封止が解除される封止部材18と、封止部材18に連結されるチューブ19と、チューブ19が固定される医療用液体バッグ20と、封止部材18が内部に配置される本体部31、および破断部18Cよりも医療用液体バッグ20の遠位側に設けられ、破断部18Cを破断する際に手指を引っ掛けるように本体部から突出する突出部32を備える医療用デバイス17と、を有する。このように構成された医療用キット1によれば、本体部31から突出した突出部32に手指を引っ掛けて、封止部材18の破断部18Cを破断することができる。
【0044】
以上、実施形態を通じて本発明に係る医療用デバイスを説明したが、本発明は実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0045】
例えば、図7に示すように、医療用デバイス117の本体部131は、封止部材18の破断部18Cに対応する箇所に、薄肉部131Cを有していてもよい。この構成によれば、破断部18Cを破断する際に、薄肉部131Cが優先的に変形するため、好適に破断部18Cを破断することができる。また、使用者が破断する箇所を目視できるため、容易に破断部18Cを破断することができる。
【0046】
また、上述した実施形態では、突出部32は、本体部31の延在方向(鉛直方向)に対して、直交する方向(水平方向)に突出した。しかしながら、突出部の突出する方向は水平方向に限定されず、手指が引っ掛けることができる限りにおいて、任意の方向に突出されうる。
【0047】
また、上述した実施形態では、接続部33は、突出部32に対して対向するように右向きに延在するように構成された。しかしながら、接続部が延在する方向は特に限定されず、例えば本体部31に連続するように鉛直方向に延在していてもよい。
【0048】
また、医療用液体バッグとしては、透析液バッグのほかに輸液バッグなどにも使用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 医療用キット、
16 第1導管チューブ(導管チューブ)、
17、117 医療用デバイス、
18 封止部材、
18C 破断部、
20 医療用液体バッグ、
31、131 本体部、
32 突出部、
33 接続部、
131C 薄肉部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7