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特開2022-134852操作装置及び車椅子用動力操作装置並びに車椅子の操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134852
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】操作装置及び車椅子用動力操作装置並びに車椅子の操作方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/04 20130101AFI20220908BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A61G5/04 703
A61G5/10 717
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034302
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】394021638
【氏名又は名称】トリックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177921
【弁理士】
【氏名又は名称】坂岡 範穗
(72)【発明者】
【氏名】五家 秀樹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】実質的に1つのレバーを操作することで、車椅子に取付けられたブレーキとアクセルの双方を操作する操作装置を提供する。
【解決手段】駆動用のモーター62、及びブレーキ106を備える車椅子100を操作する操作装置200であって、前記車椅子に取り付けられる基部ブラケット210と、前記基部ブラケットに連結され、前記基部ブラケットに対して原位置から一方向に傾斜可能に構成される第1レバー220と、前記第1レバーに連結され、前記第1レバーに対して原位置から前記第1レバーの傾斜方向とは反対方向に傾斜可能に構成される第2レバー230と、前記第1レバー又は前記第2レバーの一方が傾斜することによって操作される、前記モーターに接続されるアクセル機構と、前記第1レバー又は前記第2レバーの他方が傾斜することによって操作される、前記ブレーキに接続されるブレーキ伝達機構と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用のモーター、及びブレーキを備える車椅子を操作する操作装置であって、
前記車椅子に取り付けられる基部ブラケットと、
前記基部ブラケットに連結され、前記基部ブラケットに対して原位置から一方向に傾斜可能に構成される第1レバーと、
前記第1レバーに連結され、前記第1レバーに対して原位置から前記第1レバーの傾斜方向とは反対方向に傾斜可能に構成される第2レバーと、
前記第1レバー又は前記第2レバーの一方が傾斜することによって操作される、前記モーターに接続されるアクセル機構と、
前記第1レバー又は前記第2レバーの他方が傾斜することによって操作される、前記ブレーキに接続されるブレーキ伝達機構と、
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記アクセル機構が、
前記基部ブラケットに設けられて前記モーターへ電気的に接続されるアクセルスイッチと、
前記第1レバーに設けられて前記第1レバーが傾斜したときに前記アクセルスイッチを操作するアクセルレバーと、
を備える請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記ブレーキ伝達機構が、
前記車椅子の左右主車輪の前記ブレーキに接続される一対のブレーキワイヤーと、
前記第1レバーの左右に設けられて一対の前記ブレーキワイヤーのアウターワイヤー端部を保持するアウターワイヤー端部保持部と、
前記第2レバーの左右に設けられて一対の前記ブレーキワイヤーのインナーワイヤー端部を保持するインナーワイヤー端部保持部と、
を備える請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記第1レバーの上面に搭乗者の手を載置できる載置部が設けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記基部ブラケットが、前記車椅子のうち左右どちらか一方の車体フレームに取り付けられている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の操作装置を用いた車椅子の操作方法であって、
前記搭乗者が前記第1レバー及び前記第2レバーのうち少なくとも前記第2レバーを操作して、
前記第1レバー又は前記第2レバーの一方を傾斜させることで前記アクセル機構が操作されて前記モーターが動作している走行状態、
前記第1レバー及び前記第2レバーを原位置にすることで前記モーターに電磁ブレーキがかかる弱ブレーキ状態、
前記第1レバー又は前記第2レバーの他方を傾斜させることで前記ブレーキ伝達機構が操作されて前記ブレーキが作動している強ブレーキ状態、
のいずれかの状態にすることを特徴とする車椅子の操作方法。
【請求項7】
ブレーキを備える手動式の車椅子に装着されることによって前記車椅子の走行を補助する車椅子用動力操作装置であって、
前記車椅子用動力操作装置は動力装置と操作装置とを備え、
前記動力装置は、
前記車椅子の左右どちらか一方の車体フレームの外側に設けられるベースフレームと、
前記ベースフレームに設けられる連結部、及び前記連結部に着脱可能に連結される被連結部を備える連結機構と、
前記被連結部に設けられるハンドル機構と、
前記ハンドル機構に設けられる駆動輪と、
前記ハンドル機構に設けられ前記駆動輪を駆動するモーターと、を備え、
前記操作装置は、
前記車椅子の左右どちらか他方の車体フレームに取り付けられる基部ブラケットと、
前記基部ブラケットに連結され、前記基部ブラケットに対して原位置から一方向に傾斜可能に構成される第1レバーと、
前記第1レバーに連結され、前記第1レバーに対して原位置から前記第1レバーの傾斜方向とは反対方向に傾斜可能に構成される第2レバーと、
前記第1レバー又は前記第2レバーの一方が傾斜することによって操作される、前記モーターに接続されるアクセル機構と、
前記第1レバー又は前記第2レバーの他方が傾斜することによって操作される、前記ブレーキに接続されるブレーキ伝達機構と、を備えることを特徴とする車椅子用動力操作装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車椅子用動力操作装置を用いた車椅子の操作方法であって、
前記搭乗者が一方の手で前記ハンドル機構を操作して、
前記搭乗者が他方の手で前記第1レバー及び前記第2レバーのうち少なくとも前記第2レバーを操作して、
前記第1レバー又は前記第2レバーの一方を傾斜させることで前記アクセル機構が操作されて前記モーターが動作している走行状態、
前記第1レバー及び前記第2レバーを原位置にすることで前記モーターに電磁ブレーキがかかる弱ブレーキ状態、
前記第1レバー又は前記第2レバーの他方を傾斜させることで前記ブレーキ伝達機構が操作されて前記ブレーキが作動している強ブレーキ状態、
のいずれかの状態にすることを特徴とする車椅子の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動の車椅子を操作する操作装置、及び前記操作装置と車椅子の走行を補助する動力装置とを備える車椅子用動力操作装置、並びにこれらの装置を装着した車椅子の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車椅子の搭乗者が手を環状のハンドリムに擦らずにブレーキをかけることができるようにするために、特許第6001801号公報(特許文献1)に、腕全体や肘で車椅子の肘掛け部に体重の一部をかけることにより車椅子のスピードを減速するとともに、車椅子の両輪同時に同じ力で作動するブレーキに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6001801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、ブレーキ操作はできるものの、アクセル操作まではできない。本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、実質的に1つのレバーを操作することで、ブレーキとアクセルの双方を操作することができる操作装置及び車椅子用動力操作装置並びに車椅子の操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の操作装置は、
走行用のモーター、及びブレーキを備える車椅子を操作する操作装置であって、
前記車椅子に取り付けられる基部ブラケットと、
前記基部ブラケットに連結され、前記基部ブラケットに対して原位置から一方向に傾斜可能に構成される第1レバーと、
前記第1レバーに連結され、前記第1レバーに対して原位置から前記第1レバーの傾斜方向とは反対方向に傾斜可能に構成される第2レバーと、
前記第1レバー又は前記第2レバーの一方が傾斜することによって操作される、前記モーターに接続されるアクセル機構と、
前記第1レバー又は前記第2レバーの他方が傾斜することによって操作される、前記ブレーキに接続されるブレーキ伝達機構と、
を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の操作装置によれば、第1レバーと第2レバーとが、互いに連結されつつ反対方向に傾斜可能に構成されている。このため、第2レバーを持って第2レバーの傾斜不可の方向に力を加えることで、第1レバーのみが傾斜される。一方、第2レバーを持って第2レバーの傾斜可能な方向に傾斜させると、第1レバーは原位置に戻ってそれ以上は傾斜しないため、第2レバーのみを傾斜させることができる。そして、第1レバー及び第2レバーの傾斜によって、アクセル機構及びブレーキ伝達機構が操作される。これらにより、実質的に第2レバーのみの操作によってアクセルとブレーキの両方の操作をすることができる。
【0007】
本発明の操作装置の好ましい例は、
前記アクセル機構が、
前記基部ブラケットに設けられて前記モーターへ電気的に接続されるアクセルスイッチと、
前記第1レバーに設けられて前記第1レバーが傾斜したときに前記アクセルスイッチを操作するアクセルレバーと、
を備える。
【0008】
本発明の操作装置の好ましい例は、
前記ブレーキ伝達機構が、
前記車椅子の左右主車輪の前記ブレーキに接続される一対のブレーキワイヤーと、
前記第1レバーの左右に設けられて一対の前記ブレーキワイヤーのアウターワイヤー端部を保持するアウターワイヤー端部保持部と、
前記第2レバーの左右に設けられて一対の前記ブレーキワイヤーのタイコを保持するインナーワイヤー端部保持部と、
を備える。
【0009】
これらの本発明の操作装置の好ましい例によれば、第1レバーの傾斜によってアクセル機構を操作することができ、第2レバーの傾斜によってブレーキ伝達機構を操作することができる。また、ブレーキ伝達機構は、一対のブレーキワイヤーを備えており、簡素な構成ながら車椅子の主車輪へ左右同時にブレーキをかけることができる。
【0010】
本発明の操作装置の好ましい例は、
前記第1レバーの上面に搭乗者の手を載置できる載置部が設けられている。
【0011】
本発明の操作装置の好ましい例によれば、第1レバーに載置部が設けられているため、手の重さを載置部に預けることができ、搭乗者の負担を軽減させることができる。
【0012】
本発明の操作装置の好ましい例は、
前記基部ブラケットが、前記車椅子のうち左右どちらか一方の車体フレームに取り付けられている。
【0013】
本発明の操作装置の好ましい例によれば、操作装置が車椅子の正面にないため、操作装置によって搭乗者の車椅子への乗降を妨げることがない。
【0014】
本発明の車椅子の搭乗者は、
上述した発明の操作装置を用いた車椅子の操作方法であって、
前記搭乗者が前記第1レバー及び前記第2レバーのうち少なくとも前記第2レバーを操作して、
前記第1レバー又は前記第2レバーの一方を傾斜させることで前記アクセル機構が操作されて前記モーターが動作している走行状態、
前記第1レバー及び前記第2レバーを原位置にすることで前記モーターに電磁ブレーキがかかる弱ブレーキ状態、
前記第1レバー又は前記第2レバーの他方を傾斜させることで前記ブレーキ伝達機構が操作されて前記ブレーキが作動している強ブレーキ状態、
のいずれかの状態にすることを特徴とする。
【0015】
本発明の車椅子の操作方法によれば、上述の発明である操作装置の作用効果に加えて、実質的に第2レバーのみの操作によって、車椅子を走行状態、弱ブレーキ状態、又は強ブレーキ状態の3種類の状態にすることができる。
【0016】
本発明の車椅子用動力操作装置は、
ブレーキを備える手動式の車椅子に装着されることによって前記車椅子の走行を補助する車椅子用動力操作装置であって、
前記車椅子用動力操作装置は動力装置と操作装置とを備え、
前記動力装置は、
前記車椅子の左右どちらか一方の車体フレームの外側に設けられるベースフレームと、
前記ベースフレームに設けられる連結部、及び前記連結部に着脱可能に連結される被連結部を備える連結機構と、
前記被連結部に設けられるハンドル機構と、
前記ハンドル機構に設けられる駆動輪と、
前記ハンドル機構に設けられ前記駆動輪を駆動するモーターと、を備え、
前記操作装置は、
前記車椅子の左右どちらか他方の車体フレームに取り付けられる基部ブラケットと、
前記基部ブラケットに連結され、前記基部ブラケットに対して原位置から一方向に傾斜可能に構成される第1レバーと、
前記第1レバーに連結され、前記第1レバーに対して原位置から前記第1レバーの傾斜方向とは反対方向に傾斜可能に構成される第2レバーと、
前記第1レバー又は前記第2レバーの一方が傾斜することによって操作される、前記モーターに接続されるアクセル機構と、
前記第1レバー又は前記第2レバーの他方が傾斜することによって操作される、前記ブレーキに接続されるブレーキ伝達機構と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の車椅子用動力操作装置によれば、車椅子の左右の一方に設けられる動力装置によってモーターによる走行とハンドル操作とをすることができる。また、車椅子の左右の他方に設けられる操作装置によって、動力装置のモーターと車椅子のブレーキとを操作することができる。さらに、動力装置は、連結部及び被連結部によって車椅子に着脱することができる。またさらに、車椅子の正面には動力装置、操作装置のいずれもがないため、車椅子への乗降を妨げることがない。
【0018】
本発明の車椅子の操作方法は、
請求項7に記載の車椅子用動力操作装置を用いた車椅子の操作方法であって、
前記搭乗者が一方の手で前記ハンドル機構を操作して、
前記搭乗者が他方の手で前記第1レバー及び前記第2レバーのうち少なくとも前記第2レバーを操作して、
前記第1レバー又は前記第2レバーの一方を傾斜させることで前記アクセル機構が操作されて前記モーターが動作している走行状態、
前記第1レバー及び前記第2レバーを原位置にすることで前記モーターに電磁ブレーキがかかる弱ブレーキ状態、
前記第1レバー又は前記第2レバーの他方を傾斜させることで前記ブレーキ伝達機構が操作されて前記ブレーキが作動している強ブレーキ状態、
のいずれかの状態にすることを特徴とする。
【0019】
本発明の車椅子の操作方法によれば、上述の発明である車椅子用動力操作装置の作用効果に加えて、一方の手でハンドル操作をしながら、他方の手で実質的に第2レバーのみを操作することによって、車椅子を走行状態、弱ブレーキ状態、又は強ブレーキ状態の3種類の状態にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の操作装置及び車椅子用動力操作装置並びに車椅子の操作方法によれば、、実質的に1つのレバーを操作することで、ブレーキとアクセルの双方を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る車椅子用動力操作装置を装着した車椅子の右側の側面図である。
図2】車椅子用動力操作装置を装着した車椅子の左側の側面図である。
図3】車椅子用動力操作装置を装着した車椅子の平面図である。
図4】車椅子用動力操作装置を装着した車椅子の正面図である。
図5】連結機構の連結部と被連結部とを切り離した状態を説明する図である。
図6】連結機構そのものをベースフレームから取り外した状態を説明する図である。
図7】連結機構の着脱を説明するための平面図、側面図、底面図である。
図8】連結機構の着脱を説明するための平面図、側面図、底面図である。
図9】連結機構の着脱を説明するための平面図、側面図、底面図である。
図10図9に示す連結機構の正面図と背面図である。
図11】締結部材が異なる連結機構の着脱を説明するための平面図、側面図、底面図である。
図12】締結部材が異なる連結機構の着脱を説明するための平面図、側面図、底面図である。
図13】前輪上昇機構の動作を説明する図である。
図14】前輪上昇機構の動作を説明する図である。
図15】バッテリー及び吊下げ具を説明する図である。
図16】操作装置の側面図であり、第1レバー及び第2レバーが原位置にある状態を示す図である。
図17】操作装置の正面図である。
図18】操作装置の平面図である。
図19図16の操作装置の第1レバーを傾斜させた状態を示す図である。
図20図16の操作装置の第2レバーを傾斜させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の車椅子用動力操作装置300、動力装置1、及び操作装置200の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1等に示すように、本実施形態の車椅子用動力操作装置300は、動力装置1と操作装置200とを備え、動力装置1の一部の機能が操作装置200によって操作される。また、動力装置1及び操作装置200は、既存の車椅子100に後付け可能に構成される。なお、車椅子100は、搭乗者が座る座面及び肘掛け等の記載を省略している。
【0023】
先ず、動力装置1の実施形態から説明する。
図1から図5に示すように、本実施形態の動力装置1は、ベースフレーム10と、連結機構20と、ハンドル機構50と、駆動輪60と、モーター62と、前輪上昇機構70と、バッテリー収納部80とを備える。
【0024】
ベースフレーム10は、車椅子100を構成する車体フレーム101のうち左右どちらか一方の外側に設けられるもので、本実施形態では板状のプレート部材を採用している。このベースフレーム10は、車体フレーム101の一部を抱え込むような金具11とボルトによって、車体フレーム101に取り付けられる。また、ベースフレーム10には、複数のボルト用穴12が設けられており、様々な車椅子100の車体フレーム101に対応できるように構成される。
【0025】
また、ベースフレーム10の外側、すなわち車体フレーム101と反対側には、連結機構20を取り付けるためのフレームホルダー13が設けられる。このフレームホルダー13は、本実施形態では支柱クランプといわれる、支柱を略C字状部材の穴に挟み込んで、ボルト等で締めて支柱を固定する部材を用いている。このフレームホルダー13によって、連結機構20をさらに車椅子100の車体フレーム101の左右方向の外側に配置させることができ、駆動輪60と車椅子100のステップ104との干渉を防止することができる。なお、本実施形態の動力装置1は、図5に示すように、連結機構20の連結部21と被連結部24によって、ベースフレーム10側とハンドル機構50側とを切り離して着脱自在にすることもできるし、図6に示すように、フレームホルダー13と連結機構20とを切り離すこともできる。
【0026】
連結機構20は、図7から図10に示すように、ベースフレーム10のフレームホルダー13に取り付けられる連結部21、及び連結部21に着脱可能に連結される被連結部24を備える。なお、図7は連結部21と被連結部24とを外した状態、図8は連結部21に被連結部24を取付けようとしている状態、図9は連結部21と被連結部24とを連結させた状態を説明する図である。また、図7から図9のそれぞれの(A)は連結機構20の平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。また、図10(A)は図9における連結機構20の正面図、図10(B)は背面図である。
【0027】
連結部21は、フレームホルダー13の穴に差し込まれる断面円形の第1フレーム22、及び第1フレーム22の前方に設けられる平面視略コ字状の第1ヘッドジョイント23を備える。被連結部24は、第1ヘッドジョイント23に対応する平面視略コ字状の第2ヘッドジョイント25、第2ヘッドジョイント25の前方に設けられる第2フレーム26、及び第2フレーム26の前方に設けられるとともにハンドル機構50が取り付けられるヘッドパイプ27とを備える。
【0028】
また、連結機構20は、連結部21と被連結部24とを着脱させるための上側連結部材30、下側連結部材33、及び締結部材38を備える。上側連結部材30は、水平軸31と当接部32とを備える。水平軸31は、連結部21の第1ヘッドジョイント23又は被連結部24第2ヘッドジョイント25の一方の略コ字状の内側に、水平方向かつ車椅子100の左右方向に渡される棒状部材である。当接部32は、連結部21の第1ヘッドジョイント23又は被連結部24第2ヘッドジョイント25の他方の略コ字状の内側に設けられ、水平軸31に当接されて連結部21側の重さを支持するものである。本実施形態ではこの当接部32に、側面視で略J字状に曲げられた板材を採用している。
【0029】
下側連結部材33は、プランジャー34と嵌合体36とを備える。プランジャー34は、連結部21の第1ヘッドジョイント23又は被連結部24の第2ヘッドジョイント25の一方の略コ字状の左右方向側面の外側から内側に向かって、そのピン35が出し入れ可能に設けられる。嵌合体36は、連結部21の第1ヘッドジョイント23又は被連結部24第2ヘッドジョイント25の他方の略コ字状の左右方向側面に設けられた、プランジャー34のピン35が嵌められる穴36である。本実施形態では、プランジャー34として、手でツマミを操作してピン35の出し入れが可能な、インデックスプランジャー34を採用している。
【0030】
締結部材38は、水平軸31と当接部32とが当接され、かつプランジャー34と嵌合体36とが嵌め合わされた状態で連結部21と被連結部24とを締結するものである。本実施形態の締結部材38は、第1ヘッドジョイント23の側面から第2ヘッドジョイント25と対向する面に設けられた切欠き39と、第2ヘッドジョイント25の側面近傍に設けられたヒンジ40と、ヒンジ40に設けられた締結軸41と、締結軸41の先端に設けられたカムレバー42とで構成される。
【0031】
また、締結部材38の他の形態として、図11及び図12に示すように、第1ヘッドジョイント23又は第2ヘッドジョイント25に設けた、パッチン錠43と呼ばれるものを設けてもよい。なお、図11は連結部21と被連結部24とを外した状態、図12は連結部21と被連結部24とを連結させた状態を説明する図である。また、図11及び図12のそれぞれの(A)は連結機構20の平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
【0032】
また、締結部材38としては、第1ヘッドジョイント23と第2ヘッドジョイント25とが近接又は当接された状態で、両者を互いに固定するものであればよく、上記の例以外に、ねじ、バネ、トグル機構等を用いることができる。
【0033】
図1から図5に戻り、ハンドル機構50は、ハンドルステム51、ハンドル軸52、及びフォーク57を備える。ハンドルステム51は、被連結部24に設けられたヘッドパイプ27に回動自在に嵌挿されるパイプ状部材である。そして、ハンドルステム51の上端にはハンドル軸52が設けられ、下端にはフォーク57が設けられる。ハンドル軸52は、ハンドルホルダー53、オフセット部55、ハンドルバー54、及びグリップ56を備える。ハンドルホルダー53は、ハンドルステム51の上端から、車椅子100の後方向に延伸される部材である。ハンドルバー54は、ハンドルホルダー53の後端から、一旦車椅子100の内側方向に延伸されるオフセット部55を介して、上方向に設けられるパイプ状の部材である。グリップ56は、ハンドルバー54の上端に設けられる。上記のオフセット部55によって、ハンドルバー54がハンドルステム51より車椅子100の内側に配置される。
【0034】
駆動輪60は、フォーク57に車軸を介して取付けられるものである。この駆動輪60は、ベルト63を介して減速機構61に接続され、さらに減速機構61から別のベルト64で、駆動用のモーター62に接続される。これらの減速機構61とモーター62とは、ハンドルステム51の下端に設けられたブラケット65によって支持される。
【0035】
前輪上昇機構70は、図13及び図14に示すように、車椅子100の前輪103を上昇及び下降させることができるものである。なお、図13は前輪103を下降させたときの状態、図14は上昇させたときの状態を示す。本実施形態の前輪上昇機構70は、車椅子100の左右の前輪103のうち、駆動輪60側に設けられ、アウターパイプ71、インナーパイプ72、上下軸73、及びトグル機構74を備える。アウターパイプ71は、車椅子100の車体フレーム101に設けられた前輪取付パイプ102を延長するものである。このアウターパイプ71によって、前輪取付パイプ102が上方向に延長され、トグル機構74を手の届きやすい高さに配置することができる。インナーパイプ72は、前輪取付パイプ102とアウターパイプ71の中に嵌挿されるものであり、上下軸73との摺動面を構成する。上下軸73は、インナーパイプ72に上下方向に移動可能に嵌挿されるものである。上下軸73の下端には、車椅子100の前輪103が取付けられ、この上下軸が前輪103の取付軸73となる。また、上下軸73の上端には、トグル機構74であるトグルクランプ74が設けられ、このトグルクランプ74によって上下軸73と前輪103を、約20mm上下させることができる(図1参照)。
【0036】
バッテリー収納部80は、その内部にバッテリー81を収納するために、ベースフレーム10の外側に設けられる箱形のものである。このバッテリー収納部80は、車椅子100の前輪取付パイプ102及び前輪103の取付軸73より前方に設けられることが好ましい。また、図15に示すように、本実施形態の動力装置1では、バッテリー81を2つ重ねて用いるとともに、これらのバッテリー81を、バッテリー81を吊り下げるための吊下げ具82に入れている。この吊下げ具82は、公知の布製のベルトを用いて構成され、適宜面ファスナーやバックル等でベルト同士を接合又は連結させることができる。そして、バッテリー81は、吊下げ具82の取っ手を持って持ち上げられ、バッテリー収納部80に出し入れされる。
【0037】
次に、上述した本実施形態の動力装置1の構成要素を踏まえて、動力装置1の使用方法を説明する。先ずは、図1図5、及び図7から図9を参照して、連結機構20の着脱方法について説明する。図1は連結部21と被連結部24とを連結させた状態であり、図5は連結部21と被連結部24とを切り離した状態である。この図5の状態から図1の状態にする方法を、図7から図9を参照して説明する。なお、図7から図9に示す連結機構20は、図の左が車椅子100の前側であり右が後ろ側である。
【0038】
先ず、図7(A)~(C)に示すような、駆動輪60を前方に出してハンドル機構50を含む被連結部24を後傾させた状態にする。次に、図8(A)~(C)に示すような、被連結部24の当接部32を連結部21の水平軸31の下側に当接させた状態にする。ここで、他の実施形態で、当接部32が連結部21にあり、水平軸31が被連結部24に設けられている構成では、被連結部24の水平軸31を連結部21の当接部32の下側に当接させるようにすればよい。なお、この場合は、当接部32は下側に向かって開いているように本実施形態とは上下が逆向きに取付けられる。
【0039】
次に、図9(A)~(C)に示すような、駆動輪60を後方に押込んで、被連結部24の後傾を回復させる。すると、プランジャー34のピン35と嵌合体36とが嵌め合わされ、被連結部24と連結部21とが連結される。さらに、ヒンジ40を軸に締結軸41を回動させて連結部21の切欠き39に入れて、カムレバー42を操作すれば、締結部材38によって被連結部24と連結部21が強固に固定される。これで、図1に示すような状態となる。なお、図11(A)~(C)及び図12(A)~(C)については、締結部材38がパッチン錠43に変更されたのみで、他の構成は同じであるため、その説明を省略する。
【0040】
次に、前輪上昇機構70のトグル機構74を操作して、前輪103を上昇させる。この前輪103を上昇させることで、駆動輪60に荷重がかかり、駆動輪60の空転を防止することができる。被連結部24を連結部21から取外すときは、上記の逆の手順を踏めば良い。
【0041】
次に、操作装置200の実施形態を説明する。
図1から図4、及び図16から図20に示すように、本実施形態の操作装置200は、車椅子100の車体フレーム101の左右どちらか他方の、搭乗者の手が届きやすい箇所に設けられている。また、操作装置200は、基部ブラケット210と、第1レバー220と、第2レバー230と、アクセル機構250と、ブレーキ伝達機構251とを備える。
【0042】
基部ブラケット210は、車椅子100の左右どちらか他方の車体フレーム101の、搭乗者の手が届きやすい箇所に取り付けられるもので、フレーム取付穴211と、第1レバー連結部212と、アクセルスイッチ取付部213とを備える。フレーム取付穴211は、分割構造となっており車体フレーム101を挟んだ状態でボルト215等で締結される(図18参照)。第1レバー連結部212は、第1レバー220が取付けられるところである。この第1レバー連結部212に、第1レバー220の一部が挟まれるとともに、第1レバー220の支点となる第1レバーピン226が左右方向に貫通して取付けられる。アクセルスイッチ取付部213は、基部ブラケット210の下部が前方にせり出した部分であり、ここにアクセルスイッチ214が取付けられる。
【0043】
第1レバー220は、上記の第1レバー連結部212に連結されるものであり、基部ブラケット210に対して原位置から一方向のみに傾斜可能に構成される。この第1レバー220は、第1立ち上がり部221と、アクセルレバー222と、載置部223と、第2レバー連結部224と、アウターワイヤー端部保持部225とを備える。第1立ち上がり部221は、その下部が第1レバー連結部212に第1レバーピン226によって回動可能に連結されるものである。
【0044】
アクセルレバー222は、第1立ち上がり部221の途中から前方に突出された略逆L字状のものである。そして、第1レバー220を傾斜させることで、アクセルレバー222も同時に傾斜され、その下端部分でアクセルスイッチ214を押込む。このアクセルスイッチ214は、モーター62に動力装置1の電気回路(図示せず)を通じて電気的に接続されている。そして、アクセルスイッチ214が押込まれることでモーター62に通電され、アクセルスイッチ214が戻されることでモーター62への通電がなされなくなる。なお、アクセルスイッチ214と動力装置1との接続は、動力装置1を車椅子100から取外すときに配線等が簡易に着脱できるようコネクタ、又はプラグとソケット等を用いることが好ましい。なお、アクセル機構250は、上述のアクセルスイッチ214とアクセルレバー222とによって構成される。
【0045】
本実施形態の第1レバー220では、図16に示す状態が第1レバー220の原位置であり、車椅子100の搭乗者によって操作されて、前方に傾斜されたときに図19に示す状態になる。また、搭乗者が手の力を抜くか手を離す等すれば、図示しない付勢手段又はアクセルスイッチ214の反発力等によって、第1レバー220は自然に原位置又は原位置近傍に戻るようになっている。そして、第1レバー220は、基部ブラケット210に対して原位置より後方に傾斜することはない。
【0046】
載置部223は、第1レバー220の上面に設けられているもので、そこに搭乗者の手を載置させることができる。この載置部223には、搭乗者の手のうちの主に掌底又は小指球の近傍が載置される。さらに、そのまま手を載置させた状態で、第1レバー220及び第2レバー230を操作することも可能である。本実施形態では、載置部223は平面視略円形をなしているが、他の形状であっても良く大きさも様々なものを採用することができる。
【0047】
第2レバー連結部224は、第1レバー220の前側上部に設けられるもので、第2レバー230が取付けられるところである。この第2レバー連結部224に第2レバー230の一部が挟まれるとともに、第2レバー230の支点となる第2レバーピン234が左右方向に貫通して取付けられる。
【0048】
アウターワイヤー端部保持部225は、第1レバー220の前部下端に設けられているもので、ブレーキワイヤー240のアウターワイヤー241の端部であるアジャストボルト(アウターワイヤー端部)242が取付けられる。このアウターワイヤー端部保持部225は、第1レバー220の左右方向に突出して設けられており、その張り出した一対の部分に、一対のブレーキワイヤー240がそれぞれ取付けられる。なお、一対のブレーキワイヤー240のもう一方の端部は、車椅子100の左右の主車輪105に設けられたブレーキ106にそれぞれ接続されている。
【0049】
第2レバー230は、上記の第2レバー連結部224に連結されるものであり、第1レバー220に対して原位置から第1レバー220の傾斜方向とは反対方向に傾斜可能に構成される。この第2レバー230は、第2立ち上がり部231と、握り部232と、インナーワイヤー端部保持部233とを備える。第2立ち上がり部231は、その基部が第2レバー連結部224に第2レバーピン234によって回動可能に連結されるものである。
【0050】
握り部232は、第2立ち上がり部231から上方に延伸されたもので、搭乗者が手に握って操作するものである。インナーワイヤー端部保持部233は、握り部232の根元近傍に設けられるもので、ブレーキワイヤー240のインナーワイヤー243の端部に設けられたタイコ(インナーワイヤー端部)244を保持するものである。本実施形態では、棒状の部材が握り部232を左右方向に貫通して、左右方向にそれぞれ突出するように構成される。そして、インナーワイヤー端部保持部233に開けられた上下方向の穴(図示せず)に、インナーワイヤー243が通されて、タイコ244が抜け落ちないようにされている。
【0051】
本実施形態の第2レバー230では、図16に示す状態が第2レバー230の原位置であり、車椅子100の搭乗者によって操作されて、後方に傾斜されたときに図20に示す状態になる。このとき、第2レバー230が傾斜されることで、ブレーキワイヤー240のインナーワイヤー243が引っ張られてブレーキ106が作動する。また、搭乗者が手の力を抜くか手を離す等すれば、図示しない付勢手段又はブレーキ106の戻る力にインナーワイヤー243が引っ張られる等して、第2レバー230は自然に原位置又は原位置近傍に戻るようになっている。そして、第2レバー230は、第1レバー220に対して原位置より前方に傾斜することはない。また、ブレーキ伝達機構251は、上述の一対のブレーキワイヤー240とアウターワイヤー端部保持部225とインナーワイヤー端部保持部233とによって構成される。
【0052】
なお、上述した第1レバー220と第2レバー230は、傾斜させる方向を前後逆にすることができる。また、アクセル機構250とブレーキ伝達機構251の取付位置を逆にすることもできる。具体的には、アウターワイヤー端部保持部225を基部ブラケット210に設けてインナーワイヤー端部保持部233を第1レバー220に設ける。そして、アクセルスイッチ214取付部を第1レバー220に設けてアクセルレバー222を第2レバー230に設けることも可能である。また、アクセルスイッチ214を動力装置側に設けて、そのアクセルスイッチ214にアクセルワイヤー(図示せず)を接続して操作することも可能である。
【0053】
次に、上述した本実施形態の操作装置200の構成を踏まえて、操作装置200の使用方法を含めた車椅子の操作方法の実施形態を説明する。ここでは、動力装置1が車椅子100に装着されていて、かつ前輪上昇機構70によって車椅子100の前輪103が上昇されて、駆動輪60の駆動力によって車椅子100が走行可能であるものとする。
【0054】
先ず、車椅子100の搭乗者は、一方の手で動力装置1のハンドル機構50を操作する。具体的には、右手でグリップ56を持って動かすことで、任意の方向に駆動輪60を向ける。また、搭乗者は、他方の手で操作装置200の第1レバー220及び第2レバー230のうち、少なくとも第2レバー230を操作する。具体的には、左手で第2レバー230を持って前後に動かすことで、第1レバー220及び第2レバー230を任意の方向に傾斜させる。このとき、載置部223に搭乗者の手を載置させて、第1レバー220及び第2レバー230の操作をし易くすることができる。なお、このときはまだ車椅子100は停止した状態である。
【0055】
次に、図16に示す第1レバー220及び第2レバー230の双方が原位置にあって、車椅子100が停止している状態から、第1レバー220を前方に傾斜させて、第1レバー220及び第2レバー230を図19に示す状態にする。この図19に示す状態では、アクセルレバー222が第1レバー220とともに倒れてアクセルスイッチ214を押す。このようにアクセル機構250が操作されることで、モーター62に通電されてモーター62が駆動している走行状態となる。
【0056】
次に、第1レバー220及び第2レバー230が図19に示す状態である車椅子100が走行している状態から、第1レバー220又は第2レバー230にかけている手の力を抜いて、第1レバー220及び第2レバー230を図16に示す原位置にする。この図16に示す状態では、モーター62には通電されず、モーター62に電磁ブレーキがかかった弱ブレーキ状態になる。なお、この状態では車椅子100の主車輪105に設けられたブレーキ106は作動していない。
【0057】
次に、第1レバー220及び第2レバー230が図16に示す状態である車椅子100が走行している弱ブレーキ状態から、第2レバー230を後方に傾斜させて、第1レバー220及び第2レバー230を図20に示す状態にする。この図20に示す状態では、アウターワイヤー端部保持部225とインナーワイヤー端部保持部233との距離が開き、インナーワイヤー243が引っ張られる。このようにブレーキ伝達機構251が操作されることで、ブレーキ106が作動している強ブレーキ状態となる。
【0058】
なお、第1レバー220と第2レバー230の傾斜させる方向を前後逆にする実施形態、及びアクセル機構250とブレーキ伝達機構251の取付位置を逆にする実施形態では、上述の車椅子100の操作方法とは第1レバー220及び第2レバー230の操作方法が異なることは自明であり説明を省略する。
【0059】
以上、説明したように、本実施形態の車椅子用動力操作装置300によれば、動力装置1を車体フレーム101の左右の一方に設け、操作装置200を他方に設けている。これにより、車椅子100の正面に搭乗者の乗り降りを邪魔するものがなく、乗り降りが容易となる。また、一方の手で動力装置1のハンドル操作をして、他方の手で操作装置200のアクセル機構250とブレーキ伝達機構251の操作をすることができ、搭乗者が介助者なしで移動することができる。
【0060】
また、本実施形態の動力装置1によれば、既存の車椅子100に動力装置1を後付け可能であるため、今ある車椅子100をそのまま使用することができる。また、ベースフレーム10が車椅子100の車体フレーム101の外側に設けられており、動力装置1の構成要素の殆どが車体フレーム101の外側に配置される。このため、車椅子100の正面を空けることができ、車椅子100の乗降を楽に行なうことができる。また、駆動輪60と車椅子100のステップ104との干渉を避けることもできる。一方、オフセット部55によって、ハンドルバー54がハンドルステム51より車椅子100の内側に配置されるため、車椅子100の正面を空けながら、車椅子100の乗員の手がグリップ56に届きやすくなり、ハンドル操作が容易となる。
【0061】
また、連結機構20で被連結部24とハンドル機構50等を着脱することができる。これにより、介助者が居るときは、通常の車椅子100としての使用も可能である。また、ここでもベースフレーム10が車体フレーム101の外側に設けられており、車椅子100の折畳みが可能となる。
【0062】
また、連結機構20には、上側連結部材30と下側連結部材33に加えて、締結部材38を備えている。これにより、上側連結部材30と下側連結部材33に適度な遊びを持たせて、連結部21と被連結部24との着脱を容易としながら、これらをがたつきがなく強固に固定することができる。これは、上側連結部材30と下側連結部材33は、ある程度の遊びを持たせないと、特に高齢者等にとっては連結部21と被連結部24の着脱が困難となる。しかし、これらの部材に遊びがあると、使用中にがたつきが発生したり、がたつきによって部品の摩耗や消耗が促進されるという問題がある。これを、締結部材38によって、連結部21と被連結部24とを締結させることで、上記の問題を解決しているのである。
【0063】
また、前輪上昇機構70を備えるため、連結部21と被連結部24との着脱時には車椅子100の前輪103を下げて、連結部21と被連結部24に車椅子100の重量がかかるのを防止することができる。一方、連結部21と被連結部24とを連結させたときには、車椅子100の前輪103を浮かせて駆動輪60に荷重をかけることができる。さらに、バッテリー収納部80をベースフレーム10に設け、前輪の取付軸73又は前輪取付パイプ102より前に配置することで、バッテリー81の重さが駆動輪60にかかり、駆動輪60の空転を防止することができる。
【0064】
また、本実施形態の操作装置200によれば、第1レバー220と第2レバー230とを傾斜可能な方向を反対にして組み合わせることで、実質的に第2レバー230のみの操作によってアクセルとブレーキの操作をすることができる。また、この様な構成にすることで、ブレーキワイヤー240で作動する手動式のブレーキ106も操作可能となる。これにより、電気的な機構によって作動するブレーキが不要となり、車椅子100全体の構成を簡素なものにすることができる。
【0065】
また、アウターワイヤー端部保持部225とインナーワイヤー端部保持部233とが第1レバー220及び第2レバー230の左右に突出しているため、ブレーキワイヤー240を一対備えることが可能となり、車椅子100の主車輪105の左右両輪にブレーキをかけることができる。これにより、強ブレーキ状態であっても、ブレーキ106の片効きによる旋回が発生せず、車椅子100を安定して真っ直ぐに止めることができる。
【0066】
また、第1レバー220の上面に載置部223を設けているため、搭乗者の手を置くことができ、搭乗者の負担を減らすことができる。特に、第1レバー220を傾斜させるときには、載置部223に載置させた手に少し力を加えることで、第2レバー230に殆ど力を入れずに操作することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態の車椅子の操作方法によれば、第1レバー220及び第2レバー230の位置の組み合わせにより、モーター62へ通電されている走行状態、モーター62によって電磁ブレーキがかけられている弱ブレーキ状態、車椅子100の主車輪105に設けられたブレーキ106による強ブレーキ状態の3種類を使い分けすることができる。また、走行状態から強ブレーキ状態に移行する際、移行する間に弱ブレーキ状態の時間が生じる。これにより、急激な重心移動が起こりにくく、制動時に搭乗者及び車椅子がバランスを崩すことを防止できる。
【0068】
なお、上述の車椅子用動力操作装置、動力装置、動力装置、及び車椅子の操作方法は、本発明の例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲においてその構成を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0069】
300・・車椅子用動力操作装置、
1・・動力装置、
10・・ベースフレーム、11・・金具、12・・ボルト用穴、13・・フレームホルダー、
20・・連結機構、21・・連結部、22・・第1フレーム、23・・第1ヘッドジョイント、24・・被連結部、25・・第2ヘッドジョイント、26・・第2フレーム、27・・ヘッドパイプ、
30・・上側連結部材、31・・水平軸、32・・当接部、33・・下側連結部材、34・・プランジャー、35・・ピン、36・・嵌合体(穴)、38・・締結部材、39・・切欠き、40・・ヒンジ、41・・締結軸、42・・カムレバー、43,44・・パッチン錠、
50・・ハンドル機構、51・・ハンドルステム、52・・ハンドル軸、53・・ハンドルホルダー、54・・ハンドルバー、55・・オフセット部、56・・グリップ、57・・フォーク、
60・・駆動輪、61・・減速機構、62・・モーター、63,64・・ベルト、65・・ブラケット、
70・・前輪上昇機構、71・・アウターパイプ、72・・インナーパイプ、73・・上下軸(取付軸)、74・・トグル機構、
80・・バッテリー収納部、81・・バッテリー、82・・吊下げ具、

100・・車椅子、
101・・車体フレーム、102・・前輪取付パイプ、103・・前輪、104・・ステップ、105・・主車輪、106・・ブレーキ、

200・・操作装置、
210・・基部ブラケット、211・・フレーム取付穴、212・・第1レバー連結部、213・・アクセルスイッチ取付部、214・・アクセルスイッチ、215・・ボルト、
220・・第1レバー、221・・第1立ち上がり部、222・・アクセルレバー、223・・載置部、224・・第2レバー連結部、225・・アウターワイヤー端部保持部、226・・第1レバーピン、
230・・第2レバー、231・・第2立ち上がり部、232・・握り部、233・・インナーワイヤー端部保持部、234・・第2レバーピン、
240・・ブレーキワイヤー、241・・アウターワイヤー、242・・アジャストボルト(アウターワイヤー端部)、243・・インナーワイヤー、244・・タイコ(インナーワイヤー端部)、
250・・アクセル機構、251・・ブレーキ伝達機構、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20