(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134868
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】発泡体を導入したアプリケータ
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A45D34/04 535Z
A45D34/04 535C
A45D34/04 525Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021034330
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アレクシ・レオナール
(57)【要約】
【課題】アイライナー塗布などのライナー塗布をより容易にすること。
【解決手段】本発明は、アプリケータ(1)に関し、このアプリケータ(1)は、接続部分(21)から先端部分(22)まで第2の軸(y)に沿って延びる塗布部(2)であって、第2の軸に垂直な第1の軸(x)に沿って最大幅を有し、接続部分において第1の軸と第2の軸の両方に垂直な第3の軸(z)に沿って最大高さを有する、塗布部(2)と、接続部分(21)からベース部分(31)まで第2の軸(y)に沿って、塗布部から離れて延びる取付け部(3)と、を備え、塗布部(2)は、互いから離れて突き出る2つの凸面が第3の軸に沿って結合された形状を有し、2つの凸面の交線に対応する2つの側縁部(24)を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケータ(1)であって、
接続部分(21)から先端部分(22)まで第2の軸(y)に沿って延びる塗布部(2)であって、前記第2の軸に垂直な第1の軸(x)に沿って最大幅を有し、および前記第1の軸と第2の軸との両方に垂直な第3の軸(z)に沿って前記接続部分において最大高さを有する、塗布部(2)と、
前記接続部分(21)からベース部分(31)まで前記第2の軸(y)に沿って、前記塗布部から離れるように延びる取付け部(3)と、
を備え、
前記塗布部(2)が、互いから離れて突き出る2つの凸面が前記第3の軸に沿って結合され、前記2つの凸面の交線に対応する2つの側縁部(24)を有する形状を有する、アプリケータ(1)。
【請求項2】
前記塗布部(2)を貫く貫通孔である窓部(26)を備える、請求項1に記載のアプリケータ(1)。
【請求項3】
前記アプリケータ(1)が、多孔質材料で作られる、請求項1または2に記載のアプリケータ(1)。
【請求項4】
前記多孔質材料が、50%~80%の気孔率および5μm~50μmの平均孔径を有する発泡ポリエチレンである、請求項3に記載のアプリケータ(1)。
【請求項5】
前記塗布部(2)の幅が、前記側縁部(24)で前記接続部分(21)から前記先端部分(22)まで縮小する、請求項1から4のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)。
【請求項6】
前記側縁部(24)が、所定の曲率半径を有する弧に従って作られる、請求項1から5のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)。
【請求項7】
前記取付け部(3)が、前記ベース部分(31)から前記接続部分(21)まで前記第2の軸(y)に沿って延びる取付け穴(32)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)。
【請求項8】
前記アプリケータ(1)が、前記第2の軸(y)に対して回転対称である形状を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)。
【請求項9】
塗布デバイス(100)であって、
塗布される液体を含む貯蔵器を定める本体(110)と、
前記液体が乾燥するのを防ぐために前記本体に固定されるクロージャキャップ(120)と、
請求項1から8のいずれか一項に記載のアプリケータ(1)と、
を備え、
前記アプリケータが、前記本体または前記クロージャキャップに固定され、塗布される前記液体をしみ込ませる、塗布デバイス(100)。
【請求項10】
塗布される前記液体が、化粧液である、請求項9に記載の塗布デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡材料で作られたアプリケータに関する。本発明はまた、そのようなアプリケータを備える、化粧用のライナー塗布デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ライナーアプリケータでラインを引くことによって、たとえばまぶた、眉、および唇にメイクアップを施すことは、知られている行為である。
【0003】
特許文献1は、化粧品塗布デバイスを開示している。このデバイスは、把持部材と、把持部材と一体のアプリケータ要素と、を備える。アプリケータ要素は、少なくとも部分的に発泡プラスチックで作られる。塗布デバイスは、化粧品をパッケージングおよび塗布するための組立体の一部として利用されることがある。
【0004】
特許文献2は、アイライナーを開示している。このアイライナーは、化粧品がその中に保管されたコア材料を有する本体ユニットと、一方の端部が本体ユニットのコア材料に触れ、他方の端部が化粧品を分注するために本体ユニットの外に露出した塗布チップ、とを含む。塗布チップの一部に、窓が形成される場合がある。使用者は、目の輪郭に沿ってより正確かつ精密に使用者の目にラインを容易に引くことができる。
【0005】
特許文献3は、アイライナーをパッケージングおよび塗布するためのデバイスを開示している。このデバイスは、塗布されるアイライナーを含む容器と、容器に含まれたアイライナーを塗布するための塗布表面を定め、塗布表面に少なくとも1つの空洞が開き、縦軸に沿って細長いアプリケータチップと、を含み、空洞は、2つの壁によって横方向に境界をつけられ、塗布表面側の、それらの自由縁部は、空洞の縦軸に垂直な軸を中心に凸状の形状である。
【0006】
特許文献4は、化粧用のアプリケータを開示している。このアプリケータは、塗布要素と、分離ゾーンによって区切られている取外し可能な保護要素と、を備え、塗布要素は、発泡体で製造され、詳細には処理またはメイクアップされる表面と接触するように、保護要素の除去後に放出されるように、または上記の表面と接触して製品を放出するように意図された1つまたは複数の微粒子化合物を含み、保護の要素が発泡材料で作られ、塗布要素と一体に成形することによって得られることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2020/128219号パンフレット
【特許文献2】大韓民国特許出願公開第10-2018-0105392号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0246767号明細書
【特許文献4】仏国特許第2 799 939号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
アイライナー塗布などのライナー塗布をより容易にすることが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、本発明はアプリケータを提供する。このアプリケータは、接続部分から先端部分まで第2の軸に沿って延びる塗布部であって、第2の軸に垂直な第1の軸に沿って最大幅を有し、第1の軸と第2の軸との両方に垂直な第3の軸に沿って最大高さを有する、塗布部と、接続部分からベース部分まで第2の軸に沿って、塗布部から離れて延びる取付け部と、を備えてもよく、塗布部は、互いから離れて突き出る2つの凸面が第3の軸に沿って結合された形状を有し、2つの凸面の交線に対応する2つの側縁部を有する。
【0010】
本発明による一実施形態では、アプリケータは、窓部を備えてもよく、この窓部は塗布部を貫く貫通孔であってもよい。アプリケータは、50%~80%の気孔率および5μ~50μmの平均孔径を有する、発泡ポリエチレンなどの多孔質材料で作られてもよい。
【0011】
本発明による一実施形態では、アプリケータの塗布部の幅は、側縁部で接続部分から先端部分まで縮小してもよい。アプリケータの側縁部は、所定の曲率半径を有する弧に従って決定され得る。
【0012】
本発明による一実施形態では、アプリケータの取付け部は、ベース部分から接続部分に向かって第2の軸に沿って延びる取付け穴を備えてもよい。アプリケータは、第2の軸に対して回転対称である形状を有してもよい。
【0013】
別の態様によれば、本発明は塗布デバイスを提供する。この塗布デバイスは、塗布される液体を含む貯蔵器を定める本体と、液体が乾燥するのを防ぐために本体に固定されるクロージャキャップと、上述のアプリケータと、を備えてもよく、アプリケータは、本体またはクロージャキャップに固定され、塗布される液体を吸収および保持し、この液体は化粧液であってもよい。
【0014】
本発明は、その非限定的な実施形態についての以下の説明を読めば、また添付の図面を検討すれば、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明によるアプリケータのz軸に沿った平面図である、
【
図3】本発明によるアプリケータのx軸に沿った側面図である。
【
図4】本発明によるアプリケータのy軸に沿った正面図である。
【
図5】本発明によるアプリケータを備えるライナー塗布デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から
図4は、本発明によるアプリケータ1の一実施形態を示す。本発明のアプリケータ1は、一方向において細長い形状を有する。x軸、y軸、およびz軸が、アプリケータに適用される。x軸xは、アプリケータ1が最大幅を有する方向に対応する。y軸yは、アプリケータ1の長手方向に対応し、x軸xに垂直である。z軸zは、アプリケータ1が最大高さを有する方向に対応し、x軸xとy軸yとの両方に垂直である。
【0017】
アプリケータ1は、y軸yに位置合わせされた塗布部2および取付け部3からなる。塗布部2は、接続部分21から先端部分22までy軸yに沿って延びる。取付け部は、接続部分21からベース部分31までy軸yに沿って、塗布部2から離れるように延びる。
【0018】
塗布部2は、x軸xに沿った幅、y軸yに沿った長さ、およびz軸zに沿った高さを有する。塗布部2は、接続部分21において、x軸xに沿った最大幅、およびz軸zに沿った最大高さを有する。塗布部2は、互いから離れて突き出る2つの凸面がz軸zに沿って結合される形状を有してもよい。
【0019】
2つの側縁部24は、2つの凸面の交線に対応し、塗布部2は、x軸xに沿ったこれらの側縁部によって区切られる。塗布部2の幅は、所定の曲率半径を有する弧に従って形成される側縁部24で、接続部分21から先端部分22まで縮小する。2つの側縁部24は、先端部分22で交わる。接続部分21は、この実施形態ではy軸yに垂直である平面で終わる。
【0020】
したがって、塗布部2は、z軸zに沿って見ると実質的に二等辺三角形の形状を有し、y軸yに垂直な平面における塗布部2の断面形状は、その断面積が接続部分21から先端部分22まで徐々に縮小するアーモンドのような形状を有する。さらに、塗布部2の形状は、y軸yおよびz軸zからなる平面に対して対称であり、y軸yに対して回転対称である。
【0021】
塗布部2は、塗布部2の実質的に中央に窓部26を有する。窓部26は、この実施形態では塗布部2を貫く貫通孔であってもよい。窓部26は、x軸xに沿った幅、およびy軸yに沿った長さを有する。
【0022】
窓部26は、接続部分21の近傍にある半円形の壁27と、半円形の壁27の各側から先端部分22の近傍にある頂点部分29まで延びる2つの側壁28と、を有する。窓部26は、半円形の壁27と側壁28の各々との間で最大幅を有し、頂点部分29に向かって縮小する。側壁28の各々は、平坦面であっても、湾曲面であってもよい。したがって、窓部分26は、z軸zに沿って見ると涙滴の形状を有する。窓部26の縁部は、面取りされてもよい。
【0023】
窓部26は、塗布部2の柔軟性を上げること、したがって使用者の心地よさを高めることに寄与する。窓部26はまた、窓26を通して鏡を見ながら、たとえば、アイライナーを利用するときの使用者の視界を改善することに寄与する。
【0024】
取付け部分3は、この実施形態ではy軸yを中心とする実質的に円筒形状を有する。取付け部分3はまた、立方体形状または円錐台形状を有する場合もある。取付け部分3は、y軸yに関して塗布部2の中心に置かれているが、取付け部分3は、x軸xおよび/またはy軸yに沿って中心を外れていてもよい。
【0025】
取付け部3は、塗布部2と一体に形成されてもよい。代替的に、取付け部3は、塗布部2とは別個に形成され、塗布部2と結合されてもよい。取付け部3は、この実施形態では塗布部2の最大高さと実質的に同じ直径を有するが、これに限定されない。
【0026】
取付け部3は、取付け穴32を備え、以下で説明する塗布デバイスのロッドがその中に挿入され得る。取付け穴32は、ベース部分31から接続部分21に向かってy軸yに沿って延び、接続部分21の近傍で終わる。取付け穴32は、接続部分21を越えて延びてもよい。
【0027】
塗布部2および取付け部3は、多孔質材料で作られる。詳細には、塗布部2および取付け部3は、この実施形態では、50%~70%の気孔率、および5μm~50μmの孔の平均直径を有する発泡ポリエチレンで作られる。発泡ポリウレタンなどの他の多孔質材料が、用途に応じて使用されてもよい。
【0028】
塗布部2および取付け部3は、同じ材料で作られてもよく、または塗布部2および取付け部3は、互いとは異なる材料で作られてもよい。多孔質材料で作られたアプリケータ1は、非常に滑らかな表面および複雑なデザインを有し得る。
【0029】
次に、本発明によるアプリケータ1の利用の一例について、以下で説明する。
図5は、本発明のアプリケータ1を含む、化粧液でラインを引くためのライナー塗布デバイス100の一例を示す。ライナー塗布デバイス100は、y軸yに沿って細長い形状を有するペンの形の本体110を備え、本体110は、アイライナーなど、使用者の皮膚に塗布される化粧液を含むための貯蔵器を定める。
【0030】
ライナー塗布デバイス100はまた、スナップ留め、ねじ留め、および摩擦などの適切な手段によって本体110に着脱可能に取り付けられるクロージャキャップ120を備える。クロージャキャップ120は、クロージャキャップ120が本体110に取り付けられているとき、貯蔵器内の化粧液が乾燥するのを防ぐ機能を有する。
【0031】
アプリケータ1は、たとえば、取付け部3を本体110にプレス嵌めすることによって、本体110の一端部に固定される。取付け部3は、アプリケータ1が本体110に固定されるとき、貯蔵器と流体連通するようになる。アプリケータ1は多孔質材料で作られているので、アプリケータ1は、貯蔵器内の化粧液を吸収し、その中に液体をしみ込ませる。貯蔵器に含まれた化粧液は、取付け部3を介して塗布部2の先端部分22に到達する。
【0032】
クロージャキャップ120は、通常、ライナー塗布デバイス100が使用されないとき、本体110に取り付けられる。貯蔵器と流体連通し、化粧液をしみ込ませているアプリケータ1は、クロージャキャップ120が本体110に固定されると、クロージャキャップ120で覆われる。クロージャキャップ120は、この状態で化粧液を乾燥させるのを防ぐ。
【0033】
ライナー塗布デバイス100が使用されるとき、クロージャキャップ120は、本体110から取り除かれる。クロージャキャップ120が本体110から取り除かれると、アプリケータ1の塗布部2は露出する。塗布部2は、化粧液をしみ込ませ、使用者は、塗布部2を使用者の皮膚に接触させることによって皮膚にラインを引くことができる。ラインの太さは、塗布部2が皮膚に触れる角度に応じて変えることができる。
【0034】
代替的に、クロージャキャップ120は、クロージャキャップ120からy軸yに沿って延びるロッド(図示略)を備えてもよく、アプリケータ1は、クロージャキャップ120より遠位の端部に取り付けられてもよい。アプリケータ1は、たとえば、ロッドを取付け穴32にプレス嵌めすることによって、ロッドに固定することができる。クロージャキャップ120は、通常、ライナー塗布デバイス100が使用されないとき、本体110に取り付けられる。
【0035】
クロージャキャップ120が本体110に取り付けられるとき、アプリケータ1は、貯蔵器に含まれた化粧液に浸され、化粧液をしみ込ませる。使用時に、クロージャキャップ120を本体110から取り除いて、アプリケータ1を貯蔵器から引き出し、しみ込ませた化粧液を塗布することができる。
【0036】
アイライナー塗布に使用される本発明の実施形態について説明しているが、本発明は、どんな種類の化粧塗布にも使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 アプリケータ
2 塗布部
3 取付け部
21 接続部分
22 先端部分
24 側縁部
26 窓部
27 半円形の壁
28 側壁
29 頂点部分
31 ベース部分
32 取付け穴
100 ライナー塗布デバイス
110 本体
120 クロージャキャップ
【外国語明細書】