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  • 特開-双六ゲーム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134884
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】双六ゲーム
(51)【国際特許分類】
   G09B 1/32 20060101AFI20220908BHJP
   A63F 3/04 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
G09B1/32
A63F3/04 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034358
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】518085025
【氏名又は名称】特定非営利活動法人創力UP
(74)【代理人】
【識別番号】100069073
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 和保
(72)【発明者】
【氏名】朝田 昌男
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プログラムの流れを理解することができるプログラム学習のための双六ゲームを提供する。
【解決手段】双六ゲームAは、スタートカード1と、ゴールカード2と、スタートカード及びゴールカードの間に配置される複数の中間カード3とによってルート4が構成され、数値決定手段によって決定された数値にしたがって、コマを、ルートを構成するカード上に進める双六ゲームにおいて、中間カードは、イベントが記載されたイベントカード30と、イベントが記載されない空白カード34とによって構成され、コマが停止するカードも含めて前記コマが通過するカードのイベントがすべて実行されることにある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタートカードと、ゴールカードと、前記スタートカード及びゴールカードの間に配置される複数の中間カードとによってルートが構成され、数値決定手段によって決定された数値にしたがって、コマを、前記ルートを構成するカード上に進める双六ゲームにおいて、 前記中間カードは、イベントが記載されたイベントカードと、イベントが記載されない空白カードとによって構成され、 前記コマが停止するカードも含めて前記コマが通過するカードのイベントがすべて実行されることを特徴とする双六ゲーム。
【請求項2】
前記イベントカードに記載されるイベントは、前記コマに設定されたキャラクターの状況を変化させるイベント、前記コマのキャラクターを判定してルートを選択するイベント、及び前記コマを所定カードに移動させるイベントであることを特徴とする請求項1記載の双六ゲーム。
【請求項3】
前記中間カードによって設定されるルートは、フローチャートに変換可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の双六ゲーム。
【請求項4】
前記中間カードは、コマが止まった場合にのみ、そこに記載されたイベントを実行するピンポイントカードを具備することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の双六ゲーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラミング学習のためにプログラミングに模したルートを自由に構築できるプログラミング学習のための双六ゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(実用新案登録第3075705号公報)に開示される双六ゲームは、サイコロを振って出た目の数にしたがってチップを進め、早くゴール点の到達することを競う双六において、表面にスタート点とゴール点と複数のステーションを有する基本ルートとが印刷表示されたボードと、複数枚のカードとの組合せからなり、前記ボードに表示された基本ルート6,7は少なくとも2つのルートを持ち、一つのルートは前記スタートからボードの端辺で途切れ、他のルートはボードの端辺での途切れ端から前記ゴール点に至り、各ルートの途切れ端間に前記複数枚のカードを並べることによりカードルートを形成してこれら各カードをステーションとしてチップを進めるようにしたことを特徴とするものである。
【0003】
特許文献2(特開2020-92748号公報)に開示される情報処理システムは、球団が運営するプロ野球チームに応じた内容で、且つ連続性があるゲームのアプリケーションとして、プロ野球チームをテーマとした双六を提供するもので、双六ゲームの参加者は、スポンサー企業に対応する店舗への来店、スポンサー企業に対応する商品の購入、球場への来場、チームの勝利や応援している選手の活躍など、所定の条件を満たす場合、ルーレットを回すことができ、ルーレットにより決定された数値にしたがって、双六のマス上のコマを進めることができるようにしたものである。
【0004】
特許文献3(実用新案録第3229351号公報)に開示される双六ゲーム具は、コマを進めるために主ルートを構成する連続的に記載された複数の区画を記載した主ルート記載部材を備え、複数の区画がスタート区画とゴール区画と複数の中間区画とを含み、複数の中間区間が、スタート区画とゴール区画とを結ぶように記載されており、中間区画が、健康の増進に関する情報と参加者のヘルスポイントを増やすための加算値とを記載した健康増進区間と、健康の減退に関する情報と参加者のヘルスポイントを減らすための減算値とを記載した健康減退区画と、健康診断の受診に関する情報を記載した健康診断区画とを含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3075705号公報
【特許文献2】特開2020-92748号公報
【特許文献3】実用新案登録第3229351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1では、ボードに固定的に画かれたルートと、このルートのボード端で途切れた途切れ端を複数枚のカードをループに並べて継ぐカードルートとで双六のチップを進めるステーションを形成するようにしたので、カードの並べ方を変えるだけで変化に富んだ双六ゲームを楽しむことができるが、この双六では、イコロによって決定された数だけ進んだチップが停止したカードのイベントが実行されるだけである。
【0007】
同様に、特許文献2では、スポンサー企業に対応する店舗での来店等によってルーレットを回す権利が発生し、ルーレットを回して決定される数値の分だけ、仮想ルート上のマス目を進むことができることを特徴とするもので、この特許分家2においても停止したマス目に記載されたイベントのみが実行される。
【0008】
また、特許文献3においても、学習を目的とした双六ゲームでは、コマを進めるルートが固定されており、サイコロによって決定された数だけ進んだコマが停止した区画に記載されたイベントのみが実行されるものである。
【0009】
しかしながら、双六には、ルートを多数組み合わせることができる、区画に記載する条件を自由に決定することができる、条件によりルートを選択することができる、遊戯者の特質を自由に設定できる、特質について増減させることができるなど、の特徴がある。
【0010】
以上の双六の特徴から、幼児教育の一環として、プログラムの流れを幼児に教える教材として、双六遊びが使えることを本発明者は見いだした。
【0011】
このため、本発明は、プログラムの流れを理解することができるプログラム学習のための双六ゲームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、スタートカードと、ゴールカードと、前記スタートカード及びゴールカードの間に配置される複数の中間カードとによってルートが構成され、数値決定手段によって決定された数値にしたがって、コマを、前記ルートを構成するカード上に進める双六ゲームにおいて、前記中間カードは、イベントが記載されたイベントカードと、イベントが記載されない空白カードとによって構成され、前記コマが停止するカードも含めて前記コマが通過するカードのイベントがすべて実行されることにある。
【0013】
前記カードは、双六のマス目に相当するものであり、自由に配置可能であることが望ましい。
【0014】
また、前記イベントカードに記載されるイベントは、前記コマに設定されたキャラクターの状況を変化させるイベント、前記コマのキャラクターを判定してルートを選択するイベント、及び前記コマを所定カードに移動させるイベントであることが望ましい。
【0015】
以上により、本発明に係る双六ゲームでは、サイコロ、ルーレット、トランプなどの数値決定手段によって決定された数値にしたがってコマをルート上で移動させると、通過したルート上にあるイベントカードのイベントをすべて実行することになる。これは従来の双六ゲームと異なるものであり、プログラムを示すフローチャートと同様の動作を行うものである。
【0016】
このため、前記中間カードによって設定されるルートは、フローチャートに変換可能であることが望ましい。
【0017】
以上のように、従来の双六ゲームでは、コマが停止したカードに記載されたイベントのみが実行されるが、コマがカードを通過するイベントをすべて受けることで、コマが進む毎にカードの文を順次実行していくため、順次処理的な機能を持たせたものとなる。
【0018】
また、プレーヤーが利用できる情報を持つようにすることが望ましい。この場合、情報の内容に応じてコマの動きを変えることができるものである。
【0019】
さらに、前記中間カードは、コマが止まった場合にのみイベントを実行するピンポイントカードを具備することが望ましい。このピンポイントカードは、双六ゲーム固有のルールによるもので、通過した場合には、記載されたイベントは実行されず、停止した場合にだけ記載されたイベントが実行されるものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、双六ゲームが順次処理的な機能を有することから、コマが分岐的のカードを通過する時に、カードの文を実行してどちらのルートに進むのかを決定することができ、プレーヤーが利用できる情報を持つことで、アルゴリズムも学ぶことができるものである。
【0021】
さらに、双六ゲームのルートを自分で作成することができるため、プログラミング能力を学習することができるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一例を示した双六ゲームである。
図2図2は、図1に示す双六ゲームに対応するフローチャート図の例を示したものである。
図3図3は、本発明の別の一例を示した双六ゲームである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る双六ゲームは、スタートカードと、ゴールカードと、前記スタートカード及びゴールカードの間に配置される複数の中間カードとによってルートが構成され、数値決定手段によって決定された数値にしたがって、コマを、前記ルートを構成するカード上に進める双六ゲームにおいて、前記中間カードは、イベントが記載されたイベントカードと、イベントが記載されない空白カードとによって構成され、前記コマが停止するカードも含めて前記コマが通過するカードのイベントがすべて実行されると共に、前記イベントカードに記載されるイベントは、前記コマに設定されたキャラクターの状況を変化させるイベント、前記コマのキャラクターを判定してルートを選択するイベント、及び前記コマを所定カードに移動させるイベントであり、前記中間カードによって設定されるルートは、フローチャートに変換可能であることにある。
【0024】
まあ、プレーヤーのキャラクターとして利用する情報としては、プレーヤーが共有して利用する情報と、プレーヤー個人が利用する情報があり、これらにプレーヤーが利用する情報を記録する記憶媒体としては、ホワイトボード、箱、紙などがある。
【実施例0025】
本発明に係る双六ゲームAは、例えば図1に示すもので、スタートカード1と、ゴールカード2と、前記スタートカード1及びゴールカード2の間に配置される複数の中間カード3とによってルート4が構成される。
【0026】
中間カード3は、イベントカード30と空白カード34とによって構成され、特にイベントカード30は、通過するコマのキャラクターの状況を変化させる状況カード31と、コマのキャラクターを判定してルート4を選択する選択カード32と、コマを所定のカードに移動させる移動カード33とによって構成される。なお、空白カード34は、道筋のみを示すカードである。
【0027】
また、コマのキャラクター、いわゆるプレーヤーが利用する情報としては、例えば下記の表1に示されるものである。
【0028】
【表1】
【0029】
以上のことにより、所望の中間カード3を配置することによってルート4が決定された双六ゲームAにおいて、プレーヤー1のコマは、スタートカード1によって設定されたスタート地点100に立ち、数値決定手段、例えばサイコロを振って、出た目の数だけルート4上を進む。例えばスタートカード1によるスタートステップ100において、サイコロの目が「3」と出た場合には、ステップ110、120,130(状況カード31)と進んでこの地点130で停止する。この地点で、ステップ110のイベント「朝食を取る」、ステップ120のイベント「1000円取得」、ステップ130のイベント「天気:雨」が実行され、上記表1で示すコマのキャラクターは、下記の表2のように変化する。
【0030】
【表2】
【0031】
この例としては、用途「共有」、形態「掲示板」変数名「天気」の値には、ステップ130により「雨」が設定され、時間帯には、ステップ110の情報「朝食」から「朝」が設定され、朝食を取ったことから、体力及び気力が数値化され、ステップ130により財布に「1000円」が追加されるものである。
【0032】
ステップ130において振ったサイコロの目が「4」である場合、ステップ140(判定カード32)において「サイコロの目」が「偶数」か否かが判定され、サイコロの目「4」が偶数であることから、ステップ140からステップ150側が選択され、コマはステップ170まで4つ進むことになる。尚、ステップ160は、空白カード34であるので、単に通過するだけである。
【0033】
ステップ170において振られたサイコロの目が「4」の場合、ステップ170(判定カード32)から所持金が1000円であることから、「700円以上」であり、レストランで食事をする方向にステップ200まで移動する。この場合、ステップ150を通過するので、食事をしたことから、気力及び体力を増加させても良いものである。また、所持金は、700円減少して300円となり、ステップ200(移動カード33)により、ステップ170に戻ると共に所維持金が「300円」であることから、ステップ220(移動カード33)によって指定されたステップ250に進む。
【0034】
【表3】
【0035】
前記ステップ130において、サイコロの目が「5」である場合には、ステップ140の判定においてサイコロの目
が「奇数」であることから、ステップ230側に5マス進み、ステップ260で停止することとなる。この場合、ステップ240(状況カード31)において、「財布を落とす」ことから所持金が「0」となり、ステップ260(判定カード32)によりコマの「所持金」が「0円」か否かが判定される。この判定において、所持金が「0円」の場合には、ステップ300のアルバイトのサブルーチン5に進む。この実施例では、説明のために、アルバイトをサブルーチン5として構成する。
【0036】
ステップ300から開始される「アルバイト」のサブルーチンにおいて、サイコロの目の数にしたがったコマの移動に伴って、ステップ310(判定カード32)において「所持金」が「300円以下」か否かが判定され、「300円以下」の場合には、ステップ320「働く」に進み、ステップ330において時給として100円取得し、ステップ340からステップ310に移動する。このルーチンを繰り返すことによって所持金は100円ずつ増加する。これによって、ステップ310の判定によって所持金が400円以上となった場合には、ステップ350(移動カード33)を経てステップ250に戻る。
【0037】
ステップ250(空白カード34)で、サイコロの目が「2」となれば、ステップ260の判定において所持金が「400円」になっていることから、ステップ270(ゴールカード2)に到達して「上がり」となる。
【0038】
以上のように、スタートカード1と、ゴールカード2との間に複数の中間カード3を配置することによって自由にコマのルート4やサブルーチン5を設定することができるが、ルート4及びサブルーチン5の流れは、プログラムを組むように論理的に構成することが必要となるため、遊びながらプログラムの学習を行うことができるものである。
【0039】
このように、図1に示す双六ゲームAの流れは、図2のフローチャートBによって示すことができる。このフローチャートBを構成するエレメントは、図1に示す双六ゲームAの各ステップに対応させることができる。
【0040】
このフローチャートBにおいて、ステップ100’から開始された手順は、ステップ110’、120’、130’を介してそれぞれのステップに記載された内容が実行され、プレーヤーのキャラクターは、上記表1に示す状態から表2に示す状態に変化する。ステップ140では、サイコロの目が偶数か否かの判定が行われ、偶数の場合には、ライン150’,160’を介してステップ170’に至り、所持金が700円以上か否かの判定が行われ、所持金が700円以上の場合には、ステップ180’,190’を経て、プレーヤーのキャラクターは、表3に示すように変化して、ステップ170’に回帰し、所持金が700円以下となることから、ライン220’からステップ260’に移動する。
【0041】
また、ステップ140’の判定において奇数が判定された場合には、ライン230’を介してステップ240’に進み、「財布を落とす」が実行されて所持金が「0円」となる。この場合、ステップ260’の判定においてアルバイトのサブルーチン300’が実行される。このアルバイトのサブルーチン300’において、ステップ310’では、所持金が「300円」以下の場合には、ステップ320’に進んで「働く」ことが実行され、ステップ330’において時給100円が獲得され、ライン340’を介してステップ310’に回帰する。ここではステップ320’及び330’が4回繰り返された所持金として400円が獲得された後、ステップ310’の判定により、ステップ350’を介してステップ260’に復帰し、所持金があることから、ステップ270’にて終了となる。
【0042】
このように、図1の双六ゲームAとフローチャートBとは対応するものであり、双六ゲーム1からフローチャートBを考えることも可能であり、フローチャートBを基にして双六ゲームAを創作することも可能である。このため、既存の工程、業務の流れを示すフローチャートから双六ゲームを作り出すことも可能となるものである。
【実施例0043】
実施例2に係る双六ゲームA’は、双六ゲームとしての面白さを向上させるために、中間カード3として、双六ゲーム固有の特徴であるコマが止まった箇所のイベントのみを実行するピンポイントカード35を設けることを特徴とするものである。
【0044】
尚、実施例2に係る双六ゲームA’は、図3に示すもので、図1に示す双六ゲームAに変更を加えたものである。このため、同一の箇所には同一の符号を付してその説明を省略し、変更された点及びそれに付随する点を以下に説明する。
【0045】
図3に示す双六ゲームA’は、図1に示す双六ゲームAにおいて、ステップ150の空白カード34に替えて「天気:晴れ」が記載されたピンポイントカード35を配置し、ステップ240の「財布を落とす」という状況カード31に替えて「財布を落とす」というピンポイントカード35を配置したものである。これに伴って、ステップ220の前にステップ210(判定カード32)を追加し、ステップ210,220の移動先を変更した。
【0046】
これによって、サイコロの目によってステップ150を通過した場合には、図1に示す双六ゲームAと同じ動作が実行されるが、サイコロの目によってコマがステップ150に停止した場合、プレーヤーの有するキャラクターのうち、天気が「雨」から「晴れ」に変更される。このため、ステップ170の判定において所持金が「700円以上」でない場合には、ステップ210で「天気」が判定され、「晴れ」の場合には、ステップ250に進み、「雨」の場合にはステップ220からステップ230に進むというように、コマの進むルート4に汎用性、複雑性を持たせることができるものである。
【0047】
同様に、ステップ240の「財布を落とす」というイベントも、サイコロの目によってステップ240を通過した場合には、ステップ260の判定においてアルバイトのサブルーチンに移動する必要がなくなり、コマがステップ240に止まった場合にのみ、アルバイトを強いられることになるため、双六ゲームの面白さを向上させることができるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 スタートカード 2 ゴールカード 3 中間カード 4 ルート 5 サブルーチン 30 イベントカード 31 状況カード 32 判定カード 33 移動カード 34 空白カード
図1
図2
図3