(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134909
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】警報器
(51)【国際特許分類】
G08B 21/00 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
G08B21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034392
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 和宏
(72)【発明者】
【氏名】中島 唯宣
(72)【発明者】
【氏名】宮城 正樹
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA01
5C086AA02
5C086CA12
5C086CB01
5C086CB16
5C086DA01
5C086DA08
5C086FA06
5C086FA11
(57)【要約】
【課題】適切に人体検出時処理を行うことができる警報器を提供する。
【解決手段】ガス警報器1は、ガスセンサ10と、異常判断部21と、音声出力部30及び表示部40とを備えたものであって、検出領域に存在する人体を検出するための人感センサ60と、人感センサ60からの信号に基づいて人体が検出された場合に、人体検出時に行うべき処理として予め設定された人体検出時処理を実行する実行部25と、人感センサ60を用いた人体の検出感度を設定する感度設定部23とを備え、感度設定部23は、所定条件の成立時に人体の検出感度を設定するための感度設定処理を行い、感度設定処理において人感センサ60から得られた信号により人体が検出されたと判断されるように、感度を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲環境に応じた信号を出力するセンサ部と、前記センサ部からの信号に基づいて周囲に異常が発生しているかを判断する異常判断部と、前記異常判断部により異常が発生していると判断された場合にその旨を報知する報知部と、を備えた警報器であって、
検出領域に存在する人体を検出するための人感センサと、
前記人感センサからの信号に基づいて人体が検出された場合に、人体検出時に行うべき処理として予め設定された人体検出時処理を実行する実行手段と、
前記人感センサを用いた人体の検出感度を設定する感度設定手段と、を備え、
前記感度設定手段は、所定条件の成立時に人体の検出感度を設定するための感度設定処理を行い、前記感度設定処理において前記人感センサから得られた信号により人体が検出されたと判断されるように、感度を設定する
ことを特徴とする警報器。
【請求項2】
電源投入を契機に、前記センサ部による信号出力を安定させるために設けられた初期遅延状態に設定する初期遅延設定手段をさらに備え、
前記感度設定手段は、電源投入を条件に前記感度設定処理を開始し、
前記初期遅延設定手段は、前記センサ部による信号出力を安定させるために設けられた初期遅延時間が経過し、且つ、前記感度設定手段による感度設定が完了した場合に、前記初期遅延状態を解除する
ことを特徴とする請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記報知部は、前記初期遅延状態である場合に、その旨の報知を行うと共に、前記感度設定中に前記人感センサからの信号に基づいて人体が検出されているときには、その旨の報知を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体を検出可能な移動体検出装置が提案されている(特許文献1参照)。この移動体検出装置は、ドップラー効果を利用して移動体を検出するものであり、人感センサとして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本件発明者らは警報器について研究を行っており、例えば人感センサを搭載したガス警報器とガス会社側のサーバーとを接続し、ガス警報器の人感センサが人を検知した場合にサーバーからの情報をガス警報器を介して音声出力等させることを検討している。
【0005】
しかし、警報器の設置位置は様々であることから、設置位置によっては人を適切に検知できないこともあり、このような場合には、上記音声出力等の人を検知したときに行うべき処理(以下、人体検出時処理)を適切に行うことができなくなってしまう。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、適切に人体検出時処理を行うことができる警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る警報器は、周囲環境に応じた信号を出力するセンサ部と、前記センサ部からの信号に基づいて周囲に異常が発生しているかを判断する異常判断部と、前記異常判断部により異常が発生していると判断された場合にその旨を報知する報知部と、を備えた警報器であって、検出領域に存在する人体を検出するための人感センサと、前記人感センサからの信号に基づいて人体が検出された場合に、人体検出時に行うべき処理として予め設定された人体検出時処理を実行する実行手段と、前記人感センサを用いた人体の検出感度を設定する感度設定手段と、を備え、前記感度設定手段は、所定条件の成立時に人体の検出感度を設定するための感度設定処理を行い、前記感度設定処理において前記人感センサから得られた信号により人体が検出されたと判断されるように、感度を設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、適切に人体検出時処理を行うことができる警報器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るガス警報器のブロック図である。
【
図2】増幅器から得られた信号の一例を示す図であり、(a)は信号強度が適切である場合を示し、(b)は信号強度が低い場合を示し、(c)は信号強度が高い場合を示している。
【
図3】第1感度設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図4】第1感度設定処理の詳細を示すタイミングチャートである。
【
図5】第2感度設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】感度調整処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0011】
さらに、以下において警報器は、LPガス向けや都市ガス向けのガス警報器(CO警報機能を含む)を例に説明するが、これに限らず、火災警報器などであってもよいし、2以上警報器の機能を組み合わせたタイプのもの(例えばガス火災警報器)であってもよい。さらには、コンセント式の警報器であってもよいし、電池式の警報器であってもよい。加えて、警報器は、他の警報器と連動して動作する機能を有するものであってもよい。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るガス警報器のブロック図である。
図1に示すように、ガス警報器1は、ガスセンサ(センサ部)10、CPU20、音声出力部(報知部)30、表示部(報知部)40、及びスイッチ50を備えている。
【0013】
ガスセンサ10は、周囲に検出対象となるガスが存在する場合にその濃度に応じた信号(周囲環境に応じた信号の一例)を出力するものである。濃度に応じた信号はCPU20に出力される。
【0014】
CPU20は、ガス警報器1の全体を制御するものであり、異常判断部21と報知制御部22とを備えている。異常判断部21は、ガスセンサ10からの信号に基づいて、ガス漏れや一酸化炭素の高濃度異常が発生しているかを判断するものである。報知制御部22は、異常判断部21によりガス漏れや一酸化炭素の高濃度異常が発生していると判断された場合(周囲に異常が発生していると判断された場合の一例)に、音声出力部30及び表示部40からその旨の報知を行うものである。
【0015】
音声出力部30は、例えばスピーカやブザーによって構成され、報知制御部22の制御に従って警報音声を出力するものである。また、音声出力部30は、点検が行われた場合に、点検結果等についても音声出力可能となっている。
【0016】
表示部40は、例えばLED(Light Emitting Diode)によって構成され、ガス警報器1の状態を示す表示を行うものである。この表示部40は、第1~第3表示部41~43を備え、ガス漏れや一酸化炭素の高濃度異常を示す警報表示や電源が投入されていることを示す電源投入状態等の表示を行う。詳細に説明すると、第1表示部41は、例えば緑色LEDであって電源投入状態で点灯状態とされるものである。第2表示部42は、例えば赤色LEDであってガス漏れ状態で点灯又は点滅状態とされるものである。第3表示部43は、例えば黄色LEDであって一酸化炭素の高濃度異常状態で点灯又は点滅状態とされるものである。
【0017】
スイッチ50は、例えば押圧式のスイッチでありユーザが操作可能な操作部として機能するものである。ガス警報器1は、周囲の異常を監視する監視モード(通常的に使用される状態)である場合に例えばスイッチ50が短押しされることで、自己の点検を行う。また、ガス警報器1は、警報出力中において例えばスイッチ50が短押しされることで警報を所定時間停止する。警報は、音声出力部30及び表示部40の双方が停止されてもよいし、例えば音声出力部30のみが停止する等のいずれか一方のみが停止されてもよい。
【0018】
さらに、本実施形態に係るガス警報器1は、人感センサ60を備えている。人感センサ60は、検出領域に存在する人体を検出するためのものであって、本実施形態においては焦電センサ61と、増幅器62とを備えている。
【0019】
焦電センサ61は、焦電効果を利用して赤外線を含む光を検出するものであり、人体を検出用にいわゆるデュアル型のもので構成されている。一般に人体から放出されるエネルギーは赤外線であり、焦電センサ61は、人体が動くことで生じる赤外線の変動量に基づく信号を出力する。
【0020】
増幅器62は、焦電センサ61からの信号を増幅するものである。増幅器62によって増幅された信号は、ウィンドウコンパレータを介して、又は、ウィンドウコンパレータを介することなくCPU20に入力される。
【0021】
ウィンドウコンパレータを介する場合、CPU20には「0」「1」の信号が入力される。このため、CPU20は、入力される「0」「1」の信号に基づいて、人体が検出されたか否かを判断することとなる。ウィンドウコンパレータを介さない場合、CPU20には増幅器62からの信号が入力される。CPU20は、この入力した信号と予め記憶される閾値とに基づいて、人体が検出されたか否かを判断することとなる。
【0022】
さらに、本実施形態においてCPU20は、感度設定部(感度設定手段)23、初期遅延設定部(初期遅延設定手段)24、及び実行部(実行手段)25を備えている。
【0023】
感度設定部23は、人感センサ60を用いた人体の検出感度を設定するものである。この感度設定部23は、例えば増幅器62の増幅度を変化させることで、人体の検出感度を制御する。また、感度設定部23は、増幅度に限らず、例えばCPU20がウィンドウコンパレータを介さず増幅器62からの信号を入力する場合、CPU20に記憶される人体検出用の閾値を変化させることで、人体の検出感度を制御してもよい。
【0024】
初期遅延設定部24は、ガス警報器1を初期遅延状態に設定するものである。ここで、ガス警報器1は、電源投入から或る程度の時間においてガスセンサ10からの信号出力が安定しない傾向にある。初期遅延設定部24は、ガスセンサ10からの信号出力を安定させるための待機状態を設定するものであり、初期遅延状態が解除された後においてはガスセンサ10の出力が安定することとなる。
【0025】
実行部25は、人感センサ60からの信号に基づいて人体が検出された場合に、人体検出時に行うべき処理として予め設定された人体検出時処理を実行するものである。人体検出時処理は、天気や商品等に関する情報の提供処理であってもよいし、ガス警報器1が警報時であるときには音量の調整処理であってもよいし、他の処理であってもよい。
【0026】
ここで、感度設定部23は、所定条件成立時に感度設定モードに移行して、人体の検出感度を設定するための感度設定処理を開始する。所定条件は、電源が投入された場合、及び、所定操作が行われた場合のいずれか一方で成立したと判断される。以下、詳細に説明する。
【0027】
まず、感度設定部23は電源投入を条件に感度設定モードに移行して第1感度設定処理を実行する。本実施形態においてガス警報器1は、電源が投入されると初期遅延状態となる。感度設定部23は、この初期遅延状態において感度設定を行う。
【0028】
通常、初期遅延状態は、ガスセンサ10の信号出力を安定させるために予め設けられた初期遅延時間が経過することで解除され、ガス警報器は点検モード(作業員によりガスセンサが正常に機能しているかを点検するためのモード)や監視モードに移行する。これに対して、本実施形態に係るガス警報器1は、初期遅延時間が経過するだけでは初期遅延状態が解除されず、感度設定部23による感度設定が完了するまで、初期遅延状態が解除されないようになっている。すなわち、本実施形態に係るガス警報器1は、初期遅延時間が経過すると共に感度設定が完了することで初期遅延状態が解除され、点検モードや監視モード等に移行することとなる。
【0029】
ここで、感度設定部23は、以下のようにして感度設定を行う。まず、感度設定にあたって作業員は、人体を検出して欲しい場所に移動する。次いで、作業員は、人感センサ60にて人体の検出が行われるよう例えば手を振る動作を行う。なお、作業員は手を振る行為に限らず、左右に体を揺らすなど、人体を動かす他の動作を行ってもよい。これにより、焦電センサ61は、人体が動くことで生じる赤外線の変動量に基づく信号を出力する。
【0030】
ここで、作業員は人体を検出して欲しい場所において動作を行っている。このため、ガス警報器1が適切に人体検出時処理を行うためには、この動作に基づいて得られた信号によって人体を検出する必要がある。よって、感度設定部23はこの際に増幅器62から出力された信号が適正範囲内となるように増幅度を変化させることとなる。
【0031】
図2は、増幅器62から得られた信号の一例を示す図であり、(a)は信号強度が適切である場合を示し、(b)は信号強度が低い場合を示し、(c)は信号強度が高い場合を示している。
【0032】
まず、
図2(a)を参照する。例えばCPU20は、正の閾値となる上側閾値と負の閾値となる下側閾値とを記憶すると共に、規定値を記憶している。CPU20は、上側閾値から規定値だけ高い値までの間に検出範囲を有している。同様にCPU20は、下側閾値から規定値だけ低い値までの間に検出範囲を有している。CPU20は、増幅器62から得られる信号のピークが検出範囲に収まることで、所望の検出領域における人体を検出することとなる。
【0033】
ここで、
図2(b)に示すように、増幅器62から得られる信号のピークが上側閾値及び下側閾値に満たない場合、CPU20は、人体を検出しないこととなる。よって、感度設定部23は、人体が検出されるように、増幅器62の増幅度を高めることとなる。
【0034】
また、
図2(c)に示すように、増幅器62から得られる信号のピークが上側閾値及び下側閾値を超えるだけでなく規定値分も超えてしまう場合、CPU20は、検出したい場所より離れた場所でも人体を検出してしまうこととなる。よって、感度設定部23は、検出したい場所で人体が検出されるように、増幅器62の増幅度を低めることとなる。
【0035】
なお、回路構成にもよるが、増幅度の変化は、例えばデジタルポテンションメータやアナログスイッチをCPU20からの出力により制御して抵抗値を変化させることで実現することができる。
【0036】
また、上記したように、感度については閾値(上側閾値や下側閾値)を変更させることで調整されてもよい。
【0037】
また、上記では人感センサ60がウィンドウコンパレータを有しないことを想定して感度設定を説明したが、人感センサ60がウィンドウコンパレータを有する場合であっても同様にして感度設定することができる。例えば人感センサ60がウィンドウコンパレータを有する場合、初期状態で感度が低くなるようにしておく。そして、作業員が人体を検出して欲しい場所で動作を行っている最中に、徐々に増幅度を高めていき、人体が検出された段階で増幅度を決定する。以上のように、感度設定を行うこともできる。
【0038】
また、感度設定部23は所定の操作が行われたことを条件に、感度設定モードに移行して第2感度設定処理を行う。所定操作は、例えばスイッチ50が長押しされたことや、不図示の専用スイッチが押下されたことである。このような操作があった場合、ガス警報器1は、監視モードから感度設定モードに移行し、感度設定部23は感度設定処理を実行する。
【0039】
感度設定モードにおいてユーザは人体を検出して欲しい場所に移動する。次いで、ユーザは、人感センサ60にて人体の検出が行われるよう例えば手を振る動作を行う。以後、上記と同様にして感度設定部23が感度設定を行うこととなる。
【0040】
再度
図1を参照する。本実施形態に係るガス警報器1は、ガス警報器1の周囲温度を検出するための温度センサ70を備えている。感度設定部23は、温度センサ70により検出された周囲温度が所定温度(例えば30℃)以上である場合に、感度調整処理を行う。
【0041】
温度センサ70により検出された周囲温度が所定温度以上である場合、周囲温度と人体の温度とが近くなることから、人感センサ60により人体を検出し難くなってしまう。そこで、感度設定部23は、周囲温度が所定温度以上である場合に、増幅度を高める等を行って感度を高めるようにしている。
【0042】
次に、本実施形態に係るガス警報器1の制御方法を説明する。
図3は、第1感度設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図4は、第1感度設定処理の詳細を示すタイミングチャートである。
【0043】
まず、電源が投入されると、初期遅延設定部24はガス警報器1を初期遅延状態とする(S1)。このとき、報知制御部22は、
図4に示す時刻t1のように、初期遅延状態に突入したことを示すべく、第1表示部41である緑色LEDの点滅を開始させる(S1)。
【0044】
次に、CPU20は、感度設定モードを開始する(S2)。次いで、CPU20は、規定時間が経過したかを判断する(S3)。この規定時間は感度設定を行うために設けられた時間であって、本実施形態においては例えば40秒である。
【0045】
規定時間が経過していない場合(S3:NO)、報知制御部22は、
図4に示す時刻t1のように、感度設定モードであることを示すべく、第2表示部42である赤色LEDの点滅を開始させる(S4)。
【0046】
次いで、感度設定部23は、人感センサ60からの信号を検出する(S5)。その後、感度設定部23は、検出された信号が
図2を参照して説明した検出範囲内であるかを判断する(S6)。
【0047】
検出範囲内でない場合(S6:NO)、感度設定部23は、増幅器62の増幅度を変化させる(S7)。ここで、増幅度が初期状態において小さく設定されている場合、感度設定部23は、増幅器62の増幅度を大きくすることとなる。一方、増幅度が初期状態において大きく設定されている場合、感度設定部23は、増幅器62の増幅度を小さくすることとなる。また、これに限らず、信号ピークの値に基づいて増幅器62の増幅度を増減させてもよい。
【0048】
増幅度の変化後(S7の後)、処理はステップS3に移行する。一方、検出された信号が検出範囲内である場合(S6:YES)、報知制御部22は、
図4に示す時刻t2のように、信号が検出範囲内であることを示すべく、第3表示部43である黄色LEDを点灯させる(S8)。
【0049】
次に、感度設定部23は、ステップS5にて検出される信号が検出範囲内である状態が所定時間又は所定回数継続したかを判断する(S9)。信号が検出範囲内である状態が所定時間又は所定回数継続しなかった場合(S9:NO)、処理はステップS3に移行する。
【0050】
一方、信号が検出範囲内である状態が所定時間又は所定回数継続した場合(S9:YES)、報知制御部22は、
図4に示す時刻t3のように、感度設定モードの終了を示すべく、第2表示部42及び第3表示部43を消灯させる(S10)。そして、CPU20は感度設定モードを終了させる(S11)。
【0051】
次いで、CPU20は、ガスセンサ10の出力が安定するために設けられた初期遅延時間が経過したかを判断する(S12)。本実施形態において初期遅延時間は、例えば規定時間と同じ40秒とされているが、特にこれに限らず、規定時間と異なっていてもよい。
【0052】
初期遅延時間が経過していない場合(S12:NO)、初期遅延時間が経過したと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、初期遅延時間が経過した場合(S12:YES)、報知制御部22は、
図4に示す時刻t4のように、初期遅延状態が解除(終了)されることを示すべく、第1表示部41を消灯させる(S13)。そして、CPU20は、初期遅延状態を解除し(S14)、
図3に示す処理を終了させる。
【0053】
ところで、ステップS7における増幅度の変化を行っても、人感センサ60からの信号が検出範囲内である状態が継続せず、ステップS9において「YES」と判断されないまま、規定時間が経過したとする(S3:YES)。この場合、感度設定が正常に行われなかったことから、CPU20はガス警報器1の設置が失敗に終わったと判断し(S15)、
図3に示す処理を終了させる。
【0054】
図5は、第2感度設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図5に示すように、まず、感度設定部23は、所定の操作があったか否かを判断する(S21)。所定の操作がなかった場合(S21:NO)、所定の操作があったと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0055】
所定の操作があった場合(S21:YES)、CPU20は、感度設定モードを開始する(S22)。次に、CPU20は、規定時間が経過したかを判断する(S23)。規定時間が経過していない場合(S23:NO)、ステップS24~S31において、
図3に示したステップS4~S11と同様の処理が実行される。その後、
図5に示す処理は終了する。
【0056】
一方、規定時間が経過した場合(S23:YES)、CPU20は感度設定が失敗したと判断し(S32)、
図5に示す処理は終了する。ここで、ステップS32において感度設定が失敗した場合、感度(増幅度)については第2感度設定処理の実行前の状態に戻してもよいし、ステップS27の処理を経て変化された増幅度を維持するようにしてもよい。
【0057】
図6は、感度調整処理の詳細を示すフローチャートである。
図5に示すように、感度設定部23は、温度センサ70からの信号に基づいて周囲温度を測定する(S41)。次いで、感度設定部23は、周囲温度が所定温度(例えば30℃)以上であるかを判断する(S42)。
【0058】
周囲温度が所定温度以上である場合(S42:YES)、感度設定部23は、増幅器62の増幅度を上昇させる(S43)。その後、
図6に示す処理は終了する。一方、周囲温度が所定温度以上でない場合(S42:NO)、感度設定部23は、増幅器62の増幅度をデフォルト設定とする(S44)。ここで、デフォルト設定とは、第1及び第2感度設定処理により設定された増幅度の設定をいう。感度設定部23が増幅度をデフォルト設定とした後、
図6に示す処理は終了する。
【0059】
このようにして、本実施形態に係るガス警報器1によれば、第1又は第2感度設定処理において人感センサ60から得られた信号により人体が所望の場所で検出されたと判断されるように、感度を設定する。このため、人体を検出したい場所に人を移動させ、その場所で人を動作させたときの人感センサ60の信号に基づいて感度を設定することができる。このため、より精度良く人体を検出でき、より適切に人体検出時処理を行うことができる。
【0060】
また、初期遅延時間が経過し、且つ感度設定が完了した場合に初期遅延状態を解除するため、例えば初期遅延状態からの他のモードに移行するためには感度設定が必須となり、感度設定が完了しないまま、監視モード等に移行して、人体検出時処理を行うことができなくなってしまう可能性を低減することができる。
【0061】
また、感度設定中に人体が検出されているときには、その旨の報知(第3表示部43の点灯)を行うため、作業員等は人体が適切に認識されて感度設定が行われていることを確認することができ、誤った感度設定が行われてしまう可能性を低減することができる。
【0062】
さらに、初期遅延状態である旨の報知(第1表示部41の点滅)と、感度設定中に人体が検出されている旨の報知(第3表示部43の点灯)とを異ならせているため、作業員等は、初期遅延状態において感度設定が行われていることを把握し易くことができる。ここでいう異ならせるとは、報知状態(点滅や点灯等)を異ならせてもよいし、報知出力する部位(第1表示部41と第3表示部43とのような表示箇所等)を異ならせるようにしてもよい。
【0063】
さらに、感度設定モードである旨の報知(第2表示部42の点滅)を行うと共に、感度設定モードの終了時にその旨の報知を終了させ(第2表示部42の消灯)、これと同時に感度設定中に人体が検出されている旨の報知を終了させる(第3表示部43の消灯)ようにしてもよい。これにより、感度設定が完了したことを作業員等により分かり易く把握させることができる。
【0064】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0065】
例えば、本実施形態において第2感度設定処理はスイッチ50の長押しによって開始されるが、特にこれに限らず、短押し等の他の操作によって開始されるようになっていてもよい。なお、既存のガス警報器においてはスイッチに対する短押しに応じて自己の点検(センサ、並びに、LEDやスピーカ及びこれらの駆動回路等の点検)を行う点検手段が搭載されていることが多い。このため、第2感度設定処理を開始するための所定の操作は、自己点検の開始操作と異なるものとなっていることが好ましい。
【0066】
さらに、上記実施形態においては、表示部40は、点灯や点滅により各種状態を報知しているが、これらに限らず、発光輝度に差を設けて状態報知を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 :ガス警報器
10 :ガスセンサ
20 :CPU
21 :異常判断部
22 :報知制御部
23 :感度設定部(感度設定手段)
24 :初期遅延設定部(初期遅延設定手段)
25 :実行部(実行手段)
30 :音声出力部(報知部)
40 :表示部(報知部)
41 :第1表示部
42 :第2表示部
43 :第3表示部
50 :スイッチ
60 :人感センサ
61 :焦電センサ
62 :増幅器
70 :温度センサ