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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134921
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】ロボット及びロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20220908BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B25J19/00 J
B25J17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034425
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】315014671
【氏名又は名称】東京ロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】松尾 雄希
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】高木 崇光
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS13
3C707CS08
3C707CY36
3C707HS27
3C707JS06
3C707JS07
3C707WA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】2つの動作部を制御可能な共通化された制御回路基板を利用しつつも、簡潔かつ小型化が可能な構成を有するロボット等を提供する。
【解決手段】複数の構造体を連結して構成され、前記構造体のうち少なくとも偶数個はそれぞれ奇数個の動作部を含む奇数構造体である、ロボットであって、各前記奇数構造体内に配置され、前記動作部を2つずつそれぞれ制御する、1又は複数の制御回路基板と、前記制御回路基板を2つの前記動作部に対して順に対応付けていくことにより各前記奇数構造体において余った1の余剰動作部を2つずつ制御する、1又は複数の余剰動作部用制御回路基板と、を備える、ロボットが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構造体を連結して構成され、前記構造体のうち少なくとも偶数個はそれぞれ奇数個の動作部を含む奇数構造体である、ロボットであって、
各前記奇数構造体内に配置され、前記動作部を2つずつそれぞれ制御する、1又は複数の制御回路基板と、
前記制御回路基板を2つの前記動作部に対して順に対応付けていくことにより各前記奇数構造体において余った1の余剰動作部を2つずつ制御する、1又は複数の余剰動作部用制御回路基板と、を備える、ロボット。
【請求項2】
前記余剰動作部用制御回路基板は、前記奇数構造体が連結される構造体内に配置される、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記構造体は、第1の構造体を含み、
前記奇数構造体は、第1の構造体と、前記第1の構造体と連結された第2の構造体を含み、
前記余剰動作部は、前記第1の構造体の連結部近傍の動作部と、前記第2の構造体の連結部近傍の動作部である、請求項1に記載のロボット。
【請求項4】
前記奇数構造体は、本体部構造体を中心として左右対称に設けられる一対の構造体であり、
前記余剰動作部用制御回路基板は、前記本体部構造体の内部に設けられる、請求項1に記載のロボット。
【請求項5】
前記一対の構造体は、前記本体部構造体から延びる一対の腕部を含み、
前記余剰動作部は、各前記腕部の付け根の関節に関する動作部である、請求項4に記載のロボット。
【請求項6】
ロボットコントローラからの制御信号を、少なくとも、前記本体部構造体内へと延び前記本体部構造体内の動作部への制御信号の通信を行う第1のバスと、前記腕部のうち左腕部の内部へと延び前記左腕部内の動作部への制御信号の通信を行う第2のバスと、前記腕部のうち右腕部の内部へと延び前記右腕部内の動作部への制御信号の通信を行う第3のバスへと分岐するハブを含み、
前記余剰動作部用制御回路基板は、前記第1のバスに連結される、請求項5に記載のロボット。
【請求項7】
各前記制御回路基板又は各余剰動作部用制御回路基板の間の通信は、EtherCAT規格により行われる、請求項6に記載のロボット。
【請求項8】
各前記制御回路基板及び各余剰動作部用制御回路基板は、前記第1のバス、前記第2のバス又は前記第3のバスにおいて一連にデイジーチェーン接続される、請求項6に記載のロボット。
【請求項9】
前記制御回路基板及び前記余剰動作部用制御回路基板には、2つの動作部を動作させるCPUが搭載される、請求項1に記載のロボット。
【請求項10】
複数の構造体を連結して構成され、前記構造体のうち少なくとも偶数個はそれぞれ奇数個の動作部を含む奇数構造体である、ロボットシステムであって、
各前記奇数構造体内に配置され、前記動作部を2つずつそれぞれ制御する、1又は複数の制御回路基板と、
前記制御回路基板を2つの前記動作部に対して順に対応付けていくことにより各前記奇数構造体において余った1の余剰動作部を2つずつ制御する、1又は複数の余剰動作部用制御回路基板と、を備える、ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボット等の構成、特に、複数の動作部を含むロボットの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な多関節ロボットの開発が進められている。例えば、特許文献1には、小型化が容易な多関節ロボットアームが開示されている。
【0003】
特許文献1には、ロボットコントローラと接続される一連の複数のフォロワー(スレーブ)制御回路基板と、電源装置と接続される一連の複数の駆動回路基板と、をその内部に備えるロボットアームが開示されている。制御回路基板と駆動回路基板とは対となって、モータを制御する構成を有している。
【0004】
なお、制御回路基板は、エンコーダ等と接続されると共にマイコンを搭載し、駆動回路へとモータの制御信号を送信する。一方、駆動回路基板は、モータドライバ等を搭載し制御信号に応じてモータを駆動する。
【0005】
このように、制御回路基板と駆動回路基板とを別々に設けることで、発熱しやすい駆動回路基板と制御回路基板を分離することができ、熱対策等がより容易となると共にメンテナンス性等も向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-26000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のロボットアームには、1対の制御回路基板と駆動回路基板とを用いて水平関節ユニットと垂直関節ユニットに係る2つのモータを制御する構成が開示されている。
【0008】
ところで、例えば、特許文献1に記載のロボットアームは、奇数個(7個)のモータを備えている。そのため、1つで2つのモータを制御する制御回路基板を使用して制御系統を構成しようとすると、制御対象となるモータが1つ余ってしまう。
【0009】
しかし、この余った1つのモータに対して2つのモータを制御可能な制御回路基板を対応させれば、構成が冗長となるばかりかロボットの小型化の妨げとなる可能性がある。一方、1つのモータ用の制御回路基板を新たに設計して搭載すれば、構成の複雑化や設計工数の増大へとつながり得る。
【0010】
本発明は上述の技術的背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つの動作部を制御可能な共通化された制御回路基板を利用しつつも、簡潔かつ小型化が可能な構成を有するロボット等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の技術的課題は、以下の構成を有するロボット等により解決することができる。
【0012】
すなわち、本発明に係るロボットは、複数の構造体を連結して構成され、前記構造体のうち少なくとも偶数個はそれぞれ奇数個の動作部を含む奇数構造体である、ロボットであって、各前記奇数構造体内に配置され、前記動作部を2つずつそれぞれ制御する、1又は複数の制御回路基板と、前記制御回路基板を2つの前記動作部に対して順に対応付けていくことにより各前記奇数構造体において余った1の余剰動作部を2つずつ制御する、1又は複数の余剰動作部用制御回路基板と、を備えている。
【0013】
このような構成によれば、2つの動作部を制御可能な共通化された制御回路基板を利用しつつも、簡潔かつ小型化が可能な構成を有するロボットを提供することができる。
【0014】
前記余剰動作部用制御回路基板は、前記奇数構造体が連結される構造体内に配置される、ものであってもよい。
【0015】
このような構成によれば、奇数個の動作部を含む構造体内には、余剰動作部用制御回路基板が配置されないので奇数個の動作部を含む構造体を小型化することができる。
【0016】
前記構造体は、第1の構造体を含み、前記奇数構造体は、第1の構造体と、前記第1の構造体と連結された第2の構造体を含み、前記余剰動作部は、前記第1の構造体の連結部近傍の動作部と、前記第2の構造体の連結部近傍の動作部である、ものであってもよい。
【0017】
このような構成によれば、各構造体の連結部近傍の余剰動作部をまとめて制御することができるので、配線等の手間なく、ロボットの小型化を図ることができる。
【0018】
前記奇数構造体は、本体部構造体を中心として左右対称に設けられる一対の構造体であり、前記余剰動作部用制御回路基板は、前記本体部構造体の内部に設けられる、ものであってもよい。
【0019】
このような構成によれば、例えばロボットの四肢等に相当する構造体に比べて比較的に内部空間的な余裕があり、中心に存在する本体部内に左右の余剰動作部の制御回路基板を配置することができ、ロボットの小型化を図ることができる。
【0020】
前記一対の構造体は、前記本体部構造体から延びる一対の腕部を含み、前記余剰動作部は、各前記腕部の付け根の関節に関する動作部であってもよい。
【0021】
このような構成によれば、余剰動作部を構成する各腕部の付け根の関節に対してそれぞれ制御回路基板を設ける必要がなくなるので、2つの動作部を制御可能な制御回路基板を利用しつつも簡潔かつ小型化が可能な構成を有する双腕ロボット等を提供することができる。
【0022】
ロボットコントローラからの制御信号を、少なくとも、前記本体部構造体内へと延び前記本体部構造体内の動作部への制御信号の通信を行う第1のバスと、前記腕部のうち左腕部の内部へと延び前記左腕部内の動作部への制御信号の通信を行う第2のバスと、前記腕部のうち右腕部の内部へと延び前記右腕部内の動作部への制御信号の通信を行う第3のバスへと分岐するハブを含み、前記余剰動作部用制御回路基板は、前記第1のバスに連結される、ものであってもよい。
【0023】
このような構成によれば、中心にある本体部構造体内へと延びる第1のバス上に余剰動作部用制御回路基板が配置されるので、簡潔かつ小型化が可能な構成を有するロボットを提供することができる。
【0024】
各前記制御回路基板又は各余剰動作部用制御回路基板の間の通信は、EtherCAT規格により行われる、ものであってもよい。
【0025】
このような構成によれば、高速に各動作部の制御を行うことができる。
【0026】
各前記制御回路基板及び各余剰動作部用制御回路基板は、前記第1のバス、前記第2のバス又は前記第3のバスにおいて一連にデイジーチェーン接続される、ものであってもよい。
【0027】
このような構成によれば、デイジーチェーン接続により簡潔な通信構成とすることができる。
【0028】
前記制御回路基板及び前記余剰動作部用制御回路基板には、2つの動作部を動作させるCPUが搭載される、ものであってもよい。
【0029】
このような構成によれば、基板の共通化により基板数を減らすことができ、構成の簡潔化及びロボットの小型化を図ることができる。
【0030】
また、本発明はロボットシステムとしても観念することができる。すなわち、本発明に係るロボットシステムは、複数の構造体を連結して構成され、前記構造体のうち少なくとも偶数個はそれぞれ奇数個の動作部を含む奇数構造体である、ロボットシステムであって、各前記奇数構造体内に配置され、前記動作部を2つずつそれぞれ制御する、1又は複数の制御回路基板と、前記制御回路基板を2つの前記動作部に対して順に対応付けていくことにより各前記奇数構造体において余った1の余剰動作部を2つずつ制御する、1又は複数の余剰動作部用制御回路基板と、を備えている。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、2つの動作部を制御可能な共通化された制御回路基板を利用しつつも、簡潔かつ小型化が可能な構成を有するロボット等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、制御回路基板の配置に関する説明図である。
図2図2は、制御回路基板及び駆動回路基板の構成に関する説明図である。
図3図3は、ロボットの右腕部の構成図である。
図4図4は、第1の関節集合部の拡大図である。
図5図5は、変形例(その1)に係る制御回路基板の配置に関する説明図である。
図6図6は、変形例(その2)に係る制御回路基板の配置に関する説明図である。
図7図7は、移動ロボットの外観斜視図である。
図8図8は、移動ロボットにおける制御回路基板の配置に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付の図を参照しつつ詳細に説明する。
【0034】
(1.第1の実施形態)
第1の実施形態として、本発明を双腕のロボット800に適用した例について説明する。なお、本実施形態においては、双腕のロボット800を例に説明するものの、本発明を他のロボットに適用してもよい。例えば、腕部を1本のみ備えるロボットであってもよいし、腕部ではなく他の構造体を備えるロボットであってもよい。また、ロボットシステムに対して適用してもよい。
【0035】
なお、本実施形態に係る双腕ロボット800は、複数の構造体を連結して成り、すなわち、胴体部と、胴体部の両側面に左右対称に連結される一対の腕部と、胴体部の上端に首部を介して連結される頭部とを備えている。胴体部は2つの関節部(J1、J2)、左右の腕部はそれぞれ7つの関節部(J1~J7)、首部は2つの関節部(J1、J2)を備え、軸周りの回転や屈曲をもたらす。より詳細には、各関節部は、モータを備え、関節部の屈曲や長手方向の軸周りの回転をもたらす。
【0036】
図1は、制御回路基板30の配置に関する説明図である。本実施形態において、制御回路基板30は、1つのCPUを含むマイコン等を搭載している。1つの制御回路基板30は、ロボットコントローラからの指令や各関節に設けられるエンコーダ等のセンサからのセンサ値を処理し、ロボットコントローラ1のフォロワコントローラとして、2つの関節部に係る2つのモータを同時的に制御する。
【0037】
同図から明らかな通り、ロボット800は、その胴体部の内部にロボットコントローラ1を備えている。ロボットコントローラ1は、第1のバス700を介して胴体部内部のEtherCATハブ2に接続されている。
【0038】
ここで、EtherCATハブ2は、EtherCAT規格の下に動作するハブであり、高速応答性を有している。EtherCATハブ2は、第1のバス700を、胴体部、頭部の内部へと延びる第2のバス701、右腕の内部へと延びる第3のバス702、左腕の内部へと延びる第4のバス703へと分岐させる。すなわち、EtherCATハブ2を中心としたスタートポロジーが形成される。
【0039】
なお、本実施形態においては、EtherCATハブ2を例示するものの、他の規格の下に動作するハブを使用してもい。
【0040】
第2のバス701上において、EtherCATハブ2から近い順に、左右の腕部の第1関節を制御する制御回路基板30-3、胴体部の2つの関節部、すなわち、胴体部第1関節及び胴体部第2関節を制御する制御回路基板30-2、頭部を支持する首部の2つの関節部、すなわち、首部第1関節、首部第2関節を制御する制御回路基板30-1が、デイジーチェーン接続により接続される。
【0041】
第3のバス702上において、EtherCATハブ2から近い順に、右腕第2関節、右腕第3関節を制御する制御回路基板30-4、右腕第4関節、右腕第5関節を制御する制御回路基板30-5、右腕第6関節、右腕第7関節を制御する制御回路基板30-6がデイジーチェーン接続により接続される。
【0042】
第4のバス703上において、EtherCATハブ2から近い順に、左腕第2関節、左腕第3関節を制御する制御回路基板30-7、左腕第4関節、左腕第5関節を制御する制御回路基板30-8、左腕第6関節、左腕第7関節を制御する制御回路基板30-9がデイジーチェーン接続により接続される。
【0043】
同図から明らかな通り、腕部の関節部は7個であるものの、腕の付け根の関節に相当する第1関節は、第2のバス701に接続され胴体部内に配置された制御回路基板30-3により左右まとめて制御されている。これにより、本実施形態においては、すべての制御回路基板30は2つの関節を制御する制御回路基板となっている。
【0044】
このような構成によれば、左右の第1関節に対してそれぞれ基板を設ける必要がなく、また、第1関節用の基板等も設計等する必要がない。そのため、簡潔かつ小型化が可能な構成を有するロボット等を提供することができる。
【0045】
また、左右の第1関節用の制御回路基板30-3が腕部よりも相対的に空間的に余裕のある胴体部内に収容されるので、左右の腕部を小型化することができる。
【0046】
図2は、制御回路基板30及び駆動回路基板40の構成に関する説明図である。同図から明らかな通り、ロボット800は、ロボットコントローラ1からの制御信号を処理する制御回路基板30を一連にデイジーチェーン接続により接続した制御系統と、各前記制御回路基板30に対応して並列に設けられる一連の駆動回路基板40から成る駆動系統とを有している。
【0047】
各制御回路基板(30-3~30-1)は、第2のバス701で連結され、各制御回路基板(30―3~30-1)には、2つの関節に係るエンコーダ(50-3~50-1)が接続されている。各制御回路基板30は、エンコーダの値とロボットコントローラからの指令値に基づいて、データ送受信用のワイヤハーネス9を介して、対応する各駆動回路基板40へと制御信号を送信する。なお、ワイヤハーネスとは、その両端部に端子又はコネクタを有し複数の信号線を束ねて形成された可撓性を有する集合部品である。
【0048】
各駆動回路基板(40-3~40-1)は、ロボット800に取り付けられた電源装置からの電源線8に一連に接続されると共に、対応する各制御回路基板(30-3~30-1)及びモータ(60-3~60-1)に対して電源を供給している。
【0049】
各駆動回路基板40は、中心に孔部を有すると共に左右半分の領域のそれぞれに各モータに対応する回路素子を備えている。各駆動回路基板40は、モータドライバ回路や直流電圧を交流電圧とするインバータ回路等を搭載し、各制御回路基板30からの制御信号に応じて、2つの関節に係るモータ(60-3~60-1)をそれぞれ制御する。
【0050】
このような構成によれば、発熱し易い回路素子を備えた駆動回路基板40と制御回路基板30とを分けることができるので、熱対策等が容易となる。
【0051】
なお、図2では、第2のバス701に係る系統を例として説明したものの、第3のバス702及び第4のバス703に係る系統おいても、2つの関節に係る2つのモータに対して、一対の制御回路基板30と駆動回路基板40が一連に設けられている。
【0052】
図3は、7つの関節部を有するロボット800の右腕部の構成図である。同図から明らかな通り、右腕部は、右腕部の付け根の側から順に、右腕第2関節(J2)及び右腕第3関節(J3)から成り人間の肩から上腕の辺りに相当する第1の関節集合部111と、右腕第4関節(J4)及び右腕第5関節(J5)から成り人間の肘乃至前腕の辺りに相当する第2の関節集合部112と、右腕第6関節(J6)及び右腕第7関節(J7)から成り人間の手首乃至手先の辺りに相当する第3の関節集合部113を備えている。
【0053】
なお、右腕第一関節は、腕の付け根に設けられている。また、同図において、各基板を保護するカバーは筐体から取り外された状態で示されている。
【0054】
また、第1の関節集合部111において、肩の正面側には、右腕第2関節及び右腕第3関節を駆動するための駆動回路基板40-4が露出している。また、肩の側面側には、右腕第2関節及び右腕第3関節を制御するための制御回路基板30-4が露出している。
【0055】
同様に、第2の関節集合部112の側面側には、右腕第4関節及び右腕第5関節を駆動するための駆動回路基板40-5が露出している。なお、対応する制御回路基板30-5は、同図背面側にあるため、不図示である。さらに、第3の関節集合部113にも、不図示ではあるものの、右腕第6関節及び右腕第7関節を制御する一対の制御回路基板30-6と駆動回路基板40-6が設けられている。
【0056】
図4は、第1の関節集合部111の拡大図である。同図から明らかな通り、右腕第1筐体に回動可能に連結される右腕第2筐体102の肩の正面に相当する面には、駆動回路基板40―4が、その中心(本実施形態においては、円形の孔部の中心)を関節回動軸の中心と略同一とし、その裏面を筐体へと当接させるようにして固定されている。このような構成によれば、偏りが少なく駆動回路基板40を配置することができるので、スムーズな関節の回動を実現することができる。また、当接させることで、駆動回路基板40-4において発生する熱を筐体へと逃がすことができる。
【0057】
また、右腕第2筐体の腕の外側面に相当する面には、制御回路基板30-4がボルトにより固定されている。制御回路基板30-4と駆動回路基板40-4とは、図示しないワイヤハーネスの一端を制御回路基板30-4のコネクタ接続部31に接続し、他端を駆動回路基板40-4のコネクタ接続部41に接続することで接続される。このとき、ワイヤハーネス9は、筐体内部を通すようにして配線される。
【0058】
このような構成によれば、制御回路基板30-4と駆動回路基板40-4とは、共に、右腕第2筐体2へと固定されているため、モータの動作により右腕第2筐体102が右腕第一筐体101に対して回動しても、制御回路基板30-4と駆動回路基板40-4との相対的位置関係が変化せず、基板間の安定的な接続を実現することができる。
【0059】
なお、本発明はこのような構成に限定されず、制御回路基板30と駆動回路基板40を関節を構成する異なる部品に対してそれぞれ固定してもよい。例えば、制御回路基板30-4を右腕第2筐体102に固定し、駆動回路基板40-4を右腕第一筐体101に固定してもよい。このような構成によれば、右腕第2関節の回動により右腕第一筐体101と右腕第2筐体102との相対的位置関係が変化しても、ワイヤハーネスの可撓性により制御回路基板30-4と駆動回路基板40-4とが安定的に接続される。
【0060】
また、このような構成によれば、ロボット800の筐体カバーを取り外すことにより制御回路基板30及び駆動回路基板40の取り付け面に容易にアクセスすることができるので、組立工数が減少すると共に、メンテナンス性が向上する。
【0061】
さらに、このような構成によれば、可撓性を有するワイヤハーネス9により制御回路基板30と駆動回路基板40が接続されているので、ロボット800の筐体内に制御回路基板30と駆動回路基板40を自在に配置することができる。
【0062】
以上の通り、第1の実施形態においては、腕部や胴体部を含む複数の構造体を連結して構成され、当該構造体のうち少なくとも偶数個、すなわち2つの腕部が、それぞれ奇数個(7個)の動作部(モータ60)を含むロボット800を例として説明した。より詳細には、奇数個の動作部をもつ構造体内に配置され動作部を2つずつそれぞれ制御する、複数の制御回路基板(30-1、30-2、30-4~30-9)と、前記制御回路基板を2つの前記動作部に対して順に対応付けていくことにより各前記奇数構造体において余った1の余剰動作部を2つ制御する、1の余剰動作部用制御回路基板30-3と、を備えるロボット800について説明した。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、様々に変形して実施することができる。
【0063】
(2.変形例)
第1の実施形態においては、左右の第1関節を制御する制御回路基板30-3は、第2のバス701に接続されたが、このような構成に限定されない。従って、例えば、他の通信系統上に配置してもよい。
【0064】
図5は変形例(その1)に係る制御回路基板30の配置に関する説明図である。同図から明らかな通り、左右の第1関節を制御する制御回路基板30-3は、この例にあっては、第4のバス703に接続されている。なお、この場合であっても、制御回路基板30-3は胴体部内に配置される。また、第4のバス703に代えて第3のバス702に接続してもよい。
【0065】
第1の実施形態においては、奇数個の動作部(モータ)を備えた腕部に対して、2つのモータを制御する制御回路基板30を適用し、余った1つのモータを左右の腕部分をまとめて胴体部内の制御回路基板30-3により制御する構成について説明したが、本発明はそのような構成に限定されない。
【0066】
図6は、変形例(その2)に係る制御回路基板30の配置に関する説明図である。同図の構成にあっては、胴体部が奇数個の関節部、すなわち、3つの関節部を備えると共に、首部が奇数個の関節部、すなわち、3つの関節部を備えている。なお、同図において、図1と同様の構成については同一の符号が付されている。
【0067】
同図から明らかな通り、同図の構成においても、左右の第1関節を制御する制御回路基板308は、第2のバス701上に配置されている。
【0068】
一方、同図の例にあっては、胴体部と首部はそれぞれ3つの関節部を備えているため、これらに対して、2つの関節部を制御する制御回路基板30を適用すると、首部の2関節(J2/J3)に対応する制御回路基板305、胴体部の2関節(J1/J2)に対応する制御回路基板307を設けることとなる。また、首部の1関節(J1)と胴体部の1関節(J3)に対しては、2つの関節部を制御する制御回路基板306が接続される。このとき、制御回路基板306は、胴体部内に配置される。
【0069】
このような構成によれば、簡潔かつ小型化が可能な構成を有するロボット等を提供することができる。また、腕部に加えて首部を小型化することができる。
【0070】
第1の実施形態においては、本発明を双腕ロボット800に適用する例について示したが、本発明はそのような構成に限定されない。従って、例えば、本発明を1つのロボットアームを備えた移動ロボット850に対して適用することもできる。
【0071】
図7は、移動ロボット850の外観斜視図である。同図から明らかな通り、移動ロボット850は、首部に2つの関節部(首部J1/J2)を有する頭部201と、上端に頭部201を備え頭部201と腕部203を上下にスライドさせる1つの関節部(胴部J1)を備える胴体部202と、独立駆動される4つの車輪205~208を有し胴体部202を支える台車部204と、胴体部202の正面に連結され7つの関節部(腕部J1~J7)を備える腕部とを備えている。
【0072】
図8は、移動ロボット850における制御回路基板230の配置に関する説明図である。同図から明らかな通り、移動ロボット850は、第1の実施形態と同様にロボットコントローラ1と、それから第1のバス211を介して接続されるEtherCATハブ2とを備えている。また、第1のバス211からの信号は、EtherCATハブ2において、胴体部202の内部へと延びる第2のバス212と、腕部203の内部へと延びる第3のバス213と、台車部204の内部へと延びる第4のバス214とを備えている。
【0073】
第2のバス212上には、EtherCATハブ2から近い順に、腕部203の第1関節(腕J1)と胴体部202の関節(胴J1)を制御する制御回路基板230-2と、首部の2つの関節部(首J1/J2)を制御する制御回路基板230-1が連結されている。
【0074】
また、第3のバス213上には、EtherCATハブ2から近い順に、腕部203の第2関節及び第3関節(腕J2/J3)を制御する制御回路基板230―3と、腕部203の第4関節及び第5関節(腕J4/J5)を制御する制御回路基板230―4と、腕部203の第6関節及び第7関節(腕J6/J7)を制御する制御回路基板230―5が配置されている。
【0075】
さらに、第4のバス214上には、EtherCATハブ2から近い順に、台車部204の右側の2つの車輪を制御する制御回路基板230-6と、台車部204の左側の2つの車輪を制御する制御回路基板230-7とが配置されている。
【0076】
このような構成によれば、腕部203の第一関節と胴部の関節とが、胴体部202内に設けられた一の制御回路基板230により制御されるので、腕部203の小型化を図ることができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記の実施形態は、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、少なくともロボット等を製造する産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 ロボットコントローラ
2 EtherCATハブ
30 制御回路基板
40 駆動回路基板
50 エンコーダ(センサ)
60 モータ
700 第1のバス
701 第2のバス
702 第3のバス
703 第4のバス
8 電源線
9 ワイヤハーネス(通信線)
201 頭部
202 胴体部
203 腕部
204 台車部
205 車輪部
211 第1のバス
212 第2のバス
213 第3のバス
214 第4のバス
800 双腕ロボット
810 双腕ロボット(変形例)
820 双腕ロボット(変形例)
850 移動ロボット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8