(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134946
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】乗物用収納部品、および、乗物用収納構造
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20220908BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20220908BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B65D25/20 V
B60R7/04 Z
B60N3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034468
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 辰也
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
3E062
【Fターム(参考)】
3B088CA06
3D022CA01
3D022CB05
3D022CC18
3D022CD09
3D022CD17
3E062AA01
3E062AB07
3E062AB20
3E062AC01
3E062AC07
3E062BB02
3E062CA11
(57)【要約】
【課題】乗物で使用する際に、振動による移動や転倒を回避することが可能で、所望の場所に固定可能な乗物用収納部品および乗物用収納構造を提供する。
【解決手段】
折り畳み可能とされ、展開した状態において有底箱体28を構成する収納部本体21と、収納部本体21を収容するケース30と、を備え、ケース30は、第1分割体31と、第1分割体31に対して回動可能に設けられた第2分割体41とを備え、第2分割体41は、第1分割体31との間に収納部本体21の収容空間Sを形成する閉塞位置と、開放位置との間で変位可能とされ、第2分割体41が開放位置とされた状態において、ケース側底部32が底部をなし、第2分割体41が立壁部の一部をなし、収納部本体21が立壁部の残りの部分をなすことで有底箱体が28構成され、ケース側底部32の外面に、面ファスナー36が設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能とされ、展開した状態において開口を有する有底箱体を構成する主体となる収納部本体と、前記収納部本体を折り畳んだ状態で収容するケースと、を備える乗物用収納部品であって、
前記ケースは、
平坦なケース側底部を備える第1分割体と、
前記第1分割体に対して回動軸を中心に回動可能に設けられた第2分割体と、を備え、
前記第2分割体は、前記ケース側底部と重畳した状態とされて前記第1分割体との間に前記収納部本体を収容するための収容空間を形成する閉塞位置と、前記ケース側底部に対して立ち上がった状態とされて前記収容空間を開放する開放位置との間で変位可能とされ、
前記第2分割体が前記開放位置とされた状態において、前記ケース側底部が前記有底箱体の底部をなし、前記第2分割体が前記底部の周端部から立ち上がる前記有底箱体の立壁部の一部をなし、前記収納部本体が前記立壁部の残りの部分をなすことで、前記有底箱体が構成され、
前記ケース側底部の外面に、乗物の床面に係止するための面ファスナーが設けられている乗物用収納部品。
【請求項2】
前記第1分割体と前記第2分割体とを架け渡して前記第2分割体を前記開放位置に保持可能な支持部材を備えている請求項1に記載の乗物用収納部品。
【請求項3】
前記収納部本体は、対向壁部と2つの側壁部とを備え、
前記第2分割体が前記開放位置とされた状態において、前記対向壁部が前記第2分割体と対向し、前記2つの側壁部がそれぞれ前記第2分割体、前記ケース側底部、および、前記対向壁部を連結するように配されることで前記有底箱体が構成され、
前記第2分割体が前記閉塞位置とされた状態において、前記対向壁部が前記ケース側底部に重ね合わされ、前記側壁部が折り畳まれることで、前記収納部本体が前記収容空間に収容される、請求項1または請求項2に記載の乗物用収納部品。
【請求項4】
前記収納部本体を収容した状態で前記第2分割体を磁力によって前記閉塞位置に保持する磁力固定部を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の乗物用収納部品。
【請求項5】
前記磁力固定部は、
前記第2分割体のうち前記回動軸とは反対側の端部に設けられた磁石と、
磁力を発生し前記磁石と引きあうことができる付着部と、一端が前記付着部に接続されるとともに他端が前記第1分割体の前記回動軸とは反対側の端部に固定されている可撓性を有する帯状部と、
を備えて構成され、
前記第2分割体が前記閉塞位置とされた状態において、前記付着部が前記第1分割体の外側から前記第2分割体の前記磁石に対応する位置に付着することで前記第2分割体を前記第1分割体に固定することができるとともに、
前記付着部が前記磁石から脱着されることで、前記第2分割体の前記第1分割体への固定が解除される構成を備えている、請求項4に記載の乗物用収納部品。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の乗物用収納部品を備える乗物用収納構造であって、
前記乗物の床面の少なくとも一部に設けられた乗物側面ファスナーに対して、前記乗物用収納部品の前記面ファスナーが係止されている乗物用収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用収納部品、および、乗物用収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な物品を収納するための箱について、折り畳みが可能な構成を備えるものが提案されている。例えば、特許文献1には、折り畳むことにより小型化可能であって、組み立てた時の強度を十分に保ち得る箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような折り畳み式の箱は、上述したように、不使用時には折り畳んで小型化可能であるため、例えば乗物等の限られたスペースに備え付ける際の利便性が高い。しかし、このような箱を乗物で使用する場合、乗物の走行中に振動の影響により乗物室内で移動したり転倒することが考えられる。
【0005】
そこで、箱の移動や転倒を回避するため、フック等を使用して乗物の側壁に引っ掛けて固定することが考えられる。しかしそのような構成では、乗物の側壁に予め被係止部を設けておかなければならない。また、このような構成では、箱を設置する位置が被係止部に隣接した部分に限定され、不便である。
【0006】
また、上述したように乗物の側壁を利用して固定する構成では、乗物の側壁の床面に対する角度が車種によって異なるという事情がある。つまり、箱が折り畳まれている場合はよいが、箱が展開され、箱の立壁が底部に対して垂直方向に延びた状態とされた際に、乗物の側壁と箱の立壁とが干渉し、乗物の側壁に対して固定し難い場合がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乗物で使用する際に、振動による移動や転倒を回避することが可能で、所望の場所に固定可能な乗物用収納部品および乗物用収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、折り畳み可能とされ、展開した状態において開口を有する有底箱体を構成する主体となる収納部本体と、前記収納部本体を折り畳んだ状態で収容するケースと、を備える乗物用収納部品であって、前記ケースは、平坦なケース側底部を備える第1分割体と、前記第1分割体に対して回動軸を中心に回動可能に設けられた第2分割体と、を備え、前記第2分割体は、前記ケース側底部と重畳した状態とされて前記第1分割体との間に前記収納部本体を収容するための収容空間を形成する閉塞位置と、前記ケース側底部に対して立ち上がった状態とされて前記収容空間を開放する開放位置との間で変位可能とされ、前記第2分割体が前記開放位置とされた状態において、前記ケース側底部が前記有底箱体の底部をなし、前記第2分割体が前記底部の周端部から立ち上がる前記有底箱体の立壁部の一部をなし、前記収納部本体が前記立壁部の残りの部分をなすことで、前記有底箱体が構成され、前記ケース側底部の外面に、乗物の床面に係止するための面ファスナーが設けられている。
【0009】
このような構成によれば、乗物で使用する際に、面ファスナーにより乗物の床面に対して固定することが可能な乗物用収納部品とすることができる。乗物の床面は、起毛性を有する素材で構成されていること多いため、多くの車種に使用することができる。この乗物用収容部品は、振動による移動や転倒を回避することが可能で、所望の場所に固定可能とされる。
【0010】
上記乗物用収納部品は、前記第1分割体と前記第2分割体とを架け渡して前記第2分割体を前記開放位置に保持可能な支持部材を備える構成としてもよい。
【0011】
このような構成によれば、ケースが開いた状態を安定させることができる。ひいては、収納部本体の開放状態を安定させることができる。
【0012】
前記収納部本体は、対向壁部と2つの側壁部とを備え、前記第2分割体が前記開放位置とされた状態において、前記対向壁部が前記第2分割体と対向し、前記2つの側壁部がそれぞれ前記第2分割体、前記ケース側底部、および、前記対向壁部を連結するように配されることで前記有底箱体が構成され、前記第2分割体が前記閉塞位置とされた状態において、前記対向壁部が前記ケース側底部に重ね合わされ、前記側壁部が折り畳まれることで、前記収納部本体が前記収容空間に収容される構成としてもよい。
【0013】
このような構成によれば、折り畳み可能とされ、展開した状態において開口を有する有底箱体を形成可能な乗物用収納部品を実現することができる。
【0014】
また、上記乗物用収納部品は、前記収納部本体を収容した状態で前記第2分割体を磁力によって前記閉塞位置に保持する磁力固定部を備える構成としてもよい。
【0015】
このような構成によれば、ケースが設置される向きによらず、ケースが閉じた状態を保持することができる。ひいては、収納部本体を折り畳んだ状態を安定的に保持することができる。
【0016】
前記磁力固定部は、前記第2分割体のうち前記回動軸とは反対側の端部に設けられた磁石と、磁力を発生し前記磁石と引きあうことができる付着部と、一端が前記付着部に接続されるとともに他端が前記第1分割体の前記回動軸とは反対側の端部に固定されている可撓性を有する帯状部と、を備えて構成され、前記第2分割体が前記閉塞位置とされた状態において、前記付着部が前記第1分割体の外側から前記第2分割体の前記磁石に対応する位置に付着することで前記第2分割体を前記第1分割体に固定することができるとともに、前記付着部が前記磁石から脱着されることで、前記第2分割体の前記第1分割体への固定が解除される構成を備えていてもよい。
【0017】
このような構成により、収納部本体を収容した状態で第2分割体を磁力によって閉塞位置に保持する構成を実現することができる。
【0018】
また、本発明は、上述した乗物用収納部品を備える乗物用収納構造であって、前記乗物の床面の少なくとも一部に設けられた乗物側面ファスナーに対して、前記乗物用収納部品の前記面ファスナーが係止されている。このような構成により、乗物用収納部品を乗物に対して固定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、乗物で使用する際に、振動による移動や転倒を回避することが可能で、所望の場所に固定可能な乗物用収納部品および乗物用収納構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態に係る乗物用収納構造を採用した車両の荷室を示す斜視図
【
図3】閉じられた状態の乗物用収納部部品を底部側から視た斜視図
【
図4】閉じられた状態のケースの断面図(
図2のI-I線に相当する断面図)
【発明を実施するための形態】
【0021】
一実施形態の乗物用収納部品および乗物用収納構造について、
図1から
図8を用いて説明する。なお、
図1における紙面奥側が車両前方側であり、手前側が車両後方側である。また、以下の説明で、上下左右とは、各部材が荷室11内に配された状態における車両上下方向、車両幅方向を、それぞれ意味することとする。
【0022】
図1は、車両(乗物の一例)10の荷室11を車両後方から視た一部切欠正面図である。
図1に示すように、車両10の後部には荷室11が設けられており、車両後方ドア(図示せず)を開けた状態で車両後部開口12から荷室11内へアクセス可能とされている。この荷室11は、床面13Aを構成するデッキボード13と、デッキボード13の車両幅方向両側に配され、デッキボード13の両端部から立ち上がる形態で側壁面を構成する一対のデッキサイドトリム14と、デッキボード13の車両前方に配され、前壁を構成する後部座席15のシートバック15Aと、で囲まれた収容空間を有している。デッキボード13は、車両前後方向かつ車両幅方向に沿って延在する平坦な板状をなしている。
【0023】
本実施形態の乗物用収納構造1は、デッキボード13と、このデッキボード13に対して着脱可能に取り付けられる乗物用収納部品20と、を備えることで構成されている。
【0024】
本実施形態の乗物用収納部品20は、
図2および
図6に示すように、折り畳み可能で、展開した状態において物品を収納することが可能な有底箱体28を構成する収納部本体21と、この収納部本体21を折り畳んだ状態で収容するケース30と、を備えている。ケース30は、
図2に示すように、全体として扁平な略直方体形状の箱型をなしている。
【0025】
ケース30は、第1分割体31と、第2分割体41と、磁力固定部50と、面ファスナー36と、を備えている。
図2に示すように、第1分割体31と第2分割体41とは、ケース30の外形をなす部材であるとともに、ケース30は、厚み方向で第1分割体31と第2分割体41とに二分されている。
【0026】
第1分割体31は、開口31Aを有する扁平な略直方体形状であって、有底箱状をなしている。具体的には、第1分割体31は、矩形の平板状の第1底部(ケース側底部の一例)32と、第1底部32の周縁部から立ち上がる壁部とから構成されている。第1分割体31は、収納部本体21を収容する主体となり、収納部本体21は折り畳まれた状態でほぼ全体がこの第1分割体31に収容され得る。
【0027】
第2分割体41は、第1分割体31の開口31Aを塞ぐ要素である。例えば
図6に示されるように、第2分割体41は、第1分割体31と同様に開口41Aを有する扁平な略直方体形状であって、第1分割体31よりも厚みの薄い(深さの浅い)の有底箱状をなしている。具体的には、第2分割体41は、矩形の平板状の第2底部42と、第2底部42の周縁部から立ち上がる壁部とから構成されている。第2分割体41は、その開口41Aを第1分割体31の開口31Aと突き合わせて閉じたときに重なる開口31A,41Aの一縁部に沿って延びる回動軸Mを中心にして、第1分割体31に対して回動自在に一体化されている。以下、第2分割体41が第1分割体31の開口31Aを塞ぐ状態(
図2参照)とされた位置を閉塞位置、第1分割体31から90度開いた状態(
図6参照)とされた位置を開放位置とする。
【0028】
また、以下、第1分割体31において、第1底部32の4つの端縁部から立ち上がる各壁部のうち、回動軸Mを含む壁部を回動軸側第1壁部33とし、回動軸側第1壁部33と対向する壁部を対向側第1壁部34とし、回動軸側第1壁部33と対向側第1壁部34とを連結する一対の壁部を第1側壁部35とする。また、第2分割体41においても同様に、第2底部42の4つの端縁部から立ち上がる各壁部のうち、回動軸Mを含む壁部を回動軸側第2壁部43とし、回動軸側第2壁部43と対向する壁部を対向側第2壁部44とし、回動軸側第2壁部43と対向側第2壁部44とを連結する一対の壁部を第2側壁部45とする。
【0029】
第2分割体41が第1分割体31に対して開放位置とされた状態(
図6の状態)において、第1分割体31と第2分割体41とは、一対の支持部材37により架け渡された状態とされている。支持部材37は細長い板状をなし、それらの一端側は第1分割体31の一対の第1側壁部35の内面に対して回転自在に支持されている。また、他端側は、第2分割体41の一対の第2側壁部45の内面に設けられたレール46に沿って移動可能に支持されている。一対の支持部材37は、第2分割体41が第1分割体31の第1底部32に対して90度開いた状態(開放位置とされた状態)において、前記レール46に対して移動不可能にロックされるようになっている。これにより、第2分割体41が第1分割体31に対して開放位置に保持される。
【0030】
一方、第2分割体41が第1分割体31に対して閉塞位置とされた状態(
図2の状態)において、第1分割体31と第2分割体41とは、磁力固定部50により閉塞状態が保持されるようになっている。磁力固定部50は、第1分割体31に設けられた固定操作部51と、第2分割体41に設けられた受け磁石58とを備える。
【0031】
固定操作部51は、板状をなし、平面視でU字型の固定部本体52(付着部の一例)と、帯状をなし、一端側が固定部本体52の2つの端部にそれぞれ接続されるとともに、他端側が対向側第1壁部34に固定された一対の帯状部56,56と、を備えている。固定部本体52は、互いにに平行に延びる一対の平行部分53,53と、これらの平行部分53,53の一端部同士を連結する板状の架橋部分54と、を含んでいる。一対の平行部分53,53のそれぞれには、磁石55,55が埋め込まれている。また、帯状部56,56は、例えばアクリル繊維が織られてなるテープ等の柔軟性を備える素材によって構成されている。これら帯状部56,56の上記他端は、対向側第1壁部34の外面に対して、長手方向に沿って離間する2か所の取付位置X1,X2において鋲等の留め具によって固定されている。
【0032】
また、第2分割体41に設けられる受け磁石58は、第2底部42のうち対向側第2壁部44に隣接する部分であって、第2分割体41が閉塞位置とされた状態において、固定操作部51(帯状部56)の取付位置X1,X2に対応する位置に埋め込まれている(
図5および
図6参照)。
【0033】
第2分割体41が第1分割体31の開口31Aを塞いだ状態(ケース30が閉塞された状態)において、固定操作部51は、帯状部56,56が対向側第1壁部34の外面から第2分割体41の第2底部42の外面にかけて配されるとともに、固定部本体52が第2底部42の外面に沿って配される。
【0034】
このとき、固定部本体52の磁石55,55と、第2分割体41の受け磁石58,58とが厚み方向で重なり合うように、第1分割体31および第2分割体41の厚みや帯状部56,56の長さ、固定操作部51における磁石55,55および受け磁石58,58の配置等が設計されている。これにより、固定部本体52は、例えば
図5に示されるように、第1分割体31の開口31Aを塞いだ状態(閉塞位置)にある第2分割体41に対して磁力によって付着し、第1分割体31と第2分割体41とを固定することができるようになっている。なおこのとき、固定部本体52は、先端側が第2分割体41の表面から離間するように屈折されている。ユーザは、この屈折部分に指をかけて固定部本体52を持ち上げることで、帯状部56と接続された端部を支点とし、磁力に抗してスムーズに固定部本体52を第2分割体41から脱着させることができる。
【0035】
また、
図6および
図7に示されるように、第2分割体41が閉塞位置から回動して開放位置とされた状態においては、帯状部56,56はU字形状に折り返され、固定部本体52は床面13Aに沿って配されるようになっている(
図8参照)。
【0036】
さらに、対向側第1壁部34の外面の中央部分(2か所の取付位置X1,X2の間)には、乗物用収納部品20を持ち運ぶ際にユーザが把持するための取手38が備えられている。
【0037】
次に、収納部本体21について説明する。収納部本体21は、
図6に示すように、展開された状態において、上方に開口28Aを有する有底箱体28の一部を構成している。収納部本体21を構成する素材は特に制限されないものの、本実施形態の収納部本体21は、例えば、適度な柔軟性と保形性とを同時に有するポリクロロプレン製発泡ゴム等からなる生地によって構成されており、自在に折り畳むことができる。
【0038】
有底箱体28は、第1底部32よりも一回り小さい大きさの収納部側底部22と、収納部側底部22の端部のうち回動軸M側の端部から立ち上がる奥壁部42と、奥壁部42と対向する対向壁部24と、奥壁部42、収納部側底部22、および対向壁部24のそれぞれに連結される一対の側壁部25,25とから構成されている。このうち、収納部側底部22と、対向壁部24と、一対の側壁部25,25とが収納部本体21により構成され、奥壁部42は、第2分割体41の第2底部42により構成されている。このため、奥壁部および第2底部は同一の符号42を使用するものとする。
【0039】
収納部側底部22は、第1分割体31の第1底部32の内面(上面)32Aに接着剤等により固定されており、第1分割体31の内張も兼ねている。また、対向壁部24は、2枚の生地の間に芯材が挿入されていることで柔軟性が抑えられ、板状をなしている。さらに、一対の側壁部25,25のうち対向壁部24と反対側の端部は第2底部42の内面に固定されており、これにより、有底箱体28が形成されている。
【0040】
なお、本実施形態では、有底箱体28の奥壁部を第2分割体41の第2底部42により構成する形態を示すが、収納部本体自体を有底箱状に形成し、第2底部42に重なる壁部を第2底部42に一体に固定することにより、奥壁部を構成する形態とすることもできる。また、本実施形態では、有底箱体28の底部を、収納部側底部22を第1分割体31の第1底部32に重ね合わせて固定することにより構成する形態を示すが、収納部本体21に収納部側底部22を設けず、第1分割体31の第1底部32を有底箱体28の底部として利用する構成とすることもできる。要は、奥壁部および収容部側底部は、収納部本体をケースに固定することにより構成してもよく、ケースのみにより構成してもよい。
【0041】
一対の側壁部25,25には、折り畳みの際の折り目となる位置にミシン目(縫い目)が設けられている。具体的には、側壁部25,25には、
図6における奥壁部42側の上端部と対向壁部24側の下端部とを繋ぐ第1の線26Aと、対向壁部24側の上端部と奥壁部42側の下端部とを繋ぐ第2の線26Bと、からなる折り目26が設けられている。収納部本体21を折り畳む際には、まず。第1の線26Aを山折りにして対向壁部24を奥側(第2分割体41側)に倒し、収納部側底部22に重ね合わせる。次に、2つ折りにされた状態の側壁部25,25が対向壁部24に重なるように、第2の線26Bに沿って側壁部25,25を折り曲げつつ、第2分割体を第1分割体に近づく方向に回動させる。第2分割体41が第1分割体31の開口31Aを閉じた状態では、収納部側底部22に対して下から順に対向壁部24、折り畳まれた状態の側壁部25,25、奥壁部42が重なった状態とされる。このようにして、収納部本体21はコンパクトに折り畳むことができるとともに、折り畳まれた状態でケース30に収納可能とされている。
【0042】
本実施形態の乗物用収納部品20のケース30のうち、第1分割体31の第1底部32の外面32Bには、
図3に示すように、デッキボード13に係止するための面ファスナー36がほぼ全面わたって設けられている。面ファスナー36は、フック面を構成している。
【0043】
一方、デッキボード13の表面(床面13A)およびデッキサイドトリム14の表面は、面ファスナーのループ面を構成する起毛性を有する素材(乗物側面ファスナーの一例)で被覆されている。つまり、乗物用収納部品20は、面ファスナー36により、デッキボード13に対して係止可能とされている。
【0044】
次に、作用効果について説明する。本実施形態の乗物用収納部品20は、折り畳み可能とされ、展開した状態において開口を有する有底箱状をなす収納部本体21と、収納部本体21を折り畳んだ状態で収容するケース30と、を備え、ケース30は、平坦な第1底部32を備える第1分割体31と、第1分割体31に対して回動軸Mを中心に回動可能に設けられた第2分割体41と、を備え、第2分割体41は、第1底部32と重畳した状態とされて第1分割体31との間に収納部本体21を収容するための収容空間Sを形成する閉塞位置と、第1底部32に対して立ち上がって収容空間Sを開放した状態とする開放位置との間で変位可能とされ、第2分割体41が開放位置とされた状態において、収納部本体21は、有底箱体28の一部を構成し、有底箱体28は、第1底部32上を収納部側底部22とするとともに、第2分割体41を収納部側底部22の周端部から立ち上がる立壁部の一部(奥壁部42)とする構成とされ、第1底部32の外面32Bのほぼ全体にわたって、車両10のデッキボード13の上面(床面13A)に係止するための面ファスナー36が設けられている。
【0045】
このような構成によれば、車両10で使用する際に、面ファスナー36によりデッキボード13の上面(床面13A)に対して固定することが可能な乗物用収納部品20とすることができる。車両10の床面13Aは、起毛性を有する素材で構成されていること多いため、多くの車種に使用することができる。この乗物用収納部品20は、振動による移動や転倒を回避することが可能で、所望の場所に固定可能とされる。
【0046】
また、乗物用収納部品20は、第1分割体31と第2分割体41とを架け渡して第2分割体41を開放位置に保持可能な支持部材37を備えている。このような構成によれば、ケース30が開いた状態を安定させることができる。ひいては、収納部本体21の開放状態を安定させることができる。
【0047】
また、収納部本体21は、対向壁部24と2つの側壁部25,25とを備え、第2分割体41が開放位置とされた状態において、対向壁部24が第2分割体41の第2底部42(奥壁部42)と対向し、2つの側壁部25,25がそれぞれ第2底部42(奥壁部42)、第1底部32(収納部側底部22)、および、対向壁部24を連結するように配されることで有底箱体28が構成され、第2分割体41が閉塞位置とされた状態において、対向壁部24が第1底部32に重ね合わされ、側壁部25,25が折り畳まれることで、収納部本体21が収容空間Sに収容されている。
【0048】
また、乗物用収納部品20は、収納部本体21を収容した状態で第2分割体41を磁力によって閉塞位置に保持する磁力固定部50を備えている。このような構成によれば、ケース30が設置される向きによらず、ケース30が閉じた状態を保持することができる。ひいては、収納部本体21を折り畳んだ状態を安定的に保持することができる。
【0049】
また、磁力固定部50は、第2分割体41のうち回動軸Mとは反対側の端部に設けられた受け磁石58と、磁力を発生し受け磁石58と引きあうことができる磁石55を有する固定部本体52と、一端が磁石55に接続されるとともに他端が第1分割体31の回動軸Mとは反対側の端部に固定されている可撓性を有する帯状部56と、を備えて構成され、第2分割体41が閉塞位置とされた状態において、固定部本体52が第1分割体31の外側から第2分割体41の受け磁石58に対応する位置に付着することで第2分割体41を第1分割体31に固定することができるとともに、固定部本体52が受け磁石58から脱着されることで、第2分割体41の第1分割体31への固定が解除される構成を備えている。
【0050】
また、本実施形態の乗物用収納構造1は、車両10の起毛性を有するデッキボード13の上面(床面13A、面ファスナー)に対して、乗物用収納部品20の面ファスナー36を係止させる構造である。このような構成により、乗物用収納部品20を車両10に対して固定することができる。
【0051】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0052】
(1)上記実施形態では、第1分割体31の第1底部32の外面32Bのほぼ全体に面ファスナー36を設ける構成を示したが、面ファスナーは第1底部の一部に設ける構成としてもよい。
【0053】
(2)上記実施形態では、第1分割体31と第2分割体41をともに箱型とした構成を示したが、第1分割体および第2分割体のいずれか一方は、平板状の構成としてもよい。要は、第1分割体と第2分割体とを閉じた場合に、内部に収納部本体を収容するための空間が形成される構成であればよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、ケース30に、第2分割体41の開放位置を保持するための支持部材37を設ける構成を示したが、支持部材37は省略してもよい。また、支持部材を設ける場合でも、支持部材の構成は上記実施形態に限るものでなく、例えば、屈曲した状態と直線状に延びた状態との間で変位可能な構成のものを採用することができる。
【0055】
(4)上記実施形態では、ケース30に、第2分割体41を閉塞位置に保持するための磁力固定部50を設ける構成を示したが、磁力固定部以外の保持構造を採用してもよい。
【0056】
(5)上記実施形態では、乗物用収納部品20を乗物の床面13Aに対して固定する場合を例示したが、ケース30を閉じた状態とした場合には、乗物の床面に限らず、起毛性を有する面ファスナーを備える側壁(デッキサイドトリム)等にも固定することができる。
【0057】
(6)上記実施形態では、乗物用収納部品20の外形が略直方体形状であったが、乗物用収納部品の外形はこれに限定されず、平面視が円形や半円形等であってもよい。また、収納部本体21の展開時の形状や折り畳み方法については、実施形態の開示に限定されない。
【符号の説明】
【0058】
10:車両(乗物)、13:デッキボード、13A:床面(乗物側面ファスナー)、20:乗物用収納部品、21:収納部本体、22:収納部側底部(底部)、23:奥壁部(立壁部の一部)、24:対向壁部(立壁部)、25:側壁部(立壁部)、28:有底箱体、28A:開口、30:ケース、31:第1分割体、32:第1底部(ケース側底部)、32B:外面、36:面ファスナー、37:支持部材、41:第2分割体、42:第2底部、46:レール、50:磁力固定部、51:固定操作部(付着部)、55:磁石、56:帯状部、58:受け磁石(磁石)、M:回動軸、S:収容空間