(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134948
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】理美容用ワゴン
(51)【国際特許分類】
A45D 44/02 20060101AFI20220908BHJP
A47B 31/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A45D44/02 B
A47B31/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034474
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】305002822
【氏名又は名称】東洋理研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】渋沢 一郎
(57)【要約】
【課題】 天板やトレイの高さを立ち作業、座り作業し易い高さに調節でき、使用する理美容師の背丈に合わせて調節することもできる理美容用ワゴンを提供する。
【解決手段】 天板が最上段にあり、トレイが天板の下に上下に間隔をあけて二段以上設けられた理美容用ワゴンであり、支柱は固定支柱に可動支柱が昇降可能にセットされており、可動支柱は所望の昇降位置で固定具により固定支柱に固定可能であり、天板は可動支柱に取り付けられて可動支柱の昇降に伴って昇降できるようにしてあり、可動支柱は天板の高さを理美容師が立ち作業をするのに適する高さと、椅子に座っての座り作業をするのに適する高さに設定可能に昇降して位置決めできるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱、天板、トレイを備え、天板が最上段にあり、トレイが天板の下に二段以上ある理美容用ワゴンにおいて、
支柱は固定支柱に可動支柱が昇降可能にセットされており、
可動支柱は所望の昇降位置で固定具により固定支柱に固定可能であり、
少なくとも、天板は可動支柱に取り付けられて、可動支柱の昇降に伴って昇降できるようにしてあり、
可動支柱は、天板の高さを、理美容師が立ち作業をするのに適する高さと、椅子に座って座り作業をするのに適する高さに設定可能に昇降して位置決めできる、
ことを特徴とする理美容用ワゴン。
【請求項2】
請求項1記載の理美容用ワゴンにおいて、
天板とその下の最上段のトレイは、可動支柱の昇降に伴って昇降するように可動支柱に連結されている、
ことを特徴とする理美容用ワゴン。
【請求項3】
請求項2記載の理美容用ワゴンにおいて、
少なくとも最上段のトレイの下の段のトレイが前後方向にスライド可能であり、可動支柱の昇降に伴って天板及び最上段のトレイが降下して、最上段のトレイとその下の段のトレイの間隔が狭くなっても、下の段のトレイを前方にスライドさせて、当該トレイ内の理美容具を取り出し易くした、
ことを特徴とする理美容用ワゴン。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の理美容用ワゴンにおいて、
固定具がネジ軸を備えたものであり、ネジ軸の長さが固定支柱の外から可動支柱までネジ込んで可動支柱を固定支柱に固定しても固定支柱の外に突出する長さであり、その突出部分が理美容具を係止できる係止部である、
ことを特徴とする理美容用ワゴン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理容室や美容室(以下、「理美容室」という。)で使用される理美容用ワゴンに関する。
【背景技術】
【0002】
理美容室では、鋏、剃刀、櫛、化粧品、毛染め液等の各種理美容具を載せる台として理美容用ワゴンが利用されている(特許文献1~4)。これら特許文献1~4の理美容用ワゴンは四本の脚に天板やトレイが設けられており、この天板やトレイに理美容具を載せたり収容したりすることができる。
【0003】
複数人の理美容師が働く理美容室では、一台の理美容用ワゴンを何人かの理美容師が使用することがある。使用する理美容師の身長はまちまちであり、天板やトレイの高さがある理美容師にとっては丁度よい高さでも、他の理美容師にとっては高すぎる或いは低すぎるといった不都合があった。
【0004】
理美容師は立って作業することが多いが、例えば、頭髪をカラーリングする場合や他の作業時には椅子に座った方が作業し易いこともある。
【0005】
特許文献1~3の理美容用ワゴンは天板やトレイの高さ調節ができない。特許文献4の理美容用ワゴンは脚の長さを調節できるので、天板やトレイの高さを調節することもできるが、その長さ調節は、宅配便で送る場合の料金との関係で、梱包時に支持脚の長さを短くし、使用時に支持脚の長さを長くできるものであって、使用者の身長との関係で使い易くし、立ち作業或いは座り作業をし易くするめに、天板やトレイの高さを調節できるようにしたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-113060号公報
【特許文献2】特開2015-073620号公報
【特許文献3】特開2006-255399号公報
【特許文献4】特開2020-202890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決課題は、天板やトレイの高さを、立ち作業或いは座り作業し易い高さに調節でき、使用する理美容師の背丈に合わせて高さ調節することもできる理美容用ワゴンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の理美容用ワゴンは、キャスター、支柱、フレーム、天板、トレイを備え、天板が最上段にあり、トレイが天板の下に二段以上設けられた理美容用ワゴンである。支柱はキャスター側の固定支柱に、可動支柱が昇降可能にセットされており、可動支柱は所望の昇降位置で固定具により固定支柱に固定可能であり、少なくとも天板は可動支柱に取り付けられて可動支柱の昇降に伴って昇降できるようにしてある。可動支柱は、天板の高さを、理美容師が立ち作業をするのに適する高さと、椅子に座って座り作業をするのに適する高さに調節可能に昇降できるようにしてある。
【0009】
可動支柱には天板だけでなく、天板の下のトレイも取り付けることもできる。この場合は、可動支柱の昇降スライドに伴って、天板だけでなくそのトレイも昇降する。
【0010】
前記固定具は、ネジ軸を備えたものであり、ネジ軸の長さを、固定支柱の外から可動支柱までネジ込んで可動支柱を固定支柱に固定しても固定支柱の外に突出する長さとし、その突出部分を、理美容具を係止できる係止部としたものであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の理美容用ワゴンは次のような効果がある。
(1)可動支柱を昇降させて天板の高さ調節が可能であるため、天板を立ち作業と座り作業に適した高さに調節可能であり、作業性が向上する。
(2)固定具の係止部に理美容具を係止できるので、理美容具を使い易い箇所に置くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の理美容用ワゴンの一例であって、(a)は可動支柱を固定支柱内に収めた状態の斜視図、(b)は可動支柱を固定支柱から上昇させた状態の斜視図。
【
図2】本発明の理美容用ワゴンの一例であって、上二段のトレイを手前に引き出し、最下段のトレイをフレームから取り外した状態の斜視図。
【
図3】本発明の理美容用ワゴンの一例であって、(a)は固定具の説明図、(b)は(a)の固定具の係止部にスプレーボトルを係止した状態の説明図。
【
図4】本発明の理美容用ワゴンの一例であって、(a)は固定具の係止部をチューブ付きにした状態の説明図、(b)は(a)の係止部にスプレーボトルを係止した状態の説明図。
【
図5】本発明の理美容用ワゴンであって、(a)は可動支柱を上昇させて天板を立ち作業に適した高さにした場合の説明図、(b)は可動支柱を降下させて座り作業に適した高さにした場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
本発明の理美容用ワゴンの実施形態の一例を、図面を参照して説明する。
図1(a)(b)、
図2の理美容用ワゴン1は、キャスター2、支柱3、フレーム4、天板5、トレイ6を備えている。トレイ6は天板5の下に間隔をあけて複数段設けてある。キャスター2は汎用のものである。
【0014】
支柱3はフレーム4から立ち上げた固定支柱3aと、固定支柱3a内に昇降スライド可能に挿入された可動支柱3bを備えている。可動支柱3bは固定支柱3aの外側からねじ込んだ固定具7により固定支柱3bに固定できるようにしてある。図示した固定支柱3aと可動支柱3bは角パイプであるが、それらは丸パイプであってもよい。図示した実施例では固定支柱3aの内側に可動支柱3bを挿入してあるが、挿入はその逆であってもよい。
図1(a)(b)の支柱3は二本であるが、支柱3は一本でも三本以上であってもよい。
図1(a)(b)では二本の支柱3をフレーム4の両側方に配置してあるが、支柱3が一本の場合はトレイ6の後方に設けることもできる。三本以上の場合は形状、強度、作業性等の面から任意の箇所に設けることができる。
【0015】
可動支柱3bの上端に天板5が固定され、天板5の下の支持バー17にコ字状の受枠8aが取り付けられ、その受枠8aにトレイ6を載せてある。そのトレイ6は受枠8aの前後方向にスライド可能として、可動支柱3bの昇降に伴って天板5と共に昇降可能としてある。受枠8aは可動支柱3bに直に取り付けて、可動支柱3bの昇降に伴って天板5と共に昇降可能とすることもできる。
【0016】
二段目(最上段のトレイ6の下の段)のトレイ6は固定支柱3a間に設けたコ字状の受枠8bの上に載せて、受枠8bの前後方向にスライド可能としてある。二段目のトレイ6をスライド式とすることにより、可動支柱3bの降下に伴って天板5とその下のトレイ6が降下して、最上段のトレイ6と二段目のトレイ6との間の間隔が狭くなっても、二段目のトレイ6を前方に引き出して、当該トレイ6に載せてある理美容具を容易に取り出すことができる。
【0017】
最下段のトレイ6は二本の固定支柱3aの間に設けた角形の受枠9(
図2)の上に取り外し可能に載せてある。最下段のトレイ6も前後方向にスライド式とすることもできる。トレイ6の段数、間隔、形状、サイズ、深さ、スライド式や固定式といった移動方式等は任意に設計することができる。
【0018】
固定具7は
図3(a)のように、ネジ軸11(
図3(a))の一端に摘み12を備えたものであり、ネジ軸11は固定支柱3aの外側から可動支柱3bまでネジ込んで、ネジ軸11の先端を可動支柱3bに押し付けることにより可動支柱3bを固定支柱3aの所望位置に固定できるようにしてある。ネジ軸11は固定支柱3aの外側から可動支柱3bまでネジ込んで、ネジ軸11の先端を可動支柱3bに押し付けても固定支柱3aの外側に突出する長さにし、その突出部分を係止部13としてある。係止部13には
図3(b)のようにスプレーボトル14のハンドル15を係止できるようにしてある。係止部13には他の理美容具を係止することもできる。
【0019】
係止部13はネジ軸11のネジをなくして平面状にしておくこともできる。平面状にしておくと理美容具を係止したり取り外したりし易くなる。
図4(a)のように係止部13の外周面には円筒状のチューブ16を回転可能に被せておくこともできる。チューブ16を回転可能に被せておくことにより理美容具を係止したり、取り外したりもし易くなる。
【0020】
可動支柱3bの外周面には、その長さ方向に任意間隔で穴をあけたり、凹凸を設けておき、それら穴にネジ軸11の先端をネジ込んだり、凹部に固定具のネジ軸11の先端を押し付けたりして、固定支柱3aに固定することもできる。
【0021】
[高さ調節1]
本発明の理美容用ワゴンは、天板5の高さを
図5(a)のように立ち作業に適した高さに調節することも、
図5(b)のように座り作業に適した高さに調節することもできる。高さ調節するには、固定具7の摘み12を緩み回転させてネジ軸11による可動支柱3bの締め付け(固定)を緩める。その状態で、可動支柱3bを上昇させて天板5を立ち作業に適した高さにし、その位置で固定具7の摘み12を締め付け回転させて、ネジ軸11により可動支柱3bを締め付けて固定する。この高さに固定することにより、お客様の頭髪をカラーリングする場合に、天板5の上に載せたカラーリング液をお客様の頭の近くに引き寄せて作業することができるので、カラーリングし易くなり、カラーリング液がこぼれたり落下したりしにくくなる。また、他の理美容具を天板5の上から、その下のトレイ6から取り上げ易くなり、置き易くもなる。
【0022】
[高さ調節2]
本発明の理美容用ワゴンの天板5の高さを、
図5(b)のような座り作業に適した高さに調節するには、固定具7の摘み12を緩み回転させてネジ軸11による可動支柱3bの締め付け(固定)を緩める。その状態で、可動支柱3bを下げて天板5を座り作業に適した高さにし、その位置で固定具7の摘み12を締め付け回転させてネジ軸11により可動支柱3bを締め付けて固定する。この高さに設定することにより、理美容師が椅子に座ったまま作業することができるので、理美容師の労力負担が軽減される。
【0023】
[理美容具の係止]
本発明の理美容用ワゴンでは、固定具7の係止部13(
図3(a)、
図4(a))にスプレーボトル14のハンドル15を係止することができるので、移動中のワゴン同士が衝突したり、何かに突き当たったりしてもスプレーボトル14が落下しにくくなる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
前記実施形態の構成は一例である。本発明はその課題を解決できれば、他の構成、形状、寸法等にすることもできる。本発明の理美容用ワゴンは、理美容以外の分野、例えば、ホテルやレストランで調理用器具、調理用材料、料理などを搬送したり、病院で医療器具を搬送したりするのに利用することもできる。利用分野に応じて、使用に適する形状、サイズなどに変更することができる。例えば、トレイを板に代えるとか、天板をトレイに変える等することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 理美容用ワゴン
2 キャスター
3 支柱
3a 固定支柱
3b 可動支柱
4 フレーム
5 天板
6 トレイ
7 固定具
8a 受枠
8b 受枠
9 受枠
11 ネジ軸
12 摘み
13 係止部
14 スプレーボトル
15 (スプレーボトルの)ハンドル
16 チューブ
17 支持バー