(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134952
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】画像素材提供方法、画像素材提供システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20220908BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034481
(22)【出願日】2021-03-04
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】501120384
【氏名又は名称】酒谷 信佳
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114546
【弁理士】
【氏名又は名称】頭師 教文
(72)【発明者】
【氏名】酒谷 信佳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】
【課題】移動しながら動画像として撮像された画角が広い画像の中から不動産会社が指示する部分画像を切り出して提供するサービスを実現する。
【解決手段】第1の画角で規定される第1の画像データを、サービスを利用する不動産会社の端末に提供するシステムが実行する画像素材提供方法に、第1の画角よりも広角の第2の画角により、対象とする物件の室内及び又は周辺を移動しながら動画像で撮像した第2の画像データの一部を、プレビュー画像として端末に表示させる処理と、表示されたプレビュー画像のうち端末から指定された部分画像を、第1の画像データとして提供する処理とを設ける。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画角で規定される第1の画像データを、サービスを利用する不動産会社の端末に提供するシステムが実行する画像素材提供方法であって、
前記第1の画角よりも広角の第2の画角により、対象とする物件の室内及び又は周辺を移動しながら動画像で撮像した第2の画像データの一部を、プレビュー画像として前記端末に表示させる処理と、
表示された前記プレビュー画像のうち前記端末から指定された部分画像を、前記第1の画像データとして提供する処理と
を有する画像素材提供方法。
【請求項2】
動画像として撮像された前記第2の画像データに、撮像中の位置を表す情報が移動経路上の複数の地点について記録されている場合、
前記システムは、
前記物件の室内の間取り上に、又は、周辺の地図上に、前記第2の画像データに対応する移動の経路をマッピングした画像を、前記端末に表示する処理を更に有する、
請求項1に記載の画像素材提供方法。
【請求項3】
前記物件の間取り上、又は、周辺の地図上にマッピングされた前記経路上の1つの地点が前記端末から指定された場合、
前記システムは、
前記経路に紐付けられている前記第2の画像データから前記地点に対応する画像データを抽出し、前記プレビュー画像として表示させる処理を更に有する、
請求項2に記載の画像素材提供方法。
【請求項4】
前記物件の周辺の通りを移動しながら動画像で撮像された前記第2の画像データについてパノラマ画像の表示が前記端末から指示された場合、
前記システムは、
前記通りの同じ側に並んでいる建物を正面から撮像した画像データを前記第2の画像データから選択的に抽出し、抽出された当該画像データを出現順につなぎ合わせてパノラマ画像を生成する処理と、
生成されたパノラマ画像を、前記プレビュー画像として前記端末に表示させる処理と
を更に有する、請求項1に記載の画像素材提供方法。
【請求項5】
前記パノラマ画像の中から特定の建物が選択された場合、
前記システムは、
選択された前記建物を含む前記第1の画像データを前記端末に提供する処理を更に有する、
請求項4に記載の画像素材提供方法。
【請求項6】
前記第2の画像データは、全方位を撮像した全天球画像データである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の画像素材提供方法。
【請求項7】
第1の画角で規定される第1の画像データを、サービスを利用する不動産会社の端末に提供する画像素材提供システムであって、
前記第1の画角よりも広角の第2の画角により、対象とする物件の室内及び又は周辺を移動しながら動画像で撮像した第2の画像データを記憶するストレージと、
前記第2の画像データの一部をプレビュー画像として前記端末に表示させるプレビュー処理部と、
前記第2の画像データのうち前記端末から指定された部分画像を、前記第1の画像データとして提供する提供部と
を有する画像素材提供システム。
【請求項8】
第1の画角で規定される第1の画像データを、サービスを利用する不動産会社の端末に提供するコンピュータに、
前記第1の画角よりも広角の第2の画角により、対象とする物件の室内及び又は周辺を移動しながら動画像で撮像した第2の画像データの一部を、プレビュー画像として前記端末に表示させる機能と、
表示された前記プレビュー画像のうち前記端末から指定された部分画像を、前記第1の画像データとして提供する機能と
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像素材提供方法、画像素材提供システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不動産市場で流通される物件の外観や室内の画像は、物件を取り扱う不動産会社のウェブサイトにおいて確認が可能である。現在、ウェブサイトには、不動産会社のスタッフ等が現地に赴いて個別に撮像した画像や売り主や貸主等から提供を受けた画像が掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
売り主や貸主等から提供を受けた画像をウェブサイトに掲載する手法は、スタッフ等が現地を訪問するための時間や労力を削減できる一方で、複数の不動産会社が同じ写真を掲載することになるので、掲載される画像での差別化を図れない。このため、ウェブサイトに掲載された画像では、見込み客を自社に誘導する決め手にならない。
他方、不動産会社のスタッフ等が現地で画像を撮像する方法は、各不動産会社のノウハウを生かした魅力的なアングルの画像などをウェブサイトに掲載できる一方で、現地への移動に要する時間やコストの負担が大きくなる。
【0005】
本発明は、移動しながら動画像として撮像された画角が広い画像の中から不動産会社が指示する部分画像を切り出して提供するサービスを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、第1の画角で規定される第1の画像データを、サービスを利用する不動産会社の端末に提供するシステムが実行する画像素材提供方法であって、前記第1の画角よりも広角の第2の画角により、対象とする物件の室内及び又は周辺を移動しながら動画像で撮像した第2の画像データの一部を、プレビュー画像として前記端末に表示させる処理と、表示された前記プレビュー画像のうち前記端末から指定された部分画像を、前記第1の画像データとして提供する処理とを有する画像素材提供方法である。
請求項2に記載の発明は、動画像として撮像された前記第2の画像データに、撮像中の位置を表す情報が移動経路上の複数の地点について記録されている場合、前記システムは、前記物件の室内の間取り上に、又は、周辺の地図上に、前記第2の画像データに対応する移動の経路をマッピングした画像を、前記端末に表示する処理を更に有する、請求項1に記載の画像素材提供方法である。
請求項3に記載の発明は、前記物件の間取り上、又は、周辺の地図上にマッピングされた前記経路上の1つの地点が前記端末から指定された場合、前記システムは、前記経路に紐付けられている前記第2の画像データから前記地点に対応する画像データを抽出し、前記プレビュー画像として表示させる処理を更に有する、請求項2に記載の画像素材提供方法である。
請求項4に記載の発明は、前記物件の周辺の通りを移動しながら動画像で撮像された前記第2の画像データについてパノラマ画像の表示が前記端末から指示された場合、前記システムは、前記通りの同じ側に並んでいる建物を正面から撮像した画像データを前記第2の画像データから選択的に抽出し、抽出された当該画像データを出現順につなぎ合わせてパノラマ画像を生成する処理と、生成されたパノラマ画像を、前記プレビュー画像として前記端末に表示させる処理とを更に有する、請求項1に記載の画像素材提供方法である。
請求項5に記載の発明は、前記パノラマ画像の中から特定の建物が選択された場合、前記システムは、選択された前記建物を含む前記第1の画像データを前記端末に提供する処理を更に有する、請求項4に記載の画像素材提供方法である。
請求項6に記載の発明は、前記第2の画像データは、全方位を撮像した全天球画像データである、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像素材提供方法である。
請求項7に記載の発明は、第1の画角で規定される第1の画像データを、サービスを利用する不動産会社の端末に提供する画像素材提供システムであって、前記第1の画角よりも広角の第2の画角により、対象とする物件の室内及び又は周辺を移動しながら動画像で撮像した第2の画像データを記憶するストレージと、前記第2の画像データの一部をプレビュー画像として前記端末に表示させるプレビュー処理部と、前記第2の画像データのうち前記端末から指定された部分画像を、前記第1の画像データとして提供する提供部とを有する画像素材提供システムである。
請求項8に記載の発明は、第1の画角で規定される第1の画像データを、サービスを利用する不動産会社の端末に提供するコンピュータに、前記第1の画角よりも広角の第2の画角により、対象とする物件の室内及び又は周辺を移動しながら動画像で撮像した第2の画像データの一部を、プレビュー画像として前記端末に表示させる機能と、表示された前記プレビュー画像のうち前記端末から指定された部分画像を、前記第1の画像データとして提供する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動しながら動画像として撮像された画角が広い画像の中から不動産会社が指示する部分画像を切り出して提供するサービスを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】不動産を紹介するホームページの制作を支援するシステムの構成例を示す図である。
【
図3】実施の形態1で使用する動画像ファイルを説明する図である。(A)は動画像ファイルのデータ構造の例を示し、(B)は時間、緯度、経度の記録例を示す。
【
図4】実施の形態1における動画像ファイルの画像素材提供システムにアップロードされる場合に実行される処理動作の例を説明する図である。
【
図5】実施の形態1で使用する画像素材提供サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】実施の形態1で使用する画像素材提供サーバの機能構成の一例を説明する図である。
【
図7】全天球画像とプレビュー画像の画角の関係を説明する図である。
【
図8】画像素材提供システムとコンピュータの連携により実行される処理動作の一例を説明する図である。
【
図9】物件の選択からクリップ画像のダウンロードに至る操作画面の一例を示す図である。(A)は物件の選択に用いる画面の一例であり、(B)は選択された物件に関連する画像素材の一覧とプレビュー画像の提示に用いる画面の一例を示し、(C)はダウンロードするクリップ画像の選択に用いる画面の一例である。
【
図10】プレビュー画像として表示する部分画像の方位やサイズを変更する操作の一例を説明する図である。
【
図11】プレビュー画像として表示する部分画像の方位やサイズを変更する操作の他の例を説明する図である。
【
図12】プレビュー画像として表示が可能な方位の調整とクリップ画像として録画される画像の一例を説明する図である。
【
図13】プレビュー画像として表示が可能な方位の調整とクリップ画像として録画される画像の他の例を説明する図である。
【
図14】プレビュー画像として表示する画像素材を移動経路の情報を用いて指定する他の画面例を説明する図である。(A)は画像素材の撮像に使用された経路を地図上にマッピングして示す画面の一例であり、(B)は移動経路上で指定された地点の全天球画像から切り出されたプレビュー画像の表示例を示す画面の一例である。
【
図15】実施の形態2で使用する画像素材提供サーバの機能構成の一例を説明する図である。
【
図16】パノラマ画像の生成例を説明する図である。(A)はパノラマ画像の生成が指定された商店街のイメージであり、(B)は商店街に対応する画像素材から生成されたパノラマ画像の例である。
【
図17】パノラマ画像の使用例を説明する図である。(A)はプレビュー画像として表示されたパノラマ画像の例を示し、(B)はパノラマ画像内で指定された建物を正面から撮像した全天球画像から生成されたプレビュー画像の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
<実施の形態1>
<システム構成>
図1は、不動産を紹介するホームページの制作を支援するシステム(以下「ホームページ制作支援システム」という)1の構成例を示す図である。
図1に示すホームページ制作支援システム1は、取引の対象である不動産(すなわち物件)の室内やその周辺の町並みを移動しながら動画像として撮像するカメラ10と、カメラ10で撮像された動画像のうち不動産会社等が指定する部分画像をサービスとして提供する事業者が運用する画像素材提供システム20と、サービスを利用する不動産会社等に設置されるコンピュータ30と、これらを接続する通信網40とを基本構成とする。
【0011】
ここでの不動産会社は、物件の売買や賃貸等を代理又は仲介する事業者をいい、規模の大小は問わない。
図1では、不動産会社A、B、Cのそれぞれに1台のコンピュータ30を設置しているが、それぞれ複数台のコンピュータ30を設置してもよい。
本実施の形態で使用するカメラ10は、物件の室内だけでなく、物件の外観や周辺の街並み等の撮像にも使用される。
また、本実施の形態で使用するカメラ10は、いわゆる360°カメラであり、全天球画像の撮像が可能である。全天球画像は、カメラ10を中心に全方位を撮像した画像をいう。
【0012】
本実施の形態では、移動しながら動画像で撮像された全天球画像を「画像素材」といい、その画像データを「全天球画像データ」という。換言すると、画像素材は、連続的に撮像された全天球画像列として与えられる。
本実施の形態で想定するカメラ10は、静止画像を撮像するモードと動画像を撮像するモードの両方に対応する。もっとも、画像素材の撮像には、前述したように、動画像を撮像するモードが使用される。動画像の記録フォーマットの例には、例えばMP4形式やMOV形式がある。
カメラ10による撮像は、例えば車輪等により走行する無人機や車両に取り付けて行ってもよいし、空中を飛行可能なドローンに取り付けて行ってもよい。また、カメラ10を手に持ちながら撮像してもよい。
【0013】
カメラ10には、GPS(=Global Positioning System)受信機や屋内を対象とする測位システムが内蔵されており、動画像の撮像中におけるカメラ10の撮像位置が記録される。撮像位置は、撮像を開始する地点だけでなく、少なくとも経路上の複数地点について撮像位置が記録される。本実施の形態の場合、全てのフレームについて撮像位置が記録される。
測位システムとしてGPS受信機を用いる場合、移動の経路上の緯度経度が特定され記録される。
また、測位システムとして屋内用の測位システムを用いる場合、物件の間取り内の位置が記録される。屋内用の測位システムには、例えばBLE(=Bluetooth Low Energy)ビーコンを活用する屋内測位システムがある。
【0014】
図2は、撮像位置の記録例を説明する図である。
図2には、物件の間取り上に、画像素材の撮像時の移動経路が矢印で記されている。この場合、L字型のリビングの奥から台所のドアに至る経路に沿って画像素材が撮像され記録される。
本実施の形態の場合、移動経路上の各地点が撮像位置として記録される。従って、ある画像フレームが指定されると、対応する移動経路上の地点が特定される。反対に、移動経路上の地点が指定されると、対応する全天球画像が特定される。勿論、屋外での撮像の場合にも同様である。ただし、屋外の場合には、地図上に移動経路がマッピングされる。
【0015】
撮像位置は、各画像フレームのメタデータとして記録してもよいし、イントラフレームのメタデータとして記録してもよいし、画像フレームに紐付けられた独立のデータとして記録してもよい。
撮像位置が画像フレームに紐付けられた独立のデータとして記録する場合、撮像位置は、例えば撮像時の時刻や撮像開始からの経過時間等の情報を用いて各画像フレームに紐付ける。この紐付けは、画像素材提供システム20が実行する。
【0016】
図1の説明に戻る。
カメラ10で撮像された画像素材は、通信網40経由又は可搬型のメモリ50を介して、画像素材提供システム20に与えられ蓄積される。通信網40には、例えばインターネット、いわゆる4Gや5Gと呼ばれる移動通信システム、無線LAN(=Local Area Network)、ブルートゥース(登録商標)が用いられる。
【0017】
本実施の形態で使用する画像素材提供システム20は、撮像日時、撮像位置、物件名や部屋番号等をメタデータに含む全天球画像データを画像素材として蓄積する画像素材データベース21と、コンピュータ30との連携により画像素材の一部を切り出して提供する画像素材提供サーバ22とを有している。
図1に示す画像素材データベース21は、通信網40に接続されているが、画像素材提供サーバ22に内蔵又は外付けされていてもよい。ここでの画像素材データベース21はストレージの一例であり、画像素材は第2の画像データの一例である。
【0018】
画像素材提供サーバ22は、コンピュータ30から指定された検索条件に基づいて画像素材データベース21を検索する機能、画像素材からプレビュー画像を生成する機能、プレビュー画像のうち録画が指示された部分画像をクリップ画像として提供する機能等を有している。ここでのクリップ画像は、第1の画像データの一例である。
本実施の形態の場合、検索条件には、例えば物件名、部屋番号、撮像の時間帯、最寄りの建物や施設名を使用する。
本実施の形態の場合、プレビュー画像とクリップ画像は、2:3や3:4等の縦横比で画像素材から切り出される部分画像をいう。
プレビュー画像は、コンピュータ30に記録することはできないが、クリップ画像は、コンピュータ30への記録が許される。一般に、プレビュー画像はストリーミング配信される。
【0019】
コンピュータ30は、不動産会社に設置される端末の一例である。
図1には、ノート型のコンピュータ30を描いているが、コンピュータ30は、デスクトップ型でも、タブレット型でも、スマートフォンでもよい。また、将来的には、スマートグラスやAR(=Augmented Reality)グラスでもよい。
なお、
図1には、コンピュータ30の操作に使用するマウス31も表している。マウス31は、例えばプレビュー画像として切り出す部分の移動だけでなく、ズームインやズームアウトの指示にも用いられる。
【0020】
<動画像ファイルのデータ構造>
図3は、実施の形態1で使用する動画像ファイルを説明する図である。(A)は動画像ファイルのデータ構造の例を示し、(B)は時間、緯度、経度の記録例を示す。
動画像ファイルは、データの本体である動画像データと、メタデータとで構成される。
本実施の形態の場合、メタデータの項目には、「撮影日時」、「動画像のタイプ」、「撮影箇所タイプ」、「撮影箇所データ」、「時間、緯度、経度」等がある。
メタデータは、基本的に、カメラ10(
図1参照)が自動的に記録する。もっとも、一部の項目については、画像素材を撮像するユーザが記録する内容を指示してもよい。
【0021】
「動画像のタイプ」には、例えば360°画像や180°画像が記録される。ここで、360°画像は、いわゆる全天球画像を意味する。また、180°画像は、いわゆる半天球画像を意味する。言うまでもなく、タイプの表記の仕方は様々であり、
図3(A)に示す例は一例である。
【0022】
「撮影箇所タイプ」には、例えばルート動画、ストリート動画、ポイント動画が記録される。
ルート動画やストリート動画は、道路や通路の移動中に撮像される動画像である。換言すると、ルート画像やストリート画像は、緯度や経度が変化する動画像である。
一方、ポイント動画は、建物や屋内を撮像した動画像である。換言すると、ポイント動画は、メタデータとして記録される緯度経度が変化しない動画像である。
【0023】
「時間、緯度、経度」は、動画像データを構成する各フレームや予め定めた時間毎に記録される。
図3(B)の例では、1秒間隔で「時間、緯度、経度」の組が記録されている。もっとも、1秒は一例であり、数秒間隔や1秒未満の時間間隔で、「時間、緯度、経度」の組を記録してもよい。
なお、1秒間隔の場合、緯度と経度は変化しない。
【0024】
<動画像ファイルのアップロード>
図4は、実施の形態1における動画像ファイルの画像素材提供システム20にアップロードされる場合に実行される処理動作の例を説明する図である。
図4では、動画像ファイルが画像素材提供システム20にアップロードされる場合に実行される処理動作の一例を説明する図である。
【0025】
図4の場合、動画像ファイル登録サーバ23が、アップロードされた動画像ファイルを地図データ上の道路にマッピングする処理と、マッピングにより特定された道路を示すルートデータを生成する処理と、ルートデータと動画像ファイルをセットとして画像素材データベース21に登録する処理とを実行する。
【0026】
図4では、アップロードされる動画像ファイルの登録専用の動画像ファイル登録サーバ23を用意しているが、画像素材提供サーバ22の機能の一部として実現することも可能である。
ここでの動画像ファイル登録サーバ23は、コンピュータを基本構成とし、メタデータ解析処理プログラムを実行する。
ここでのメタデータ解析処理プログラムは、アップロードされた動画像ファイルのメタデータを解析し、撮像時間毎の緯度と経度の情報を抽出する機能を有している。
【0027】
また、メタデータ解析処理プログラムは、抽出された緯度と経度を、該当する地域の地図上で一番近い道路にマッピングし、マッピングされた経路を連ねてルートデータを生成する機能を有している。
図4では、道路上に2つのルートデータA及びBが描画されている。ルートデータAは、動画像ファイルAに対応し、ルートデータBは、動画像ファイルBに対応する。動画像ファイルA及びBは、ルート動画又はストリート動画の一例である。
【0028】
なお、建物や室内を撮像した動画像ファイルC(すなわちポイント動画)の場合、緯度と経度に変化がないので、地図上の1地点にルートデータCがマーキングされている。
本実施の形態では、地図上の1地点にマーキングされたルートデータCもルートデータの一例として扱う。
結果的に、画像素材データベース21には、動画像ファイルとルートデータがセットで登録される。
【0029】
<画像素材提供サーバの構成>
図5は、実施の形態1で使用する画像素材提供サーバ22のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施の形態における画像素材提供サーバ22は、データ処理部220と、ハードディスクドライブ(すなわちHDD)221と、通信モジュール222で構成される。
図5に示すように、データ処理部220は、CPU220Aと、ROM(=Read Only Memory)220Bと、RAM(=Random Access Memory)220Cとで構成されている。
【0030】
CPU220Aは、プログラムの実行を通じて各種の機能を実現するプロセッサである。
ROM220Bは、BIOS(=Basic Input Output System)等を記憶する半導体メモリである。
RAM220Cは、主記憶装置として用いられる半導体メモリであり、プログラムの作業スペースとして使用される。
ハードディスクドライブ221は、補助記憶装置であり、プログラムや画像素材データベース21(
図1参照)から読み出した画像素材が記憶される。
通信モジュール222は、通信網40との通信に使用するプロトコルに準拠する。
【0031】
図6は、実施の形態1で使用する画像素材提供サーバ22の機能構成の一例を説明する図である。
図6に示す機能構成は、CPU220A(
図5参照)によるプログラムの実行を通じて実現される。
【0032】
画像素材提供サーバ22は、不動産会社側に設けられているコンピュータ30からの指示により選択された画像素材を読み出してプレビュー画像を生成し、コンピュータ30のディスプレイに表示するプレビュー処理部220Dと、プレビュー画像のうち録画が指示された部分画像をクリップ画像として提供するクリップ提供部220Eとして機能する。
本実施の形態におけるプレビュー画像は、画像素材のうちコンピュータ30からの指示に応じて切り出された部分画像である。
【0033】
図7は、全天球画像とプレビュー画像の画角の関係を説明する図である。
図7の吹き出しは、画像素材を構成する画像フレームに対応する全天球画像を示している。吹き出し内の球体は、全天球画像の画角を示している。全天球画像の撮像に使用される画角は、第2の画角の一例である。
一方、プレビュー画像は、全天球画像の中から2:3や3:4等の縦横比で切り出された部分画像をいう。プレビュー画像に相当する画角は、第1の画角の一例である。
【0034】
プレビュー画像として切り出される方位や切り出されるサイズは、コンピュータ30(
図1参照)からの指示により変更される。例えば方位の変更は、同じサイズのまま水平方向や上下方向への変更である。なお、ズームインでは切り出される部分のサイズが小さくなり、ズームアウトでは切り出される部分のサイズが大きくなる。
なお、
図7に示すように、本実施の形態におけるクリップ画像は、プレビュー画像のうち録画が指示された部分画像をいう。
ここでのクリップ画像は、第1の画像データの一例である。因みに、画像素材は第2の画像データの一例である。
図7の場合、画像素材の全てのフレームには撮像位置が記録されている。
【0035】
図6の説明に戻る。
クリップ提供部220Eは、コンピュータ30に表示中のプレビュー画像のうち録画が指示された部分画像をクリップ画像として記録し、コンピュータ30に提供する。
図6に示すように、クリップ画像は、静止画像でも動画像でもよい。
【0036】
<処理動作>
図8は、画像素材提供システム20とコンピュータ30の連携により実行される処理動作の一例を説明する図である。
図8では、ステップの意味で記号のSを使用する。
図8の場合、画像素材は、画像素材データベース21(
図1参照)に既に蓄積されている。
【0037】
まず、不動産会社に設置されているコンピュータ30は、画像素材提供システム20に対し、確認の対象である物件の選択を通知する(ステップ1)。
一方の画像素材提供システム20は、通知元であるコンピュータ30に対し、選択された物件の画像素材の一覧を提示する(ステップ2)。
次に、コンピュータ30は、画像素材提供システム20に対し、表示された画像素材の中からプレビュー画像として確認する画像の選択を通知する(ステップ3)。
一方の画像素材提供システム20は、通知元であるコンピュータ30に対し、選択された画像素材のプレビュー画像を提示する(ステップ4)。
【0038】
この後、コンピュータ30を操作するスタッフは、プレビュー画像の内容を確認しながら、好みの方位やサイズを探す作業を実行する。
このユーザの指示を受け付けたコンピュータ30は、画像素材提供システム20に対し、プレビュー画像として表示する方位等の指示を通知する(ステップ5)。
一方の画像素材提供システム20は、通知元であるコンピュータ30に対し、指示に応じて切り出した部分画像をプレビュー画像として提示する(ステップ6)。
【0039】
この後、コンピュータ30を操作するスタッフは、調整を繰り返し、好みの再生時刻(又は移動経路上の地点)の好みの方位及びサイズを決定する。
決定した部分画像をクリップ画像として保存する場合、コンピュータ30を操作するスタッフは、録画ボタンを操作する。すなわち、コンピュータ30は、画像素材提供システム20に対し、プレビュー画像の一部分の録画を指示する(ステップ7)。
一方の画像素材提供システム20は、指示された部分画像をクリップ画像として記録する(ステップ8)。
このステップ1~ステップ8の処理が繰り返し実行される。
【0040】
この後、コンピュータ30は、画像素材提供システム20に対し、ダウンロードするクリップ画像の選択を通知する(ステップ9)。
一方の画像素材提供システム20は、通知元であるコンピュータ30に対し、通知されたクリップ画像を送信する(ステップ10)。
クリップ画像を受信したコンピュータ30は、クリップ画像を保存する(ステップ11)。
図8を用いて説明した処理動作は、画像素材提供方法の一例である。
【0041】
<操作画面>
以下では、
図9~
図14を使用して、コンピュータ30のディスプレイに表示される操作画面について説明する。
図9は、物件の選択からクリップ画像のダウンロードに至る操作画面の一例を示す図である。(A)は物件の選択に用いる画面の一例であり、(B)は選択された物件に関連する画像素材の一覧とプレビュー画像の提示に用いる画面の一例を示し、(C)はダウンロードするクリップ画像の選択に用いる画面の一例である。
【0042】
図9(A)に示す画面301は、ステップ1(
図8参照)で用いられる。
画面301の場合、物件名と対応する物件のアイコン画像がセットで表示されている。例えばマウスカーソル311を希望のアイコン画像や物件名の上に移動し、マウス31(
図1参照)を右クリックすると、物件の選択が確定する。なお、画面301の表示の前には、物件の候補を検索するための操作が行われている。例えばキーワード等による検索が実行されている。
【0043】
図9(B)に示す画面302は、ステップ2からステップ8(
図8参照)で用いられる。
画面302の左側には、選択された物件に関連する複数の画像素材の一覧が、各画像素材の代表フレームやファイル名等により表されている。
代表フレームには、例えば先頭フレームやサービスの提供者が指定したフレームが用いられる。
図9(B)の場合、代表フレームやファイル名等は、選択ボタンとしても使用される。
【0044】
画面302の右側には、マウスカーソル311で選択された画像素材の確認に使用されるプレビュー画像の表示欄312と、タイムライン313と、再生や録画の指示に使用される操作ボタン314が配置されている。
表示欄312には、タイムライン313上のカーソルが位置する時点の画像素材から切り出されたプレビュー画像が表示されている。
図9(B)ではカーソルを三角形のマークで表している。
【0045】
本実施の形態の場合、全天球画像には基準方位が定められており、プレビュー画像の初期画像は、基準方位が中心となるように切り出される。また、初期画像におけるプレビュー画像のサイズも固定である。
もっとも、方位やサイズの変更を受け付けた後は、次の指示を受け付けるまで、最後に受け付けた方位とサイズが維持される。
なお、後述するように、プレビュー画像として切り出す方位やサイズは、マウス31(
図1参照)の操作により変更が可能である。
【0046】
操作ボタン314は、プレビュー画像の再生や録画の指示のためのボタン類であり、
図9(B)の場合、左から前チャプターの頭出し、巻き戻し、再生、一時停止、早送り、次チャプターの頭出し、録画のボタンである。
本実施の形態の場合、録画が開始されてから録画が停止されるまでの期間に表示欄312に表示されていたプレビュー画像がクリップ画像としてハードディスクドライブ221(
図5参照)に保存される。保存先は、プレビュー画像を閲覧している不動産会社や編集に用いているコンピュータ30(
図1参照)毎に用意される。
なお、クリップ画像は、動画像としての切り出しも静止画像としての切り出しも可能である。
【0047】
図9(C)に示す画面303は、ステップ9(
図8参照)で用いられる。画面303は、ダウンロードするクリップ画像の選択に用いられる。
画面303の左側には、コンピュータ30を操作するスタッフによって録画されたクリップ画像の一覧が、各クリップ画像の代表フレームやファイル名等により表されている。ここの代表フレームやファイル名等は選択ボタンとしても使用される。
画面303の右側には、ダウンロードの対象として選択されたクリップ画像の代表フレームやファイル名等が表示される。
【0048】
画面303では、マウスカーソル311で選択された「クリップ1」が、ドラッグアンドドロップにより、左側の欄から右側の欄に移動されている。
なお、右下のダウンロード用のボタン315が操作されると、ダウンロードするクリップ画像の選択が確定し、ダウンロードが実行される。
【0049】
図10は、プレビュー画像として表示する部分画像の方位やサイズを変更する操作の一例を説明する図である。
図10には、
図9との対応部分に対応する符号を付して示している。
全天球画像から切り出すプレビュー画像の方位の変更にはマウス31が使用される。例えばマウス31を右方向に移動すると、プレビュー画像として全天球画像から切り出される景色は右方向に旋回する。反対に、マウス31を左方向に移動すると、プレビュー画像として全天球画像から切り出される景色は左方向に旋回する。
【0050】
なお、マウス31を前進すると、プレビュー画像として全天球画像から切り出す方位を定める仰角が大きくなる。具体的には、表示欄312に表示される景色は、視線を上げる方向に変化する。
図10では、この変化を上旋回と示す。
一方、マウス31を後進すると、プレビュー画像として全天球画像から切り出す方位を定める俯角が大きくなる。具体的には、表示欄312に表示される景色は、視線を下げる方向に変化する。
図10では、この変化を下旋回と示す。
このように、本実施の形態の場合、不動産会社側のスタッフは、マウス31の移動により、移動経路上の任意の地点における任意の方位をプレビュー画像として観察することが可能である。
【0051】
また、マウス31のホイールを前方向に回転させると、表示欄312に表示される景色はズームインするように変化する。具体的には、プレビュー画像内の被写体が大きく表示される。
一方、マウス31のホイールを後方向に回転させると、表示欄312に表示される景色はズームアウトするように変化する。具体的には、プレビュー画像内の被写体が小さく表示される。
【0052】
図11は、プレビュー画像として表示する部分画像の方位やサイズを変更する操作の他の例を説明する図である。
図11には、
図9との対応部分に対応する符号を付して示している。
図11の場合、表示欄312に表示するプレビュー画像は、タイムライン313(
図9参照)ではなく、画面302の左側に配置された物件の間取り図にマッピングされた移動経路上のスライダ316の位置で指定する。
図11の場合、画像素材の記録時にカメラ10(
図1参照)の移動経路を画面上で確認した上で撮像の地点をピンポイントで指定することが可能になる。
【0053】
この指定が可能であるのは、画像素材を構成する各画像フレームに撮像位置が記録されているためである。
また、画像素材の撮像時におけるカメラ10の移動速度が一定とは限らない。例えば屋外では赤信号のために立ち止まる場合もあれば、他の歩行者に応じて移動速度が変化する可能性がある。また、室内でも、机等の障害物を避けるために移動の速度が低下する可能性がある。このように撮像時における移動速度が一定でない場合でも、
図11に示す画面302であれば、プレビュー画像として表示させたい地点の特定が容易になる。
なお、プレビュー画像として切り出される部分画像の方位やサイズの変更にはマウス31を使用する。
【0054】
図12は、プレビュー画像として表示が可能な方位の調整とクリップ画像として録画される画像の一例を説明する図である。
図12に示す画像素材は、ある部屋のドアの位置から部屋の奥まで移動した場合の全天球画像データを想定している。
【0055】
図12の縦方向は、移動経路上の地点に対応する。
例えば最上段の3つの画像は、部屋のドア付近で撮像された全天球画像からプレビュー画像として切り出される部分画像を表している。
中段の3つの画像は、部屋の中央付近で撮像された全天球画像からプレビュー画像として切り出される部分画像を表している。
【0056】
最下段の3つの画像は、部屋の奥付近で撮像された全天球画像からプレビュー画像として切り出される部分画像を表している。なお、部屋の奥付近で撮像された画像だけは、部屋の奥からドアの方向を見た部分画像がプレビュー画像として表示された例を
図12に示している。
【0057】
図12の横方向は、視線の方位の違いを表している。左の列の画像は、仰角が0°~90°の範囲の画像に対応し、中列の画像は仰角又は俯角が0°の画像に対応し、右列の画像は俯角が0°~90°の範囲の画像に対応する。なお、横方向に並べた各画像は、水平方向について360°の範囲で視線の方向の指定が可能である。
このように、本実施の形態における画像素材提供システム20では、移動経路上の任意の地点における、任意の方位の景色をプレビュー画像として提供することができる。
【0058】
しかも、各方位についてズームインやズームアウトを組み合わせることで、画像素材から切り出されるサイズの調整も可能である。
なお、従前のサービスでは、物件を撮像する地点と、撮像の方向と、画角が定まったサンプル画像がネット上で提供される。このため、提供されたサンプル画像を物件の画像として選択する場合には他の事業者との差別化が図れない。このため、各不動産会社ではスタッフ等を現地に派遣して魅力的なアングルの画像を撮像しているが、前述したように、その労力やコストの負担が大きすぎる。
【0059】
図12では、プレビュー画像の中で録画が指示されたクリップ画像を太枠で囲んで示している。
図12に示す例は、極端な例であるが、部屋のドアの位置と、中央と、奥側とで、視線の方向を全て変更した例である。
図13は、プレビュー画像として表示が可能な方位の調整とクリップ画像として録画される画像の他の例を説明する図である。
図13には、
図12との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0060】
図13の場合、クリップ画像の視線の方向はいずれも上向きの場合である。もっとも、太枠で示す画像は、水平方向よりも上向きの方向の画像が選択されたことを示すのみであり、仰角は固定でも可変でもよい。例えばドアの付近では仰角0°の部分画像でクリップ画像が開始し、部屋の中央付近では特徴的な出窓や天井付近の部分画像に切り替わり、部屋の奥では特徴的な床材が映り込むように視線を少し下げた部分画像で終わることも可能である。
【0061】
このように、本実施の形態に係る画像素材提供システム20から画像素材の提供を受ける不動産会社では、プレビュー画像の確認を通じて、画像素材の中から自社のノウハウを生かした魅力的なアングルの画像を切り出し、クリップ画像としてダウンロードすることができる。
この結果、共通の画像素材を用いながらも、各不動産会社は、自社のノウハウを反映した魅力的な物件用のホームページを制作することができる。
勿論、不動産会社のスタッフ等は、現地を訪問する必要がなくなるので、ホームページの制作に要していた時間の大幅な削減が可能になる。その結果、スタッフの業務の見直しも可能になる。
【0062】
図14は、プレビュー画像として表示する画像素材を移動経路の情報を用いて指定する他の画面例を説明する図である。(A)は画像素材の撮像に使用された経路を地図上にマッピングして示す画面の一例であり、(B)は移動経路上で指定された地点の全天球画像から切り出されたプレビュー画像の表示例を示す画面の一例である。なお、
図14には、
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
本実施の形態では、画像素材として、最寄り駅から物件に徒歩で移動する間に撮像された全天球画像データを使用する。すなわち、移動経路に対応する画像素材は、歩道上で撮像されている。このため、車両が通行できない商店街や階段を含む経路も、個々での移動経路に含まれる。もっとも、車道上からの撮像を排除するものではない。
【0063】
歩道上で撮像する場合、車道上から撮像する場合とは異なり、道路上に駐車された車両や街路樹によって道沿いの建物が隠れていない画像素材が得られている。勿論、歩道上では、他の歩行者が映り込む場合もあるが、歩行者により隠れる面積は車両や街路樹により隠れる面積に比して小さく済む。このため、歩道上で動画像撮像された全天球画像を画像素材として用いる。
図14(A)に示す画面302では、不動産会社のスタッフが、○△中学校の付近にマウスカーソル311を移動してクリックしている。
【0064】
画像素材提供サーバ22は、クリック操作を検知すると、クリックされた地点の緯度経度を特定し、特定された緯度経度又は特定された緯度経度に近い緯度経度が記録されている全天球画像を、対応する画像素材の中から抽出する。
続いて、画像素材提供サーバ22は、抽出された全天球画像から初期画像としてのプレビュー画像を切り出してコンピュータ30のディスプレイに表示する。
【0065】
図14(B)に示す画面302では、マウス31(
図11参照)の操作により、○△中学校を正面から撮像したプレビュー画像が表示欄312に表示されている。
なお、地図上での地点の指定によっては、ホームページに掲載したい被写体のイメージとは完全に一致しない可能性が高い。
その場合、不動産会社のスタッフは、操作ボタン314の再生ボタン等の操作を通じて地点のプレビュー画像として表示される地点の微調整を行う。勿論、視線方向の変更は、マウス31の操作により行う。
【0066】
地図上での地点の指定を組み合わせることにより、
図11の場合と同様、プレビュー画像として確認したい風景に短時間でたどり着くことができる。
なお、
図14の例では、移動経路上の地点が指定されると、プレビュー画像を表示する表示欄312と操作ボタン314で構成される画面302に切り替える例を示しているが、
図11の場合と同様に、移動経路をマッピングした地図を表示欄312と同じ画面上に配置してもよい。
【0067】
また、
図14の場合、不動産会社のスタッフが指定した物件に関連する画像素材の撮像時の移動経路が地図上にマッピングされる場合を前提に説明したが、特定の地域を指定することで表示された地図上から、ホームページ上に活用したい風景を含む画像を探せるようにしてもよい。
例えば
図14において、物件の裏手にある○□小学校の画像を掲載したい場合がある。○□小学校は、最寄り駅から物件に至る経路を撮像した画像素材の移動経路には存在しない。この場合、物件に関連する画像素材だけを画面302に表示する手法では、目的とする風景を含む画像を、クリップ画像としてダウンロードすることができない。
【0068】
しかし、同じ地域の別の物件に関連付けられている画像素材の移動経路に、○□小学校の前を通るコースが含まれる可能性がある。
そのような場合には、地図上で特定の道路や目的とする施設等を指定することで、指定された道路や施設等に関連付けられている画像素材の一覧が画面上に提示されるようにしてもよい。また、各画像素材の内容がプレビュー画像として順番に再生されるようにしてもよい。
【0069】
その際、プレビュー画像に対応する画像素材の移動経路を地図上にマッピングしてもよい。また、プレビュー画像の再生に伴い、表示中のプレビュー画像の地点を示すマーカが地図上で移動してもよい。
なお、同じ被写体に関連付けられた複数の画像素材は、同じ時刻や季節に撮像されるとは限らない。例えば早朝の時間帯や夜の時間帯に撮像された画像素材もあれば、冬や夏に撮像された画像素材もあり得る。
しかし、紐付けられている物件が異なる複数の画像素材の内容をプレビュー画像として確認できることで、よりイメージに近い画像をホームページに使用することが可能になる。
【0070】
<実施の形態2>
本実施の形態では、パノラマ画像を生成する機能を追加した画像素材提供システム20(
図1参照)について説明する。
なお、実施の形態2で使用するホームページ制作支援システム1(
図1参照)の構成例は実施の形態1と同じであり、画像素材提供システム20のハードウェア構成も実施の形態1と同じである。
【0071】
図15は、実施の形態2で使用する画像素材提供サーバ22Aの機能構成の一例を説明する図である。
図15には、
図6との対応部分に対応する符号を付して示している。
図15に示す画像素材提供サーバ22Aは、パノラマ画像の生成機能を備えるプレビュー処理部220D1を使用する点で、
図6に示す画像素材提供サーバ22と相違する。
本実施の形態で使用するプレビュー処理部220D1も、コンピュータ30からの指示に従い、画像素材からプレビュー画像を生成する機能を有している。
【0072】
本実施の形態におけるパノラマ画像は、不動産会社のスタッフが指定した移動経路上の区間について生成される。ここでの区間は、画像素材の撮像時の移動経路の全体でもよいし、一部分でもよい。例えば特定の通りだけを指定してもよい。
前述したように、本実施の形態で想定する画像素材には、移動経路の全地点に対応する全天球画像が含まれる。このため、移動方向の右側と左側のそれぞれについて、移動経路に沿った風景を各画像フレームから切り出すことが可能である。
【0073】
なお、全ての画像フレームに移動方向の右側と左側の風景を切り出したのでは、ほぼ同一の風景が連続することになる。
そこで、本実施の形態におけるプレビュー処理部220D1は、コンピュータ30からパノラマ画像の生成指示を受け付けた場合、通りの同じ側に並んでいる建物を正面から撮像した画像を選択的に抽出し、抽出された画像を出現順につなぎ合わせてパノラマ画像を生成する。
【0074】
図16は、パノラマ画像の生成例を説明する図である。(A)はパノラマ画像の生成が指定された商店街のイメージであり、(B)は商店街に対応する画像素材から生成されたパノラマ画像の例である。
図16(A)に示すように、本実施の形態では、車両が通行できない商店街を通り抜けながら全天球画像を動画像で撮像することができる。言うまでもなく、商店街は一例である。
【0075】
本実施の形態におけるプレビュー処理部220D1は、画像認識(AIを含む)の技術を利用し、連続する複数フレームの中から同一の建物の正面とみなすフレームを1つ特定し、同フレームの中から建物の正面の画像を切り出す。この処理を建物の出現順に繰り返すことで、例えば商店街の移動方向の右側に存在する建物を切り出してつなぎ合わせたパノラマ画像を生成する。
勿論、同じ商店街の移動方向の左側に存在する建物を切り出してつなぎ合わせたパノラマ画像の生成も可能である。
【0076】
コンピュータ30からの指示により、左右両側のパノラマ画像を生成してもよいし、不動産会社のスタッフが指定した側のパノラマ画像だけを生成してもよい。
本実施の形態におけるパノラマ画像は、建物を単位として切り出すので空き地や道路等は除外される。もっとも、空き地や道路等も建物とみなして切り出すことは可能である。
本実施の形態で生成するパノラマ画像は、1つの視点から広画角で撮像される一般的なパノラマ画像とは異なり、各建物の正面を撮像地点とする。このため、本実施の形態におけるパノラマ画像は、いわゆるモンタージュである。
【0077】
なお、パノラマ画像を構成する各建物には、切り出し元となるフレームに紐付けられている撮像地点や撮像時刻等の情報が残されている。このため、パノラマ画像内の特定の建物をプレビュー画面上で指定すると、指定された建物の切り出し元となった全天球画像を読み出すことが可能である。
図17は、パノラマ画像の使用例を説明する図である。(A)はプレビュー画像として表示されたパノラマ画像の例を示し、(B)はパノラマ画像内で指定された建物を正面から撮像した全天球画像から生成されたプレビュー画像の例を示す。
【0078】
地図上の地点の指定を通じてプレビュー画像を表示しても目的とする建物に探し出すことは可能であるが、本実施の形態におけるパノラマ画像を用いれば、より短時間のうちに目的とする建物を探し出すことが可能になる。また、目的とする建物を正面から撮像した全天球画像がプレビュー画像として表示された後、巻き戻しや早送りによる表示位置の変更や視線方向の変更により、不動産会社のノウハウを反映したアングルの画像をより短時間のうちに切り出すことが可能になる。
【0079】
<他の実施形態>
(1)以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0080】
(2)例えば前述の実施の形態では、画像素材として全天球画像を想定したが、半球面画像でもよいし、撮像する画角が一般的なカメラに比して広い広角画像でもよい。なお、広角画像には、例えば焦点距離が35mm以下のレンズ(いわゆる広角レンズ)で撮像された画像、焦点距離が24mm以下のレンズ(いわゆる超広角レンズ)で撮像された画像を含めてもよい。なお、超広角レンズで撮像された画像には、例えば前方左右方向に160°、上下方向に120°の画角で撮像した画像がある。
【0081】
(3)前述の実施の形態では、画像素材が移動しながら動画像として撮像された全天球画像を想定するが、静止した状態で撮像された全天球画像を画像素材に含めてもよい。また、静止画像として撮像された全天球画像を画像素材に含めてもよい。
【0082】
(4)前述の実施の形態では、全天球画像を撮像する画角を第2の画角の一例として説明したが、第2の画角は、コンピュータ30に表示されるプレビュー画像の画角を規定する第1の画角より広ければよい。
【符号の説明】
【0083】
1…ホームページ制作支援システム、10…カメラ、20…画像素材提供システム、21…画像素材データベース、22、22A…画像素材提供サーバ、30…コンピュータ、31…マウス、40…通信網、50…メモリ、220…データ処理部、220A…CPU、220B…ROM、220C…RAM、220D、220D1…プレビュー処理部、220E…クリップ提供部、221…ハードディスクドライブ、222…通信モジュール