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  • 特開-燃焼装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135029
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23M 11/04 20060101AFI20220908BHJP
   F24H 9/02 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
F23M11/04 101
F24H9/02 301Z
F24H9/02 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034593
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】武田 和也
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AA02
3L037AB03
3L037BA12
(57)【要約】
【課題】燃焼筐1内に配置したバーナと、バーナでの燃焼により生ずる燃焼ガスを吸引排気する排気ファンとを備える燃焼装置であって、燃焼筐1の側板11に、バーナの火炎を視認可能とする覗き穴9を開設するものにおいて、覗き穴9に透明板を装着しなくても、ユーザーに不安感を与えないようにし、コストダウンを図ることができるようにする。
【解決手段】燃焼筐1の側板11の内面に対向するように燃焼筐1内に設けられる内板に、側板11の法線方向から見て、覗き穴9に対し位置をずらした第2の覗き穴9´を開設する。側板11の法線方向に対し傾斜した、覗き穴9と第2の覗き穴9´とを結ぶ方向から覗き穴9を覗くことで第2の覗き穴9´を通してバーナの火炎が視認可能となるようにする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼筐と、燃焼筐内に配置したバーナと、バーナから噴出する混合気の燃焼により生ずる燃焼ガスを吸引排気する排気ファンとを備える燃焼装置であって、燃焼筐の所定の側板に、バーナの火炎を視認可能とする覗き穴を開設するものにおいて、
所定の側板の内面に対向するように燃焼筐内に設けられる内板に、所定の側板の法線方向から見て、覗き穴に対し位置をずらした第2の覗き穴が開設され、所定の側板の法線方向に対し傾斜した、覗き穴と第2の覗き穴とを結ぶ方向から覗き穴を覗くことで第2の覗き穴を通してバーナの火炎が視認可能となることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記所定の側板に、前記覗き穴が複数開設されると共に、前記内板に、これら複数の覗き穴に対応して前記第2の覗き穴が複数開設され、これら各覗き穴に対する各第2の覗き穴の位置ずれ方向及び位置ずれ量は全て同じであることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼筐と、燃焼筐内に配置したバーナと、バーナから噴出する混合気の燃焼により生ずる燃焼ガスを吸引排気する排気ファンとを備える燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼筐内にバーナを配置した燃焼装置では、バーナの燃焼状態を確認するために、燃焼筐の所定の側板に、バーナの火炎を視認可能とする覗き穴を開設する。ここで、燃焼筐内に、燃焼用空気をファンによって押し込み方式で供給する燃焼装置では、燃焼筐から燃焼ガスが外部に洩れ出ないようにする必要がある。そこで、従来は、覗き穴に耐熱性のある透明板を装着して、覗き穴から燃焼ガスが洩れ出ないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、排気ファンを備える燃焼装置では(例えば、特許文献2参照)、燃焼筐の側板に開設した覗き穴に透明板を装着しなくても、覗き穴から燃焼ガスが洩れ出ることはない。然し、側板に覗き穴を開設するだけでは、ユーザーに不安感を与えてしまう虞がある。そのため、従来は、排気ファンを備える燃焼装置でも、覗き穴に透明板を装着しており、コストアップの要因になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-333216号公報
【特許文献2】特開2016-29316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、排気ファンを備える燃焼装置であって、覗き穴に透明板を装着しなくても、ユーザーに不安感を与えないようにし、コストダウンを図ることができるようにしたものを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、燃焼筐と、燃焼筐内に配置したバーナと、バーナから噴出する混合気の燃焼により生ずる燃焼ガスを吸引排気する排気ファンとを備える燃焼装置であって、燃焼筐の所定の側板に、バーナの火炎を視認可能とする覗き穴を開設するものにおいて、所定の側板の内面に対向するように燃焼筐内に設けられる内板に、所定の側板の法線方向から見て、覗き穴に対し位置をずらした第2の覗き穴が開設され、所定の側板の法線方向に対し傾斜した、覗き穴と第2の覗き穴とを結ぶ方向から覗き穴を覗くことで第2の覗き穴を通してバーナの火炎が視認可能となることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ユーザーが所定の側板の法線方向から覗き穴を覗いても、覗き穴の奥が塞がっているように見え、ユーザーに不安感を与えない。ユーザーがバーナの燃焼状態を確認しようとして、所定の側板の法線方向に対し上記の如く傾斜した方向から意図的に覗き穴を覗いた場合には、バーナの火炎を視認することができる。従って、覗き穴に透明板を装着しなくても、ユーザーに不安感を与えることなく、燃焼確認用の穴としての機能を果たすことができる。そして、内板は、従来から設けられているものであって、コストアップの要因とはならない。その結果、透明板を省略する分だけ、コストダウンを図ることができる。
【0008】
尚、覗き穴及び第2の覗き穴を大きくすると、ここから吸い込まれる空気が多くなって、排気ファンの吸引力で供給すべき燃焼用空気が減少してしまう。一方、覗き穴及び第2の覗き穴を小さくすると、バーナの火炎の視認性が悪くなる。
【0009】
そのため、本発明では、上記所定の側板に、覗き穴が複数開設されると共に、遮熱板に、これら複数の覗き穴に対応して第2の覗き穴を複数開設し、これら各覗き穴に対する各第2の覗き穴の位置ずれ方向及び位置ずれ量は全て同じにすることが望ましい。これによれば、各覗き穴及び各第2の覗き穴を小さくしても、複数の覗き穴及び複数の第2の覗き穴を通してバーナの火炎を良好に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の燃焼装置の斜視図。
図2図1のII-II線で切断した切断側面図。
図3図2のIII-III線で切断した断面図。
図4】実施形態の燃焼装置の要部の拡大正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態の燃焼装置は、燃焼筐1と、燃焼筐1内の下部に並設した複数(本実施形態では6個)のバーナ2と、これらバーナ2に燃料ガスを供給するガスマニホールド3と、燃焼筐1内の上部に配置した、バーナ2からの燃焼ガスにより加熱される熱交換器4とを備えている。熱交換器4には、上流側の給水管41と下流側の出湯管42とが接続されている。また、ガスマニホールド3には、燃料ガスの供給を制御するバルブユニット5が接続されている。
【0012】
バーナ2の並設方向を横方向として、各バーナ2は、横方向に直交する水平方向である前後方向に細長い炎口部を上端に有する偏平バーナである。各バーナ2の下部には、混合管部21が設けられている。混合管部21の前端には、前方に開口する流入口22が設けられている。ガスマニホールド3には、各バーナ2の混合管部21の流入口22に向けて前方から燃料ガスを噴射するノズル31が複数のバーナ2に対応して複数突設されている。そして、各ノズル31から噴出する燃料ガスが各バーナ2の流入口22に流入すると共に、一次空気が流入口22に流入して、混合管部21で燃料ガスと一次空気との混合気が生成され、この混合気がバーナ2の炎口部から噴出して燃焼し、この燃焼により生ずる燃焼ガスで熱交換器4が加熱されるようにしている。
【0013】
燃焼筐1は、ガスマニホールド3の上方に位置する燃焼筐1の前面部分を覆う前側の側板11と、横方向両側の側板12,12と、後側の側板13と、底板14とで構成されている。また、前側と横方向と後側の各側板11,12,13の内面に対向するように遮熱用の各内板15,16,17が設けられている。
【0014】
底板14の前部には、ガスマニホールド3の後方位置で上方に立上る起立板部141と、起立板部141の上端から前方に屈曲して前側の側板11に達する上板部142とが形成されている。起立板部141には、各バーナ2の混合管部21の流入口22に臨む開口部143が開設されている。また、起立板部141の前面には、各バーナ2の混合管部21の流入口22に臨む、燃料ガス及び一次空気が通過する開口部61を複数のバーナ2に対応して複数有する通気調節板6が配置されている。
【0015】
尚、通気調節板6は、その横方向中央部の上端部で起立板部141にネジ62止めされている。また、底板14には、各バーナ2の下縁を横方向両側から挟む、上方への窪み144が複数形成されると共に、小孔145が多数形成されている。
【0016】
燃焼筐1の上端には、排気フード71を介して排気ファン7が接続されている。排気ファン7には、ファンモータ72が付設されている。熱交換器4を通過した燃焼ガスは、排気ファン7に吸引され、排気ファン7の出口73に接続される図示省略した排気筒を介して燃焼ガスが外部に排出される。また、排気ファン7の吸引力により各バーナ2に燃焼用空気が供給される。即ち、通気調節板6の各開口部61と起立板部141の各開口部143とを介して流入口22から吸引される空気が各バーナ2に燃焼用の一次空気として供給されると共に、小孔145から吸引される空気が各バーナ2に燃焼用の二次空気として供給される。
【0017】
燃焼筐1の前側の側板11には、バーナ2に点火するための点火電極81と、バーナ2の火炎検知のためのフレームロッド82とを有する電極部品8が装着されている。前側の側板11には、更に、電極部品8の装着箇所から横方向一方(前方から見て右方)に離れた部分に位置させて、バーナ2の火炎を視認可能とする覗き穴9が開設されている。以下、覗き穴9について図4も参照して詳述する。
【0018】
覗き穴9は、前側の側板11の法線方向、即ち、前方から見て逆三角形の各頂点に位置するように3個開設されている。また、前側の側板11の内面に対向する遮熱板15に、第2の覗き穴9´が上記逆三角形と合同の逆三角形の頂点に位置するように3個開設されている(図3図4参照)。各第2の覗き穴9´は、前方から見て、各覗き穴9に対し斜め左下方に位置がずれている。各覗き穴9に対する各第2の覗き穴9´の位置ずれ方向及び位置ずれ量は全て同じである。
【0019】
これによれば、ユーザーが前方から覗き穴9を覗いても、覗き穴9の奥が塞がっているように見え、ユーザーに不安感を与えない。ユーザーがバーナ2の燃焼状態を確認しようとして、前後方向(前側の側板11の法線方向)に対し傾斜した、各覗き穴9と第2の覗き穴9´とを結ぶ方向から意図的に覗き穴9を覗いた場合には、バーナ2の火炎を視認することができる。従って、覗き穴9に透明板を装着しなくても、ユーザーに不安感を与えることなく、燃焼確認用の穴としての機能を果たすことができる。そして、遮熱板15は、元々設けられているものであって、コストアップの要因とはならない。その結果、透明板を省略する分だけ、コストダウンを図ることができる。
【0020】
ところで、覗き穴9及び第2の覗き穴9´を夫々単一の大きな穴で構成して、バーナ2の火炎の視認性を良くすることも考えられる。然し、これでは、覗き穴9と第2の覗き穴9´とを介して吸い込まれる空気が多くなって、排気ファン7の吸引力で供給すべき燃焼用空気が減少してしまう。これに対し、本実施形態では、覗き穴9と第2の覗き穴9´とを夫々複数個設けることにより、燃焼用空気の吸引を阻害しないように、個々の覗き穴9及び第2覗き穴9´を小さくしても、複数の覗き穴9及び複数の第2の覗き穴9´を通してバーナ2の火炎を良好に視認することができ、有利である。
【0021】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、燃焼筐1の前側の側板11に覗き穴9を開設しているが、横方向の側板12や後側の側板13に覗き穴を開設することも可能である。また、上記実施形態は、給湯用の燃焼装置に本発明を適用したものであるが、給湯以外の用途の燃焼装置であっても、排気ファンを備えるものであれば、同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0022】
1…燃焼筐、11…前側の側板(所定の側板)、15…遮熱板、2…バーナ、7…排気ファン、9…覗き穴、9´…第2の覗き穴。
図1
図2
図3
図4