(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135056
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】ハニカム担体評価装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/00 20060101AFI20220908BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20220908BHJP
F23D 14/62 20060101ALI20220908BHJP
B01J 35/04 20060101ALI20220908BHJP
B01F 23/10 20220101ALI20220908BHJP
B01F 25/10 20220101ALI20220908BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
F01N3/00 G
F23J15/00 H
F23D14/62
B01J35/04 301Z
B01F3/02 ZAB
B01F5/00 G
B01D53/94 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034634
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高木 義文
(72)【発明者】
【氏名】天野 笑梨奈
【テーマコード(参考)】
3G091
3K017
3K070
4D148
4G035
4G169
【Fターム(参考)】
3G091BA31
3G091CA27
3G091GA06
3G091HB01
3K017BE03
3K070DA25
4D148AB01
4D148AB02
4D148BA01Y
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4D148BA07Y
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4D148BA16Y
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4G035AB02
4G035AC44
4G035AE13
4G035AE17
4G169AA01
4G169AA20
4G169CA03
4G169EA18
4G169EB14Y
(57)【要約】
【課題】ハニカム担体の端面における温度分布の偏りを小さくでき、ハニカム担体の評価精度を向上できるハニカム担体評価装置を提供する。
【解決手段】本発明によるハニカム担体評価装置は、燃焼ガス1aを発生させるためのバーナー1と、燃焼ガス1aが導入されるための配管2と、配管2に設けられ、燃焼ガス1aよりも温度が低い低温ガス21aを配管2内に導入するための低温ガス導入部21と、低温ガス導入部21の下流に位置するように配管2内に配置され、燃焼ガス1a及び低温ガス21aを混合するための混合部材4と、混合部材4の下流に位置するように配管2内に配置されたハニカム担体3とを備え、混合部材4は、スタティックミキサである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガスを発生させるためのバーナーと、
前記燃焼ガスが導入されるための配管と、
前記配管に設けられ、前記燃焼ガスよりも温度が低い低温ガスを前記配管内に導入するための低温ガス導入部と、
前記低温ガス導入部の下流に位置するように前記配管内に配置され、前記燃焼ガス及び前記低温ガスを混合するための混合部材と、
前記混合部材の下流に位置するように前記配管内に配置されたハニカム担体と
を備え、
前記混合部材は、スタティックミキサである、
ハニカム担体評価装置。
【請求項2】
前記スタティックミキサは、外壁を有し、
前記外壁が、
前記配管の内径よりも小径な入側端部と、
前記入側端部の外縁から前記配管の延在方向に延び、一対の流入口を備える入側周部と、
を有しており、
前記一対の流入口は、前記配管の延在方向に沿って前記入側周部を見たときに、前記入側周部の上部及び下部に分かれて配置されているとともに、前記入側周部の左部及び右部に分かれて配置されている、
請求項1に記載のハニカム担体評価装置。
【請求項3】
前記スタティックミキサは、外壁を有し、
前記外壁は、上流側に位置し、周方向に互いに離間するように配置された複数の流入口を備える入側端部を有し、
前記複数の流入口は、スパイラル状に延在されている、
請求項1に記載のハニカム担体評価装置。
【請求項4】
前記スタティックミキサは、ステンレス鋼材製である、
請求項1から3までのいずれか1項に記載のハニカム担体評価装置。
【請求項5】
前記スタティックミキサは、外壁を有し、
前記外壁は、
前記配管の延在方向に延び、流入口から流入したガスが内部に導入される主周壁部と、
前記主周壁部の端部に設けられ、複数の流出口を有する出側端部と、
を有しており、
前記複数の流出口は、前記出側端部の径方向中央部に設けられた中央開口と、前記中央開口の周囲に同心円状に設けられた複数の周囲開口とを有している、
請求項1から4までのいずれか1項に記載のハニカム担体評価装置。
【請求項6】
前記スタティックミキサは、外壁を有し、
前記外壁の内側に設けられ、前記燃焼ガス及び前記低温ガスが内部に導入可能な内壁をさらに有し、
前記外壁と前記内壁との間に設けられ、前記外壁と前記内壁との間に空隙を確保する立体構造部
を有している
請求項1から5までのいずれか1項に記載のハニカム担体評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒担体等に利用されるハニカム担体の評価を行うためのハニカム担体評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリン車用のハニカム担体の評価項目の一つとして、エンジンを使用した耐熱衝撃性の確認(高温排気ガスと低温排気ガスとを交互にハニカム担体に供給し、ハニカム担体の破損有無の確認)を長時間行う冷熱耐久試験がある。エンジンを用いて冷熱耐久試験を行うと時間及び設備費用がかかる。下記の特許文献1では、エンジンの代わりにバーナーを用いてハニカム担体の試験を行う評価装置が提案されている。また、ハニカム担体の上流側に拡散部材を配置し、燃焼ガスがハニカム担体に到達する前に燃焼ガスを拡散させることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な試験条件を整えるため、バーナーの下流側で低温ガスを導入することが考えられる。燃焼ガスと低温ガスとの混合が不十分な場合、ハニカム担体の端面における温度分布に偏りが生じて、ハニカム担体の評価精度が下がる。上記のような従来の評価装置でも、ハニカム担体の上流側に拡散部材を配置し、燃焼ガスがハニカム担体に到達する前に燃焼ガスを拡散させているが、さらなる改善が求められる。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ハニカム担体の端面における温度分布の偏りを小さくでき、ハニカム担体の評価精度を向上できるハニカム担体評価装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るハニカム担体評価装置は、燃焼ガスを発生させるためのバーナーと、燃焼ガスが導入されるための配管と、配管に設けられ、燃焼ガスよりも温度が低い低温ガスを配管内に導入するための低温ガス導入部と、低温ガス導入部の下流に位置するように配管内に配置され、燃焼ガス及び低温ガスを混合するための混合部材と、混合部材の下流に位置するように配管内に配置されたハニカム担体とを備え、混合部材は、スタティックミキサである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のハニカム担体評価装置によれば、混合部材がスタティックミキサであるので、ハニカム担体の端面における温度分布の偏りを小さくでき、ハニカム担体の評価精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1によるハニカム担体評価装置を示す構成図である。
【
図3】
図2の面IIIにおける混合部材の断面図である。
【
図4】
図2の面IVにおける混合部材の断面図である。
【
図5】
図2の面Vにおける混合部材の断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態2によるハニカム担体評価装置の混合部材を示す斜視図である。
【
図7】
図6の面VIIにおける混合部材の断面図である。
【
図8】
図6の混合部材の入側端部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるハニカム担体評価装置を示す構成図である。
図1に示すように、本実施の形態のハニカム担体評価装置には、バーナー1、配管2、ハニカム担体3、混合部材4が設けられている。
【0011】
本実施の形態のバーナー1は、燃焼ガス1aを発生させるための機器である。本実施の形態のバーナー1には空気供給源10及び可燃ガス供給源11が接続されている。バーナー1は、空気供給源10からの空気10aと可燃ガス供給源11からの可燃ガス11aとを燃焼させて燃焼ガス1aを発生させる。空気供給源10は例えばコンプレッサー又はボンベ等により構成することができ、空気10aは圧縮空気であり得る。可燃ガス11aとしては、例えば液化天然ガス(LNG)等を使用することができる。
【0012】
バーナー1からの燃焼ガス1aは配管2に導入される。本実施の形態の配管2には、燃焼管20、低温ガス導入部21、接続管22及びハウジング23が設けられている。
【0013】
燃焼管20は、バーナー1の先端の周囲を覆うとともに、バーナー1からの燃焼ガス1aを接続管22に案内するための管である。
【0014】
低温ガス導入部21は、燃焼ガス1aよりも温度が低い低温ガス21aを配管2内に導入するための部分である。本実施の形態の低温ガス導入部21は、燃焼管20に接続されており、低温ガス21aとして、バーナー1を介さずに空気供給源10からの空気10aを燃焼管20に導入する。より具体的には、本実施の形態の低温ガス導入部21は、燃焼管20の下部に接続されており、斜め下方から燃焼管20に低温ガス21aを導入する。低温ガス導入部21は、低温ガス21aとして、空気供給源10からの空気10aとは異なるガスを配管2内に導入してもよく、空気供給源10からの空気10aと可燃ガス供給源11からの可燃ガスとを燃焼させた燃焼ガス1aよりも温度の低い燃焼ガスとしてもよい。
【0015】
低温ガス導入部21から燃焼管20に供給される空気10aを二次エアーと呼ぶことができる。二次エアーの供給量を調節することにより、燃焼ガス1aの温度及び燃焼ガス1aの空気過剰率λを調整することができる。バーナー1による燃焼ガス1aの発生が止められて、二次エアーのみが配管2内に送られてもよい。低温ガス導入部21は、バーナー1よりも下流側で低温ガス21aを配管2内に導入することが好ましい。低温ガス導入部21は、例えば接続管22等の燃焼管20よりも下流側で低温ガス21aを配管2内に導入してもよい。
【0016】
接続管22は、燃焼管20とハウジング23との間を接続するための管である。バーナー1からの燃焼ガス1aは、接続管22を通過してハウジング23に向かう。本実施の形態の接続管22の内径は、燃焼管20の内径及びハニカム担体3の外径よりも小さい。ハニカム担体3の外径が100mm程度であるとき、接続管22の内径が55mm程度であり得る。なお、ハニカム担体3の外径は、50~500mmの範囲内のものが用いられ、接続管22は、他の内径及び長さを有する他の接続管22に交換することができる。
【0017】
ハウジング23は、ハニカム担体3を格納する筐体である。ハウジング23には、筒部23a及び拡径部23bが設けられている。筒部23aは、ハニカム担体3の外径と同程度の内径を有する筒状部である。ハニカム担体3は、筒部23aの内側に収められている。拡径部23bは、燃焼ガス1aの流れ方向における下流側に向けて接続管22の内径から筒部23aの内径まで内径が徐々に拡がる筒状部である。本実施の形態では、燃焼ガス1aの流れ方向における下流側のハウジング23の端部は開放されている。
【0018】
本実施の形態のハニカム担体3は、柱状の構造体であり、混合部材4の下流に位置するように配管2内に配置されている。ハニカム担体3の材質としては、セラミックス又は金属が使用され得る。ハニカム担体3は、外周壁と、外周壁の内側に配設された隔壁とを有する。隔壁は、ハニカム担体3の一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成している。本実施の形態のハニカム担体3は、触媒を担持していてもよい。触媒としては、例えば、ハニカム担体3が車両の排気ガスの浄化に使用される場合、排気ガスを酸化又は還元する機能を有する触媒を用いることができる。触媒としては、貴金属(例えば、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、インジウム、銀、金など)、アルミニウム、ニッケル、ジルコニウム、チタン、セリウム、コバルト、マンガン、亜鉛、銅、スズ、鉄、ニオブ、マグネシウム、ランタン、サマリウム、ビスマス、バリウムなどが挙げられる。これらの元素は、金属単体、金属酸化物、及びそれ以外の金属化合物であってもよい。また、触媒は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
ハニカム担体3は、本実施の形態のハニカム担体評価装置により評価試験が行われる対象である。評価試験には、耐熱衝撃性の確認(高温ガスと低温ガスとを交互にハニカム担体3に供給し、ハニカム担体3の破損有無の確認)を長時間行う冷熱耐久試験が含まれる。冷熱耐久試験は、バーナー1からの燃焼ガス1a、二次エアー並びに燃焼ガス1a及び二次エアーの混合ガスがハニカム担体3に供給されることにより実施され得る。
【0020】
混合部材4は、配管2に設けられるとともに、低温ガス導入部21の下流に位置するように配管2内に配置され、燃焼ガス1a及び低温ガス21aを混合するための部材である。本実施の形態の混合部材4は、接続管22の入側端部に配置されている。しかしながら、混合部材4の配置場所は、任意であり、例えば接続管22の中央部若しくは出側端部又は燃焼管20の出側端部等の他の場所であってもよい。混合部材4とハニカム担体3との間隔としては、50mm以上かつ500mm以下であってもよく、150mm以上かつ350mm以下であることがより好ましい。このような範囲に間隔を調整することで、燃焼ガス1a及び低温ガス21aが良好に混合され、ハニカム担体3の温度分布の偏りをより低減することができる。また、混合部材4とハニカム担体3との間隔としては、接続管の内径の5倍以上の距離であってもよい。
【0021】
本実施の形態の混合部材4は、スタティックミキサである。スタティックミキサとは、燃焼ガス1a及び低温ガス21aが通される流路を有する部材であって、その流路が、燃焼ガス1a及び低温ガス21aの流れを調整し、燃焼ガス1a及び低温ガス21aの流れる力を利用して攪拌流を発生させる形状を有する部材である。スタティックミキサを通されることで、燃焼ガス1a及び低温ガス21aが互いに混ぜ合わせられて均質化される。スタティックミキサにおける各ガスの流れの調整には、例えば、流路内に配置されたガイドにより各ガスの流れ方向を強制すること、及び流路内に配置された衝突板に各ガスの流れを衝突させること等が含まれていてよい。混合部材4がスタティックミキサであることにより、ハニカム担体3の端面における温度分布の偏りを小さくでき、ハニカム担体3の評価精度を向上できる。
【0022】
次に、
図2~5を参照しながら、
図1の混合部材4についてより詳細に説明する。
図2は
図1の混合部材4を示す斜視図であり、
図3は
図2の面IIIにおける混合部材4の断面図であり、
図4は
図2の面IVにおける混合部材4の断面図であり、
図5は
図2の面Vにおける混合部材4の断面図である。
【0023】
図2に特に表れているように、本実施の形態の混合部材4を構成するスタティックミキサは、両側に端壁を有する長手状の円筒状の外形を有している。スタティックミキサは、その長手方向4aが配管2の延在方向に沿うように配管2内に配置される。スタティックミキサは、一端側4bが燃焼ガス1aの流れ方向の上流側に配置され、他端側4cが燃焼ガス1aの流れ方向の下流側に配置されるように適合されている。
【0024】
図3に示すように、スタティックミキサは、外壁40、内壁41及び立体構造部42を有している。
【0025】
外壁40は、スタティックミキサの外形を構成する壁体である。
図2~
図4に表れているように、外壁40は、入側端部400、入側周部401、中間部402、主周壁部403及び出側端部404を有している。
【0026】
入側端部400は、スタティックミキサの一端側4bに設けられた壁部であり、燃焼ガス1aの流れ方向の上流側に位置するように適合されている。入側端部400は、長手方向4aに交わるように延在されている。入側端部400は、長手方向4aに直交するように延在されてよい。入側端部400は、配管2の内径よりも小径とされている。入側周部401は、入側端部400の外縁から配管2の延在方向に延びる壁部である。スタティックミキサが配管2内に配置されたとき、配管2の内壁と入側端部400及び入側周部401との間に空隙が確保される。
【0027】
入側周部401は、一対の流入口405を有している。流入口405は、内壁41及び立体構造部42を突き抜いてスタティックミキサの内部空間につながっている。配管2を通る燃焼ガス1a及び低温ガス21aは、流入口405を通ってスタティックミキサの内部空間に進入可能とされている。
図4に特に表れているように、一対の流入口405は、配管2の延在方向に沿って入側周部401を見たときに、入側周部401の上部及び下部に分かれて配置されているとともに、入側周部401の左部及び右部に分かれて配置されている。一対の流入口405は、入側周部401の中心軸401aを挟んで互いに対向することが好ましい。一対の流入口405は、鉛直方向に沿って入側周部401を見たとき、水平方向に互いにずれて位置していることが好ましい。鉛直方向に沿って各流入口405を見たとき、各流入口405の先に入側周部401の内壁が存在することが好ましい。また、一対の流入口405は、入側周部401の中心軸401aに対して点対称な位置関係となるように配置されていてもよい。
【0028】
ここで、入側周部401の上部に配置された流入口405を上部流入口405uと呼び、入側周部401の下部に配置された流入口405を下部流入口405dと呼ぶ。燃焼ガス1a及び低温ガス21aの比重又は密度の違いから、配管2の上部に燃焼ガス1aが集まり、配管2の下部に低温ガス21aが集まりやすい。このため、燃焼ガス1aが上部流入口405uからスタティックミキサの内部空間に入り、低温ガス21aが下部流入口405dからスタティックミキサの内部空間に入りやすい。上部流入口405u及び下部流入口405dが上述のように配置されていることで、燃焼ガス1a及び低温ガス21aが上部流入口405u及び下部流入口405dを通ってスタティックミキサの内部空間に入る際に旋回流が生じ、燃焼ガス1a及び低温ガス21aの混合が促される。これにより、下流側のハニカム担体3の端面における温度分布の偏りをより確実に小さくできる。
【0029】
中間部402は、入側周部401の端部から外径側に延出され、主周壁部403の外縁に接続する壁部である。主周壁部403は、中間部402の外縁から配管2の延在方向に延びる壁部である。中間部402及び主周壁部403の外径は、配管2の内径以下とされている。中間部402及び主周壁部403の外径は、配管2の内径と等しくされていることが好ましい。より確実に配管2と同軸にスタティックミキサを位置させるためである。なお、ここで言う径が等しいとは、径が厳密に等しいことのみならず、径が実質的に等しいことも含む。
【0030】
出側端部404は、スタティックミキサの他端側4cに設けられた壁部であり、主周壁部403の端部から内径側に延出された壁部である。出側端部404は、複数の流出口406を有している。流出口406は、内壁41を貫通してスタティックミキサの内部空間までつながっている。流入口405を通ってスタティックミキサの内部空間に流入したガスは、流出口406からスタティックミキサの外へと吐出される。流出口406を通ることで、ガスが整流される。
【0031】
図2及び
図5に特に表れているように、複数の流出口406は、出側端部404の径方向中央部に設けられた中央開口4061と、中央開口4061の周囲に同心円状に設けられた複数の周囲開口4062とを有している。これら中央開口4061及び周囲開口4062を通ることで、流出口406から吐出されるガスの流れがより確実に整えられる。
【0032】
図示する態様では、中央開口4061の内径が周囲開口4062の内径よりも大きくされている。しかしながら、中央開口4061の内径は、周囲開口4062の内径以下であってもよい。周囲開口4062は、出側端部404の周方向に等間隔に配置されていることが好ましい。図示する態様では、8つの周囲開口4062が設けられている。しかしながら、周囲開口4062の数は任意である。
【0033】
内壁41は、外壁40の内側に設けられた壁体である。内壁41は、スタティックミキサの内部空間を区画している。内壁41は、燃焼ガス1a及び低温ガス21aが内部に導入可能に構成されている。
【0034】
内壁41は、上流端部410、上流周部411、中間周部412、下流周部413及び下流端部414を有している。上流端部410は、ガスの流れ方向の上流側に位置されており、外壁40の入側端部400の内側に位置されている。上流周部411は、上流端部410の外縁から上流側に延び、入側周部401の内側及び主周壁部403の上流側の内側に位置している。中間周部412は上流周部411の下流側に位置されており、下流周部413は中間周部412の下流側に位置されている。中間周部412及び下流周部413は、主周壁部403の中間部から下流側の内側に位置している。上流周部411及び下流周部413は、ガスの流れ方向に一定の内径を有している。下流周部413の内径は、上流周部411の内径よりも大きい。中間周部412の内径は、上流周部411から下流周部413に向かうにつれて拡がっている。下流端部414は、下流周部413の端部から内径側に延出された壁部であり、出側端部404の内側に位置している。
【0035】
流入口405からのガスは、上述のように旋回流を形成した後、主周壁部403の内部に導入される。ガスの流れは、下流端部414に向けて径方向に徐々に拡がる。また、少なくとも一部のガスは、下流端部414に突き当たり、下流端部414の近傍に渦を生じさせる。これらの過程で、スタティックミキサの内部において、燃焼ガス1a及び低温ガス21aの混合又は攪拌が促される。スタティックミキサの内部のガスは、流出口406からスタティックミキサの外へと吐出される。
【0036】
立体構造部42は、外壁40と内壁41との間に設けられ、外壁40と内壁41との間に空隙を確保している。換言すると、スタティックミキサの各部分の壁は、立体構造部42で補強された中空構造とされている。
【0037】
図3及び
図4ではグレーハッチングにより立体構造部42の詳細な図示を省略しているが、
図5に示すように、本実施の形態の立体構造部42は、外壁40と内壁41との間に設けられ、断面が三角形の格子を形成するように互いに交わるように配設された複数の隔壁420を有している。しかしながら、立体構造部42の具体的な構造は、任意であり、例えば四角形、六角形、八角形の多角形や、不均質なサイズの気孔を有するスポンジ構造等の他の構造とされていてもよい。
【0038】
なお、スタティックミキサの各部分の壁は中実構造とされていてもよい(内壁41及び立体構造部42が省略されていてもよい)。上記では内壁41が有すると説明した上流端部410、上流周部411、中間周部412、下流周部413及び下流端部414を外壁40が有していてもよい。
【0039】
本実施の形態のスタティックミキサは、ステンレス鋼材製とすることができる。特に上述のような立体構造部42を有する構造の場合、例えば3Dプリンティング等の方法により製造することができる。しかしながら、スタティックミキサは、セラミックス等の他の材料によって構成されていてもよい。
【0040】
スタティックミキサの各角部は、直角に形成されていてもよいが、面取りされていることが好ましい。角部は、曲面により形成されていてもよいし、傾斜面により形成されていてもよい。
【0041】
本実施の形態のハニカム担体評価装置では、混合部材4がスタティックミキサであるので、ハニカム担体3の端面における温度分布の偏りを小さくでき、ハニカム担体3の評価精度を向上できる。
【0042】
また、一対の流入口405は、配管2の延在方向に沿って入側周部401を見たときに、入側周部401の上部及び下部に分かれて配置されているとともに、入側周部401の左部及び右部に分かれて配置されているので、燃焼ガス1a及び低温ガス21aが流入口405を通ってスタティックミキサの内部空間に入る際に旋回流が生じ、燃焼ガス1a及び低温ガス21aの混合を促すことができる。これにより、ハニカム担体3の端面における温度分布の偏りをより確実に小さくできる。
【0043】
また、スタティックミキサがステンレス鋼材製であるので、熱衝撃による破損の虞を低減できる。
【0044】
また、複数の流出口406は、出側端部404の径方向中央部に設けられた中央開口4061と、中央開口4061の周囲に同心円状に設けられた複数の周囲開口4062とを有しているので、流出口406から吐出されるガスの流れをより確実に整えることができ、ハニカム担体3の評価精度をさらに向上できる。
【0045】
また、スタティックミキサが、外壁40と内壁41との間に設けられ、外壁40と内壁41との間に空隙を確保する立体構造部42を有しているので、より確実に熱衝撃による破損の虞を低減できる。
【0046】
実施の形態2.
図6は本発明の実施の形態2によるハニカム担体評価装置の混合部材4を示す斜視図であり、
図7は
図6の面VIIにおける混合部材4の断面図であり、
図8は
図6の混合部材4の入側端部400を示す斜視図である。混合部材4を構成するスタティックミキサとしては、
図6~
図8に示すような構成を有していてもよい。
【0047】
実施の形態1のスタティックミキサは、異なる外径の入側周部401及び主周壁部403を有する比較的複雑な長手状の円筒状の外形を有していたが、本実施の形態2のスタティックミキサは、実施の形態1の入側周部401及び中間部402を有しない比較的単純な長手状の円筒状の外形を有している。本実施の形態の入側端部400は、配管2の内径と同程度の外径を有していてよい。主周壁部403は、入側端部400の外縁から配管2の延在方向に延びている。
【0048】
図8に特に表れているように、本実施の形態2では、入側端部400が、周方向に互いに離間するように配置された複数の流入口405を有している。複数の流入口405は、スパイラル状に延在されている。換言すると、複数の流入口405は、上流側から下流側に向かうにつれて周方向に係る角度位置が同一方向に変わるように延在されている。
【0049】
図示する態様では、4つの流入口405が周方向に等間隔に配置されている。
図8において右側の流入口405を第1流入口4051と呼び、他の流入口405を第1流入口4051から反時計回りに順に第2~第4流入口4052~4054と呼ぶ。入側端部400の外面(上流側)において第1流入口4051が配置されている角度位置を0°位置とすると、第2~第4流入口4052~4054は順に90°位置、180°位置及び270°位置に配置されている。内壁41の上流端部410の内面(下流側)では、第1~第4流入口4051~4054が、例えば-10°位置、80°位置、170°位置及び260°位置等に配置されている。
【0050】
上述のように延在された流入口405を通って燃焼ガス1a及び低温ガス21aがスタティックミキサの内部空間に入る際、旋回流が生じ、燃焼ガス1a及び低温ガス21aの混合が促される。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0051】
本実施の形態のハニカム担体評価装置では、複数の流入口405がスパイラル状に延在されているので、燃焼ガス1a及び低温ガス21aが流入口405を通ってスタティックミキサの内部空間に入る際に旋回流が生じ、燃焼ガス1a及び低温ガス21aの混合を促すことができる。これにより、ハニカム担体3の端面における温度分布の偏りをより確実に小さくできる。
【符号の説明】
【0052】
1 :バーナー
1a :燃焼ガス
2 :配管
21 :低温ガス導入部
21a :低温ガス
3 :ハニカム担体
4 :混合部材
40 :外壁
400 :入側端部
401 :入側周部
403 :主周壁部
404 :出側端部
405 :流入口
406 :流出口
4061 :中央開口
4062 :周囲開口
41 :内壁
42 :立体構造部