(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135066
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】引き上げ式カーテン及び引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具
(51)【国際特許分類】
A47H 11/04 20060101AFI20220908BHJP
A47H 23/04 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A47H11/04
A47H23/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034648
(22)【出願日】2021-03-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】591248441
【氏名又は名称】中部インテリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正樹
【テーマコード(参考)】
2E182
【Fターム(参考)】
2E182AA01
2E182AC01
2E182EE04
2E182EF01
2E182EF12
2E182EG01
(57)【要約】
【課題】カーテン本体の下端側に対する昇降コードの止着の容易化を図り、又、該止着が意図的に解除されるのを防止する。
【解決手段】引き上げ式カーテンの昇降コード10を、昇降コード止着具7を介してカーテン本体2の下端側に止着する。昇降コード止着具7は、フック部材12とカバー部材13を具える。フック部材12は、カーテン本体2の下端側のループ状止着片9を掬って引っ掛けるフック片20と、昇降コードの巻き付け軸部23を有する。カバー部材13は、昇降コード10を出入りさせる割溝112を有して上下端が開放し、フック部材12を収容させる収容部を有する。フック部材12がカバー部材13に収容状態でフック片20の先端部分19が収容部に収まり、フック片20の下側の部分がカバー部材13の下端から下方に突出する。この収容状態は、第1、第2の係合部31, 32が着脱可能に係合することにより保持される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン本体の裏面側で上下方向に所要間隔で設けられたコード挿通部に順次挿通せしめられ且つ下端部が昇降コード止着具を介して該カーテン本体の下端側のループ状止着片に止着された昇降コードの引き上げ操作によって、襞状折り返し部分が多段に積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンであり、
前記昇降コード止着具は、フック部材と該フック部材に装着されるカバー部材を具えており、該フック部材は、基片の下端に、下方に向けてU字状に突出するU字状片部の先端部分で前記ループ状止着片を掬って引っ掛けるフック片の基端が連接されており、該基片には、前記昇降コードの長さ調整のために該昇降コードの下端側の部分を巻き付ける巻き付け軸部が設けられており、
又前記カバー部材は、上下端が開放し且つ前記フック部材を収容させる収容部を有した筒状を呈しており、前記フック部材が該収容部にその下端開放部を通して収容された状態で、前記カバー部材の上端開放部を挿通状態に通過した前記昇降コードの前記下端側の部分が、該収容部に収容された状態の前記巻き付け軸部に巻き付けられた状態にあるようになされるものであり、該収容された状態で、前記フック片の前記先端部分が前記収容部に納まると共に前記フック片の下側の部分が前記カバー部材の下端から下方に突出し、且つ、前記フック部材に設けられている第1の係合部と着脱可能に係合し得る第2の係合部が前記カバー部材に設けられており、該第1、第2の係合部が着脱可能に係合することによって前記フック部材が前記収容部に前記収容された状態で保持されることを特徴とする引き上げ式カーテン。
【請求項2】
前記カバー部材の側面部には、前記上端開放部と前記下端開放部とを連通させる割溝が設けられ、前記昇降コードが該割溝を出入りできるようになされており、且つ該割溝は、前記基片に、その上下方向に延長するように突設された突条部が収容された状態となるように構成されており、該突条部は、その上端が該割溝の下端に位置合わせされて後、該割溝を、その下端からその上端に向けて相対的にスライド移動できることを特徴とする請求項1記載の引き上げ式カーテン。
【請求項3】
前記第1、第2の係合部の係合が解除されて前記フック部材が相対的に下降し、前記カバー部材に設けられている第1の係止部と前記フック部材に設けられている第2の係止部とが係合することによって、前記フック部材に設けられている前記第1の係止部が前記カバー部材の前記下端から下方に外れて該下端の下方に位置した状態で該フック部材が停止され、この状態で、前記フック片に対する前記ループ状止着片の着脱が可能であるが、前記巻き付け軸部は前記収容部に納まるようになされており、該第1、第2の係止部の係合解除によって前記フック部材が相対的に上昇でき前記第1、第2の係合部が係合可能となされていることを特徴とする請求項1記載の引き上げ式カーテン。
【請求項4】
前記割溝の下端部分の対向する溝側縁部分に、受部からなる前記第1の係止部が設けられると共に前記突条部の上下方向長さの中間部位に、前記受部で下方から支持されて前記突条部が下方向に相対的に移動するのを阻止する当接部からなる前記第2の係止部が設けられており、前記第1 、第2の係合部の係合状態が解除されて前記フック部材が相対的に下降し、該当接部が前記受部に当接することにより、前記フック部材に設けられている前記第1の係合部が前記カバー部材の下端から下方に外れて該下端の下方に位置した状態で該フック部材が停止され、この状態で、前記フック片に対する前記ループ状止着片の着脱が可能であるが、前記巻き付け軸部は前記収容部に納まるようになされており、前記当接部が前記受部から離れるように前記基片が上昇することによって前記第1の係合部と前記第2の係合部とが係合できることを特徴とする請求項1記載の引き上げ式カーテン。
【請求項5】
前記第1の係合部は、前記フック片の前記先端部分に設けられた係合突出部として構成されており、前記フック部材を前記下端開放部を通して前記収容部に収容させる際に前記フック片を前記カバー部材の上端に向けて移動させるに伴い、前記第1の係合部が、前記カバー部材の内面部の下側部分をなす押圧内面部に押圧されて該フック片の前記U字状片部が弾性的に窄まり変形するようになされ、その後における該フック片の弾性復帰によって前記第1、第2の係合部が嵌合状態に係合するように構成されており、前記カバー部材の下端から下方に突出した状態にある前記フック片の前記下側の部分の、前記第1の係合部を有する立ち上がり部分を、これと対向する内方側に向けて押圧することによって、前記第1、第2の係合部の係合状態を解除可能となされていることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の引き上げ式カーテン。
【請求項6】
前記カバー部材の前記押圧内面部が、前記カバー部材の下端側から上端側に向けて前記カバー部材の軸線側に傾斜する傾斜案内面として形成されており、前記フック片を前記カバー部材の上端に向けて相対移動させるに伴い、前記第1の係合部が前記押圧内面部に押圧されて該フック片の前記U字状片部が弾性的に徐々に窄まり変形するようになされていることを特徴とする請求項5記載の引き上げ式カーテン。
【請求項7】
カーテン本体の裏面側で上下方向に所要間隔で設けられたコード挿通部に順次挿通せしめられ且つ下端部が昇降コード止着具を介して該カーテン本体の下端側のループ状止着片に止着された昇降コードの引き上げ操作によって、襞状折り返し部分が多段に積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンを構成するための引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具であって、フック部材と該フック部材に装着されるカバー部材を具えており、該フック部材は、基片の下端に、下方に向けてU字状に突出するU字状片部の先端部分で前記ループ状止着片を掬って引っ掛けるフック片の基端が連設されており、該基片には、前記昇降コードの長さ調整のために該昇降コードの下端側の部分を巻き付ける巻き付け軸部が設けられており、
又前記カバー部材は、上下端が開放し且つ前記フック部材を収容させる収容部を有した筒状を呈しており、前記フック部材が該収容部にその下端開放部を通して収容された状態で、前記カバー部材の上端開放部を挿通状態に通過した前記昇降コードの前記下端側の部分が、該収容部に収容された状態の前記巻き付け軸部に巻き付けられた状態にあるようになされるものであり、
該収容された状態で、前記フック片の前記先端部分が前記収容部に納まると共に前記フック片の下側の部分が前記カバー部材の下端から下方に突出し、且つ、前記フック部材に設けられている第1の係合部と着脱可能に係合し得る第2の係合部が前記カバー部材に設けられており、該第1、第2の係合部が着脱可能に係合することによって前記フック部材が前記収容部に前記収容された状態で保持されることを特徴とする引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具。
【請求項8】
前記カバー部材の側面部には、前記上端開放部と前記下端開放部とを連通させる割溝が設けられ、前記昇降コードが該割溝を出入りできるようになされており、且つ該割溝は、前記基片に、その上下方向に延長するように突設された突条部が収容された状態となるように構成されており、該突条部は、その上端が該割溝の下端に位置合わせされて後、該割溝の該下端からその上端に向けて相対的にスライド移動できることを特徴とする請求項7記載の引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具。
【請求項9】
前記第1、第2の係合部の係合が解除されて前記フック部材が相対的に下降し、前記カバー部材に設けられている第1の係止部と前記フック部材に設けられている第2の係止部とが係合することによって、前記フック部材に設けられている前記第1の係合部が前記カバー部材の前記下端から下方に外れて該下端の下方に位置した状態で該フック部材が停止され、この状態で、前記フック片に対する前記ループ状止着片の着脱が可能であるが、前記巻き付け軸部は前記収容部に納まるようになされており、該第1、第2の係止部の係合解除によって前記フック部材が相対的に上昇でき前記第1 、第2の係合部が係合可能となされていることを特徴とする請求項7記載の引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具。
【請求項10】
前記割溝の下端部分の対向する溝側縁部分に、受部からなる前記第1の係止部が設けられると共に前記突条部の上下方向長さの中間部位に、前記受部で下方から支持されて前記突条部が下方向に移動するのを阻止する当接部からなる前記第2の係止部が設けられており、前記第1、第2の係合部の係合状態が解除されて前記フック部材が相対的に下降し、該当接部が前記受部に当接することにより、前記フック部材に設けられている前記第1の係合部が前記カバー部材の下端から下方に外れて該下端の下方に位置した状態で該フック部材が停止され、この状態で、前記フック片に対する前記ループ状止着片の着脱が可能となされており、前記当接部が前記受部から離れるように前記基片が上昇することにより前記第1の係合部と前記第2の係合部とが係合できることを特徴とする請求項7記載の引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具。
【請求項11】
前記第1の係合部は、前記フック片の前記先端部分に設けられた係合突出部として構成されており、前記フック部材を前記下端開放部を通して前記収容部に収容させる際に前記フック片を前記カバー部材の上端に向けて移動させるに伴い、前記第1の係合部が、前記カバー部材の内面部の下側部分をなす押圧内面部に押圧されて該フック片の前記U字状片部が弾性的に窄まり変形するようになされ、その後における該フック片の弾性復帰によって前記第1、第2の係合部が嵌合状態に係合するように構成されており、前記カバー部材の下端から下方に突出した状態にある前記フック片の前記下側の部分の、前記第1の係合部を有する立ち上がり部分を、これと対向する内方側に向けて押圧することによって、前記第1、第2の係合部の係合状態を解除可能となされていることを特徴とする請求項7記載の引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具。
【請求項12】
前記カバー部材の前記押圧内面部が、前記カバー部材の下端側から上端側に向けて前記カバー部材の軸線側に傾斜する傾斜案内面として形成されており、前記フック片を前記カバー部材の上端に向けて相対移動させるに伴い、前記第1の係合部が前記押圧内面部に押圧されて該フック片の前記U字状片部が弾性的に徐々に窄まり変形するようになされていることを特徴とする請求項7記載の引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は引き上げ式カーテンに関するものであり、又、引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具に関するものである。より詳しくは、カーテン本体の裏面側で上下方向に所要間隔で設けられた挿通部に順次挿通せしめられ且つ下端部が該カーテン本体の下端側の止着部に止着された昇降コードの引き上げ操作によって、襞状折り返し部分が多段に積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンに関するものである。又、該引き上げ式カーテンを構成するための引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、襞状折り返し部分が積み重なる状態で引き上げ可能となされた引き上げ式カーテンが好評を博している。この種の引き上げ式カーテンの一般的な構成のものとしては、例えば特許文献1の
図20~22に示されている。該引き上げ式カーテンaは
図17~21に示すように、窓開口部の上縁に沿って付設された支持バーbの室内側の面部に、カーテン本体cの上縁部分dを面ファスナーを介して固定し、該カーテン本体cを吊下状態にすると共に、該支持バーbに昇降ロック装置を設けてなるものであり、該昇降ロック装置は、該支持バーbの一端にロック具eを固定してなるものであった。そして、該カーテン本体cの下部fにウエイトをもたせるために、該下部fに設けた収容筒部gにその略全幅に亘ってウエイトバーhが納められ、該ウエイトバーhが該下部fのウエイトとされていた。又
図17~18に示すように、該ロック具eの固定側から支持バーbの反対側に向けて所要間隔でコード案内部j(
図18)を設けると共に、
図17~18に示すように、該コード案内部jの数に相当する本数の昇降コードkの束mを前記昇降ロック装置の前記ロック具eに通し、その束mを構成する昇降コードkを、前記コード案内部j(
図18)毎に垂らし、該垂らした昇降コードkを、カーテン本体cの裏面側nにおいて上下方向に所要間隔で設けられたコード挿通部pに順次挿通せしめ、該昇降コードkの下端部qを前記カーテン本体cの下端側r(
図17)に連結状態としてなるものであった。
【0003】
そして、前記ロック具eを挿通した昇降コードkの束mを下方に引くことにより、前記カーテン本体cを、
図19~20に示すように、襞状折り返し部分sが積み重なる状態で引き上げ可能となされており、所要の引き上げ状態で、昇降コードkが前記ロック具eの係止作用によってロックされ、前記カーテン本体cがその引き上げ状態で保持されるように構成されていた。
【0004】
前記昇降ロック装置の他のものとしては、昇降コード巻き取り方式のものがある。該昇降ロック装置は、前記支持バーb内にその軸線に沿って水平状態に配設された巻き取り軸の一端側に回転操作輪を固定してなるものであり、操作コードによって該回転操作輪を正回転操作することにより、前記カーテン本体cの前記外面側で上下方向に配置されている前記昇降コードkの夫々を、その上端から順次巻き取ることができるように構成されていた。そして、前記回転操作輪を正回転させることによって前記カーテン本体cを、襞状折り返し部分sが積み重なる状態で引き上げることができる一方、前記回転操作輪を逆回転させて前記昇降コードを巻き戻すことによって、前記カーテン本体cを下ろすことができるようになされており、該カーテン本体cを所要の引き上げ状態で保持できるように構成されていた。
【0005】
又、前記昇降コードkの下端部qをカーテン本体cの下端側rに止着とする手段としては、従来、フック状掛着部材tを用いる連結手段が一般に採用されている。該フック状掛着部材tの一例は特許文献1の
図3に記載されている。該フック状掛着部材tは、
図20に示すように、基片uの下端vに、下方に向けてU字状に突出するU字状片wを有し、且つその先端xで、前記カーテン本体cの前記下端側rに設けたループ状止着片y(
図20~21)を掬って引っ掛けるフック片zを具えている。そして該フック片zには、このようにして引っ掛けられた該ループ状止着片yが、前記昇降コードkのテンションが緩んで該フック片zの先端xから外れてしまうのを防止するために、該フック片zの内縁部a1の先端側に、前記ループ状止着片yが該先端xに向けて移動するのを阻止する外れ止め凸部b1が設けられていた。又前記基片uには、前記昇降コードkの長さ調整のためにその下端側の部分c1を巻き付ける巻き付け軸部d1が突設されていた。
【0006】
ところで前記ループ状止着片yは、これが前記フック片zから外れにくくするために、そのループが小さめに形成されている。そのため、該ループ状止着片yを前記フック片zに引っ掛ける際、該ループ状止着片yを、前記外れ止め凸部b1を乗り越えさせて該フック片zに引っ掛けるのが困難であった。そのため、無理矢理乗り越えさせようとして該ループ状止着片yのループをしゃくるように移動させて該ループ状止着片yを無理に拡張させるのであるが、その際に該ループ状止着片yの基端部e1(
図20、
図21(C))に大きな力が作用して、該基端部e1の周辺部分でカーテン本体cの組織が引きつった状態となる等、カーテン本体cが損傷され易い問題があった。かかる損傷は、カーテン本体cが目の粗い組織からなる場合は特に生じやすかった。又、カーテン本体cの洗濯やカーテン本体cを交換する際にも、前記外れ止め突部b1が障害となって、前記ループ状止着片yを前記フック片zから取り外すのが困難であった。
【0007】
又前記構成の引き上げ式カーテンaは、前記ロック具eを挿通した昇降コードkの束mを下方に引くことにより、前記カーテ本体cを、
図19~20に示すように、襞状折り返し部分sが積み重なる状態で引き上げ可能となされており、所要の引き上げ状態で、昇降コードkが前記ロック具eの係止作用によってロックされ、カーテン本体cがその引き上げ状態で保持されるように構成されていたが、該ロック具eによるロック手段との関係で、該引き上げ式カーテンaには次のような問題も指摘されていた。
【0008】
即ち、該ロック具eの構成によっては、引き上げたカーテンを下降させようとしても下降操作が分かり難いものもあった。例えばホテルの一見客にあっては、かかる引き上げ式カーテンに初めて接する人もいる。このような人の場合は、引き上げ式カーテンを引き上げ過ぎた場合にこれを適度に下降させようとしても、ロック解除の仕方がわからないことが多い。そのため、戸惑った宿泊客の中には、前記襞状折り返し部分の積み重なり状態を保持させている前記昇降コードkの、前記カーテン本体cの前記下端側に対する連結部分に目をつけ、前記巻き付け軸部d1に巻き付けられている該昇降コードkの前記下端側の部分c1を前記巻き付け軸部d1から意図的に取り外してカーテンを下ろしてしまう人もいた。昇降コードkの前記下端側rに対する連結がこのように解除されてカーテンが下ろされた状態にされると、前記引き上げ式カーテンaは最早その機能を果たし得ないものとなった。
【0009】
このように破損された引き上げ式カーテンaは簡単に修理できるものではなかった。例えば、前記支持バーbの一端にロック具eを固定してなる前記昇降ロック装置が設けられている引き上げ式カーテンaにあっては、前記昇降コードkの下端側の部分c1を前記巻き付け軸部d1から取り外してカーテンが下ろされた状態になってしまうと、各昇降コードkが前記コード挿通部pから抜けてしまうために、その修理に際しては、各昇降コードkを、抜けたコード挿通部pに一々挿通し直した後、各昇降コードkの長さを適正に調整する必要がある等、素人が簡単に修理できるものではなかった。又、昇降コード巻き取り方式の前記昇降ロック装置が設けられている引き上げ式カーテンにあっては、記昇降コードkの下端側の部分c1が前記巻き付け軸部d1から取り外されてカーテンが下ろされた状態になってしまうと、前記昇降コードkが前記巻き取り軸に巻き付いてしまい、これを該巻き取り軸から取り外す作業は一層困難となった。このようなことから、破損した引き上げ式カーテンの修理は業者に依頼せざるを得ず、ホテル側に修理の負担を強いることになった。
【0010】
又前記引き上げ式カーテンaが、前記襞状折り返し部分sが多段に積み重なった状態における、前記フック片zの下端部分に掛る荷重が大きい場合は、前記フック片の先端側の立ち上がり部分が下向きに曲がるように変形してしまう恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、昇降コードの引き上げ操作によって襞状折り返し部分が多段に積み重なる状態で引き上げ可能となされた引き上げ式カーテンを構成するに際し、該昇降コードをカーテン本体の下端側のループ状止着片に容易に止着状態にできながら、該止着状態を安定的に保持させることができる引き上げ式カーテンの提供を課題とするものである。併せて、該昇降コードの前記下端側に対する連結が、意図的に乃至不用意に解除されて引き上げ式カーテンが破損されてしまうのを防止できながら、必要時には該連結を容易に解除できてカーテン本体の洗濯やカーテン本体の交換を行うことができる引き上げ式カーテンの提供を課題とするものである。
【0013】
又本発明は、前記引き上げ式カーテンを構成するに際して、前記昇降コードを前記カーテン本体の前記下端側の前記ループ状止着片に容易に止着できながら、該止着状態を安定的に保持させることができる、引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具の提供を課題とするものである。併せて、該昇降コードの、前記下端側に対する連結が意図的に乃至不用意に分解されて引き上げ式カーテンが破損されてしまうのを防止できながら、必要時には該連結を容易に解除できてカーテン本体の洗濯やカーテン本体の交換を行うことができる引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る引き上げ式カーテンの第1の態様は、カーテン本体の裏面側で上下方向に所要間隔で設けられたコード挿通部に順次挿通せしめられ且つ下端部が昇降コード止着具を介して該カーテン本体の下端側のループ状止着片に止着された昇降コードの引き上げ操作によって、襞状折り返し部分が多段に積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンである。前記昇降コード止着具は、フック部材と該フック部材に装着されるカバー部材を具えており、該フック部材は、基片の下端に、下方に向けてU字状に突出するU字状片部の先端部分で前記ループ状止着片を掬って引っ掛けるフック片の基端が連接されており、該基片には、前記昇降コードの長さ調整のために該昇降コードの下端側の部分を巻き付ける巻き付け軸部が設けられている。又前記カバー部材は、上下端が開放し且つ前記フック部材を収容させる収容部を有した筒状を呈しており、前記フック部材が該収容部にその下端開放部を通して収容された状態で、前記カバー部材の上端開放部を挿通状態に通過した前記昇降コードの前記下端側の部分が、該収容部に収容された状態の前記巻き付け軸部に巻き付けられた状態にあるようになされるものであり、該収容された状態で、前記フック片の前記先端部分が前記収容部に納まると共に前記フック片の下側の部分が前記カバー部材の下端から下方に突出し、且つ、前記フック部材に設けられている第1の係合部と着脱可能に係合し得る第2の係合部が前記カバー部材に設けられており、該第1、第2の係合部が着脱可能に係合することによって前記フック部材が前記収容部に前記収容された状態で保持されることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る引き上げ式カーテンの第2の態様は、前記第1の態様において、前記カバー部材の側面部に、前記上端開放部と前記下端開放部とを連通させる割溝が設けられ、前記昇降コードが該割溝を出入りできるようになされている。且つ該割溝は、前記基片に、その上下方向に延長するように突設された突条部が収容された状態となるように構成されており、該突条部は、その上端が該割溝の下端に位置合わせされて後、該割溝を、その下端からその上端に向けて相対的にスライド移動できることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る引き上げ式カーテンの第3の態様は、前記第1の態様において、前記第1 、第2の係合部の係合が解除されて前記フック部材が相対的に下降し、前記カバー部材に設けられている第1の係止部と前記フック部材に設けられている第2の係止部とが係合することによって、前記フック部材に設けられている前記第1の係止部が前記カバー部材の前記下端から下方に外れて該下端の下方に位置した状態で該フック部材が停止され、この状態で、前記フック片に対する前記ループ状止着片の着脱が可能であるが、前記巻き付け軸部は前記収容部に納まるようになされており、該第1、第2の係止部の係合解除によって前記フック部材が相対的に上昇でき前記第1、第2の係合部が係合可能となされていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る引き上げ式カーテンの第4の態様は、前記第1の態様において、前記割溝の下端部分の対向する溝側縁部分に、受部からなる前記第1の係止部が設けられると共に前記突条部の上下方向長さの中間部位に、前記受部で下方から支持されて前記突条部が下方向に相対的に移動するのを阻止する当接部からなる前記第2の係止部が設けられている。前記第1、第2の係合部の係合状態が解除されて前記フック部材が相対的に下降し、該当接部が前記受部に当接することにより、前記フック部材に設けられている前記第1 の係合部が前記カバー部材の下端から下方に外れて該下端の下方に位置した状態で該フック部材が停止され、この状態で、前記フック片に対する前記ループ状止着片の着脱が可能であるが、前記巻き付け軸部は前記収容部に納まるようになされており、前記当接部が前記受部から離れるように前記基片が上昇することによって前記第1の係合部と前記第2の係合部とが係合できることを特徴とするものである。
【0018】
本発明に係る引き上げ式カーテンの第5の態様は、前記第1の態様において、前記第1の係合部は、前記フック片の前記先端部分に設けられた係合突出部として構成されており、前記フック部材を前記下端開放部を通して前記収容部に収容させる際に前記フック片を前記カバー部材の上端に向けて移動させるに伴い、前記第1の係合部が、前記カバー部材の内面部の下側部分をなす押圧内面部に押圧されて該フック片の前記U字状片部が弾性的に窄まり変形するようになされている。その後における該フック片の弾性復帰によって前記第1、第2の係合部が嵌合状態に係合するように構成されており、前記カバー部材の下端から下方に突出した状態にある前記フック片の前記下側の部分の、前記第1の係合部を有する立ち上がり部分を、これと対向する内方側に向けて押圧することによって、前記第1、第2の係合部の係合状態を解除可能となされていることを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係る引き上げ式カーテンの第6の態様は、前記第1の態様において、前記カバー部材の前記押圧内面部が、前記カバー部材の下端側から上端側に向けて前記カバー部材の軸線側に傾斜する傾斜案内面として形成されており、前記フック片を前記カバー部材の上端に向けて相対移動させるに伴い、前記第1の係合部が前記押圧内面部に押圧されて該フック片の前記U字状片部が弾性的に徐々に窄まり変形するようになされていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係る引き上げ式カーテンの第7の態様は、前記第1の態様において、前記カバー部材は、下端から上端に向けて小径となる円錐筒状に形成されており、前記押圧内面部が、前記カバー部材の下端側から上端側に向けて前記カバー部材の軸線側に傾斜する傾斜案内面として形成されており、前記フック片を前記カバー部材の上端に向けて相対移動させるに伴い、前記第1の係合部が前記押圧内面部に押圧されて該フック片の前記U字状片部が弾性的に徐々に窄まり変形するようになされていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明に係る引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具の第1の態様は、カーテン本体の裏面側で上下方向に所要間隔で設けられたコード挿通部に順次挿通せしめられ且つ下端部が昇降コード止着具を介して該カーテン本体の下端側のループ状止着片に止着された昇降コードの引き上げ操作によって、襞状折り返し部分が多段に積み重なる状態で引き上げられる引き上げ式カーテンを構成するための引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具であって、フック部材と該フック部材に装着されるカバー部材を具えており、該フック部材は、基片の下端に、下方に向けてU字状に突出するU字状片部の先端部分で前記ループ状止着片を掬って引っ掛けるフック片の基端が連設されており、該基片には、前記昇降コードの長さ調整のために該昇降コードの下端側の部分を巻き付ける巻き付け軸部が設けられている。又前記カバー部材は、上下端が開放し且つ前記フック部材を収容させる収容部を有した筒状を呈しており、前記フック部材が該収容部にその下端開放部を通して収容された状態で、前記カバー部材の上端開放部を挿通状態に通過した前記昇降コードの前記下端側の部分が、該収容部に収容された状態の前記巻き付け軸部に巻き付けられた状態にあるようになされるものである。そして該収容された状態で、前記フック片の前記先端部分が前記収容部に納まると共に前記フック片の下側の部分が前記カバー部材の下端から下方に突出し、且つ、前記フック部材に設けられている第1の係合部と着脱可能に係合し得る第2の係合部が前記カバー部材に設けられている。該第1、第2の係合部が着脱可能に係合することによって前記フック部材が前記収容部に前記収容された状態で保持されることを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係る引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具の第2の態様は、前記第1の態様において、前記カバー部材の側面部には、前記上端開放部と前記下端開放部とを連通させる割溝が設けられ、前記昇降コードが該割溝を出入りできるようになされている。且つ該割溝は、前記基片に、その上下方向に延長するように突設された突条部が収容された状態となるように構成されており、該突条部は、その上端が該割溝の下端に位置合わせされて後、該割溝の該下端からその上端に向けて相対的にスライド移動できることを特徴とするものである。
【0023】
本発明に係る引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具の第3の態様は、前記第1の態様において、前記第1、第2の係合部の係合が解除されて前記フック部材が相対的に下降し、前記カバー部材に設けられている第1の係止部と前記フック部材に設けられている第2の係止部とが係合することによって、前記フック部材に設けられている前記第1の係合部が前記カバー部材の前記下端から下方に外れて該下端の下方に位置した状態で該フック部材が停止され、この状態で、前記フック片に対する前記ループ状止着片の着脱が可能であるが、前記巻き付け軸部は前記収容部に納まるようになされており、該第1、第2の係止部の係合解除によって前記フック部材が相対的に上昇でき前記第1、第2の係合部が係合可能となされていることを特徴とするものである。
【0024】
本発明に係る引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具の第4の態様は、前記第1の態様において、前記割溝の下端部分の対向する溝側縁部分に、受部からなる前記第1の係止部が設けられると共に前記突条部の上下方向長さの中間部位に、前記受部で下方から支持されて前記突条部が下方向に移動するのを阻止する当接部からなる前記第2の係止部が設けられている。前記第1、第2の係合部の係合状態が解除されて前記フック部材が相対的に下降し、該当接部が前記受部に当接することにより、前記フック部材に設けられている前記第1の係合部が前記カバー部材の下端から下方に外れて該下端の下方に位置した状態で該フック部材が停止され、この状態で、前記フック片に対する前記ループ状止着片の着脱が可能であるが、前記巻き付け軸部は前記収容部に納まるようになされており、前記当接部が前記受部から離れるように前記基片が上昇することによって前記第1の係合部と前記第2の係合部とが係合できることを特徴とするものである。
【0025】
本発明に係る引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具の第5の態様は、前記第1の態様において、前記第1の係合部は、前記フック片の前記先端部分に設けられた係合突出部として構成されており、前記フック部材を前記下端開放部を通して前記収容部に収容させる際に前記フック片を前記カバー部材の上端に向けて移動させるに伴い、前記第1の係合部が、前記カバー部材の内面部の下側部分をなす押圧内面部に押圧されて該フック片の前記U字状片部が弾性的に窄まり変形するようになされている。その後における該フック片の弾性復帰によって前記第1、第2の係合部が嵌合状態に係合するように構成されており、前記カバー部材の下端から下方に突出した状態にある前記フック片の前記下側の部分の、前記第1の係合部を有する立ち上がり部分を、これと対向する内方側に向けて押圧することによって、前記第1、第2の係合部の係合状態を解除可能となされていることを特徴とするものである。
【0026】
本発明に係る引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具の第6の態様は、前記第1の態様において、前記カバー部材の前記押圧内面部が、前記カバー部材の下端側から上端側に向けて前記カバー部材の軸線側に傾斜する傾斜案内面として形成されており、前記フック片を前記カバー部材の上端に向けて相対移動させるに伴い、前記第1の係合部が前記押圧内面部に押圧されて該フック片の前記U字状片部が弾性的に徐々に窄まり変形するようになされていることを特徴とするものである。
【0027】
本発明に係る引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具の第7の態様は、前記第1の態様において、前記カバー部材は、下端から上端に向けて小径となる円錐筒状に形成されており、前記押圧内面部が、前記カバー部材の下端側から上端側に向けて前記カバー部材の軸線側に傾斜しており、前記フック片を前記カバー部材の上端に向けて相対移動させるに伴い、前記第1の係合部が前記押圧内面部に押圧されて該フック片の前記U字状片部が弾性的に窄まり変形するようになされていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る引き上げ式カーテンによるときは、襞状折り返し部分が多段に積み重なる状態で引き上げ可能となすための昇降コードをカーテン本体の下端側のループ状止着片に止着することによって引き上げ式カーテンを構成するに際し、該昇降コードを前記ループ状止着片に容易に止着状態にできると共に、該止着状態を安定的に保持させることができる。併せて、該昇降コードの、前記下端側に対する連結が意図的に乃至不用意に分解されて前記引き上げ式カーテンが破損されてしまうのを防止できながら、必要時には該連結を容易に解除できて前記カーテン本体の洗濯や前記カーテン本体の交換を行うことができる。
【0029】
又本発明に係る引き上げ式カーテン用の昇降コード止着具によるときは、前記引き上げ式カーテンを構成するに際して、前記昇降コードを前記カーテン本体の前記下端側の前記ループ状止着片に止着する作業を容易に行うことができると共に、該止着状態を安定的に保持させることができる。併せて、昇降コードの前記下端側の部分に対する連結が意図的に乃至不用意に解除されて前記引き上げ式カーテンが破損してしまうのを防止できながら、必要時には該連結を容易に解除できて前記カーテン本体の洗濯や前記カーテン本体の交換を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係る引き上げ式カーテンを示す斜視図である。
【
図2】引き上げ式カーテンの上側部分の構成を示す斜視図である。
【
図3】引き上げ式カーテンに設けたコード挿通部に昇降コードが挿通された状態の拡大図と、該引き上げ式カーテンの下側部分の部分拡大図である。
【
図4】引き上げ式カーテンの引き上げ状態を示す斜視図である。
【
図5】引き上げ式カーテンの引き上げ状態を示す側面図である。
【
図6】昇降コード止着具を昇降コードの下端部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図7】フック部材を昇降コードの下端部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図8】カバー部材に挿通状態とされた昇降コードの下端側の部分がフック部材の巻き付け軸部に取り付けられた状態を示す正面図と背面図である。
【
図9】フック部材のフック片の構成を説明する部分正面図である。
【
図10】フック部材とカバー部材を示す左右の側面図である。
【
図11】フック部材とカバー部材とを一体化させる過程と、両者が一体化した状態を示す説明図である。
【
図12】フック部材とカバー部材とを一体化させる過程を説明する説明図である。
【
図14】昇降コード止着具の他の態様を、昇降コードの下端側の部分をフック部材の巻き付け軸部に取り付けた状態で示す斜視図である。
【
図15】カバー部材に挿通状態とされた昇降コードの下端部がフック部材の巻き付け軸部に取り付けられた状態を示す正面図と背面図である。
【
図16】ループ状止着片の他の態様を説明する説明図である。
【
図17】従来の引き上げ式カーテンを示す斜視図である。
【
図18】その引き上げ式カーテンの上側部分の構成を説明する斜視図である。
【
図19】その引き上げ式カーテンの引き上げ状態を示す斜視図である。
【
図20】その引き上げ式カーテンの引き上げ状態を示す側面図である。
【
図21】その引き上げ式カーテンの下側の一側部分の拡大斜視図と、コード挿通部に昇降コードが挿通された状態の拡大図と、カーテン本体の下端側に設けられたループ状止着片を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0031】
図1~5において本発明に係る引き上げ式カーテン1は、カーテン本体2の裏面側3で上下方向に所要間隔で設けられたコード挿通部5に順次挿通せしめられ且つ下端部6が昇降コード止着具7を介して該カーテン本体2の下端側8のループ状止着片9(
図3)に止着された昇降コード10の引き上げ操作によって、
図4~5に示すように襞状折り返し部分11が多段に積み重なる状態で引き上げられるものである。
【0032】
前記昇降コード止着具7は、
図5~8に示すように、フック部材12と該フック部材12に装着されるカバー部材13を具えており、該フック部材12は、
図7~11に示すように、基片15の下端16に、下方に向けてU字状に突出するU字状片部17の先端部分19で前記ループ状止着片9(
図3(B)、
図5(A))を掬って引っ掛けるフック片20の基端21(
図8(A))が連設されており、該基片15の上下中間部位には、前記昇降コード10の長さ調整のために該昇降コード10の下端側の部分22を巻き付ける巻き付け軸部23(
図8(A)、
図10)が設けられている。又前記カバー部材13は、上下端が開放し且つ前記フック部材12を収容させる収容部25を有した筒状を呈しており、
図8(A)に一点鎖線で示すように、前記フック部材12が該収容部25にその下端開放部26を通して収容された状態で、前記カバー部材13の上端開放部27を挿通状態に通過した前記昇降コード10の前記下端側の部分22が、該収容部25に収容された状態の前記巻き付け軸部23に巻き付けられた状態にあるようになされるものである。そして該収容された状態で、前記フック片20の前記先端部分19が前記収容部25に納まると共に前記フック片20の下側の部分29が前記カバー部材13の下端30から下方に突出し、且つ、前記フック部材12に設けられている第1の係合部31と着脱可能に係合し得る第2の係合部32が前記カバー部材13に設けられており、該第1、第2の係合部31, 32が
図11(B)(C)に示すように係合することによって前記フック部材12の上側の部分が前記収容部25に収容された状態で保持される。
【0033】
以下、これを具体的に説明する。前記引き上げ式カーテン1は、
図1~4に示すように、窓開口部の上縁に沿って付設された支持バー33の室内側の面部35に、面状ファスナ36を介して前記カーテン本体2の上縁部分37が固定され、該カーテン本体2が吊下状態とされている。そして該カーテン本体2の下部には、
図1、
図3に示すように、カーテン下部39にウエイトをもたせるためにウエイトバー収容筒部40が形成され、その内部にウエイトバー41(
図1)が収容されている。又、
図2に示すように、前記支持バー33の一端側に、昇降ロック装置のロック具42が固定されると共に、該支持バー33に、該ロック具42の固定側33aからその反対側33bに向けて所要間隔で(本実施例においては、該支持バー33の両側部位43a,43bと中間部位43cにおいて)コード案内部45,45が設けられている。そして、該コード案内部45の数に相当する本数の昇降コード10の束47が該ロック具42に通され、その束47を構成する各昇降コード10は、前記コード案内部45毎に垂らされる。このように垂らされた昇降コード10は、
図1~2、
図3(A)に示すように、上下方向に所要間隔で設けられた前記コード挿通部5に順次挿通せしめられ、
図1、
図5に示すように、該昇降コード10の下端部6が、前記昇降コード止着具7を介して、前記カーテン本体2の前記下端側8に止着される。そして、前記ロック具42に挿通された昇降コード10の束47を下方に引くことにより、前記引き上げ式カーテン1を、
図4~5に示すように、襞状折り返し部分11が積み重なる状態で引き上げ可能となされており、所要の引き上げ状態で、昇降コード10が前記ロック具42の係止作用によってロックされ、これによって、カーテン本体2がその引き上げ状態で保持されるようになされている。
【0034】
前記昇降コード止着具7を構成する前記フック部材12と前記カバー部材13は合成樹脂製である。該フック部材12は、本実施例においては
図7~9に示すように、上下に長い前記基片15の下端16に前記フック片20の基端21が連設され、該基片15は、その中間部分52が幅広矩形状片部53とされ、その対向する両側縁55,55は略平行している。該基片15の長さ方向の上側部分57は、上方に向けて幅狭となる山形状片部58とされ、又該基片15の長さ方向の下側部分59は、前記幅広矩形状片部53の下端56の一側縁側の部分(
図8(A)における右側縁側の部分)60で下方に突設されている。これによって、前記幅広矩形状片部53の下端56の他側縁側の部分(
図8(A)における左側縁側の部分) 62と前記下側部分59との間に欠切状凹部63が設けられている。
【0035】
前記フック片20は、
図7~9に示すように、下方に向けてU字状乃至円弧状に突出する前記U字状片部17の基端(上端)21が、該U字状片部17の先端部分19を前記他側縁側の部分62(
図8(A))に位置させて、前記下側部分59の下端16(
図8(A))に連結されている。該U字状片部17の内側縁65には、前記した従来のフック片におけるような外れ止め凸部は設けられておらず、凹凸のない一様形態である。
【0036】
該先端部分19は、前記第1の係合部31となる係合突出部66を構成するものであり、該係合突出部66は、本実施例においては
図7~9に示すように、外方に水平状態乃至や上向きの傾斜状態で突出する水平突出片部67の先端で上方に突出する上方突出片部69を設けてなるL字状突出片部70として構成されている。該上方突出片部69は、本実施例においては
図9に示すようにその外面71が、下端72から上端73に向けて且つ内方に向けて傾斜する傾斜面75とされている。そして、前記先端部分19の内の前記水平突出片部67の基端側の部分76が前記欠切状凹部63(
図8(A))に納まるように構成されると共に、
図9に示すように、前記水平突出片部67の基端77と前記下側部分59の左側面79との間に変位吸収間隙80が設けられている。
【0037】
本実施例においては、前記のように欠切状凹部63を設け該欠切状凹部63に前記先端部分19の一部を納めているため、前記フック片20の横幅を比較的小さく構成できる。従って後述する円錐状体の径を、その分だけ小さく構成できる。
【0038】
なお本実施例においては
図10(A2)に示すように、前記フック片20を前記他側縁側(
図8(B)、
図10(A2)における左の側縁55a側)から見て、その先側部分(上側部分)81が、前記基片15の表面部82からその裏面部83に向けて稍屈曲させている。これは、該先側部分81が、前記巻き付け軸部23に対する前記昇降コード10の巻き付けの障害とならないようにするためである。
【0039】
前記巻き付け軸部23は、
図8(A)、
図10(A)(B)に示すように、前記幅広矩形状片部53の前記表面部82の中央部位で突設された軸部85を有して構成され、該軸部85は、本実施例においては、前記基片15の上下方向に稍長く形成されている。本実施例においては、該軸部85の先端に外れ止めの頭部86が設けられており、該巻き付け軸部23は全体としてキノコ状片を呈している。
【0040】
又、前記昇降コード10を前記巻き付け軸部23に安定的に巻き付けることができるようにするため、
図7(A)、
図8(A)に示すように、前記山形状片部58の前記表面部82の上端側の部分に、前記昇降コード10をガイドするためのガイド溝87が、対向する突出片89, 89間で形成されている。
【0041】
又
図6(B)、
図7(B),
図8(B)に示すように、前記基片15の前記裏面部83の上下方向の全長に亘り且つその長さ方向中央線に沿って線状の突条部90が突設されている。該突条部90の上側突条部91と下側突条部92は正面視で等幅に形成されており、中間突条部93は、正面視で下方に向けて徐々に幅広となる山形状拡張部95として構成されている。該山形状拡張部95の左右の下端部分96,96は、
図8(B)に示すように下方に向けて内方に傾斜する傾斜段差面97,97として形成されており、
図12(B)に示すように、該左右の傾斜段差面97, 97が、後記受部122としての後記第1の係止部123と当接状態に係合し得る、当接部99,99としての第2の係止部100, 100とされている。そして前記下側突条部92は、後述するように後記立ち上がり部分130を後記内側に向けて押圧した際に、該後記立ち上がり部分130(
図11(B))が前記突条部90に当たらないように構成されている。
【0042】
次に前記カバー部材13の構成を説明する。該カバー部材13は、本実施例においては
図6、
図11~13に示すように、下端101から上端102に向けて小径となる上下に稍長い円錐状体として構成され、その内部は前記収容部25とされており、その内面部103(
図13)は、その下端からその上端に向けて小径となる円錐状内面105として構成されている。
【0043】
該カバー部材13の該内面部103の下端部分の、後記割溝112の両側部分は押圧内面部107,107とされている。該押圧内面部107,107は、本実施例においては
図13に示すように、その下端110が前記下端101に合致しており、その下端側からその上端側に向けて前記カバー部材13の軸線L側に傾斜した傾斜案内面104として形成されている。
【0044】
前記カバー部材(本実施例においては前記円錐状体)13は、前記のように上下端が開放しており前記上端開放部27と前記下端開放部26が設けられている。該上端開放部27は、
図6、
図8に示すように、前記昇降コード10を挿通状態に通過させるものであり、該下端開放部26は
図11(B)に示すように、前記収容部25に前記フック部材12を収容させるための入口となる。
【0045】
且つ、該カバー部材13の側面部111には、
図6、
図11、
図13に示すように、該上端開放部27と該下端開放部26とを連通させる割溝112が設けられている。該割溝112は、本実施例においては
図8、
図11、
図13に示すように、前記上側突条部91の左右側面部113,113と密接し得る上側溝115と、これに連なる、前記山形状拡張部95の左右側面部116, 116と密接し得る中間溝117と、これに連なり且つ該中間溝117の下端溝幅に等しい溝幅を有する下側溝119と、該下側溝119の溝幅よりも幅狭に形成された下端溝120とから構成されている。該下端溝は120は、前記割溝112の下端で対向突設された突部121, 121としての受部122, 122からなる第1の係止部123, 123間の間隙として構成されており、該下端溝120の幅は、
図12(A)に示すように、前記山形状拡張部95の最大幅よりも稍小さく形成されている。該下端溝120は弾性的に拡開でき、該拡開によって前記山形状拡張部95を上方向に向けて通過させることができる。
【0046】
左右対向する前記受部122, 122は、
図12(B)に示すように、左右対向する前記傾斜段差面97, 97と密接状態に当接した係合状態を呈することによって、前記フック部材12と前記カバー部材13とが分離しないようになされている。
【0047】
又、該カバー部材13の側面部111の下端側部位には、
図8(B)、
図11(A)(B)に示すように、前記割溝112と隣り合わせて、前記第1の係合部31と着脱自在に係合し得る第2の係合部32が設けられている。該第2の係合部32は本実施例においては、該側面部111に貫設された係合開口部34として構成されている。
【0048】
前記割溝112には、
図8(B)に示すように前記昇降コード10が出入りできるものであり、該割溝112は、前記基片15に突設されている前記突条部90が収容される。本実施例においては
図12(B)に示すように、該割溝112の前記上側溝115と前記上側突条部91との略密接した嵌合作用が得られることから、後述するように、前記フック部材12の上側部分を前記収容部25(
図13)に順次収容させる際にそのスライド移動の方向を規制するガイド作用が得られる。
【0049】
前記上方突出片部69は、
図11(A)に示すように、その外面の前記傾斜面75が前記押圧内面部107の下端110に当接して後、前記フック部材12の相対的上昇に伴い前記カバー部材13の内面部(前記円錐状内面105)103(
図13)をスライドしつつ該カバー部材13の上方向に移動する。この上昇の際、該上方突出片部69の上端部分125が該押圧内面部(前記傾斜案内面104)107(
図13)に押圧され該フック片20の前記U字状片部17が弾性的に徐々に窄まり変形するが、この窄まり変形は、その変位が前記変位吸収間隙80(
図9)で吸収されて行われる。
【0050】
そして、その後における該フック片20の弾性復帰によって、前記上方突出片部69が前記係合開口部34に嵌まり合い、前記水平突出片部67の下面126が該係合開口部34の下の面127に当接状態に係合する。このように前記第1、第2の係合部31,32が嵌合状態に係合することにより、前記フック部材12と前記カバー部材13とが分離不能に一体化され、この一体化状態が安定的に保持される。本実施例においては、この一体化状態で、前記先端部分19が前記係合開口部34の外縁から突出しない。又本実施例においては、前記フック部材12を前記収容部25内で下から上に向けて相対的に移動させさえすれば、前記ガイド作用によって、前記上方突出片部69が自ずから前記係合開口部34に嵌まり合う。
【0051】
前記フック部材12と前記カバー部材13とのかかる一体化によって、
図11(B)に示すように、前記フック片20の上端開放部129は前記カバー部材13を介して閉じた状態となり、従って
図5(B)に示すように、該フック片20に引っ掛けられた状態にある前記ループ状止着片9(
図3)が該フック片20の前記先端部分19から外れてしまう恐れがない。このように外れる恐れがないことから、本実施例においては、従来は必要とした
図20に示す外れ止め凸部b1が不要となり、従って、該ループ状止着片9を該フック片20に引っ掛ける作業を円滑に行うことができ、従来のように、該外れ止め凸部b1でカーテン本体2の組織を損傷するといった問題を生じさせることがない。
【0052】
又本実施例に係る引き上げ式カーテン1によるときは、
図11(B)に示すように前記第1、第2の係合部31, 32が嵌合状態に係合するために、具体的には、前記上方突出片部69が前記係合開口部34に嵌り合うために、前記ループ状止着片9が前記フック片20に引っ掛けられた状態において、該フック片20の下端部分に掛る荷重が大きい場合においても、該フック片20の先端部分19が前記カバー部材13から外れる恐れがなく、従って前記フック片20の前記第1の係合部31を有する立ち上がり部分130(
図11(B)が下向きに曲がるように変形する恐れがない。
【0053】
以上説明したように、本実施例に係る発明によるときは、該U字状片部17の内側の縁131が、従来のような外れ止め凸部を有しておらず凹凸のない一様形態であるため、前記昇降コード10の下端部6(
図5)を前記昇降コード止着具7を介して前記カーテン本体2の前記下端側8の前記ループ状止着片9に止着する作業を従来におけるような引っ掛かりを防止して円滑に行うことができると共に、前記第1、第2の係合部31, 32が係合することによって、該止着状態を安定的に保持させることができる。
【0054】
又本実施例に係る引き上げ式カーテン1によるときは、前記水平突出片部67の下面126が前記係合開口部34の下の面127に当接状態に係合した状態で、
図11(B)(C)に示すように、前記フック片20の下側のU字状片部17が前記カバー部材13の下端101から下方に突出した状態となるが、前記先端部分19は露出状態とはならない。従って、従来のようにフック片の先端部分が露出状態となることによって該先端部分でカーテン本体2が損傷されるといった恐れがない。
【0055】
かかる一体化によって、
図11(B)に示すように、前記フック片20の上端開放部129は前記カバー部材13を介して閉じた状態となり、従って、該フック片20に引っ掛けられた状態にある前記ループ状止着片9(
図5(B)が該フック片20の前記先端部分19から外れてしまう恐れがない。このように外れる恐れがないことから、本実施例においては前記したように、従来は必要とした
図20に示す外れ止め凸部b1が不要となり、従って、該ループ状止着片9を該フック片20に引っ掛ける作業を円滑に行うことができ、従来のように、前記カーテン本体2の組織を損傷するといった問題を生じさせることもない。
【0056】
前記カーテン本体2の洗濯や前記カーテン本体2の取り替えを行う際は、前記カバー部材13の下端から下方に突出した状態にある、前記フック片20の、前記第1の係合部31を有する前記立ち上がり部分130を、
図11(B)に矢印で示すように、これと対向する内方側に向けて押圧することによって、前記第1、第2の係合部31,32の係合状態を解除する。これによって前記フック部材12が相対下降し、
図12(B)に示すように、前記第1、第2の係止部123,100が当接状態に係合する。該係合状態で、前記フック部材12に設けられている前記第1の係合部31が前記カバー部材13の下端101の下方に位置した状態で該フック部材12が停止され、この状態で、前記ループ状止着片9を前記フック片20から難無く取り外すことができる。その後、前記昇降コード10を前記コード挿通部5(
図1~2)の夫々から取り外す。これによって、該昇降コード10を、前記カーテン本体2に取り付いていた時とその全長を変えることなく該カーテン本体2から取り外すことができ、該カーテン本体2を前記支持バー33から取り外すことができる。
【0057】
このように取り外されたカーテン本体1は洗濯できる。その洗濯後においては、これを再び前記支持バー33に取り付け、該カーテン本体2を吊下状態とする。その後、取り外された前記昇降コード10を、再び、上下方向に所要間隔で設けられた前記コード挿通部5に順次挿通させる。
【0058】
その後、前記第1 、第2の係止部123,100が当接状態に係合して前記第1の係合部31が前記カバー部材13の下端101の下方に位置して停止状態にある前記フック片20に前記ループ状止着片9が引っ掛けられた状態とする。然る後、前記第1、第2の係止部123, 100の係合解除(当接状態の解除)によって前記フック部材12を相対的に上昇させると、前記ガイド作用により、前記第1、第2の係合部31, 32が
図11(B)に示すように係合され、前記フック部材12が前記収容部25に、前記収容された状態で保持される。又、カーテン本体2の取り替えを行う場合は、新たなカーテン本体2を前記支持バー33に取り付け、該カーテン本体2を吊下状態とする。その後は、前記と同様にして前記フック片20に該ループ状止着片9が引っ掛けられた状態とし、前記フック部材12が前記収容部25に収容された状態とする。
【0059】
このように構成された引き上げ式カーテン1によるときは、主として、次に列挙するような独特の作用効果が得られる。即ち、
【0060】
(1)前記引き上げ式カーテン1によるときは、前記第1、第2の係合部31, 32が係合することによって、前記フック片20の前記先端部分19が前記収容部25に納まった前記収容状態で、前記フック片20の下側の部分29(
図11(B))が前記カバー部材13の下端101から下方に突出した状態となり該状態が保持される。従って、従来のように該フック片20の前記内側の縁131に前記外れ止め凸部を設けなくても、該フック片20に引っ掛けられた前記ループ状止着片9が該フック片20から外れる恐れがない。
【0061】
(2)該フック片20の前記内側の縁131に前記外れ止め凸部b1(
図20)を設けないため、前記ループ状止着片9を前記フック片20に引っ掛ける際、従来のように、該ループ状止着片20を、前記外れ止め凸部を無理に乗り越えさせて該フック片20に引っ掛ける必要がない。従って、該フック片20に該ループ状止着片9(
図3(B)、
図12(B))を引っ掛ける作業を容易に行うことができると共に、従来のようにカーテン本体2を損傷させる恐れがない。
【0062】
(3)前記ループ状止着片9を前記フック片20に引っ掛けた状態で、該フック片20の前記先端部分19が前記収容部25に納まった状態となり(
図11(B))、該先端部分19が前記係合開口部34の外縁から突出しないため、前記した従来のフック片におけるように露出状態となるフック片20の先端部分19でカーテン本体2が損傷される恐れがない。従来のフック片にあっては、前記ループ状止着片9が該フック片の先端から外れにくくするために該先端部分の突出長さが大きく設定されていたので、カーテン本体が損傷される恐れがあった。又、このように前記フック片の前記先端部分19が前記収容部25に納まった状態となるため(
図11(B))、従来のフック片におけるように、下向きに大きな荷重を受けた前記フック片の前記立ち上がり部分130が下向きに曲がるといった恐れがない。
【0063】
(4)前記第1、第2の係合部31,32が係合することによって、前記フック部材12が前記収容部25に収容された状態で保持される。そして、特に本実施例においては、前記第1、第2の係合部31, 32の係合が解除されて前記フック部材12が相対的に下降し、前記フック部材12に設けられている前記第1の係合部31が前記カバー部材13の下端101から下方に外れて該下端101の下方に位置した状態にあっても、
図6に示すように前記巻き付け軸部23が前記収容部25に納まるように構成されている(
図8(A)、
図12(B))。かかることから、前記巻き付け軸部23に巻き付けられている該昇降コード10の前記下端側の部分22(
図8(A))を該巻き付け軸部23から取り外すことができない。従って、意図的に又は不用意に前記昇降コード10が前記巻き付け軸部23から取り外されることに起因したカーテン破損を防止できることとなる。
【0064】
(5)前記第1、第2の係合部31,32の係合状態(
図11(B))を解除すると前記フック部材12が相対下降し、前記第1、第2の係止部123,100が当接状態に係合するのであるが、該フック部材12は、該当接状態の係合によって、前記第1の係合部31が前記カバー部材13の下端101の下方に位置した状態で停止される。そして該停止状態で、前記巻き付け軸部23は前記収容部25に納まるようになされている(
図12(B))。
【0065】
その後、前記昇降コード10を前記コード挿通部5の夫々から取り外せば、該昇降コード10を、前記カーテン本体2に取り付いていた時とその全長を変えることなく、該カーテン本体2から取り外すことができ、該カーテン本体2を前記支持バー33から取り外すことができる。
【0066】
従って、洗濯されたカーテン本体2を用いて或いは新たなカーテン本体2を用いて引き上げ式カーテンを構成する場合、面倒な昇降コードの長さ調整を要さず、引き上げ式カーテンを容易に構成できることとなる。
【0067】
(6)前記カバー部材13の側面部111に、前記上端開放部27と前記下端開放部26を連通させる前記割溝112を設け、前記昇降コード10が該割溝112を出入りできるようになし、且つ該割溝112に前記突条部90が収容された状態となるように構成し、前記上側溝115と前記上側突条部91との略密接した嵌合作用が得られるように構成している(
図11(A))。そのため、前記フック部材12を前記収容部25に収容させる際にそのスライド移動の方向を規制するガイド作用が得られる。このガイド作用によって、前記フック部材12を前記収容部25内で下から上に向けて相対的に移動させさえすれば、
図11(B)に示すように、前記上方突出片部69が自ずから前記係合開口部34に嵌りあった状態となし得る(
図11(C))。